説明

量子ドット有機電界発光素子の形成方法

【課題】量子ドット有機電界発光素子の形成方法を提供する。
【解決手段】本発明の量子ドット有機電界発光素子の製造方法は、基板上に第1電極層を形成する段階と、前記第1電極層上に、相分離が可能なブロック共重合体膜を形成する段階(S100)と、前記ブロック共重合体膜をナノサイズの複数の柱状の第1ドメインと、前記第1ドメインを覆い包んだ第2ドメインとに相分離させる段階(S110)と、前記第1ドメインを選択的に除去し、ナノサイズの複数の貫通ホールを含む前記第2ドメインからなる量子ドットテンプレート膜を形成する段階(S120)と、前記量子ドットテンプレート膜の前記貫通ホール内に、有機発光層を含む量子ドット構造を形成する段階(S130)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子の形成方法に係り、さらに詳細には、量子ドット発光層を有する有機電界発光素子の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子の外部量子効率は、内部量子効率と出力効率との積によって表わされる。内部量子効率は、発光性励起子(exciton)の生成効率に依存する。電子と正孔とが再結合(recombination)するとき、電子スピンの多重度(spin multiplicity)の差によって、三重項状態(triplet state)励起子と一重項状態(singlet state)励起子とが3:1の割合で生成されるため、リン光(phosphorescence)と蛍光(fluorescence)との内部量子効率が、それぞれ75%、25%となる。
【0003】
リン光の場合は、現在のところ、寿命が短いという問題があるので、一部だけに限って適用されており、ほとんどの場合、蛍光物質で有機電界発光素子を製作しており、有機電界発光素子の非効率性が指摘されている。有機電界発光素子の光学効率を上げるためには、量子効果が起きるナノスケールの素子を開発する必要がある。
【0004】
有機電界発光素子としては、第1電極と第2電極との間に量子ドット発光層を含む交流駆動型量子ドット電界発光素子が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2008−0110346号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、本発明の他の一目的は、光学効率を向上することができる量子ドット有機発光素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によって、量子ドット有機発光素子の製造方法を提供する。量子ドット有機発光素子の製造方法は、基板上に第1電極層を形成する段階と、前記第1電極層上に相分離が可能なブロック共重合体膜を形成する段階と、前記ブロック共重合体膜をナノサイズの複数の柱状の第1ドメインと、前記第1ドメインを覆い包んだ第2ドメインとに相分離させる段階と、前記第1ドメインを選択的に除去し、ナノサイズの複数の貫通ホールを含む前記第2ドメインからなる量子ドットテンプレート膜を形成する段階と、前記量子ドットテンプレート膜の前記貫通ホール内に、有機発光層を含む量子ドット構造を形成する段階とを含む。
【0008】
前記ブロック共重合体膜は、ポリスチレン(PS)とポリビニルピロリドン(PVP)とのブロック共重合体から選択されたものでありうる。前記ブロック共重合体膜の相分離は、前記ブロック共重合体膜の加熱または加圧によってなされうる。前記第1ドメインを選択的に除去する段階は、UV(ultraviolet)照射または湿式エッチングを利用できる。
【0009】
前記量子ドット構造を形成する段階は、有機正孔輸送層、有機発光層、有機電子輸送層、及び第1金属層を順次に形成することを含むか、または有機正孔注入層、有機正孔輸送層、有機発光層、有機電子輸送層、有機電子注入層、及び第1金属層を順次に形成することを含むことができる。このとき、第1金属層を形成する段階は、前記第1金属層が、前記量子ドット構造から前記量子ドットテンプレート膜上に拡張され、前記量子ドット構造上と、量子ドットテンプレート膜上との第2電極層を形成することをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有機発光層を量子ドット構造で形成することによって、有機発光素子の光学効率を向上することができる。また、ブロック共重合体膜の相分離を利用してテンプレートを形成することによって、信頼性のある量子ドット構造を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子のRGB画素の概略的な上面図である。
【図2A】本発明の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子の量子ドット構造を概略的に図示した斜視図である。
【図2B】本発明の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子の量子ドット構造を概略的に図示した断面図である。
【図3】三次元のバルク、二次元の平面、一次元の線及び0次元の量子ドットが有する状態密度関数を比較して図示したグラフである。
【図4A】本発明の他の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子の量子ドット構造を概略的に図示した斜視図である。
