説明

金属アルコキシド含有フィルムの硬化方法

基材上に無機又はハイブリッド有機/無機層を形成するための方法であって、金属アルコキシドを適用することによって基材上に層を形成させる工程と、該金属アルコキシド層を水の存在下で触媒燃焼ヒーターからの熱に曝露することによって該層を硬化させる工程と、を含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2006年12月29日出願の米国特許仮出願第60/882,625号の優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、薄い、無機又はハイブリッド無機/有機フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気的、パッケージング、及び装飾的用途で、薄フィルム中に無機又はハイブリッド無機/有機層が用いられてきた。こうした層は、機械的強度、耐熱性、耐化学性、耐摩耗性、水分障壁、酸素障壁、及び濡れ、接着性、滑りなどに影響する表面機能性などの所望の性質を提供することが可能である。
【0004】
無機又はハイブリッドフィルムは、広範な製造方法によって製造されることができる。こうした方法として、溶液コーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングといった液体コーティング法、並びに化学気相成長法(CVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、スパッタリング及び固体材料の熱蒸発のための真空法といったドライコーティング法が挙げられる。これらの方法にはいずれも制約がある。
【0005】
アルコキシシラン官能基で分子を官能化することにより基材表面への分子の結合を可能としたり、架橋を促進することが行われてきた。しかしながらアルコキシシランを用いた加水分解や縮合反応の反応速度は、クロロシラン又はアルコキシチタネートの対応する反応速度よりも遅いものである。多くの用途において、アルコキシシラン材料は高い硬化(結合又は架橋)度を実現するために例えばオーブン内で長時間(しばしば数時間又は数日間)の加熱を必要とする。これらの反応を触媒する目的で酸又は塩基が用いられてきたが、酸又は塩基が存在することによって構造中の他の成分に悪影響が及ぼされる懸念がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって基材及びコーティングへの損傷が最小限に留められるように速やかに終了させることが可能な、無機又はハイブリッド無機/有機フィルムを硬化するための方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は一態様において、基材上に無機又はハイブリッド有機/無機層を形成するための方法であって、金属アルコキシドを適用して基材上に層を形成させる工程と、該金属アルコキシド層を水の存在下で触媒燃焼バーナーからの熱に曝露して層を硬化させる工程と、を含む方法を提供する。
【0008】
本発明は第2の態様において、基材上にハイブリッド有機/無機層を形成するための方法であって、金属アルコキシドと有機化合物との混合物を適用して基材上に層を形成させる工程と、該金属アルコキシド層を水の存在下で触媒燃焼ヒーターからの熱に曝露して層を硬化させる工程と、有機化合物を硬化させる工程と、を含む方法を提供する。
【0009】
本発明のこれらの及び他の態様は、添付図面及びこの明細書から明らかになるであろう。しかしながら上記の概要は特許請求される発明の主題を限定するものとして決して解釈するべきではなく、発明の主題は付属の特許請求の範囲によってのみ定義されるものである。尚、特許請求の範囲は手続きにおいて補正される場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】開示される方法を実施するためのロール/ロール装置を示す概略図。
【図2】開示される方法における使用に好適な、静的、ステップ・アンド・リピート、インライン、又はコンベヤーコーターを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「a」、「an」、及び「the」といった単語は「少なくとも1の」と同義的に使用され、説明される要素の1以上を意味するものとする。開示されるコーティングされた物品における異なる要素の位置について「〜の上に」、「〜上の」、「〜を覆った」、「最も上の〜」、「〜の下の」といった、向きを表す単語を用いることによって、水平かつ上向きに置かれた基材に対する所定の要素の相対的な位置を示すものである。これは、基材又は物品が製造時又は製造後において何らかの空間的な向きを有さなければならないということを意味するものではない。
【0012】
「ポリマー」という単語には、ホモポリマー及びコポリマー、並びに例えば共押出しによって、又は例えばエステル交換などの反応によって、混和性混合物中で形成されうるホモポリマー又はコポリマーが含まれる。「コポリマー」という用語には、ランダム及びブロックコポリマーの両方が含まれる。
【0013】
「架橋」ポリマーという用語は、通常、架橋分子又は架橋基を介してポリマー鎖が共有化学結合で互いに結合されることによって網目状ポリマーを形成させるようなポリマーのことを指していう。架橋ポリマーは、一般に不溶性によって特徴付けられるが適当な溶媒の存在下で膨潤性を有してもよい。
【0014】
「硬化」という用語は、例えば水と反応することでフィルム層が固化したり粘度が増大するといった化学変化をもたらす反応のことを指していう。
【0015】
「金属」という用語には、純粋な金属又は合金が含まれる。
