説明

量子収率測定装置

【課題】 試料の量子収率を正確にかつ効率良く測定することができる量子収率測定装置を提供する。
【解決手段】 量子収率測定装置1Aは、試料セル2の試料収容部3が内部に配置される暗箱5と、励起光L1を発生させる光発生部6と、被測定光L2を検出する光検出部9と、暗箱5内に配置された積分球14と、暗箱5内において積分球14を移動させる移動機構30と、を備える。光発生部6は、暗箱5に接続された光出射部7を有し、光検出部9は、暗箱5に接続された光入射部11を有する。積分球14は、励起光L1を入射させる光入射開口15、及び被測定光L2を出射させる光出射開口16を有する。移動機構30は、試料収容部3が積分球14内に位置する第1の状態、及び試料収容部3が積分球14外に位置する第2の状態の各状態となるように、試料収容部3、光出射部7及び光入射部11を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積分球を用いて発光材料等の量子収率を測定する量子収率測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の量子収率測定装置として、発光材料等の試料に励起光を照射し、試料から放出された蛍光を積分球内で多重反射させて検出することにより、試料の量子収率(「発光材料に吸収された励起光のフォトン数」に対する「発光材料から放出された蛍光のフォトン数」の割合)を測定する技術が知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
このような技術においては、試料が蛍光成分に対して光吸収性を有していると、蛍光が積分球内で多重反射しているときに、蛍光の一部が試料に吸収される場合がある(この現象を以下「再吸収」という)。そのような場合、蛍光のフォトン数が真の値(すなわち、発光材料から実際に放出された蛍光のフォトン数)よりも低く検出されることになる。そのため、別途、蛍光光度計を用いて、再吸収が生じない状態で試料から放出される蛍光の強度を測定し、それに基づいて先の蛍光のフォトン数を補正して量子収率を求める方法が提案されている(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−086031号公報
【特許文献2】特開2009−074866号公報
【特許文献3】特開2010−151632号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】CHRISTIAN WURTH、他7名、「Evaluation of a CommercialIntegrating Sphere Setup for the Determination of Absolute Photoluminescence QuantumYields of Dilute Dye Solutions」、APPLIED SPECTROSCOPY、(米国)、Volume 64, Number 7, 2010、p.733−741
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、積分球を用いて試料の量子収率を正確に測定するためには、積分球を備えた装置とは別に、蛍光光度計を用いる必要があるなど、煩雑な作業を要する。
【0007】
そこで、本発明は、試料の量子収率を正確にかつ効率良く測定することができる量子収率測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の量子収率測定装置は、試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、試料及び試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、試料収容部が内部に配置される暗箱と、暗箱に接続された光出射部を有し、励起光を発生させる光発生部と、暗箱に接続された光入射部を有し、被測定光を検出する光検出部と、励起光を入射させる光入射開口、及び被測定光を出射させる光出射開口を有し、暗箱内に配置された積分球と、試料収容部が積分球内に位置する第1の状態、及び試料収容部が積分球外に位置する第2の状態のそれぞれの状態となるように、試料収容部、光出射部及び光入射部を移動させ、第1の状態では、光出射部を光入射開口に対向させ、かつ光入射部を光出射開口に対向させる移動機構と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この量子収率測定装置では、試料セルの試料収容部が積分球内に位置する第1の状態、及び試料セルの試料収容部が積分球外に位置する第2の状態のそれぞれの状態となるように、試料収容部、光出射部及び光入射部が移動機構によって移動させられる。これにより、第2の状態で蛍光のスペクトル(蛍光成分(以下、同じ))を直接(積分球内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のスペクトルを、第2の状態で検出された蛍光のスペクトルに基づいて補正することができる。従って、この量子収率測定装置によれば、試料の量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
【0010】
また、本発明の量子収率測定装置は、試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、試料及び試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、試料収容部が内部に配置される暗箱と、暗箱に接続された光出射部を有し、励起光を発生させる光発生部と、暗箱に接続された光入射部を有し、被測定光を検出する光検出部と、励起光を入射させる光入射開口、及び被測定光を出射させる光出射開口を有し、暗箱内に配置された積分球と、試料収容部が積分球内に位置する第1の状態、及び試料収容部が積分球外に位置する第2の状態のそれぞれの状態となるように、積分球を構成する複数の部分を移動させ、第1の状態では、光入射開口を光出射部に対向させ、かつ光出射開口を光入射部に対向させる移動機構と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この量子収率測定装置では、試料セルの試料収容部が積分球内に位置する第1の状態、及び試料セルの試料収容部が積分球外に位置する第2の状態のそれぞれの状態となるように、積分球を構成する複数の部分が移動機構によって移動させられる。これにより、第2の状態で蛍光のスペクトルを直接(積分球内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のスペクトルを、第2の状態で検出された蛍光のスペクトルに基づいて補正することができる。従って、この量子収率測定装置によれば、試料の量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
