説明

金属めっき複合基材

【課題】金属めっきにより、該めっき金属結晶粒が一方向に長く伸び、かつ耐熱耐酸化性金属基材表面と垂直な方向にほぼ(100)面の方向に配向させた耐熱耐酸化性金属−金属めっき複合基材及びその製造法を提供する。
【解決手段】耐熱耐酸化性金属基材1の表面に金属めっき層2が設けられ、金属めっき層2の結晶粒が一方向に長く伸び、かつ耐熱耐酸化性金属基材表面と垂直な方向にほぼ[100]方向に配向している金属めっき複合基材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物超伝導テープ、薄膜超伝導体、バルク超伝導体などのテープ形成用配向基板に用いる金属めっき複合基材に関する。
【背景技術】
【0002】
REBaCu7−δ系線材の基本的な構造を図7に示す。REBaCu7−δ系線材は大きく金属基板テープ線材5、バッファ層6、超電導層7、安定化金属層8よりなる。酸化物超電導体においては、cooper pairの対称性がd−波的であり、90°毎にノードがあるために、面内配向揺らぎを低く抑えないと、臨界電流密度が高くならないという問題がある。超電導体膜の面内配向揺らぎを低く抑えるためには、超電導層の下地バッファ層の面内方位揺らぎが小さくなければならない。
【0003】
金属テープ線材上の下地バッファ層の面内配向制御技術こそがREBaCu7−δ系線材実現の鍵となっている。面内配向制御技術として、無配向基板テープ上に下地バッファ層材料で面内配向を構築するIBAD法、ISD法などが知られている。
【0004】
IBAD法は、特異な角度からイオンを照射しながらYSZ(Yttrium Stabilized Zirconia)膜蒸着を行うことにより無配向基板上に配向膜を成長させる技術である。ここで、イオンの入射角はちょうど<111>方向に対応している。
ISD法は、基板面にある角度を持って構成元素を入射することにより、面内配向を実現しようとする技術である。レーザー蒸着(PLD:Pulsed laser deposition)法によりISD−YSZ膜を作製し、その上にREBaCu7−δ膜を成長させている。
【0005】
IBAD法やISD法に用いられる基材としては、強度の点からハステロイを用いることが多い。
【0006】
RABiTS法は強圧延により二軸配向基材を得ようとするもので、RABiTS法に用いられる基材はNi−ベースにWやCrを数%含ませたものである。このCrやWの不純物により結晶粒径を小さく押さえるとともに、テープ線材の強度を稼いでいる。
【0007】
しかし、不純物を多量に入れると圧延による二軸配向性は失われてくる。また、RABiTS法による純Ni基材では実用に際して強度と磁性に対して問題があり、その解決策として、Ni合金材をクラッド材に用い、その上にNiを蒸着、圧延し配向基板を得ている。しかし、この系では上述したようにNi合金に添加物を多量に入れると、圧延ではNi合金が配向しなくなり、その上のNiの配向が下地のNi合金の配向に引きずられ、強い二軸配向にならないという問題点がある。そのため、添加物を15at%以下に制限している。
【0008】
また、特許文献1には、酸化物超電導薄膜を形成してなる酸化物超電導体に用いられる基材として、高強度を有するハステロイなどの耐熱Ni合金の表面にめっき法などの公知の手段により貴金属の被覆層を形成し、その合金を強圧延とそれに続く熱処理により被覆層の外面において、少なくとも酸化物超電導薄膜を形成する部分が(100)面の方向に配向させた基材が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、酸化物超電導薄膜を形成してなる酸化物超電導体に用いられる基材として、高強度を有するハステロイなどの耐熱Ni合金に、該高強度を有するハステロイなどの耐熱Ni合金とは別に、Ni合金を強圧延とそれに続く熱処理により形成したNi表面と垂直な方向にほぼ[100]方向に配向した合金を張り合わせてなる基材が開示されている。
【特許文献1】特開平4−21597号公報
【特許文献2】特開2006−127847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1の方式では、めっき後に配向のための強圧延とそれに続く形成熱処理が必要であり、工程が複雑となる。また、表面方向からの強圧延であるため、めっき金属結晶粒が一方向に長く伸びることがない。
【0011】