【0016】
「光学的に透明」という用語は、約1メートル、好ましくは約0.5メートルの距離から裸眼によって視認される歪み、曇り又は欠陥を有さない積層品のことを指していう。
【0017】
「光学厚さ」という用語は、ある層に関して用いられる場合、その層の物理的な厚さにその面内屈折率を乗じたものをいう。特定の光学設計においては、好適な光学厚さは透過光又は反射光に対する所望の波長帯の中心波長の約1/4である。
【0018】
各種の基材を使用することができる。一実施形態では基材は光透過性であり、550nmにおける可視光透過率が少なくとも約70%である。基材の例としては、ポリエステル(例、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)又はポリ(エチレンナフタレート))、ポリアクリレート(例、ポリ(メチルメタクリレート))、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高又は低密度ポリエチレン、ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(塩化ビニル)、フルオロポリマー(例、ポリ(ビニリデンジフルオライド)及びポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(エチレンスルフィド)などの熱可塑性樹脂、並びに、エポキシ、セルロース誘導体、ポリイミド、ポリ(イミドベンゾキサゾール)及びポリベンゾキサゾールなどの熱硬化性材料といった可撓性プラスチック材料がある。基材は、米国特許出願公開第2004/0032658 A1号に記載されるような多層光学フィルム(MOF)であってもよい。
【0019】
一実施形態では、開示されるフィルムはPETを含む基材上に形成させることができる。基材は例えば約0.01〜約1mmの異なる厚さを有してよい。しかし例えば自己支持型の物品が望ましい場合には相当厚くてもよい。こうした物品はまた、可撓性の基材を用いて作成された開示されるフィルムを、より大きな厚さを有する不撓性又は可撓性のより小さい補助的支持部材に積層又は(積層でなければ)接合することによっても便宜よく製造することができる。
【0020】
基材上に層を形成させるのに好適な金属アルコキシドは、成膜後に水と反応させて硬化させることによって1以上の所望の性質を有する層を形成させる化合物である。金属アルコキシド化合物の例としては、一般式RM−(ORy−xを有するものがある。ただし式中、Rはそれぞれ独立してC〜C20アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)複素環、(C〜C)複素環(C〜C)アルキレン−、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール(C〜C)アルキレン−、(C〜C)ヘテロアリール、又は(C〜C)ヘテロアリール(C〜C)アルキレン−であり、Rはそれぞれ独立して、任意選択的に(C〜C)アルキル、水酸基又はオキソ基で置換された(C〜C)アルキル又は(C〜C)アルケニルであるか、2個のOR基がこれらが結合した原子と共に環構造を形成してもよい。
【0021】
基は、任意選択的に1以上の置換基で置換されてもよく、その場合、置換基はそれぞれ独立して、オキソ、ハロ、−OR、−SR、シアノ、ニトロ、トリフロオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)複素環又は(C〜C)複素環(C〜C)アルキレン、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール(C〜C)アルキレン−、(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)ヘテロアリール(C〜C)アルキレン−、−CO、RC(=O)O−、RC(=O)−、−OCO、RNC(=O)O−、ROC(=O)N(R)−、RN−、RNC(=O)−、RC(=O)N(R)−、RNC(=O)N(R)−、RNC(=S)N(R)−、OPO−、ROC(=S)−、RC(=S)−、−SSRa、RS(=O)−、−NNR、−OPOであるか、又は2個のR基がこれらが結合した原子と共に環構造を形成してもよい。R、R及びRはそれぞれ独立して水素、(C〜C)アルキル、又は置換された(C〜C)アルキルであり、ただし置換基は1、2又は3個の(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキルチオ、アミノ、アリール又はアリール(C〜C)アルキレンであるか、又はR及びRがこれらが結合した窒素原子と共に環構造を形成してもよい。環構造の例としては、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ又はチオモルホリノが挙げられる。ハロ基の例としては、フルオロ、クロロ、又はブロモが挙げられる。更に、R基は、ポリジメチルシロキシル基又はフッ素化基などの、フッ素又はシリコーン含有オリゴマー又はポリマー基を更に有してもよい。R及びRアルキル基はそれぞれ独立して直鎖又は分枝鎖であってよい。Mは金属を表し、y−x≧1として(少なくとも1個のアルコキシ基が金属原子に結合している)、xは0、1、2、3、4又は5であり、yは金属の価数である(例えばyはアルミニウムでは3であり、チタン及びジルコニウムでは4であり、金属の酸化状態によって異なりうる)。Rは一般に小さなアルキル基(C〜C)である。大きな基は硬化反応を遅くする可能性がある。R基の例としては、C、C(−CHCH及び−C(=O)CH)、C、及びCアルキル基など)が挙げられる。
