説明

金めっき皮膜の封孔処理剤およびその利用

【課題】 金めっき皮膜の下地金属表面に耐熱性の優れた化成皮膜を形成させる金めっき皮膜のピンホールの封孔処理剤および封孔処理方法を提供することを目的とする。
また、前記の封孔処理剤を金属製導電部の金めっき皮膜の表面に接触させることにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させたプリント配線板および、前記の封孔処理剤を金めっき皮膜の表面に接触させることにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させた後、無鉛半田を用いて半田付けを行うプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 特定のイミダゾール化合物を有効成分として含有した封孔処理剤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の回路部を構成する金属製導電部の金めっき皮膜の表面に電子部品などを半田付けする際に使用する、金めっき皮膜の封孔処理剤およびその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICチップやコンデンサチップ、抵抗チップなどの電子部品をプリント配線板に実装する方法としては、半田接合による方法が一般的であるが、電子部品の端子やプリント配線板の回路部を構成する銅または銅合金に金めっき処理を施すことが広く行われている。これは、溶融半田に対する金の濡れ性が優れると云う性質を利用し、半田接合強度の向上を目的としたものである。
【0003】
ところで、近年、製造コストの低減化を目的として、金めっき皮膜の厚みを薄くすることが行われ、そのため半田接合不良が屡々発生している。この原因は、金めっき皮膜の厚みを薄くするにつれて、金めっき皮膜に発生するピンホールの数が増加することに由来するのであるが、一般に金めっき処理を行う際には、銅や銅合金等の下地金属中へ金が拡散するのを防止するために予めニッケルめっき処理が施されており、このニッケルが空気酸化を受け易いために、露出されたニッケルめっき皮膜の表面に半田濡れ性を阻害する酸化皮膜が生成するためと考えられている。
この様な現象は、昨今のようにプリント配線板が複数回の熱履歴を受ける場合や、従来の鉛を含有する共晶半田に比べて、より高温の半田付け温度を要する無鉛半田を使用する場合には特に顕著となって、半田接合不良が発生し易くなる。
【0004】
この問題を解決する方法の一つとして、ピンホールの封孔処理が検討されているが、封孔処理剤の有効成分として、金属との錯体形成能を有する各種含窒素複素環化合物(キレート剤)の使用が提案されている。
例えば特許文献1には、パラフィンワックスを主成分として、更にキレート剤としてベンズイミダゾール、N−アセチルベンズイミダゾールやN−ベンゾイルベンズイミダゾールを含有する封孔処理剤が開示されている。
また、特許文献2には、ネオペンチル脂肪酸エステル、炭素数20と炭素数22のうち少なくとも一方の炭素数の二塩基酸および二塩基酸のアミン塩ならびに、キレート剤として2−n−ウンデシルイミダゾールおよび5−アミノテトラゾールを含有する封孔処理剤が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの封孔処理剤は、金めっき皮膜の下地金属表面に形成してピンホールを封孔する化成皮膜の耐熱性が乏しく、半田濡れ性の劣化を十分に抑制することが出来ないものであった。また、前者の封孔処理剤は、トルエン、キシレン等の石油系溶媒、トリクロロエチレン、トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、あるいはフロン系の溶媒を使用しなければならず、また後者の封孔処理剤も、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、1,1,1−トリクロロエタン、メチレンクロライド等の塩素系溶剤、フロン113、フロン225等のフッ素系溶剤を使用しなければならず、環境面での問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平4−202699号公報
【特許文献2】特開平11−279533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、金めっき皮膜の下地金属表面に耐熱性の優れた化成皮膜を形成させる金めっき皮膜のピンホールの封孔処理剤および封孔処理方法を提供することを目的とする。
また、前記の封孔処理剤を金属製導電部の金めっき皮膜の表面に接触させることにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させたプリント配線板および、前記の封孔処理剤を金めっき皮膜の表面に接触させることにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させた後、無鉛半田を用いて半田付けを行うプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、化1〜7の一般式(I)〜(VII)で示されるイミダゾール化合物から選ばれる一種もしくは二種以上とを含有することを特徴とする金めっき皮膜の封孔処理剤(第1の発明)とすることにより、所期の目的を達成することを見出し本発明を完成するに至った。

