金属キャスクの支持方法
【課題】架台にキャスクを起立させて保管するに際して、架台を大型化することなく、長期運用時や地震時においてもキャスクが転倒し難い支持方法を提供する。
【解決手段】両端に固定手段を有する支持アームを介して、架台上に起立させた金属キャスクを長期間に渡って支持する金属キャスクの支持方法であって、支持アームの一端を前記金属キャスクの重心位置よりも高い位置で前記金属キャスク側に固定すると共に、他端を前記金属キャスクの周囲に位置する構造体に固定することにより、金属キャスクを支持する金属キャスクの支持方法。金属キャスク側における固定は、専用治具を介した固定である。支持アームおよび専用治具は、取外し、交換が可能である。
【解決手段】両端に固定手段を有する支持アームを介して、架台上に起立させた金属キャスクを長期間に渡って支持する金属キャスクの支持方法であって、支持アームの一端を前記金属キャスクの重心位置よりも高い位置で前記金属キャスク側に固定すると共に、他端を前記金属キャスクの周囲に位置する構造体に固定することにより、金属キャスクを支持する金属キャスクの支持方法。金属キャスク側における固定は、専用治具を介した固定である。支持アームおよび専用治具は、取外し、交換が可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済燃料中間貯蔵施設における金属キャスクの支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済燃料中間貯蔵施設(以下、単に「施設」ともいう)においては、専用の金属容器(金属キャスク:以下、単に「キャスク」ともいう)に使用済み燃料が複数体封入された状態で保管される。
【0003】
このキャスクは、内部の使用済み燃料の健全性を長期にわたって維持する役割を担っており、これは通常時だけでなく運搬取扱い時や地震時(異常時)も同様である。そして施設内の貯蔵時には、キャスクを架台上に起立した状態で支持することでキャスクの貯蔵密度が高くなり、施設キャパシティを大きくすることができる。
【0004】
このようにキャスクを起立した状態で支持する方法としては、例えば、キャスク自身が有する下部トラニオンを利用する方法が提案されている(特許文献1)。また、キャスク下部側面をボルト固定する方法も提案されている(特許文献2)。
【0005】
さらに、輸送コンテナ内でのキャスクを保持するもの(特許文献3)や、貯蔵建屋での輸送時にキャスクを保持する方法(特許文献4)も提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に示された方法は、キャスクの支持位置がキャスク重心に比べて非常に低いため、架台を含めた全体の剛性が小さくなるという傾向がある。その結果、地震荷重が大きくなり、架台や支持部であるトラニオン等への発生応力も大きくなる恐れがある。
【0007】
そして、これらの方法を用いた場合、地震時においても架台が通常時と同じ起立状態でキャスクを支持するためには、架台を非常に大型化する必要がある。その結果、施設内の貯蔵密度が低下する恐れがある。
【0008】
一方、特許文献3に示された方法は輸送コンテナ内でのキャスク保持を前提とするものであり、特許文献4に示された方法は施設内の輸送時におけるキャスクの支持方法である。これらの方法は、いずれもキャスクの一時的な取扱いを考慮したものであり、長期運用時における取扱いや貯蔵について考慮したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−298588号公報
【特許文献2】特開2007−248186号公報
【特許文献3】特開2007−261611号公報
【特許文献4】特開2006−058106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑み、架台にキャスクを起立させて保管するに際して、架台を大型化することなく、長期運用時や地震時においてもキャスクが転倒し難い支持方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、鋭意検討の結果、以下に示す各請求項の発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、各請求項の発明を説明する。
【0012】
請求項1に記載の発明は、
両端に固定手段を有する支持アームを介して、架台上に起立させた金属キャスクを長期間に渡って支持する金属キャスクの支持方法であって、
前記支持アームの一端を前記金属キャスクの重心位置よりも高い位置で前記金属キャスク側に固定すると共に、他端を前記金属キャスクの周囲に位置する構造体に固定することにより、金属キャスクを支持することを特徴とする金属キャスクの支持方法である。
【0013】
本請求項の発明においては、キャスクを重心位置よりも高い位置で固定しているため、重心位置よりも低い下部で固定する従来の方法に比べ、剛性の高い固定が可能となる。そして、キャスクに与える地震荷重をより小さくすることができるため、長期貯蔵時のキャスク地震耐力を維持することができる。
