説明

金属に対する防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤の塗布方法ならびに生じるコートされた金属

金属の露出した表面の少なくとも一部分をコーティングする方法であって、それは:a)少なくとも一つの、部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されていて、一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基ならびに任意選択で一つもしくはそれ以上の有機窒素基を有し、ここで、そのような基を部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されたシランへと結合する架橋基の、別々の炭素原子へと前記ヒドロキシル基および任意選択の有機窒素基が結合される、シランの水溶液を含有する硬化性コーティング剤組成物を、前記表面に塗布するステップとb)金属表面で硬化性コーティング剤組成物を硬化してその上に防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤を提供するステップとを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防食性のおよび/もしくは接着促進の性質を示すコーティング剤を金属表面へと塗布する方法、ならびにその表面の少なくとも一部分にそのようなコーティング剤で加工された金属に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの金属はある種の腐食、特に大気中腐食に対して影響を受けやすく、さまざまな種類の錆を形成する結果となる。そのような錆は金属の質に大いに影響を与える可能性がある。表面上の錆は金属表面から取り除くことが出来るが、その除去のためのプロセスは、時間を浪費し、費用がかかり、そして金属の品位に負の影響を持つ傾向にある。コーティング剤が金属表面に塗布される際、金属の腐食は、コーティング剤と金属表面との間の不十分で効果的でない接着という結果をもたらす。コーティング剤とコーティング剤が塗布された金属表面との間の接着の減少は、同様に、金属の腐食を導く。
【0003】
金属合金、金属積層、金属複合材などを含む多くの種類の金属は、製造および建築において広く用いられている。ある種の金属、特に鉄および鋼鉄のような鉄類は、しばしば貯蔵および輸送の間に錆を発生する。錆(「貯蔵染み(Storage stain)」とも呼ばれる)は、金属の表面の、金属もしくは金属上の金属コーティングと反応する箇所において凝結する湿気によって典型的に引き起こされる。錆は審美的に魅力的でなく、後につづく加工操作を受ける金属の能力をしばしば損ねる。このように、任意の後に続く加工操作を行う前に、錆を金属表面から取り除き、錆が再び形成されることを防ぐために金属表面を処理する必要性がしばしばある。輸送や貯蔵の間での錆の形成を妨げるだけでなく、金属が後に続く加工操作を受けたあとでも錆の形成までも防ぐ、さまざまな方法が今日では用いられる。
【0004】
その貯蔵、輸送および使用中における金属上の錆の防御は、その表面にクロム酸塩の一種のような薄膜を塗布することによって達成され得ることは公知である。クロム酸塩のコーティングは錆の形成に対する耐性を提供する一方、クロムは非常に毒性が高く、環境的に望ましくない。さらに、クロム層はその上に塗布される任意の後に続く層の接着の向上にまったく寄与しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、クロムを用いないが、一方で望ましい防食性と接着能とを提供する金属のコーティングの方法への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、金属の露出した表面の少なくとも一部分をコーティングするための方法が提供され、それは:
a)少なくとも一つの、部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されていて、一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基ならびに任意選択で一つもしくはそれ以上の有機窒素基を有し、ここで、そのような基を部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されたシランへと結合する架橋基の別々の炭素原子へと、前記ヒドロキシル基および任意選択の有機窒素基が結合される、シランの水溶液を含有する硬化性コーティング剤組成物を、前記表面に塗布するステップと;
b)金属表面で硬化性コーティング剤組成物を硬化してその上に防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤を提供するステップと;
を含有する。
【0007】
ヒドロキシル基および任意選択の有機窒素基は、それらが部分的にもしくは実質的に完全にシランを加水分解する加水分解、ならびに、それに続く防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤を提供するシランの硬化によって影響されないため、硬化したコーティング剤に存在し続ける。硬化したコーティング剤はSi−O−Si結合を有するポリシロキサンである。さらに、基材の金属がヒドロキシル基を含有するとき、それらはまた、部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されたシランのシラノール基と反応し、硬化したコーティング剤のアンカー部位として機能するSi−O結合を提供する。
【0008】
ここでの水性コーティング剤組成物のシラン成分のヒドロキシル基および任意選択の有機窒素基を有する場合、おそらくは、水と結合する水素に対するそれらの極性基のより高い親和性のために、それの可溶性ならびにその中の加水分解および縮合産物の可溶性を高める。このより高い可溶性はその原因が何であれ、結果として縮合産物の沈殿を減ずるか、もしくは消失させるかし、そしてシランの水溶液の貯蔵安定性(もしくは貯蔵寿命)を高め、これは本発明のコーティング方法におけるそれらの性向的な使用のための非常に重要な実施上の配慮点である。さらに、ヒドロキシル基は、それらへと任意選択で塗布される可能性のある、ある種のさらなるコーティング剤が有する互いに反応性の基と反応することが出来る。このように、任意選択の追加のコーティング剤の塗布および乾燥の際の、ヒドロキシル含有加水分解性シランと任意選択の追加的なコーティング剤との間の共有結合もしくは他の相互作用は、後者による下地のシラン由来のコーティング剤に対する接着を向上し得る。
【0009】
ここで用語「硬化」は、それにより、本発明による硬化性コーティング剤組成物の、部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されているシラン成分が、新規に塗布されたコーティング剤組成物のゾル化ステージから結果的に不溶性の硬化したコーティング剤層となるゲル化ステージへと進む、進展する化学変化を指す。
【化1】

基とそれら自身とが縮合(もしくは、重縮合とも呼ばれるかも知れない)し、オルガノポリシロキサンの特徴である
【化2】

結合を生成することによってもたらされるこの化学変化は、コーティング剤組成物からの水の除去を含む。ここでの用語「硬化」は、部分的もしくは不完全な硬化、および実質的に完全な硬化を含む。硬化をもたらす縮合は周囲温度条件下において起こり熱および/もしくは真空の適用によって加速される。
【0010】
実施例以外においてもしくは他に指定がある場合以外において、明細書および請求項において述べられる、物質の量、反応条件、時間、定量化される性質などを表すすべての数字は、すべての場合において単語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。
【0011】
ここで言及される任意の数範囲は、その範囲内のすべてのサブ範囲(sub−ranges)を含むことが意図されていることは理解されたい。
【0012】
構造的に、組成的に、および/もしくは機能的に関連する化合物の群に属するとして明細書に明確にもしくは暗に開示されるか、ならびに/または請求項に列挙される、任意の化合物、物質、材料は、群の個々の典型例、およびそれらの組み合わせを含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の方法に使用される、部分的にもしくは実質的に完全に加水分解されるシランは、ヒドロキシルを含有し、そして任意選択で有機窒素基を含有する、加水分解性シランに、部分的なもしくは実質的に完全な加水分解を受けさせることによって得られる。
【0014】
一実施態様において、ヒドロキシ含有加水分解性シランは、一般式(I):
【化3】

