説明

量子コンピュータおよび量子情報処理方法

【課題】容易に量子状態を生成・制御し、情報を読み出すことができる量子コンピュータを提供すること。
【解決手段】量子コンピュータ1は、光コム発生器10、光カプラ20、フィルタ30、フィルタ40、光カプラ50、光カプラ60、検出器70、検出器80、検出器90、およびファイバーFを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子コンピュータおよび量子情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
量子力学的に重ね合わされた状態(量子状態)をビット(量子ビット)として計算を行う、いわゆる量子コンピュータが知られている(特許文献1−4および非特許文献1−3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−65219号公報
【特許文献2】特表2005−524129号公報
【特許文献3】特開2001−209083号公報
【特許文献4】特開2005−159159号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】E. Knill, R. Laflamme, and G. J. Milburn, Nature, vol. 409, p. 49 (2001)
【非特許文献2】M. Koashi, T. Yamamoto, and N. Imoto, Physical Review A, vol. 63, p. 30301 (2001)
【非特許文献3】K. Ichimura, Opt. Commun., vol. 196, p.119 (2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原子やイオンなどの単一量を量子ビットとして利用した量子コンピュータにおいては、量子状態を読み出す信号が微弱であることが問題となっていた。また、電子のスピン、原子または分子の電子状態、分子および固体における核スピン、磁束、単一光子の空間伝播状態および単一光子の偏光を量子ビットとして利用した量子コンピュータにおいては、量子情報を伝送することが困難であるという問題があった。
これに対し、本発明は、より容易に量子状態を生成・制御し情報を読み出すことができる量子コンピュータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、周波数ω0および周波数ω1を含み同期周波数の間隔で並ぶ複数の周波数における離散的なスペクトルを有する光を出力する光コム発生器と、前記光コム発生器から出力された光を、第1光路長を有する第1光路を伝播する光と、前記第1光路長と異なる第2光路長を有する第2光路を伝播する光とに分割する第1分割手段と、前記第1光路において周波数ω0および周波数ω1の少なくとも一方を含む周波数帯の光を透過する第1フィルタと、前記第2光路において周波数ω0および周波数ω1の少なくとも一方を含む周波数帯の光を透過する第2フィルタと、前記第1光路を伝播した光および前記第2光路を伝播した光を重ね合わせた光を観測する第1検出器とを有し、前記第1検出器が検出する光の周波数の違い、または光路の違いを量子情報として用いることを特徴とする量子コンピュータを提供する。
この量子コンピュータによれば、光コム発生器を用いない場合と比較して、より容易に量子状態を生成・制御し情報を読み出すことができる。
【0007】
好ましい態様において、前記第1フィルタおよび前記第2フィルタは、周波数ω0および周波数ω1の光を透過してもよい。
この量子コンピュータによれば、周波数の違いおよび光路の違いを用いて2量子ビットの量子情報を生成することができる。
【0008】
別の好ましい態様において、前記第1フィルタは周波数ω0の光を透過せず周波数ω1の光を透過し、前記第2フィルタは周波数ω1の光を透過せず周波数ω0の光を透過してもよい。
この量子コンピュータによれば、エンタングルした2量子ビットの量子情報を生成することができる。
【0009】
さらに別の好ましい態様において、この量子コンピュータは、前記第1光路において前記第1フィルタよりも前記第1検出器側に設けられ、入力された光を第1副光路を伝播する光と、前記第1副光路よりも光路長が短い第2副光路を伝播する光とに分割する第2分割手段と、前記第1副光路に設けられ、周波数ω0の光を透過せず周波数ω1の光を透過する第3フィルタと、前記第2副光路に設けられ、周波数ω1の光を透過せず周波数ω0の光を透過する第4フィルタと、前記第2光路において前記第2フィルタよりも前記第1検出器側に設けられ、入力された光を前記第2副光路と同じ光路長を有する第3副光路を伝播する光と、前記第1副光路と同じ光路長を有する第4副光路を伝播する光とに分割する第3分割手段と、前記第3副光路に設けられ、周波数ω0の光を透過せず周波数ω1の光を透過する第5フィルタと、前記第4副光路に設けられ、周波数ω1の光を透過せず周波数ω0の光を透過する第6フィルタと、前記第1光路に設けられ、前記第1副光路を伝播した光と前記第2副光路を伝播した光を合成する第1合成手段と、前記第2光路に設けられ、前記第3副光路を伝播した光と前記第4副光路を伝播した光を合成する第2合成手段とを有してもよい。