【図4B】本発明の他の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子の量子ドット構造を概略的に図示した断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子を概略的に図示した断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による有機電界発光素子の量子ドット構造を形成する方法について工程順に説明するためのフローチャートである。
【図7A】本発明の一実施形態による有機電界発光素子の量子ドット構造を形成する方法について説明するための図である。
【図7B】図7Aに後続する図である。
【図7C】図7Bに後続する図である。
【図7D】図7Cに後続する図である。
【図7E】図7Dに後続する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付された図面を参照しつつ、さらに詳細に説明する。しかし、本発明はここで説明される実施形態に限定されるものではなく、他の形態で具体化されもする。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示内容が徹底され、かつ完全になるように、そして当業者に本発明の思想が十分に伝えられるように提供されるものである。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子のRGB画素(pixel)の概略的な上面図である。従来の有機電界発光素子の画素は、ストライプ状のRGB画素から構成されているが、図1を参照すれば、本発明の量子ドット有機電界発光素子のRGB画素は、量子ドット(quantum dot)が配列された画素を有し、該量子ドットは、量子効果が起こりうる数十nmから数百nmほどのサイズを有する。
【0014】
図2A及び図2Bは、それぞれ本発明の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子の量子ドット構造を概略的に図示した斜視図及び断面図である。図2A及び図2Bを参照すれば、基板100上に第1電極層110が形成されており、第1電極層110上に量子ドット構造120の配列が形成されている。量子ドット構造120のそれぞれは、複数の層123,125,127,129からなっている。量子ドット構造120上には、第2電極層130が形成されている。第1電極層110は、R,G,Bの副画素同士絶縁されているが、フィルム状の第2電極層130は、R,G,Bに共通して形成されている。
【0015】
量子ドット構造120の直径は、量子効果が起こりうる数十nmから数百nmのサイズを有することができる。図1の量子ドット構造120は、正孔輸送層123、発光層125、電子輸送層127、量子ドット内の第1金属層129を順に含みうる。一方、量子ドット構造120の積層順序は、逆に、第1金属層129、電子輸送層127、発光層125、正孔輸送層123の順序に積層されうる。この場合、第1電極層110及び第2電極層130の位置も互いに変わりうる。
【0016】
基板100は、透明な物質であり、例えば、ガラス基板、プラスチック基板などが使われうる。第1電極層110は、ITO(indium tin oxide)、ZnO(zinc oxide)のような透明な導電性酸化物からなりうる。正孔輸送層123、発光層125、及び電子輸送層127は、有機物質からなりうる。
【0017】
正孔輸送層123は、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(NPD)、またはN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)のような物質からなりうる。発光層125は、単一物質、またはホストとドーパントとを混合した物質を使用できる。例えば、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、またはポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)の物質からなりうる。電子輸送層127は、例えば、アリール置換されたオキサゾール、アリール置換されたトリアゾール、アリール置換されたフェナントロリン、ベンズオキサゾール、またはベンズチアゾール化合物からなりうる。第1金属層129は、Al、Ag、Mg、またはそれらの2以上の合金からなりうる。第2電極層130は、第1金属層129と同じ物質からなりうる。第1電極層110は、アノードとして作用し、第2電極層130は、カソードとして作用しうる。
【0018】
量子ドットの状態密度関数(density of state)は、バルク及び平面の状態密度関数と明らかに異なる。図3は、三次元のバルク、二次元の平面、一次元の線、及び0次元の量子ドットが有する状態密度関数を比較して図示したグラフである。三次元のバルクは、連続的な状態密度関数を有するが、二次元での状態密度関数は、階段型に変わる。一次元を経て0次元の量子ドットになれば、エネルギーバンドギャップ内のそれぞれのエネルギー準位(energy level)での状態密度関数は、不連続的に変わり、デルタ関数形態を有するようになる。
【0019】
この場合、非平衡状態で注入された電子のようなキャリアが非常に狭いエネルギー幅を有するようになり、発光量子効率がバルクに比べて急増する。また、最大光学利得が増加するようになり、発光素子のスレショルド電流密度を非常に低くすることができ、スレショルド電圧値を減少させることができる。
