説明

野菜等の静置型乾燥装置

【課題】簡単な構造で、野菜等の被乾燥物を少量乾燥できる静置型乾燥装置を提供する。
【解決手段】
本発明の野菜等の静置型乾燥装置1は、少量の被乾燥物である野菜等を乾燥ボックス2aの中に入れ、当該乾燥ボックス2aの複数個を重設して乾燥風を下方から上方に通風して乾燥を行うことができるようにしてあるので、これにより、少量の野菜等を乾燥することができ、また、簡単な構造なので乾燥装置の製造コストも安価である。また、乾燥運転中に乾燥中の被乾燥物の状態を観察する際には、多段に重設した前記乾燥ボックス2aを下ろしたりすることなく、サンプル乾燥ボックス8を引き出して乾燥中の被乾燥物の変色等の品質変化を容易に観察することもできる。さらに、乾燥運転中において、重量測定部4で測定した重量測定値の表示を見て被乾燥物の乾燥進行状況(水分値の低下状況)を把握することができるため、乾燥を停止する時期を適宜判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、にんにく、たまねぎ、かぼちゃなどの野菜等を乾燥する乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の野菜等を乾燥する乾燥装置としては、例えば特許文献1の乾燥装置が知られている。この乾燥装置は、たまねぎを入れたコンテナの四側面をエアバックで囲むとともに、前記コンテナの上部開口部を天板で塞ぎ、乾燥熱風生成手段で生成した熱風を前記天板に設けた開口からコンテナ内に供給・通風してたまねぎを静置乾燥するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2967839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記乾燥装置は、コンテナの周囲をエアバッグで囲む構造であるため、乾燥装置の構成が複雑であり、また、一度に大量のたまねぎ等の野菜をコンテナ内に入れて乾燥するものであるため、少量の野菜を試験的等の目的で乾燥することができないという問題点があった。
そこで、本発明は上記問題点にかんがみ、簡単な構造で、野菜等の被乾燥物を少量乾燥できる野菜等の静置型乾燥装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の野菜等の静置型乾燥装置は、請求項1により、
底部を通風可能にしかつ上部を開放状態にして内部に被乾燥物を収容可能にした乾燥ボックス2aを一個又は複数個を上下に重設して前記被乾燥物を乾燥する乾燥部2と、
該乾燥部2の下方から前記乾燥ボックス2a内に乾燥風を供給する乾燥風生成供給部3とを備える、という技術的手段を講じた。
【0006】
また、請求項2により、
前記乾燥部2の下方には、底部を通風可能にしかつ上部を開放状態にするとともに、機内から引き出し可能にしたサンプル乾燥ボックス8を備えるとよい。
【0007】
さらに、請求項3により、
前記サンプル乾燥ボックス8の下部には前記乾燥ボックス2aの重量を測定する重量測定部4を備える一方、前記重量測定値を表示する表示部7aを備えるとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の野菜等の静置型乾燥装置は、少量の被乾燥物である野菜等を乾燥ボックスの中に入れて、当該乾燥ボックスを複数個重設してこの下方から上方に乾燥風を通風して乾燥を行うことができるようにしてあるので、これにより、少量の野菜等を乾燥することができ、また、簡単な構造なので乾燥装置の製造コストも安価である。
【0009】
また、乾燥運転中において、乾燥中の被乾燥物の状態を観察する際には、多段に重設した前記乾燥ボックスを下ろしたりする作業を行うことなく、サンプル乾燥ボックスを引き出して乾燥中の被乾燥物の乾燥状態を手に取るなどして、乾燥による変色等の品質変化を容易に観察することもできる。さらに、乾燥運転中において、重量測定部で測定した重量測定値の表示を見て被乾燥物の乾燥進行状況(水分値の低下状況)を把握することができるため、乾燥を停止する時期を適宜判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の野菜等の静置型乾燥装置を示す斜視図である。