【0022】
金属の例としては、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、バリウム、ビスマス、ホウ素、セリウム、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、モリブデン、ネオジム、リン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、タンタル、タリウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、及びジルコニウム、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
例えば有機チタン酸塩及びジルコン酸塩などの幾つかの金属アルコキシドがデュポン(DuPont Co.)社からタイザー(Tyzor)(商標)の商標で入手可能である。具体的な金属アルコキシドの非限定的な例としては、テトラ(メトキシ)チタネート、テトラ(エトキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−プロポキシ)チタネート、テトラ(ブトキシ)チタネート、2−エチルヘキシルオキシチタネート、オクチレングリコールチタネート、ポリ(n−ブトキシ)チタネート、トリエタノールアミンチタネート、n−ブチルジルコネート、n−プロピルジルコネート、チタニウムアセチルアセトネート、エチルアセトアセチックエステルチタネート、イソステアロイルチタネート、乳酸チタン、乳酸ジルコニウム、グリコール酸ジルコニウム、メチルトリアセトキシシラン、フッ素化シラン(例、米国特許第6,991,826号に開示されるフッ素化ポリエーテルシランなど)、テトラ(n−プロポキシ)ジルコネート、及びこれらの混合物が挙げられる。更なる例としては、二量体、三量体、並びにポリジメトキシシロキサン及びポリブチルチタネートなどのより長いオリゴマーのような上記の金属アルコキシドの蒸発性の予め重合された形態が含まれる。更なる金属アルコキシドとしては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、ブトキシ、アセトキシ及びイソプロポキシにて官能化された金属原子、並びにテトラ(エトキシ)チタネート、テトラ(n−プロポキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、メチルトリアセトキシシラン、フッ素化シラン、ポリジメトキシシラン、及びテトラ(n−プロポキシ)ジルコネートなどのこれらの金属アルコキシドの予め重合された形態が含まれる。具体的な金属アルコキシドとしては、官能化されたトリメトキシ及び官能化されたトリメトキシシランが挙げられる。アルコキシド混合物は、無機又はハイブリッド有機/無機層について屈折率又は所定の硬度など予め選択された性質を提供するように選択されることができる。
【0024】
金属アルコキシドは、溶液コーティング、押出しコーティング、ロールコーティング(例、グラビアロールコーティング)、又はスプレーコーティング(例、静電スプレーコーティング)、及び蒸発の後に蒸着を行うなど、当該技術分野において知られる各種の方法を用いて基材に適用されることができる。こうした方法の例としては米国特許第4,954,371号及び同第6,045,864号に開示されるような方法を用いるフラッシュ蒸発などの蒸発法、昇華法などがある。アルコキシドは、蒸気流の凝縮点よりも低い温度で基材上に凝縮させることができる。
【0025】
凝縮したアルコキシド層は、触媒燃焼バーナーを用いて層を加熱し、層と水とを接触させることによって硬化させられる。触媒燃焼ヒーターによって水蒸気を提供することができる。触媒燃焼熱源の一例として、ニューヨーク州、ニューロチェル所在のフリン・バーナー(Flynn Burner Corp.)社によって製造される赤外線(IR)バーナーがある。
【0026】
触媒燃焼反応の生成物には、金属アルコキシドフィルム/層を硬化させるうえで有用であり、速やかな加水分解反応を提供することができる熱及び水蒸気が含まれる。触媒燃焼反応を利用することによって、過剰な加熱やH又はOHラジカルなどの活性酸化化学種へ曝露することによりコーティングが損傷することなく材料を熱硬化させることができる。触媒バーナーは、シランに結合された官能化アルキル基と反応することなく、官能化されたトリアルコキシアルキルシランなどの金属アルコキシド材料の速やかな硬化を可能とする高い熱束を提供するものである。触媒燃焼では気相フリーラジカルが存在しないことによって、硬化したコーティングの機能的性質が保存されるという利点が得られる。
【0027】
別の実施形態では、金属アルコキシド及び有機化合物を基材に適用して混合層を形成させることができる。混合層は、溶液コーティング、押出しコーティング、ロールコーティング(例、グラビアロールコーティング)、又はスプレーコーティング(例、静電スプレーコーティング)、及び蒸発の後に蒸着を行うなど、当該技術分野において知られる各種の方法を用いて基材に適用することができる。混合層は、触媒燃焼バーナーを用いて層を加熱し、層を水と接触させることによって硬化させられる。硬化反応では、加熱しながらアルコキシドを水と反応させてフィルム層を固化させるか、その粘度を増大させると共に、有機化合物を重合させて混合フィルム層を形成させることができる。硬化反応でもまた、水の存在下又は非存在下で層の成分(アルコキシドと有機化合物)を反応させて有機金属コポリマーを形成させる。このように調製されたハイブリッドフィルムは、光の透過率、反射率又は吸収率に影響する屈折率、表面保護(硬度又は潤滑)性、他の物質による濡れ性又は他の物質との相互作用に影響する低い又は高い表面エネルギー、接触物質に対する低い接着性(剥離性)又は高い接着性、導電率又は電気抵抗、耐汚れ性及び汚れの落ちやすさ、及び表面の機能化といった有益な性質を有する表面の層を提供することができる。