に相当し、
式中、
およびRの各々は独立して、一価のヒドロカルビル基であり、たとえば、20個の炭素原子までのアルキル、アルケニル、アレニル、アリールもしくはアラルキル基、またはアシル基であって、任意選択で一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含有し;
およびRの各々は独立して、二価のヒドロカルビレン基であり、たとえば、12個の炭素原子までのアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレンもしくはアラルキレン基であり;
の各々は独立して、二価のもしくは多価のヒドロカルビレン基であり、たとえば、12個の炭素原子までのアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレンもしくはアラルキレン基であり、ただし、bが0であり、cが0であり、そしてdが1であるとき、RはRと−OH基との間の化学結合であり得;
の各々は独立して、水素、たとえば8個の炭素原子までのアルキル、アルケニル、アレニル、アリールもしくはアラルキル基のような一価のヒドロカルビル基、−RSiR(OR3−a基、−C(=O)A(OH)基または−R(OH)基であり;
の各々は独立して、水素、たとえば8個の炭素原子までのアルキル、アルケニル、アレニル、アリールもしくはアラルキル基のような一価のヒドロカルビル基、−RSiR(OR3−a基または−R(OH)基であり;
の各々は独立して、二価のもしくは多価のヒドロカルビレン基であり、たとえば、12個の炭素原子までのアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレンもしくはアラルキレン基であり;
の各々は独立して、二価の酸素もしくは構造−NR−〔ここで式中、Rは水素、例えば8個の炭素原子までのアルキル、アルケニル、アレニル、アリールもしくはアラルキル基のような一価のヒドロカルビル基、−RSiR(OR3−a基または−R(OH)基である〕の窒素であり;そして、
下付文字a、b、c、d、eおよびfの各々は独立して整数であり、ここでaは0から2であり;bは0から20であり;cは0もしくは1であり;dは1から4であり;eは0もしくは1であり;そしてfは1から4である。
【0015】
式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランと関連してここで用いられるとき、「アルキル」は、直鎖の、分岐の、および環状のアルキル基を含み;「アルケニル」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する任意の直鎖の、分岐の、および環状のアルケニル基であって、ここで置換がもしあるならば、位置が炭素炭素二重結合においてもしくは基内のどこかのいずれでもあり得るものを含み;「アリール」は、そこから一つの水素原子が取り除かれた任意の芳香族炭化水素を含み;「アラルキル」は、その中で一つもしくはそれ以上の水素原子が同じ数の類似のおよび/もしくは異なった(ここで定義されるような)アリール置換基によって置換されている、上述のアルキル基の任意のものを含み;「アレニル」は、一つもしくはそれ以上の水素原子が、同じ数の類似のおよび/もしくは異なった(ここで定義されたような)アルキル置換基によって置換されている、上述のアリール基の任意のものを含み;「アルキレン」は直鎖の、分岐の、および環状のアルキレン基を含み;「アルケニレン」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する任意の直鎖の、分岐の、および環状のアルケニレン基であって、ここで置換がもしあるならば、その位置が炭素炭素二重結合においてもしくは基内のどこかのいずれでもあり得るものを含み;「アリーレン」は、そこから二つもしくはそれ以上の水素原子が取り除かれた任意の芳香族炭化水素を含み;「アラルキレン」は、その中で一つもしくはそれ以上の水素原子が同じ数の類似のおよび/もしくは異なった(ここで定義されるような)アリール置換基によって置換されている、上述のアルキレン基の任意のものを含み;「アレニレン」は、一つもしくはそれ以上の水素原子が、同じ数の類似のおよび/もしくは異なった(ここで定義されたような)アルキル置換基によって置換されている、上述のアリーレン基の任意のものを含み;「ヒドロカルビル」は、一つの水素原子が除去されて一価の基を形成する任意の炭化水素を含み;そして、「ヒドロカルビレン」は、少なくとも二つの水素原子が除去されて二価のもしくは多価の基を形成する任意の炭化水素を含む。
【0016】
アルキルの具体例はメチル、エチル、プロピルおよびイソブチルを含む。アルケニルの具体例は、ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノボルネン、およびエチリデンノルボルネニルを含む。アリールの具体例は、フェニル、およびナフタレニルを含む。アラルキルの具体例は、ベンジルおよびフェネチルを含む。アレニルの具体例は、トリルおよびキシリルを含む。アルキレンの具体例は、メチレン、エチレン、プロピレンおよびイソブチレンを含む。アルケニレンの具体例は、エテニレン、プロペニレン、メタリレン、エチリデニレンノボルナン、エチリデンノボルニレン、エチリデニレンノボルネンおよびエチリデンノボルネニレンを含む。アリールの具体例は、フェニレンおよびナフタレニレンを含む。アラルキレンの具体例は、フェネチレンおよびフェニルメチレンを含む。アレニレンの具体例は、トリレンおよびキシリレンを含む。
【0017】
式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランと関連してここで用いられるとき、「環状アルキル」および「環状アルケニル」は、二環式構造、三環式構造およびより高次の環状構造、ならびにアルキル基および/もしくはアルケニル基でさらに置換された上述の環状構造を含む。これらの構造の代表的な例は、ノルボルニル、ノルボルネニル、エチルノルボルニル、エチルノルボルネニル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシル、およびシクロドデカトリエニルを含む。
【0018】
加水分解は、水が、例えば
【化4】

のような加水分解性シリル基と反応するときに起こり、基の中の加水分解性部分をHO−と置換してシラノール基
【化5】

を提供する。縮合は、シリロキシ基
【化6】

がアルコキシもしくはヒドロキシ基を置換してシロキサン基
【化7】

を提供するときに起こる。加水分解の程度は式(I):
加水分解のパーセント=[100%][1−(A/(A+B+C))] (I)
〔式中、Aは加水分解性シリル基の数であり;Bはシラノール基の数であり;Cはケイ素原子に結合するシリロキシ基の数である〕を用いて計算できる。
【0019】
AおよびBの数値は、ヒドロキシル含有加水分解性シランのスペクトルを得ることとデータを解釈することを含む29Si核磁気共鳴法(NMR)によって測定され得る。この手順に従うと、ヒドロキシル含有加水分解性シランもしくはそれの水溶液はロッキング目的で添加されるアセトン−dを含有するキャピラリーチューブを伴う10 mmのNMRチューブへと配置される。29SiNMRのために、化学シフトはテトラメチルシランを外部基準とする。29Si原子のために、逆ゲート付デカップリングパルス系列は、パルス幅45度で用いられた。スキャン間では360秒の遅延が用いられた。磁場強度7.05Tで操作する29SiNMRのために、1.4秒の測定時間であった。29Si原子のための59.6MHzは、11627Hzの掃引幅と32Kのサイズとに相互に関連する。スペクトルデータは2Hzのラインバンドを用いて加工された。29SiNMRのデータは48時間収集された。シランの加水分解は、例えばメトキシ基のようなアルコキシ基がヒドロキシル基によって置換されシラノール基を生じることによる約1ppmの化学シフトの増加を観測することによって、モニターされる。加水分解したシランの縮合は、
【化8】

