説明

金属およびその他の蒸気を凝縮する方法および装置

本発明は気相化合物または元素、例えばマグネシウム等の金属を、還元処理によって凝縮することに関する。これには金属還元法や炭素還元法が含まれる。本願は蒸気を含むガス流を提供し、前記ガス流を、上流において収束し、下流において発散する構成のノズルに通過させ、前記蒸気が加速しながら前記ノズルに入り、前記ノズルから出るときに膨張および冷却されることにより凝縮室内で前記蒸気を凝縮させ、液滴または固体粒子のビームを形成し、前記液滴または粒子のビームが溶融液体の回収媒体の表面に衝突するように指向されている蒸気材料を凝縮する方法を開示するものである。更に、前記方法を実行する装置も開示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気相化合物または元素、例えばマグネシウム等の金属を、還元処理によって凝縮することに関する。これには金属還元法や炭素還元法が含まれる。本発明は特に金属およびその他の蒸気を、膨張ノズルを用いることにより凝縮および回収する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウムをその鉱石から抽出することは100年よりも長きに渡り科学的および技術的研究の対象とされてきた。マグネシウム金属の抽出は、アルミニウムやその他の金属における重要な合金化元素としての材料特性が故に、特に興味および研究の対象とされてきた。更に近年においては、特に自動車業界において軽量でありながら構造的に強いというマグネシウム自身の材料特性が重要視されるようになってきた。マグネシウムの抽出方法は2つの系譜で発展してきた。即ち、一方は水なし溶融塩の電解還元を行うもの、他方は炭素または金属還元剤を用いて金属の酸化物および炭化物を還元する乾式精錬を行うものである。
【0003】
マグネシウム金属製造における主たる技術的課題は、マグネシウム元来の強力な陰極電位に起因した継続的、且つ、高いレベルのエネルギー供給の必要性に限られるものではない。乾式精錬法においては、これに加えて還元処理の開始および維持のために高い反応温度が必要であるが、これについては適切な加熱炉を選ぶことで解決できる。乾式精錬法には2種類の還元剤、即ち、炭素(炭素還元法)および特定の金属(金属還元法)が用いられる。いずれも高温処理により還元された金属が気体として発生するが、金属還元方法においては金属が単体で発生し、炭素還元法においては金属が一酸化炭素と共に発生する。還元剤の典型的な例として、他の金属の固体、液体、または気体物、炭素、水酸化物、その他の有機物、および水素などがある。還元された金属が還元剤の酸化物と高温で共存する場合は、融点より低い温度に急冷しないと低い温度帯で金属形態で安定することはできない。
【0004】
還元された気体金属および還元剤の酸化物をともに含んだ高温気体の冷却に内在する課題は、混合気体の冷却時に反応が逆行(逆反応)することにより生成物が全部または一部金属酸化物および還元剤元素に戻ってしまうことである。例えば、炭素を還元剤として用いた場合、主たる還元反応は下記の通りである。
C(s)+MgO(s)→CO(g)+Mg(g) 式(1)
【0005】
この反応は1600から1900℃の温度範囲において良好に進むが、これは気体の圧力の合計値に依存する、つまり温度範囲の低温側でも、排気処理または適度に加熱した不活性ガスの追加によって減圧することで良好に進む。気体の冷却時には下記の反応が全体的または部分的に起こる。
CO(g)+Mg(g)→C(s)+Mg(Os) 式(2)
【0006】
あらゆる化学反応は時間がかかるものであるため、この種の治金処理における凝縮システムにおいては素早くまたは「瞬間的に」冷やすことにより逆反応を最小限に留めている。この技術分野において気体を素早く冷やす方法はいくつか知られているが、本発明は好ましくは以下に模式的に図6に示すドラバル断熱ノズルとして知られる装置を活用している。
【0007】
図6に示すように高温の反応ガスをノズルを通過させることにより下記の表1に示す通り急速に冷却することができる。ガスはノズルを通過する際に音速に加速される。この技術分野において周知の通り、ガスの温度は反応温度からノズル全体にわたる圧力差および形状によって定まる温度に低下する。このような冷却作用は様々な長さのノズルに対して表1の3番目の欄に示した滞留時間内に起きる。
【0008】
【表1】

【0009】
米国特許3、761、248はコンデンサの加熱炉から放出されたマグネシウム蒸気を凝縮する金属還元法によるマグネシウムの製造方法を開示している。ここではコンデンサ内に蒸気を引き込むべく不活性ガスを流すことにより凝縮を促進している。
WO03/048398が開示するマグネシウム蒸気を凝縮する方法および装置においては、蒸気の気流がコンデンサ内に指向され、そのコンデンサが有する下側十字形状部から液体マグネシウムが放出できるようになっている。十字形部分は溶融鉛ジャケットを用いて冷却される。
【0010】
米国出願2008/0115626が開示する封止されたシステムにおけるマグネシウム蒸気の凝縮においては、液体金属が十字形部分から放出し続けられるようになっている。
米国特許5、803、947はマグネシウムと酸化マグネシウムの製造方法を開示している。液体マグネシウム回収用のコンデンサは収縮/拡大ノズルを通じてガスの供給を受け、ノズルを通過するガスは超音速断熱冷却される。ノズルとコンデンサの構造または構成については詳述されていないが、ノズルの下流において搬送ガスに混入した粒子を沈殿させるために、サイクロンを用いることは述べられている。
【0011】