【0028】
有機化合物は、金属アルコキシドを蒸発させるための上記に述べたような任意の方法を用いて蒸発させてもよい。アルコキシドと有機化合物は一緒に蒸発させて混合蒸気を形成させてもよく、あるいはこれらを別々に蒸発させて蒸気相中で混合してもよい。アルコキシドと有機化合物は蒸気流の凝縮点よりも低い温度で基材上に凝縮させることができる。
【0029】
有機化合物の例としては、エステル、ビニル化合物、アルコール、カルボン酸、酸無水物、アシルハライド、チオール、アミン及びこれらの混合物が挙げられる。エステルの非限定的な例としては(メタ)アクリレートがあり、単独で又は他の多官能性又は1官能性の(メタ)アクリレートと組み合わせて使用することができる。アクリレートの例としては、ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シアノエチル(モノ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、オクタデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジニトリルアクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ニトロフェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロメチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ナフチルオキシエチルアクリレート、Ebecryl 130環状ジアクリレート(米国ニュージャージー州、サイテック・インダストリーズ社(CYTEC INDUSTRIES, INC.,)から)、エポキシアクリレートCN120E50(サルトマー(Sartomer Company)社から)、上記のアクリレートの対応するメタクリレート及びこれらの混合物が挙げられる。ビニル化合物の例としては、ビニルエーテル、スチレン、ビニルナフチレン及びアクリロニトリルが挙げられる。アルコールの例としては、ヘキサンジオール、ナフタレンジオール、2−ヒドロキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、及びヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。ビニル化合物の例としては、ビニルエーテル、スチレン、ビニルナフチレン及びアクリロニトリルが挙げられる。カルボン酸の例としては、フタル酸及びテレフタル酸、(メタ)アクリル酸が挙げられる。酸無水物の例としては、無水フタル酸及び無水グルタル酸が挙げられる。アシルハライドの例としては、ヘキサンジオイルジクロリド及びスクシニルジクロリドが挙げられる。チオールの例としては、エチレングリコール−ビスチオグリコレート及びフェニルチオエチルアクリレートが挙げられる。アミンの例としては、エチレンジアミン及びヘキサン1,6−ジアミンが挙げられる。
【0030】
金属層は各種の材料から形成させることができる。金属の例としては、元素としての銀、金、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、クロム、白金、パラジウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、マグネシウム、モリブデン、ネオジム、ケイ素、ゲルマニウム、ストロンチウム、タンタル、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、又はこれらの合金が挙げられる。一実施形態では、硬化したアルコキシド層に銀をコーティングすることができる。2以上の金属層が使用される場合、各金属層は他の層と同じでも異なっていてもよく、同じ厚さを有する必要はない。一実施形態では、金属層(1又は複数)は、連続的であるように充分な厚さを有し、金属層及びこうした層を用いた物品が所望の可視光透過率を有するように充分に薄いものである。例えば、可視光透過性金属層(1又は複数)の物理的厚さ(光学厚さとは異なる)は、約5〜約20nm、約7〜約15nm、又は約10nm〜約12nmである。厚さの範囲は、選択される金属に応じて変化しうる。金属層は、スパッタリング(例、回転又は平面マグネトロンスパッタリング)、蒸発(例、抵抗又は電子線蒸発)、化学気相成長(CVD)、有機金属化学気相成長(MOCVD)、プラズマ促進、支援、活性化化学気相成長(PECVD)、イオンスパッタリング、プレーティング、などの金属被覆の分野で使用される方法を用いて、上記に述べた基材又は無機若しくはハイブリッド層上に成膜することによって形成させることができる。
【0031】
ポリマー層は、各種の有機材料から形成されることができる。ポリマー層は、適用後にその場で架橋させてもよい。一実施形態では、ポリマー層は、例えば熱、プラズマ、紫外線照射又は電子線を用いた、フラッシュ蒸発、蒸着、及びモノマーの重合によって形成させることができる。こうした方法で使用されるモノマーの例としては、揮発性の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。特定の実施形態では、揮発性のアクリレートモノマーを使用する。好適な(メタ)アクリレートは、フラッシュ蒸発が行える程度に充分に低い分子量を有し、かつ基材上に凝縮されるように充分に高い分子量を有する。必要に応じて、プラズマ蒸着、溶液コーティング、押出しコーティング、ロールコーティング(例、グラビアロールコーティング)、スピンコーティング、若しくはスプレーコーティング(例、静電スプレーコーティング)などの従来の方法を用い、又は必要であれば上記に述べたように架橋又は重合を行って、更なるポリマー層を適用することもできる。更なる層の望ましい化学組成及び厚さは、基材の性質及び物品の所望の目的に一部依存する。コーティング効率は基材を冷却することによって向上させることができる。
