説明

金属アルコキシドを含有する感光性組成物及びそれを用いたパターン状透明膜の製造方法

【課題】保存安定性に優れる感光性組成物であって、高透明性、高屈折率、及び高誘電率を有するパターニングされた薄膜を形成することが可能である感光性組成物、それを用いたパターン状透明膜の製造方法、これを用いて得られる表示素子を提供する。
【解決手段】金属アルコキシド(A)と重合性二重結合を有する化合物(B)と光重合開始剤(C)とを、金属アルコキシド(A)が加水分解しない条件で混合して感光性組成物を調製し、得られた感光性組成物をネガ型感光性組成物として用いてパターン状透明膜を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト分野等で利用可能な、金属アルコキシドを含有するネガ型感光性組成物、及びそれを用いたパターン状透明膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン化された透明膜は、スペーサー、絶縁膜、保護膜等として液晶表示素子の多くの部分で使用されており、これまでに多くのネガ型感光性組成物がこの用途に提案されてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特に近年では、高精細液晶ディスプレイや携帯電話用ディスプレイの需要が高まっていることにより、直径10μm以下の小さなパターンが求められるようになっている。
【0004】
一方、光を集光させる、高い結合効率を持つマイクロレンズ及びそのマイクロレンズを規則正しく配列、集積させたマイクロレンズアレイは、固体撮像素子、電子複写機等の光学材料として使用されている。これらの光学材料では、固体撮像素子等の画素の微細化や小型化により、マイクロレンズに必要な集光性が十分に得られるような、高屈折率の材料が必要となっており、高屈折率を得るために金属酸化物を添加する方法が広く用いられている。
【0005】
金属酸化物の薄膜形成にはゾル−ゲル法が用いられており、代表的な材料として、金属アルコキシドが挙げられる。金属アルコキシドを溶解させた溶液に水と酸触媒を添加し、金属アルコキシドを重縮合させると溶液がゲル化し、薄膜が形成される。この形成された膜を熱処理することにより、金属酸化物膜が得られる。しかし金属アルコキシドを溶解させた溶液に水と酸触媒を添加することで、溶液状態で加水分解・重縮合反応が進行してしまうため、保存安定性が悪い。
【0006】
金属アルコキシドを用いた薄膜の形成については、金属アルコキシドと重合性二重結合を有する化合物と光重合開始剤を用いた光硬化性コーティング組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0007】
しかし特許文献4には、金属アルコキシドを組成物中で加水分解させた後に他の成分と混合し、光重合を行う方法は具体的に開示されているものの、この組成物によるパターン状の薄膜の形成やその性質については記載されていない。また引用文献4に記載の組成物には、組成物の保存安定性に係る前述の問題点について、依然として検討の余地が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60−070438号公報
【特許文献2】特開2001−324809号公報
【特許文献3】特開2001−261761号公報
【特許文献4】特開平10−176118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、保存安定性に優れる感光性組成物であって、高透明性、高屈折率、及び高誘
電率を有するパターニングされた薄膜を形成することが可能である感光性組成物、それを用いたパターン状透明膜の製造方法、これを用いて得られる表示素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、金属アルコキシド(A)と重合性二重結合を有する化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含有するネガ型感光性組成物によって、現像時に未露光部において金属アルコキシド(A)の加水分解によりアルカリ可溶性が得られ、パターニングが可能であること、高透明性、高屈折率、高誘電率であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下の項を含む。
【0011】
[1] 金属アルコキシド(A)と重合性二重結合を有する化合物(B)と光重合開始剤(C)とを含有する感光性組成物を用いたパターン状透明膜の製造方法であって、金属アルコキシド(A)と重合性二重結合を有する化合物(B)と光重合開始剤(C)とを、金属アルコキシド(A)が加水分解しない条件で混合してなる前記感光性組成物の塗膜を形成し、この塗膜の少なくともパターニングのための露光及び現像を行って、パターン状透明膜を製造する方法。
【0012】
[2] 金属アルコキシド(A)が、下記式(I)で表される金属アルコキシド、又は、この金属アルコキシドの一種又は二種以上が重合したオリゴマー及びポリマーの一方又は両方、を含むことを特徴とする[1]に記載のパターン状透明膜の製造方法。
【0013】
【化1】

【0014】
式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜10のアルキル、フェニル又はベンジルを表し、このアルキル、フェニル又はベンジルでは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、mは1〜5の整数を表し、nは0〜4の整数を表し、m+nは1〜5の整数を表し、MはK、Li、Na、Ba、Ca、Mg、Pb、Sr、Zn、Al、B、Bi、Fe、Ga、In、La、P、Sb、V、Y、Ge、Hf、Si、Sn、Ti、Zr、Nb、Ta、又はWを表す。
【0015】
[3] 式(I)中のMが、Al、B、Sn、Ti、又はZrであることを特徴とする[2]に記載のパターン状透明膜の製造方法。
【0016】
[4] 重合性二重結合を有する化合物(B)が、多官能(メタ)アクリレートであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のパターン状透明膜の製造方法。
【0017】
[5] 露光した前記塗膜のアルカリ水溶液による現像を行うことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のパターン状透明膜の製造方法。
【0018】