によって置換されるすべてのシリロキシ基に対する約10ppmの化学シフトにおける減少として観測される。例えば、メトキシからエトキシのように、アルコキシ基はサイズが大きくなるので、化学シフトの差異は増大し、実験的に測定できる。
【0020】
当量より少ない水が加水分解性シリル基と反応するとき、ヒドロキシル含有加水分解性シランは部分的に加水分解される。加水分解パーセントが1から94パーセントの範囲にあるとき、シランは部分的に加水分解したとみなされる。加水分解パーセントが95から100パーセントの範囲にあるとき、ヒドロキシル含有加水分解性シランは実質的に完全に加水分解したとみなされる。RO−Si基がシラノール縮合の重合化反応を停止させ、ヒドロキシル含有加水分解性シランから誘導されるより低い平均分子量オリゴマー成分を維持するため、部分的に加水分解したヒドロキシル含有加水分解性シランは水溶液中でより良い安定性を有する。より低い分子量のオリゴマー成分は、より均一に金属の基材上へと吸着し、結果としてより良い接着をもたらす。
【0021】
他の実施態様において、ヒドロキシル含有加水分解性シランおよび/もしくはヒドロキシル含有オルガノシリコーン組成物の水溶液は、式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランから誘導されるオリゴマーのようなオリゴマーを含有し得る。一つのヒドロキシル含有加水分解性シランのヒドロキシル基の他のヒドロキシル含有加水分解性シランのシリルエステル基による分子間のエステル交換の結果、いくつかのオリゴマーが生じる。ヒドロキシル含有加水分解性シランの加水分解と、一つのヒドロキシル含有加水分解性シランの加水分解産物(シラノール)とここに記載されるような他のヒドロキシル含有加水分解性シランのシラノールとの分子間縮合の結果、他のオリゴマーが生じる。一実施態様において、ヒドロキシル含有加水分解性シランおよび/もしくはヒドロキシル含有オルガノシリコーン組成物は、式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シラン、式(1)のモノマー、ならびに式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランの、部分的なもしくは完全な加水分解と縮合とから誘導されるオリゴマーのエステル交換によって誘導されるオリゴマーを含む。
【0022】
式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランから誘導されるオリゴマーは、周囲より低い、周囲のもしくは高い温度で、減圧、周囲圧もしくは高圧下において、そして溶媒および/もしくは触媒の存在または非存在下で、シランをエステル交換することによって作成され得る。一実施態様において、エステル交換反応は、約0から約150℃まで、好ましくは約25℃から約100℃まで、そしてさらに好ましくは約60℃から約80℃までの温度で、約13.3Pa(約0.1mmHg)から266.6kPA(約2000mmHg)までの絶対圧で実施できる。他の実施態様において、温度は、約30℃から約90℃までの範囲であってよく、約133.3Pa(約1mmHg)から約10.67kPA(約80mmHg)までの絶対圧を維持する。例えばモノアルコールもしくはカルボン酸のような低沸点のRO−H化合物が生成するため、それもしくはそれらを蒸留により反応混合物から除去でき、それによって反応が完了へと進むを助ける。所望なら、エステル交換は、5.0より低いpKを有する強プロトン酸、5.0より低いpKbを有する強塩基、およびスズ、鉄、チタンおよび/もしくは他の金属の錯体のような遷移金属錯体のようなエステル交換触媒によって触媒され得るこれらおよび他の好適な触媒は、例えば、参照によりその総ての内容をここに編入する、M. G. Voronkov、V. P. MileshkevichおよびYu. A. Yuzhelevskii著、「The Siloxane Bond, Physical Properties and Chemical Transformations」、Consultants Bureau, a division of Plenum Publishing Company, New York (1978)、の第5章に開示される。酸、塩基もしくは金属の触媒は、ヒドロキシル含有加水分解性シランの全開始重量に基づいて、10ppmから2重量パーセントまで、好ましくは20から1000ppmまで、そしてより好ましくは100から500ppmまでの範囲で使用できる。
【0023】
式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランの加水分解とそれに続く縮合により誘導されるオリゴマーは、水、もしくはギ酸のようなカルボン酸をシランへと添加することによって調製される。反応する水の量は、反応組成物の全重量に基づいて0.1から99.9の、好ましくは1から99の、より好ましくは5から95の、そしてもっとも好ましくは10から20の重量パーセントの範囲であり得る。反応は、0から150℃の、好ましくは25から100℃の、そしてより好ましくは60から80℃の温度において、13.3Pa(0.1mmHg)から266.6kPA(2000mmHg)までの絶対圧を維持しつつ実施される。モノアルコールもしくはカルボン酸のようなより低い沸点のRO−H基が生成するため、それは反応混合物から蒸留によって除去でき、それによって反応を完了するように進めるのを助ける。反応は、任意選択で加水分解のおよび縮合の触媒を用いて触媒してもよく、それの好適なものは、5.0より低いpKである強プロトン酸、5.0より低いpKbである強塩基、およびスズ、鉄、チタンおよび他の金属の錯体のような遷移金属錯体である。これらの触媒は、M. G. Voronkov、V. P. MileshkevichおよびYu. A. Yuzhelevskii著、「The Siloxane Bond, Physical Properties and Chemical Transformations」、Consultants Bureau, a division of Plenum Publishing Company, New York (1978)、の第5章に開示され、参照によりその総ての内容をここに編入する。酸、塩基もしくは金属の触媒は、ヒドロキシル含有加水分解性シランおよび水の全混合重量に基づいて、10ppmから2重量パーセントまで、好ましくは20から1000ppmまで、そしてより好ましくは100から500ppmまでの範囲で使用できる。
【0024】
ここでのオリゴマーは、イオン交換樹脂および参照によりそのすべての内容をここに組み込む米国特許番号6,391,999号に記載される反応条件を用いて作製することも出来る。
【0025】
他の具体的な実施態様において、シランの加水分解性シリル基のそれぞれのRO部分は独立して同一であるかもしくは異なる、アルキルオキシ、アシルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アルコキシアリールオキシ、アシルオキシアルキルオキシ、アシルオキシアリールオキシ、およびアリロキシのような部分である。RO部分の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、1−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−プロポキシなどである。
【0026】
ここでのさらに他の具体的な実施態様において、それぞれのR、R、RおよびR基は、1から12個の炭素原子の、好ましくは2から8個の炭素原子の、そしてさらに好ましくは3から6個の炭素原子の、直鎖の、分岐のもしくは環状のアルキレン基である。そのような基の例は、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、ヘキシレン、イソヘキシレンなどである。
【0027】
ここでのさらに他の具体的な実施態様において、それぞれのRおよびR基は、1から4個の炭素原子のアルキル基であり;それぞれのR、R、RおよびRは、1から12個の炭素原子の、好ましくは2から8個の炭素原子の、そしてさらに好ましくは3から6個の炭素原子の、直鎖のアルキレン基であり;それぞれのRは独立して、水素、1から4個の炭素原子の直鎖アルキル基、−R(OH)基、もしくは−C(=O)A(OH)基であり、ここでそれぞれのR、R、およびdは上述のように定義され、Aは−NR−で、式中Rは水素であり;そしてRは独立して、水素、1から4個の炭素原子の直鎖のアルキル基、もしくは−R(OH)基である。
【0028】
さらに他の実施態様において、Aは−O−もしくは−NR−であり、ここでRは水素、1から4個の炭素原子のアルキル基、もしくは−R(OH)基であり、ここで、Rは1から6個の炭素原子のアルキレン基であり、bは0もしくは1であり、cは1であり、dは1であり、そしてeは1であり;好ましくは、A1は−NR−であり、ここでRは水素、1から4個の炭素原子のアルキル基、もしくは−R(OH)基であり、ここでRは1から6個の炭素原子のアルキレン基であり、bは0もしくは1であり、cは1であり、dは1であり、そしてeは1であり;そして、より好ましくはAは−NR−であり、ここでRは水素もしくは−R(OH)基であり、dは1であり、そしてeは1である。
【0029】
式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランは、一つもしくはそれ以上の窒素含有有機官能性基を有している。たとえば、bが1から20、eが0もしくは1、Rが水素もしくは−C(=O)A(OH)基であり、ここでAが−O−もしくは−NR−であり、そしてRが水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、もしくはアラルキル基のような1から8個の炭素原子の一価のヒドロカルビル基、−RSiR(OR3−a基、もしくは−R(OH)基であり、ここでR、R、R、R、aおよびfが上述の意味を有するときのように、一つもしくはそれ以上のアミノ、ウレイド、および/もしくはカルバマト基が同一のシランに存在しても良い。
【0030】
上述のヒドロキシル含有加水分解性シランは、たとえば、それぞれ化学反応式(I)および(II):
【化9】