前記特許文献2の方式では、強圧延とそれに続く形成熱処理により作製した、表面と垂直な方向にほぼ[100]方向に配向した合金を張り合わせているため、工程が複雑となる。また、表面方向からの強圧延であるため、めっき金属結晶粒が一方向に長く伸びることがない。
【0012】
そこで、本発明は、金属めっきにより、該めっき金属結晶粒が一方向に長く伸び、かつ耐熱耐酸化性金属基材表面と垂直な方向にほぼ(100)面の方向に配向させた耐熱耐酸化性金属−金属めっき複合基材及びその製造法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の金属めっき複合基材は、耐熱耐酸化性金属基材の表面に金属めっき層が設けられ、該金属めっき層の結晶粒が一方向に長く伸び、かつ耐熱耐酸化性金属基材表面と垂直な方向にほぼ[100]方向に配向していることを特徴とする(請求項1)。
【0014】
前記耐熱耐酸化性金属基材は、Ni、Co、Fe、Cu、Ag、W、Cr、Mo、Mn、Vのいずれをベースとする合金からなり、Mo、W、Cr、V、MnまたはALのいずれかの1種または2種以上が添加されていることを特徴とする(請求項2)。
【0015】
金属めっき層がNi、Pd、Agのいずれの1種または2種以上の合金からなることを特徴とする(請求項3)。
【0016】
金属めっき層が、pHが2〜7のワット浴で形成されていることを特徴とする(請求項4)。
【0017】
金属めっき層の下地の耐熱耐酸化性金属に該耐熱耐酸化性金属の長手方向に対して長いパターンの窪み及び/または膨らみが形成されていることを特徴とする(請求項5)。
【0018】
金属めっき層の金属とは異なる、Ni、Co、Fe、Cu、Ag、W、Cr、Mo、Mn、V、Taのいずれかの1種または2種以上の元素が耐熱耐酸化性金属基材と金属めっき層の間に存在することを特徴とする(請求項6)。
【0019】
本発明の金属めっき複合基材の製造方法は、耐熱耐酸化性金属基材の表面に金属ストライクめっき層を設け、さらに金属ストライクめっき層の上にワット浴により結晶粒が一方向に長く伸び、かつ耐熱耐酸化性金属基材表面と垂直な方向にほぼ[100]方向に配向した金属めっき層を形成することを特徴とする(請求項7)。
【0020】
耐熱耐酸化性金属基材の表面に導体の長手方向に沿って複数の凹凸からなるストライプを形成することを特徴とする(請求項8)。
【0021】
本発明は、耐熱耐酸化性金属基材としては、ハステロイB {Ni−28Mo−5Fe−1.5Co}、ハステロイC {Ni−16Mo−15.5Cr−5Fe−3W−1Co}、ハステロイX {Ni−9Mo−22Cr−18.5Fe−1.5Co}、ハステロイG {Ni−6.5Mo−22Cr−19.5Fe−2Cu−1W−1Co}などの合金を使用することができる。
【0022】
本発明は、例えば、高濃度添加物含有Ni合金である無配向のハステロイc−276上に耐酸性のある有機物質を塗布し、その一部をハステロイc−276の長手方向に沿って複数のストライプとなるように有機物質を除去する。このストライプ状にパターンのついたハステロイc−276をエッチングすることにより、ハステロイc−276の長手方向に沿って複数の凹凸からなるストライプを形成する。このストライプを持つハステロイc−276の表面に電気化学析出法により、pHが、例えば4.5のワット浴中で純ニッケル膜を電析する。ここで、パターン付基材とニッケル膜との間にNiと格子定数が異なる耐熱耐酸化性材料を挿入してもよい。このパターンにより、成長する[100]配向ニッケル膜は、一方向に結晶粒が伸びたものとなる。これにより面内配向ニッケル膜が達成される。本発明においては、耐熱耐酸化性金属基材、例えば、少なくとも15%未満ではない添加物を含んだハステロイ基材上に少なくともニッケル膜を付着させたように設計されたものである。
【0023】
本発明において、耐熱耐酸化性金属基材とニッケルめっきの密着性を向上させるストライクニッケルめっきは、例えば、塩化ニッケルに塩化水素を添加し浴の水素イオン濃度を高くすることでめっき中に陰極から大量の水素ガスを発生させ、陰極表面を還元雰囲気にすることにより、被めっき物表面の酸化物を金属に還元しながらめっきを実施する。
【0024】
また、ワット浴によるニッケルめっきは、例えば硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸を主成分とするもっとも実用的で一般的なニッケルめっき浴で実施する。