【0012】
また、本発明の量子収率測定装置は、試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、試料及び試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、試料収容部が内部に配置される暗箱と、暗箱に接続された光出射部を有し、励起光を発生させる光発生部と、暗箱に接続された光入射部を有し、被測定光を検出する光検出部と、励起光を入射させるための光入射孔、及び被測定光を出射させるための光出射孔を有し、試料収容部を覆う形状に形成された遮光部材と、励起光を入射させる光入射開口、及び被測定光を出射させる光出射開口を有し、光入射開口が光出射部に対向し、かつ光出射開口が光入射部に対向した状態で、試料収容部を覆うように暗箱内に配置された積分球と、遮光部材が積分球外に位置する第1の状態、及び遮光部材が積分球内に位置して試料収容部を覆う第2の状態のそれぞれの状態となるように、遮光部材を移動させる移動機構と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この量子収率測定装置では、遮光部材が積分球外に位置する第1の状態、及び遮光部材が積分球内に位置して試料収容部を覆う第2の状態のそれぞれの状態となるように、遮光部材が移動機構によって移動させられる。これにより、第2の状態で蛍光のスペクトルを直接(積分球内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のスペクトルを、第2の状態で検出された蛍光のスペクトルに基づいて補正することができる。従って、この量子収率測定装置によれば、試料の量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
【0014】
また、本発明の量子収率測定装置は、試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、試料及び試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、試料収容部が内部に配置される暗箱と、暗箱に接続された光出射部を有し、励起光を発生させる光発生部と、暗箱に接続された光入射部を有し、被測定光を検出する光検出部と、励起光を入射させる光入射開口、及び被測定光を出射させる光出射開口を有し、光入射開口が光出射部に対向し、かつ光出射開口が光入射部に対向した状態で、試料収容部を覆うように暗箱内に配置された積分球と、試料から放出された被測定光を光検出部に直接導光する導光系と、光出射開口を介して被測定光を光検出部に入射させる第1の状態、及び導光系を介して被測定光を光検出部に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、被測定光の光路を切り替える光路切替機構と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この量子収率測定装置では、光出射開口を介して被測定光を光検出部に入射させる第1の状態、及び導光系を介して被測定光を光検出部に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、被測定光の光路が光路切替機構によって切り替えられる。これにより、第2の状態で蛍光のスペクトルを直接(積分球内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のスペクトルを、第2の状態で検出された蛍光のスペクトルに基づいて補正することができる。従って、この量子収率測定装置によれば、試料の量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
【0016】
また、本発明の量子収率測定装置は、試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、試料及び試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、試料収容部が内部に配置される暗箱と、暗箱に接続された光出射部を有し、励起光を発生させる光発生部と、暗箱に接続された光入射部を有し、被測定光を検出する光検出部と、励起光を入射させる光入射開口、及び被測定光を出射させる光出射開口を有し、光入射開口が光出射部に対向し、かつ光出射開口が光入射部に対向した状態で、試料収容部を覆うように暗箱内に配置された積分球と、励起光を試料収容部に直接導光すると共に、試料から放出された被測定光を光検出部に直接導光する導光系と、光入射開口を介して励起光を試料収容部に照射し、かつ光出射開口を介して被測定光を光検出部に入射させる第1の状態、及び、導光系を介して励起光を試料収容部に照射し、かつ導光系を介して被測定光を光検出部に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、励起光の光路及び被測定光の光路を切り替える光路切替機構と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この量子収率測定装置では、光入射開口を介して励起光を試料収容部に照射し、かつ光出射開口を介して被測定光を光検出部に入射させる第1の状態、及び、導光系を介して励起光を試料収容部に照射し、かつ導光系を介して被測定光を光検出部に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、被測定光の光路が光路切替機構によって切り替えられる。これにより、第2の状態で蛍光のスペクトルを直接(積分球内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のスペクトルを、第2の状態で検出された蛍光のスペクトルに基づいて補正することができる。従って、この量子収率測定装置によれば、試料の量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、試料の量子収率を正確にかつ効率良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態の量子収率測定装置の横断面図(a)及び縦断面図(b)である。