【0009】
【化1】

(式中、Rは水素原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。但し、R、RおよびRが同一に水素原子である場合を除く。)
【0010】
【化2】

(式中、Rは水素原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0011】
【化3】

(式中、Rは水素原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0012】
【化4】

(式中、Rは水素原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0013】
【化5】

(式中、R、R、R、およびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。nは0〜6の整数を表す。)
【0014】
【化6】

(式中、R、R、R、およびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。nは0〜6の整数を表す。)
【0015】
【化7】

(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。nは0〜6の整数を表す。)
【0016】
第2の発明は、金めっき皮膜の表面に第1の発明の封孔処理剤を接触させることにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させることを特徴とする金めっき皮膜の封孔処理方法である。
第3の発明は、金めっき皮膜の表面に第1の発明の封孔処理剤を接触させることにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させたことを特徴とするプリント配線板である。
第4の発明は、金めっき皮膜の表面に第1の発明の封孔処理剤を接触させることにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させた後、無鉛半田を用いて半田付けを行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の金めっき皮膜の封孔処理剤および封孔処理方法によれば、前記化1〜7の一般式(I)〜(VII)で示されるイミダゾール化合物を有効成分として使用することにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に耐熱性に優れた化成皮膜を形成させることができるので、複数回の熱履歴を受けたプリント配線板であっても、また無鉛半田を使用する場合の高温下においても、プリント配線板と電子部品とを半田付けした際の半田接合強度を高めることができる。本発明のプリント配線板を使用した場合、また本発明のプリント配線板の製造方法によれば、有害な鉛を含まない無鉛半田を使用して、プリント配線板と電子部品との半田接合を確実なものとすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の封孔処理剤は、前記化1〜7の一般式(I)〜(VII)で示されるイミダゾール化合物を含有する水溶液である。
【0019】
化1の一般式(I)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−メチルベンズイミダゾール、
2−エチルベンズイミダゾール、
2−プロピルベンズイミダゾール、
2−イソプロピルベンズイミダゾール、
2−ブチルベンズイミダゾール、
2−t−ブチルベンズイミダゾール、
2−ペンチルベンズイミダゾール、
2−ヘキシルベンズイミダゾール、
2−ヘプチルベンズイミダゾール、
2−(1−エチルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−オクチルベンズイミダゾール、
2−(2,4,4−トリメチルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−ノニルベンズイミダゾール、
2−デシルベンズイミダゾール、
2−ウンデシルベンズイミダゾール、
2−ドデシルベンズイミダゾール、
2−トリデシルベンズイミダゾール、
2−テトラデシルベンズイミダゾール、
2−ペンタデシルベンズイミダゾール、
2−ヘキサデシルベンズイミダゾール、
2−ヘプタデシルベンズイミダゾール、
2−(1−ヘプチルデシル)ベンズイミダゾール、
2−ヘキシル−5−メチルベンズイミダゾール、
2−ヘプチル−5,6−ジメチルベンズイミダゾール、
2−オクチル−5−クロロベンズイミダゾール、
2−エチル−5−オクチル−6−ブロモベンズイミダゾール、
2−ペンチル−5,6−ジクロロベンズイミダゾール、
4−フルオロベンズイミダゾール、
2−ペンチル−5−ヨードベンズイミダゾール等のアルキルベンズイミダゾール化合物が例示される。
【0020】
化2の一般式(II)で示されるイミダゾール化合物としては、
2,4−ジフェニルイミダゾール、
2−(2−メチルフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−オクチルフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,4−ジメチルフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ヘキシルフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−メチル−5−ブチルフェニル)イミダゾール、
2,4−ジフェニル−5−メチルイミダゾール、
2,4−ジフェニル−5−ヘキシルイミダゾール、
2−(2,4−ジエチルフェニル)−4−(3−プロピル−5−オクチルフェニル)−5−イソブチルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−ヨードフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−ヨードフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−ヨードフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−フルオロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−フルオロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−フルオロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,5−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3,5−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,4−ジブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−メチル−4−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−ブロモ−5−オクチルフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2−ヨードフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−ヨードフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(4−ヨードフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2−フルオロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−フルオロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(4−フルオロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,5−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3,5−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−エチルイミダゾール、