【0014】
これを、構造物の固有振動数で比較した場合、キャスク規模の物体の固有振動数は、同じ固定条件であっても本発明のような上部固定状態では、下部固定状態に比べて5〜7倍程度大きくなっている。
【0015】
また、本請求項の発明においては、支持アームの一端を金属キャスクの周囲に位置する構造体に固定している。このような構造体としては、例えば、床、柱等の構造体を挙げることができ、建屋の状況や想定される地震動を考慮して、設備に合わせて柔軟に対応することができる。
【0016】
そして、本請求項の発明によれば、架台を大型化することなく、架台にキャスクを起立させて保管することができるため、中間貯蔵施設内のキャスク貯蔵密度を上げることが可能となり、架台自体も安価に製作することができる。
【0017】
支持アームのキャスク側における固定位置は、キャスクの重心位置よりも高い位置であれば特に限定されず、キャスク上部のみならず、胴部で固定しても良い。また、キャスク側における支持アームの固定対象は、キャスク本体であってもよいが、後述するように固定位置に専用治具を配し、この専用治具を介して固定してもよい。
【0018】
支持アームの材質や形状については、キャスクの固定に耐え得る限り特に限定されず、ワイヤー、バネ、ダンパ等を備えた構造体を使用することもできる。例えば、テンションベルトのように張力を調整することが可能な構造とすることにより、据付、メンテナンス等を容易にすることもできる。
【0019】
このように、本発明によれば、支持アームの一端を金属キャスクの重心位置よりも高い位置に固定した状態で貯蔵を行うため、架台を大型化することなく、より安定した固定状態を得ることができ、長期運用時や地震時においてもキャスクが転倒し難い支持方法を提供することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、
前記支持アームは、取外し、交換が可能であることを特徴とする請求項1に記載の金属キャスクの支持方法である。
【0021】
支持アームの取外し、交換が可能であるため、支持アーム数の増減が自由に行え、剛性の強化等、適正な剛性の確保に容易に対応することができる。また、支持アームのメンテナンスが容易となる。
【0022】
さらに、支持アームの取外し、交換が可能であるため、従来の一般的なキャスクの下部固定方法に支持アームによる固定を追加して併用することも容易にできる。このため、新規設備のみならず、既存設備に対してもこの支持方法を容易に適用することが可能となる。
【0023】
このように、支持アームの取外し、交換を可能として、支持箇所や支持点数の増設や変更を可能としたため、長期運用時にも、輸送時にも容易に適用可能な支持方法を提供することが可能となる。さらに、将来的な剛性の強化等にも柔軟に対応することが可能となる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、
前記金属キャスク側における固定は、専用治具を介した固定であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属キャスクの支持方法である。
【0025】
本請求項の発明においては、キャスクを直接固定するのではなく、専用治具を用いて固定しているため、固定箇所や固定位置の追加・変更が容易になり、状況に応じた支持方法を適宜、容易に選択することができる。
【0026】
なお、前記専用治具は、安定した固定を行うために、2箇所以上の固定部を備えていることが好ましい。
【0027】
請求項4に記載の発明は、
前記専用治具は、取外し、交換が可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の金属キャスクの支持方法である。
【0028】
専用治具の取外し、交換が可能であるため、様々なタイプのキャスクに容易に対応することが可能となる。また、専用治具のメンテナンスが容易となる。なお、取外し、交換された専用治具は、再使用することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、架台にキャスクを起立させて保管するに際して、架台を大型化することなく、長期運用時や地震時においてもキャスクが転倒し難い支持方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における第一のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における専用治具を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における他の専用治具を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態における第二のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態における第三のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態における第四のキャスクの支持方法を概念的に示す平面図ある。
