説明

野草茶組成物

【課題】機能性便秘の改善、予防に適した野草茶組成物を提供する。
【解決手段】カッシア・アラタを30重量%以上80重量%未満、カッシア・アラタ以外の茶成分を20重量%以上70重量%未満含有してなる野草茶組成物。該野草茶組成物は、通常のお茶を飲む手軽さで便秘改善効果を得ることができ、また、特別な習慣性もないため、毎日安心して継続飲用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便通改善効果を有する野草茶組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
便秘は、器質性便秘と機能性便秘の二つに大別される。器質性便秘は、便の経路である消化管自体の狭窄、癒着、他臓器の病変による圧迫等の物理的障害が原因となって生じるものである。一方、機能性便秘は、排便機能のメカニズムそのものの障害で自律神経が正常に働かない事による便秘であり、近年、食習慣の欧米化、ストレス、利尿剤などの薬剤の長期連用等が原因で機能性便秘になる人が増加している。
【0003】
このような状況において、いくつかの試みがなされている。例えば、機能性便秘の改善方法として、様々な便秘改善剤が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
これらの便秘改善剤は、一定の便秘改善効果を有するものであるが、医薬品扱いとなるため、医師の処方箋が必要となる場合もあり、長期的な便秘の改善あるいは予防に使用しづらい。また、薬効成分によっては、排便促進作用が強すぎて腹痛が生じやすくなったり、長期に使用し続けると効果が弱くなってしまうなどの問題も指摘されている。
【0004】
また、腸内環境改善により、機能性便秘を改善する方法もある。例えば、腸内細菌の善玉菌の代表であるビフィズス菌は、下痢や便秘等の予防、治療効果や腸内の有害細菌の増殖抑制作用等の整腸作用を有することから、ビフィズス菌そのものを摂取する方法が挙げられる。しかしながら、経口的にビフィズス菌を摂取した場合、腸内まで生存したビフィズス菌が供給されにくく、所望の整腸効果を十分に得ることができない。
【0005】
腸内環境改善を目的として、ビフィズス菌を増加させる効果がある、オリゴ糖等のビフィズス菌活性化剤を摂取する方法もある(例えば、特許文献3,4参照)。
また、本出願人は、特願2011−91362号において、腸内菌叢の有用菌代表格のビフィズス菌種類にビフィズス菌増殖因子である最適なオリゴ糖を選定し、それを混合することで、相乗効果を生み出し、ビフィズス菌全体の増殖効果を最大限に高める理論である、EOS理論に基づく活性化方法により、腸内細菌叢が改善し、便秘改善、予防効果を得ることができることを報告している。
これらの方法では、腸内細菌叢が改善させることで、便秘解消するものであるが、腸内細菌叢の改善では解決しない、腸の蠕動運動などに問題を抱えている方、特に便を押し出す力や筋力の低下した方、加齢により腸内細菌(ビフィズス菌)が少なく、えさを与えても効果を発揮しない方には所望の整腸効果を得ることができない。
【0006】
一方、ある種の薬草成分を含む野草茶は、経験的に便秘改善効果があることが知られている。昨今よくあるブレンド茶は1杯の茶葉の量が少なく、数十種類をブレンドしているが、便通改善目的において効いている成分は限られていながら、実際にどの成分が有効であるかよく分かっていないのが実状である。
また、数十種類をブレンドしているため、便秘に有効な成分は不足している場合が多く、便秘改善効果を得るためには、何度も煮出して有効成分の濃度を高く後に摂取するなどの作業が必要となり、通常のお茶を飲む手軽さで便秘改善効果を得ることができるとは言い難かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−310960号公報
【特許文献2】特開2008−120771号公報
【特許文献3】特開平11−228424号公報
【特許文献4】特開2005−306781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる状況下、本発明の目的は、通常のお茶と同様に摂取することで、機能性便秘の改善、予防に適した野草茶組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、野草茶成分としてカッシア・アラタを特定の割合含む組成物が、通常のお茶と同様に摂取することで、十分な便秘改善、予防効果を有し、毎日安心して継続飲用することができることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> カッシア・アラタを30重量%以上80重量%未満、カッシア・アラタ以外の茶成分を20重量%以上70重量%未満含有してなる野草茶組成物。