いわゆる断熱冷却システムに関する文献は公知であり、例えば”Compressible Fluid Flow“ Authored by Patrick H. Oosthuizen et al., 1997,ISBN 0-07-048197-0,McGraw-Hill Publishersを参照されたい。
US4、488、904には液体金属(例えばマグネシウム)を縮小/拡大ノズルを通過させることで金属を酸化が起きない程度までに冷却する方法が開示されている。金属蒸気は直接または間接的に金属回収プールへ導かれるが、マグネシウムを回収する場合、金属回収プールは溶融鉛、ビスマス、錫、および、アンチモンのいずれかおよびそれらを組み合わせたものを含む。EP−A−O 124 65も同様に蒸気から断熱ノズルを通じて液体金属(マグネシウム)を回収する方法を開示している。本文献においては、蒸気を溶融マグネシウムのプール内に回収している。
【0012】
JP−A−63125627が開示する金属マトリックス複合材料の製造方法においては、金属蒸気を断熱ノズルに通過させている。反応ガスをノズルに導入することによって金属と反応し、金属化合物粒子を形成している。化合物はノズルから金属マトリックス材料のプール内へ導かれる。このようにして、金属マトリックス内に金属化合物粒子が散在するように形成される。
US4、147、534が開示するマグネシウム(またはカルシウム)の製造方法においては、金属蒸気が断熱ノズルを通過し、一実施形態においては、回転する筒状の表面である冷却面に指向される。固形化したマグネシウム粒子が冷却面からスクリューコンベアへ削り落とされ、粒子を融かすべく加熱炉へ移動させる。溶融マグネシウムはその後回収貯留槽に流れ落ちる。
【0013】
JP−A−62099423は断熱バルブから放出された金属蒸気を回収する装置を開示している。回収プールは孔の開いたトレイまたはグリッドを備えており、その上に溶融金属を循環させて金属蒸気を回収し、酸化ガスを反射させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国登録公報 3、761、248
【特許文献2】国際公開公報 WO 03/048398
【特許文献3】米国公開公報 2008/0115626
【特許文献4】米国登録公報 5、803、947
【特許文献5】米国登録公報 4、488、904
【特許文献6】日本国公開公報 JP−63−125627 A
【特許文献7】米国登録公報 4、147、534
【特許文献8】日本国公開公報 JP−62−099423 A
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】”Compressible Fluid Flow“ Authored by Patrick H. Oosthuizen et al., 1997,ISBN 0-07-048197-0,McGraw-Hill Publishers
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
先行技術の処理方法にはいくつかの課題がある。一つは凝縮室内における凝縮液滴または粒子の酸化または汚染である。もう一つはノズルから回収された液体金属の酸化または汚染であり、いずれの場合も凝縮室内に存在するキャリアまたは反応ガスに起因するものである。
更に別の課題として、凝縮した液滴または粒子のビームが液体に局所的に衝突する際の吸着を効率化させることが挙げられる。
本発明およびその様々な態様は、上記の一または複数の問題を、一または複数の手段によって解決しようとするものである。解決策および発明のその他の効果は下記発明の説明により当業者に理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は以下のクレームに記載の通り、蒸気、特には金属蒸気を凝縮する方法および装置を提供するものである。
本発明の一態様は金属蒸気、または金属蒸気等の化合物を含む蒸気性金属を凝縮する方法であって、前記蒸気を含むガス流を提供し、前記ガス流を、上流において収束し、下流において発散する構成のノズルであって、前記金属蒸気が加速しながら入り、放出時に膨張および冷却されるノズルを通じて凝縮室内に送ることにより、凝縮室内で前記蒸気を凝縮させ、液滴または固体粒子のビームを形成し、液滴または粒子からなる前記ビームが回収媒体の表面に衝突するように指向されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様は金属蒸気および一または複数の他のガスを含むガスの供給源から金属蒸気を凝縮する装置であって、上流において収束し、下流において発散する構成のドラバル・ノズルであって、前記金属蒸気が加速しながら入り、放出時に膨張および冷却されるノズルを通じて前記ガスの供給源からガスの供給を受ける凝縮室と、液滴または粒子の回収媒体を含む浴とを備え、前記回収媒体が前記ノズルから放出された液滴または粒子のビームが衝突することを許容するように配置された露出面を有することを特徴とする。
【0019】
凝縮される金属蒸気に加えて、本説明のために以下の2種類のガスを定義する。1つは、反応ガスであり、還元反応に寄与したもの、または還元反応によって生成されたものである。もう1つは、搬送ガスであり、蒸気の供給源に添加されるあらゆるガスであり、他のガスまたは金属蒸気と深く反応しないものである。搬送ガスの一例として注入された希ガスが挙げられる。
【0020】
本発明はガス流を溶融塩または溶融金属に衝突させることにより高速ガス流から金属霧を効果的に回収することに関する。特に、高温環境の下、鉱石混合物の前駆体を還元剤で処理することにより所望の金属元素を回収する作業をドラバール・ノズルの低圧側出口から金属蒸気を回収することによって効果的におこなうことに関する。