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載のパターン状透明膜の製造方法により形成されたパターン状透明膜を含む表示素子。
【0019】
[7] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の前記金属アルコキシド(A)と前記重合性二重結合を有する化合物(B)と前記光重合開始剤(C)とを含有し、金属アルコキシド(A)を加水分解させる成分を含有しないことを特徴とする感光性組成物。
【0020】
本明細書中、アクリル酸とメタクリル酸との一方又は両方を示すために「(メタ)アクリル酸」のように表記することがある。また同様にアクリレートとメタクリレートの一方又は両方を示すために「(メタ)アクリレート」のように表記することがある。
【0021】
本明細書中、「アルキル」とは、直鎖又は分岐鎖のアルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0022】
本発明において、「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意であることを示すが、個数が0である場合を含まない。
【発明の効果】
【0023】
本発明の感光性組成物は、金属アルコキシドを含有することから、高透明性、高屈折率、及び高誘電率を有するパターニングされた薄膜を形成することができる。また本発明の感光性組成物は、組成物中における金属アルコキシドを加水分解させる成分、例えば系内に水や酸、を含有しないことから保存安定性に優れている。また本発明は、金属アルコキシドを現像時に加水分解させることから、前記感光性組成物から、高透明性、高屈折率、高誘電率及び高解像度を有するパターン状透明膜を製造することができる。本発明のパターン状透明膜は、高精細なレリーフパターンを有するマイクロレンズ又はその保護膜として利用でき、あるいは大きな静電容量を得る部材として利用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<1.本発明の感光性組成物>
本発明の感光性組成物は、金属アルコキシド(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、光重合開始剤(C)を必須成分として含有する。金属アルコキシド(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、及び光重合開始剤(C)は、いずれも一種でも二種以上でもよい。
【0025】
<1−1.金属アルコキシド(A)>
金属アルコキシド(A)は、パターン状透明膜の製造時の現像工程において、現像液に対するアルカリ可溶性等の現像性を当該組成物に付与する成分である。ここで現像性とは、本発明の感光性組成物の塗膜を現像液への浸漬やその後の水での濯ぎのような温和な条件で溶解、除去することができる性質を言い、例えばアルカリ可溶性とは、本発明の感光性組成物としたときに、これをスピンコートによって基板に塗布し、100℃で2分間の加熱で形成される厚さ0.01〜100μmの被膜を、25℃程度の0.4重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で5分間浸し、その後に純水で濯いだときに、前記被膜が残こらない程度にアルカリへ溶解する性質を言う。金属アルコキシド(A)に含有される金属は特に限定されない。このような金属アルコキシド(A)としては、例えば下記式(I)で表される金属アルコキシドが挙げられる。
【0026】
【化2】

【0027】
式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜10のアルキル、フェニル又はベンジルを表し、このアルキル、フェニル又はベンジルでは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、mは1〜5の整数を表し、nは0〜4の整数を表し、m+nは1〜5の整数を表し、MはK、Li、Na、Ba、Ca、Mg、Pb、Sr、Zn、Al、B、Bi、Fe、Ga、In、La、P、Sb、V、Y、Ge、Hf、Si、Sn、Ti、
Zr、Nb、Ta、又はWを表す。
【0028】
金属アルコキシド(A)としては、例えば、ジメトキシ亜鉛、ジエトキシ亜鉛、トリメトキシホスフィン、トリエトキシホスフィン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリス(1−プロピルオキシ)アルミニウム、トリス(2−プロピルオキシ)アルミニウム、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラキス(1−プロピルオキシ)シラン、テトラキス(2−プロピルオキシ)シラン、テトラキス(1−ブチルオキシ)シラン、テトラキス(2−ブチルオキシ)シラン、テトラキス(1−ペンチルオキシ)シラン、テトラキス(1−(3−メチル)ブチルオキシ)シラン、テトラフェノキシシラン、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトラキス(1−プロピルオキシ)チタニウム、テトラキス(2−プロピルオキシ)チタニウム、テトラキス(1−ブチルオキシ)チタニウム、テトラキス(2−ブチルオキシ)チタニウム、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラキス(1−プロピルオキシ)ジルコニウム、テトラキス(2−プロピルオキシ)ジルコニウム、テトラキス(1−ブチルオキシ)ジルコニウム、テトラキス(2−ブチルオキシ)ジルコニウム、メチルジメトキシホスフィン、メチルジエトキシホスフィン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルメチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルエトキシエチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシチタニウム、ジエチルジメトキシチタニウム、トリメチルメトキシチタニウム、フェニルトリエトキシチタニウム、ジフェニルジエトキシチタニウム、ジフェニルメトキシメチルチタニウム、ビニルトリメトキシチタニウム、ジビニルジメトキシチタニウム、ジビニルエトキシメチルチタニウム、エチルトリエトキシジルコニウム、ジエチルジメトキシジルコニウム、トリエチルメトキシジルコニウム、ジフェニルジエトキシジルコニウム、ビニルトリエトキシジルコニウム、及び、ジビニルメトキシエチルジルコニウムが挙げられる。
【0029】