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−デシルイミダゾール、
2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−ヘプタデシルイミダゾール、
2−(2,4−ジブロモフェニル)−4−フェニル−5−イソプロピルイミダゾール、
2−(2−ヘプチル−4−クロロフェニル)−4−フェニル−5−イソブチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ヨードフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ヨードフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ヨードフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−フルオロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−フルオロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−フルオロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,3−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,4−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,5−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,6−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3,4−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3,5−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,3−ジブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−プロピル−3−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ブロモ−4−ヘプチルフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ヨードフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ヨードフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ヨードフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−フルオロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−フルオロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−フルオロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,3−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,5−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3,5−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,3−ジクロロフェニル)−5−プロピルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ウンデシルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,4−ジブロモフェニル)−5−(1−メチルブチル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ヘキシル−4−ヨードフェニル)−5−プロピルイミダゾール、
2,4−ビス(4−クロロフェニル)イミダゾール
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−ブロモ−4−オクチルフェニル)−4−(2−メチル−4−ヨードフェニル)−5−オクチルイミダゾール等が例示される。
【0021】
化3の一般式(III)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−フェニル−4−(1−ナフチル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ナフチル)イミダゾール、
2−(4−メチルフェニル)−4−(4−クロロ−6−ブチル−1−ナフチル)イミダゾール、
2−(2−オクチル−4−エチルフェニル)−4−(5−クロロ−7−ヘプチル−1−ナフチル)イミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(2−イソブチル−6−ブロモ−2−ナフチル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(1−ナフチル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−ヨードフェニル)−4−(5,6−ジメチル−1−ナフチル)−5−デシルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ナフチル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2,3−ジフルオロフェニル)−4−(7−オクチル−2−ナフチル)−5−ヘプタデシルイミダゾール等が例示される。
【0022】
化4の一般式(IV)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−(1−ナフチル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−ナフチル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−メチル−5−クロロ−1−ナフチル)−4−(4−ヘキシルフェニル)イミダゾール、
2−(2−イソブチル−5−ヨード−2−ナフチル)−4−(2−ペンチル−5−フルオロフェニル)イミダゾール、
2−(1−ナフチル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3,6−ジクロロ−2−ナフチル)−4−(2−イソプロピル−5−フルオロフェニル−5−デシルイミダゾール、
2−(6−プロピル−7−ヨード−1−ナフチル)−4−(3−ヘキシル−6−ブロモフェニル)−5−ヘプタデシルイミダゾール等が例示される。
【0023】
化5の一般式(V)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−フェニルベンズイミダゾール、
2−(4−メチルフェニル)ベンズイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)ベンズイミダゾール、
2−(2−ヘキシルフェニル)−5−クロロベンズイミダゾール、
2−(フェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−エチルフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−クロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(3,4−ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニルメチル)−5−エチルベンズイミダゾール、