【0032】
開示される方法を用いて調製されるフィルムは、分析及び診断試験用の表面の下準備、基材に対する分子又はコーティングのカップリング又は結合の促進、低接着(剥離)面、潤滑、非濡れ面、包装における浸透性バリア、反射防止コーティングの製造、ビームスプリッター、エッジフィルター、差分フィルター、帯域フィルター、ファブリ・ペロー共振器、誘電体層の製造、浸透性バリア層の製造、及び他の光学コーティング設計などの各種の用途がある。ハイブリッド有機/無機層に更なる層を設けることによって、反射防止特性などの性質を提供したり、カラーシフト特性を有する反射性積層体を製造することができる。
【0033】
カラーシフト性を有する本発明のフィルムは、有価証券(例、貨幣、クレジットカード、株券など)、運転免許証、公文書、パスポート、IDバッジ、入場券、アフィニティーカードにおける不正使用防止画像、例えばカセットテープ、トランプ類、飲料容器などの認証用の製品識別フォーマット及び販売促進、浮かび上がるか沈み込んだ又は浮かび上がりかつ沈み込んだブランドの画像を提供するブランド強調画像、売店、夜間点灯サイン及び自動車のダッシュボードディスプレイなどのグラフィック用途における情報提示画像、並びに、名刺、品質表示タグ、美術品、靴及び瓶詰め製品などの製品における合成画像の使用によるノベルティの強調といった広範な用途で用いられるセキュリティー装置で使用することができる。
【0034】
無機又はハイブリッド層を形成させるのに先立って基材を適当に前処理するか又はプライミング層又はシード層を設けることによって、フィルムの平滑性及び連続性、並びに後で設けられる層の基材に対する接着性を好ましくは向上させることができる。水酸基又はアミン官能基を生成するために表面を改質することが特に望ましい。表面の改質方法は、当該技術分野では既知である。一実施形態では、前処理工程において、反応性若しくは非反応性雰囲気の存在下で放電による基材の前処理(例、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電体バリア放電、若しくは大気圧放電)、化学前処理、又は火炎前処理を行う。これらの前処理によって、後で設けられる層を基材の表面が確実に受容できるようになる。プラズマによる前処理が特に好ましい。別の好ましい前処理工程では、基材を無機又は有機ベースコート層でコーティングした後、任意選択的にプラズマ又は上記に述べた他の前処理のいずれかを用いて更に前処理を行う。有機ベースコート層、特に架橋アクリレートポリマーに基づいたベースコート層が特に好ましい。ベースコート層は、照射架橋性モノマー(例、アクリレートモノマー)をフラッシュ蒸発及び蒸着した後、(例えば電子線装置、紫外線源、放電装置又は他の好適な装置を用いて)その場で架橋することによって形成させることが最も好ましい。これについては、米国特許第4,696,719号、同第4,722,515号、同第4,842,893号、同第4,954,371号、同第5,018,048号、同第5,032,461号、同第5,097,800号、同第5,125,138号、同第5,440,446号、同第5,547,908号、同第6,045,864号、同第6,231,939号、及び同第6,214,422号;国際出願PCT第00/26973号;D.G.ショー(D. G. Shaw)及びM.G.ラングロイス(M. G. Langlois)、「紙及びポリマーウェブをコーティングするための新たな蒸着法」(A New Vapor Deposition Process for Coating Paper and Polymer Webs)、第6回国際真空コーティング学会(1992);D.G.ショー(D. G. Shaw)及びM.G.ラングロイス(M. G. Langlois)、「アクリレート薄フィルムを蒸着するための新たな高速プロセス:最新動向」(A New High Speed Process for Vapor Depositing Acrylate Thin Films: An Update)、真空コーター学会第36回年次技術学会会報(1993);D.G.ショー(D. G. Shaw)及びM.G.ラングロイス(M. G. Langlois)、「金属化フィルムのバリア性を高めるための蒸着アクリレートコーティングの使用」(Use of Vapor Deposited Acrylate Coatings to Improve the Barrier Properties of Metallized Film)、真空コーター学会第37回年次技術学会会報(1994);D.G.ショー(D. G. Shaw)、M.ローリグ(M. Roehrig)、M.G.ラングロイス(M. G. Langlois)及びC.シーハン(C. Sheehan)、「ポリエステル及びポリプロピレンフィルム基材の表面を平滑化するための蒸発アクリレートコーティングの使用」(Use of Evaporated Acrylate Coatings to Smooth the Surface of Polyester and Polypropylene Film Substrates)、ラドテック(RadTech)(1996);J.