【図2】図1の量子収率測定装置を用いて量子収率を測定する方法を説明するための横断面図(a)及び縦断面図(b)である。
【図3】図1の量子収率測定装置を用いて量子収率を測定する方法を説明するための横断面図(a)及び縦断面図(b)である。
【図4】図1の量子収率測定装置を用いて量子収率を測定する方法を説明するためのグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態の量子収率測定装置の変形例の縦断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の量子収率測定装置の横断面図(a)及び縦断面図(b)である。
【図7】図6の量子収率測定装置を用いて量子収率を測定する方法を説明するための横断面図(a)及び縦断面図(b)である。
【図8】本発明の第3の実施形態の量子収率測定装置の横断面図(a)及び縦断面図(b)である。
【図9】図8の量子収率測定装置を用いて量子収率を測定する方法を説明するための横断面図(a)及び縦断面図(b)である。
【図10】本発明の第4の実施形態の量子収率測定装置の横断面図である。
【図11】図10の量子収率測定装置を用いて量子収率を測定する方法を説明するための横断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態の量子収率測定装置の横断面図である。
【図13】図12の量子収率測定装置を用いて量子収率を測定する方法を説明するための横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態の量子収率測定装置の横断面図(a)及び縦断面図(b)である。図1に示されるように、量子収率測定装置1Aは、試料Sを収容するための試料セル2の試料収容部3に励起光L1を照射し、試料S及び試料収容部3の少なくとも一方から放出される被測定光L2を検出することにより、試料Sの量子収率(発光量子収率、蛍光量子収率、りん光量子収率等)を測定する装置である。試料Sは、例えば有機EL等の発光デバイスに用いられる発光材料が所定の溶媒に溶かされたものである。試料セル2は、例えば合成石英からなり、試料収容部3は、例えば四角柱状の容器となっている。
【0022】
量子収率測定装置1Aは、試料収容部3が内部に配置される暗箱5を備えている。暗箱5は、金属からなる直方体状の箱体であって、外部からの光の侵入を遮断する。暗箱5の内面には、励起光L1及び被測定光L2を吸収する材料による塗装等が施されている。
【0023】
暗箱5の一方の側壁には、光発生部6の光出射部7が接続されている。光発生部6は、例えばキセノンランプや分光器等により構成された励起光源であって、励起光L1を発生させる。励起光L1は、光出射部7を介して暗箱5内に入射する。
【0024】
暗箱5の後壁には、光検出部9の光入射部11が接続されている。光検出部9は、例えば分光器やCCDセンサ等により構成されたマルチチャンネル検出器であって、被測定光L2を検出する。被測定光L2は、光入射部11を介して光検出部9内に入射する。
【0025】
暗箱5内には、積分球14が配置されており、積分球14は、支持柱69によって所定の位置に固定されている。積分球14は、その内面に硫酸バリウム等の高拡散反射剤の塗布が施されるか、若しくはPTFEやスペクトラロン等の材料で形成されている。積分球14には、励起光L1を入射させる光入射開口15、及び被測定光L2を出射させる光出射開口16が形成されている。励起光L1は、光入射開口15を介して積分球14内に入射する。被測定光L2は、光出射開口16を介して積分球14外に出射する。
【0026】
以上の暗箱5、光発生部6及び光検出部9は、金属からなる筐体内に収容されている。なお、光発生部6の光出射部7から出射させられる励起光L1の光軸と、光検出部9の光入射部11に入射させられる被測定光L2の光軸とは、水平面内において略直交している。
【0027】
積分球14の上部には、試料セル2を挿通させるセル挿通開口18が形成されている。試料セル2は、セル挿通開口18を挿通するセル保持部材61によって保持されている。なお、光入射面となる試料収容部3の側面は、励起光L1の光軸に対して90°以外の所定の角度で傾斜している。これにより、その側面で反射された励起光L1が光出射部7に戻ることが防止される。
【0028】
量子収率測定装置1Aは、さらに、試料セル2の試料収容部3、光発生部6の光出射部7及び光検出部9の光入射部11を移動させる移動機構30を備えている。移動機構30は、試料収容部3が積分球14内に位置する第1の状態、及び試料収容部3が積分球14外に位置する第2の状態のそれぞれの状態となるように、試料収容部3、光出射部7及び光入射部11を移動させる。そして、移動機構30は、第1の状態において、光発生部6の光出射部7を積分球14の光入射開口15に対向させ、かつ光検出部9の光入射部11を積分球14の光出射開口16に対向させる。
【0029】
また、第1の状態では、シャッタ63が開かれて、光出射部7が暗箱5の開口62から暗箱5内に臨み、シャッタ66が開かれて、光入射部11が暗箱5の開口65から暗箱5内に臨む。一方、第2の状態では、シャッタ70が開かれて、光出射部7が暗箱5の開口64から暗箱5内に臨み、シャッタ68が開かれて、光入射部11が暗箱5の開口67から暗箱5内に臨む。