式(I)において、m及びnは金属Mの価数によって決まり、これらの和が金属Mの価数と同じである。例えば、MがK、Li、Naのときm+nが1であり、MがBa、Ca、Mg、Pb、Sr、Znのときm+nが2であり、MがAl、B、Bi、Fe、Ga、In、La、P、Sb、V、Yのときm+nが3であり、MがGe、Hf、Si、Sn、Ti、Zrのときm+nが4であり、MがNb、Ta、Wのときm+nが5である。
【0030】
式(I)において、前記透明膜の現像性が良好である観点から、mが3以上であることが好ましく、mが4以上であることがより好ましい。
【0031】
式(I)において、Mは、前記透明膜の屈折率を高める観点から、Al、B、Sn、Ti、又はZrであることが好ましい。
【0032】
式(I)において、R1及びR2は、金属アルコキシドの安定性を高める観点から、R1及びR2におけるそれぞれの基が独立して炭素数1〜5のアルキルであることが好ましい。
【0033】
前記金属アルコキシド(A)の中でも、テトラエトキシチタニウム、テトラキス(1−プロピルオキシ)チタニウム、テトラキス(1−ブチルオキシ)チタニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラキス(1−プロピルオキシ)ジルコニウム、及びテトラキス(1−ブチルオキシ)ジルコニウムは、前記透明膜の透明性が良好である観点から好ましい。
【0034】
金属アルコキシド(A)には、式(I)で表される金属アルコキシドの一種又は二種以
上が重合したオリゴマー及びポリマーの一方又は両方が含まれてもよい。このようなオリゴマーやポリマーの使用は、組成物の粘度を向上させる観点から好ましい。前記オリゴマー及びポリマーとしては、例えばテトラエトキシチタニウムのオリゴマー等の、前述した金属アルコキシドのオリゴマーやポリマーが挙げられる。また前記オリゴマー及びポリマーの金属アルコキシド(A)における含有量は、上記の観点から、0.1〜99.0重量%であることが好ましく、0.5〜95.0重量%であることがより好ましく、1.0〜90.0重量%であることがさらに好ましい。
【0035】
<1−2.重合性二重結合を有する化合物(B)>
本発明の感光性組成物に含有される重合性二重結合を有する化合物(B)は、重合性二重結合を有する限り特に限定されない。ここで重合性二重結合とは、本発明の感光性組成物の塗膜に光を照射したときに光重合開始剤(C)によって重合に供される二重結合であり、炭素間の二重結合であってもよいし、炭素以外の元素間の二重結合であってもよいし、炭素とそれ以外の元素との間の二重結合であってもよい。このような重合性二重結合を含む基としては、例えばアルケニル、アルキニル、及びこれらの基のいずれかを含む基が挙げられ、具体的にはアクリル、メタクリル、マレイミド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、及びスチリルを有する一価の基が挙げられる。重合性二重結合を有する化合物(B)は、例えばパターンの形成における感度を高める観点から、重合性二重結合を分子内に二以上有する化合物が好ましく、多官能(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
【0036】
重合性二重結合を有する化合物(B)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトール
ペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシネオペンチルグリコール]アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン,エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン,エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、及び(メタ)アクリル化イソシアヌレートが挙げられる。
【0037】
これらの重合性二重結合を有する化合物の中でも、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、及びこれらの混合物は、感光性組成物の硬化速度を速める観点から好ましい。
【0038】
重合性二重結合を有する化合物(B)は現像時の密着性に大きく影響する。重合性二重結合を有する化合物(B)が、重合性二重結合を三個以上有する化合物を、重合性二重結合を有する化合物(B)の全重量に対して20重量%以上含有することは、現像時の塗膜の基板への密着性を向上させる観点から好ましい。
【0039】
重合性二重結合を有する化合物(B)の含有量は、金属アルコキシド(A)100重量部に対して10〜500重量部であることが、パターン状透明膜における高屈折率を得る観点から好ましく、20〜450重量部であることがより好ましく、50〜400重量部であることがさらに好ましい。
【0040】
<1−3.光重合開始剤(C)>
本発明の感光性組成物に含有される光重合開始剤(C)は、重合性二重結合を有する化合物(B)の重合性二重結合の重合を、光の照射によって開始させる性質を有する成分であれば特に限定されるものではない。光重合開始剤(C)は、例えば硬化性の観点から、紫外線や電子線の照射によってラジカルを発生する化合物であることが好ましい。
【0041】
光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184;商品名、BASFジャパン株式会社、以下「IRGACURE
184」と記すことがある)、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルア
セトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907;商品名、BASFジャパン株式会社、以下「IRGACURE 907」と記すことがある)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE 369;商品名、BASFジャパン株式会社、以下「IRGACURE 369」と記すことがある)、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(DAROCUR TPO;商品名、BASFジャパン株式会社、以下「DAROCUR TPO」と記すことがある)、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(メトキシカルボニル)−4,4’−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ビス(メトキシカルボニル)−4,3’−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(メトキシカルボニル)−3,3’−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオフェニル)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE01;商品名、BASFジャパン株式会社)が挙げられる。