【図2】野菜等の静置型乾燥装置の平面図である。
【図3】図2におけるA−A.断面図である。
【図4】図1に関して、乾燥ボックスの内部及びサンプル乾燥ボックスを引き出した状態等を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の野菜等の静置型乾燥装置1の全体図を示す。本発明の野菜等の静置型乾燥装置1は、キャスター5aを備えた土台板5の上に、被乾燥物の野菜等を乾燥する乾燥部2と、該乾燥部2に乾燥風を生成して供給する乾燥風生成供給部3と、前記乾燥部2の下部に配設して被乾燥物の重量を測定する重量測定部4を備えてなる。
【0012】
前記乾燥部2は、前記土台板5上の一側寄りに設ける。前記乾燥部2は、野菜等の被乾燥物を収容して乾燥するための乾燥ボックス2aを複数個多段状にして配設する。該乾燥ボックス2aは、野菜等の被乾燥物の収容が可能なものであって、底部2eを通風可能(メッシュ状)にするとともに上部を開放状態にした箱型形状とし、各乾燥ボックス2a同士を上下に多段状に重設できるようにしてある。乾燥ボックス2aは、積み上げ・積み下ろし作業等を考慮し、好ましくはプラスチック製の軽量なものとするのがよい。図1に示した実施例では、前記乾燥ボックス2aは、前記乾燥ボックス2aを三つ重設し、かつ、二列状態に配設する。最上部の乾燥ボックス2aの開口部には蓋部材2cを装着し、該蓋部材2cには排風口2dが設けてある。前記乾燥ボックス2aの側面には透明窓2bを設けて、内部に収容した被乾燥物(野菜等)の状態を目視できるようにしてある。
【0013】
上述のように、前記三段重ねで二列状態に配設した乾燥ボックス2aは、四本の支柱6a及び横柱6b等でなる架台6上に載置してある。架台6は重量計測部4(ロードセル等)の上に載置し、当該架台6を介して乾燥ボックス2aの重量、すなわち被乾燥物(野菜等)の重量測定ができるようにしてある。前記重量計測部4(ロードセル等)で測定した重量測定値は、制御盤7(後述する)の表示部7aに表示されるようにしてある。
【0014】
前記架台6を構成する四本の支柱6aによって囲まれた内側の空間部には、サンプル乾燥ボックス8が設けてある。該サンプル乾燥ボックス8は、底部8cを通風可能(メッシュ状)にするとともに上部を開放状態にし、かつ、左右に水平状態に配設したレール8aに沿ってスライドして機外に引き出し可能な構成にしてある。該サンプル乾燥ボックス8は、前記重量計測部4に荷重が掛らないように、図示しない支柱等によって土台板5の上に載置されている。また、前記サンプル乾燥ボックス8の開口部と前記重設した最下段の乾燥ボックス2aの底部2eとの間には、後述する乾燥風が機外に漏れ出すことなく上方に通風するように風胴管部8bが設けてある。
【0015】
前記乾燥風生成供給部3は、加熱ヒーター等から構成される加熱部3aと、該加熱部3aで加熱した乾燥空気を乾燥風として送風する送風機3bと、該送風機3bから送風された乾燥風を前記サンプル乾燥ボックス8の底部8cに搬送する乾燥風搬送路3cとから構成する。
【0016】
前記制御盤7は、前記加熱部3a、送風機3b及び重量計測部4と電気的に接続し、前記加熱部3aと送風機3bのON/OFFスイッチ(図示ぜず)が設けてあり、表示部7aを設けて、前記重量計測部4(ロードセル等)で測定した重量測定値が表示されるようにしてある。
【0017】
作用
本発明の野菜等の静置型乾燥装置1における乾燥運転作用について説明する。乾燥運転に先立って、まず、被乾燥物である野菜(例えば、にんにく)を前記乾燥ボックス2aに収容し、該前記乾燥ボックス2aを三段に重設し、かつ、二列状態に配設して乾燥部2を形成する。最上部の乾燥ボックス2aの開口部には前記蓋部材2cをそれぞれ装着する。また、前記サンプル乾燥ボックス8の中にも同様に前記にんにくを入れておく。これで乾燥運転前の準備は終わる。
【0018】
次いで、前記制御盤7のON/OFFスイッチを押し、前記乾燥風生成供給部3を構成する加熱部3aと送風機3bを駆動して乾燥運転を開始する。前記乾燥風生成供給部3からは、生成した乾燥風(熱風)が前記乾燥風搬送路3cを介して前記サンプル乾燥ボックス8の底面側から上方に向かって供給される。なお、熱風温度と送風量は任意に設定する。
