説明

量子ドット吸着基板及び量子ドット吸着基板の製造方法

【課題】光電変換効率の向上を図ることのできる量子ドット吸着基板及び量子ドット吸着基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板101上に光電変換層102であるTiOの逆オパール構造を配置する。逆オパール構造TiOの光電変換層102が配置された基板101を所定時間、CdS形成溶液に浸漬することで、逆オパール構造の光電変換層102の骨格表面及び基板101上の光電変換層102の表面にCdS量子ドットが吸着されて第1光増感層103になる。同様にCdSe形成溶液に浸漬することで第2光増感層104を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドットを吸着した量子ドット吸着基板及び量子ドット吸着基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーの研究が進められており、太陽電池の開発も多く行なわれている。太陽電池としては、現在はシリコン太陽電池が主流であるが、次世代の太陽電池として、量子ドット太陽電池も注目を集めている。量子ドット太陽電池は、量子ドット(QD:Quantum dot)とよばれる半導体を光吸収材料に用いてシリコン太陽電池を上回る変換効率の達成が期待される太陽電池である。量子ドット太陽電池は、ナノ構造を保持したナノ構造TiO2に半導体量子ドットを増感剤として吸着させて作用極とし、対極との間に電解質水溶液を挟みこんだ電気化学的な構造の太陽電池である。
【0003】
しかしながら、この量子ドット太陽電池については開発が始められて間もないため、最適な構成が定められていないのが現状である。例えば、増感剤としてCdS及びCdSeの2種の量子ドットを利用することで変換効率の向上を図る技術が研究されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、通常の光電変換材料をナノ構造として量子ドットを担持させるのではなく、光電変換材料を逆オパール構造(IO構造)に配置し、この逆オパール構造の光電変換材料に量子ドットを担持させて変換効率の向上を図る技術も研究されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Lina J. Diguna, Qing Shen, Junya Kobayashi, Taro Toyoda、”High efficiency of CdSe quantum-dot-sensitized TiO2 inverse opal solar cells”、Applied Physics Letters, USA、American Institute of Physics、12 July 2007, Vol. 91, No. 2, p. 023116.
【非特許文献2】Taro Toyoda, Keita Oshikane, Dongmei Li, Yanhong Luo, Qingbo Meng, Qing Shen、”Photoacoustic and photoelectrochemical current spectra of combined CdS/CdSe quantum dots absorbed on nanostructured TiO2 electrodes, together with photovoltaic characteristics”、Journal of Applied Physics、USA、American Institute of Physics、2 Dec. 2010, Vol. 108, No. 11, p. 114304.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、変換効率の高い太陽電池の構成は確立されておらず、太陽電池の変換効率の更なる向上が求められていた。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、光電変換効率の向上を図ることのできる量子ドット吸着基板及び量子ドット吸着基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る量子ドット吸着基板は、逆オパール構造を有する光電変換層と、前記光電変換層の表面に複数種の量子ドットを複合化して配置した光増感層とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光電変換効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る量子ドット吸着基板の製造方法について説明する概略図である。