【0042】
これらの中でも、光重合開始剤(C)が、IRGACURE 907、IRGACURE 369、及びDAROCUR TPOから選ばれる一つ以上を光重合開始剤(C)の全重量に対して20重量%以上含有することは、得られる感光性組成物の感度を高める観点から好ましい。
【0043】
また、光重合開始剤(C)が、3,3’−ビス(メトキシカルボニル)−4,4’−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ビス(メトキシカルボニル)−4,3’−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び4,4’−ビス(メトキシカルボニル)−3,3’−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンからなる群から選ばれる一種以上を、光重合開始剤(C)の全重量に対して20重量%以上含有することは、得られる感光性組成物から得られる透明膜の基板に対する密着性を良好にする観点と前記感光性組成物の現像マージンを広くする観点とから好ましい。
【0044】
光重合開始剤(C)の含有量は、金属アルコキシド(A)100重量部に対して0.5〜50重量部であることが、感光性組成物における十分な硬化性を得る観点から好ましく、0.5〜40重量部であることがより好ましく、0.5〜30重量部であることがさらに好ましい。
【0045】
<1−4.その他の成分>
本発明の感光性組成物は、本発明の効果が得られる範囲においてさらなる成分を含有していてもよいが、解像度及び保存安定性の観点から、金属アルコキシド(A)を加水分解させる成分は含有しない。このような本発明の感光性組成物が含有しない成分としては、例えば、水、酸、及びアルカリが挙げられる。酸としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ホウ酸、リン酸、及び陽イオン交換樹脂が挙げられる。アルカリとしては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、及び陰イオン交換樹脂等が挙げられる。
【0046】
本発明の感光性組成物が含有しない成分は、感光性組成物において全く含有しないことが好ましいが、実質的に含有していなければよい。ここで「実質的に含有していない」とは、感光性組成物又は現像時を除くその塗膜中で金属アルコキシド(A)を加水分解させないか、又は加水分解させたとしても本発明の効果が得られる程度の量しか加水分解させない量で含有することを言う。本発明では、例えば、前記含有しない成分の不使用や、脱水、脱酸、脱アルカリに係る通常の精製を施した精製品の使用によって、金属アルコキシド(A)を加水分解させる成分を少なくとも実質的に含有していない感光性組成物を構成することができる。
【0047】
本発明の感光性組成物は、さらなる特性の付加の観点から、金属アルコキシド(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、光重合開始剤(C)以外の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば溶剤、添加剤、及びエポキシ化合物が挙げられる。
【0048】
<1−4−1.溶剤>
前記溶剤には、金属アルコキシド(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を溶解する成分を用いることができる。溶剤は一種でも二種以上でもよい。溶剤は、感光性組成物の塗布均一性を高める観点から、沸点が100〜300℃である溶剤であることが好ましい。沸点が100〜300℃である前記溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エ
チル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0049】
前記溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル及び酢酸ブチルから選ばれる少なくとも一つであると、感光性組成物の塗布均一性を高める観点からより好ましい。さらに前記溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル、及び酢酸ブチルから選ばれる少なくとも一つであると、感光性組成物の塗布均一性を高める観点及び人体への安全性の観点からより一層好ましい。
【0050】
前記溶剤の含有量は、本発明の感光性組成物において、固形分である金属アルコキシド(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、光重合開始剤(C)及び、必要に応じて配合されるその他の固形の任意成分が総量で5〜50重量%となる量であることが、感光性組成物の保存安定性及び塗布均一性を高める観点から好ましい。
【0051】
<1−4−2.添加剤>
前記添加剤は、解像度、塗布均一性、現像性、接着性、安定性等の、本発明における感光性組成物の特性を向上させる観点から添加される。添加剤は一種でも二種以上でもよい。前記添加剤には、例えば重合抑止剤、アクリル系、スチレン系、ポリエチレンイミン系又はウレタン系の高分子分散剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又はフッ素系の界面活性剤、シリコン系塗布性向上剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤、エポキシ化合物、メラミン化合物又はビスアジド化合物等の熱架橋剤、有機カルボン酸,フェノール化合物等のアルカリ溶解性促進剤、及びヒンダード系フェノール等の酸化防止剤、が挙げられる。
【0052】
添加剤の具体例としては、例えば、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上いずれも商品名、共栄社化学株式会社)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディス
パーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK344、BYK346(以上いずれも商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(以上いずれも商品名、信越化学工業株式会社)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(以上いずれも商品名、AGCセイミケミカル株式会社)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(以上いずれも商品名、株式会社ネオス)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(以上いずれも商品名、三菱マテリアル株式会社)、メガファックF−171、メガファックF−177、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックR−30(以上いずれも商品名、DIC株式会社)、フェノチアジン、メトキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が挙げられる。これらから選ばれる少なくとも一つを前記添加剤に用いることが好ましい。
【0053】
これらの添加剤の中でも、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、メガファックR−08、メガファックR−30等のフッ素系の界面活性剤、BYK306、BYK344、BYK346、KP−341、KP−358、又はKP−368等のシリコン系塗布性向上剤の中から選ばれる少なくとも一種であることが、感光性組成物の塗布均一性を高める観点から好ましい。
【0054】
前記ヒンダード系フェノール酸化防止剤は、フェノールのOHのオルト位にt−ブチルを有し、さらにアルキル基等の置換基を有していてもよい化合物、及び、パラ位の二価の有機基を介してパラ位で結合する前記化合物の2〜4量体のような公知の化合物が用いられる。市販品としては、イルガノックス(Irganox)1010(商品名:BASFジャパン株式会社)等がある。ヒンダード系フェノール酸化防止剤の含有量は、感光性組成物の変色を抑制する観点から、例えば重合性二重結合を有する化合物(B)100重量部に対して1〜15重量部程度であることが好ましい。
【0055】
<1−4−3.エポキシ化合物>
前記エポキシ化合物は、例えば前記透明膜における耐久性を向上させる観点から、感光性組成物にさらに添加することができる。前記エポキシ化合物は、前記エポキシを有すれば特に限定されない。エポキシ化合物は一種でも二種以上でもよい。エポキシ化合物の含有量は、前記透明膜の物理的な耐久性を高める観点から、本発明の感光性組成物において、0.1〜40重量%であることが好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましい。
【0056】
前記エポキシ化合物としては、例えば、前記エポキシを有するラジカル重合性モノマーをモノマーに含む、単重合体、共重合体、及びオリゴマー等の化合物、ビスフェノールA型エポキシ、グリシジルエステル型エポキシ、脂環式エポキシ、下記式(E1)〜(E5)で表される化合物が挙げられる。なお式(E4)中、nは0〜10の整数を表す。
【0057】
【化3】

【0058】
さらに具体的には、前記エポキシ化合物としては、jER807、jER815、jE
R825、jER827(以上いずれも商品名、三菱化学株式会社)が挙げられる。式(E1)で表される化合物としては、アラルダイト(Araldite)CY184(商品名、ハンツマンジャパン株式会社株式会社)が挙げられる。式(E2)で表される化合物としては、セロキサイド(CELLOXIDE)2021P(商品名、ダイセル化学工業株式会社)が挙げられる。式(E3)で表される化合物としては、テクモア(TECHMORE)VG3101L(商品名、株式会社プリンテック)が挙げられる。式(E4)で表される化合物としては、jER828、jER190P、jER191P、jER1004、jER1256(以上いずれも商品名、三菱化学株式会社)、アラルダイトCY177(商品名、ハンツマンジャパン株式会社)が挙げられる。式(E5)で表される化合物としては、「4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)」(シグマ・アルドリッチ社)が挙げられる。
【0059】
これらの中でも、式(E4)で表される化合物(n=0〜4の化合物の混合物)であるjER828、式(E1)で表される化合物であるアラルダイトCY184、式(E2)で表される化合物であるセロキサイド(CELLOXIDE)2021P、式(E3)で表される化合物であるテクモア(TECHMORE)VG3101L、及び式(E5)で表される化合物である4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)は、前記透明膜の透明性と平坦性と高める観点から好ましい。
【0060】
<1−5.感光性組成物の保存>
本発明の感光性組成物は、温度−30℃〜25℃の範囲で遮光して保存すると、組成物の経時安定性が良好となり好ましい。保存温度が−20℃〜10℃であれば、析出物もなく一層好ましい。
【0061】
<1−6.効果>
本発明の感光性組成物は、例えば、パターン状透明膜に対して一般的に求められている耐溶剤性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、透明性、下地との密着性等の各種特性を有し、さらにマイクロレンズ、ゲート絶縁膜等に対して求められている高屈折率、高誘電率等の各種特性を有するパターン状透明膜の製造に用いることができる。
【0062】
また、当該感光性組成物は、これを用いてパターン状透明膜を製造したときに、その製造後工程において溶剤、酸、アルカリ溶液等の液への浸漬や接触、及び熱処理等の後処理がなされても、表面荒れが発生しにくい。その結果、前記パターン状透明膜における光の透過率を高めることができ、それを用いた表示素子の表示品位を高めることができる。
【0063】
<2.本発明のパターン状透明膜の製造方法>