金属液滴は、例えば微細なミストであり、液滴の大きさはエアロゾル大の粒子から個々の液滴が1mm径のものまで様々である。
【0021】
本発明は特に回収した金属を、コンデンサを開放することなくコンデンサ槽から鋳造または合金化を行う場まで移動させ易いように、液体で回収することに主眼を置いている。
移動は一定の間隔を置いて、または、継続的にポンプを用いておこなってもよい。これにより再酸化ロスを減らし、蒸気やガスの環境制御をし易くすることにより、酸化し易い金属を安全に処理できる。
【0022】
以下の段落ではマグネシウムを発明により回収できる金属の一例として用いるが、本発明は高温下において、蒸気として単体、またはその他のガスとの組み合せで発生し得るその他の金属も含むものとする。
説明するシステムは、還元すると金属蒸気として発生し得るあらゆる金属に対して原理的に適用可能であり、例えばZn、Hg、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Si、S、
Cdおよびこれらの組み合わせである。
【0023】
回収媒体は例えば溶融塩浴または溶融金属浴である。溶融塩は好ましくは処理対象の金属よりも低い比重であると金属が溶融浴よりも下に沈降するため良い。
例えば、表1(下)にこの要件を満たす塩の組成を示す。更に3つの異なる温度における塩混合物の密度も示す。750℃から900℃の温度範囲におけるマグネシウムの密度は表1に示す通り1.584gm/ccから1.52gm/ccである。塩浴の温度はマグネシウムの融点である650℃より高く維持されている。
【0024】
【表2】

【0025】
溶融塩浴はノズルを通じて凝縮される金属と同じ金属、故に同じ比重をもつものであってもよいし、より軽い金属であって凝縮される金属と混ざらない金属であってもよい。好適な実施形態において浴は溶融塩を含み、例えば、凝縮される金属の融点よりも高い温度に維持されるとよい。
回収媒体は好ましくは移動する液体であるとよい。従来のドラバール・ノズルは、回転対象構造であるため、放出される金属霧は後述するように崩壊した円錐のような形状となる。ビームが媒体に衝突すると、媒体の表面が常に一新され、高温の液滴および粒子が表面から移動し続ける。熱と質量が共に衝突箇所から移動されるため、金属が局所的に過熱および気化することを防止できる。
【0026】
一実施形態において、移動する液体は流れる液体であり、好ましくは重力のもとで落下する液体である。これは堰を設けて液状の回収媒体の越流が流れ落ちるようにすることで実現可能である。これにより、移動するベール面を形成することができる。本実施形態の変形例は、ノズルの回転軸と平行な回転軸を有する筒状のチューブに設けられた孔を通じて液状の塩が降下するように構成されている。チューブの直径は円錐形状の凝縮金属ミスト全体が収まるように調整されている。
【0027】
別の実施形態において、移動する液体は循環する液浴である。この場合、浴槽はほぼ筒状または円環状であり、機械的または誘導攪拌器さらにまたはポンプ手段等を備えている。
ノズルの作用について説明すると、高温金属蒸気から低温かつ体積を大きく減らした固体粒子液への相変化により、凝縮種によって形成される円錐形状ミストをノズルの入り口側の蒸気の供給源に含まれる反応ガスまたは搬送ガスよりも鋭い円錐ビームに変形させる。形成される金属液滴または粒子の体積は図2に示す通り、理想気体の法則から予測できる合算値である。
【0028】
【表3】

【0029】
【表4】

【0030】
上記の表2は、好適なマグネシウム分圧における体積変化を示しており、凝縮マグネシウムの体積は気体マグネシウムと比較して7、000から70、000倍小さい。
したがって、本発明の一態様において、ノズルからの放出時に凝縮液滴または粒子は第1の円錐(変形円錐)を形成し、反応ガスまたは搬送ガスは第2の円錐を形成し、第1の円錐の発散角は第2の円錐の角よりも小さく、第1の円錐は第2の円錐の内側に位置する。
【0031】
バッフルを、使用時に第1の円錐の周囲および第2の円錐の内部に延びるように配置してもよい。これにより、液滴または粒子をガス種から分離することができる。バッフルは筒状の袖のような形状または鍔状のものであってもよく、内側の第1円錐がそこを通過した後に回収媒体に衝突する。上記以外の物理的障壁を設けてもよい。
【0032】
代替的にまたは追加的な処置として、バッフルの周りにフランジまたはプレートを設けることによって外側の円錐に含まれる反応性または搬送ガスから回収媒体面を遮蔽し、ガス種と液滴/粒子の分離を促進してもよい。吸引口を設けて凝縮室の外側へ反応ガスと搬送ガスを引き出してもよい。
【0033】
本発明の好適な態様において、液滴または粒子のビームが回収媒体に斜角(即ち、垂直ではない)で衝突する。これはノズルの向きを傾けることおよび/または傾斜面を有する回収媒体を形成することで実現可能である。
したがって、回収媒体が逆さ円錐槽内に設けられた循環溶融浴である場合、循環することによって、溶融塩浴の表面に同軸の逆さ円錐(放物形状)を形成し、それにより液滴や粒子のビームを受ける斜面を設ける。
【0034】
ビームの衝突を回収媒体の循環の原動力として用いてもよい。したがって浴の中心回転軸から径方向に離間した位置で回収媒体に衝突するようにノズルの向きを調節することより溶融浴の円周方向の流れを促進または発生させてもよい。
ノズルは好ましくは、タービンやロケットエンジンなどのガス推進システムの技術分野で知られるドラバール・ノズルであるとよい。当該ノズルは通常、中間部が括れた砂時計形状の縦断面を有する。ノズルの入口と出口の差圧を適切に設定することにより、ガスが括れ部分において超音速に加速し、ノズルの出口から放出される際に発散および冷却される。