アフィニート(J. Affinito)、P.マーティン(P. Martin)、M.グロス(M. Gross)、C.コロナド(C. Coronado)及びE.グリーンウェル(E. Greenwell)、「光学的用途のための真空蒸着されたポリマー/金属多層フィルム」(Vacuum deposited polymer/metal multilayer films for optical application)、Thin Solid Films誌270巻、43−48(1995);及び、J.D.アフィニート(J. Affinito)、M.E.グロス(M. E. Gross)、C.A.コロナド(C. A. Coronado)、G.L.グラフ(G. L. Graff)E.N.グリーンウェル(E. N. Greenwell)及びP.M.マーティン(P. M. Martin)、「ポリマー/酸化物透明バリア層」(Polymer-Oxide Transparent Barrier Layers)、真空コーター学会第39回年次技術学会会報(1996)に述べられている。必要に応じて、ベースコートは、ロールコーティング(例、グラビアロールコーティング)又はスプレーコーティング(例、静電スプレーコーティング)などの従来のコーティング法を用い、次いで例えば熱、紫外線照射又は電子線を用いて架橋することによって適用されることもできる。ベースコート層の望ましい化学組成及び厚さは、基材の性質に一部依存する。例えばPET基材の場合、ベースコート層はアクリレートモノマーから形成させることが好ましく、わずか数nmから約2マイクロメートル程度の厚さを有しうる。
【0035】
フィルムには熱処理、紫外線又は真空紫外線(VUV)処理、又はプラズマ処理などの後処理を行うことができる。熱処理は、フィルムをオーブンに通過させるか、又は例えば赤外線ヒーターを用いたりドラム上で直接加熱するなどしてコーティング装置内でフィルムを直接加熱することによって行うことができる。熱処理は例えば約30℃〜約175℃、約35℃〜約150℃、又は約40℃〜約70℃の温度で行うことができる。
【0036】
開示される方法を実施するために便宜よく使用することが可能な装置100の例を図1に示す。動力を備えたリール102a及び102bが装置100を通じて基材104を前後に動かす。温度制御された回転ドラム106、並びにアイドラー108a及び108bが、放電源110及び蒸発器114を通過するように基材104を搬送する。液体アルコキシド118がリザーバ120から蒸発器114に供給される。任意選択的に、液体118は噴霧器(図示せず)を介して蒸発器に放出してもよい。任意選択的に、ガス流(例、窒素、アルゴン、ヘリウム)を噴霧器又は蒸発器(図1には示さず)に導入することができる。触媒ヒーター122を用いて、熱及び水蒸気を供給することができる。アルコキシド層が凝縮した後、放電源110内のガスマニホルドを通じて、あるいは周辺環境から水を供給してもよい。赤外線ランプ124を使用して、1以上の層を形成させる前又は後に基材を加熱することができる。基材104を装置100に(両方向に)何度も通過させることによって、後続の層を基材104に適用させることができる。必要に応じて使用される液体モノマーを、蒸発器114、又はリザーバ120から供給を受ける別の蒸発器(図示せず)、又は別のリザーバ(図示せず)から適用することができる。紫外線ランプ116を使用してモノマーから架橋ポリマー層を生成することができる。酸素、埃及び他の大気中の混入物質が異なる前処理、アルコキシドコーティング、及び架橋工程を妨げないように、装置100を好適なチャンバ(図1には示さず)内に封入して好適な不活性雰囲気を供給することができる。
【0037】
開示される方法を実施するために便宜よく使用することが可能な装置200の別の例を図2に示す。シリンジポンプ201内の液体アルコキシドをヒーター202からの窒素と噴霧器203内で混合してアルコキシドを霧化する。生じた液滴は蒸発器204に供給して液滴を蒸発させることができる。生じた蒸気は、拡散器205を通過して基材206上に凝縮する。アルコキシドが凝縮した基材206はその場で又は取り出してから水の存在下で触媒燃焼源からの熱に曝露することによって後の工程でアルコキシドを硬化させる。装置200を使用して、必要に応じて使用される液体モノマーをシリンジポンプ201又は別のシリンジポンプ(図示せず)を通じて適用することができる。基材206上に凝縮したモノマーは後の工程で架橋される。
【0038】
紫外線照射に曝されると不安定となりうる物品の内側層を保護する目的で紫外線吸収性の被覆層を設けることが望ましい場合もある。無機又はハイブリッドフィルムに設けることが可能な、他の機能性層又はコーティングとしては、必要に応じて設けられる、物品の剛性を高める層(単数又は複数)がある。物品の最上層は、任意選択的に好適な保護層であってよい。必要に応じて、保護層は、ロールコーティング(例、グラビアロールコーティング)又はスプレーコーティング(例、静電スプレーコーティング)などの従来のコーティング法によって適用した後、例えば紫外線照射によって架橋することができる。保護層は上記に述べたように、フラッシュ蒸発、蒸着、及びモノマーの架橋によって形成させることもできる。揮発性の(メタ)アクリレートモノマーがこうした保護層での使用に好適である。特定の実施形態では、揮発性のアクリレートモノマーを使用する。
【0039】
本発明を以下の実施例において更に説明する。実施例中、すべての部、百分率及び比は特に断らない限り重量基準とする。
【実施例】
【0040】
実施例1.フッ素化ポリエーテルコーティング
トリメトキシシラン官能基によって両端が官能化された、下記一般式:
X−CFO(CFO)(CO)CF−X
[式中、X=CONHCHCHCHSi(OCHであり、mは約10であり、nは約10である]にて示される、平均分子量約2000のフッ素化ポリエーテルオリゴマーによって、30.5×22.9cm(12×9インチ)で厚さ0.95cm(0.375インチ)のポリカーボネートプレートをコーティングした。このフッ素化トリアルコキシシランポリエーテルオリゴマーを、米国特許第6,045,864号及び図2に記載されるような方法によって霧化して蒸発させた。噴霧器への液体の流速は0.075ml/分であった。噴霧器への高温の窒素流は186℃で44lpmであった。蒸発器領域の温度は162℃であった。基材を拡散器から流出する蒸気流に5秒間曝露することによって、ポリカーボネートプレート上に極めて薄い、凝縮液体コーティングを形成した。
【0041】
ポリカーボネート上に成膜されたフッ素化ポリエーテルの液体コーティングを、ニューヨーク州ニューロチェルのフリン・バーナー社(Flynn Burner Corp.)によって製造される触媒バーナーからの高温の水蒸気流に曝露することによって硬化させた。触媒バーナーのフェースとコーティングされた基材との間の間隙は約3cmであった。30.5×10.2cm(12×4インチ)の触媒バーナーは、10.9kL/時(385ft/時)の乾燥した、埃を濾過した空気と、1.1kL/時(40ft/時)の天然ガスとからなる、40,000Btu/時・インチの火力を与える可燃性混合物によって支持されるものを用いた。火炎当量比は1.00であった。未硬化の液体を触媒バーナーの高温燃焼生成物に2秒よりも短い時間、曝露した。硬化後、コーティングは疎水性を示し、溶媒ベースのインクを弾いた。
【0042】
比較例1.フッ素化ポリエーテルコーティング
実施例1の手順を用いてフッ素化トリアルコキシシランポリエーテルオリゴマーからなる同様のコーティングを調製した。このコーティングを対流エアオーブン内で5〜60分間、130〜140℃で硬化させて硬化反応を終了させた。飛行時間型2次イオン質量分析(TOFSIMS)の結果は、触媒バーナーからのガス状生成物への1秒間の曝露により、130℃のオーブンで1時間硬化させた場合に一般に見られるのと同程度にコーティングが完全に硬化したことを示すものであった。
【0043】
実施例2.フッ素化ポリエーテルコーティング
ここでもやはり、触媒燃焼ヒーターの生成物へ曝露することによって硬化させたフッ素化トリアルコキシシランポリエーテルオリゴマーのコーティングを、直径7.6cm(3インチ)のシリコンウェーハ、ガラスウェーハ、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)基材、及び二軸延伸ポリ(エチレンテレフタレート)基材上に形成した。触媒ヒーターによって高い硬化度が与えられ、硬化した材料には撥液性が認められた。
【0044】
実施例3.フッ素化ポリエーテルコーティング
実施例1の手順を用いて、30.5cm×22.9cm(12インチ×9インチ)のポリカーボネートプレートにフッ素化トリアルコキシシランポリエーテルオリゴマーをコーティングした。ただし以下の変更を行った。すなわち、拡散器を幅25.4cm(10インチ)のスロットコーティングダイに置き換え、液体モノマーの流速を0.10ml/分とし、噴霧器への窒素流を300℃で50 lpmとし、蒸発領域の温度を300℃とし、基材は2.54cm/秒(1インチ/秒)でコーティングダイスロットを通過させた。液体コーティングは触媒燃焼源からの高温の水蒸気流に曝すことによって硬化させた。30.5×10.2cm(12×4インチ)の触媒バーナー(フリン・バーナー(Flynn Burner Corp.)社)は、10.9kL/時(385ft/時)の乾燥した、埃を濾過した空気と、1.1kL/時(40ft/時)の天然ガスからなる可燃性混合物によって支持され、40,000Btu/時・インチの火力を得た。火炎当量比は1.00であった。触媒バーナーとコーティングされた基材との間の間隙は約5.1cm(2インチ)であった。曝した時間は2秒未満であった。硬化後、コーティングは溶媒ベースのインクを弾いた。
【0045】
本開示の例示的実施形態を検討すると共に本開示の範囲内の可能な変形例を参照してきた。本開示におけるこれら及び他の変形及び改変は、本開示の範囲から逸脱することなく当業者には明らかなものであり、したがって、本開示及び下記に示す特許請求の範囲は本明細書に記載される例示的実施形態に限定されないことを理解されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に金属アルコキシド層を適用する工程と、該金属アルコキシド層を水の存在下で触媒燃焼バーナーからの熱に曝露することによって該層を硬化させる工程と、を含む基材上に無機又はハイブリッド有機/無機層を形成する方法。
【請求項2】