本発明におけるパターン状透明膜の製造方法は、金属アルコキシド(A)と重合性二重結合を有する化合物(B)と光重合開始剤(C)とを、金属アルコキシド(A)が加水分解しない条件で混合してなる感光性組成物、通常は前述の本発明の感光性組成物、の塗膜を形成し、この塗膜の少なくともパターニングのための露光及び現像を行ってパターン状透明膜を製造する。本発明の製造方法は、ネガ型感光性組成物として本発明の感光性組成物を使用する以外は、ネガ型感光性組成物によるパターン状透明膜の通常の製造方法と同様に行うことができる。
【0064】
本発明の製造方法に含まれる工程としては、例えば、本発明の感光性組成物の塗膜を形成する工程、パターンマスクを介して重合性二重結合の重合を開始させる放射線又は電磁波で塗膜を露光する工程、及び、露光した塗膜を現像液で現像する工程、が挙げられる。本発明の製造方法は、塗膜、又は現像により形成されたパターン状透明膜を乾燥する工程、及び、パターン状透明膜を焼成する工程、等のさらなる工程を含んでもよい。
【0065】
本発明の製造方法で得られる前記感光性組成物を用いたパターン状透明膜は、パターニングの際の解像度が高く、小さな径のスペーサー、マイクロレンズ等を形成するのに最適である。以下、本発明の製造方法の各工程について説明する。
【0066】
<2−1.塗膜の形成>
まず、感光性組成物をスピンコート、ロールコート、スリットコート、ディッピング法等により、ガラス等の基板上に塗布する。基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂製シート、フィルム又は基板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板、その他セラミック板、光電交換素子を有する半導体基板が挙げられる。これらの基板には所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、紫外線−オゾン処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の前処理を行うことができる。
【0067】
本発明では、基板上の感光性組成物の塗膜をホットプレート又はオーブンで乾燥してもよい。この乾燥工程は、通常60〜120℃、1〜5分間の条件で行われる。
【0068】
<2−2.露光>
必要に応じて乾燥させた塗膜が形成されている基板に、例えば所望のパターン形状のマスクを介して紫外線を照射する。露光量はi線で5〜1,000mJが適当である。紫外線の当たった部分は重合性二重結合を有する化合物(B)の重合により高分子化し、また多官能の化合物(B)を用いた場合には三次元化架橋体を形成する。
【0069】
<2−3.現像>
放射線又は電磁波を照射後の塗膜は、アルカリ溶液等の現像液を用いて現像される。この現像により、前記塗膜において放射線等が照射されていない部分は、金属アルコキシド(A)が加水分解することで速やかに現像液に溶解し、放射線等が照射された部分は、現像液には溶解せず、こうしてマスクのパターン形状に応じたパターンを有する透明膜(すなわちパターン状透明膜)が形成される。現像方法は特に限定されず、ディップ現像、パドル現像、シャワー現像のいずれも用いることができる。現像された前記膜は、純水で十分に濯がれる。
【0070】
前記現像液は、露光した前記塗膜で前述の現像工程によって現像することができる液であればよく、アルカリ溶液が好ましい。アルカリ溶液に含まれるアルカリの具体例としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが挙げられる。また、現像液としては、これらのアルカリの水溶液が好適に用いられる。すなわち、現像液として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、又は2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アルカリ類等の水溶液、及び、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウム等の無機アルカリ類の水溶液、が挙げられる。
【0071】
現像液には現像残渣の低減やパターン形状の適性化を目的として、メタノール、エタノールや界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤には、例えばアニオン系、カチオン系、及びノニオン系から選択される界面活性剤を使用することができる。これらの中でも、特に、ノニオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加することは、解像度を高める観点から好ましい。
【0072】
<2−4.焼成>
現像後の基板上の前記透明膜は、硬化性、耐溶剤性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、及び下地との密着性等を向上させる観点から、好ましくは最後に180〜300℃で10〜120分間焼成(ポストベイク)される。
【0073】
<3.本発明の表示素子>
本発明の表示素子は、前述した本発明の製造方法によるパターン状透明膜を含む。本発明の表示素子は、前述のパターン状透明膜が用いられる以外は、公知の表示素子と同様に構成することができる。例えば前記パターン状透明膜は、液晶等を用いる表示素子に用いられる。前記表示素子は、例えば上記のようにして基板上にパターニングされた透明膜が設けられた素子基板と、対向基板であるカラーフィルター基板とを、位置を合わせて圧着し、その後熱処理して組み合わせ、対向する基板の間に液晶を注入し、注入口を封止することによって製作される。
【0074】
又は、前記素子基板上に液晶を散布した後、素子基板を重ね合わせ、液晶が漏れないように密封することによっても製作することができ、前記表示素子はこのように製作された表示素子であってもよい。
【0075】
本発明の表示素子は、前述した感光性組成物を用いて得られる、優れたパターン状透明膜を有することから、高い表示品位を示す。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0077】
[実施例1]
[ネガ型感光性組成物の製造]
金属アルコキシド(A)であるテトラキス(1−ブチルオキシ)チタニウム、重合性二重結合を有する化合物(B)であるペンタエリスリトールテトラアクリレート、光重合開始剤(C)であるDAROCUR TPO、添加剤としてフッ素系界面活性剤であるメガファックR−08、溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを下記の重量で混合溶解し、ネガ型感光性組成物を得た。
テトラキス(1−ブチルオキシ)チタニウム 1.200g
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.000g