この量子コンピュータによれば、制御NOT演算を行うことができる。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、この量子コンピュータは、前記光コム発生器と前記第1分割手段との間に設けられ、透過した光の偏光状態を円偏光にする第1偏光制御素子と、前記第1光路に設けられ、透過した光の偏光状態を縦偏光にする第2偏光制御素子と、前記第2光路に設けられ、透過した光の偏光状態を横偏光にする第3偏光制御素子とを有し、前記第1検出器が検出する光の偏光状態を量子情報として用いてもよい。
この量子コンピュータによれば、周波数の違い、光路の違いおよび偏光状態の違いを用いて3量子ビットの量子情報を生成することができる。
【0011】
さらに別の好ましい態様において、この量子コンピュータは、前記第1光路において前記第1フィルタよりも前記第1検出器側に設けられ、周波数ω0および周波数ω1の光の周波数に変調周波数を加算し変調をする音響光学素子を有し、前記第1フィルタおよび前記第2フィルタは、周波数ω0および周波数ω1の光を透過してもよい。
この量子コンピュータによれば、量子情報を暗号化することができる。
【0012】
さらに別の好ましい態様において、前記光コム発生器は、モード同期したフェムト秒レーザーを含んでもよい。
この量子コンピュータによれば、周波数の異なる状態を安定して生成することができる。
【0013】
さらに別の好ましい態様において、前記第1光路および前記第2光路の少なくとも一方が、光路長を変更するディレイラインを有してもよい。
この量子コンピュータによれば、光路長の異なる状態を安定して生成することができる。
【0014】
さらに別の好ましい態様において、前記第1検出器は、周波数を検出する周波数検出器と、前記第1光路および前記第2光路の光路長が一致したことを検出する差動検出器を含んでもよい。
この量子コンピュータによれば、第1光路および第2光路の光路長が一致しているか確認することができる。
【0015】
さらに別の好ましい態様において、この量子コンピュータは、前記第1光路を伝播した光を観測する第2検出器と、前記第2光路を伝播した光を観測する第3検出器とを有してもよい。
この量子コンピュータによれば、第1光路および第2光路のそれぞれで、周波数または光路が異なる状態が重ね合わせられているのを確認することができる。
【0016】
また、本発明は、周波数ω0および周波数ω1を含み同期周波数の間隔で並ぶ複数の周波数における離散的なスペクトルを有する光を出力する光コム発生器から出力された光を、第1光路長を有する第1光路を伝播する光と、前記第1光路長と異なる第2光路長を有する第2光路を伝播する光とに分割するステップと、前記第1光路に設けられた第1フィルタが、周波数ω0および周波数ω1の少なくとも一方を含む周波数帯の光を透過するステップと、前記第2光路に設けられた第2フィルタが、周波数ω0および周波数ω1の少なくとも一方を含む周波数帯の光を透過するステップと、前記第1光路を伝播した光および前記第2光路を伝播した光を重ね合わせた光を第1検出器において観測するステップとを有し、前記第1検出器が検出する光の周波数の違い、または光路の違いを量子情報として用いることを特徴とする量子情報処理方法を提供する。
この量子情報処理方法によれば、光コム発生器を用いない場合と比較して、より容易に量子状態を生成・制御し情報を読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る量子コンピュータ1の構成を示す図である。
【図2】光コム発生器10から出力される光の特性を示す図である。
【図3】第2実施形態に係る量子コンピュータ2の構成を示す図である。
【図4】第3実施形態に係る量子コンピュータ3の構成を示す図である。
【図5】第4実施形態に係る量子コンピュータ4の構成を示す図である。
【図6】第5実施形態に係る量子コンピュータ5の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る量子コンピュータ1の構成を示す図である。量子コンピュータ1は、2量子ビット(キュービット)に相当する状態を生成する。量子コンピュータ1は、光コム発生器10、光カプラ20(第1分割手段の一例)、フィルタ30(第1フィルタの一例)、フィルタ40(第2フィルタの一例)、光カプラ50、光カプラ60、検出器70(第1検出器の一例)、検出器80(第2検出器の一例)、検出器90(第3検出器の一例)、およびファイバーFを含む。光コム発生器10は、スペクトル特性が光コムとなる光を出力する。光コム発生器10は、モード同期したフェムト秒ファイバーレーザーを用いた白色パルス光源や、レーザーキャビティを含む。