【化10】

〔式中、R、R、R、R、R、R、R、a、b、c、dおよびeは上述の意味を持つ〕による分子内および/もしくは分子間エステル交換をする事が出来る、ニート(neat)のヒドロキシ含有シランを含有し得ることは理解されよう。加水分解性シランのヒドロキシル基の一つもしくはそれ以上が、化学反応式III:
【化11】

に示されるように、分子内および/もしくは分子間で反応でき、一つもしくはそれ以上の環状構造および/もしくは一つもしくはそれ以上の架橋構造を形成することもまた理解されよう。
【0031】
他の具体的な実施態様において、分子内エステル交換はここに記載されるようなオリゴマーの形成を導き、結果として、ヒドロキシル含有加水分解性シランの分子量と粘度の増加をもたらす。しかしながら、加水分解されるとそのようなオリゴマーは小分子へと分解し、それらを含有する水性媒体においてより低い粘度とより高い可溶性とを示す。
【0032】
具体的な一実施態様において、ヒドロキシル含有加水分解性シランは少なくとも一つのヒドロキシル基と、そして任意選択で少なくとも一つの置換窒素基とを含有するシランであり、前記シランは、アミノアルコキシシラン、ウレイドアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、およびハロアルコキシシランの少なくとも一つの誘導体である。
【0033】
ここでの他の具体的な実施態様において、ヒドロキシル含有加水分解性シランは、少なくとも一つのヒドロキシル基を含有するシランであり、前記シランは、以下のシランの少なくとも一つの誘導体でである:
3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルメチルジメトキシしシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシ−エトキシ)シラン、アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(ガンマ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−2−(ビニルベンジルアミノ)−エチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノメチルジエトキシシラン、ガンマ−アミノイソブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、3,3’−アミノビス(プロピルトリエトキシシラン)、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジブチルアスパラギン酸塩、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−ウレイドブチルトリエトキシシラン、N−(2−ウレイドエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−ウレイドヘキシル)3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルジメチルエトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリス(メトキシエトキシ−エトキシ)シラン、ウレイドイソブチルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−N’−ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせ。
【0034】
ここでの他の具体的な実施態様において、ヒドロキシル含有加水分解性シランは:
ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ヒドロキシエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−ブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−ブチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ヒドロキシプロピル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−ブチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−ブチル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−エチル−3−アミノ−イソブチルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−エチル−3−アミノ−イソブチル−トリエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−エチル−3−アミノ−イソブチルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−エチル−3−アミノ−イソブチルメチルジエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、ビス(ヒドロキシプロピル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、2−ヒドロキシエチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、ヒドロキシプロピル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、2−ヒドロキシエチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、ヒドロキシプロピル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、ヒドロキシプロピル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、(N−3−トリメトキシシリルプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素)、N−3−トリエトキシシリルプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、N−(3−トリメトキシシラニル−プロピル)カルバミン酸2−ヒドロキシエチルエステル、および、[2−(2−トリメトキシシラニル−エチルアミノ)−エチル]−カルバミン酸2−ヒドロキシエチルエステルの少なくとも一つである。
【0035】
式Iのシランのオリゴマーは、式Iのヒドロキシル含有加水分解性シランの少なくとも一つとヒドロキシル官能性を欠いた加水分解性シランの少なくとも一つとを含有するシランの混合物の加水分解およびそれに続く縮合によって得られる。混合物中の式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランの量は、式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランとヒドロキシル官能性を欠いた加水分解性シランとの混合重量に基づいて、5から99重量パーセントの、好ましくは10から95重量パーセントの、そしてより好ましくは50から90重量パーセントの範囲である。混合物中のヒドロキシル官能性を欠いた加水分解性シランの量は、式(1)のヒドロキシル含有加水分解性シランとヒドロキシル官能性を欠いた加水分解性シランとの混合重量に基づいて、1から95重量パーセントの、好ましくは5から90重量パーセントの、そしてより好ましくは10から50重量パーセントの範囲である。後者の例は、たとえば、ビニルアルコキシシラン、アリルアルコキシシラン、硫黄含有アルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、ハロアルキルアルコキシシラン、アリールアルコキシシラン、アルカリールアルコキシシラン、アラルキルアルコキシシラン、アクリロイルおよびメタクリロイルアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、ならびにアミノアルコキシシランを含む。いくつかの具体的なヒドロキシル官能性を欠いたシランは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、1,1,1−トリフルオロエチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ブテニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、1,2−ビス−(トリメトキシシリル)エタン、1,6−ビス−(トリアルコキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス−(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,2−ビス−(トリエトキシシリル)エチレン、1,4−ビス−(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、そして1,2−ビス−(トリメトキシシリルプロピル)アミン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシ−エトキシ)シラン、アミノイソブチルトリメトキシシラン、アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(ガンマ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルエチルトリメトキシシラン、ビニルプロピルトリメトキシシラン、N−2−(ビニルベンジルアミノ)−エチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベータ−(アミノ エチル)−ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノメチルジエトキシシラン、ガンマ−アミノイソブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メルカプトプロピルシラン、アミノアルコキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、3,3’−アミノビス(プロピルトリエトキシシラン)、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジブチルアスパラギン酸塩、および3−アミノプロピルメチルジエトキシシランである。
【0036】
本発明の金属コーティング方法に用いられる水溶液中に存在するヒドロキシル含有加水分解性シランの量は、その中に存在するモノマー、オリゴマー、および/もしくは部分的に縮合したオリゴマーの量および/もしくはタイプ、水の量および/もしくはタイプ、ならびに、界面活性剤、触媒、共溶媒、有機酸などのような任意の追加の成分の量および/もしくはタイプにかなり依存して変化する。ヒドロキシル含有加水分解性シランの量もまた、表面張力、pH、安定性、およびシランの加水分解の所望のレベルに依存して変化する。
【0037】
シランの好適な量は、たとえば、水性組成物の総重量に基づいて、0.01から50、好ましくは0.1から30、そしてより好ましくは0.5から16重量パーセントを含む。50重量パーセントよりかなり大きいシランの濃度は、比較的厚い(正方形領域当たりの重量の厚さを参照して)金属コーティングをもたらす。そのようなコーティングは一般的に製造するのによりコストがかかり、もろくなり得、そしてそれゆえあまり実際的でない。加えて、厚いコーティングはまた、それらが塗布される金属のマイクロラフネス(micro−roughness)を減じ、金属の表面積を減じ、そして、接着促進コーティング剤とそれへとさらに塗布される任意のものとの間のより少ない相互作用を導く。一般的に、本発明のコーティング剤組成物は、0.01から5、好ましくは0.05から2、そしてより好ましくは0.1から1マイクロメートルの乾燥厚さを有し得る。
【0038】
ここでの一実施態様において、ヒドロキシル含有加水分解性シランは、水性溶媒において、選択した水性組成物と完全に混和性でさえあるまで、比較的高い可溶性を有する。いくつかの有利な可溶性は、リットル当たり600g(g/l)まで、好ましくは400g/l、そしてより好ましくは300g/lまでを含む。ここでの他の具体的な実施態様において、ヒドロキシル含有加水分解性シランは、熱力学的に好ましい縮合プロセスに関わらず長期間の安定性を有するように作製され得る。さらに他の具体的な実施態様において、シランのオリゴマーは、上述の高い可溶性のレベルの一つを示す。
【0039】
ヒドロキシル含有加水分解性シランの水溶液は部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され得、そして生じる加水分解産物は続いて部分的に縮合し、シロキサン結合(Si−O−Si)の生成を介してオリゴマーを生成できる。これらの部分的に縮合した産物は、一般的に水への可溶性がより低い。縮合の度合いが大きくなり過ぎるとき、オリゴマーもしくはその相当大きい部分は不溶性になり、それ自体は本発明の金属コーティング方法への使用に適さない。
【0040】
縮合の度合いは、上述の29Si核磁気共鳴法によって以下の計算式(II):
縮合パーセント=[100%][C/(A+B+C)] (II)
を用いて測定でき、
式中、Aは加水分解性シリル基の数であり、Bはシラノール基の数であり、そしてCはアルコキシもしくはヒドロキシ基を置換したシリロキシ基の数である。
【0041】