DAROCUR TPO 0.300g
メガファックR−08 0.011g
3−メトキシプロピオン酸メチル 7.500g
【0078】
[ネガ型感光性組成物の評価方法]
1)パターン状透明膜の形成
ガラス基板上に実施例1で得られたネガ型感光性組成物を500rpmで10秒間スピンコートし、80℃のホットプレート上で2分間乾燥した。この基板を空気中、ホールパターン形成用のマスクを介して、株式会社トプコン製プロキシミティー露光機TME−150PRCを使用し、露光ギャップ100μmで露光した。露光量はウシオ電機株式会社製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して200mJ/cm2とした。露光後のガラス基板を、25℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.4重量%水溶液で60秒間ディップ現像し、未露光部の組成物を除去した。現像後の基板を純水で60秒間洗ってから100℃のホットプレートで2分間乾燥した。この基板をオーブン中250℃で30分間ポストベイクし、膜厚1μmのパターン状透明膜を形成した。膜厚はKLA−Tencor Japan株式会社製触針式膜厚計P−16+を使用し
て測定し、3箇所の測定の平均値を膜厚とした。
【0079】
2)現像後残膜率
現像の前後で上記1)に記載の方法で膜厚を測定し、次式から計算した。結果を表1に示す。
(現像後膜厚/現像前膜厚)×100(%)
【0080】
3)解像度
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を光学顕微鏡で1,000倍にて観察し、ドットパターンが形成されているマスクサイズを確認した。ドットパターンができていない場合は不良(NG:No Good)とした。結果を表1に示す。
【0081】
4)耐熱性(透明性)
上記1)で得られた透明膜の基板の透過率(T1)を、有限会社東京電色製MICRO
COLOR ANALYZER TC−1800Mを使用し、透明膜を形成していないガラス基板をリファレンスとして波長400nmの光で光透過率(T1)を測定し、前記の基板を230℃のオーブンで1時間追加ベイクし、得られた追加ベイク後の基板の光透過率(T2)を光透過率T1と同様に測定した。ポストベイク後から追加ベイク後の光透過率の低下が少ないほど、透明性における耐熱性が良好と判定できる。結果を表1に示す。
【0082】
5)耐熱性(膜厚変化)
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板におけるパターン状透明膜の膜厚と、この基板を230℃のオーブンで1時間追加ベイクして得られた基板におけるパターン状透明膜の膜厚とを、上記1)に記載の方法で測定し、追加ベイク前後の膜厚の変化率を次式から計算した。結果を表1に示す。
(追加ベイク後膜厚/ポストベイク後膜厚)×100(%)
【0083】
6)屈折率
屈折率は、上記1)で得られた透明膜の基板を、大塚電子株式会社製反射分光膜厚計(FE−3000)を用いて測定した。屈折率は波長589nmの光での屈折率である。結果を表1に示す。
【0084】
7)比誘電率
アジレントテクノロジー株式会社製LCRメーター(4284A)を使用し、上記1)で得られた透明膜の上下に電極を作製し、比誘電率測定を行った。評価は1kHzで行った。結果を表1に示す。
【0085】
[実施例2]
[ネガ型感光性組成物の製造]
金属アルコキシド(A)であるテトラキス(1−ブチルオキシ)チタニウム、重合性二重結合を有する化合物(B)であるトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、光重合開始剤(C)であるIRGACURE 907、添加剤として重合抑制剤であるメトキノン、フッ素系界面活性剤であるメガファックR−08、溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを下記の重量で混合溶解し、ネガ型感光性組成物を得た。
テトラキス(1−ブチルオキシ)チタニウム 0.750g
トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート 1.500g
IRGACURE 907 0.119g
メトキノン 0.008g
メガファックR−08 0.002g
3−メトキシプロピオン酸メチル 7.128g
【0086】
[実施例3]
[ネガ型感光性組成物の製造]
金属アルコキシド(A)であるテトラキス(1−プロピルオキシ)ジルコニウム、重合性二重結合を有する化合物(B)であるトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、光重合開始剤(C)であるIRGACURE 907、添加剤として重合抑制剤であるフェノチアジン、フッ素系界面活性剤であるメガファックR−08、溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを下記の重量で混合溶解し、ネガ型感光性組成物を得た。
テトラキス(1−プロピルオキシ)ジルコニウム 0.750g
トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート 1.500g
IRGACURE 907 0.119g
フェノチアジン 0.008g
メガファックR−08 0.002g
3−メトキシプロピオン酸メチル 7.128g
【0087】
[比較例1]
[ネガ型感光性組成物の製造]
重合性二重結合を有する化合物(B)であるトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、光重合開始剤(C)であるDAROCUR TPO、添加剤としてフッ素系界面活性剤であるメガファックR−08、溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを下記の重量で混合溶解し、ネガ型感光性組成物を得た。
トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート 2.000g
DAROCUR TPO 0.105g
メガファックR−08 0.002g
3−メトキシプロピオン酸メチル 3.158g
【0088】
[比較例2]
[ネガ型感光性組成物の製造]