【0019】
図2は、光コム発生器10から出力される光の特性を示す図である。光コム発生器10から出力される光は、例えば、50MHzの周波数で繰り返される、パルス幅180fsのパルス光である。以下、このパルス光の繰り返し周波数を「同期周波数」という。また、この光は、例えば、波長領域において、中心波長が1550nm、半値幅(バンド幅)が約100nmのスペクトルを有する。図2(a)は時間領域における特性を、図2(b)は周波数領域における特性を示している。図2(a)において、縦軸は光の強度を、横軸は時間を示している。図2(a)に示されるように、光コム発生器10から出力される光は、安定した高繰り返しのモード同期した超短光パルス列を含む。図2(a)の特性をフーリエ変換することにより、図2(b)が得られる。図2(b)において、縦軸はスペクトル強度を、横軸は周波数を示している。図2(b)に示されるように、光コム発生器10から出力される光は、複数の安定な光周波数モードが同期周波数の間隔で規則的に並んだ離散スペクトルを有する。このスペクトル特性を、光コム(comb=櫛)または光周波数コムという。以下の説明においては、図2に示されるスペクトル特性を有する光を単に「光コム」という。この例で、光コムは、周波数ω0およびω1におけるスペクトルを含んでいる。
【0020】
再び図1を参照する。光カプラ20は、入力された光を、ある比率(この比率を「分岐比」という。例えば1:1)で2つ以上の光路に分割する。光カプラ20は、分岐比が可変の光カプラである。この例で、光カプラ20は、光コム発生器10から出力された光を、光路A(第1光路の一例)と光路B(第2光路の一例)の2つの光路を伝播する光に分割する。量子コンピュータ1において、光はファイバーFを伝播する。ファイバーFは、光源からの光を低損失で伝播する光学素子である。光路Aは、光カプラ20から検出器70までの光路である。光路Bは、光カプラ20から検出器70までの光路であって、光路Aとは異なるファイバーFを介したものである。光路Aの途中にはフィルタ30が挿入されている。光路Bの途中にはフィルタ40が挿入されている。この例では、光路Aと光路Bとは、その長さが同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0021】
フィルタ30およびフィルタ40は、入力された光のうちある周波数帯のものを透過するバンドパスフィルタである。第1実施形態において、フィルタ30およびフィルタ40は、光コムのうち周波数ω0およびω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。すなわち、検出器70、検出器80および検出器90が検出する光は、周波数ω0およびω1の光だけである。
【0022】
光カプラ50および光カプラ60は、光カプラ20と同様に、入力された光を、分岐比に従って2つ以上の光路に分割する。この例で、光カプラ50は、入力された光を、検出器70に接続された光路(光路A)を伝播する光と、検出器80に接続される光路を伝播する光とに分割する。光カプラ60は、入力された光を、検出器70に接続された光路(光路B)を伝播する光と、検出器90に接続される光路を伝播する光とに分割する。
【0023】
検出器70は、光路Aを伝播してきた光と光路Bを伝播してきた光の合成波を検出する。具体的に、検出器70は、差動検出器と、周波数検出器とを含む。差動検出器は、光路Aと光路Bとの光路長差Δlがゼロになったこと、または光路長差Δlが光速cと同期周波数f1との商に一致したこと、すなわち、
Δl=k×c/f1 …(1)
が満たされたことを検出する(kは整数)。差動検出器により、光路Aと光路Bとの光路長が一致しているか一致していないかを検出することができる。なお、「光路長が一致」または「光路長が同じ」とは、光路長が完全に一致している状態に限定されず、誤差を含んでいてもよい。許容される誤差は、例えば、光源の波長領域のスペクトルの半値幅、またはその2倍程度である。
【0024】
また、式(1)に示されるように、差動検出器は光路長差Δlが光速cと同期周波数f1との商に一致したことを検出できる。したがって、例えば第三者が式(1)を満たす状態を経由して光路長を変更するような操作を行った場合に、差動検出器を観測していれば光路長が変更されたことを検出することができる。
【0025】
検出器70の周波数検出器は、光路Aを伝播してきた光と光路Bを伝播してきた光とを重ね合わせた光(合成波)を観測する。一般に、周波数ωの光の状態を表す波動関数Φは、
Φ=exp(−iωt−ikx) …(2)
と表される(tは時間、kは波数、xは位置を示す)。
変分原理により式(2)を変形すると、
Φ=exp(−iωt)×exp(−ikx) …(3)
