金属ガスケット

【課題】安価でかつシール性能の高い金属ガスケットを提供する。
【解決手段】金属ガスケット1は、シリンダー孔6の周りに沿って環状ビード14を有する少なくとも1枚の金属製のガスケット基板2を具える。環状ビード14は、ガスケット基板2からそれぞれ立ち上がりその先端部分が相互に離間する一対の傾斜壁20a,20bからなる第1ビード部分20と、傾斜壁20a,20bの先端部分から該傾斜壁の立ち上がり方向とは逆側に突出する断面谷状の第2ビード部分21とを有し、第1ビード部分20の高さをFh1とし、第2ビード部分21の高さをFh2とし、環状ビード14の幅の半値をW1とし、第2ビード部分21の幅をW2としたとき、Fh1>Fh2、かつ、W1>W2を満たす。
【解決手段】金属ガスケット1は、シリンダー孔6の周りに沿って環状ビード14を有する少なくとも1枚の金属製のガスケット基板2を具える。環状ビード14は、ガスケット基板2からそれぞれ立ち上がりその先端部分が相互に離間する一対の傾斜壁20a,20bからなる第1ビード部分20と、傾斜壁20a,20bの先端部分から該傾斜壁の立ち上がり方向とは逆側に突出する断面谷状の第2ビード部分21とを有し、第1ビード部分20の高さをFh1とし、第2ビード部分21の高さをFh2とし、環状ビード14の幅の半値をW1とし、第2ビード部分21の幅をW2としたとき、Fh1>Fh2、かつ、W1>W2を満たす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関を構成するシリンダーヘッドとシリンダーブロックとの接合面に介装して、燃焼ガス、冷却水、潤滑油等の流体のリークを防止する金属ガスケットに関し、特にシリンダー孔周りにおける高圧燃焼ガスのリークを防止するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、金属ガスケットには、シリンダーブロックにシリンダーヘッドを締結するための締付けボルトの締結力により圧縮されて弾性変形し、それらのデッキ面上にシール線を形成してシール作用を奏するビードが形成されており、この種の金属ガスケットとしては従来、シリンダーボア内の高圧燃焼ガスが、隣り合うシリンダー内や冷却水孔内へリークして、エンジン出力が低下したり、オーバーヒート等の不具合が生じたり、不完全燃焼ガスにより排ガス浄化作用の機能が低下したりするのを防止するため、図6および図7に示すように、鋼板(例えばSUS301-H 0.2t)の表面に、0.025mm程度ラバーを片面ないし両面コーティングしたガスケット基板50に、断面山形形状のフルビード52をシリンダー孔54の周囲に各々配置し、冷却水、潤滑油等の流体のリークを防止するために、オイル孔56の周囲を各々ハーフビード58で囲繞し、かつ、冷却水孔60のシール用のハーフビード62は、オイル孔用のハーフビード58を囲繞せずに、シリンダー孔54の周囲に配置された各々のフルビード52全体を囲繞してなるものが知られている。図8は上記ガスケット基板50を3枚重ね合わせてなる3層構造の金属ガスケットである。
【0003】
ガスケット基板内に、フルビードおよびハーフビードをシールの目的別に配置する理由は、フルビードとハーフビードとで締付けボルトによる締結力に対する復元力に違いがあるからであり、すなわち、シリンダー内の高圧燃焼ガスは、その燃焼ガス圧が60〜100kg/cm2に達することから、比較的復元力の大きいフルビードをシリンダー孔の周囲に配置してそのフルビードの復元力で大きな締付圧を得ることにより高圧燃焼ガスをシールし、一方、冷却水、潤滑油等の流体圧は、その圧力が3〜6kg/cm2程度であることから、フルビードより復元力の小さいハーフビードで充分シールすることができるからである。
【0004】
しかしながら、近時、エンジンの高出力化に伴い燃焼ガスも高圧化していることから、ガスケットのシール性能も、より高いものが要望されており、図6〜8に示したような単なる積層タイプの金属ガスケットでは、高圧化した燃焼ガスシールに対応できないことが多かった。というのは、特に高出力の内燃機関では、シリンダーヘッドとシリンダーブロックとを締付けボルトで締付けていたとしても、その出力発生時に燃焼ガスの圧力によってシリンダーヘッドが上に浮き上がるヘッドリフト現象が大きくなり、このヘッドリフト現象により、シリンダーヘッドとシリンダーブロック間に介挿されたガスケットの締付圧が低下し、シリンダー内の燃焼ガスに対するシール性が低下するからである。
【0005】
上述の問題であるエンジン高出力化に伴うガスケットの締付圧不足に対応する金属ガスケットとしては、図9に示すように、前述のガスケット基板の間に、厚板部T1と薄板部T2とにより板厚差(段差)が形成された副板64を、その厚板部T1にガスケット基板50のフルビード52の全体が位置するように介挿し、ガスケット基板50の各シリンダー孔54の周囲のフルビード52の締付圧を上昇させることで、シリンダー内の燃焼ガスに対するシール性能を向上させたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
なお、参考として、図6〜8に示した積層タイプの金属ガスケットと、図9に示した対向する2枚のガスケット基板の間に副板を介挿させてなる金属ガスケット(以下、段差式金属ガスケットともいう。)とを試作し、それぞれの金属ガスケットについてシリンダー孔周りの締付圧を測定したのでその結果を図10に示す。ここに参考例1は2層構造の金属ガスケット(図6および図7参照)であり、参考例2は3層構造の金属ガスケット(図8参照)であり、参考例3〜6は段差式金属ガスケット(図9参照)である。ここに、参考例3における板厚差(厚板部T1と薄板部T2の差であり、以下、段差量ともいう。)は0.03mmであり、参考例4における板厚差は0.05mmであり、参考例5における板厚差は0.08mmであり、参考例6における板厚差は0.10mmである。図10に示す結果から、副板を有していない単なる積層タイプである参考例1、2の金属ガスケットでは、締付けボルトの軸力を高めても高圧燃焼ガスのシールに必要な締付圧A(kg/mm)に到達せず、高圧燃焼ガスに対する十分なシール性能が得られないことが分かる。なお、この試験は、上記ヘッドリフト現象の発生時の締付圧を測定したもので、詳細には、金属ガスケットをエンジンに組み込み、締付けボルトにより規定軸力で締付け、その後、当該エンジンの燃焼時最大ガス圧力(kg/cm2)に相当するN2ガスをシリンダー内に充填し、強制的にヘッドリフトを発生させ、そのヘッドリフト発生後のシリンダー孔周りの締付圧を測定してフルビードが保持する締付圧としたものである。
【0007】
ところで、前記副板64の段差構造としては従来、例えば図11(a)に示すように、それぞれ金属板からなる2枚のガスケット基板50の間に介挿される副板64の、ガスケット基板50の各シリンダー孔54の周囲のフルビード52と重なるシリンダー孔周辺部(厚板部T1)とそれより外側に位置する外方部(薄板部T2)とを互いに異なる板厚の薄金属板64a,64bで構成して所要の板厚差となるようにし、それら薄金属板64a,64b同士をレーザー溶接で接合した段差構造が知られている(特許文献1参照。)。なお、図中符号Ywはレーザー溶接部を示す。
【0008】
