説明

金属イオン濃度測定装置

【課題】測定値についての信頼性が高く、しかも各種の装置に組み込み可能な自動金属イオン濃度測定装置を提供すること。
【解決手段】試料水中の金属イオン濃度を測定する装置であって、光源と、透明の反応容器と、受光装置と、制御器とからなり、該光源からの光が該反応容器を透過した後に該受光装置で受光される構成を持ち、該反応容器内には保持された試料水を加熱する加熱手段と、該試料水の温度を計測する測温手段を具備し、前記制御器は、該試料水の温度が所定温度より低い場合に該加熱手段を作動させ、所定温度を超えた場合には加熱手段を停止させるよう調節可能であることを特徴とする金属イオン濃度測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試料水中の金属イオン濃度を測定する装置に関し、更に詳細には、試料水中に存在する金属イオンと、その検出試薬とを常に一定の条件で反応させることができ、金属イオン濃度を正確に測定することのできる金属イオン濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水中に存在する金属イオンと検出試薬を反応させ、金属イオンを測定する方法は周知であり、広く使用されている。例えば、アルミニウムイオンはエリオクロムシアニンRと反応して特定の色を呈することや、鉄イオン、クロムイオン、カドミウムイオンはジフェニルカルバゾンと反応してそれぞれ特定の色を呈すること、また、亜鉛イオンはジンコンと反応して特定の色を呈することが知られている。更に、特許文献1には、この原理を利用し、流路の切替により複数の金属イオンを測定する方法が開示されている。
【0003】
ところで上水においては、従来、アルミニウム濃度に関し特段の規制のなかったが、2005年から0.2ppm以下に規制されるようになり、ルーチンワークとしてその濃度の測定、管理が必要となっている。
【0004】
一般に、アルミニウムイオンの測定は、当該イオンが、pH4.6〜5.6において、エリオクロムシアニンRと反応して赤紫色を呈し、その色はアルミニウムイオンの濃度に依存するという関係を利用するものであり、予め作っておいた検量線と対比することにより、アルミニウムイオンの濃度を測定することができる。しかし、従来のアルミニウムイオン濃度計は、pH調整剤とエリオクロムシアニンRを人の手によって試料に添加するものであり、また、試料と試薬の混合撹拌は人の手による振蕩混合か、または別に設けた撹拌装置による撹拌混合により行われており、更に、試料にエリオクロムシアニンRを添加し、撹拌混合してから発色具合を測定する装置にかけるまでの時間管理も人が行っているなど煩雑なものであった。
【0005】
更にまた、従来の装置では、試料水とエリオクロムシアニンRの反応時間や、その際の温度に十分な考慮を与えていないため、同じアルミニウムイオン濃度であっても水温の違いで測定値が異なり、信頼性に欠けるという問題があった。この問題は、ほぼ同じ温度で維持される溶液を試料とする場合、あまり重要ではないが、上水のように、水源の種類、取水時期等により、温度が7、8℃から27℃程度と幅広く変化する試料では大きな問題であった。
【0006】
このような問題に対しては、測定器中の温度を恒温とし、試料水が一定温度となってから測定することも考えられるが、そうすると測定終了まで時間がかかる上、上水の温度が低い場合には反応容器の外面に結露が発生し、吸光度の測定に支障を来たすこともあり、実際的ではなかった。
【0007】
上記のような水温の問題は、アルミニウムイオン濃度測定に特有の問題でなく、上水中の他の金属イオン濃度の測定においても、多かれ少なかれ生じている問題であり、その解決が求められている。
【特許文献1】特開平10−96719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明は、測定値についての信頼性が高く、しかも各種の装置に組み込み可能な自動金属イオン濃度測定装置の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、試料水中の金属イオンと発色試薬が反応を行う反応容器内の温度管理を行うことにより、測定値の信頼性を高めることが可能であること、また、反応開始から測光までの時間を自動化することにより、より測定値の信頼性が向上することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、試料水中の金属イオン濃度を測定する装置であって、光源と、透明の反応容器と、受光装置と、制御器とからなり、該光源からの光が該反応容器を透過した後に該受光装置で受光される構成を持ち、該反応容器内には保持された試料水を加熱する加熱手段と、該試料水の温度を計測する測温手段を具備し、前記制御器は、該試料水の温度が所定温度より低い場合に該加熱手段を作動させ、所定温度を超えた場合には加熱手段を停止させるよう調節可能であることを特徴とする金属イオン濃度測定装置である。