となり、状態Φは周波数の項と位置の項の積で表される。いま、周波数および位置をそれぞれ量子状態を表すパラメータと考える。周波数ω0および周波数ω1はそれぞれ異なる量子状態に相当すると考えられるので、ディラック(Dirac)のブラ・ケット記号|>を用いて、|ω0>および|ω1>と表す。同様に、光路(位置)に関して、光路Aを伝播した光の状態を|A>、光路Bを伝播した光の状態を|B>と表す。光路Aを伝播した光は周波数ω0の光および周波数ω1の光を含んでいるので、光路Aを伝播した光の状態は、|ω0>|A>+|ω1>|A>と表される。ここで、加算記号「+」は量子力学的な重ね合わせを意味する。すなわち、検出器80が検出する光の状態は、|ω0>|A>+|ω1>|A>と表される。なお検出器80が検出する光の光路と、検出器70が検出する光のうち光路Aを伝播した光の光路とは完全に一致しない場合もあるが、ここでは便宜上どちらの光の状態も|A>と記述する。光路Bについても同様である。光路Aと同様に、光路Bを伝播した光の状態、すなわち、検出器90が検出する光の状態は、|ω0>|B>+|ω1>|B>と表される。
【0026】
検出器80が検出する光は周波数ω0の光と周波数ω1の光とを含んでいるので、検出器80において、これらの周波数差に起因するビート(うなり)が観測される。検出器80においてビートが観測されるということは、周波数ω0の光と周波数ω1とに相当する2つの状態が重ね合わされていることが確認できるということである。検出器90についても同様である。
【0027】
検出器70は光路Aを伝播した光と光路Bを伝播した光を重ね合わせた光を検出する。したがって、検出器70の周波数検出器が検出する光の状態は、
|ω0>|A>+|ω1>|A>+|ω0>|B>+|ω1>|B> …(4)
で表される。いま、周波数の状態|ω0>および|ω1>をそれぞれ|0>および|1>のビットと定義し、光路の状態|A>および|B>をそれぞれ|0>および|1>のビットと定義すると、検出器70の周波数検出器が検出する光の状態は、
|0>|0>+|1>|0>+|0>|1>+|1>|1> …(5)
と表される。この状態は4状態の重ね合わせであり、2量子ビットの均等な重ね合わせの一つの表現である。
【0028】
以上で説明したように、量子コンピュータ1によれば、周波数および光路の違いをそれぞれ量子情報として用いて、2量子ビットに相当する状態を生成することができる。
【0029】
2.第2実施形態
図3は、第2実施形態に係る量子コンピュータ2の構成を示す図である。量子コンピュータ2は、エンタングルした(もつれ合った、絡まった)状態を生成する。以下、第1実施形態と共通する要素については共通の参照符号を用いて説明する。量子コンピュータ2は、光コム発生器10、光カプラ20、フィルタ30、フィルタ40、光カプラ50、光カプラ60、検出器70、検出器80、検出器90、およびファイバーFを含む。
【0030】
第2実施形態において、フィルタ30は、光コムのうち周波数ω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。フィルタ40は、光コムのうち周波数ω0の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。
【0031】
量子コンピュータ2において、検出器80が検出する光の状態は、|ω1>|A>=|1>|0>である(ビットの定義は第1実施形態と同様)。検出器90が検出する光の状態は、|ω0>|B>=|0>|1>である。検出器70が検出する光の状態は、
|ω1>|A>+|ω0>|B>=|1>|0>+|0>|1> …(6)
と表される。すなわち、周波数の状態を第1ビット、位置(光路)の状態を第2ビットとすると、第2ビットの値は第1ビットの値に依存している。この状態は、いわゆる量子力学的なエンタングル状態に相当する。
【0032】
以上で説明したように、量子コンピュータ2によれば、量子力学的にエンタングルした2量子ビットに相当する状態を生成することができる。
【0033】
3.第3実施形態
図4は、第3実施形態に係る量子コンピュータ3の構成を示す図である。量子コンピュータ3は、制御NOT回路として機能する。量子コンピュータ3は、光コム発生器10、光カプラ20、フィルタ30、フィルタ31(第3フィルタの一例)、フィルタ32(第4フィルタの一例)、フィルタ40、フィルタ42(第5フィルタの一例)およびフィルタ41(第6フィルタの一例)、光カプラ51(第2分割手段の一例)、光カプラ61(第3分割手段の一例)、光カプラ52(第1合成手段の一例)および光カプラ62(第2合成手段の一例)、検出器70、並びにファイバーFを含む。フィルタ31およびフィルタ32、並びにフィルタ41およびフィルタ42はそれぞれ、フィルタ30およびフィルタ40と同じ機能を有する。光カプラ51および光カプラ52は、光カプラ50および光カプラ60と同じ機能を有する。光カプラ61および光カプラ62も基本的に光カプラ50および光カプラ60と同じ機能を有するが、光カプラ50および光カプラ60とは入出力を逆向きにして用いられている。
【0034】