また、例えば図11(b)に示すように、それぞれ金属板からなる2枚のガスケット基板50の間に介挿される単一板厚の薄金属板からなる副板64の、ガスケット基板50の各シリンダー孔54の周囲のフルビード52と重なるシリンダー孔周辺部にこれも薄金属板からなるシム板66を重ねて所要の段差になるようにし、それら副板64とシム板66とをレーザー溶接で結合した段差構造も知られている。
【0009】
さらに、例えば図11(c)に示すように、それぞれ金属板からなる2枚のガスケット基板50の間に介挿される単一板厚の金属板からなる副板64の上記外方部をエッチング加工により薄肉に形成してシリンダー孔周辺部(厚板部T1)と外方部(薄板部T2)との間に所要の段差が形成されるようにした段差構造も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−243531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図11(a)に示した従来の段差構造では、厚さの異なる2枚の金属板64a,64bを用いてシリンダー孔周辺部(厚板部T1)と外方部(薄板部T2)との間に段差を形成するため、微小な単位(0.01mm単位)で段差を設定することが可能であるものの、厚い金属板64aと薄い金属板64bの位置を合わせるための高精度の位置合わせ治具と高価なレーザー溶接機が不可欠となり、また厚い金属板64aおよび薄い金属板64bをブランキングするために精密な寸法精度を有するブランキング用金型が別途必要となり、ガスケットが高価なものになってしまうという問題があった。
【0012】
また、図11(b)に示した従来の段差構造では、シム66板の板厚が段差量となり、工業的に流通している薄鋼板の板厚が現状では0.05mm区切りであるため、0.01mm単位での高精度な段差量の設定ができず、また、0.1mm以下の薄板ではレーザー溶接による歪みや変形、浮きの発生で段差機能の確保が困難となり、しかも、図11(a)で示した段差構造と同様、専用の位置合わせ治具と高精度のレーザー溶接機が不可欠となり、ガスケットが高価なものになってしまうという問題があった。
【0013】
そして、図11(c)に示した段差構造では、金属板にエッチングを施しているので、5μm単位での高精度の段差量の設定は可能であるが、エッチングは化学処理であり、エッチング後の廃液処理にかかる環境負荷、コストが高いという問題があった。
【0014】
なお、上述した手法の以外にも副板に段差を形成する手法としては、溶射、メッキ、研削、プレス等が挙げられるが、溶射やメッキ、あるいは研削による方法は製造時間、製造工程が煩雑でありコスト上不利なことは否めない。
【0015】
それゆえ、本発明は、上記課題を解決して安価でかつシール性能の高い金属ガスケットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の金属ガスケットは、内燃機関のシリンダーブロックのシリンダーボアに対応する位置に形成されたシリンダー孔を開口し、前記シリンダー孔の周りに沿って形成された環状ビードを有する少なくとも1枚の金属製のガスケット基板を具える高圧燃焼ガスシール用の金属ガスケットにおいて、前記環状ビードは、ガスケット基板からそれぞれ立ち上がりその先端部分が相互に離間する一対の傾斜壁からなる第1ビード部分と、前記一対の傾斜壁の先端部分から該傾斜壁の立ち上がり方向とは逆側に突出する断面谷状の第2ビード部分とを有し、前記第1ビード部分の高さをFh1とし、前記第2ビード部分の高さをFh2とし、前記環状ビードの幅の半値をW1とし、前記第2ビード部分の幅をW2としたとき、Fh1>Fh2、かつ、W1>W2を満たすことを特徴とするものである。
【0017】
なお、本発明の金属ガスケットにあっては、前記第1ビード部分と前記第2ビード部分の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明の金属ガスケットにあっては、前記ガスケット基板を、それぞれの前記環状ビードの第1ビード部分同士が互いに対向する向きで2枚具えることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の金属ガスケットにあっては、前記ガスケット基板を、隣接するガスケット基板間にてそれぞれの前記環状ビードの第1ビード部分の突出方向が相互に異なる向きで3枚具えることが好ましい。
【0020】
以下、上記構成を採用するに至った経緯を作用とともに説明する。発明者は先ず、段差を持つ副板を使用せずに断面山形形状のフルビードのみで目標とする締付圧を実現可能か否か見極めるために、フルビードのビード幅とビード高さを3段階に変化させて復元特性(復元力)を調査した。具体的には、図12(a),(b)に示すように、ガスケット基板に使用される金属材料と同等のバネ用ステンレス鋼帯(SUS301-H-CSP t0.2)からなり、孔(直径87mm)70の周りに断面山形形状のフルビードで構成される環状ビード72が形成されたテストピースTPを3種類(TP1〜TP3)製作し、各テストピースTP1〜TP3を押圧治具Jに挟み込んで環状ビード72の復元特性を調査した。なお、テストピースTP1〜TP3おける環状ビード72のビード幅Hおよびビード高さWの大きさは、図13に示すように、テストピースTP1>テストピースTP2>テストピース3となるように設定し、かつ、各テストピースTP1〜TP3におけるビード幅Hとビード高さWの関係H/W比はいずれも0.10となるように設定した。その結果、図14のグラフに示すように、ビード幅Wが広いテストピースTP1は、環状ビード72が圧縮され易く復元力R1も大きいが、テストピースTP1に比べてビード幅Wが狭いテストピースTP2,TP3は、復元力R2,R3が小さいことがわかった。この復元力が小さいということは、エンジン燃焼時のヘッドリフト現象により、環状ビードの締付け圧荷重低下が大きいことを意味し、したがって、テストピースTP2,TP3の環状ビード72は、高圧燃焼ガスのシールには不向きであるとの見解になる。
【0021】
しかしながら発明者は、上記復元力測定試験において、テストピースTP1〜TP3を押圧治具Jに挟む際に、テストピースTP1〜TP3の内径側に、図12(a),(b)に示すようにヒューズ線Fを4箇所配置してから押圧治具Jで挟み込み、ビード圧縮時の「環状ビードの未圧縮高さ(量)」も併せて測定したため一つの方向性を見出すことができた。すなわち、ヒューズ線Fを用いて測定した「未圧縮高さ(量)」とは、「5000kg荷重時のヒューズ線高さ」から「ガスケット総板厚」を引き算して得られ、5000kg荷重時における環状ビード72の未圧縮状態を表しているものであるから、この環状ビード72の未圧縮高さ(量)は、上記段差式金属ガスケットの副板における板厚差(段差)の量に相当すると考えることができる。
【0022】
各テストピースTP1,TP2,TP3における環状ビード72の未圧縮高さTh1,Th2,Th3は図14に示すとおりであり、環状ビードの未圧縮量の結果から、ビードの圧縮性が良好であるテストピースTP1の環状ビード72を除き、テストピースTP2,TP3の環状ビード72はともに、ガスケット締付時の締付圧の増大に有利に働く効果(段差式金属ガスケットにおける板厚差(段差)の効果に相当する効果であり、以下、単に「締付圧増大効果」ともいう。)を潜在的有していると推測される。