前記触媒燃焼ヒーターが水を与える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルコキシド層を適用する工程が、蒸発した金属アルコキシドを凝縮させて前記基材上に層を形成させることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属アルコキシドが、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、バリウム、ビスマス、ホウ素、セリウム、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、モリブデン、ネオジム、リン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、タンタル、タリウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、及びジルコニウムのアルコキシド、又はこれらの混合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記金属アルコキシドが、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、タンタル、バリウム、スズ、インジウム、亜鉛、ガリウム、ビスマス、マグネシウム、ストロンチウム、ホウ素、セリウム、ハフニウム、ネオジム、ランタン、タングステンのアルコキシド、又はこれらの混合物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記金属アルコキシドが、テトラ(エトキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−プロポキシ)チタネート、ポリジメトキシシロキサン、メチルトリアセトキシシラン、テトラ(n−プロピル)ジルコネート、テトラ(n−ブトキシ)ジルコネート、又はこれらの混合物を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属アルコキシドがトリアルコキシシランを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記金属アルコキシドが少なくとも2種類のアルコキシドの混合物を含み、そして前記アルコキシドの割合が前記無機又はハイブリッド有機/無機層に所定の屈折率を提供するように選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記金属アルコキシドが少なくとも2種類のアルコキシドの混合物を含み、そして前記アルコキシドの割合が前記無機又はハイブリッド有機/無機層に所定の硬度を提供するように選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記層を約0.1秒から約10秒間加熱することを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記層を約0.3秒から約5秒間加熱することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記層を約0.5秒から約2秒間加熱することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基材がポリマー、金属、ガラス、セラミック、複合材、紙又は木材である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記基材がポリマーである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマーがポリエステルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
金属アルコキシド及び有機化合物を適用して基材上に層を形成させる工程と、
前記層を水の存在下で触媒燃焼ヒーターからの熱に曝露することによって該層を硬化させる工程と、を含む、基材上にハイブリッド有機/無機層を形成する方法。
【請求項18】
前記金属アルコキシドと有機化合物の層を適用する工程は、蒸発した金属アルコキシドと蒸発した有機化合物との混合物を凝縮させることによって前記基材上に層を形成させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記蒸発したアルコキシドと前記蒸発した有機化合物とが別々に蒸発させられ、前記基材上に凝縮される前に蒸気相中で混合される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アルコキシドと前記有機化合物とが同時に蒸発させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記アルコキシド及び前記有機化合物とが、フラッシュ蒸発法を使用して蒸発させられる、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記層を約0.1秒〜約10秒間加熱することを含む、請求項17〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記層を約0.3秒〜約5秒間加熱することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記層を約0.5秒〜約2秒間加熱することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記有機化合物がアルコール、カルボン酸、エステル、酸無水物、アセチルハロゲン、チオール、又はアミンを含む、請求項17〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記エステルがアクリレートを含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−514563(P2010−514563A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544301(P2009−544301)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/089098
【国際公開番号】WO2008/083310
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】