量子コンピュータ3においては、光路の構成が第1および第2実施形態と異なっている。光カプラ20により分岐された後、図4の上側に位置する光路(フィルタ30を経由する光路)を光路U、図4の下側に位置する光路(フィルタ40を経由する光路)を光路Lという。光路U上には光カプラ51および光カプラ52が設けられている。光カプラ51は、入力された光を光路UL(第1副光路の一例)および光路US(第2副光路の一例)の2つの光路を伝播する光に分割する。光路ULは光路長変更機構、この例ではディレイライン201を含んでおり、光路ULと光路USとは光路長が異なっている。ディレイライン201の長さは、例えば、6m(=光速/同期周波数)である。光路ULおよび光路USの光路長をLULおよびLUSと表すと、LUL>LUSである。光路ULにはフィルタ31が設けられている。光路USにはフィルタ32が設けられている。第3実施形態において、フィルタ30は周波数ω0およびω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。フィルタ31は周波数ω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。フィルタ32は周波数ω0の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。光カプラ52は、光路ULおよび光路USを伝搬してきた光を単一の光路を伝播する光に合成する。
【0035】
光路L上には光カプラ61および光カプラ62が設けられている。光カプラ61は、入力された光を光路LL(第4副光路の一例)および光路LS(第3副光路の一例)の2つの光路を伝播する光に分割する。光路LLは光路長変更機構、この例ではディレイライン202を含んでおり、光路LLと光路LSとは光路長が異なっている。ディレイライン202の長さは、例えば、光路ULと同様に6mである。光路LLおよび光路LSの光路長をLLLおよびLLSと表すと、LLL>LLSである。光路LLにはフィルタ41が設けられている。光路LSにはフィルタ42が設けられている。第3実施形態において、フィルタ40は周波数ω0およびω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。フィルタ41は周波数ω0の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。フィルタ42は周波数ω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。光カプラ62は、光路LLおよび光路LSを伝搬してきた光を単一の光路を伝播する光に合成する。
【0036】
この例で、光コム発生器10から検出器70までの光路のうち、光路ULを経由する光路と光路LLを経由する光路とは同一の光路長(長い光路)を有している。同様に、光コム発生器10から検出器70までの光路のうち、光路USを経由する光路と光路LSを経由する光路とは同一の光路長(短い光路)を有している。第3実施形態においては、この「短い光路」を光路Aと表し、「長い光路」を光路Bと表す。
【0037】
いま、周波数ω0の光が光路Uを伝播した場合を考える。光路Uを伝播する光は、光カプラ51において光路ULと光路USを伝播する光に分割される。光路ULにおいては、フィルタ31により周波数ω0の光は透過されない。光路USにおいては、フィルタ32により周波数ω0の光が透過される。結局、検出器70は、光路US(短い光路=光路A)を経由した周波数ω0の光を観測する。ここで、光路Uのうち光コム発生器10から光カプラ51までの部分を伝播した光の状態を|上>と表す。光カプラ51に到達する前の光を入力、検出器70が観測する光を出力と考えると、入力された光の状態は|ω0>|上>であり、出力される光の状態は|ω0>|A>である。他の周波数の光、他の光路を伝播した光についても同様に考えることができ、入力光の状態と出力光の状態を入力→出力と表すと、
|ω0>|上> → |ω0>|A>
|ω0>|下> → |ω0>|B>
|ω1>|上> → |ω1>|B>
|ω1>|下> → |ω1>|A> …(7)
である。なお、|下>は光路Lのうち光コム発生器10から光カプラ61までの部分を伝播した光の状態を示している。光路の状態に関し、|上>および|下>をそれぞれ|0>および|1>としてビットを定義すると(|上>および|下>以外のビットの定義は第1実施形態と同様)、式(7)は以下のように表される。
|0>|0> → |0>|0>
|0>|1> → |0>|1>
|1>|0> → |1>|1>
|1>|1> → |1>|0> …(8)
第1ビットを制御ビット、第2ビットを操作ビット(標的ビット)として見ると、式(8)は、制御ビットが|0>のときは操作ビットの値を維持し、制御ビットが|1>のときは操作ビットの値を反転する演算を示している。すなわち、式(8)は、いわゆる制御NOT回路(制御NOTゲートまたはCNOTともいう)の真理値表を示しており、量子コンピュータ3が制御NOT回路として機能していることがわかる。
【0038】