【0023】
一方、ビード幅の最も大きいテストピースTP1の環状ビード72は、上述のように復元力が大きいためヘッドリフトに対して締付圧の低下が小さく安定したシール効果が期待できる反面、図14に示す結果からも明らかなように、ビード未圧縮量Th1が小さく締付圧増大効果を期待することはできない。
【0024】
そこで、発明者は、これらのテストピースTP1〜TP3を用いた環状ビードの復元力と未圧縮量の測定結果から、復元力が大きくなるビード幅およびビード高さの大きい環状ビードと、ビード未圧縮量が大きくなるビード幅およびビード高さの小さな環状ビードとを組み合わせて1つのビード形状とすれば、ヘッドリフトによって引き起こされる締付圧の低下をビード幅およびビード高さの大きい環状ビードの復元力によって補うと同時に、高圧燃焼ガスに対するシール性をビード幅およびビード高さの小さい環状ビードの締付圧増大効果によって補うことができるとの考察に基づき、ビード幅およびビード高さの大きい第1のビード部分の頂点部に、第1のビード部分に対してビード幅およびビード高さの小さい第2のビード部分を第1のビード部分の立ち上がり方向とは逆方向に突出させたビード構造を想到し本発明に至ったのである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の金属ガスケットにあっては、復元力および未圧縮量の異なる2種のビード部分で環状ビードを構成し、この環状ビードの構造により、金属ガスケットがシリンダーブロックとシリンダーヘットの各デッキ面の間に介挿されて締付けボルトで締め付けられると、ビード幅およびビード高さの大きい第1ビード部分が大きな復元力をもってヘッドリフト現象によって引き起こされる締付圧の低下を補い、ビード幅およびビード高さの小さい第2ビード部分が従来の段差式金属ガスケットにおける段差効果に相当する大きなビード未圧縮量を生じ、この生じたビード未圧縮量分、締付けボルトの軸力がガスケット基板の環状ビードに押圧荷重として集中的に作用し、環状ビードにシリンダーボア内の燃焼ガスに対する高いシール性を生じさせる。
【0026】
しかも本発明の金属ガスケットにあっては、板厚差(段差)を有する副板が不要なため、環状ビードを含む全てのビードの成形をプレス加工のみで行うことができ、高価なレーザー溶接機や突き合せ溶接用の精密な金型の使用を不要とし、また化学処理によるエッチングにおける煩雑な品質管理や環境対策等の問題も払拭できるため安価に製作でき、しかも生産効率の向上も図ることができる。
【0027】
なお、本発明の金属ガスケットにおいて、環状ビードの第1ビード部分と第2ビード部分の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とした場合には、ヘッドリフト現象に起因したビードクラックの発生を確実に防止することができ、長期的に安定したシール性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にしたがう第1の実施形態の金属ガスケットの平面図である。
【図2】(a)は図1中のX−X線に沿う断面図であり、(b)は図2(a)の部分拡大図である。
【図3】本発明を適用した金属ガスケットにおいてボルト締付軸力と締付圧との関係を、参考例とともに表示したグラフである。
【図4】本発明にしたがう第2の実施形態の金属ガスケットを、図2(a)と同様の断面で示した断面図である。
【図5】本発明にしたがう金属ガスケットの他の変形例を、図2(a)と同様の断面で示した断面図である。
【図6】ガスケット基板を積層してなる積層タイプの金属ガスケットの平面図である。
【図7】図6中のY−Y線に沿う断面図である。
【図8】積層タイプの金属ガスケットの変形例を、図7と同様の断面で示した断面図である。
【図9】2枚のガスケット基板の間に段差を有する副板を介挿してなる段差式の金属ガスケットを、図7と同様の断面で示した断面図である。
【図10】参考例の金属ガスケットにおいてボルト締付軸力と締付圧との関係を表示したグラフである。
【図11】(a)〜(c)はそれぞれ、副板の段差構造の成形手法を説明した断面図である。
【図12】(a)は本発明の研究過程で使用したテストピースの平面図であり、(b)は図12(a)のテストピースの環状ビードの半径方向に沿った断面図である。
【図13】(a)はテストピースTP1の環状ビードを示す断面図であり、(b)はテストピースTP2の環状ビードを示す断面図であり、(c)はテストピースTP3の環状ビードを示す断面図である。
【図14】テストピースTP1〜TP3においてテストピース押圧荷重をビード復元力との関係を表示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0030】
図1および図2に示す第1の実施形態の高圧燃焼ガスシール用の金属ガスケット(以下、単に「金属ガスケット」という。)1は、それぞれ外側面(シリンダーブロックおよびシリンダーヘッドに対向する面)の片面または両面に厚さ0.025mmのNBRからなるラバー層が形成された鋼板(例えばSUS301-H-CSP 0.2t)からなり互いに重ね合わされる2枚のガスケット基板2を具えている。2枚のガスケット基板2は、それぞれの後述する環状ビードの第1ビード部分が互いに対向する向きで重ね合わされるとともにかしめ部4を介して互いに接合されている。
【0031】
2枚のガスケット基板2はそれぞれ、図1に示すように、内燃機関のシリンダーブロックのシリンダーボアにそれぞれ対応して形成された少なくとも1つ(ここでは3つ)のシリンダー孔6と、上記内燃機関のシリンダーブロックの冷却水ジャケットおよびシリンダーヘッドの冷却水孔に対応してシリンダー孔6の周りに形成された複数の冷却水孔8と、シリンダーブロックにシリンダーヘッドを締結するための締付けボルト(図示省略)を挿通させるボルト孔10と、潤滑油孔12とを開口し、さらに、各シリンダー孔6の周りに沿って配置された環状ビード14と、潤滑油孔12の周りを囲繞するいわゆるハーフビードで構成される潤滑油孔用ビード16と、潤滑油用ビード16を囲繞せずに環状ビード14および冷却水孔8を全体的に囲繞する位置に形成された外周ビード18とを有している。
【0032】
ここで、外周ビード18は、図2に示すように、一箇所の傾斜部からなるいわゆるハーフビードで構成されている。一方、環状ビード14は、ガスケット基板2の、シリンダー孔6の半径方向に離間した位置から互いに近づく方向にそれぞれ立ち上がりその先端部分が相互に離間する一対の傾斜壁20a,20bからなる、ガスケット締付け時に圧縮される第1ビード部分20と、前記傾斜壁20a,20bの先端部分から傾斜壁20a,20bの立ち上がり方向とは逆側に突出する、ガスケット締付け時に第1ビード部分20とともに圧縮される断面谷状の第2ビード部分21とを有して構成されている。環状ビード14はまた、第1ビード部分20の高さをFh1とし、第2ビード部分21の高さをFh2とし、環状ビード14の幅(半径方向に沿って計測した距離)の半値をW1とし、第2ビード部分21の幅(半径方向に沿って計測した距離)をW2としたとき、Fh1>Fh2、かつ、W1>W2を満たす形状に形成されている。