2−(3−ヨードフェニルメチル)−4−クロロベンズイミダゾール、
2−(2−フェニルエチル)ベンズイミダゾール、
2−[2−(3−イソプロピルフェニル)エチル]ベンズイミダゾール、
2−[2−(4−クロロフェニル)エチル]ベンズイミダゾール、
2−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−4,5−ジメチルベンズイミダゾール、
2−(3−フェニルプロピル)ベンズイミダゾール、
2−[3−(4−t−ブチルフェニル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2−[3−(2−クロロフェニル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2−[3−(4−ブロモフェニル)プロピル]−5−ブチルベンズイミダゾール、
2−(4−フェニルブチル)ベンズイミダゾール、
2−[4−(4−クロロフェニル)ブチル]ベンズイミダゾール、
2−[4−(2,4−ジクロロフェニル)ブチル]−4,7−ジクロロベンズイミダゾール、
2−(5−フェニルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−[5−(2−オクチルフェニル)ペンチル]ベンズイミダゾール、
2−[5−(3,4−ジクロロフェニル)ペンチル]−5−ヘプチルベンズイミダゾール、
2−(6−フェニルヘキシル)ベンズイミダゾール、
2−[6−(3−ヘキシルフェニル)ヘキシル]ベンズイミダゾール、
2−[6−(2−エチル−3−フルオロフェニル)ヘキシル]4−ブチル−5−オクチルベンズイミダゾール等が例示される。
【0024】
化6の一般式(VI)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−(1−ナフチル)ベンズイミダゾール、
2−(1−ナフチル)−4−メチルベンズイミダゾール、
2−(2−ナフチル)ベンズイミダゾール、
2−(1−クロロ−2−ナフチル)−5,6−ジクロロベンズイミダゾール、
2−(1−ナフチルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4,6−ジメチル−1−ナフチルメチル)−5−エチルベンズイミダゾール、
2−(7−ブロモ−1−ナフチルメチル)−5−ブロモベンズイミダゾール、
2−(2−ナフチルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−イソプロピル−2−ナフチルメチル)−5−t−ブチルベンズイミダゾール、
2−[2−(1−ナフチル)エチル]ベンズイミダゾール、
2−[2−(5−ペンチル−1−ナフチル)エチル]−5−クロロベンズイミダゾール、
2−[2−(2−ナフチル)エチル]ベンズイミダゾール、
2−[2−(6−ヘプチル−2−ナフチル)エチル]−4−メチル−5−ヘキシルベンズイミダゾール、
2−[3−(1−ナフチル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2−[3−(4−ヨード−1−ナフチル)プロピル]−5,6−ジブロモベンズイミダゾール、
2−[3−(2−ナフチル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2−[3−(8−イソプロピル−2−ナフチル)プロピル]−5−(2−メチルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−[4−(1−ナフチル)ブチル]ベンズイミダゾール、
2−[4−(5−フルオロ−1−ナフチル)ブチル]−4−(2−プロピルブチル)ベンズイミダゾール、
2−[4−(2−ナフチル)ブチル]ベンズイミダゾール、
2−[4−(7−オクチル−2−ナフチル)ブチル]−4,6−ジエチルベンズイミダゾール、
2−[5−(1−ナフチル)ペンチル]ベンズイミダゾール、
2−[5−(6−ペンチル−7−フルオロ−1−ナフチル)ペンチル]−4,7−ジプロピルベンズイミダゾール、
2−[5−(2−ナフチル)ペンチル]ベンズイミダゾール、
2−[5−(6,7−ジメチル−2−ナフチル)ペンチル]−5,6−ジクロロベンズイミダゾール、
2−[6−(6,7−ジエチル−1−ナフチル)ヘキシル]−5−オクチルベンズイミダゾール、
2−[6−(2−ナフチル)ヘキシル]ベンズイミダゾール、
2−[6−(7−エチル−8−ブロモ−2−ナフチル)ヘキシル]−4−ヘキシル−6−フルオロベンズイミダゾール等が例示される。
【0025】
化7の一般式(VII)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−シクロヘキシルベンズイミダゾール、
2−シクロヘキシル−5,6−ジメチルベンズイミダゾール、
2−シクロヘキシル−5−クロロベンズイミダゾール、
2−シクロヘキシル−4−イソプロピルベンズイミダゾール
2−(シクロヘキシルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(シクロヘキシルメチル)−5−エチルベンズイミダゾール、
2−(シクロヘキシルメチル)−5−ブロモベンズイミダゾール、
2−(2−シクロヘキシルエチル)ベンズイミダゾール、
2−(2−シクロヘキシルエチル)−5−クロロ−6−メチルベンズイミダゾール、
2−(3−シクロヘキシルプロピル)ベンズイミダゾール、
2−(3−シクロヘキシルプロピル)−5−ブチルベンズイミダゾール、
2−(3−シクロヘキシルプロピル)−4,7−ジメチルベンズイミダゾール、
2−(4−シクロヘキシルブチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−シクロヘキシルブチル)−5−ヨードベンズイミダゾール、
2−(4−シクロヘキシルブチル)−4−クロロ−5−エチルベンズイミダゾール、
2−(4−シクロヘキシルブチル)−5−オクチルベンズイミダゾール、
2−(5−シクロヘキシルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−(5−シクロヘキシルペンチル)−5−ヘキシルベンズイミダゾール、
2−(5−シクロヘキシルペンチル)−5,6−ジブロモベンズイミダゾール、
2−(6−シクロヘキシルヘキシル)ベンズイミダゾール、
2−(6−シクロヘキシルヘキシル)−5−ヘプチルベンズイミダゾール、
2−(6−シクロヘキシルヘキシル)−4−クロロ−5−(2−プロピルブチル)ベンズイミダゾール等が例示される。
【0026】
本発明の実施においては、一般式(I)〜(VII)で示されるイミダゾール化合物を単独または組み合わせて使用することが出来る。イミダゾール化合物の濃度としては、一般式(I)〜(VII)から選ばれる1種もしくは二種以上のイミダゾール化合物の総量が、封孔処理剤中に0.001〜10重量%の割合、好ましくは0.01〜5重量%の割合となるように含有される。イミダゾール化合物の含有割合が0.001重量%より少ないと、金めっき皮膜の下地金属の表面に形成される化成皮膜の膜厚が薄くなり、ピンホールの封孔を十分に行うことが出来ない。また、10重量%より多くしても、封孔処理の効果は既に十分得られており、却って薬剤コストが嵩むばかりである。
【0027】
本発明の実施において、イミダゾール化合物を水溶液化するに当たっては、従来知られた有機酸、無機酸または有機溶剤を可溶化剤として使用することができる。
この際に使用される代表的な有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、パラニトロ安息香酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、ピクリン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、酒石酸、アジピン酸等が挙げられ、無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
【0028】
また、有機酸として化8の一般式で示されるカルボン酸化合物を使用してもよい。
【0029】
【化8】