【0011】
また本発明は、反応容器中で試料と試薬を反応させ、この反応による吸光度変化を測光する金属イオン濃度測定方法において、前記反応容器中に、測温手段および加熱手段を設け、これを制御器で調節することにより、反応容器中の温度を所定範囲に維持するとともに、発色試薬注入手段と受光器を制御手段で調節することにより試料水中への発色試薬の添加から一定時間後に測光を行うことを特徴とする金属イオン濃度測定方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金属イオン濃度の測定がより信頼性の高いものとすることが可能となり、かつ自動化することにより従来の装置では避けられなかった煩雑な作業から試験者を解放し、省力化することができ、個人差なく金属イオン濃度を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一態様を示す図面と共に、本発明の説明を続ける。
【0014】
図1は、金属イオン濃度測定装置全体を示す図面であり、図1はその主要部を示す図面である。図中、1は透明反応容器、2は撹拌子、3は電動機、4は加熱器(ヒーター)、5は熱電対、6は光源、7は受光器、8は制御装置を示し、10は試料水導入ライン、11は流量計、12は試料水注入配管、13は試薬貯留タンク、14は試薬注入機、15は試薬注入配管、16は校正液貯留タンク、17は排水配管、18は廃液エジェクター、19は廃液タンク、20は弁、21は圧縮空気ライン、22は圧力調整弁、23は排出配管、24は液量計をそれぞれ示す。
【0015】
本発明の金属イオン濃度測定装置は、図1に示すように、光源7、反応容器1、受光装置6および撹拌子2と電動機3よりなる撹拌装置を有する。そして、この反応容器1中には、加熱器4、熱電対5、試料水注入配管12、試薬注入配管15および排水ライン17が設置されている。
【0016】
そして、上記試料水注入配管12は、流量計11および試料水注入弁20aを介して試料ライン10と連通し、試料水が定量導入できるようになっている。一方、試薬注入配管15aおよび15bは、それぞれ試薬注入機14aおよび14bを介して試薬貯留タンク13aおよび13bと連通しており必要な試薬の定量導入を可能としている(図では、2つの試薬を使用する例が示されているが、使用試薬は1でも、また3以上でも良い。また、試薬としては、pH調整試薬、発色試薬等が挙げられる。なお、試薬がpH調整試薬の場合には、試薬注入配管15は試料水注入配管12等の試料水を添加する装置に連通させてもよい。)。
【0017】
更に、反応容器1中から不要になった反応液を排出する手段として、排水エジェクター18と連通された排水配管17が設けられており、ここから排出された廃液は、排水タンク19等に排出され、処理される。
【0018】
本発明の金属イオン濃度測定装置では、その主要部を示す図2から明らかなように、反応容器1が、光源6および受光器7に挟み込まれる形になっている。この反応容器1は、光源6からの光を透過させる必要があり、一般に分光光度計用のセルとして用いられている透明な材質のもの、例えば、石英ガラス、硬質ガラス、アクリル樹脂などの材質のものを用いることができる。また、このセルの大きさは、特に制約はないが、試料水の量や、必要発光試薬、あるいは測定精度などの面から、一般には、光の通過長さとして、1から5cm程度、全体の容量としては、10から50cm程度のものである。また、光源6および受光器7は、一般の分光光度計において使用されるものと同一なものを使用することができ、市販の分光光度計のセルの挿入部分を、反応容器1が入るよう改造したものであっても良い。
【0019】
また、反応容器1の中には、撹拌手段である撹拌子2が入れられている。この撹拌子2は、棒状の永久磁石が樹脂で被覆されたものであり、反応容器1の外に設置された電動機3の出力軸の先端に装着された永久磁石の回転に伴って回転し、透明反応容器1の中の、試料水や、発色試薬等で形成される反応液を撹拌する。
