金型クリーニング方法


【目的】 リードフレームやダミーリードフレームを使用することなく簡単、かつ確実に金型をクリーニング可能な金型クリーニング方法を提供する。
【構成】 金型10、16を型開する工程と、型開した前記金型10、16のパーティング面同士の間に、溶融状態のクリーニング樹脂28が含浸および透過可能なシート状部材26を介挿する工程と、型開した前記金型10、16を型閉する工程と、前記金型10、16のパーティング面同士の間に、前記シート状部材26を介して溶融状態のクリーニング樹脂28を充填する工程とを具備する。


【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金型クリーニング方法に関し、一層詳細には樹脂成形するための金型をクリーニングするための金型クリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂成形するための金型、例えば半導体装置や電子部品のリードフレームを樹脂封止するためのトランスファモールド装置に用いられる金型では、成形完了後における型開の都度ブラシで樹脂カス等を除去している(例えば特開平4−152111号公報参照)。しかしながら、毎回ブラシで樹脂カス等を除去しても、金型の構造によりブラシで樹脂カス等を除去するために、数百ショット毎に溶融状態のクリーニング樹脂(例えばメラミン樹脂)を型閉した状態の金型内へ充填し、こびりついている樹脂カス等を除去し、クリーニング効果を高めている。従来のクリーニング樹脂によるクリーニング方法は、樹脂封止しようとするリードフレーム、またはゴムで形成したダミーのリードフレームを金型内にセットしてクリーニング樹脂をポットから充填する方法や、クリーニング樹脂を金型のパーティング面に置いて型閉、加熱する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来の金型クリーニング方法には次のような課題がある。樹脂封止しようとするリードフレーム、またはゴムで形成したダミーのリードフレームを金型内にセットしてクリーニング樹脂をポットから充填する方法では、金型内にセットするリードフレームやダミーリードフレームは1回クリーニングに使用されるとクリーニング樹脂により樹脂成形(封止)されるので、再使用することができない。従って、クリーニングの都度リードフレームやダミーリードフレームを使用するため、不経済であるという課題がある。また、金型パーティング面のリードフレームやダミーリードフレームを挟持している部分はクリーニング樹脂と接触不能であるので、当該部分をクリーニングすることができないという課題がある。クリーニング樹脂を金型のパーティング面に置いて型閉、加熱する方法では、最も重要なポット内面のクリーニングができないという課題がある。また、金型内にリードフレームやダミーリードフレームをセットしないので、型閉した際に本来リードフレームがセットされる空間が間隙となり、当該間隙から溶融したクリーニング樹脂が吹き出すことがある。従って、本発明はリードフレームやダミーリードフレームを使用することなく簡単、かつ確実に金型をクリーニング可能な金型クリーニング方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。すなわち、金型を型開する工程と、型開した前記金型のパーティング面同士の間に、溶融状態のクリーニング樹脂が含浸および透過可能なシート状部材を介挿する工程と、型開した前記金型を型閉する工程と、前記金型のパーティング面同士の間に、前記シート状部材を介して溶融状態のクリーニング樹脂を充填する工程とを具備することを特徴とする。特に、前記金型はトランスファモールド装置の金型であり、前記金型のパーティング面同士の間に、前記シート状部材を介して溶融状態のクリーニング樹脂を充填する際、該クリーニング樹脂はポットを経由してプランジャで圧送、充填する場合に有効である。また、前記シート状部材は、前記金型のパーティング面全面を被覆可能なサイズにするとよい。
【0005】
【作用】作用について説明する。本発明に係る方法では、金型のパーティング面同士の間に、溶融状態のクリーニング樹脂が含浸および透過可能なシート状部材を介挿し、パーティング面同士の間に、前記シート状部材を介して溶融状態のクリーニング樹脂を充填する。従って、溶融したクリーニング樹脂は含浸したシート状部材を伝ってパーティング面に行き渡る。また、パーティング面に凹設されている樹脂路やキャビティ内へはシート状部材を含浸しながら伝わると共に、シート状部材を透過して充填される。特に、トランスファモールド装置において、クリーニング樹脂がポットを経由してプランジャで圧送、充填する場合、ポット内面もクリーニング可能となる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について添付図面と共に詳述する。なお、本実施例では半導体装置や電子部品の樹脂封止を行うためのトランスファモールド装置における金型クリーニング方法を例に挙げて説明する。図1には本実施例の金型クリーニング方法を実施している状態の要部断面図を示し、図2にはシート状部材をセットした状態を示した斜視図を示す。図において、10は金型を構成する上型であり、パーティング面(下面)にはカル12、上キャビティ14が凹設されている。16は金型を構成する下型であり、パーティング面(上面)には下キャビティ18、樹脂路20が凹設されている。また、下型16内には樹脂供給用のポット22が埋設され、カル12に対向する位置に開口している。
【0007】24はプランジャであり、ポット22内を公知の駆動機構(例えば特開平4−199645号公報参照)を介して上下方向へ摺動可能になっている。プランジャ24がポット22内を上動する際に樹脂封止用の樹脂をカル12、樹脂路20を経由してキャビティ14、18内へ充填する。上型10、下型16は通常モールドベース(不図示)に組み込まれ、例えば上型10が公知の上下動機構(例えば電動モータやシリンダ装置を用いた上下動機構)を介して位置固定の下型16に対して接離動可能になっている。26はシート状部材であり、後述する溶融状態のクリーニング樹脂が含浸および透過可能な素材で形成されている。本実施例では、シート状部材26の一例として綿布が使用されている。なお、本実施例において、シート状部材26は、上型10および下型16の両パーティング面全面を被覆可能なサイズに形成されている。
【0008】次に、上記の上型10および下型16をシート状部材26を用いてクリーニングする方法について説明する。まず、上下動機構を駆動して上型10を上動させ、型開状態(図2の状態)とする。この型開状態でシート状部材26を上型10と下型16の間に介挿し、下型16のパーティング面全面を覆う(図2の状態)。シート状部材26のセットが完了したら、上下動機構を駆動して上型10を下動させ、型閉状態(図1の状態)とする。この型閉状態において、クリーニング樹脂28をポット22からプランジャ24で圧送、充填する(図1R>1の状態)。クリーニング樹脂28は、綿布であるシート状部材26に対して毛細管現象を起こす含浸性が有り、繊維間を透過する性質が必要なので、溶融状態において粘度が極めて低く、極狭い間隙内にも進入可能な樹脂であり、例えば熱硬化性のメラミン樹脂が使用される。
【0009】シート状部材26は、本実施例では上型10と下型16のパーティング面全面を覆うサイズであるが、少なくともパーティング面上の半導体装置のリードフレームがセットされる部分だけは被覆する。クリーニング樹脂28をポット22から圧送すると、カル12、樹脂路20、キャビティ14、18を含め、上型10と下型16のパーティング面同士の間に、溶融状態のクリーニング樹脂28が、シート状部材26を介して浸透、および透過して充満する。クリーニング樹脂28は粘度が低いのでパーティング面間の細部全体にまで行き渡る。特に、パーティング面に凹設されているカル12、樹脂路20、キャビティ14、18内にもシート状部材26を透過して充満する。また、クリーニング樹脂28を圧送する際にはポット22内面もクリーニング樹脂と接する。このように、シート状部材26で、上型10と下型16のパーティング面全面を覆うと共に、クリーニング樹脂28をポット22から圧送して金型クリーニングを行うと、ポット22内面、カル12、樹脂路20、キャビティ14、18の各内面を含む上型10と下型16のパーティング面全面をクリーニングすることができる。
【0010】仮に型閉状態において、上型10と下型16のパーティング面同士の間に間隙が有ってもクリーニング樹脂28はシート状部材26に含浸されながら浸透するので当該間隙から噴出するおそれはない。クリーニング完了後、クリーニング樹脂28が硬化したら上下動機構を駆動して上型10を上動させ、型開状態(図2の状態)とする。その後、エジェクタピン(不図示)を駆動して硬化したクリーニング樹脂28(シート状部材26を内包する)をエジェクトすればクリーニングが完了する。以上、本発明の好適な実施例について種々述べてきたが、本発明は上述の実施例に限定されるのではなく、発明の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0011】
【発明の効果】本発明に係る金型クリーニング方法を用いると、金型のパーティング面同士の間に、溶融状態のクリーニング樹脂が含浸および透過可能なシート状部材を介挿し、パーティング面同士の間に、前記シート状部材を介して溶融状態のクリーニング樹脂を充填する。従って、溶融したクリーニング樹脂は含浸したシート状部材を伝ってパーティング面に行き渡る。また、パーティング面に凹設されている樹脂路やキャビティ内へはシート状部材を含浸しながら伝わると共に、シート状部材を透過して充填されるので、シート状部材が対応している部分は全てクリーニング可能となる。また、クリーニング樹脂を浸透して伝わるので、型閉状態において、金型のパーティング面同士の間に間隙が有ってもクリーニング樹脂が当該間隙から噴出するおそれはない。また、シート状部材は使い捨てではあるが、安価なので経済的である。さらに、トランスファモールド装置において、クリーニング樹脂がポットを経由してプランジャで圧送、充填する場合、ポット内面もクリーニング可能となる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金型クリーニング方法を実施している状態の要部断面図。
【図2】シート状部材をセットした状態を示した斜視図。
【符号の説明】
10 上型
12 カル
14 上キャビティ
16 下型
18 下キャビティ
20 樹脂路
22 ポット
24 プランジャ
26 シート状部材
28 クリーニング樹脂