【0025】
また、本発明において、導体の長手方向に沿って複数の凹凸からなるストライプの形成は、ハステロイなどの金属基材の表面に界面活性剤を塗布し、次いでフォトレジスト膜をスピンコーティングしたのち、マスクをし、露光し、現像し、それをエッチングすることにより凹凸のストライプを形成する。
【0026】
形成したストライプ付き金属基材を洗浄後、スパッタリングによりバッファ層を蒸着した後、ストライクめっき、ワット浴でニッケルめっきする。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、ニッケルめっき層により、結晶粒が一方向に長く伸び、かつ金属基材表面と垂直な方向にほぼ[100]方向に配向させることができる。また、めっき条件を変えることにより配向を制御することが可能となり、配向のための強圧延とそれに引き続く熱処理を省略することができる。
【0028】
凹凸のストライプを形成することにより、ストライプの方向に結晶粒が長くなった(100)面配向したニッケルめっき膜が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は本発明の第1の実施例を説明する図であって、1は耐熱耐酸化性金属基材、2はほぼ[100]方向に強く配向したニッケルである。この実施例による金属めっき複合基材の製造方法は、以下のような手順による。
【0031】
(1)表面が平坦である耐熱耐酸化性金属基材(ハステロイc−276)の表面酸化物層除去かつ洗浄を行う。具体的に、NaOH80g/Lを90度以上にバーナーで加熱し、その中で5分間油脂の洗浄を行い、油脂洗浄後すぐに流水で洗浄する。その後、Ni溶液(NiCl 240g/L HCl 80g/L)中で逆電解(+50mA/cm 40度で30秒)をし、残留した汚れを落とす。
【0032】
(2)すぐに、(NiCl240g/L HCl 80g/L)中でストライクメッキ(溶液の温度を40度で3分)を行う。ストライクメッキ後すぐに流水で洗浄する。
【0033】
(3)pHを例えば4.5としたワット浴(例えば、NiSO・6HO 250g/L、NiCl・6HO 50g/L、ホウ酸30g/L、 NaOHを適量添加し、溶液の温度を40度、pH4.5とする)を作製する。
【0034】
(4)作製したワット浴の中で耐熱耐酸化性金属基材の端部からめっきを行う。めっき後は流水で洗浄する。
【0035】
(5)めっきしたニッケル膜の表面が荒れている場合は、表面を研磨する(化学物理的研磨)。
【0036】
以上により、図1に示した耐熱耐酸化性金属−金属めっき複合基材が完成する。
【0037】
図1では、耐熱耐酸化性金属1上に、ニッケルめっき膜が端部からめっきが始まっているために、端部から徐々にワット浴中に入った部分の方向に結晶粒が成長する。そのため、めっきニッケル結晶粒が一方向に長く伸び、かつワット浴のpHを2〜7(実施例1では4.5)としたために、耐熱耐酸化性金属基材表面と垂直な方向にほぼ(100)面配向した耐熱耐酸化性金属−金属めっき複合基材となった。
【0038】
ここで、ストライクメッキは耐熱耐酸化性金属基材の表面酸化物層の除去に用いているが、酸素のない雰囲気中での耐熱耐酸化性金属基材作製により、該金属基材表面に酸化物層が無い場合は、ストライクメッキの工程が不要であることは、言うまでもない。
【実施例2】
【0039】
図2は本発明の第2の実施例を説明する図であって、実施例1において、ニッケル膜2と耐熱耐酸化性金属基材1との間にバッファ層3を基板全面に蒸着した点のみ異なる構造である。その効果は、耐熱耐酸化性金属基材とニッケル膜の格子定数が近い場合、耐熱耐酸化性金属基材の方位に引きずられて、ニッケル膜の方位がランダムになると言う問題に対して、それを阻止するバッファ層3を追加し、その課題を解決することができる点である。次に、実際の作成方法を示す。
【0040】
(1)表面が平坦である耐熱耐酸化性金属基材(ハステロイc−276)の表面酸化物層除去かつ洗浄を行う(NaOH80g/Lを90度以上にバーナーで加熱し、その中で5分間油脂の洗浄を行い、油脂洗浄後すぐにビーカーに入れた水で洗浄し流水で洗浄する。その後、Ni溶液(NiCl 240g/L HCl 80g/L)中で逆電解(+50mA/cm 40度で30秒)をし、残留した汚れを落とす。)。
【0041】