【0030】
以上のように構成された量子収率測定装置1Aを用いて量子収率を測定する方法について説明する。まず、図2に示されるように、試料Sが収容されていない空の試料セル2を暗箱5にセットする。そして、試料収容部3が積分球14内に位置する第1の状態で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料収容部3を透過した励起光L1は、積分球14内で多重反射して、試料収容部3から放出された被測定光L2aとして光検出部9によって検出される。このとき、シャッタ63,66は開かれ、シャッタ70,68は閉じられている。
【0031】
続いて、図1に示されるように、試料セル2に試料Sを収容し、その試料セル2を暗箱5にセットする。そして、試料収容部3が積分球14内に位置する第1の状態で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料Sで発生した蛍光は、積分球14内で多重反射して、試料S及び試料収容部3から放出された被測定光L2bとして光検出部9によって検出される。このとき、シャッタ63,66は開かれ、シャッタ70,68は閉じられている。
【0032】
続いて、図3に示されるように、試料収容部3が積分球14外に位置する第2の状態となるように、移動機構30によって試料収容部3、光出射部7及び光入射部11が移動(ここでは、上昇)させられる。つまり、第1の状態から第2の状態に変更することに伴い、積分球14の光入射開口15及び光出射開口16は、それぞれ、光発生部6の光出射部7及び光検出部9の光入射部11に対して相対的に移動する。このとき、試料収容部3、光出射部7及び光入射部11の相対的な位置関係は保持される。そして、第2の状態で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料Sで発生した蛍光は、直接(積分球14内での多重反射なしに)、試料Sから放出された被測定光L2cとして光検出部9によって検出される。このとき、シャッタ63,66は閉じられ、シャッタ70,68は開かれている。
【0033】
以上のように、被測定光L2a,L2b,L2cのデータが取得されると、パーソナルコンピュータ等のデータ解析装置によって、被測定光L2a,L2bの励起光成分のデータに基づき、試料Sに吸収された励起光L1のフォトン数(フォトン数に比例する値等のフォトン数に相当する値(以下、同じ))が算出される。試料Sに吸収された励起光L1のフォトン数は、図4の領域A1に相当する。
【0034】
その一方で、データ解析装置によって、被測定光L2cのデータに基づき、被測定光L2bの蛍光成分のデータが補正される(詳細は非特許文献1参照)。これにより、試料Sが蛍光成分に対して光吸収性を有しており再吸収が生じたとしても、真の値(すなわち、試料Sから実際に放出された蛍光のフォトン数)となるように補正された蛍光のフォトン数がデータ解析装置によって算出される。試料Sから放出された蛍光のフォトン数は、図4の領域A2に相当する。
【0035】
そして、データ解析装置によって、「試料Sに吸収された励起光L1のフォトン数」に対する「試料Sから放出された蛍光のフォトン数」である試料Sの量子収率が算出される。なお、試料Sが溶かされていない溶媒を試料セル2に収容し、その試料セル2を暗箱5にセットして、第1の状態で被測定光L2aを検出する場合もある。
【0036】
以上説明したように、量子収率測定装置1Aでは、試料セル2の試料収容部3が積分球14内に位置する第1の状態、及び試料セル2の試料収容部3が積分球14外に位置する第2の状態のそれぞれの状態となるように、試料収容部3、光出射部7及び光入射部11が移動機構30によって移動させられる。これにより、第2の状態で蛍光のフォトン数を直接(積分球14内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のフォトン数を、第2の状態で検出された蛍光のフォトン数に基づいて補正することができる。従って、量子収率測定装置1Aによれば、試料Sの量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の第1の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図5に示されるように、光発生部6と暗箱5とを、また、光検出部9と暗箱5とを、それぞれ光ファイバ71によって光学的に接続してもよい。この場合、各光ファイバ71を光出射部7及び光入射部11として移動させることで、光発生部6及び光検出部9を移動させることが不要となる。
[第2の実施形態]
【0038】
図6は、本発明の第2の実施形態の量子収率測定装置の横断面図(a)及び縦断面図(b)である。図6に示されるように、量子収率測定装置1Bは、積分球14を構成する複数の部分14a,14bを移動させる移動機構72を備えている点で、上述した量子収率測定装置1Aと主に相違している。
【0039】
移動機構72は、暗箱5内において積分球14を支持しており、積分球14を構成する複数の部分14a,14bを開いたり閉じたりする。部分14a,14bは、励起光L1の光軸に略垂直かつ被測定光L2の光軸に略平行な面で分割された半球体である。移動機構72は、部分14a,14bの内面が上方を向くように部分14a,14bを開く。なお、移動機構72は、部分14a,14bを閉じたときに、積分球14の光入射開口15を光発生部6の光出射部7に対向させ、かつ積分球14の光出射開口16を光検出部9の光入射部11に対向させる。
【0040】
次に、量子収率測定装置1Bを用いて量子収率を測定する方法について説明する。まず、試料Sが収容されていない空の試料セル2を暗箱5にセットする。そして、試料収容部3が積分球14内に位置する第1の状態(すなわち、部分14a,14bが閉じられた図6の状態)で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料収容部3を透過した励起光L1は、積分球14内で多重反射して、試料収容部3から放出された被測定光L2aとして光検出部9によって検出される。
【0041】