有用な水性コーティング剤溶媒は一般的に、0から95、好ましくは1から80、そしてより好ましくは2から50パーセントの、ヒドロキシル含有加水分解性シラン組成物の縮合レベルを有する。
【0042】
本発明の水性コーティング剤組成物は任意選択で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル脂肪酸塩、アルキルスルファートエステル塩、アルキルベンゼンスルホナート、アルキルホスファート、アルキルアリルスルファートエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルホスファートエステル、第4級アンモニウム塩、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジ(長鎖アルキル)ジメチルアンモニウム塩、エトキシ化ノニルフェノール、ポリビニルアルコールなどのような界面活性剤の少なくとも一つを含む。好適な界面活性剤の具体例は、Dow Chemical Companyによって製造されるTriton X−100およびMomentive Performance Materialsによって製造されるSilwet L−77(後者の場合、界面活性剤は中性pHで存在するという条件である)を含む。用いられる界面活性剤の量は、ヒドロキシ官能性カルバモイルオルガノシラン化合物の量および/またはタイプ、水の量および/もしくはタイプ、そして触媒、共溶媒および有機酸のような、用いられる追加的な成分の量および/もしくはタイプに大きく依存して変化し得る。界面活性剤の量は、表面張力、pH、安定性、およびコーティング剤組成物のシラン成分の加水分解の所望のレベルに依存して変化し得る。界面活性剤の好適な量は、存在するとき、水性コーティング剤組成物の総重量に基づいて、0.0001から5、好ましくは0.001から2、そしてより好ましくは0.02から0.1重量パーセントである。
【0043】
ここでの水性コーティング剤組成物の安定性はしばしば、そこへの有機共溶媒の添加によって増強され、それは好ましくは非VOC、非HAPのそれであり、例えば3−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−プロパン−1−オールもしくは3−[2−(2−ブトキシ−プロポキシ)−プロポキシ]−プロパン−1−オールのようなアルコール、アセトン、もしくはメチルエチルケトンのようなケトン、ヘキシレングリコールもしくは2−メチル−1,3−ブタンジオールのようなケトン、酢酸3−[2−(2−ブトキシ−プロポキシ)−プロポキシ]−プロピルエステルのようなエステルなどである。用いられる共溶媒の量は、ヒドロキシ含有加水分解性シラン成分の量および/もしくはタイプ、オリゴマーおよび/もしくはそれらより誘導される部分的に縮合したものの量および/もしくはタイプ、水の量および/もしくはタイプ、界面活性剤、触媒および有機酸のような任意の任意選択の成分の量および/もしくはタイプ、ならびに表面張力、安定性およびシラン成分の加水分解の所望のレベルに依存して極めて広い制限にわたって変化し得る。このように、たとえば、共溶媒の量は、水性コーティング剤組成物の総重量に基づいて、0.1から50、好ましくは0.5から30、より好ましくは1から20重量パーセントの範囲であり得る。ヒドロキシル含有加水分解性シランが加水分解されるとき、加水分解産物の安定性を、他の共溶媒の別の添加無しに上昇させるのに十分である適度の量のアルコール副産物が産生されることもある。そのようなアルコール副産物は、水性コーティング剤組成物の総重量の0.1から50、好ましくは0.1から20、そしてより好ましくは0.2から6重量パーセントで存在し得る。
【0044】
シラン成分の縮合速度を最小化し、結果としてヒドロキシル含有加水分解性シラン成分を含有する水性コーティング剤溶媒の安定性を最大化するために、水性コーティング剤組成物のpHを有利にも制御できる。水性コーティング剤組成物は、周囲温度条件において、少なくとも3、好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも、そしてもっとも好ましくは少なくとも6ヶ月に安定性を示し得る。水性のコーティング剤組成物の経時的な安定性の最適化は、たとえば、2から9、好ましくは3から8、より好ましくは3から7、そしてもっとも好ましくは3.5から6のpHを提供するpH調整剤のそれへの添加によって増進され得るいくつかの好適なpH調整剤は酢酸、ギ酸、クエン酸およびリン酸を含む。pH調整剤はまた、ヒドロキシル含有加水分解性シランの任意選択のアミノ基と反応して塩を形成できる。この塩は、水性溶媒においてより高い可溶性とより高い安定性を持つ。これらおよび類似のpH調整剤はたとえば、水性コーティング剤組成物の全重量に基づいて、0.001から2、好ましくは0.001から1、そしてより好ましくは0.001から0.2重量パーセントで存在し得る。
【0045】
ここでの他の具体的な実施態様において、上述の有機酸を、上述のpH範囲のいずれかにおいて、シラン上の加水分解性基の加水分解を助けるために用いる事ができる。
【0046】
所望なら、触媒をコーティング剤の硬化中の縮合を促進するために用いる事が出来る。この目的のための好適な触媒は、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレアート、ジラウリルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、ジブチルスズ−ビス(4−メチルアミノベンゾエート)、ジブチルスズジラウリルメルカプチドおよびジブチルスズ−ビス(6−メチルアミノカプロエート)などのスズ触媒を含む。縮合触媒は、防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤組成物の貯蔵安定性を減ずる可能性もある。好ましくは潜在性の触媒が用いられる。潜在性の触媒は貯蔵の間は不活性であり、そして熱、放射線照射もしくは硬化プロセスにおける蒸発によって活性化される。例は、たとえば、アンモニアもしくはアミン、ならびに低蒸気圧のカルボン酸のような大気圧で2666〜101.3kPa(20〜760 mmHg)の蒸気圧のような、またはたとえば、フタル酸のような133.3Pa(1mmHg)より低い蒸気圧のような、気体のもしくは高蒸気圧の有機塩基からの塩を含む。縮合触媒の量はたとえば、防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤組成物の総重量に基づいて、0.001から1、好ましくは0.001から0.5、そしてより好ましくは0.001から0.2重量パーセントの広い範囲であり得る。
【0047】
本発明の水性コーティング剤組成物の塗布方法は、所望の金属表面へコーティング剤組成物を塗布し、前記表面において組成物を硬化し、そして任意選択でたとえば、塗料のような他のコーティング剤を硬化したコーティング剤へ塗布することを含有する。硬化したコーティング剤のヒドロキシル含有加水分解性シランに由来するヒドロキシル基は、たとえば水素結合もしくは共有結合の形成を介してさらに他のコーティング剤と相互作用できる。用語「塗料(paint)」は、基材を保護し、および/もしくは美化するために用いられる、エポキシ、エナメル、ラテックス、下地、下塗り、クリアコート(clearcoat)、ラッカー、ニス、セラックニス、ポリウレタン仕上げ剤などのようなここでのシラン含有コーティング剤以外のすべてのコーティング剤への言及であるとここでは理解されたい。ここでの二次コーティング剤に特に有用な塗料はSherwin Williamsから入手可能なPermaclad2400のようなポリエステル系塗料である。クリーページ(creepage)(コーティング剤の防食性能測定)の度合いは、具体的な用いられる塗料のような要素、下地のシラン系コーティング剤の性質、および当業者によく知られる他の要素に大きく依存して変化する。塗料以外の、ここでの硬化した防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤組成物へと塗布できる他の組成物は、ラバー、接着剤、封止剤、可塑剤、ハードコートなどを含む。
【0048】
金属はシート状、棒状、ロッド状、ワイア状、ホイル状などで提供され得る。好適な金属は、銅、銀、真ちゅう、チタン、チタン合金、金、スズ、ニッケル、クロム、タンタル、鉄、表面冷延鋼板、亜鉛めっきされたスチール、溶融亜鉛めっきスチール、プライムスチール(prime steel)、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金などのうちの少なくとも一つでコートされたスチール、ならびにアルミニウムを含む。
【0049】
本発明の水性コーティング剤組成物は、たとえば、ロールコーティング、特にリバースロールコーティング、浸漬コーティング、フラッドコーティング(flood coating)、スプレーおよびドローダウン(drawdown coating)法などの任意の既知でかつ通常の手順によって金属表面へと塗布され得る。
【0050】
防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤組成物は水相の除去によって硬化される。この硬化プロセスは、15から150℃の、好ましくは20℃から50℃の、そしてより好ましくは25℃から30℃の範囲の温度において、13.3から266.6kPa(0.1から2000mmHg)の範囲の絶対圧力を維持しつつ実施される。熱は、対流式オーブンのようなオーブン、またはヒートランプを用いて提供され得る。他の実施態様において、温度は20℃から50度の範囲であり得、133.3Paから10.67kPa(1から80mmHg)の範囲の絶対圧力が維持される。詳細には0.1から25メートル/時、そしてより詳細には1から15メートル/時の速度を有する気体の気流を、防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤組成物を含有する金属基材表面上に通すことは、水の蒸発および硬化プロセスの助けとなるであろう。
【0051】
金属表面への塗布ののち、コーティング剤組成物のシラン成分は、もし金属表面上にヒドロキシル基が存在するなら、金属のヒドロキシル基と反応でき、シランを金属表面へと固定する共有結合を形成する。これらの共有結合は、硬化したコーティング剤による処理された金属表面への接着性結合を有意に向上させるのに役立つであろう。
【0052】
新たに塗布されるコーティング剤組成物のシラン成分の硬化は、あるシラン分子のシラノールの、他のシラン分子のシラノールとの水の生成を伴う反応を含む。硬化したコーティング剤の縮合パーセントはたとえば、30から100、好ましくは60から99、そしてより好ましくは65から95パーセントの範囲であり得る。
【0053】
たとえば塗料のようなさらに塗布されるコーティング剤の接着は、もし下地のシラン系層の縮合が60から99、そして好ましくは65から95パーセントの範囲にあるとき、向上するであろう。そのような向上した接着は、縮合の完全ではないシラン系コーティング剤へ浸潤し、下地の部分的に縮合したコーティング剤へと浸透し膨張させる、さらに塗布されるコーティング剤の性能によるものであろう。部分的に縮合したコーティング剤は、残余のヒドロキシル(HO−)および/もしくはアルコキシ(RO−)基のため、いくらかより極性でおよび/もしくはいくらかより低い架橋密度である傾向にある。これらのヒドロキシル基および/もしくはアルコキシ基は、硬化したフィルムの湿潤性および膨張性を向上させる。
【0054】
さらに塗布されるコーティング剤は、シラン系下地コーティング剤へと、たとえば、ロールコーティング、浸漬コーティング、フラッドコーティング、スプレーおよびドローダウン法などのような任意の既知の通常の手順で塗布され得る。さらに塗布されるコーティングのフィルムの乾燥厚さは0.1から100マイクロメートル、そして好ましくは1から500マイクロメートルの範囲である。
【実施例】
【0055】
以下に示される実施例は本発明の例示である。
【0056】
実施例に用いられる金属は、ACT Laboratoriesによって提供される15.2センチメートル(cm)×10.16cm×0.08128cmの寸法の磨かれていない、切断冷延鋼板(CRS)パネルである。コーティングされるのに先立ち、テストパネルは、通常の方法によりアルカリ性の洗浄剤で洗浄され、蒸留水でリンスされ、そして窒素ガスで乾燥された。コーティング剤組成物は、極細ドローダウンワイヤロッド(Gradcoからのサイズ#3)によってテストパネルへと直接的に塗布された。コートされたパネルは垂直で乾燥され、過剰のコーティング剤がそれぞれのパネルの底の端より除去された。パネル上のコーティング剤はその後硬化され、硬化されたコーティング剤は1.2ミル(mils)の乾燥厚さで白H67WC55高固体ポリエステル裏地エナメル(Permaclad2400、Sherwin Williams)によってペイントされた。それぞれのパネルは、中性塩スプレーへと250時間曝すことを含むASTM B117の加速腐食試験へと供された。それぞれのパネルの防食性能はASTM D1654によって評価された。実施例のパネル上のコーティング剤組成物の接着性能はクロムシーリングされたリン酸亜鉛浸漬処理の対照テストパネルのそれと比較された。特にこの比較評価は、(金属パネルの)刻印を等間隔の10の区間へと分割することからなる。刻印に沿う等間隔で無いクリーページのため、それらの区間の端においてクリーページが測定された。クリーページは、ミリメートル単位で、最小、最大および平均の刻印からの距離によって報告され、表1において、それぞれ個々のテストパネルに対して示される。
【0057】
実施例において用いられるさまざまなシランの化学構造は以下のようである。
【化12】