<2> カッシア・アラタ以外の茶成分として、黒大豆、ヤーコン、チコリ、クマザサ及びケツメイシからなる群から選ばれる1種を含有する前記<1>記載の野草茶組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、腸内細菌叢の改善では解決しない、腸の蠕動運動などに起因する機能性便秘の改善、予防に適した野草茶組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、カッシア・アラタを30重量%以上80重量%未満、カッシア・アラタ以外の茶成分を20重量%以上70重量%未満含有してなる野草茶組成物に関する。なお、カッシア・アラタとカッシア・アラタ以外の茶成分との合計を100重量%とする。
【0013】
カッシア・アラタ(別名:キャンドルブッシュ)は、熱帯アジア、熱帯アメリカなどの熱帯地区に自生するマメ科の植物であり、さつまいもの約20倍もの豊富なミネラル・ビタミン・食物繊維がバランス良く含まれており、インドネシアやマレーシアでは1300年程前から民間薬として伝承されている植物である。
カッシア・アラタはセンノシドA、センノシドBを含み、同時にアントラキノン誘導体のクリソフェノールという成分を含む。
なお、センノシドAは、加水分解されやすい配糖体であり、センノシドBは加水分解されにくい配糖体である。これらは、大腸内の細菌により活性化されてアントラキノンとなって、大腸の蠕動運動を亢進すると考えられている。
なお、センノシドA、センノシドBを含む野草類としてセンナが挙げられるが、センナは、服用すると腹痛を起こすことがあり、また、習慣性があるのに対し、カッシア・アラタは腹痛の原因になりづらく、習慣性もほとんどない。
一方で、カッシア・アラタは、非常に苦味があるハーブであり、その割合が多すぎると舌がしびれるような感覚になり、継続して飲用することが困難となる。カッシア・アラタの割合が、少なすぎると目的とする便秘改善、予防効果が不十分になるおそれがある。
【0014】
本発明の野草茶組成物は、カッシア・アラタと、カッシア・アラタ以外の茶成分(以下、「その他の茶成分」と称す。)を上記割合含むことを特徴とする。
ここで、カッシア・アラタは、未乾燥のもの、若干水分を除去したもの(半乾燥状態)あるいは乾燥させたものを野草茶組成物に配合することができ、上記配合割合は、それぞれの形態での重量を基準とする。
また、その他の茶成分は、野草茶の原材料となる植物を未乾燥のもの、若干水分を除去したもの(半乾燥状態)あるいは乾燥させたものであり、その原材料からの抽出物は含まれないものとする。また、その他の茶成分の配合割合は、それぞれの形態での重量を基準とする。
カッシア・アラタとその他の茶成分それを混合することで相乗効果を生み出し、カッシア・アラタを単独で使用する場合よりも、カッシア・アラタ本来の作用を効果的に発現させてよりよりスムーズな排便を促し、便秘改善、予防効果を発現すると共に、毎日安心して継続飲用することができる。
なお、その他の茶成分以外の副原料として、野草茶の原材料となる植物からの抽出物を含ませてもよい。
【0015】
本発明の野草茶組成物における、カッシア・アラタの配合量は、30重量%以上80重量%未満であり、その好適な配合量は、野草茶組成物に配合する他の成分の種類、配合量によって、上記範囲から選択されるが、より優れた便秘改善、予防効果を得るためには、カッシア・アラタの配合量は、40重量%以上が好ましい。
一方で、カッシア・アラタの配合量が80重量%以上であると、カッシア・アラタの割合が多くなりすぎて、その他の茶成分を配合することによる相乗効果が低減すると共に、カッシア・アラタ由来の苦みや舌のしびれを感じるようになるため、継続して飲用することが困難になる。
【0016】
カッシア・アラタの使用部位は、通常、葉であるが、茎など他の部分を含ませてもよい。カッシア・アラタは、採取されたのちに、水洗などにより表面の汚れなどを取り除いた後に天日干し、加熱乾燥、通風乾燥によって乾燥されたものが使用される。
【0017】
その他の茶成分の原料植物としては、カッシア・アラタと相乗作用により便秘改善、予防を促進し、野草茶としての風味や便秘改善以外の効能を与えるものから選択される。具体的には、茶、ケツメイシ、ハブ茶、杜仲茶、黒大豆、ヤーコン、チコリ、クマザサ、玄米、陳皮、甘草、ドクダミ、枇杷葉、はぶの実、柿の葉、昆布、ヨモギ、朝鮮人参等が挙げられる。本発明の野草茶組成物は、これらの茶成分は2種類以上を含んでいてもよい。