(2)耐熱耐酸化性金属基材に該金属めっき層の金属(ここではニッケル)とは異なる格子定数を持つCo、Fe、Cu、Ag、W、Cr、Mo、Mn、V、Taのいずれかの一元素、または複数の元素よりなるバッファ層3を蒸着する。
【0042】
(3)NiCl240g/L HCl 80g/L)中でストライクメッキ(溶液の温度を40度で3分)を行う。ストライクメッキ後すぐに流水で洗浄する。
【0043】
(4)次にpHを例えば4.5としたワット浴(例えば、NiSO・6HO 250g/L、NiCl・6HO 50g/L、ホウ酸30g/L、 NaOHを適量添加し、溶液の温度を40度、pH4.5とする)中で耐熱耐酸化性金属基材の端部からめっきを行う。
【0044】
(5)めっきしたニッケル膜の表面が荒れている場合は、表面を研磨する(化学物理的研磨)。
【0045】
以上により、図2に示した耐熱耐酸化性金属−金属めっき複合基材が完成する。
【0046】
図2は、図1の実施例と耐熱耐酸化性金属1とニッケルめっき膜2の間に格子不整合金属バッファ膜がある以外全く同じである。格子不整合金属バッファ膜が有ることによって、下地金属基材の配向に、ニッケル結晶が引きずられなくなり、ニッケル結晶粒が金属基材の幅方向に比べて長手方向に長く伸び、かつ耐熱耐酸化性金属基材表面と垂直な方向にほぼ(100)面配向した耐熱耐酸化性金属−金属めっき複合基材となるまでのニッケル膜厚が少なくてすむという効果がある。
【実施例3】
【0047】
図3は本発明の第3の実施例を説明する図であって、1は耐熱耐酸化性金属基材、2はほぼ(100)方向に強く配向したニッケル、4は耐熱耐酸化性金属基材1ストライプ状の窪みまたは膨らみ、およびそれら両方のパターンである。この実施例による装置の製造方法は、以下のような手順による。
【0048】
(1)表面が平坦である耐熱耐酸化性金属基材(ハステロイc−276)の表面酸化物層除去かつ洗浄を行う。具体的にはNaOH80g/Lを90度以上にバーナーで加熱し、その中で5分間油脂の洗浄を行い、油脂洗浄後すぐに流水で洗浄する。その後、Ni溶液(NiCl 240g/L HCl 80g/L)中で逆電解(+50mA/cm 40度で30秒)をし、残留した汚れを落とす。
【0049】
(2)ハステロイなどの金属基材の表面に界面活性剤(HMDS)をコーティングし、次いでフォトレジスト膜をコーティングしたのち、マスクをし、露光し、現像して凹凸のストライプを形成する。
【0050】
(3)硝酸セリウムアンモニウム溶液内で2分エッチングを行い、エッチング後、流水で洗浄する。
【0051】
(4)レジストをアセトン等で洗浄した後、NaOH80g/Lを90度以上にバーナーで加熱し、その中で5分間油脂の洗浄を行い、油脂洗浄後すぐに流水で洗浄する。その後、Ni溶液(NiCl 240g/L HCl 80g/L)中で逆電解(+50mA/cm 40度で30秒)をし、残留した汚れを落とす。
【0052】
(5)すぐに、(NiCl240g/L HCl 80g/L)中でストライクメッキ(溶液の温度を40度で3分)を行う。ストライクメッキ後すぐに流水で洗浄する。
【0053】
(6)次にpHを例えば4.5としたワット浴(例えば、NiSO・6HO 250g/L、NiCl・6HO 50g/L、ホウ酸30g/L、 NaOHを適量添加し、溶液の温度を40度、pH4.5とする)中で耐熱耐酸化性金属基材の端部からめっきを行う。
【0054】
(7)めっきしたニッケル膜の表面が荒れている場合は、表面を研磨する(化学物理的研磨)。
【0055】
以上により、図3に示した耐熱耐酸化性金属−金属めっき複合基材が完成する。
【0056】
図3は、図1の実施例と耐熱耐酸化性金属1表面にストライプ状の窪みまたは膨らみ、およびそれら両方のパターンがある以外全く同じである。ストライプ状の窪みまたは膨らみ、およびそれら両方のパターンがあることによって、ニッケルめっき膜の一方向の配向が非常に強調され、幅方向と長手方向とのアスペクト比が非常に大きくなるという効果がある。
【0057】
また、ここでは、フォトレジストとフォトリソグラフィによりストライプパターンを作成する方法を述べたが、エッチング液を防御する塗料を塗り、乾燥したその塗料を剣山のようなとがった針を多数持つもので一方向に引っ掻き、金属面を出しても、同じ効果が得られることは言うまでもない。
【実施例4】
【0058】