続いて、図6に示されるように、試料セル2に試料Sを収容し、その試料セル2を暗箱5にセットする。そして、試料収容部3が積分球14内に位置する第1の状態(すなわち、部分14a,14bが閉じられた状態)で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料Sで発生した蛍光は、積分球14内で多重反射して、試料S及び試料収容部3から放出された被測定光L2bとして光検出部9によって検出される。
【0042】
続いて、図7に示されるように、試料収容部3が積分球14外に位置する第2の状態となるように、移動機構72によって部分14a,14bが移動させられる。そして、第2の状態(すなわち、部分14a,14bが開かれた状態)で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料Sで発生した蛍光は、直接(積分球14内での多重反射なしに)、試料Sから放出された被測定光L2cとして光検出部9によって検出される。
【0043】
以下、上述した量子収率測定装置1Aの場合と同様に、データ解析装置によって、被測定光L2a,L2b,L2cのデータのデータに基づいて試料Sの量子収率が算出される。
【0044】
以上説明したように、量子収率測定装置1Bでは、試料セル2の試料収容部3が積分球14内に位置する第1の状態、及び試料セル2の試料収容部3が積分球14外に位置する第2の状態のそれぞれの状態となるように、積分球14を構成する複数の部分14a,14bが移動機構72によって移動させられる。これにより、第2の状態で蛍光のフォトン数を直接(積分球14内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のフォトン数を、第2の状態で検出された蛍光のフォトン数に基づいて補正することができる。従って、量子収率測定装置1Bによれば、試料Sの量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
【0045】
また、第2の状態では、部分14a,14bの内面が光検出部9の光入射部11に対向しない方向に開かれるので、被測定光L2が部分14a,14bの内面で反射したとしても、その反射光が光入射部11に入射するのを抑制することができる。
【0046】
以上、本発明の第2の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、移動機構72は、積分球14を構成する3以上の部分を移動させるものであってもよい。
[第3の実施形態]
【0047】
図8は、本発明の第3の実施形態の量子収率測定装置の横断面図(a)及び縦断面図(b)である。図8に示されるように、量子収率測定装置1Cは、遮光部材73と、移動機構80と、を備えている点で、上述した量子収率測定装置1Aと主に相違している。
【0048】
遮光部材73は、試料収容部3を覆う形状に形成されており、励起光L1を入射させるための光入射孔73a、及び被測定光L2を出射させるための光出射孔73bを有している。この遮光部材73の内壁には、反射防止のための塗装等の処理が施されることが好ましい。移動機構80は、遮光部材73が積分球14外に位置する第1の状態、及び遮光部材73が積分球14内に位置して試料収容部3を覆う第2の状態のそれぞれの状態となるように、遮光部材73を移動させる。
【0049】
なお、積分球14は、光入射開口15が光発生部6の光出射部7に対向し、かつ光出射開口16が光検出部9の光入射部11に対向した状態で、試料収容部3を覆うように暗箱5内に配置されている。また、積分球14には、遮光部材73を挿通させる開口74が形成されており、開口74には、開口74を開閉するシャッタ75が設けられている。
【0050】
次に、量子収率測定装置1Cを用いて量子収率を測定する方法について説明する。まず、試料Sが収容されていない空の試料セル2を暗箱5にセットする。そして、遮光部材73が積分球14外に位置する第1の状態(すなわち、図8の状態)で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料収容部3を透過した励起光L1は、積分球14内で多重反射して、試料収容部3から放出された被測定光L2aとして光検出部9によって検出される。このとき、シャッタ75は閉じられている。
【0051】
続いて、図8に示されるように、試料セル2に試料Sを収容し、その試料セル2を暗箱5にセットする。そして、遮光部材73が積分球14外に位置する第1の状態で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料Sで発生した蛍光は、積分球14内で多重反射して、試料S及び試料収容部3から放出された被測定光L2bとして光検出部9によって検出される。このとき、シャッタ75は閉じられている。
【0052】
続いて、図9に示されるように、シャッタ75が開かれて、遮光部材73が積分球14内に位置して試料収容部3を覆う第2の状態となるように、移動機構80によって遮光部材73が移動させられる。そして、第2の状態で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料Sで発生した蛍光は、直接(積分球14内での多重反射なしに)、試料Sから放出された被測定光L2cとして光検出部9によって検出される。なお、第2の状態においては、遮光部材73の光入射孔73aが積分球14の光入射開口15に対向し、遮光部材73の光出射孔73bが積分球14の光出射開口16に対向する。
【0053】
以下、上述した量子収率測定装置1Aの場合と同様に、データ解析装置によって、被測定光L2a,L2b,L2cのデータのデータに基づいて試料Sの量子収率が算出される。
【0054】
以上説明したように、量子収率測定装置1Cでは、遮光部材73が積分球14外に位置する第1の状態、及び遮光部材73が積分球14内に位置して試料収容部3を覆う第2の状態のそれぞれの状態となるように、遮光部材73が移動機構80によって移動させられる。これにより、第2の状態で蛍光のフォトン数を直接(積分球14内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のフォトン数を、第2の状態で検出された蛍光のフォトン数に基づいて補正することができる。従って、量子収率測定装置1Cによれば、試料Sの量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