便秘改善以外の作用を与えるものとして、例えば、ケツメイシは、不眠症の解消、整腸、利尿作用がある。また、杜仲茶は、コレステロール降下作用が期待できるため、配合さえることで肥満防止作用が期待できる。
【0018】
本発明の野草茶組成物における、カッシア・アラタ以外の茶成分の配合量は、20重量%以上70重量%未満であり、その好適な配合量は、野草茶組成物に配合する他の成分の種類、配合量によって、上記範囲から選択される。
【0019】
上記その他の茶成分の中でも、便秘改善作用をより強める観点からは、本発明の野草茶組成物は、黒大豆、ヤーコン、チコリ、クマザサ及びケツメイシからなる群から選ばれる1種を含有することが好ましい。
これらは、単独で便秘改善作用を有するため、カッシア・アラタと相乗作用により、よりスムーズに排便を促すことができる。
【0020】
なお、上記のその他の茶成分の原料植物における使用部位としては、特に制限はなく、その野草茶の原材料となる植物の種類によって適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられる。また、これらの野草茶の原材料となる植物として、野山に自生したものも人工栽培のものも使用することができるが、野山に自生したものの方がより強い生命力を有するため好ましい。
【0021】
上記その他の茶成分の原料植物は、その植物の種類に応じて、野草茶組成物における茶成分として好ましい形態を選択される。
すなわち、採取されたのちに、水洗などにより表面の汚れなどを取り除いた後に、その植物の種類によって、そのまま、若干水分を除去したもの(半乾燥状態)あるいは乾燥させたものを選択して、カッシア・アラタと混合される。
なお、その他の茶成分の原料植物が乾燥あるいは半乾燥状態で用いられる場合には、乾燥前のカッシア・アラタと混合してもよいが、通常、それぞれの成分を乾燥した後に混合する方法が取られる。
【0022】
本発明の野草茶組成物は、その便秘改善効果を損なわない範囲で、カッシア・アラタ及びその他の茶成分以外の成分を含んでいてもよい。
このような成分として、副作用が大きかったり、常用性を有するものでなければ特に限定されないが、ビタミン類、香料、酸化防止剤、防腐剤、活性酸素消去剤の他の薬効成分、生理活性成分等が挙げられる。
これらの成分の配合割合は、カッシア・アラタの作用を低減させない範囲で適宜決定され特に限定はないが、通常、カッシア・アラタとその他の茶成分の合計に対し、30重量%以下である。
【0023】
また、本発明の野草茶組成物は、日常の極度な便秘に即効性のあるものであるが、中長期的に便秘を改善する場合には、本発明の野草茶組成物を摂取しながら、同時並行的に腸内細菌叢の改善作用を有するオリゴ糖等のビフィズス菌活性化剤を摂取してもよい。
【0024】
本発明の野草茶組成物の形態は特に制限はなく、通常の緑茶、紅茶、ウーロン茶のように、細断、粉砕したものを摂取したり、カプセルに入れて飲用することもできるが、通常、水或いはお湯に、本発明の野草茶組成物の成分を抽出して、野草茶として飲用される。
好適な製造方法を例示すると、やかんやポット等の加熱容器の中に野草茶組成物を入れ沸騰後、弱火で数分加熱し、その後蒸らす方法が挙げられる。もちろん、直接マグカップにティーパックを入れお湯を注ぎ、軽く蒸らしてもよい。なお、得られた野草茶を冷蔵庫で冷やしても美味しく飲用することができる。
【0025】
本発明の野草茶組成物の服用量は、個体差、便秘の程度を勘案して適宜決定され、通常、茶、紅茶、コーヒー等と同様の程度を摂取しても特に問題を生じない。
一方で、飲用を始めたばかりの時に急な腹痛をおぼえる場合があるので、様子をみながら徐々に量や濃さを調整した方が良い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の野草茶組成物は、通常のお茶を飲む手軽さで便秘改善効果を得ることができ、副作用の恐れが少なく、安心して日常的に使用できる点で非常に有効である。また、該野草茶組成物に、カッシア・アラタ以外の野草茶成分を配合することにより、オリジナルブレンドハーブティーとすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッシア・アラタを30重量%以上80重量%未満、カッシア・アラタ以外の茶成分を20重量%以上70重量%未満含有してなることを特徴とする野草茶組成物。
【請求項2】
カッシア・アラタ以外の茶成分として、黒大豆、ヤーコン、チコリ、クマザサ及びケツメイシからなる群から選ばれる1種を含有する請求項1記載の野草茶組成物。