【図2】図1に続いて量子ドット吸着基板の製造方法について説明する概略図である。
【図3】実施形態に係る量子ドット吸着基板の性能の一例を説明する図である。
【図4】実施形態に係る量子ドット吸着基板の性能の一例を説明する図である。
【図5】CdSを担持させた逆オパール構造のTiO2を撮影したSEM画像の一例である。
【図6】通常のTiO2基板にCdSを担持させる前後及び逆オパール構造のTiO2基板にCdSを担持させる前後のSEM画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を用いて本発明の実施形態に係る量子ドット吸着基板、量子ドット吸着基板の製造方法について説明する。本発明の実施形態に係る量子ドット吸着基板は、例えば太陽電池に利用される光電変換手段を備える基板である。以下の説明において、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0012】
図1(a)に示すように、本発明の実施形態に係る量子ドット吸着基板100は、基板101上に光電変換層102、第1光増感層103、第2光増感層104及び保護層105が配置されるものである。なお、図1(a)は、量子ドット吸着基板100を模式的に表すものであって、実際は図2の模式図や図5及び図6のSEM画像を用いて説明するような逆オパール構造である光電変換層102の骨格に量子ドットが吸着されて複合化量子ドットとして第1光増感層103及び第2光増感層104が配置される構成である。
【0013】
この量子ドット吸着基板100の製造方法では、まず基板101上に逆オパール構造の光電変換層102を配置し、その後に複合化量子ドットとして第1光増感層103及び第2光増感層104を配置する。
【0014】
基板101は、量子ドット吸着基板100を太陽電池に利用する場合、電極として利用されるものである。例えば、基板101は、透明導電性ガラス(FTO)の材料で形成されたものである。
【0015】
まず、基板101をポリスチレンラテックス溶液に浸漬させた状態で所定時間、所定温度の環境下(例えば、40℃で1日)に放置して、溶液を蒸発させる。これにより、図1(b)に示すように、基板101上にポリスチレンラテックスの鋳型106が配置される。なお、基板101を浸漬前又は浸漬したポリスチレンラテックス溶液に超音波を与えて溶液濃度を均一にすることで、基板101上に均一な構造の鋳型106が配置される。
【0016】
基板101上に鋳型106が配置されると、図1(c)に示すように、基板101に配置された鋳型106にTiCl4メタノール溶液を流し込み、所定時間、所定温度及び所定湿度の環境下に放置して加水分解(例えば、室温かつ湿度50%に30分放置し、80℃で10分)及び熱処理(焼結)(例えば、450℃で12時間)する。これにより、ポリスチレンラテックスの鋳型106は除去され、図1(d)に示すように、基板101上に光電変換層102であるTiO2の逆オパール構造(逆オパール構造TiO2)が配置される。また、基板101上にもTiO2の層が形成される。なお、加水分解及び熱処理に要する時間、温度及び湿度等は、光電変換層102の材料となる溶液や溶液の濃度によって最適な値が定められる。
【0017】
その後、逆オパール構造TiO2の光電変換層102の表面に複数種の量子ドットを複合化した光増感層を配置する。このとき、まず、逆オパール構造TiO2の光電変換層102の表面に第1量子ドットを吸着させ、光電変換層102上に第1光増感層103を配置する(図2(a))。具体的には、逆オパール構造TiO2の光電変換層102が配置された基板101を所定時間、CdS形成溶液に浸漬することで、逆オパール構造の光電変換層102の骨格の表面及び基板101上の光電変換層102の表面にCdS量子ドットが吸着されて第1光増感層103となる。なお、第1光増感層103の厚さは溶液への浸漬時間によって決まるため、溶液への浸漬時間は、第1光増感層103の材料となる溶液や溶液の濃度によって最適な値が定められる。すなわち、厚い場合には、光電変換層102へ第1光増感層103の光励起電子が届かなくなったり、逆オパール構造の空間が第1光増感層103で埋まってしまう(すなわち、第1光増感層103の光励起ホールが光電変換層102に届かなくなる)おそれがあるためである。
【0018】