【0035】
ノズルの上流側は大気圧に近い気圧で動作し、ノズルの下流側の閉鎖されたコンデンサ槽はコンデンサ槽の内部と連通する真空ポンプにより低圧に維持されている。代替的にまたは追加的に、ガスを効果的に排出する手段として蒸気エジェクタを用いてもよい。
先述の文献(Oosthuizen et al)に記載されたような寸法や形状を用いて巧みに設計された断熱ノズルにおいては、ネック部分でガスを構成する個々の原子/分子が音速に達するまで加速し、下流側において自由にガスを膨張させる。気体の諸法則に従い、膨張により混合ガスの気温が低下する。
【0036】
一実施形態において、ビーム内の金属液滴は冷却されて固体粒子を形成した後に回収媒体に衝突してもよい。固体粒子の形成により回収媒体へ移動する熱量は減少しない。なぜならば、固体化のエンタルピーにより余分に吸収される熱量は、質量保存の法則により、液体粒子と比べて高速である固体粒子によって相殺されるからである。粒子が高速であればある程、塩浴に深く侵入し、塩浴への熱移動を促進する。金属を液相に保つために回収容器内の温度制御を正確に行うことが重要である。
【0037】
金属液滴の衝突により塩浴の熱エネルギーが増加し、その増分は液体マグネシウムがマグネシウム蒸気に気化する際の熱量にほぼ等しい。これはマグネシウム1キロ当たり、10キロワット時程度の比較的大きい熱量である。したがって、ビームから得られた液体金属が再び気化しないように回収媒体を効果的に冷却しなければならない。
【0038】
これは衝突位置で発生する特有の問題であるため、回収媒体を循環もしくは移動させることが重要である。冷却手段は本技術分野で周知の冷却ジャケットやコイル等であってもよい。熱交換液は液体金属または蒸気(またはその他の気体)または水であってもよい。冷却水に、冷却回路に接続された別の水槽に設けられた固体粒子を加えてもよい。融点に基づき適切に選択されれば、粒子は冷却液の冷却能力を向上させ、融解潜熱により緩衝ヒートシンクとして機能する。適切な材料としては、凝縮の対象となっている金属と同じ金属の固体粒子が挙げられる。
【0039】
塩が吸収可能な顕熱は、塩の量、より正確には、熱が金属から塩に移動する際の体積に着目した場合の塩の質量に対するマグネシウムの質量の熱容量比によって決まる。ここに説明するシステムにおいては塩の取り得る温度範囲の低温側の温度は塩の融点より高く、より具体的には、ポンピングに適する程度に塩が液体化(低粘度)する温度より高く、且つ、金属の融点(マグネシウム 650℃)より高くなければならない。塩の取り得る温度範囲の高温側の温度は金属の沸点(マグネシウム 1091℃)より低くなければならない。
【0040】
これは溶融塩が機能し続けるための温度範囲は、マグネシウムからの放出された熱が効果的に吸収されるわずか数百度の範囲であることを意味する。塩と液体マグネシウムの潜熱容量が同じであると仮定した場合、加熱炉のガス温度と塩浴の温度の差によってはマグネシウムの質量に対する塩の質量の比率は10対1より大きくなければならない。
【0041】
回収容器は好ましくは圧力を制御する手段と金属蒸気流に付随するガスを除去する手段を備えているとよい。
回収容器の絶対圧力はノズルに亘る圧力降下および形成される金属蒸気流の温度を制御するために所定のレベルに維持するとよい。金属蒸気流の温度は金属の沸点(例えばマグネシウムの場合 1093℃)より低く維持されてなければならないが、より好ましくは融点(マグネシウムの場合650℃)の近辺またはそれより高い温度に維持されているとよい。絶対気圧は約0.1気圧より小さく、例えば0.01気圧より高い。減圧状態は当業者によって一般的に用いられる方法で維持してもよい。
【0042】
好適な実施形態において回収媒体は例えば、液体金属よりも比重が低い溶融塩である。回収された液体金属は継続的にまたは間欠的に回収媒体から排出し、熱を引き出すものとする。好適なシステムにおいては、溶融金属は合金化ステージおよび/または鋳造ステージまたはその他の金属形成ステージに移送される。
したがって、回収媒体から凝縮した液体を継続的にまたは間欠的に排出し、液体金属を鋳造ステージまたは合金化ステージまたは他の金属形成ステージに移送する手段を設けてもよい。そのような手段は流体管およびそれに付随する調節弁であってもよい。
【0043】
蒸気は金属または金属材料、例えばMg、Zn、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Si、Cdおよびこれらの組み合わせであってもよい。好適な実施形態において金属はマグネシウムである。蒸気の供給源は例えば、金属熱還元法/装置または炭素熱還元法/装置である。
搬送ガスは還元反応に寄与したガスおよび/または、ガス/蒸気流に更に添加または導入された一又は複数のガスであってもよい。前記更なるガスはガス圧入によって手軽に導入してもよい。
以下は、飽く迄も例として、本発明を実施する態様を図面を参照しながら説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の蒸気凝縮法および装置を用いたマグネシウム抽出および鋳造の統合プロセスを示す模式的なフローチャートである。
【図2】本発明の第1実施形態における凝縮室の模式的図である。
【図3】本発明の第2実施形態における凝縮室の模式的図である。
【図4】本発明の第3実施形態における凝縮室および補助装置の模式図である。
【図5】本発明の第4実施形態における凝縮室および補助装置の模式図である。
【図6】円環状のドラバール・ノズルの縦断面図である。
【図7】
【図8】
【発明を実施するための形態】
【0045】