【図8】本発明の実施の形態における第五のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態における第六のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態における第七のキャスクの支持方法を概念的に示す正面図である。
【図11】本発明の実施の形態における第八のキャスクの支持方法を概念的に示す正面図である。
【図12】本発明の実施の形態における第九のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0032】
1.従来のキャスクの支持方法
はじめに、従来のキャスクの支持方法を説明する。図1は、従来のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。図1のように、キャスクAは床に置かれた架台1の上に起立した状態で支持されている。図1において3aは、キャスク本体2の上側の蓋部A1に設けられた上部トラニオンであり、3bは、下側に設けられた下部トラニオンである。そして、従来は下部トラニオン3bにより架台1上に支持されて固定されていた。
【0033】
2.本発明におけるキャスクの支持方法
(1)本発明におけるキャスクの支持方法の基本的な構成
次に、本発明におけるキャスクの支持方法の基本的な構成を説明する。図2は、本発明のキャスク支持方法の一例を概念的に示す斜視図である。本例におけるキャスクAの支持方法は、図2のように支持アーム5を用いて架台1上に起立したキャスクAを支持するものである。支持アーム5の一端はキャスクA側に固定され(以下、この固定箇所を「支持A部」という)、支持アーム5の他端はキャスクAを起立させた架台1もしくは床Fに固定されている(以下、この固定箇所を「支持B部」という)。
【0034】
このとき、支持A部はキャスクAの重心より上部に設けられる。これにより、取り扱い時や地震時におけるキャスクAの転倒を支持架台1を大型化することなく効果的に防止することができる。図2に示した例では、キャスクAに設けられた上部トラニオン3aが支持A部となっている。
【0035】
(2)支持A部
図2の例では支持A部は、上部トラニオン3aに直接設けられているが、キャスクAの重心より上部に専用治具を取り付け、前記専用治具に設けられた被掛止部に支持A部を設けてもよい。
【0036】
専用治具は、キャスクAに取付け、取外し可能な構成にすることにより、メンテナンスが容易となり、同型の別のキャスクAへの再使用も容易に行うことができる他、支持A部の数や掛止方法の変更も容易に行うことができる。なお、専用治具としては、以下に記載するように、キャスクAの蓋部A1に取付けるタイプ、キャスク本体2に取付けるタイプなどがあり、いずれのタイプの専用治具を用いてもよい。以下、これらの専用治具について説明する。
【0037】
イ.キャスクの蓋部に取付けるタイプの専用治具
はじめに、キャスクの蓋部に取付けるタイプの専用治具について説明する。図3は本発明の他の実施の形態の専用治具6を模式的に示す斜視図であり、図4は本発明の他の一実施の形態の専用治具6を模式的に示す斜視図である。図3に示す専用治具6は、十字状の本体部61、本体部61の先端に設けられた支持A部となるリング状の被掛止部62、および本体部61に垂設された蓋部A1に掛止するための掛止片64とを有する。図4に示す専用治具6は、リング状の本体部61、本体部61の外周に設けられた支持A部となるリング状の被掛止部62、および本体部61に設けられた上部トラニオン3aが嵌り込む溝63とを有する。
【0038】
図3および図4に示した専用治具6は、キャスクAの蓋部A1に取付けられて用いられる。具体的な使用例を図4に示した専用治具6を用いて説明する。図5は、図4に示した専用治具6が蓋部A1に取付けられている状態を示す斜視図である。図5において、専用治具6のリング状の本体部61は、溝63にキャスクAの上部トラニオン3aが嵌まり込むように蓋部A1に嵌合されて取付けられている。そして、専用治具6と架台1は、4本の支持アーム5で連結することによってキャスクAがキャスク本体2を載せた架台1に支持されている。具体的には、専用治具6と架台1にはそれぞれ4個の被掛止部62および7が設けられており、支持アーム5のアーム本体51の両端に連結部として設けられた一方のフック5aが専用治具6の被掛止部62に掛止され、他方のフック5aが架台1の被掛止部7に掛止されることによって専用治具6と架台1が連結されている。なお、本体部61は蓋部A1の形状に応じて自在に設計変更が可能である。
【0039】
ロ.キャスク本体に取付けるタイプの専用治具