光電変換層102上に第1光増感層103が配置されると、第1光増感層103の表面に第2量子ドットを吸着させ、第2光増感層104を配置する(図2(b))。具体的には、第1光増感層103が配置された基板101を所定時間、CdSe形成溶液に浸漬することで、逆オパール構造の骨格のCdS量子ドットの第1光増感層103の表面及び基板101上の第1光増感層103の表面にCdSe量子ドットを吸着させて第2光増感層104とする。なお、第2光増感層104の厚さは溶液への浸漬時間によって決まるため、溶液への浸漬時間は、第2光増感層104の材料となる溶液や溶液の濃度によって最適な値が定められる。すなわち、厚い場合には、光電変換層102へ第2光増感層104の光励起電子が届かなくなったり、逆オパール構造の空間が第2光増感層104で埋まる(すなわち、第2光増感層104の光励起ホールが光電変換層102に届かなくなる)おそれがあるためである。
【0019】
第1光増感層103上に第2光増感層104が配置されると、第2光増感層104の表面に保護材料を吸着させ、保護層105を配置する(図2(c))。具体的には、光電変換層102、第1光増感層103及び第2光増感層104が配置された基板を所定時間、ZnS溶液(Zn(CH3COO)2;0.1M、Na2S;0.1Mの混合液)に浸漬することで、逆オパール構造の骨格のCdSe量子ドットの第2光増感層104の表面及び基板101上の第2光増感層104の表面にZnSを吸着させて保護層105とする。この保護層105は、これより下層である第2光増感層104や第1光増感層103の光照射による劣化を防止するものであり、保護することが可能な最低限の厚さであることが望ましい。なお、保護層105の厚さは溶液への浸漬時間によって決まるため、溶液への浸漬時間は、保護層105の材料となる溶液や溶液の濃度によって最適な値が定められる。すなわち、厚い場合には、光電変換層102へ第1光増感層103及び第2光増感層104の光励起電子が届かなくなったり、逆オパール構造の空間が保護層105で埋まってしまう(すなわち、第1光増感層103及び第2光増感層104の光励起ホールが光電変換層102に届かなくなる)ためである。
【0020】
図3(a)は、逆オパール構造TiO2の光電変換層102及びCdS量子ドットの第1光増感層103のみが配置される量子ドット吸着基板に対して光音響(PA)分光法で測定した光吸収特性(PAスペクトル)の一例である。図3(a)では、横軸を量子エネルギー(Photon energy)、波長(Wavelength)とし、縦軸をPA強度(PA intensity)としている。
【0021】
この図3(a)では、(A1)第1光増感層103を有しない逆オパール構造TiO2の光電変換層102のみの場合、(A2)逆オパール構造TiO2の光電変換層102をCdS形成溶液(CdCl2;20mM、NH4Cl;66mM、Thiourea;140mM、Ammonuia;230mMの混合液)に0.5時間浸漬させて光電変換層102上に第1光増感層103を配置した場合、(A3)光電変換層102をCdS形成溶液に1時間浸漬させて第1光増感層103を配置した場合、(A4)光電変換層102をCdS形成溶液に4時間浸漬させて第1光増感層103を配置した場合、及び(A5)光電変換層102をCdS形成溶液に12時間浸漬させて第1光増感層103を配置した場合の測定結果を示している。
【0022】
この図3(a)に示す測定結果により、光電変換層102が配置された基板101をCdS形成溶液に0.5時間浸漬させて、光電変換層102上に第1光増感層103を配置させた量子ドット吸着基板が最も優れていることが分かる。なお、上記のCdS形成溶液に0.5時間浸漬させた場合に配置されるCdS量子ドットの第1光増感層103の厚さは、数nm程度である。
【0023】
図3(b)は、図3(a)と同一の各量子ドット吸着基板についてのCdS量子ドットのHOMO-LUMOエネルギーギャップとCdS量子ドットの平均粒径の一例である。図3(b)では、横軸を光電変換層102が配置された基板101のCdS形成溶液への浸漬時間(Deposition time)とし、縦軸を生成された量子ドットのHOMO-LUMOエネルギーギャップ(HOMO-LUMO energy gap)と第1光増感層103である量子ドットの平均粒径(Average diameter)としている。
【0024】
図3(b)では、CdS形成溶液への浸漬時間が長くなるほど生成された量子ドット吸着基板のHOMO-LUMOエネルギーギャップは小さくなり、CdS量子ドットの平均粒径は大きくなることが分かる。したがって、図3(b)に示すグラフからは、CdS量子ドットのHOMO-LUMOエネルギーギャップが最も大きいのは浸漬時間が0.5時間の場合であり、CdS平均粒径が最も小さいのもCdS形成溶液への浸漬時間が0.5時間の量子ドット吸着基板であることが分かる。
【0025】