【0033】
なお、この第1実施形態の金属ガスケット1においては例えば、ガスケット基板2は、板厚0.25〜0.20mmのステンレス鋼板(バネ材)にて形成し、環状ビードの幅W1は1.75〜1.10mmとし、環状ビードの第1ビード部分20は、ビード高さFh1を0.35〜0.10mmとし、第2ビード部分21は、ビード高さFh2を0.10〜0・01mm、ビード幅W2を1.3〜0.6mmとし、また、環状ビード14の第1ビード部分20と第2ビード部分21の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とし、環状ビードの幅の半値W1と第2ビード部分の幅W2との比率(W2/W1)を0.73〜0.55の範囲内とすることが、ビードクラックを防止しつつも所望の締付圧(シール性能)を実現する上で好ましい。ビードクラックとは、ヘッドリフト現象に起因して発生する環状ビードの繰り返し変形により、環状ビードの応力集中箇所が疲労により破壊する現象である。
【0034】
かかる第1実施形態の金属ガスケット1にあっては、復元力および未圧縮量の異なる2種のビード部分20,21で環状ビード14を構成し、この環状ビード14の構造により、金属ガスケット1がシリンダーブロックとシリンダーヘットの各デッキ面の間に介挿されて締付けボルトで締め付けられると、ビード幅およびビード高さの大きい第1ビード部分20が大きな復元力をもってヘッドリフト現象によって引き起こされる締付圧の低下を補い、ビード幅およびビード高さの小さい第2ビード部分21が従来の段差式金属ガスケットにおける段差効果に相当する大きなビード未圧縮量を生じ、この生じたビード未圧縮量分、締付けボルトの軸力がガスケット基板2の環状ビード14に押圧荷重として集中的に作用し、環状ビード14にシリンダーボア内の燃焼ガスに対する高いシール性を生じさせる。また、締付けボルトの軸力が押圧荷重として外周ビード18にも作用し、外周ビード18に冷却水ジャケット内の冷却水に対するシール性を生じさせる。
【0035】
しかも、この第1実施形態の金属ガスケット1にあっては、板厚差(段差)を有する副板が不要なため、環状ビード14を含む全てのビード14,16,18の成形をプレス加工のみで行うことができ、高価なレーザー溶接機や突き合せ溶接用の精密な金型の使用を不要とし、また化学処理によるエッチングにおける煩雑な品質管理や環境対策等の問題も払拭できるため安価に製作でき、しかも生産効率の向上も図ることができる。
【0036】
なお、第1実施形態の金属ガスケット1では、環状ビード14の第1ビード部分20と第2ビード部分21の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とすることで、ヘッドリフト現象に起因したビードクラックの発生を確実に防止することができ、長期的に安定したシール性能を維持することができる。
【0037】
以下の表1および図3は、例として、上記第1実施形態の金属ガスケット1の構成を有し環状ビード14における第1ビード部分20および第2ビード部分21のビード高さを変化させた種々の金属ガスケット(実施例1〜9の金属ガスケット)について、締付圧およびビードクラックの発生有無を対比して示すものであり、ここにおける締付圧は、各種金属ガスケットを実機エンジンに組み付けて測定し、ビードクラックの発生有無の調査は、振動試験機を用い、振動試験機の最大押圧荷重を5000kg(実機エンジンの締付圧相当)に設定した後、107回振動させ、環状ビードへのビードクラックの有無を目視により行う。なお、図3においては比較のため、図10で示した参考例3〜6の段差式金属ガスケットの締付圧の結果も併せて表示している。
【0038】
【表1】

【0039】
この表1および図3からも、本発明の適用により高圧燃焼ガスのシールに必要な高い締付圧(A(kg/mm))が得られ、しかも第1ビード部分と第2ビード部分の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とすることでビードクラックの発生を防止することができることが分かる。
【0040】
図4は、本発明の第2の実施形態の金属ガスケットの、図1と同様の位置での断面図であり、この第2実施形態の金属ガスケットは、図1および図2で示した構成になるガスケット基板2を、隣接するガスケット基板2間にてそれぞれの環状ビード14の第1ビード部分20の突出方向が相互に異なる向きで3枚具える点のみが先の第1実施形態と異なっており、それ以外は第1実施形態と同一の構成とされている。すなわち、外側の2枚のガスケット基板2は、環状ビード14の第1ビード部分20の突出方向が相互に一致する向きに配置されるとともに、下側(図4において下側)のガスケット基板2と中間に位置するガスケット基板2とは、それぞれの環状ビード14の第1ビード部分20が互いに対向する向きで配置されている。この第2実施形態によれば、環状ビード14が三重となるとで、先の第1実施形態よりも高いシール性能を得ることができる。
【0041】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、例えば、ガスケット基板は、図5に示すように1枚のみであってもよく、このような単板構造の金属ガスケットは、発電機や耕運機のような汎用エンジンおよびモーターサイクルエンジンに好適に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
かくして本発明により、安価でかつシール性能の高い金属ガスケットを提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0043】
1 金属ガスケット
2 ガスケット基板
6 シリンダー孔
8 冷却水孔
14 環状ビード
16 潤滑油孔用ビード
18 外周ビード
18a 傾斜部
20 第1ビード部分
20a,20b 傾斜壁
21 第2ビード部分
Fh1 第1ビード部分の高さ
Fh2 第2ビード部分の高さ
W1 環状ビードの幅の半値
W2 第2ビード部分の幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関を構成するシリンダーヘッドとシリンダーブロックとの接合面に介装して、燃焼ガス、冷却水、潤滑油等の流体のリークを防止する金属ガスケットに関し、特にシリンダー孔周りにおける高圧燃焼ガスのリークを防止するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、金属ガスケットには、シリンダーブロックにシリンダーヘッドを締結するための締付けボルトの締結力により圧縮されて弾性変形し、それらのデッキ面上にシール線を形成してシール作用を奏するビードが形成されており、この種の金属ガスケットとしては従来、シリンダーボア内の高圧燃焼ガスが、隣り合うシリンダー内や冷却水孔内へリークして、エンジン出力が低下したり、オーバーヒート等の不具合が生じたり、不完全燃焼ガスにより排ガス浄化作用の機能が低下したりするのを防止するため、図6および図7に示すように、鋼板(例えばSUS301-H 0.2t)の表面に、0.025mm程度ラバーを片面ないし両面コーティングしたガスケット基板50に、断面山形形状のフルビード52をシリンダー孔54の周囲に各々配置し、冷却水、潤滑油等の流体のリークを防止するために、オイル孔56の周囲を各々ハーフビード58で囲繞し、かつ、冷却水孔60のシール用のハーフビード62は、オイル孔用のハーフビード58を囲繞せずに、シリンダー孔54の周囲に配置された各々のフルビード52全体を囲繞してなるものが知られている。図8は上記ガスケット基板50を3枚重ね合わせてなる3層構造の金属ガスケットである。