以上のように、量子コンピュータ3によれば、制御NOT回路が提供される。制御NOT回路は量子計算におけるユニバーサルゲートの一つであり、ユニタリーゲートと組み合わせることによりどのような量子計算も可能であることが知られている。
【0039】
ユニタリーゲートの構成は種々のものが可能である。例えば、図3の構成において、BPF40と光カプラ60との間に位相変調器(フェーズシフタ)を設けたものがユニタリーゲートとして用いられる。光路Bを通る光に対して、この位相変調器によりπの位相変調を与えると、光の状態(波動関数)は、exp(−iω0t)から以下のように変化する。
exp(−iω0t) → exp(−iω0t−iπ)
=exp(−iω0t)×exp(−iπ)
=−exp(−iω0t) …(9)
(∵exp(−iπ)=−1)
つまり、この位相変調器により光路Bを通る光の状態は、
|ω0>|B> → −|ω0>|B> …(10)
と変換される。このとき、検出器70が検出する状態は式(6)で示されたものとは符号が反転しており、
|ω1>|A>−|ω0>|B>=|1>|0>−|0>|1> …(11)
となっている。これは、ユニタリー変換を表している。
【0040】
4.第4実施形態
図5は、第4実施形態に係る量子コンピュータ4の構成を示す図である。量子コンピュータ4は、3量子ビットに相当する状態を生成する。量子コンピュータ4は、光コム発生器10、光カプラ20、フィルタ30、フィルタ40、検出器70、ファイバーF、偏光制御素子101(第1偏光制御素子の一例)、偏光制御素子102(第2偏光制御素子の一例)、および偏光制御素子103(第3偏光制御素子の一例)を含む。
【0041】
量子コンピュータ4において、光コム発生器10と光カプラ20との間には、偏光制御素子101が設けられている。偏光制御素子101は、透過した光の偏光状態を円偏光にする素子である。光カプラ20は、偏光制御素子101を透過した光を、光路Aと光路Bの2つの光路を伝播する光に分割する。光路Aは、光カプラ20から検出器70までの光路である。光路Bは、光カプラ20から検出器70までの光路であって、光路Aとは異なるファイバーFを介したものである。光路Bには光路長変更機構としてディレイライン203が設けられている。ディレイライン203の長さは、例えば、6m(=光速/同期周波数)である。ディレイライン203により光路Aと光路Bとは、その長さが異なっており、光路長LA<光路長LBである。光路Aには、光コム発生器10に近い方から順に、偏光制御素子102およびフィルタ30が設けられている。偏光制御素子102は、透過した光の偏光状態を縦偏光にする素子である。この例で、フィルタ30は周波数ω0およびω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。光路Bには、光コム発生器10に近い方から順に、偏光制御素子103およびフィルタ40が設けられている。偏光制御素子103は、透過した光の偏光状態を横偏光にする素子である。この例で、フィルタ40は周波数ω0およびω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。
【0042】
縦偏光の状態を|縦>、横偏光の状態を|横>と表すと、光路Aを伝播する光の状態は、
|ω0>|A>|縦>+|ω1>|A>|縦> …(12)
で表される。同様に、光路Bを伝播する光の状態は、
|ω0>|B>|横>+|ω1>|B>|横> …(13)
で表される。偏光の状態に関し、|縦>および|横>をそれぞれ|0>および|1>としてビットを定義すると(他のビットの定義は第1実施形態と同様)、検出器70が観測する光の状態は、
|0>|0>|0>+|1>|0>|0>
+|0>|1>|1>+|1>|1>|1> …(14)
と表される。ここで、第1ビットは周波数を、第2ビットは光路を、第3ビットは偏光状態を示している。この状態は4状態の重ね合わせであり、3量子ビットの一つの表現である。
【0043】
以上で説明したように、量子コンピュータ4によれば、量子コンピュータ2と同様に3量子ビットのエンタングルに相当する状態を生成することができる。
【0044】
5.第5実施形態
図6は、第5実施形態に係る量子コンピュータ5の構成を示す図である。量子コンピュータ5は、量子情報を暗号化する機能を有する。量子コンピュータ5は、光コム発生器10、光カプラ20、フィルタ30、フィルタ40、光カプラ50、光カプラ60、検出器70、検出器80、検出器90、ファイバーF、および音響光学素子111を含む。
【0045】