[第4の実施形態]
【0055】
図10は、本発明の第4の実施形態の量子収率測定装置の横断面図である。図10に示されるように、量子収率測定装置1Dは、導光系76と、光路切替機構77,79と、を備えている点で、上述した量子収率測定装置1Aと主に相違している。
【0056】
導光系76は、暗箱5において光発生部6の光出射部7が接続された位置に隣接する位置から光検出部9の光入射部11の途中の位置に至る光路を有しており、試料Sから放出された被測定光L2を光検出部9に直接導光する。導光系76は、その光路の方向を変えるミラー78を有している。
【0057】
光路切替機構77は、導光系76の光路に対して進退自在なミラーであって、その光路上に位置している場合には、導光系76に入射した被測定光L2を導光系76の光路上に反射する。光路切替機構79は、光入射部11の光路と導光系76の光路との交点に対して進退自在なミラーであって、その交点上に位置している場合には、導光系76によって導光された被測定光L2を光入射部11の光路上に反射する。つまり、光路切替機構77,79は、積分球14の光出射開口16を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第1の状態、及び導光系76を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、被測定光L2の光路を切り替える。
【0058】
なお、積分球14は、光入射開口15が光発生部6の光出射部7に対向し、かつ光出射開口16が光検出部9の光入射部11に対向した状態で、試料収容部3を覆うように暗箱5内に配置されている。
【0059】
次に、量子収率測定装置1Dを用いて量子収率を測定する方法について説明する。まず、試料Sが収容されていない空の試料セル2を暗箱5にセットする。そして、積分球14の光出射開口16を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第1の状態(すなわち、図10の状態)で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料収容部3を透過した励起光L1は、積分球14内で多重反射して、試料収容部3から放出された被測定光L2aとして光検出部9によって検出される。このとき、光路切替機構77は、導光系76の光路外に位置しており、光路切替機構79は、光入射部11の光路と導光系76の光路との交点外に位置している。
【0060】
続いて、図10に示されるように、試料セル2に試料Sを収容し、その試料セル2を暗箱5にセットする。そして、積分球14の光出射開口16を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第1の状態で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料Sで発生した蛍光は、積分球14内で多重反射して、試料S及び試料収容部3から放出された被測定光L2bとして光検出部9によって検出される。このとき、光路切替機構77は、導光系76の光路外に位置しており、光路切替機構79は、光入射部11の光路と導光系76の光路との交点外に位置している。
【0061】
続いて、図11に示されるように、導光系76を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第2の状態となるように、光路切替機構77,79によって被測定光L2の光路が切り替えられる。そして、第2の状態で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料Sで発生した蛍光は、直接(積分球14内での多重反射なしに)、試料Sから放出された被測定光L2cとして光検出部9によって検出される。このとき、光路切替機構77は、導光系76の光路上に位置しており、光路切替機構79は、光入射部11の光路と導光系76の光路との交点上に位置している。
【0062】
以下、上述した量子収率測定装置1Aの場合と同様に、データ解析装置によって、被測定光L2a,L2b,L2cのデータのデータに基づいて試料Sの量子収率が算出される。
【0063】
以上説明したように、量子収率測定装置1Dでは、積分球14の光出射開口16を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第1の状態、及び導光系76を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、被測定光L2の光路が光路切替機構77,79によって切り替えられる。これにより、第2の状態で蛍光のフォトン数を直接(積分球14内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のフォトン数を、第2の状態で検出された蛍光のフォトン数に基づいて補正することができる。従って、量子収率測定装置1Dによれば、試料Sの量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
[第5の実施形態]
【0064】
図12は、本発明の第5の実施形態の量子収率測定装置の横断面図である。図12に示されるように、量子収率測定装置1Eは、導光系81と、光路切替機構85,86と、を備えている点で、上述した量子収率測定装置1Aと主に相違している。
【0065】
導光系81は、光発生部6の光出射部7の途中の位置から光検出部9の光入射部11の途中位置に至る光路を有しており、励起光L1を試料収容部3に直接導光すると共に、試料Sから放出された被測定光L2を光検出部9に直接導光する。導光系81は、励起光L1を導光する光ファイバ82、被測定光L2を導光する光ファイバ83、並びに光ファイバ82の光出射端部及び光ファイバ83の光入射端部を束ねて保持するファイバ保持部材84を有している。ファイバ保持部材84は、シャッタ88によって開閉される積分球14の開口87を介して、試料収容部3に対して進退自在となっている。