【0003】
ガスケット基板内に、フルビードおよびハーフビードをシールの目的別に配置する理由は、フルビードとハーフビードとで締付けボルトによる締結力に対する復元力に違いがあるからであり、すなわち、シリンダー内の高圧燃焼ガスは、その燃焼ガス圧が60〜100kg/cm2に達することから、比較的復元力の大きいフルビードをシリンダー孔の周囲に配置してそのフルビードの復元力で大きな締付圧を得ることにより高圧燃焼ガスをシールし、一方、冷却水、潤滑油等の流体圧は、その圧力が3〜6kg/cm2程度であることから、フルビードより復元力の小さいハーフビードで充分シールすることができるからである。
【0004】
しかしながら、近時、エンジンの高出力化に伴い燃焼ガスも高圧化していることから、ガスケットのシール性能も、より高いものが要望されており、図6〜8に示したような単なる積層タイプの金属ガスケットでは、高圧化した燃焼ガスシールに対応できないことが多かった。というのは、特に高出力の内燃機関では、シリンダーヘッドとシリンダーブロックとを締付けボルトで締付けていたとしても、その出力発生時に燃焼ガスの圧力によってシリンダーヘッドが上に浮き上がるヘッドリフト現象が大きくなり、このヘッドリフト現象により、シリンダーヘッドとシリンダーブロック間に介挿されたガスケットの締付圧が低下し、シリンダー内の燃焼ガスに対するシール性が低下するからである。
【0005】
上述の問題であるエンジン高出力化に伴うガスケットの締付圧不足に対応する金属ガスケットとしては、図9に示すように、前述のガスケット基板の間に、厚板部T1と薄板部T2とにより板厚差(段差)が形成された副板64を、その厚板部T1にガスケット基板50のフルビード52の全体が位置するように介挿し、ガスケット基板50の各シリンダー孔54の周囲のフルビード52の締付圧を上昇させることで、シリンダー内の燃焼ガスに対するシール性能を向上させたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
なお、参考として、図6〜8に示した積層タイプの金属ガスケットと、図9に示した対向する2枚のガスケット基板の間に副板を介挿させてなる金属ガスケット(以下、段差式金属ガスケットともいう。)とを試作し、それぞれの金属ガスケットについてシリンダー孔周りの締付圧を測定したのでその結果を図10に示す。ここに参考例1は2層構造の金属ガスケット(図6および図7参照)であり、参考例2は3層構造の金属ガスケット(図8参照)であり、参考例3〜6は段差式金属ガスケット(図9参照)である。ここに、参考例3における板厚差(厚板部T1と薄板部T2の差であり、以下、段差量ともいう。)は0.03mmであり、参考例4における板厚差は0.05mmであり、参考例5における板厚差は0.08mmであり、参考例6における板厚差は0.10mmである。図10に示す結果から、副板を有していない単なる積層タイプである参考例1、2の金属ガスケットでは、締付けボルトの軸力を高めても高圧燃焼ガスのシールに必要な締付圧A(kg/mm)に到達せず、高圧燃焼ガスに対する十分なシール性能が得られないことが分かる。なお、この試験は、上記ヘッドリフト現象の発生時の締付圧を測定したもので、詳細には、金属ガスケットをエンジンに組み込み、締付けボルトにより規定軸力で締付け、その後、当該エンジンの燃焼時最大ガス圧力(kg/cm2)に相当するN2ガスをシリンダー内に充填し、強制的にヘッドリフトを発生させ、そのヘッドリフト発生後のシリンダー孔周りの締付圧を測定してフルビードが保持する締付圧としたものである。
【0007】
ところで、前記副板64の段差構造としては従来、例えば図11(a)に示すように、それぞれ金属板からなる2枚のガスケット基板50の間に介挿される副板64の、ガスケット基板50の各シリンダー孔54の周囲のフルビード52と重なるシリンダー孔周辺部(厚板部T1)とそれより外側に位置する外方部(薄板部T2)とを互いに異なる板厚の薄金属板64a,64bで構成して所要の板厚差となるようにし、それら薄金属板64a,64b同士をレーザー溶接で接合した段差構造が知られている(特許文献1参照。)。なお、図中符号Ywはレーザー溶接部を示す。
【0008】
また、例えば図11(b)に示すように、それぞれ金属板からなる2枚のガスケット基板50の間に介挿される単一板厚の薄金属板からなる副板64の、ガスケット基板50の各シリンダー孔54の周囲のフルビード52と重なるシリンダー孔周辺部にこれも薄金属板からなるシム板66を重ねて所要の段差になるようにし、それら副板64とシム板66とをレーザー溶接で結合した段差構造も知られている。
【0009】
さらに、例えば図11(c)に示すように、それぞれ金属板からなる2枚のガスケット基板50の間に介挿される単一板厚の金属板からなる副板64の上記外方部をエッチング加工により薄肉に形成してシリンダー孔周辺部(厚板部T1)と外方部(薄板部T2)との間に所要の段差が形成されるようにした段差構造も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−243531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図11(a)に示した従来の段差構造では、厚さの異なる2枚の金属板64a,64bを用いてシリンダー孔周辺部(厚板部T1)と外方部(薄板部T2)との間に段差を形成するため、微小な単位(0.01mm単位)で段差を設定することが可能であるものの、厚い金属板64aと薄い金属板64bの位置を合わせるための高精度の位置合わせ治具と高価なレーザー溶接機が不可欠となり、また厚い金属板64aおよび薄い金属板64bをブランキングするために精密な寸法精度を有するブランキング用金型が別途必要となり、ガスケットが高価なものになってしまうという問題があった。
【0012】
また、図11(b)に示した従来の段差構造では、シム66板の板厚が段差量となり、工業的に流通している薄鋼板の板厚が現状では0.05mm区切りであるため、0.01mm単位での高精度な段差量の設定ができず、また、0.1mm以下の薄板ではレーザー溶接による歪みや変形、浮きの発生で段差機能の確保が困難となり、しかも、図11(a)で示した段差構造と同様、専用の位置合わせ治具と高精度のレーザー溶接機が不可欠となり、ガスケットが高価なものになってしまうという問題があった。
【0013】
そして、図11(c)に示した段差構造では、金属板にエッチングを施しているので、5μm単位での高精度の段差量の設定は可能であるが、エッチングは化学処理であり、エッチング後の廃液処理にかかる環境負荷、コストが高いという問題があった。
【0014】
なお、上述した手法の以外にも副板に段差を形成する手法としては、溶射、メッキ、研削、プレス等が挙げられるが、溶射やメッキ、あるいは研削による方法は製造時間、製造工程が煩雑でありコスト上不利なことは否めない。