(第1実施形態)
図1に示すように、炭素還元加熱炉の送気管(10)は、以下に図2から図5を参照しながら詳述する凝縮室のデ・ラバールノズル(11)へマグネシウム蒸気と一酸化炭素の混合物を供給する。ノズルはMgミスト(液滴)および一酸化炭素反応ガスを溶融塩浴回収部(12)に衝突させるように方向づける。一酸化炭素は周知の凝縮トラップ/デミスター(13)へ迂回される。COに混在する金属固体は再利用される。一酸化炭素はトラップ13に真空ポンプ(14)および/または蒸気エジェクタを介して引き込まれる。回収したCOはコンプレッサ(15)により圧縮して使用に供する。トラップの主たる機能は気相から液滴および微粒子を取り除き真空ポンプやエジェクタを保護することにある。
溶融マグネシウムは回収部の下端から放出され、マグネシウム沈降炉(16)へ送られる。金属を含む溶融塩は塩沈降炉(18)へ放出される。溶融マグネシウムはその後、鋳造型台(17)へ送られインゴットに鋳造される。
【0046】
溶融塩は回収部(12)から放出され続け、沈降炉へ送られる。紛れ込んだ漂遊マグネシウムは、マグネシウム沈降炉(18)へ返還される。未使用の塩(19)を事前に加熱し、沈降炉に供給する。余った塩は、リード弁(20)を通じて排出しても良い。塩は炉(18)から塩浴回収部(12)に返還される。
【0047】
凝縮室およびノズルを図2を参照しながら詳述する。凝縮室99は全体的に筒状の管形状であり、フルスト円錐状の上端部および下端部を備える。一酸化炭素およびマグネシウム蒸気はノズル110の上側の収束した入口100に入る。混合蒸気はノズルのコア部分において超音速に加速された後、膨張し、ノズルの下側の発散した出口101内で冷却される。混合蒸気は二重円錐(図示せず)形状に膨張し、その収束した共通の頂点が、発散形の円錐形状であるノズルの拡大出口の頂点とほぼ一致する。内側の円錐は実質的にマグネシウム霧によって形成されており、同軸の外側円錐は実質的に一酸化炭素によって形成されている。
【0048】
気体から液体への相変化により、気体流における金属部分がノズルから放出される際に流れの中央側へ崩れることで円錐形状の集中した金属霧となり、一酸化炭素またはその他ガスを流れの外へ押し出す。この集中した金属は孔107を通じて浴の中央部分に衝突する。
円環状のフランジディスク104は溶融塩浴105の上面を覆う。塩浴の組成について以下に説明する。直立した筒状バッフル106がフランジディスクの中央孔107を囲む。バッフルは、その壁部にマグネシウム金属液滴または固体が直接衝突しないようにマグネシウム金属円錐のすぐ外側に位置するように採寸および位置決めされている。
【0049】
バッフル106の壁部によってCOガスのジェット気流の大部分が遮断されるため、二つの成分が密に混ざり合うのを防ぐことが出来る。これは逆反応の低減に寄与する。バッフルの外側へよけられた一酸化炭素は真空ポンプ114によって引き出される。
バッフルの下端部は、孔部107を介して「循環塩浴」たる溶融塩浴の露出した上面108に通じている。したがってマグネシウム霧は塩浴に衝突し、液滴となって槽の下部に落ちる。
【0050】
液体塩の表面に対する金属霧の有効衝撃角は図2に示す塩浴の回転速度を調節することによって調節してもよい。塩浴の表面の理想形状は回転によって形成される落ち込んだ楕円放物面である。したがって、金属霧は落ち込んだ塩浴の傾斜角によって表される斜角で衝突する。
【0051】
これにより、回転軸がノズルの対称軸に沿っている場合、円錐形状の金属霧の衝撃角は放物面の形状に依存する。これはひいては溶融塩の回転速度によって制御される。塩表面の凹凸形状は低速回転時に大きく開いた放物面をなし、高速回転時には急勾配な放物面をなす。
溶融マグネシウム131は、比重が高いため塩浴の下部に沈降する。これは蛇口弁132を開くことで重力に従って放出することが出来る。
【0052】
二層水冷ジャケット管133は塩浴を覆うことで外側から冷却し、温度を制御する。このジャケット管は、鉄鋼またはニッケル合金によって形成してもよい。水、気流、Dowtemなどの合成熱伝導液、水銀などの液体金属、またはその他の材料をジャケット内に用いることにより、塩から熱を取り除き、金属気流が塩浴に衝突する際に放出したエネルギーを除去するのに適した温度に維持することが出来る。
【0053】
コンデンサ室にはヒーター(図示せず)が備えられており、コンデンサ室の内側または外側のいずれに備えられていても良い。これはユニットの起動時およびシャットダウン時に塩の温度制御をするためのものである。安定稼動時には蒸気導入システムから熱の提供を受けるため、ヒーターはオフになっている。
【0054】
(第2実施形態)
図3に別の実施形態を示すが、類似した特徴については図1にて用いたものと同じ参照符号を付す。本実施形態では孔のあいた直立チューブ140が塩浴の中央部分に配置されている。チューブは溶融塩に漬かっている。チューブには窪み(ガス室上部の大気圧によって)が形成されている。チューブの上部141には開口または孔が形成されており、これにより溶融塩がチューブの内側を下降することができる。塩は導管144を通じて下側塩貯留槽から汲み上げられ続ける。これにより、チューブ140を下降する分量を考慮しても、浴105の中の塩の水位を保つことができる。
【0055】
マグネシウム霧の円錐ビームはチューブの内側へ指向され、降下し続ける溶融塩に衝突する。そしてマグネシウムはチューブを通って下側塩貯留槽143へ降下し、液体マグネシウム131と集積物となる。
このような構成により、霧ビームが衝突できるように、降下する塩からなる移動面またはベールが確実に設けることができる。ガスダクトから放出されるガスに混入しているマグネシウム液滴または粒子は、別ユニットにおいて除去される。