次に、キャスク本体に取付けるタイプの専用治具について説明する。図6は、ベルト状の専用治具8をキャスク本体2に取付けた状態を示す図である。専用治具8は、キャスク本体2の側面を拘束するベルト状の本体部81と、本体部81に設けられ支持A部となる被掛止部82とを有する。そして、本体部81はキャスク本体2の胴部の重心より上部に巻設して使用される。支持アーム5の両端にはフック5aが設けられており、一方のフック5aは支持A部となる被掛止部82に掛止し、他方のフック5aは支持B部となる床に設けられた被掛止部7に掛止することにより、キャスクAが支持される。
【0040】
(3)支持アーム
次に、支持アームについて説明する。支持アーム5は、基本的には図2に示すように、アーム本体51とアーム本体51を支持A部(図2の場合は上部トラニオン3aが支持A部に相当する)に固定する連結部52を有する。また、図2には示されていないが、アーム本体51を支持B部に固定する連結部が設けられていてもよい。
【0041】
支持アーム5は、キャスクAの支持に耐え得る形状、材質であればよく、構造材に限らず、例えばワイヤーやバネが設けられていてもよい。また、テンションベルトのように張力を調整することが可能な構造にしてもよい。
【0042】
連結部は、例えば図2に示したように上部トラニオン3aを嵌め込む構造や、図5に示したように被掛止部62および7に掛止するフックなどを挙げることができる。
【0043】
そして、アーム本体51をワイヤーやテンションベルト等で構成し、連結部として両端にフック5aを設けた構成とすることにより支持アーム5は支持A部、支持B部に対して容易に取付け、取外しが可能となり、据付、メンテナンス等を容易にすることができる。
【0044】
また、アーム本体51には、地震時におけるキャスクAの振動を減衰させる振動減衰機構として図2に示すように、ダンパ5dを設けてもよい。また、図5に示すように、アーム本体51の両端に設けたフック5aを被掛止部62と7に掛止後、レバー5bを操作することによりアーム本体51の張力を適切な張力に調節することができるように緊張装置5cからなる張力調整機構を設けてもよい。
【0045】
(4)支持B部
前記の通り、支持B部は、金属キャスクの周囲に位置する構造体に設けられる。具体的に設ける方法は複数の観点から分類される。支持B部の位置の観点からは、支持B部が架台に設けられる場合と、架台以外に設けられる場合と、両方に設けられる場合に分類される。また、支持B部に取付ける支持アームの本数の観点からは、1本の場合と複数本の場合に分類される。以下に、これらの主要な例について具体例を挙げて説明する。
【0046】
イ.支持B部を架台に設けた例
本例は、キャスクを架台に載せて移動させる場合に特に有効な例である。
a.支持B部1箇所に1本の支持アームを連結させた例
前記の通り、図5の場合、被掛止部7からなる支持B部が架台1の各辺に沿って4箇所設けられ、専用治具6にも4つの被掛止部62が設けられている。そして、専用治具6に設けた被掛止部62(支持A部)と架台1に設けた被掛止部7(支持B部)とを4本の支持アーム5でそれぞれ連結することによりキャスクAが支持される。このような支持B部1箇所に1本の支持アーム5が取付けられる支持方法はシンプルな手段でキャスクを支持できる。
【0047】
b.支持B部1箇所に複数本の支持アームを連結させた例
図7は、支持B部の数を増やさずに支持アーム5を追加してキャスクAを固定した支持方法を示す平面図である。図7においては、1箇所の支持B部(図では架台1の左下角の◎)に3本の支持アームが連結されている。一般的に支持B部の数を増やすより支持アームの本数を増やす方が容易である。このため、図7のように支持B部の数を増やさずに支持アームの本数を多くすることにより、容易に安定したキャスクAの支持が可能となる。
【0048】
ロ.支持B部を床に設けた例
a.支持アームのみで支持する例
図8は、支持B部を床に設け、キャスクAを支持アーム5のみで支持する例を示す斜視図である。図8では、被掛止部7からなる複数の支持B部が床に設けられ、支持A部である上部トラニオン3aと支持B部とを支持アーム5で連結することによりキャスクAが支持される。また、図9は、図5に示された支持方法において支持B部を架台ではなく床に設けた支持方法を示す斜視図である。このように、支持B部を架台ではなく床に設けることにより、より強固にキャスクAを支持できる。
【0049】
b.支持アームによる支持と下部トラニオンの固定とを併用する例
図10は、支持アームによる支持と下部トラニオンの固定と併用してキャスクを支持する支持方法を概念的に示す正面図である。図10では、複数の支持B部(固定点)が床に設けられ、支持A部(専用治具6に設けた固定点)と支持B部とが支持アーム5により連結されている。また、下部トラニオン3bが固定部材9により架台1に固定されている。このように、支持アーム5による支持と下部トラニオン3bの固定とを併用することによりキャスクAをより強固に支持できる。
【0050】
ハ.支持B部を架台と床の両方に設けた例