【0020】
例えば、半導体発光ダイオードの場合、量子ドットのスレショルド電流密度は、量子ウェルのスレショルド電流密度の1/4ほどの値を有する。有機発光ダイオードのスレショルド電流密度が約10−10A/mmであり、量子ドットダイオードを実現することによって、スレショルド電流密度を半分以上に削減し、駆動電圧も大幅に減少させることができる。
【0021】
量子ドット構造の場合、光学損失についても減らすことができ、発光線幅が狭いことにより、色純度が向上しうる。それに応じて、上部放出(top emission)に適用する場合、共振構造の必要がなくとも、内部量子効率の増加、高色純度などを同時に達成できる。
【0022】
図4A及び図4Bは、それぞれ本発明の他の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子の量子ドット構造を概略的に図示した斜視図及び断面図である。図4A及び図4Bの量子ドット有機電界発光素子の量子ドット構造は、図1の量子ドット構造に加え、第1電極層110と接触する量子ドット内の第2金属層121をさらに含む。第2金属層121は、第1電極層110と同じ物質から形成されうる。一方、量子ドット構造120の積層順序は、逆に第1金属層129、電子輸送層127、発光層125、正孔輸送層123、量子ドット内の第2電極層121の順序からなりうる。この場合、第1電極層110及び第2電極層130の位置も、互いに変わりうる。
【0023】
図2A、図2B、図4A、及び図4Bと関連した実施形態で、量子ドット構造120は、有機物質からなる正孔輸送層123、発光層125、電子輸送層127を含んでいるが、必要に応じて、有機層の構造は変更されうる。例えば、第1電極層110または第2金属層121と、正孔輸送層123との間に正孔注入層(図示せず)を、電子輸送層127と第1金属層129との間に電子注入層をさらに含むことができる。また、他の例として、正孔輸送層と発光層とが1層に統合されて電子輸送層を別途に具備するか、あるいは電子輸送層と発光層とが1層に統合されて正孔輸送層を別途に具備することもできる。
【0024】
図5は、本発明の一実施形態による量子ドット有機電界発光素子を概略的に図示した断面図である。
【0025】
図5を参照すれば、透明基板200上のバッファ層202上に、チャンネル領域212及びソース/ドレイン領域214を含む活性層210が形成されている。活性層210上には、ゲート絶縁膜216が形成されており、ゲート絶縁膜216上に、チャンネル領域212と対向しつつ、ゲート電極220が形成されている。ゲート電極220とゲート絶縁膜216との上に、第1層間絶縁膜222が形成されており、前記第1層間絶縁膜222を貫通しつつ、コンタクト230がソース/ドレイン領域214に連結されている。コンタクト230と第1層間絶縁膜222との上に、第2層間絶縁膜232及び第3層間絶縁膜234が形成されている。第3層間絶縁膜234上に、第1電極240が形成されており、第1電極240は、第3層間絶縁膜234及び第2層間絶縁膜232を貫通し、コンタクト230に連結されている。第3層間絶縁膜234の上に、画素定義膜242が形成され、第1電極240上に、量子ドット構造250の発光層が形成されている。
【0026】
量子ドット構造250は、図1と関連して説明した通り、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、第1金属層から構成されうる。あるいは、第1電極層と正孔輸送層との間に正孔注入層を、第1金属層と電子輸送層との間に電子注入層をさらに含むことができる。さらに他の例として、正孔輸送層と発光層とが1層に統合されて電子輸送層を別途に具備するかあるいは、電子輸送層と発光層とが1層に統合されて正孔輸送層を別途に具備することもできる。量子ドット構造250上に、第2電極260が形成されている。
【0027】
図5と関連して、量子ドット構造250の発光層から出てくる光が、基板200下に放出される構造の有機電界発光素子について説明したが、量子ドット構造250の発光層から出てくる光が、基板200の上部に放出される上部放出(top emission)構造にも本発明が適用されうる。また、ゲート電極の構造は、図5に開示された逆スタガード(inverted staggered)だけではなく、スタガード(staggered)、コプラナ(coplanar)または逆コプラナ(inverted coplanar)のような多様な構造を有することができる。
【0028】
図6は、本発明の有機電界発光素子の量子ドット構造を形成する方法について、工程順に説明するためのフローチャートである。
【0029】
まず、相分離が可能な第1ポリマーと第2ポリマーとを含むブロック共重合体膜を基板上に形成する(S100)。前記ブロック共重合体を適切な溶媒に溶かし、スピンコーティング方式で基板上に塗布できる。
【0030】
次に、ブロック共重合体膜を加熱または加圧し、規則的に反復されるナノ柱状の第1ドメインと、前記第1ドメインを覆い包んだ形のドメインとにブロック共重合体を相分離(phase separation)する(S110)。第1ドメインは、第1ポリマーからなり、第2ドメインは、第2ポリマーからなりうる。柱状の第1ドメインと、該柱を覆い包んだ形態の第2ドメインは、反復されるナノ構造を形成する。
【0031】
ブロック共重合体は、二種以上の性質が互いに異なる高分子が共有結合で連結されており、一定温度や圧力を加えて相分離され、周期的なナノスケールの構造を形成できる。相分離時に形成されるナノ構造のドメインのサイズ及び形態は、それぞれの高分子の長さと相対的な量とによって変わる。