【0015】
それゆえ、本発明は、上記課題を解決して安価でかつシール性能の高い金属ガスケットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の金属ガスケットは、内燃機関のシリンダーブロックのシリンダーボアに対応する位置に形成されたシリンダー孔を開口し、前記シリンダー孔の周りに沿って形成された環状ビードを有する少なくとも1枚の金属製のガスケット基板を具える高圧燃焼ガスシール用の金属ガスケットにおいて、前記環状ビードは、ガスケット基板からそれぞれ立ち上がりその先端部分が相互に離間する一対の傾斜壁からなる第1ビード部分と、前記一対の傾斜壁の先端部分から該傾斜壁の立ち上がり方向とは逆側に突出する断面谷状の第2ビード部分とを有し、前記第1ビード部分の高さをFh1とし、前記第2ビード部分の高さをFh2とし、前記環状ビードの幅の半値をW1とし、前記第2ビード部分の幅をW2としたとき、Fh1>Fh2、かつ、W1>W2を満たすことを特徴とするものである。
【0017】
なお、本発明の金属ガスケットにあっては、前記第1ビード部分と前記第2ビード部分の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明の金属ガスケットにあっては、前記ガスケット基板を、それぞれの前記環状ビードの第1ビード部分同士が互いに対向する向きで2枚具えることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の金属ガスケットにあっては、前記ガスケット基板を、隣接するガスケット基板間にてそれぞれの前記環状ビードの第1ビード部分の突出方向が相互に異なる向きで3枚具えることが好ましい。
【0020】
以下、上記構成を採用するに至った経緯を作用とともに説明する。発明者は先ず、段差を持つ副板を使用せずに断面山形形状のフルビードのみで目標とする締付圧を実現可能か否か見極めるために、フルビードのビード幅とビード高さを3段階に変化させて復元特性(復元力)を調査した。具体的には、図12(a),(b)に示すように、ガスケット基板に使用される金属材料と同等のバネ用ステンレス鋼帯(SUS301-H-CSP t0.2)からなり、孔(直径87mm)70の周りに断面山形形状のフルビードで構成される環状ビード72が形成されたテストピースTPを3種類(TP1〜TP3)製作し、各テストピースTP1〜TP3を押圧治具Jに挟み込んで環状ビード72の復元特性を調査した。なお、テストピースTP1〜TP3おける環状ビード72のビード幅Hおよびビード高さWの大きさは、図13に示すように、テストピースTP1>テストピースTP2>テストピース3となるように設定し、かつ、各テストピースTP1〜TP3におけるビード幅Hとビード高さWの関係H/W比はいずれも0.10となるように設定した。その結果、図14のグラフに示すように、ビード幅Wが広いテストピースTP1は、環状ビード72が圧縮され易く復元力R1も大きいが、テストピースTP1に比べてビード幅Wが狭いテストピースTP2,TP3は、復元力R2,R3が小さいことがわかった。この復元力が小さいということは、エンジン燃焼時のヘッドリフト現象により、環状ビードの締付け圧荷重低下が大きいことを意味し、したがって、テストピースTP2,TP3の環状ビード72は、高圧燃焼ガスのシールには不向きであるとの見解になる。
【0021】
しかしながら発明者は、上記復元力測定試験において、テストピースTP1〜TP3を押圧治具Jに挟む際に、テストピースTP1〜TP3の内径側に、図12(a),(b)に示すようにヒューズ線Fを4箇所配置してから押圧治具Jで挟み込み、ビード圧縮時の「環状ビードの未圧縮高さ(量)」も併せて測定したため一つの方向性を見出すことができた。すなわち、ヒューズ線Fを用いて測定した「未圧縮高さ(量)」とは、「5000kg荷重時のヒューズ線高さ」から「ガスケット総板厚」を引き算して得られ、5000kg荷重時における環状ビード72の未圧縮状態を表しているものであるから、この環状ビード72の未圧縮高さ(量)は、上記段差式金属ガスケットの副板における板厚差(段差)の量に相当すると考えることができる。
【0022】
各テストピースTP1,TP2,TP3における環状ビード72の未圧縮高さTh1,Th2,Th3は図14に示すとおりであり、環状ビードの未圧縮量の結果から、ビードの圧縮性が良好であるテストピースTP1の環状ビード72を除き、テストピースTP2,TP3の環状ビード72はともに、ガスケット締付時の締付圧の増大に有利に働く効果(段差式金属ガスケットにおける板厚差(段差)の効果に相当する効果であり、以下、単に「締付圧増大効果」ともいう。)を潜在的有していると推測される。
【0023】
一方、ビード幅の最も大きいテストピースTP1の環状ビード72は、上述のように復元力が大きいためヘッドリフトに対して締付圧の低下が小さく安定したシール効果が期待できる反面、図14に示す結果からも明らかなように、ビード未圧縮量Th1が小さく締付圧増大効果を期待することはできない。
【0024】
そこで、発明者は、これらのテストピースTP1〜TP3を用いた環状ビードの復元力と未圧縮量の測定結果から、復元力が大きくなるビード幅およびビード高さの大きい環状ビードと、ビード未圧縮量が大きくなるビード幅およびビード高さの小さな環状ビードとを組み合わせて1つのビード形状とすれば、ヘッドリフトによって引き起こされる締付圧の低下をビード幅およびビード高さの大きい環状ビードの復元力によって補うと同時に、高圧燃焼ガスに対するシール性をビード幅およびビード高さの小さい環状ビードの締付圧増大効果によって補うことができるとの考察に基づき、ビード幅およびビード高さの大きい第1のビード部分の頂点部に、第1のビード部分に対してビード幅およびビード高さの小さい第2のビード部分を第1のビード部分の立ち上がり方向とは逆方向に突出させたビード構造を想到し本発明に至ったのである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の金属ガスケットにあっては、復元力および未圧縮量の異なる2種のビード部分で環状ビードを構成し、この環状ビードの構造により、金属ガスケットがシリンダーブロックとシリンダーヘットの各デッキ面の間に介挿されて締付けボルトで締め付けられると、ビード幅およびビード高さの大きい第1ビード部分が大きな復元力をもってヘッドリフト現象によって引き起こされる締付圧の低下を補い、ビード幅およびビード高さの小さい第2ビード部分が従来の段差式金属ガスケットにおける段差効果に相当する大きなビード未圧縮量を生じ、この生じたビード未圧縮量分、締付けボルトの軸力がガスケット基板の環状ビードに押圧荷重として集中的に作用し、環状ビードにシリンダーボア内の燃焼ガスに対する高いシール性を生じさせる。
【0026】
しかも本発明の金属ガスケットにあっては、板厚差(段差)を有する副板が不要なため、環状ビードを含む全てのビードの成形をプレス加工のみで行うことができ、高価なレーザー溶接機や突き合せ溶接用の精密な金型の使用を不要とし、また化学処理によるエッチングにおける煩雑な品質管理や環境対策等の問題も払拭できるため安価に製作でき、しかも生産効率の向上も図ることができる。