【0056】
(第3実施形態)
図4は第3実施形態を示すものであり、塩浴に越流堰150が設けられている。ノズルは凝縮室内の径方向に沿って横断するように導入される。したがって、霧ビームはシート状、またはベール状に移動しながら堰を越えて下降する塩に衝突する。塩および混入した固体または液体マグネシウム粒子は堰の下方の堰プール156に落下する。堰プールからは混合物が塩ポンプ151により注入口152を通じて塩浴に供給され続け、熱交換器152により塩から熱が奪われる。塩と共に金属液滴158が塩浴に供給される。
【0057】
バッフル154は注入口から堰150に至る塩の蛇行経路を形成する。バッフル154が提供する障害物や面によって塩浴に混入したマグネシウムが集積し、浴の下部155に降下するようにしてもよい。マグネシウムを塩浴の下部からマグネシウム沈降炉157にポンプで送りだすようにしてもよい。
【0058】
塩の水位制御センサ/コントローラ(LC)および温度(TC)ならびに圧力(PC)センサ/コントローラを備えることにより、必要な水位、温度、および圧力を維持している。
塩補充器159を用いて塩組成が要求仕様(表1を参照)におさまるように調節してもよい。
【0059】
(第4実施形態)
図5は、図4に示した実施形態の変形例である実施形態を示す。本実施形態においてはノズル110が塩浴の外周部160に向けてビームを形成するように指向されている。ノズルは円周方向の循環を促進するために、塩浴の表面に対して斜角を形成するように指向してもよい。堰150からの越流と返送ポンプ151の作動により更に浴内の塩を循環させることができる。
【0060】
全ての実施形態について本発明は必要に応じて一または複数の二次槽を備え、それにより(1)溶解塩からのマグネシウム粒子または液滴を沈降(2)熱制御、および(3)ガス流から微粒子および液滴を除去することによる回収性の向上および下流設備の保護をおこなう。
【0061】
(第5実施形態)
図7は第5実施形態を示し、本実施形態は図2に示す本発明の第1実施形態の構成の変形例である。本実施形態はバッフルまたは円筒状のプレートを備えていない。回収媒体の大部分は溶融金属(マグネシウム)205から成る。塩フラックス(204)の比較的薄い層が溶融金属の上面に設けられている。使用時には、ノズル110から放出される液滴または粒子のビームが回収媒体に衝突し、塩フラックスを破壊することにより下地の溶融金属を露出する。したがって起動後、ビームが凝縮室の中央部において露出した溶融金属面206に直接衝突する。塩フラックスは中央部分の周囲に残存する溶融金属を覆い保護層として下地の金属の酸化または汚染を防止する。
【0062】
(第6実施形態)
図8はノズルの変形例である第6実施形態を示す。ノズルは軸方向に非対称であり、横断方向に細長い胴体210および末広がりのスカート部211を有する。スカート部は全体的に楕円形であり、ノズルの出口オリフィス212を形成している。この構成により、全体的に平坦または楔形である凝縮液滴または粒子のビーム(215)を形成する。したがってビームは対応する回収媒体(図示せず)に点というよりは線で衝突する。この非対称ノズルをこれまでのいずれの実施形態で用いられた従来の対称ノズルと置き換えてもよい。しかし、図4に示す構成、即ち、移動するシートまたはベール150による回収媒体に衝突する凝縮液滴または粒子を回収する構成に特に適したものである。この場合、ビームは降下するシートの横断方向に衝突するように指向されることにより、効率的な金属粒子/液滴の吸着が行われ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を含むガス流を提供し、
前記ガス流を、上流において収束し、下流において発散する構成のノズルに通過させ、前記蒸気が加速しながら前記ノズルに入り、前記ノズルから出るときに膨張および冷却されることにより凝縮室内で前記蒸気を凝縮させ、液滴または固体粒子のビームを形成し、
前記液滴または粒子のビームが溶融液体の回収媒体の表面に衝突するように指向されている蒸気材料を凝縮する方法。
【請求項2】
前記回収媒体が凝縮された前記蒸気材料の融点よりも高い温度に維持されている請求項1記載の方法
【請求項3】
前記回収媒体が溶融浴である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記回収媒体が前記凝縮蒸気よりも比重が低い塩フラックスを含有する前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記回収媒体が第2の液体の上に配置された薄いシート状の第1の液体を備え、前記シート状の第1の液体の薄さは、凝縮液滴または粒子の衝突によって衝突が起こった領域で分断され、前記第2の液体の表面を露出することによって前記凝縮粒子または液滴が直接下地の前記第2の液体に吸収されうる程度に破壊されるのに十分な薄さであり、前記薄いシート状の第1の液体が前記第2の液体の残りの部分の表面の保護被膜として残存する前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
第1の液体が塩フラックスを含有する請求項5記載の方法。
【請求項7】
第2の液体が凝縮された液体蒸気材料を含有する請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