【0066】
光路切替機構85は、光出射部7の光路に対して進退自在なミラーであって、その光路上に位置している場合には、励起光L1を導光系81の光路上に反射する。光路切替機構86は、光入射部11の光路に対して進退自在なミラーであって、その光路上に位置している場合には、導光系81によって導光された被測定光L2を光入射部11の光路上に反射する。つまり、光路切替機構85,86は、光入射開口15を介して励起光L1を試料収容部3に照射し、かつ光出射開口16を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第1の状態、及び、導光系81を介して励起光L1を試料収容部3に照射し、かつ導光系81を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、励起光L1の光路及び被測定光L2の光路を切り替える。
【0067】
なお、積分球14は、光入射開口15が光発生部6の光出射部7に対向し、かつ光出射開口16が光検出部9の光入射部11に対向した状態で、試料収容部3を覆うように暗箱5内に配置されている。
【0068】
次に、量子収率測定装置1Eを用いて量子収率を測定する方法について説明する。まず、試料Sが収容されていない空の試料セル2を暗箱5にセットする。そして、光入射開口15を介して励起光L1を試料収容部3に照射し、かつ光出射開口16を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第1の状態(すなわち、図12の状態)で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料収容部3を透過した励起光L1は、積分球14内で多重反射して、試料収容部3から放出された被測定光L2aとして光検出部9によって検出される。このとき、光路切替機構85は、光出射部7の光路外に位置しており、光路切替機構86は、光入射部11の光路外に位置している。また、ファイバ保持部材84は、積分球14外に位置し、シャッタ88は閉じられている。
【0069】
続いて、図12に示されるように、試料セル2に試料Sを収容し、その試料セル2を暗箱5にセットする。そして、光入射開口15を介して励起光L1を試料収容部3に照射し、かつ光出射開口16を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第1の状態で、光発生部6から励起光L1が出射されて試料収容部3に照射される。試料収容部3で反射された励起光L1、及び試料Sで発生した蛍光は、積分球14内で多重反射して、試料S及び試料収容部3から放出された被測定光L2bとして光検出部9によって検出される。このとき、光路切替機構85は、光出射部7の光路外に位置しており、光路切替機構86は、光入射部11の光路外に位置している。また、ファイバ保持部材84は、積分球14外に位置し、シャッタ88は閉じられている。
【0070】
続いて、図13に示されるように、シャッタ88が開かれて、積分球14の開口87を介してファイバ保持部材84が試料収容部3に接触若しくは接近させられる。さらに、導光系81を介して励起光L1を試料収容部3に照射し、かつ導光系81を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第2の状態となるように、光路切替機構85,86によって励起光L1の光路及び被測定光L2の光路が切り替えられる。そして、第2の状態で、光発生部6から励起光L1が出射されて、光ファイバ82を介して試料収容部3に照射される。試料Sで発生した蛍光は、光ファイバ83を介して直接(積分球14内での多重反射なしに)、試料Sから放出された被測定光L2cとして光検出部9によって検出される。このとき、光路切替機構85は、光出射部7の光路上に位置しており、光路切替機構86は、光入射部11の光路上に位置している。
【0071】
以下、上述した量子収率測定装置1Aの場合と同様に、データ解析装置によって、被測定光L2a,L2b,L2cのデータのデータに基づいて試料Sの量子収率が算出される。
【0072】
以上説明したように、量子収率測定装置1Eでは、光入射開口15を介して励起光L1を試料収容部3に照射し、かつ光出射開口16を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第1の状態、及び、導光系81を介して励起光L1を試料収容部3に照射し、かつ導光系81を介して被測定光L2を光検出部9に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、光路切替機構85,86によって励起光L1の光路及び被測定光L2の光路が切り替えられる。これにより、第2の状態で蛍光のフォトン数を直接(積分球14内での多重反射なしに)検出して、第1の状態で検出された蛍光のフォトン数を、第2の状態で検出された蛍光のフォトン数に基づいて補正することができる。従って、量子収率測定装置1Eによれば、試料Sの量子収率を正確にかつ効率良く測定することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1A,1B,1C,1D,1E…量子収率測定装置、2…試料セル、3…試料収容部、5…暗箱、6…光発生部、7…光出射部、9…光検出部、11…光入射部、14…積分球、15…光入射開口、16…光出射開口、30,72,80…移動機構、73…遮光部材、73a…光入射孔、73b…光出射孔、76,81…導光系、77,79,85,86…光路切替機構、L1…励起光、L2,L2a,L2b,L2c…被測定光、S…試料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、前記試料及び前記試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、前記試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、
前記試料収容部が内部に配置される暗箱と、