【0027】
なお、本発明の金属ガスケットにおいて、環状ビードの第1ビード部分と第2ビード部分の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とした場合には、ヘッドリフト現象に起因したビードクラックの発生を確実に防止することができ、長期的に安定したシール性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にしたがう第1の実施形態の金属ガスケットの平面図である。
【図2】(a)は図1中のX−X線に沿う断面図であり、(b)は図2(a)の部分拡大図である。
【図3】本発明を適用した金属ガスケットにおいてボルト締付軸力と締付圧との関係を、参考例とともに表示したグラフである。
【図4】本発明にしたがう第2の実施形態の金属ガスケットを、図2(a)と同様の断面で示した断面図である。
【図5】本発明にしたがう金属ガスケットの他の変形例を、図2(a)と同様の断面で示した断面図である。
【図6】ガスケット基板を積層してなる積層タイプの金属ガスケットの平面図である。
【図7】図6中のY−Y線に沿う断面図である。
【図8】積層タイプの金属ガスケットの変形例を、図7と同様の断面で示した断面図である。
【図9】2枚のガスケット基板の間に段差を有する副板を介挿してなる段差式の金属ガスケットを、図7と同様の断面で示した断面図である。
【図10】参考例の金属ガスケットにおいてボルト締付軸力と締付圧との関係を表示したグラフである。
【図11】(a)〜(c)はそれぞれ、副板の段差構造の成形手法を説明した断面図である。
【図12】(a)は本発明の研究過程で使用したテストピースの平面図であり、(b)は図12(a)のテストピースの環状ビードの半径方向に沿った断面図である。
【図13】(a)はテストピースTP1の環状ビードを示す断面図であり、(b)はテストピースTP2の環状ビードを示す断面図であり、(c)はテストピースTP3の環状ビードを示す断面図である。
【図14】テストピースTP1〜TP3においてテストピース押圧荷重をビード復元力との関係を表示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0030】
図1および図2に示す第1の実施形態の高圧燃焼ガスシール用の金属ガスケット(以下、単に「金属ガスケット」という。)1は、それぞれ外側面(シリンダーブロックおよびシリンダーヘッドに対向する面)の片面または両面に厚さ0.025mmのNBRからなるラバー層が形成された鋼板(例えばSUS301-H-CSP 0.2t)からなり互いに重ね合わされる2枚のガスケット基板2を具えている。2枚のガスケット基板2は、それぞれの後述する環状ビードの第1ビード部分が互いに対向する向きで重ね合わされるとともにかしめ部4を介して互いに接合されている。
【0031】
2枚のガスケット基板2はそれぞれ、図1に示すように、内燃機関のシリンダーブロックのシリンダーボアにそれぞれ対応して形成された少なくとも1つ(ここでは3つ)のシリンダー孔6と、上記内燃機関のシリンダーブロックの冷却水ジャケットおよびシリンダーヘッドの冷却水孔に対応してシリンダー孔6の周りに形成された複数の冷却水孔8と、シリンダーブロックにシリンダーヘッドを締結するための締付けボルト(図示省略)を挿通させるボルト孔10と、潤滑油孔12とを開口し、さらに、各シリンダー孔6の周りに沿って配置された環状ビード14と、潤滑油孔12の周りを囲繞するいわゆるハーフビードで構成される潤滑油孔用ビード16と、潤滑油用ビード16を囲繞せずに環状ビード14および冷却水孔8を全体的に囲繞する位置に形成された外周ビード18とを有している。
【0032】
ここで、外周ビード18は、図2に示すように、一箇所の傾斜部からなるいわゆるハーフビードで構成されている。一方、環状ビード14は、ガスケット基板2の、シリンダー孔6の半径方向に離間した位置から互いに近づく方向にそれぞれ立ち上がりその先端部分が相互に離間する一対の傾斜壁20a,20bからなる、ガスケット締付け時に圧縮される第1ビード部分20と、前記傾斜壁20a,20bの先端部分から傾斜壁20a,20bの立ち上がり方向とは逆側に突出する、ガスケット締付け時に第1ビード部分20とともに圧縮される断面谷状の第2ビード部分21とを有して構成されている。環状ビード14はまた、第1ビード部分20の高さをFh1とし、第2ビード部分21の高さをFh2とし、環状ビード14の幅(半径方向に沿って計測した距離)の半値をW1とし、第2ビード部分21の幅(半径方向に沿って計測した距離)をW2としたとき、Fh1>Fh2、かつ、W1>W2を満たす形状に形成されている。
【0033】
なお、この第1実施形態の金属ガスケット1においては例えば、ガスケット基板2は、板厚0.25〜0.20mmのステンレス鋼板(バネ材)にて形成し、環状ビードの幅W1は1.75〜1.10mmとし、環状ビードの第1ビード部分20は、ビード高さFh1を0.35〜0.10mmとし、第2ビード部分21は、ビード高さFh2を0.10〜0・01mm、ビード幅W2を1.3〜0.6mmとし、また、環状ビード14の第1ビード部分20と第2ビード部分21の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とし、環状ビードの幅の半値W1と第2ビード部分の幅W2との比率(W2/W1)を0.73〜0.55の範囲内とすることが、ビードクラックを防止しつつも所望の締付圧(シール性能)を実現する上で好ましい。ビードクラックとは、ヘッドリフト現象に起因して発生する環状ビードの繰り返し変形により、環状ビードの応力集中箇所が疲労により破壊する現象である。
【0034】
かかる第1実施形態の金属ガスケット1にあっては、復元力および未圧縮量の異なる2種のビード部分20,21で環状ビード14を構成し、この環状ビード14の構造により、金属ガスケット1がシリンダーブロックとシリンダーヘットの各デッキ面の間に介挿されて締付けボルトで締め付けられると、ビード幅およびビード高さの大きい第1ビード部分20が大きな復元力をもってヘッドリフト現象によって引き起こされる締付圧の低下を補い、ビード幅およびビード高さの小さい第2ビード部分21が従来の段差式金属ガスケットにおける段差効果に相当する大きなビード未圧縮量を生じ、この生じたビード未圧縮量分、締付けボルトの軸力がガスケット基板2の環状ビード14に押圧荷重として集中的に作用し、環状ビード14にシリンダーボア内の燃焼ガスに対する高いシール性を生じさせる。また、締付けボルトの軸力が押圧荷重として外周ビード18にも作用し、外周ビード18に冷却水ジャケット内の冷却水に対するシール性を生じさせる。
【0035】
しかも、この第1実施形態の金属ガスケット1にあっては、板厚差(段差)を有する副板が不要なため、環状ビード14を含む全てのビード14,16,18の成形をプレス加工のみで行うことができ、高価なレーザー溶接機や突き合せ溶接用の精密な金型の使用を不要とし、また化学処理によるエッチングにおける煩雑な品質管理や環境対策等の問題も払拭できるため安価に製作でき、しかも生産効率の向上も図ることができる。
【0036】