図11および図12は、支持B部を架台と床の両方に設けてキャスクAを固定する支持方法を示す図であり、図11は支持方法を概念的に示す正面図であり、図12は他の支持方法を示す斜視図である。図11では、架台1と床にそれぞれ複数の支持B部(固定点)を設け、支持A部(専用治具6に設けた固定点)と前記支持B部とを支持アーム5で連結することによりキャスクAが支持される。また、図12では、架台1に4箇所、床に4箇所それぞれ被掛止部7からなる支持B部を設け、専用治具6に設けた被掛止部62からなる支持A部と架台1に設けた支持B部とを4本の支持アーム5により連結し、さらに上部トラニオン3aからなる支持A部と床に設けた支持B部とを他の4本の支持アーム5により連結してキャスクAが支持される。このような支持B部を架台と床の両方に設ける構成とすることにより、一定のスペース内で支持アーム5の本数を多くして強固に支持することができる。
【0051】
なお、図11の場合は、1箇所の支持A部に複数の支持アームが取付けられている例でもあり、図12の場合は、支持A部として専用治具に設けられた被掛止部62とキャスクに設けられた上部トラニオン3aの両方を用いている例でもある。
【0052】
以上のように、本発明のキャスクの支持方法において、支持A部、支持B部、支持アーム5はそれぞれ独立しており、個別に変更、強化が可能である。このため、架台を大型化することなく、強固に支持することができる。なお、上記に示した具体例では支持B部は架台または床に設けられているが、前記のように支持B部は、柱等の他の設備に設けることも可能である。これにより、建屋の状況や地震動に合わせた適切な支持箇所、支持点数を選定することができる。
【符号の説明】
【0053】
A キャスク
A1 蓋部
1 架台
2 キャスク本体
3a 上部トラニオン
3b 下部トラニオン
5 支持アーム
51 アーム本体
52 連結部
5a フック
5b レバー
5c 緊張装置
5d ダンパ
6、8 専用治具
61、81 専用治具本体
62、7、82 被掛止部
63 溝
64 掛止片
9 固定部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済燃料中間貯蔵施設における金属キャスクの支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済燃料中間貯蔵施設(以下、単に「施設」ともいう)においては、専用の金属容器(金属キャスク:以下、単に「キャスク」ともいう)に使用済み燃料が複数体封入された状態で保管される。
【0003】
このキャスクは、内部の使用済み燃料の健全性を長期にわたって維持する役割を担っており、これは通常時だけでなく運搬取扱い時や地震時(異常時)も同様である。そして施設内の貯蔵時には、キャスクを架台上に起立した状態で支持することでキャスクの貯蔵密度が高くなり、施設キャパシティを大きくすることができる。
【0004】
このようにキャスクを起立した状態で支持する方法としては、例えば、キャスク自身が有する下部トラニオンを利用する方法が提案されている(特許文献1)。また、キャスク下部側面をボルト固定する方法も提案されている(特許文献2)。
【0005】
さらに、輸送コンテナ内でのキャスクを保持するもの(特許文献3)や、貯蔵建屋での輸送時にキャスクを保持する方法(特許文献4)も提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に示された方法は、キャスクの支持位置がキャスク重心に比べて非常に低いため、架台を含めた全体の剛性が小さくなるという傾向がある。その結果、地震荷重が大きくなり、架台や支持部であるトラニオン等への発生応力も大きくなる恐れがある。
【0007】
そして、これらの方法を用いた場合、地震時においても架台が通常時と同じ起立状態でキャスクを支持するためには、架台を非常に大型化する必要がある。その結果、施設内の貯蔵密度が低下する恐れがある。
【0008】
一方、特許文献3に示された方法は輸送コンテナ内でのキャスク保持を前提とするものであり、特許文献4に示された方法は施設内の輸送時におけるキャスクの支持方法である。これらの方法は、いずれもキャスクの一時的な取扱いを考慮したものであり、長期運用時における取扱いや貯蔵について考慮したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−298588号公報
【特許文献2】特開2007−248186号公報
【特許文献3】特開2007−261611号公報
【特許文献4】特開2006−058106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑み、架台にキャスクを起立させて保管するに際して、架台を大型化することなく、長期運用時や地震時においてもキャスクが転倒し難い支持方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、鋭意検討の結果、以下に示す各請求項の発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、各請求項の発明を説明する。