図4は本発明の第4の実施例を説明する図であって、実施例3において、ニッケル膜2と耐熱耐酸化性金属基材1との間にバッファ層3を基板全面に蒸着した点のみ異なる構造である。その効果は、耐熱耐酸化性金属基材とニッケル膜の格子定数が近い場合、耐熱耐酸化性金属基材の方位に引きずられて、ニッケル膜の方位がランダムになると言う問題に対して、それを阻止するバッファ層3を追加し、その課題を解決することができる点である。実施例2と同じように、ニッケルめっき膜と耐熱耐酸化性金属基材との間に該金属めっき層の金属(ここではニッケル)とは異なる格子定数を持つCo、Fe、Cu、Ag、W、Cr、Mo、Mn、V、Taのいずれかの一元素または複数の元素よりなるバッファ層3を蒸着すれば、さらに配向性が良くなることは言うまでもない。
【0059】
図5は本発明の実施例3により作製されたニッケルめっき膜の配向性を説明するX線回折パターン図であって、非常に強い200ピークが観察されている。
【0060】
図6は本発明の実施例3により作製されたニッケルめっき膜の面内方位を説明する電子ビーム回折パターン図であって、作製したストライプに沿って方位が揃った結晶粒が観察されている。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図2】本発明の第2の実施例を説明する図である。
【図3】本発明の第3の実施例を説明する図である。
【図4】本発明の第4の実施例を説明する図である。
【図5】本発明の第3の実施例により作製されたニッケルめっき膜の配向を説明する図である。
【図6】本発明の第3の実施例により作製されたニッケルめっき膜のニッケル結晶粒を説明する図である。
【図7】REBaCu7−δ系線材の基本的な構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
1:耐熱耐酸化性金属基材
2:ニッケルめっき層
3:バッファ層
4:窪みまたは膨らみ
5:金属基板テープ線材
6:バッファ層
7:超電導層
8:安定化金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱耐酸化性金属基材の表面に金属めっき層が設けられ、該金属めっき層の結晶粒が一方向に長く伸び、かつ耐熱耐酸化性金属基材表面と垂直な方向にほぼ[100]方向に配向していることを特徴とする金属めっき複合基材。
【請求項2】
前記耐熱耐酸化性金属基材が、Ni、Co、Fe、Cu、Ag、W、Cr、Mo、Mn、Vのいずれをベースとする合金からなり、Mo、W、Cr、V、MnまたはALのいずれかの1種または2種以上が添加されていることを特徴とする請求項1記載の金属めっき複合基材。
【請求項3】
前記金属めっき層がNi、Pd、Agのいずれの1種または2種以上の合金からなることを特徴とする請求項1または2記載の金属めっき複合基材。
【請求項4】
前記金属めっき層が、pHが2〜7のワット浴で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属めっき複合基材。
【請求項5】
前記金属めっき層の下地の耐熱耐酸化性金属に該耐熱耐酸化性金属の長手方向に対して長いパターンの窪み及び/または膨らみが形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属めっき複合基材。
【請求項6】
前記金属めっき層の金属とは異なる、Ni、Co、Fe、Cu、Ag、W、Cr、Mo、Mn、V、Taのいずれかの1種または2種以上の元素が耐熱耐酸化性基材と金属めっき層の間に存在することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属めっき複合基材。
【請求項7】
耐熱耐酸化性金属基材の表面に金属ストライクめっき層の上にワット浴により結晶粒が一方向に長く伸び、かつ耐熱耐酸化性金属基材表面と垂直な方向にほぼ(100)面配向した金属めっき層を形成することを特徴とする金属めっき複合基材の製造方法。
【請求項8】
前記耐熱耐酸化性金属基材の表面に耐熱耐酸化性金属基材の長手方向に沿って複数の凹凸からなるストライプを形成することを特徴とする請求項7に記載の金属めっき複合基材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−303404(P2008−303404A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149276(P2007−149276)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】