(式中、Rは炭素数が1〜4である直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、Rは水素原子またはメチル基を表す。mは0〜3の整数を表し、nは1または2を表す。)
【0030】
これらの酸化合物は、単独または組み合わせて使用することができ、封孔処理剤中に0.01〜50重量%の割合、好ましくは0.1〜30重量%の割合で含有すればよい。酸化合物の含有量が0.01重量%より少ない場合には、イミダゾール化合物を十分に可溶化することができず、また50重量%より多くしてもイミダゾール化合物の可溶化効果の増加は期待できず、徒に酸化合物の薬剤コストが増大するに過ぎない。
【0031】
また有機溶剤としては、水と自由に混和するメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールあるいはアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール等が挙げられる。
【0032】
本発明の封孔処理剤には、金めっき皮膜の下地金属の表面における化成皮膜の形成速度を速めるために銅化合物を添加することができ、また形成された化成皮膜の耐熱性を更に向上させるために亜鉛化合物を添加しても良い。
前記銅化合物の代表的なものとしては、酢酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化銅、水酸化銅、リン酸銅、硫酸銅、硝酸銅等であり、また前記亜鉛化合物の代表的なものとしては、酸化亜鉛、蟻酸亜鉛、酢酸亜鉛、蓚酸亜鉛、乳酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸亜鉛等が挙げられ、何れも封孔処理剤に対して0.0001〜10重量%の割合、好ましくは0.002〜5重量%の割合で添加すれば良い。
【0033】
これらの銅化合物や亜鉛化合物を用いる場合には、封孔処理剤中に、アンモニアあるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類等の緩衝作用を有する物質を添加して封孔処理剤のpHを安定にすることが好ましい。
【0034】
本発明の封孔処理剤には、化成皮膜の形成速度および該皮膜の耐熱性を更に向上させるために、ハロゲン化合物を0.00001〜1重量%、好ましくは0.0001〜0.5重量%の割合で添加することができる。ハロゲン化合物としては、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、塩化ナトリム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、ヨウ化ナトリム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム等が挙げられる。
【0035】
本発明の実施における封孔処理は、対象とする金めっき皮膜の種類に特に制限はなく、電解めっき法や、還元剤を利用する還元型またはイオン化傾向の差を利用する置換型の無電解めっき法など、従来公知のめっき方法を採用して、種々の基材の表面に形成した金めっき皮膜に適応することができる。
また、下地処理として施される金属めっきの種類に特に制限はなく、一般的に採用されているニッケルめっきの他、錫や銀あるいは白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等のめっきを採用することができる。
【0036】
本発明の封孔処理剤を用いてプリント配線板の金属製導電部の金めっき皮膜の表面を処理する際の条件としては、封孔処理剤の液温を10〜70℃、接触時間を1秒〜10分とすることが好ましい。接触方法としては、浸漬、噴霧、塗布等の方法が挙げられる。
【0037】
本発明に適応し得る半田付け方法としては、例えば、加熱溶融した液体状の半田が入っている半田槽の上にプリント配線板を流し、電子部品とプリント配線板の接合部に半田付けを行なうフロー法や、予めプリント配線板の接合部に半田クリームや半田ボールを載置し、この上に電子部品を実装しプリント配線板を加熱して半田を溶融させ、半田付けを行うリフロー法が挙げられる。
【0038】