図4(a)は、逆オパール構造TiO2の光電変換層102、CdS量子ドットの第1光増感層103及びCdSe量子ドットの第2光増感層104が配置される量子ドット吸着基板に対して光音響(PA)分光法で測定した光吸収特性(PAスペクトル)の一例である。図4(a)は、図3(a)と同様に、横軸を光子エネルギー(Photon energy)、光波長(Wavelength)とし、縦軸をPA強度(PA intensity)としている。
【0026】
また、図4(a)では、(B1)逆オパール構造TiO2の光電変換層102上に第2光増感層104を配置した場合、(B2)逆オパール構造TiO2の光電変換層102が配置される基板101を上述のCdS形成溶液に0.5時間浸漬させた後にCdSe形成溶液(CdSO4;80mM、N(CH2COONa)3;120mM、Na2SeSO3;80mMの混合液)に浸漬させて、光電変換層102上に第1光増感層103及び第2光増感層104を配置した場合、(B3)CdS形成溶液に1時間浸漬させた後にCdSe形成溶液に浸漬させて第1光増感層103及び第2光増感層104を配置した場合、(B4)CdS形成溶液に4時間浸漬させた後にCdSe形成溶液に浸漬させて第1光増感層103及び第2光増感層104を配置した場合、及び(B5)CdS形成溶液に12時間浸漬させた後にCdSe形成溶液に浸漬させて第1光増感層103及び第2光増感層104を形成した場合の測定結果を示している。なお、CdSe形成溶液への浸漬時間は全て6時間である。
【0027】
この図4(a)に示す測定結果では、各測定結果で大きな差は見られないが、この測定結果はCdSe量子ドットによる影響が強く現れているものであるため、図4(a)に以下の図4(b)のCdSによる光電変換特性への影響を表す測定結果を考慮すると、CdS形成溶液に0.5時間浸漬させた後にCdSe形成溶液に6時間浸漬させて第1光増感層103及び第2光増感層104を配置した場合の光吸収特性が最も優れていることが分かる。
【0028】
図4(b)は、図4(a)で光吸収特性を測定した各量子ドット吸着基板に対して測定された電流電圧特性(光電変換特性)の一例である。また、図4(b)で得られる短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)を用いて、式(1)により、各量子ドット吸着基板の光電変換効率(η)を求めることができる。
【0029】
η=(太陽電池の最大出力)/(入射光強度)
=(Jsc(短絡電流密度)×Voc(開放電圧)×FF(曲線因子))/(入射光強度)・・・(1)
ここで、曲線因子(FF)は、式(2)によって求められる。
【0030】
FF=(最大出力)/(理想出力)・・・(2)
式(1)を用いて得られた値によれば、CdS形成溶液に0.5時間浸漬させた後にCdSe形成溶液に6時間浸漬させた量子ドット吸着基板の光電変換効率(η)が最も優れていることが求められる。
【0031】
これにより、CdSe量子ドットのみを吸着させた量子ドット吸着基板とCdS量子ドットとCdSe量子ドットを用いた複合化量子ドットとして吸着させた量子ドット吸着基板を比較すると、複合化量子ドットを吸着させた場合の方がキャリア数が増大して、短絡電流密度Jscと開放電圧Vocが増加することが分かる。式(1)から分かるように、短絡電流密度Jscと開放電圧Vocの向上により、光電変換効率も高くなることがわかる。さらに、光電変換層102に吸着する量子ドットの量が多い場合、すなわち、第1光増感層103や第2光増感層104が厚い場合、電子やホールの移動を妨げ、短絡電流密度Jscと開放電圧Vocが小さくなると共に光電変換効率が低くなることが分かる。
【0032】
図5のSEM画像を用いて、逆オパール構造TiO2の光電変換層102をCdS形成溶液に0.5時間浸漬させた場合(図5(a))、1時間浸漬させた場合(図5(b))、4時間浸漬させた場合(図5(c))、12時間浸漬させた場合(図5(d))を比較する。図5に示す例では、浸漬時間が長くなるに応じてCdS量子ドットの吸着量が増加し、第1光増感層103が厚くなる傾向にあることが分かる。例えば、図5(d)に示すように、CdS形成溶液に12時間浸漬させた場合には、逆オパール構造の空間までCdS量子ドットに埋められていることが分かる。このように、図5に示すSEM画像からも、CdS形成溶液に長く浸漬させた場合には性能が劣ることが分かる。すなわち、第1光増感層103が厚くなったり、逆オパール構造の空間も埋められることにより、光電変換層102まで光増感層の光励起電子が届かなくなったり、また光増感層の光励起ホールが電解液に届かなくなったりすることがあるためである。
【0033】