【0012】
請求項1に記載の発明は、
両端に固定手段を有する支持アームを介して、架台上に起立させた金属キャスクを長期間に渡って支持する金属キャスクの支持方法であって、
前記支持アームの一端を前記金属キャスクの重心位置よりも高い位置で前記金属キャスク側に固定すると共に、他端を前記金属キャスクの周囲に位置する構造体に固定することにより、金属キャスクを支持することを特徴とする金属キャスクの支持方法である。
【0013】
本請求項の発明においては、キャスクを重心位置よりも高い位置で固定しているため、重心位置よりも低い下部で固定する従来の方法に比べ、剛性の高い固定が可能となる。そして、キャスクに与える地震荷重をより小さくすることができるため、長期貯蔵時のキャスク地震耐力を維持することができる。
【0014】
これを、構造物の固有振動数で比較した場合、キャスク規模の物体の固有振動数は、同じ固定条件であっても本発明のような上部固定状態では、下部固定状態に比べて5〜7倍程度大きくなっている。
【0015】
また、本請求項の発明においては、支持アームの一端を金属キャスクの周囲に位置する構造体に固定している。このような構造体としては、例えば、床、柱等の構造体を挙げることができ、建屋の状況や想定される地震動を考慮して、設備に合わせて柔軟に対応することができる。
【0016】
そして、本請求項の発明によれば、架台を大型化することなく、架台にキャスクを起立させて保管することができるため、中間貯蔵施設内のキャスク貯蔵密度を上げることが可能となり、架台自体も安価に製作することができる。
【0017】
支持アームのキャスク側における固定位置は、キャスクの重心位置よりも高い位置であれば特に限定されず、キャスク上部のみならず、胴部で固定しても良い。また、キャスク側における支持アームの固定対象は、キャスク本体であってもよいが、後述するように固定位置に専用治具を配し、この専用治具を介して固定してもよい。
【0018】
支持アームの材質や形状については、キャスクの固定に耐え得る限り特に限定されず、ワイヤー、バネ、ダンパ等を備えた構造体を使用することもできる。例えば、テンションベルトのように張力を調整することが可能な構造とすることにより、据付、メンテナンス等を容易にすることもできる。
【0019】
このように、本発明によれば、支持アームの一端を金属キャスクの重心位置よりも高い位置に固定した状態で貯蔵を行うため、架台を大型化することなく、より安定した固定状態を得ることができ、長期運用時や地震時においてもキャスクが転倒し難い支持方法を提供することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、
前記支持アームは、取外し、交換が可能であることを特徴とする請求項1に記載の金属キャスクの支持方法である。
【0021】
支持アームの取外し、交換が可能であるため、支持アーム数の増減が自由に行え、剛性の強化等、適正な剛性の確保に容易に対応することができる。また、支持アームのメンテナンスが容易となる。
【0022】
さらに、支持アームの取外し、交換が可能であるため、従来の一般的なキャスクの下部固定方法に支持アームによる固定を追加して併用することも容易にできる。このため、新規設備のみならず、既存設備に対してもこの支持方法を容易に適用することが可能となる。
【0023】
このように、支持アームの取外し、交換を可能として、支持箇所や支持点数の増設や変更を可能としたため、長期運用時にも、輸送時にも容易に適用可能な支持方法を提供することが可能となる。さらに、将来的な剛性の強化等にも柔軟に対応することが可能となる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、
前記金属キャスク側における固定は、専用治具を介した固定であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属キャスクの支持方法である。
【0025】
本請求項の発明においては、キャスクを直接固定するのではなく、専用治具を用いて固定しているため、固定箇所や固定位置の追加・変更が容易になり、状況に応じた支持方法を適宜、容易に選択することができる。
【0026】
なお、前記専用治具は、安定した固定を行うために、2箇所以上の固定部を備えていることが好ましい。
【0027】
請求項4に記載の発明は、
前記専用治具は、取外し、交換が可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の金属キャスクの支持方法である。
【0028】