光カプラ20は、光コム発生器10から出力された光を、光路Aと光路Bの2つの光路を伝播する光に分割する。光路Aは、光カプラ20から検出器70までの光路である。光路Bは、光カプラ20から検出器70までの光路であって、光路Aとは異なるファイバーFを介したものである。光路Bには光路長変更機構としてディレイラインが設けられている。ディレイライン206の長さは、例えば、6m(=光速/同期周波数)である。ディレイライン206により光路Aと光路Bとは、その長さが異なっており、光路長LA<光路長LBである。光路Aには、光コム発生器10に近い方から順に、フィルタ30および音響光学素子111が設けられている。音響光学素子111は、周波数ω0の光および周波数ω1の光の周波数を、+Δω変調する素子である。この例で、フィルタ30は周波数ω0およびω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。光路Bには、フィルタ40が設けられている。この例で、フィルタ40は周波数ω0およびω1の光を透過し、他の周波数の光を透過しない。
【0046】
量子コンピュータ5において、情報の送信者は、変調周波数Δωを送信したい情報として用いる。この例で、検出器70および検出器80は正当な受信者の装置であり、検出器90は通信を傍受しようとする盗聴者が用いる装置である。
【0047】
光路Aにおいて、周波数ω0の光および周波数ω1の光の周波数は、それぞれ+Δω変調され、周波数ω0’(=ω0+Δω)および周波数ω1’(=ω1+Δω)になる。検出器80はこれらの光の合成波を観測する。この合成波のビート周波数ωBは、これら2つの光の周波数の差、すなわち、
ωB=ω1’−ω0’
=ω1−ω0 …(15)
である。これに対し、検出器70は、周波数ω0、ω1、ω0’およびω1’の4つの光の合成波を観測する。この合成波のビート周波数は、次式のようにωB1、ωB2およびωB3の3つである。
ωB1=ω1−ω0 …(16)
ωB2=ω1−(ω0+Δω) …(17)
ωB3=(ω1+Δω)−ω0 …(18)
式(16)〜(18)を用いると、受信したい情報Δωは次式により得られる。
Δω=ωB1−ωB2=ωB3−ωB1 …(19)
すなわち、検出器80で観測されるビート周波数を鍵として用いると、検出器70で観測されるビート周波数から情報Δωを取り出すことができる。
【0048】
一方、検出器90が観測する光のビート周波数もωB=ω1−ω0であるが、これだけでは送信者が送信した情報Δωを取り出すことができない。このように、量子コンピュータ5によれば、送信者が送信した情報Δωは暗号化されている。
【0049】
ここでは検出器90が盗聴者の装置であると仮定した場合について説明したが、検出器80が盗聴者の装置であり検出器90が正当な受信者の装置であると仮定した場合にも同様に送信者が送信した情報Δωは暗号化されている。
【0050】
6.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0051】
量子コンピュータ1および2において、検出器80および90は省略されてもよい。
図2で説明した光コムの特性は例示であり、光コムの特性はこれに限定されない。光コムのうちどのピーク周波数を周波数ω0およびω1として用いるかは自由である。2つ以上の周波数を用いて多数の重ね合わせ状態を生成することもできる。
実施形態で説明した量子ビットの定義は例示であり、これに限定されない。どの状態を|0>および|1>のどちらに割り当てるかは自由である。
光を伝播する媒体はファイバーFに限定されない。空気等、ファイバーF以外の媒体を介して光が伝播されてもよい。この場合において、光を分割する分割手段として光カプラの代わりに、ビームプリズムスプリッターが用いられてもよい。
量子コンピュータ4において、偏光制御素子102とフィルタ30の位置は入れ替えられてもよい。偏光制御素子103とフィルタ40についても同様である。
【符号の説明】
【0052】
1…量子コンピュータ、2…量子コンピュータ、3…量子コンピュータ、4…量子コンピュータ、5…量子コンピュータ、10…光コム発生器、20…光カプラ、30…フィルタ、31…フィルタ、32…フィルタ、40…フィルタ、41…フィルタ、42…フィルタ、50…光カプラ、51…光カプラ、52…光カプラ、60…光カプラ、61…光カプラ、62…光カプラ、70…検出器、80…検出器、90…検出器、101…偏光制御素子、102…偏光制御素子、103…偏光制御素子、111…音響光学素子、201…ディレイライン、202…ディレイライン、203…ディレイライン、206…ディレイライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数ω0および周波数ω1を含み同期周波数の間隔で並ぶ複数の周波数における離散的なスペクトルを有する光を出力する光コム発生器と、
前記光コム発生器から出力された光を、第1光路長を有する第1光路を伝播する光と、第2光路長を有する第2光路を伝播する光とに分割する第1分割手段と、
前記第1光路において周波数ω0および周波数ω1の少なくとも一方を含む周波数帯の光を透過する第1フィルタと、
前記第2光路において周波数ω0および周波数ω1の少なくとも一方を含む周波数帯の光を透過する第2フィルタと、
前記第1光路を伝播した光および前記第2光路を伝播した光を重ね合わせた光を観測する第1検出器と
を有し、
前記第1検出器が検出する光の周波数の違い、または光路の違いを量子情報として用いる