第2の液体が溶融金属である請求項5から7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記回収媒体が移動する液体シートで構成された前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記移動する液体シートが重力のもとで落下する液体の流れである請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記移動するシートが回収媒体貯留槽の越流突出部分から提供される請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
前記ノズルが液体回収媒体の前記シートに向かって水平方向または実質的に水平方向に指向されている請求項9から11のいずれ一項記載の方法。
【請求項13】
前記ノズルが横断方向に細長い胴体領域を備え、凝縮粒子または液体を含んだほぼ平面または楔形の出力ビームを供する前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記回収媒体が円周方向に循環する液体の浴として設けられた前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記液体が攪拌器等の機械的手段によって循環させられる請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記ガス流が凝縮対象の前記蒸気に加えて反応ガスおよび/または非反応性搬送ガスを含有する前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
前記凝縮液滴または粒子は前記ノズルから出るときに第1の円錐を形成し、前記反応ガスおよび/または搬送ガスは前記第1の円錐を収容する少なくとも更にもう一つの第2の円錐を形成し、
前記第1の円錐の周り、且つ、前記更なる円錐の実質内部にバッフル手段を備えることにより、前記搬送ガスおよびその他のガス種と、前記回収媒体内に前記バッフルを通じて入っていく前記液滴または粒子との分離を促進する物理的な障壁を提供する前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
前記バッフル手段が、前記第1の円錐を隔離する壁を有する軸方向に細長い導管を備えた請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記バッフル手段が回収媒体の残りの表面の少なくとも一部または全部を覆う肩部によって囲まれている請求項18記載の方法。
【請求項20】
液滴または粒子を含有する前記ビームが前記回収媒体の媒体面に対して斜角で衝突する前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
前記回収媒体が円周方向に循環する溶融浴に配置されている請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記浴の循環によって前記浴の上面に前記液滴や粒子のビームを受ける斜面を提供する同軸遠心逆円錐を形成する請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記斜角ビームが前記浴の中心回転軸から径方向に離間した位置で前記回収媒体に衝突することより前記溶融浴の円周方向の流れを促進または発生させる請求項20から22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記ビームに含まれる金属液滴が前記回収媒体に衝突する前に冷却されて固体粒子を形成する前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
前記ビームからの液体金属が気化しないように前記回収媒体が冷却される前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
前記回収媒体が前記凝縮液体材料よりも比重が低い液体から構成され、前記凝縮液体材料が回収媒体貯留槽から継続的にまた間欠的に放出され、中間凝固させることなく鋳造ステージまたは合金化ステージまたは他の形成ステージに導かれる前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
凝縮対象である前記蒸気材料がマグネシウムであるまたはマグネシウムを含む前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
蒸気を含有するガスの供給源と、
前記蒸気の供給源から上流において収束し、下流において発散する構成のノズルを通じて供給を受ける凝縮室であって、前記蒸気が加速しながら前記ノズルに入り、前記ノズルから出るときに膨張および冷却されることにより凝縮された前記蒸気をその内部で液滴または固体粒子のビームに形成する凝縮室と、
前記ノズルから放出された前記液滴または粒子のビームが衝突することを許容するように配置された露出面を有し、前記液滴および液体粒子を回収する液体回収媒体と、
を備えた金属などの蒸気を凝縮する装置。
【請求項29】
前記回収媒体が溶融液である請求項28記載の装置。
【請求項30】
前記回収媒体が塩フラックスである請求項28または29記載の装置。
【請求項31】
前記回収媒体が浴内に配置された請求項28から30のいずれか一項記載の装置。
【請求項32】
前記回収媒体が塩フラックスであって、前記塩が前記凝縮液滴または粒子よりも比重が低いことにより、作動中に前記凝縮物が浴内の前記液体の下の部分に沈降する請求項28から31のいずれか一項記載の装置
【請求項33】
前記回収媒体を前記ビームが前記回収媒体に衝突する位置に継続的に移動させる手段を備えた請求項28から32のいずれか一項記載の装置。
【請求項34】
凝縮蒸気を含む前記ビームが衝突する移動回収媒体のシートを形成する手段を備えた請求項33記載の装置。