【0019】
前記サンプル乾燥ボックス8の底面側から上方に向かって供給された乾燥風は、当該サンプル乾燥ボックス8内のにんにくの間を通風し、この後、最下段の乾燥ボックス2a内のにんにくの間を通風し、さらに、中段の前記乾燥ボックス2a及び最上段の前記乾燥ボックス2a内のにんにくの間を通風しそれぞれに乾燥作用を与え、最終的に前記排風口2dから排風される。
【0020】
上記乾燥運転中においては、前記各乾燥ボックス2aに設けた透明窓2bから内部のにんにくの状態を目視することができる。また、前記重量測定部4で測定した測定値は、前記制御盤7の表示部7aに表示され、前記三段、二列の全ての乾燥ボックス2a・・・の合計重量、すなわち、乾燥中のにんにくの計測重量値としてオペレータに知らせる情報となる。オペレータは上記計測重量値を見てにんにくの乾燥進行状況を把握し、乾燥を終了する時期を判断する。さらに、前記サンプル乾燥ボックス8を引き出して、当該サンプル乾燥ボックス8の中で乾燥されているにんにくの状態を手に取って、通風乾燥によって変色等の品質変化等を観察することができる。このため、前記乾燥ボックス2aを下ろして乾燥中のにんにくの乾燥状態を調べる必要がないので、乾燥状態のチェックを簡単に行うことができる。
【0021】
このようにして、オペレータは、にんにくの計測重量値や前記サンプル乾燥ボックス8内のにんにくの乾燥状態を見ながら乾燥の終了時期を判断し、適宜、前記制御盤7のON/OFFスイッチを押して加熱部3aと送風機3bの駆動を停止する。
【0022】
なお、上記説明では、前記乾燥ボックス2a(乾燥部2)は、前記三段、二列としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記二段、二列であってもよいし、四段、二列であってもよいし、積み重ねる前記乾燥ボックス2aの数は任意である。また、本発明で適用可能な被乾燥物としては、上記野菜の乾燥に限定されるものではなく、乾燥ボックス2aの中に入れて乾燥が行えるものであれば何でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、静置型の乾燥装置であって、簡単な構造で、野菜等の被乾燥物を少量乾燥することができる乾燥装置として有用なものである。
【符号の説明】
【0024】
1 野菜等の静置型乾燥装置
2 乾燥部
2a 乾燥ボックス
2b 透明窓
2c 蓋部材
2d 排風口
2e 底部
3 乾燥風生成供給部
3a 加熱部
3b 送風機
3c 乾燥風搬送路
4 重量測定部
5 土台板
5a キャスター
6 架台
6a 支柱
7 制御盤
7a 表示部
8 サンプル乾燥ボックス
8a レール
8b 風胴管部
8c 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部を通風可能にしかつ上部を開放状態にして内部に被乾燥物を収容可能にした乾燥ボックス2aを一個又は複数個を上下に重設して前記被乾燥物を乾燥する乾燥部2と、
該乾燥部2の下方から前記乾燥ボックス2a内に乾燥風を供給する乾燥風生成供給部3とを備えたことを特徴とする野菜等の静置型乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥部2の下方には、底部を通風可能にしかつ上部を開放状態にするとともに、機内から引き出し可能にしたサンプル乾燥ボックス8を備えたことを特徴とする請求項1に記載の野菜等の静置型乾燥装置。
【請求項3】
前記サンプル乾燥ボックス8の下部には前記乾燥ボックス2aの重量を測定する重量測定部4を備える一方、前記重量測定値を表示する表示部7aを備えたことを特徴とする請求項2に記載の野菜等の静置型乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−239691(P2011−239691A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112378(P2010−112378)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】