【0032】
次に、相分離されたブロック共重合体膜から柱状の第1ドメインを選択的に除去し、量子ドット構造の形成のためのテンプレートを形成する(S120)。分離された相、すなわち、分離されたドメインの除去は、UV(ultraviolet)の照射や湿式エッチングの方法を利用できる。柱状の第1ドメインが除去されれば、内部にナノスケールの貫通ホール(through hole)を有する第2ドメインからなる量子ドットテンプレート膜が形成される。
【0033】
次に、量子ドットテンプレート膜の貫通ホール内に、有機発光層を含む量子ドットを形成する(S130)。積層有機層、第1金属層を貫通ホール内に順次に形成できる。積層有機層は、正孔輸送層、有機発光層、及び電子輸送層の積層構造、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層及び電子注入層の積層構造、正孔輸送層及び有機発光層の積層構造、または発光層及び電子輸送層の積層構造のように、必要に応じて多様な積層構造に形成されうる。有機発光層以外の正孔輸送層、電子輸送層も有機物でもって形成されうる。
【0034】
図7Aないし図7Eは、本発明の一実施形態による有機電界発光素子の量子ドット構造を形成する方法について、工程順に説明するための図面である。
【0035】
図7Aを参照すれば、ガラスまたはプラスチックのような透明な基板100上に、第1電極層110を形成する。第1電極層110上に、ポリスチレン(PS)とポリビニルピロリドン(PVP)とを含むブロック共重合体膜102を形成する。ポリスチレン(PS)とポリビニルピロリドン(PVP)とを、クロロホルム、トルエン、ジクロロベンゼンまたはテトロヒドロフラン(THF)溶媒に溶かし、スピンコーティング方式で基板上に塗布し、ブロック共重合体膜102を形成できる。ブロック共重合体膜102の相分離時に、柱状のポリスチレン(PS)ドメインと、これを覆い包んだ形態のポリビニルピロリドン(PVP)ドメインとが形成されうるように、ポリスチレン(PS)とポリビニルピロリドン(PVP)との組成比を決定する。ポリスチレン(PS)とポリビニルピロリドン(PVP)との組成比は、PS:PVP=1:1〜10でありうる。
【0036】
図7Bを参照すれば、ブロック共重合体膜102を加熱または加圧し、ブロック共重合体を相分離によって、ブロック共重合体102は、ナノ柱状のポリスチレン・ドメイン102Bと、ポリスチレン・ドメイン102Bを覆い包んだ形態のポリビニルピロリドン・ドメイン102Aとに分かれうる。
【0037】
図7Cを参照すれば、UVを照射するかあるいは、湿式エッチングを利用し、柱状のポリスチレン・ドメイン102Bを選択的に除去する。ポリスチレン・ドメイン102Bが除去されれば、ポリビニルピロリドン・ドメイン102Aからなり、規則的な貫通ホール(through hole)103の配列を有する量子ドット構造形成用テンプレート102Bが形成される。
【0038】
図7Dを参照すれば、テンプレート102Bの貫通ホール103内に、正孔輸送層123、発光層125、及び電子輸送層127を順次に積層する。それぞれの層は、多様な蒸着法を使用して形成されうる。次に、電子輸送層127上に、第1金属層129を形成する。図7Dには図示していないが、第1金属層129は、電子輸送層127上の貫通ホールの残った部分をいずれも充填し、テンプレート102Bの表面上に、一定厚のフィルムを形成するように形成する。一定厚のフィルム部分は、図7Eに参照番号130で表示した部分である。第2電極層130と第1金属層129とを一体型に形成することによって、量子ドット構造120の接着を強化できる。
【0039】
各層を形成する物質について述べる。第1電極層110は、ITO、ZnOのような透明な導電性酸化物によって形成できる。正孔輸送層123は、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(NPD)、またはN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)などの物質によって形成できる。発光層125は、多様な物質から形成でき、単一物質、またはホストとドーパントとを混合した物質を使用できる。例えば、Alq3、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)またはポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)の物質から形成できる。電子輸送層127は、例えば、アリール置換されたオキサゾール、アリール置換されたトリアゾール、アリール置換されたフェナントロリン、ベンズオキサゾールまたはベンズチアゾール化合物によって形成できる。第1金属層129及び第2電極層130は、例えばAl、Ag、Mgまたはそれらの2以上の合金によって形成できる。
【0040】
図7Eを参照すれば、量子ドット構造120を残し、テンプレート102Bを選択的に除去する。図示していないが、テンプレート102Bの除去後、量子ドット構造120を覆い包む絶縁膜(図示せず)をさらに形成できる。または、テンプレート102Bを除去せずに、テンプレート102Bを絶縁膜として使用することもできる。
【0041】