【0020】
更に反応容器1の中には、加熱手段である加熱器4と測温手段である熱電対5が設置されている。このうち、熱電対5によって反応容器1内の温度を測定するものであり、加熱器4は、反応容器1内の液を加熱するものである。より具体的には、加熱器4および熱電対5は、制御器8と電気的に結合しており、この制御器8により、反応容器1中の試料水等の温度が、所定管理温度より低い場合には、加熱器4を作動させ、所定管理温度を超えた場合には加熱器4を停止させることにより反応容器1内の液温を調節する。この制御器8は温度の設定が10〜40℃の範囲で調節可能な温度調整手段を有することが好ましい。なお、管理温度は、適宜定めることができるが、加熱器4のみで温度管理をする点から、試料水よりある程度高い温度に管理、調節することが好ましく、必要によっては季節によって管理温度を変えても良い。
【0021】
本発明装置において用いられる加熱器4としては、反応容器1内に装着可能な大きさであることが必要であり、例えば、カートリッジヒーター等が挙げられる。このカートリッジヒーターは、棒状のセラミックに巻き付けたニクロム線等の発熱線をステンレス等の金属製のパイプの中に挿入し、両者の隙間を酸化マグネシウム等の高熱伝導性と高絶縁性を有する物質で埋めた、電力密度の高いヒーターである。また、熱電対5は、これに限られず、反応容器1内に設置でき、その温度を正確に測定し、これを電気的信号となし得るものであれば、他の測温手段を利用することも可能である。
【0022】
また、本発明の金属イオン濃度測定装置は、試料水への試薬添加から、吸光度測定までの時間を一定とすることも可能である。すなわち、制御装置8を、試料水注入弁20a、試薬注入機14a、試薬注入機14b、光源7、受光器6等と電気的に結合し、これらを予めプログラムされた順に作動させることにより、例えば、試薬を所定時間で順次添加し、一定時間反応させた後に反応系の吸光度測定が可能となるので、より高い信頼性をもった金属イオンの測定が可能となるのである。この反応開始から測定までの時間は、測定する金属イオンや、使用する発色試薬によっても相違するが、エリオクロムシアニンRを用いてアルミニウムイオンを測定する場合、1.5から15分程度が適当である。
【0023】
次に、本発明の金属イオン濃度測定装置を用いた金属イオン濃度測定方法(以下、「本発明方法」という)について説明する。なお、本発明方法で測定可能な金属イオンとしては、例えば、アルミニウムイオン、鉄イオン、クロムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。また、前記金属イオンを測定するために用いられる発色試薬としては、例えば、アルミニウムイオンであればエリオクロムシアニンR;鉄イオン、クロムイオンおよびカドミウムイオンであればジフェニルカルバゾン;亜鉛イオンであればジンコン;等が挙げられる。
【0024】
本発明方法を実施するには、図1の試料水注入弁20aを開にして試料水を反応容器1に注入する。試料水は、その量を流量計11で計測し、所定量となったら試料液注入弁20aを閉じる。次いで電動機3を作動させて、反応容器1中で撹拌子2を回転させ、試料水の温度が管理温度以下であれば、更に加熱器4を作動させる。この際、熱電対5を介して反応容器1内の試料水の温度を測定し、制御装置8でこの温度が所定管理温度となるよう加熱器4を制御する。
【0025】
試料水の温度が所定の管理温度となったら、試薬注入機14aおよび試薬注入機14bを、制御装置8のプログラムに従ってそれぞれ作動させ、13は試薬貯留タンク13aおよび13bから、それぞれ試薬(試薬1と試薬2)を試薬注入配管15aおよび15bを通じて反応容器1中に注入し、反応を開始する。
【0026】
上記制御装置8では、試薬1および/または試薬2の添加から、吸光度測定までの時間もプログラムされており、反応中は、加熱器4の制御された作動によって所定管理温度を維持すると共に、所定時間経過後すぐに、光源7からの光の吸光度変化を受光器7で読み取る。この受光した光の量のデータは、電気信号として制御装置8に送られ、制御装置8ではこれを、予め記録してあったデータと対比し、金属イオン濃度を算出し、制御装置に表示すると共に、外部に電気信号として出力する。
【0027】