【0058】
実施例1
エタノール中62重量%の(EtO)Si(CHN(CH2CHOH)の溶液をGelestより得た。2重量%のビス−(ヒドロキシエチル)アミノプロピルトリエトキシシランの防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤は、50mgの非イオン性界面活性剤(Triton X−100)、1.61gの前記62重量パーセントの溶液、および46.72グラムの蒸留水を混合することにより作製された。二つの処理されたパネルAおよびBはペイントされる前に120℃で20分間で硬化された。コートされたテストパネル上の塗料のクリーページが測定され、通常に処理された対照と比較され、ミリメートル単位で最小、最大および平均の刻印からの距離として報告され、そして表1に要約される。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例2
エタノール中50重量%の(EtO)SiCHOH溶液をGelestより得た。2重量%のヒドロキシメチルトリエトキシシランの防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤は、50mgの非イオン性界面活性剤(Triton X−100)、50mgの酢酸、2gの前記50重量%のエタノール中のシラン溶液、および47.9gの蒸留水を混合することによって作製された。生じる混合物は透明の溶液が得られるまで約48時間攪拌された。AおよびBの一対の処理されたパネルが、ペイントされる前に120℃で20分間硬化された。第二のAおよびBの一対の処理されたパネルが、ペイントされる前に室温で硬化された。コートされたテストパネル上の塗料のクリーページが測定され、通常処理された対照と比較され、そしてミリメートル単位で最小、最大および平均の刻印からの距離として報告され、そして表2に要約される。
【0061】
【表2】