前記暗箱に接続された光出射部を有し、前記励起光を発生させる光発生部と、
前記暗箱に接続された光入射部を有し、前記被測定光を検出する光検出部と、
前記励起光を入射させる光入射開口、及び前記被測定光を出射させる光出射開口を有し、前記暗箱内に配置された積分球と、
前記試料収容部が前記積分球内に位置する第1の状態、及び前記試料収容部が前記積分球外に位置する第2の状態のそれぞれの状態となるように、前記試料収容部、前記光出射部及び前記光入射部を移動させ、前記第1の状態では、前記光出射部を前記光入射開口に対向させ、かつ前記光入射部を前記光出射開口に対向させる移動機構と、を備えることを特徴とする量子収率測定装置。
【請求項2】
試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、前記試料及び前記試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、前記試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、
前記試料収容部が内部に配置される暗箱と、
前記暗箱に接続された光出射部を有し、前記励起光を発生させる光発生部と、
前記暗箱に接続された光入射部を有し、前記被測定光を検出する光検出部と、
前記励起光を入射させる光入射開口、及び前記被測定光を出射させる光出射開口を有し、前記暗箱内に配置された積分球と、
前記試料収容部が前記積分球内に位置する第1の状態、及び前記試料収容部が前記積分球外に位置する第2の状態のそれぞれの状態となるように、前記積分球を構成する複数の部分を移動させ、前記第1の状態では、前記光入射開口を前記光出射部に対向させ、かつ前記光出射開口を前記光入射部に対向させる移動機構と、を備えることを特徴とする量子収率測定装置。
【請求項3】
試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、前記試料及び前記試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、前記試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、
前記試料収容部が内部に配置される暗箱と、
前記暗箱に接続された光出射部を有し、前記励起光を発生させる光発生部と、
前記暗箱に接続された光入射部を有し、前記被測定光を検出する光検出部と、
前記励起光を入射させるための光入射孔、及び前記被測定光を出射させるための光出射孔を有し、前記試料収容部を覆う形状に形成された遮光部材と、
前記励起光を入射させる光入射開口、及び前記被測定光を出射させる光出射開口を有し、前記光入射開口が前記光出射部に対向し、かつ前記光出射開口が前記光入射部に対向した状態で、前記試料収容部を覆うように前記暗箱内に配置された積分球と、
前記遮光部材が積分球外に位置する第1の状態、及び前記遮光部材が前記積分球内に位置して試料収容部を覆う第2の状態のそれぞれの状態となるように、前記遮光部材を移動させる移動機構と、を備えることを特徴とする量子収率測定装置。
【請求項4】
試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、前記試料及び前記試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、前記試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、
前記試料収容部が内部に配置される暗箱と、
前記暗箱に接続された光出射部を有し、前記励起光を発生させる光発生部と、
前記暗箱に接続された光入射部を有し、前記被測定光を検出する光検出部と、
前記励起光を入射させる光入射開口、及び前記被測定光を出射させる光出射開口を有し、前記光入射開口が前記光出射部に対向し、かつ前記光出射開口が前記光入射部に対向した状態で、前記試料収容部を覆うように前記暗箱内に配置された積分球と、
前記試料から放出された前記被測定光を前記光検出部に直接導光する導光系と、
前記光出射開口を介して前記被測定光を前記光検出部に入射させる第1の状態、及び前記導光系を介して前記被測定光を前記光検出部に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、前記被測定光の光路を切り替える光路切替機構と、を備えることを特徴とする量子収率測定装置。
【請求項5】
試料を収容するための試料セルの試料収容部に励起光を照射し、前記試料及び前記試料収容部の少なくとも一方から放出される被測定光を検出することにより、前記試料の量子収率を測定する量子収率測定装置であって、
前記試料収容部が内部に配置される暗箱と、
前記暗箱に接続された光出射部を有し、前記励起光を発生させる光発生部と、
前記暗箱に接続された光入射部を有し、前記被測定光を検出する光検出部と、
前記励起光を入射させる光入射開口、及び前記被測定光を出射させる光出射開口を有し、前記光入射開口が前記光出射部に対向し、かつ前記光出射開口が前記光入射部に対向した状態で、前記試料収容部を覆うように前記暗箱内に配置された積分球と、
前記励起光を前記試料収容部に直接導光すると共に、前記試料から放出された前記被測定光を前記光検出部に直接導光する導光系と、
前記光入射開口を介して前記励起光を前記試料収容部に照射し、かつ前記光出射開口を介して前記被測定光を前記光検出部に入射させる第1の状態、及び、前記導光系を介して前記励起光を前記試料収容部に照射し、かつ前記導光系を介して前記被測定光を前記光検出部に入射させる第2の状態のそれぞれの状態となるように、前記励起光の光路及び前記被測定光の光路を切り替える光路切替機構と、を備えることを特徴とする量子収率測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−117817(P2012−117817A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264853(P2010−264853)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】