以上の測定動作が完了したら、圧縮空気供給弁20dを開いて圧縮空気を廃液エジェクタ18aに供給し、廃液エジェクタ18aで反応容器1中の反応液を吸引し、排出配管23から廃液タンク19に廃液する。次に試料液供給弁20aを開き、試料水注入配管12を介して所定量の試料水を洗浄水として反応容器1に入れ、電動機3を所定時間作動させて反応容器1を洗浄する。圧縮空気供給弁20dを開いて排水エジェクタ18aに圧縮空気を供給し、排水エジェクタ18aで反応容器1の洗浄水を吸引し、排出配管23から系外に排水する。この洗浄を数回繰返して一連の測定動作を終了する。
【0028】
なお、本発明方法における校正動作は次のようにして行うことができる。すなわち、予め別の手段によって金属イオン濃度が測定された第一の校正液を用意し、前記の試料水中の金属イオン濃度測定法の条件、手順に従い、吸光度変化を測定し、電気信号とする。次いで、前記の反応容器1の洗浄方法に従って十分に洗浄した後、予め金属イオン濃度が測定された、第一の校正液と濃度が異なる第二の校正液についても、同様にして吸光度変化を測定し、電気信号を得る。そして、校正液の金属イオン濃度と、電気信号(例えば電圧)の関係を、制御装置8内に記憶させ、いわゆる検量線とする。この校正液は、少なくとも濃度の異なるものを2つ使用することが必要であり、濃度の異なるものを3以上使用することが好ましい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、この実施例により本発明は何ら制約されるものではない。
【0030】
実 施 例 1
アルミニウムイオン濃度測定での試料水温度の影響:
アクリル樹脂で作製された反応容器1(光路長2.5cm;容量25cm)、加熱器4としてカートリッジヒーター(AV100V、20W、φ8X100mm)を用い、これらを図1のように構成して金属イオン濃度測定装置を作製した。この測定装置を用い、アルミニウムイオン濃度と出力電圧の関係をいくつかの温度について調べた。
【0031】
まず、試薬貯留タンク13aに、酢酸緩衝液(pH5.5)を、試薬貯留タンク13bに、エリオクロムシアニンRを0.01質量%含有する発色試薬(以下、単に「発色試薬」という)をそれぞれ準備した。次いで、反応容器1に、試料水25mlを注入し、撹拌子2を回転させ、撹拌を行った。これに、酢酸緩衝液を1.0ml加え、その後5秒経過後に発色試薬0.14mlを加えた。発色試薬添加3分後に、535nmの吸光度を測定し、これを出力電圧に変換し記録した。同様に異なる濃度の試料水3点についてもその出力電圧を記録した。反応温度を10℃、26℃、40℃とした時の、アルミニウムイオン濃度と、出力電圧の関係を図3に示す。
【0032】
図3から明らかなように、アルミニウムイオン濃度とセンサー出力電圧の関係はいずれも良い直線性を示すが、試料の温度の違いによって直線の傾きが異なった。すなわち、試料水の温度が26℃および40℃の場合の濃度と出力電圧の関係は殆ど変わらないが、水温が10℃の場合は、大きく変わることが示された。
【0033】
実 施 例 2
アルミニウムイオン濃度測定での出力電圧の時間変化:
水温10℃および20℃の試料水を用い、発色試薬を添加後、時間を変えて、535nmの吸光度を測定し、これを出力電圧に変換し記録した。この結果を図4に示す。
【0034】
図4から明らかなように、発色試薬を添加後、時間の経過と共に出力電圧(吸光度)が変化し、その変化は試料の温度により異なっていた。試料の温度20℃においては15分程度で安定し、20分を超えると吸光度が減少してセンサー出力電圧が上昇した。
【0035】
実 施 例 3
アルミニウムイオン濃度測定での測定時間の影響:
水温26℃の、いくつかのアルミニウム濃度の試料水を用い、発色試薬を添加後、吸光度測定までの時間を変えて、535nmの吸光度を測定し、これを出力電圧に変換し記録した。この結果を図5に示す。
【0036】
図5から明らかなように、発色試薬を添加後、吸光度測定までの時間がいずれの場合も、アルミニウムイオン濃度とセンサー出力電圧は直線関係にあるが、計測時間の違いによって直線の傾きが異なった。1.5分の場合は、3分および5分の場合と明らかに異なっており、測定時間を一定とすることが信頼性のある値を得るために重要であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明装置および測定方法によれば、従来より高い信頼性でアルミニウムイオンなどの金属イオン濃度を測定することができ、しかも自動化可能なものである。
【0038】