また、図6のSEM画像を用いて、ナノ粒子TiO2と逆オパール構造TiO2の光電変換層にCdS量子ドットを吸着させる例を示している。図6(a)はCdS量子ドットを表面に吸着させる前のナノ粒子TiO2のSEM画像であり、図6(b)は図6(a)のナノ粒子TiO2にCdSを吸着させたSEM画像である。また、図6(c)はCdS量子ドットを表面に吸着させる前の逆オパール構造TiO2のSEM画像であり、図6(d)は図6(c)の逆オパール構造TiO2にCdSを吸着させたSEM画像である。ナノ粒子TiO2の場合には外表面のみにしか量子ドットを吸着させることができないが、逆オパール構造TiO2の場合には骨格を形成する表面に広く吸着させることができる。したがって、図6に示すSEM画像からも、ナノ粒子TiO2よりもオパール構造TiO2の方が規則性よく量子ドットが吸着されるため、光電変換に有効に利用できる量子ドットの吸着量を増加させて光電変換効率を向上させることが可能となる。
【0034】
上述したように、光電変換層102を逆オパール構造に構成し、この光電変換層102上に複合化量素ドットとして第1光増感層103及び第2光増感層104を配置することで、光電変換効率を向上させた量子ドット吸着基板を構成することができる。また、この量子ドット吸着基板を利用して太陽電池を生成することで、光変換効率を向上させた太陽電池を生成することができる。
【0035】
〈変形例〉
上述の例では、第1光増感層103の材料としてCdSを用いた例で説明したが、II-VI族化合物であれば他の材料を用いることができる。また、第2光増感層104の材料としてCdSeを用いた例で説明したが、II-VI族化合物であれば他の材料を用いることができる。また、保護層105の材料としてZnSを用いた例で説明したが、例えばSiO2等他の材料を用いることができる。なお、第1光増感層103、第2光増感層104及び保護層105として他の材料を用いた場合、各生成工程に要する時間や配置する層の厚さ等は上述した例とは異なるものとなる。
【符号の説明】
【0036】
100…量子ドット吸着基板
101…基板
102…光電変換層
103…第1光増感層
104…第2光増感層
105…保護層
106…鋳型
107…TiCl4メタノール溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆オパール構造を有する光電変換層と、
前記光電変換層の上面に複数種の量子ドットを複合化して配置した光増感層と
を備えることを特徴とする量子ドット吸着基板。
【請求項2】
前記光増感層は、
前記光電変換層の上面に第1量子ドットを吸着して配置した第1光増感層と、
前記第1光増感層の上面に第2量子ドットを吸着して配置した第2光増感層と
を備えることを特徴とする請求項1記載の量子ドット吸着基板。
【請求項3】
前記光増感層上に保護層をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の量子ドット吸着基板。
【請求項4】
前記第1量子ドットの材料はII-VI族化合物であることを特徴とする請求項2記載の量子ドット吸着基板。
【請求項5】
前記第2量子ドットの材料はII-VI族化合物であることを特徴とする請求項2又は4記載の量子ドット吸着基板。
【請求項6】
前記第1量子ドットはCdS量子ドットであることを特徴とする請求項2記載の量子ドット吸着基板。
【請求項7】
前記第2量子ドットはCdSe量子ドットであることを特徴とする請求項2又は6記載の量子ドット吸着基板。
【請求項8】
前記保護層の材料はZnSであることを特徴とする請求項3記載の量子ドット吸着基板。
【請求項9】
基板上に鋳型を形成する工程と、
前記鋳型に光電変換層形成溶液を流す工程と、
前記光電変換層形成溶液を加水分解する工程と、
前記加水分解する工程後、前記鋳型を焼結して、前記基板上に逆オパール構造を配置する工程と、
前記逆オパール構造の表面に複合化量子ドットを吸着させ光増感層を配置する工程と
を有することを特徴とする量子ドット吸着基板の製造方法。
【請求項10】
前記光増感層の表面に保護層を配置する工程をさらに有することを特徴とする請求項9記載の量子ドット吸着基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−110209(P2013−110209A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252701(P2011−252701)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人科学技術振興機構、委託研究「半導体量子ドットの多重励起子生成と太陽電池への応用」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504133110)国立大学法人電気通信大学 (383)
【Fターム(参考)】