【特許請求の範囲】
【請求項1】 金型を型開する工程と、型開した前記金型のパーティング面同士の間に、溶融状態のクリーニング樹脂が含浸および透過可能なシート状部材を介挿する工程と、型開した前記金型を型閉する工程と、前記金型のパーティング面同士の間に、前記シート状部材を介して溶融状態のクリーニング樹脂を充填する工程とを具備することを特徴とする金型クリーニング方法。
【請求項2】 前記金型はトランスファモールド装置の金型であり、前記金型のパーティング面同士の間に、前記シート状部材を介して溶融状態のクリーニング樹脂を充填する際、該クリーニング樹脂はポットを経由してプランジャで圧送、充填することを特徴とする請求項1記載の金型クリーニング方法。
【請求項3】 前記シート状部材は、前記金型のパーティング面全面を被覆可能であることを特徴とする請求項1または2記載の金型クリーニング方法。


【図1】


【図2】


【公開番号】特開平6−254866
【公開日】平成6年(1994)9月13日
【国際特許分類】
処理操作;運輸 | プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般 | プラスチックの成形または接合;可塑状態の物質の成形一般;成形品の後処理,例.補修 | 型またはコア;その細部または付属装置 | 保守 | 洗浄
電気 | 基本的電気素子 | 半導体装置,他に属さない電気的固体装置 | 半導体装置または固体装置またはそれらの部品の製造または処理に特に適用される方法または装置 | 半導体装置またはその部品の製造または処理 | 少なくとも一つの電位障壁または表面障壁,例.PN接合,空乏層,キャリア集中層,を有する装置 | サブグループ21/06〜21/326の一つに分類されない方法または装置を用いる半導体装置の組立 | 封緘,例.封緘層,被覆
【出願番号】特願平5−48971
【出願日】平成5年(1993)3月10日
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社