従って、上水処理施設など、金属イオンをモニターする必要とされる施設において、広く利用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の金属イオン濃度測定装置全体を模式的に示す図面。
【図2】本発明の金属イオン濃度測定装置の主要部を示す図面。
【図3】いくつかの濃度の試料についての、試料水温度と出力電圧の関係を示す図面。
【図4】吸光度測定時間を変えた時の出力電圧の変化を示す図面。
【図5】いくつかの濃度の試料についての、吸光度測定までの時間と出力電圧の関係を示す図面。
【符号の説明】
【0040】
1 … … 透明反応容器 14 … … 試薬注入機
2 … … 撹拌子 15 … … 試薬注入配管
3 … … 電動機 16 … … 校正液貯留タンク
4 … … 加熱器(ヒーター) 17 … … 排水配管
5 … … 熱電対 18 … … 廃液エジェクター
6 … … 光源 19 … … 廃液タンク
7 … … 受光器 20 … … 弁
8 … … 制御装置 21 … … 圧縮空気ライン
10 … … 試料水導入ライン 22 … … 圧力調整弁
11 … … 流量計 23 … … 排出配管
12 … … 試料水注入配管 24 … … 液量計
13 … … 試薬貯留タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料水中の金属イオン濃度を測定する装置であって、光源と、透明の反応容器と、受光装置と、制御器とからなり、該光源からの光が該反応容器を透過した後に該受光装置で受光される構成を持ち、該反応容器内には保持された試料水を加熱する加熱手段と、該試料水の温度を計測する測温手段を具備し、前記制御器は、該試料水の温度が所定温度より低い場合に該加熱手段を作動させ、所定温度を超えた場合には加熱手段を停止させるよう調節可能であることを特徴とする金属イオン濃度測定装置。
【請求項2】
前記反応容器は、試料水注入配管を具備する請求項1記載の金属イオン濃度測定装置。
【請求項3】
前記反応容器は、試薬注入配管を具備する請求項1または2記載の金属イオン濃度測定装置。
【請求項4】
前記試料水注入配管および試薬注入配管は、それぞれ、試料水および試薬を定量注入できる装置と連通するものである請求項2または3記載の金属イオン濃度測定装置。
【請求項5】
前記金属イオン濃度測定装置は、前記反応容器に、あるいは試料水を添加する装置にpH調整試薬を添加する装置を具備する請求項1または2記載の金属イオン濃度測定装置。
【請求項6】
前記反応容器は、該反応容器内の前記試料水の排水を行う排水装置を具備する請求項1ないし5の何れかの項記載の金属イオン濃度測定装置。
【請求項7】
前記制御器は、温度の設定が10〜40℃の範囲で調節可能な温度調整手段を有する請求項1ないし6の何れかの項記載の金属イオン濃度測定装置。
【請求項8】
前記制御器は、前記試料水への前記発色試薬の添加から反応容器中での該試料水の透過光の測定までの時間をプログラム可能とする請求項1ないし7の何れかの項記載の金属イオン濃度測定装置。
【請求項9】
前記制御器でプログラムされる、前記発色試薬の添加から該試料水の計測までの時間が1.5〜15分の範囲である請求項8記載の金属イオン濃度測定装置。
【請求項10】
反応容器中で試料と試薬を反応させ、この反応による吸光度変化を測光する金属イオン濃度測定方法において、前記反応容器中に、測温手段および加熱手段を設け、これを制御器で調節することにより、反応容器中の温度を所定範囲に維持するとともに、発色試薬注入手段と受光器を制御手段で調節することにより試料水中への発色試薬の添加から一定時間後に測光を行うことを特徴とする金属イオン濃度測定方法。
【請求項11】
測定金属がアルミニウムであり、発光試薬がエリオクロムシアニンRである請求項10記載の金属イオン濃度測定方法。
【請求項12】
測定対象が、上水である請求項10または11記載の金属イオン濃度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−96396(P2008−96396A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281735(P2006−281735)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(591030651)荏原エンジニアリングサービス株式会社 (94)
【Fターム(参考)】