重合性二重結合を有する化合物(B)であるトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、光重合開始剤(C)であるIRGACURE 907、添加剤としてフッ素系界面活性剤であるメガファックR−08、溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを下記の重量で混合溶解し、ネガ型感光性組成物を得た。
トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート 2.000g
IRGACURE 907 0.105g
メガファックR−08 0.002g
3−メトキシプロピオン酸メチル 3.158g
【0089】
[比較例3]
[ネガ型感光性組成物の製造]
重合性二重結合を有する化合物(B)であるペンタエリスリトールテトラアクリレート、光重合開始剤(C)であるIRGACURE 907、添加剤としてフッ素系界面活性剤であるメガファックR−08、溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを下記の重量で混合溶解し、ネガ型感光性組成物を得た。
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.000g
IRGACURE 907 0.105g
メガファックR−08 0.002g
3−メトキシプロピオン酸メチル 3.158g
【0090】
[比較例4]
[ネガ感光性組成物の製造]
イソプロピルアルコール5.000gに金属アルコキシド(A)であるテトラキス(1−ブチルオキシ)チタニウム1.500gを溶解し、攪拌させながら1Nの塩酸を0.020g添加し、25℃で2時間攪拌し、第1液を得た。次にトルエン0.750gに重合性二重結合を有する化合物(B)であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.750gを溶解させて得られた第2液を第1液と混合し、光重合開始剤(C)であるIRGACURE 184を0.015g添加し、ネガ型感光性組成物を得た。
【0091】
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られたネガ型感光性組成物のそれぞれについて、実施例1に記載の評価方法によって評価した。得られた結果を表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
表1から明らかなように、実施例のネガ型感光性組成物で形成されたパターン状透明膜は、比較例のそれに対して、同等の高い透明性を有し、また金属アルコキシド(A)の使用による同等の高い屈折率、比誘電率及び耐熱性を有し、さらに解像度において格段に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のネガ型感光性組成物を用いる本発明の製造方法で得られるパターン状透明膜は、例えば電子部品の製造に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属アルコキシド(A)と重合性二重結合を有する化合物(B)と光重合開始剤(C)とを含有する感光性組成物を用いたパターン状透明膜の製造方法であって、
金属アルコキシド(A)と重合性二重結合を有する化合物(B)と光重合開始剤(C)とを、金属アルコキシド(A)が加水分解しない条件で混合してなる前記感光性組成物の塗膜を形成し、この塗膜の少なくともパターニングのための露光及び現像を行って、パターン状透明膜を製造する方法。
【請求項2】
金属アルコキシド(A)が、下記式(I)で表される金属アルコキシド、又は、この金属アルコキシドの一種又は二種以上が重合したオリゴマー及びポリマーの一方又は両方、を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン状透明膜の製造方法。
【化1】

(式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜10のアルキル、フェニル又はベンジルを表し、このアルキル、フェニル又はベンジルでは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、mは1〜5の整数を表し、nは0〜4の整数を表し、m+nは1〜5の整数を表し、MはK、Li、Na、Ba、Ca、Mg、Pb、Sr、Zn、Al、B、Bi、Fe、Ga、In、La、P、Sb、V、Y、Ge、Hf、Si、Sn、Ti、Zr、Nb、Ta、又はWを表す。)
【請求項3】
式(I)中のMが、Al、B、Sn、Ti、又はZrであることを特徴とする請求項2に記載のパターン状透明膜の製造方法。
【請求項4】
重合性二重結合を有する化合物(B)が、多官能(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパターン状透明膜の製造方法。
【請求項5】
露光した塗膜のアルカリ水溶液による現像を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のパターン状透明膜の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のパターン状透明膜の製造方法により形成されたパターン状透明膜を含む表示素子。
【請求項7】
金属アルコキシド(A)と重合性二重結合を有する化合物(B)と光重合開始剤(C)とを含有し、金属アルコキシド(A)を加水分解させる成分を含有しないことを特徴とする感光性組成物。
【請求項8】
金属アルコキシド(A)が、下記式(I)で表される金属アルコキシド、又は、この金属アルコキシドの一種又は二種以上が重合したオリゴマー及びポリマーの一方又は両方、を含むことを特徴とする請求項7に記載の感光性組成物。
【化2】

(式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜10のアルキル、フェニル又はベンジルを表し、このアルキル、フェニル又はベンジルでは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、mは1〜5の整数を表し、nは0〜4の整数を表し、m+nは1〜5の整数を表し、MはK、Li、Na、Ba、Ca、Mg、Pb、Sr、Zn、Al、B、Bi、Fe、Ga、In、La、P、Sb、V、Y、Ge、Hf、Si、Sn、Ti、Zr、Nb、Ta、又はWを表す。)
【請求項9】
式(I)中のMが、Al、B、Sn、Ti、又はZrであることを特徴とする請求項8に記載の感光性組成物。
【請求項10】
重合性二重結合を有する化合物(B)が、多官能(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の感光性組成物。