【0062】
実施例3
(MeO)Si(CHNHCON(CHCHOH)は、5.12g(48.71mmol)のジエタノールアミンを10g(48.71mmol)の3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランへと攪拌しながらゆっくりと添加することによって合成された。前記添加の終了後、攪拌を1時間続けた。産物はその後放置され、数日後にゲル化している事が見出された。2重量%の(MeO)Si(CHNHCON(CHCHOH)の防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤は、50mgの非イオン性界面活性剤(Triton X−100)、50mgの酢酸、1gの(MeO)Si(CHNHCON(CHCHOH)シラン、48.9gの蒸留水および0.355g(15重量%)のコロイド状の酢酸セリウムを混合することによって作製された。AおよびBの一対の処理されたパネルが、ペイントされる前に120℃で20分間硬化された。第二のAおよびBの一対の処理されたパネルが、ペイントされる前に室温で硬化された。コートされたテストパネル上の塗料のクリーページが測定され、通常処理された対照と比較され、そしてミリメートル単位で最小、最大および平均の刻印からの距離として報告され、そして表3に要約される。
【0063】
【表3】

【0064】
実施例4
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(20g、111.55mmol)をゆっくりと攪拌しながら炭酸プロピレンと混合した。混合物はゆっくりと発熱した。シリルウレタンを得るまで攪拌を24時間継続した。シリルウレタン(15g)、メタノール(5g)、および酢酸(0.1g)の混合物へと蒸留水(18g)を攪拌しながら滴下し、かすみがかった溶液を生成した。攪拌を12時間継続し、透明の水混和性の液体(39.37重量%のシラン)を生じた。
【0065】
実施例5
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(20g、111.55mmol)を炭酸エチレン(9.82g、111.55mmol)へと添加した。混合物を攪拌しながらホモジナイズし、そしてその後それは少し発熱した。攪拌を24時間継続し、シリルウレタン化合物を得た。シリルウレタン(15g)、メタノール(5g)、および酢酸(0.1g)の混合物へと蒸留水(18g)を攪拌しながら滴下し、かすみがかった溶液を生成した。攪拌を12時間継続し、透明の水混和性の液体(39.37重量%のシラン)を生じた。
【0066】
2.5重量%の(MeO)Si(CHNHCOOCHCH(Me)OHシランおよび(MeO)Si(CHNHCOOCHCHOHシランの防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤は、50mgの非イオン性界面活性剤(Triton X−100)、2.54gの39.37重量%の(MeO)Si(CHNHCOOCHCH(Me)OHもしくは(MeO)Si(CHNHCOOCHCHOH水溶液、および47.41gの蒸留水を添加することによって作製された。処理されたパネルをペイントされる前に20分間乾燥した。
【0067】
刻印に沿った均等で無いクリーページのため、刻印は10の均等な区間に分割され、クリーページはそれら区間の端において測定された。クリーページはミリメートル単位で最小、最大および平均の刻印からの距離として報告され、そして表4に要約される。
【0068】
【表4】

【0069】
それぞれの実施例において、水性のヒドロキシル官能性シラン接着促進コーティング剤は、Zn−P−Crの対照に比べて、同一のもしくはより良い性能を示す。
【0070】
上の記述は多くの具体例を含有するが、それら具体例は限定として解釈されるべきでなく、具体的なそれらの実施態様の例示としてのみ解釈されるべきであることは理解されよう。当業者はここに添付される請求項によって定義されるような記述の範囲および精神に包含される多くの他の実施態様を想到するであろう。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の露出した表面の少なくとも一部分をコーティングする方法であって、それが:
a)少なくとも一つの、部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されていて、一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基ならびに任意選択で一つもしくはそれ以上の有機窒素基を有し、ここで、そのような基を部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されたシランへと結合する架橋基の別々の炭素原子へと、前記ヒドロキシル基および任意選択の有機窒素基が結合される、シランの水溶液を含有する硬化性コーティング剤組成物を、前記表面に塗布するステップと;
b)金属表面において硬化性コーティング剤組成物を硬化してその上に防食性のおよび/もしくは接着促進のコーティング剤を提供するステップと;
を含有する、方法。
【請求項2】
前記部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されているシランが一般式(I):
【化13】