本発明の半田付けに適する半田としては、錫−銀−銅系、錫−銀−ビスマス系、錫−ビスマス系、錫−銀−ビスマス−インジウム系、錫−亜鉛系、錫−銅系等の無鉛半田が挙げられるが、従来より使用されてきた錫−鉛合金の共晶半田の使用も可能である。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例で使用した原料ならびに評価試験方法は次のとおりである。特に記載の無い原料については、市販の試薬を使用した。
【0040】
[イミダゾール化合物]
・2,4−ジフェニル−5−メチルイミダゾール(特開平7-243053号公報に記載の方法に従って合成した)
・2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール(特開2004-277386号公報に記載の方法に従って合成した)
・2−フェニル−4−(3,4−ジクロロフェニル)イミダゾール(特開2005-104878号公報に記載の方法に従って合成した)
・2−(1−ナフチル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール(特開2006-36683号公報に記載の方法に従って合成した)
・2−フェニル−4−(2−ナフチル)イミダゾール(特開2006-36683号公報に記載の方法に従って合成した)
・2−オクチルベンズイミダゾール(J.Am.Chem.Soc.,59,178(1937)に記載の方法に従って合成した)
・2−(4−クロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール(Science of Synthesis,12,529(2002)に記載の方法に準拠して合成した)
・2−(3,4−ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール(Science of Synthesis,12,529(2002)に記載の方法に準拠して合成した)
・2−(1−ナフチルメチル)ベンズイミダゾール(Biochemical Pharmacology, 36, 463(1987)に記載の方法に準拠して合成した)
・2−ウンデシルイミダゾール(四国化成工業社製、商品名「C11Z」)
・2−ベンジル−4−メチルイミダゾール(特開平7-243054号公報に記載された方法に従って合成した)
・2−フェニルイミダゾール(四国化成工業社製、商品名「2PZ」)
【0041】
[カルボン酸化合物]
・2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(油化学、第32巻、118頁(1983)に記載の方法に準拠して合成した)
【0042】
[半田広がり性試験]
プリント配線板の試験片として、40mm(縦)×30mm(横)×1.2mm(厚み)のガラスエポキシ樹脂製の銅張積層板(片面銅箔)の銅表面に、無電解ニッケルめっき処理(めっき皮膜厚:3〜5μm)及び無電解金めっき処理(めっき皮膜厚:0.01〜0.10μm、ピンホールを多数認める)を施したものを使用した。
上記の試験片を脱脂、ソフトエッチング及び水洗した後、所定の液温に保持した封孔処理剤に所定時間浸漬し、次いで水洗、乾燥して封孔処理を実施した。
封孔処理した試験片の熱履歴として、リフロー装置(製品名:MASRN−200NH2、弘輝テック社製)を用いて、ピーク温度を240℃としたリフロー加熱を大気雰囲気中または窒素雰囲気中で3回繰り返す加熱処理を行った。また、他の熱履歴として熱風乾燥器(製品名:IOD−90F、池元理化工業社製)を用いて、大気雰囲気で180℃、1時間の加熱処理を行った。
上記加熱処理を施した試験片の中央部にロジンフラックス(25%−IPA溶液、千住金属工業社製)を2〜3滴滴下し、その上に96.5錫−3.0銀−0.5銅(重量%)からなる組成の無鉛半田ボール(商品名:エコソルダーボールM31、0.76φ、千住金属工業社製)を載置した後、250℃に保持したホットプレート上に約30秒間置き、半田ボールを溶融させて半田付けを行った。次いで常温に放置して冷却した後、アルコール等でフラックス残留分を取り除き、半田広がり面積を測定した。
半田広がり面積が大きい程、溶融半田に対する金の濡れ性が優れていると判定され、半田付けを行った際の半田接合強度が高くなることが期待される。
なお、封孔処理を行わずに半田広がり性を評価した結果は、表1に示したとおりであった(ブランクテスト)。
【0043】
【表1】