本発明の技術思想は、前記望ましい実施形態によって具体的に記述されたが、前記実施形態は、その説明のためのものであり、その制限のためのものでないことに注意せねばならない。また、本発明の技術分野の当業者であるならば、本発明の技術思想の範囲内の多様な実施形態が可能であることを理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0042】
100 基板、
102 ブロック共重合体膜、
102A ポリビニルピロリドン・ドメイン、
102B ポリスチレン・ドメイン、
103 貫通ホール、
110 第1電極層、
120 量子ドット構造、
121 第1電極層、
123 正孔輸送層、
125 発光層、
127 電子輸送層、
129 第2電極層、
130 第2電極層、
200 透明基板、
202 バッファ層、
210 活性層、
212 チャンネル領域、
214 ソース/ドレイン領域、
216 ゲート絶縁膜、
220 ゲート電極、
222 第1層間絶縁膜、
230 コンタクト、
232 第2層間絶縁膜、
234 第3層間絶縁膜、
240 第1電極、
242 画素定義膜、
250 量子ドット構造、
260 第2電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1電極層を形成する段階と、
前記第1電極層上に、相分離が可能なブロック共重合体膜を形成する段階と、
前記ブロック共重合体膜をナノサイズの複数の柱状の第1ドメインと、前記第1ドメインを覆い包んだ第2ドメインとに相分離させる段階と、
前記第1ドメインを選択的に除去し、ナノサイズの複数の貫通ホールを含む前記第2ドメインからなる量子ドットテンプレート膜を形成する段階と、
前記量子ドットテンプレート膜の前記貫通ホール内に、有機発光層を含む量子ドット構造を形成する段階と、を含む有機発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記ブロック共重合体膜は、ポリスチレン(PS)とポリビニルピロリドン(PVP)とのブロック共重合体から選択されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1ドメインは、ポリスチレンであり、前記第2ドメインは、ポリビニルピロリドン(PVP)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記ブロック共重合体膜を相分離させる段階は、
前記ブロック共重合体膜を加熱または加圧することを含むことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1ドメインを選択的に除去する段階は、
UV照射または湿式エッチングを含むことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記量子ドット構造を形成する段階は、
有機正孔輸送層、有機発光層、有機電子輸送層、及び第1金属層を順次に形成することを含むことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項7】
前記量子ドット構造を形成する段階は、
有機正孔注入層、有機正孔輸送層、有機発光層、有機電子輸送層、有機電子注入層及び第1金属層を順次に形成することを含むことを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記有機発光層は、Alq3、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、またはポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)によって形成することを特徴とする請求項6または7に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記第1電極層は、ITOまたはZnOから形成されることを特徴とする請求項1から8のうちのいずれか1項に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記第1金属層は、Al、Ag、Mg、またはそれらの2以上の合金から形成することを特徴とする請求項6から9のうちのいずれか1項に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項11】
第1金属層を形成する段階は、前記第1金属層が前記量子ドット構造から前記量子ドットテンプレート膜上に拡張され、前記量子ドット構造上と、量子ドットテンプレート膜上との第2電極層を形成することをさらに含むことを特徴とする請求項6から10のうちのいずれか1項に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記量子ドットテンプレート膜を選択的に除去する段階と、前記量子ドット構造を覆い包む絶縁膜を形成する段階とをさらに含むことを特徴とする請求項1から11のうちのいずれか1項に記載の有機発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【公開番号】特開2012−146689(P2012−146689A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109987(P2012−109987)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【分割の表示】特願2010−158159(P2010−158159)の分割
【原出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】