【請求項35】
前記シートを形成する前記手段が前記液体回収媒体が越流可能な堰または突出部を備えた回収媒体浴から構成されている請求項34記載の装置。
【請求項36】
前記ノズルが、液滴または粒子を含む前記ビームを前記堰から重力のもとで落下する液体のベールまたは流れに指向するように配置された請求項35記載の装置。
【請求項37】
前記ノズルが、液滴または粒子を含む前記ビームを前記回収媒体に対してほぼ水平方向に指向するように配置された請求項28から36のいずれか一項記載の装置。
【請求項38】
前記堰または突出部を越流した回収媒体を前記浴内に再循環させる手段を備えた請求項35から37のいずれか一項記載の装置。
【請求項39】
前記回収媒体が浴内に配置され、前記回収媒体を円周方向に攪拌する手段を備えた請求項28から38のいずれか一項記載の装置。
【請求項40】
前記液体が攪拌器などの機械的手段によって循環させられる請求項39記載の装置。
【請求項41】
前記蒸気の供給源が凝縮対象の前記蒸気に加えて反応ガスおよび/または非反応性搬送ガスを提供する請求項28から40のいずれか一項記載の装置。
【請求項42】
前記凝縮液滴または粒子が前記ノズルから出るときに第1の円錐を形成し、前記反応ガスおよび/または搬送ガスは前記第1の円錐を収容する少なくとも更にもう一つの第2の円錐を形成し、
第1の円錐が第2の円錐の内側に位置するように前記第1の円錐の発散角が前記第2の円錐の発散角よりも小さく設定されている請求項41記載の装置。
【請求項43】
前記バッフル手段を前記第1の円錐の周り、且つ、前記第2の円錐の内部に設けることにより、前記搬送および反応ガスと、前記回収媒体内に前記バッフルを通じて入っていく前記液滴または粒子との分離を促進する物理的な障壁を提供する請求項42記載の装置。
【請求項44】
前記バッフル手段は前記回収媒体に凝縮粒子や液滴を含む前記ビームが衝突する箇所の周囲に配置されている請求項43記載の装置。
【請求項45】
前記バッフル手段が、前記第1の円錐を隔離する壁を有する軸方向に細長い導管を備えた請求項43または44記載の装置。
【請求項46】
前記バッフル手段が前記回収媒体の残りの表面の少なくとも一部または全部を覆う肩部によって囲まれている請求項45記載の装置。
【請求項47】
液滴または粒子を含有する前記ビームが前記回収媒体の媒体面に対して斜角で衝突するように前記ノズルが構成および/または指向されている請求項28から46のいずれか一項記載の装置。
【請求項48】
前記回収媒体が浴内に配置され、前記斜角ビームが前記浴の中心回転軸から径方向に離間した位置で前記回収媒体に衝突することより前記回収媒体に勢いが伝わり、前記浴内の回収媒体の円周方向の流れを促進または発生させる請求項47記載の装置。
【請求項49】
前記ノズルが縦方向の回転軸に対して対称である請求項28から48のいずれか一項記載の装置。
【請求項50】
前記ノズルが横断方向に細長く、凝縮粒子または液体を含んだ前記ビームがほぼ平面または楔形をなし、前記回収媒体の細長い接触領域に沿って衝突する請求項28から48のいずれか一項記載の装置。
【請求項51】
前記凝縮された材料を、前記回収媒体から継続的にまた間欠的に放出する手段を備え、前記液体金属を鋳造ステージまたは合金化ステージまたは他の形成ステージまたは堆積ステージに導く請求項28から50のいずれか一項記載の装置。
【請求項52】
前記凝縮室が前記回収媒体から熱を取り除く冷却手段を備えた請求項28から51のいずれか一項記載の装置。
【請求項53】
前記回収媒体が第2の液体の上に配置された薄いシート状の第1の液体を備え、前記シート状の第1の液体の薄さは、凝縮液滴または粒子の衝突によって衝突が起こった領域で分断され、前記第2の液体の表面を露出することによって前記凝縮粒子または液滴が直接下地の前記第2の液体に吸収されうる程度に破壊されるのに十分な薄さであり、前記薄いシート状の第1の液体が前記第2の液体の残りの部分の表面の保護被膜として残存する請求項28から52のいずれか一項記載の装置。
【請求項54】
第1の液体が塩フラックスを含有する請求項53記載の装置。
【請求項55】
第2の液体が凝縮された蒸気材料を含有する請求項53または54記載の装置。
【請求項56】
第2の液体がマグネシウム等の溶融金属である請求項53から55のいずれか一項記載の装置。
【請求項57】
前記蒸気が金属または金属材料を含有する前記請求項のいずれか一項記載の方法または装置。
【請求項58】
前記蒸気がMg、Zn、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Si、Cdから選択された金属およびこれらの組み合わせである請求項57記載の方法または装置。
【請求項59】
前記蒸気の供給源が金属熱還元法または炭素熱還元法によって提供される装置および/またはプロセスである請求項57または58記載の方法または装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−508559(P2013−508559A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535923(P2012−535923)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001999
【国際公開番号】WO2011/051674
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512112105)マグネシウム シリカ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】