【0044】
〔実施例1〕
イミダゾール化合物として2,4−ジフェニル−5-メチルイミダゾール、可溶化剤としてレブリン酸、金属塩として酢酸銅および酢酸亜鉛、ハロゲン化合物として臭化カリウムを、各々表1に記載した組成になるようにイオン交換水に溶解させ、アンモニア水でpH3.8に調整して封孔処理剤を調製した。
次いで、試験片を20℃に温調した封孔処理剤に30秒間浸漬後、水洗、乾燥して、金めっき皮膜の下地金属であるニッケルめっき皮膜の表面に化成皮膜を形成させて、金めっき皮膜の封孔処理を行った。
この試験片について半田広がり性を試験した結果は、表2に示したとおりであった。
【0045】
〔実施例2〜13、比較例1〜5〕
実施例1と同様にして、表1記載の組成およびpHを有する封孔処理剤を調製し、表2に記載の処理条件にて封孔処理を行って、半田広がり性を試験した結果は、表2に示したとおりであった。
【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化1〜7の一般式(I)〜(VII)で示されるイミダゾール化合物から選ばれる一種もしくは二種以上を含有することを特徴とする金めっき皮膜の封孔処理剤。
【化1】

(式中、Rは水素原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。但し、R、RおよびRが同一に水素原子である場合を除く。)
【化2】

(式中、Rは水素原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【化3】

(式中、Rは水素原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【化4】

(式中、Rは水素原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【化5】

(式中、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。nは0〜6の整数を表す。)
【化6】

(式中、R、R、R、およびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。nは0〜6の整数を表す。)
【化7】

(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。nは0〜6の整数を表す。)
【請求項2】
金めっき皮膜の表面に請求項1記載の封孔処理剤を接触させて、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させることを特徴とする金めっき皮膜の封孔処理方法。
【請求項3】
金めっき皮膜の表面に請求項1記載の封孔処理剤を接触させることにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させたことを特徴とするプリント配線板。
【請求項4】
金めっき皮膜の表面に請求項1に記載の封孔処理剤を接触させることにより、金めっき皮膜の下地金属の表面に化成皮膜を形成させた後、無鉛半田を用いて半田付けを行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法。

【公開番号】特開2009−57596(P2009−57596A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225495(P2007−225495)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】