の加水分解性シランの少なくとも一つから得られ、
式中、
およびRの各々が独立して、一価のヒドロカルビル基であり、たとえば、20個の炭素原子までのアルキル、アルケニル、アレニル、アリールもしくはアラルキル基、またはアシル基であって、任意選択で一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含有し;
およびRの各々が独立して、二価のヒドロカルビレン基であり、たとえば、12個の炭素原子までのアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレンもしくはアラルキレン基であり;
の各々が独立して、二価のもしくは多価のヒドロカルビレン基であり、たとえば、12個の炭素原子までのアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレンもしくはアラルキレン基であり、ただし、bが0であり、cが0であり、そしてdが1であるとき、RはRと−OH基との間の化学結合であり得;
の各々が独立して、水素、たとえば8個の炭素原子までのアルキル、アルケニル、アレニル、アリールもしくはアラルキル基のような一価のヒドロカルビル基、−RSiR(OR3−a基、−C(=O)A(OH)基または−R(OH)基であり;
の各々が独立して、水素、たとえば8個の炭素原子までのアルキル、アルケニル、アレニル、アリールもしくはアラルキル基のような一価のヒドロカルビル基、−RSiR(OR3−a基または−R(OH)基であり;
の各々が独立して、二価のもしくは多価のヒドロカルビレン基であり、たとえば、12個の炭素原子までのアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレンもしくはアラルキレン基であり;
の各々が独立して、二価の酸素もしくは構造−NR−〔ここで式中、Rは水素、例えば8個の炭素原子までのアルキル、アルケニル、アレニル、アリールもしくはアラルキル基のような一価のヒドロカルビル基、−RSiR(OR3−a基または−R(OH)基である〕の窒素であり;そして、
下付文字a、b、c、d、eおよびfの各々が独立して整数であり、ここでaが0から2であり;bが0から20であり;cが0もしくは1であり;dが1から4であり;eが0もしくは1であり;そしてfが1から4である、
請求項1に記載される、方法。
【請求項3】
それぞれのRO−基が独立して、加水分解性の、アルキルオキシ、アシルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アルコキシアリールオキシ、アシルオキシアルキルオキシ、アシルオキシアリールオキシ、もしくはアリロキシ基である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれのR、R、RおよびR基が独立して、1から12個の炭素原子の直鎖の、分岐のもしくは環状のアルキレン基である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
それぞれのRおよびR基が独立して、1から4個の炭素原子のアルキル基であり;それぞれのR、R、RおよびR基が独立して、3から6個の炭素原子の直鎖のアルキレン基であり;それぞれのRが独立して、水素、1から4個の炭素原子の直鎖のアルキル基、−R(OH)基もしくは−C(=O)A(OH)基であり、式中、dが1から4であり、それぞれのAが−NR−であり、ここでRが水素であり;そして、それぞれのR基が独立して水素、1から4個の炭素原子の直鎖のアルキル基もしくは−R(OH)f基である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
それぞれのAが独立して−O−もしくは−NR−であり、ここでRが水素、1から4個の炭素原子のアルキル基、もしくは−R(OH)基であり、ここでRが1から6個の炭素原子のアルキレン基であり;そして、bが0もしくは1であり、cが1であり、dが1でありeが1である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
それぞれのAが独立して−NR−であり、ここでRが水素もしくは−R(OH)基であり、ここでRが1から6個の炭素原子のアルキレン基であり;そして、bが0もしくは1であり、cが1であり、dが1でありeが1である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されているシランが、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ヒドロキシエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−ブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−ブチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ヒドロキシプロピル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−ブチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシプロピル)−N−ブチル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−エチル−3−アミノ−イソブチルトリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−エチル−3−アミノ−イソブチル−トリエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−エチル−3−アミノ−イソブチルメチルジメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−エチル−3−アミノ−イソブチルメチルジエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、ビス(ヒドロキシプロピル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシプロピル)−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、2−ヒドロキシエチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、ヒドロキシプロピル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、2−ヒドロキシエチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、ヒドロキシプロピル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、ヒドロキシプロピル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、(N−3−トリメトキシシリルプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素)、N−3−トリエトキシシリルプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、N−(3−トリメトキシシラニル−プロピル)カルバミン酸2−ヒドロキシエチルエステルおよび[2−(2−トリメトキシシラニル−エチルアミノ)−エチル]−カルバミン酸2−ヒドロキシエチルエステルからなる群より選択される少なくとも一つの加水分解性シランより得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されているシランが、アミノアルコキシシラン、ウレイドアルコキシシラン、エポキシアルコキシシランおよびハロアルコキシシランからなる群より選択される加水分解性シランの少なくとも一つより得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されているシランが、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルメチルジメトキシしシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシ−エトキシ)シラン、アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(ガンマ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−2−(ビニルベンジルアミノ)−エチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノメチルジエトキシシラン、ガンマ−アミノイソブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、3,3’−アミノビス(プロピルトリエトキシシラン)、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジブチルアスパラギン酸塩、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−ウレイドブチルトリエトキシシラン、N−(2−ウレイドエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−ウレイドヘキシル)3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルジメチルエトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリス(メトキシエトキシ−エトキシ)シラン、ウレイドイソブチルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−N’−ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素および3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される加水分解性シランの少なくとも一つより得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されているシランが、ヒドロキシル含有加水分解性シランの少なくとも一つと他方のヒドロキシル基を欠いている加水分解性シランの少なくとも一つとの、加水分解性シランの混合物の加水分解によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記部分的にもしくは実質的に完全に加水分解され、そして任意選択で部分的に縮合されているシランが、水と完全に混和性であるものまでの可溶性を有する加水分解性シランより得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記水性組成物が、界面活性剤、触媒、共溶媒もしくはpH調整剤からなる群より選択される少なくとも一つの追加的な成分をさらに含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(b)により生じる硬化されたシラン系コーティング剤へ、さらなるコーティング剤を塗布するステップを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
60から99パーセントの縮合レベルを有する不完全に硬化したシラン系コーティング剤の下塗りを提供するために硬化ステップ(b)が実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
65から95パーセントの縮合レベルを有する不完全に硬化したシラン系コーティング剤の下塗りを提供するために硬化ステップ(b)が実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
新規に塗布されたさらなるコーティング剤の少なくとも一つの成分が、下塗りの硬化したコーティング剤のシラン系成分のヒドロキシル基と共有結合および/もしくは水素結合を形成する基をさらに有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
新規に塗布されたさらなるコーティング剤の少なくとも一つの成分が、下塗りの硬化したコーティング剤のシラン系成分のヒドロキシル基と共有結合および/もしくは水素結合を形成する基をさらに有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記さらなるコーティング剤が塗料である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記さらなるコーティング剤が塗料である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記金属が、シート状、棒状、ロッド状、ワイヤ状、もしくはホイル状からなる群より選択される形状を有しており、前記金属が、銅、銀、真ちゅう、チタン、チタン合金、金、スズ、ニッケル、クロミウム、タンタル、鉄、表面冷延鋼板、亜鉛めっきされたスチール、溶融亜鉛めっきスチール、プライムスチール、亜鉛、亜鉛合金もしくはアルミニウムのうちの少なくとも一つでコートされたスチール、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記水溶液が、少なくとも3ヶ月の安定性を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記下塗りの不完全に硬化したシラン系コーティング剤が0.01から5マイクロメートルの厚さを有していて、さらなるコーティング剤が0.1から100マイクロメートルの乾燥厚さを有していて、それによってコートされる金属表面が、ASTM D1654によって測定されるクリーページ値において、0.01から5マイクロメートルの厚さのクロムシーリングされたリン酸亜鉛コーティングと0.1から100マイクロメートルの厚さの同一のさらなるコーティング剤とを有する実質的に同一の金属表面において同様に測定されたクリーページ値と比較して、少なくとも10パーセントの減少を示す、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記下塗りの不完全に硬化したシラン系コーティング剤が0.01から5マイクロメートルの厚さを有していて、さらなるコーティング剤が0.1から100マイクロメートルの乾燥厚さを有していて、それによってコートされる金属表面が、ASTM D1654によって測定されるクリーページ値において、0.01から5マイクロメートルの厚さのクロムシーリングされたリン酸亜鉛コーティングと0.1から100マイクロメートルの厚さの同一のさらなるコーティング剤とを有する実質的に同一の金属表面において同様に測定されたクリーページ値と比較して、少なくとも10パーセントの減少を示す、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記さらなるコーティング剤が塗料である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記さらなるコーティング剤が塗料である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
金属表面へと塗布される硬化性のコーティング剤組成物の量が硬化の際、0.01から5マイクロメートルの硬化厚さを提供するようなものである、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
金属表面へと塗布される硬化性のコーティング剤組成物の量が硬化の際、0.1から1マイクロメートルの硬化厚さを提供するようなものである、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
請求項1に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤を有する金属。
【請求項30】
請求項2に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤を有する金属。
【請求項31】
請求項13に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤を有する金属。
【請求項32】
請求項14に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤と更なるコーティング剤とを有する金属。
【請求項33】
請求項15に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤と更なるコーティング剤とを有する金属。
【請求項34】
請求項16に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤と更なるコーティング剤とを有する金属。
【請求項35】
請求項17に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤と更なるコーティング剤とを有する金属。
【請求項36】
請求項18に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤と更なるコーティング剤とを有する金属。
【請求項37】
請求項19に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤と更なるコーティング剤とを有する金属。
【請求項38】
請求項20に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤と更なるコーティング剤とを有する金属。
【請求項39】
請求項21に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤を有する金属。
【請求項40】
請求項23に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤を有する金属。
【請求項41】
請求項24に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤を有する金属。
【請求項42】
請求項25に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤を有する金属。
【請求項43】
請求項26に記載の方法によって生じる硬化したシラン系コーティング剤を有する金属。




【公表番号】特表2010−524683(P2010−524683A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506248(P2010−506248)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/005244
【国際公開番号】WO2008/133916
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】