なお、第1実施形態の金属ガスケット1では、環状ビード14の第1ビード部分20と第2ビード部分21の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とすることで、ヘッドリフト現象に起因したビードクラックの発生を確実に防止することができ、長期的に安定したシール性能を維持することができる。
【0037】
以下の表1および図3は、例として、上記第1実施形態の金属ガスケット1の構成を有し環状ビード14における第1ビード部分20および第2ビード部分21のビード高さを変化させた種々の金属ガスケット(実施例1〜9の金属ガスケット)について、締付圧およびビードクラックの発生有無を対比して示すものであり、ここにおける締付圧は、各種金属ガスケットを実機エンジンに組み付けて測定し、ビードクラックの発生有無の調査は、振動試験機を用い、振動試験機の最大押圧荷重を5000kg(実機エンジンの締付圧相当)に設定した後、107回振動させ、環状ビードへのビードクラックの有無を目視により行う。なお、図3においては比較のため、図10で示した参考例3〜6の段差式金属ガスケットの締付圧の結果も併せて表示している。
【0038】
【表1】

【0039】
この表1および図3からも、本発明の適用により高圧燃焼ガスのシールに必要な高い締付圧(A(kg/mm))が得られ、しかも第1ビード部分と第2ビード部分の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とすることでビードクラックの発生を防止することができることが分かる。
【0040】
図4は、本発明の第2の実施形態の金属ガスケットの、図1と同様の位置での断面図であり、この第2実施形態の金属ガスケットは、図1および図2で示した構成になるガスケット基板2を、隣接するガスケット基板2間にてそれぞれの環状ビード14の第1ビード部分20の突出方向が相互に異なる向きで3枚具える点のみが先の第1実施形態と異なっており、それ以外は第1実施形態と同一の構成とされている。すなわち、外側の2枚のガスケット基板2は、環状ビード14の第1ビード部分20の突出方向が相互に一致する向きに配置されるとともに、下側(図4において下側)のガスケット基板2と中間に位置するガスケット基板2とは、それぞれの環状ビード14の第1ビード部分20が互いに対向する向きで配置されている。この第2実施形態によれば、環状ビード14が三重となるとで、先の第1実施形態よりも高いシール性能を得ることができる。
【0041】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、例えば、ガスケット基板は、図5に示すように1枚のみであってもよく、このような単板構造の金属ガスケットは、発電機や耕運機のような汎用エンジンおよびモーターサイクルエンジンに好適に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
かくして本発明により、安価でかつシール性能の高い金属ガスケットを提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0043】
1 金属ガスケット
2 ガスケット基板
6 シリンダー孔
8 冷却水孔
14 環状ビード
16 潤滑油孔用ビード
18 外周ビード
18a 傾斜部
20 第1ビード部分
20a,20b 傾斜壁
21 第2ビード部分
Fh1 第1ビード部分の高さ
Fh2 第2ビード部分の高さ
W1 環状ビードの幅の半値
W2 第2ビード部分の幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダーブロックのシリンダーボアに対応する位置に形成されたシリンダー孔を開口し、前記シリンダー孔の周りに沿って形成された環状ビードを有する少なくとも1枚の金属製のガスケット基板を具える高圧燃焼ガスシール用の金属ガスケットにおいて、
前記環状ビードは、ガスケット基板からそれぞれ立ち上がりその先端部分が相互に離間する一対の傾斜壁からなる第1ビード部分と、前記一対の傾斜壁の先端部分から該傾斜壁の立ち上がり方向とは逆側に突出する断面谷状の第2ビード部分とを有し、
前記第1ビード部分の高さをFh1とし、前記第2ビード部分の高さをFh2とし、前記環状ビードの幅の半値をW1とし、前記第2ビード部分の幅をW2としたとき、Fh1>Fh2、かつ、W1>W2を満たすことを特徴とする金属ガスケット。
【請求項2】
前記第1ビード部分と前記第2ビード部分の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とした、請求項1に記載の金属ガスケット。
【請求項3】
前記ガスケット基板を、それぞれの前記環状ビードの第1ビード部分同士が互いに対向する向きで2枚具える、請求項1または2に記載の金属ガスケット。
【請求項4】
前記ガスケット基板を、隣接するガスケット基板間にてそれぞれの前記環状ビードの第1ビード部分の突出方向が相互に異なる向きで3枚具える、請求項1または2に記載の金属ガスケット。
【請求項1】
内燃機関のシリンダーブロックのシリンダーボアに対応する位置に形成されたシリンダー孔を開口し、前記シリンダー孔の周りに沿って形成された環状ビードを有する少なくとも1枚の金属製のガスケット基板を具える高圧燃焼ガスシール用の金属ガスケットにおいて、
前記環状ビードは、ガスケット基板からそれぞれ立ち上がりその先端部分が相互に離間する一対の傾斜壁からなる第1ビード部分と、前記一対の傾斜壁の先端部分から該傾斜壁の立ち上がり方向とは逆側に突出する断面谷状の第2ビード部分とを有し、
前記第1ビード部分の高さをFh1とし、前記第2ビード部分の高さをFh2とし、前記環状ビードの幅の半値をW1とし、前記第2ビード部分の幅をW2としたとき、Fh1>Fh2、かつ、W1>W2を満たすことを特徴とする金属ガスケット。
【請求項2】
前記第1ビード部分と前記第2ビード部分の高さの比率(Fh2/Fh1)を0.037〜0.37の範囲内とした、請求項1に記載の金属ガスケット。
【請求項3】
前記ガスケット基板を、それぞれの前記環状ビードの第1ビード部分同士が互いに対向する向きで2枚具える、請求項1または2に記載の金属ガスケット。
【請求項4】
前記ガスケット基板を、隣接するガスケット基板間にてそれぞれの前記環状ビードの第1ビード部分の突出方向が相互に異なる向きで3枚具える、請求項1または2に記載の金属ガスケット。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【公開番号】特開2012−246989(P2012−246989A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118507(P2011−118507)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000230423)日本リークレス工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000230423)日本リークレス工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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