ことを特徴とする量子コンピュータ。
【請求項2】
前記第1フィルタおよび前記第2フィルタは、周波数ω0および周波数ω1の光を透過する
ことを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項3】
前記第1フィルタは周波数ω0の光を透過せず周波数ω1の光を透過し、
前記第2フィルタは周波数ω1の光を透過せず周波数ω0の光を透過する
ことを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項4】
前記第1光路において前記第1フィルタよりも前記第1検出器側に設けられ、入力された光を第1副光路を伝播する光と、前記第1副光路よりも光路長が短い第2副光路を伝播する光とに分割する第2分割手段と、
前記第1副光路に設けられ、周波数ω0の光を透過せず周波数ω1の光を透過する第3フィルタと、
前記第2副光路に設けられ、周波数ω1の光を透過せず周波数ω0の光を透過する第4フィルタと、
前記第2光路において前記第2フィルタよりも前記第1検出器側に設けられ、入力された光を前記第2副光路と同じ光路長を有する第3副光路を伝播する光と、前記第1副光路と同じ光路長を有する第4副光路を伝播する光とに分割する第3分割手段と、
前記第3副光路に設けられ、周波数ω0の光を透過せず周波数ω1の光を透過する第5フィルタと、
前記第4副光路に設けられ、周波数ω1の光を透過せず周波数ω0の光を透過する第6フィルタと、
前記第1光路に設けられ、前記第1副光路を伝播した光と前記第2副光路を伝播した光を合成する第1合成手段と、
前記第2光路に設けられ、前記第3副光路を伝播した光と前記第4副光路を伝播した光を合成する第2合成手段と、
を有し、
前記第1検出器は、前記第1光路を伝播した光および前記第2光路を伝播した光を観測する
ことを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項5】
前記光コム発生器と前記第1分割手段との間に設けられ、透過した光の偏光状態を円偏光にする第1偏光制御素子と、
前記第1光路に設けられ、透過した光の偏光状態を縦偏光にする第2偏光制御素子と、
前記第2光路に設けられ、透過した光の偏光状態を横偏光にする第3偏光制御素子と
を有し、
前記第1検出器が検出する光の偏光状態を量子情報として用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項6】
前記第1光路において前記第1フィルタよりも前記第1検出器側に設けられ、周波数ω0および周波数ω1の光の周波数に変調周波数を加算する変調をする音響光学素子
を有し、
前記第1フィルタおよび前記第2フィルタは、周波数ω0および周波数ω1の光を透過する
ことを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項7】
前記光コム発生器は、モード同期したフェムト秒レーザーを含む
ことを特徴とする請求項1−6のいずれかの項に記載の量子コンピュータ。
【請求項8】
前記第1光路および前記第2光路の少なくとも一方が、光路長を変更するディレイラインを有する
ことを特徴とする請求項1−7のいずれかの項に記載の量子コンピュータ。
【請求項9】
前記第1検出器は、周波数を検出する周波数検出器と、前記第1光路および前記第2光路の光路長が一致したことを検出する差動検出器を含む
ことを特徴とする請求項1−8のいずれかの項に記載の量子コンピュータ。
【請求項10】
前記第1光路を伝播した光を観測する第2検出器と、
前記第2光路を伝播した光を観測する第3検出器と
を有する請求項2、3、または6に記載の量子コンピュータ。
【請求項11】
周波数ω0および周波数ω1を含み同期周波数の間隔で並ぶ複数の周波数における離散的なスペクトルを有する光を出力する光コム発生器から出力された光を、第1光路長を有する第1光路を伝播する光と、第2光路長を有する第2光路を伝播する光とに分割するステップと、
前記第1光路に設けられた第1フィルタが、周波数ω0および周波数ω1の少なくとも一方を含む周波数帯の光を透過するステップと、
前記第2光路に設けられた第2フィルタが、周波数ω0および周波数ω1の少なくとも一方を含む周波数帯の光を透過するステップと、
前記第1光路を伝播した光および前記第2光路を伝播した光を重ね合わせた光を第1検出器において観測するステップと
を有し、
前記第1検出器が検出する光の周波数の違い、または光路の違いを量子情報として用いる
ことを特徴とする量子情報処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−175078(P2011−175078A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38766(P2010−38766)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(507317719)
【Fターム(参考)】