専用治具の取外し、交換が可能であるため、様々なタイプのキャスクに容易に対応することが可能となる。また、専用治具のメンテナンスが容易となる。なお、取外し、交換された専用治具は、再使用することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、架台にキャスクを起立させて保管するに際して、架台を大型化することなく、長期運用時や地震時においてもキャスクが転倒し難い支持方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における第一のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における専用治具を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における他の専用治具を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態における第二のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態における第三のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態における第四のキャスクの支持方法を概念的に示す平面図ある。
【図8】本発明の実施の形態における第五のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態における第六のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態における第七のキャスクの支持方法を概念的に示す正面図である。
【図11】本発明の実施の形態における第八のキャスクの支持方法を概念的に示す正面図である。
【図12】本発明の実施の形態における第九のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0032】
1.従来のキャスクの支持方法
はじめに、従来のキャスクの支持方法を説明する。図1は、従来のキャスクの支持方法を概念的に示す斜視図である。図1のように、キャスクAは床に置かれた架台1の上に起立した状態で支持されている。図1において3aは、キャスク本体2の上側の蓋部A1に設けられた上部トラニオンであり、3bは、下側に設けられた下部トラニオンである。そして、従来は下部トラニオン3bにより架台1上に支持されて固定されていた。
【0033】
2.本発明におけるキャスクの支持方法
(1)本発明におけるキャスクの支持方法の基本的な構成
次に、本発明におけるキャスクの支持方法の基本的な構成を説明する。図2は、本発明のキャスク支持方法の一例を概念的に示す斜視図である。本例におけるキャスクAの支持方法は、図2のように支持アーム5を用いて架台1上に起立したキャスクAを支持するものである。支持アーム5の一端はキャスクA側に固定され(以下、この固定箇所を「支持A部」という)、支持アーム5の他端はキャスクAを起立させた架台1もしくは床Fに固定されている(以下、この固定箇所を「支持B部」という)。
【0034】
このとき、支持A部はキャスクAの重心より上部に設けられる。これにより、取り扱い時や地震時におけるキャスクAの転倒を支持架台1を大型化することなく効果的に防止することができる。図2に示した例では、キャスクAに設けられた上部トラニオン3aが支持A部となっている。
【0035】
(2)支持A部
図2の例では支持A部は、上部トラニオン3aに直接設けられているが、キャスクAの重心より上部に専用治具を取り付け、前記専用治具に設けられた被掛止部に支持A部を設けてもよい。
【0036】
専用治具は、キャスクAに取付け、取外し可能な構成にすることにより、メンテナンスが容易となり、同型の別のキャスクAへの再使用も容易に行うことができる他、支持A部の数や掛止方法の変更も容易に行うことができる。なお、専用治具としては、以下に記載するように、キャスクAの蓋部A1に取付けるタイプ、キャスク本体2に取付けるタイプなどがあり、いずれのタイプの専用治具を用いてもよい。以下、これらの専用治具について説明する。
【0037】
イ.キャスクの蓋部に取付けるタイプの専用治具
はじめに、キャスクの蓋部に取付けるタイプの専用治具について説明する。図3は本発明の他の実施の形態の専用治具6を模式的に示す斜視図であり、図4は本発明の他の一実施の形態の専用治具6を模式的に示す斜視図である。図3に示す専用治具6は、十字状の本体部61、本体部61の先端に設けられた支持A部となるリング状の被掛止部62、および本体部61に垂設された蓋部A1に掛止するための掛止片64とを有する。図4に示す専用治具6は、リング状の本体部61、本体部61の外周に設けられた支持A部となるリング状の被掛止部62、および本体部61に設けられた上部トラニオン3aが嵌り込む溝63とを有する。
【0038】
図3および図4に示した専用治具6は、キャスクAの蓋部A1に取付けられて用いられる。具体的な使用例を図4に示した専用治具6を用いて説明する。図5は、図4に示した専用治具6が蓋部A1に取付けられている状態を示す斜視図である。図5において、専用治具6のリング状の本体部61は、溝63にキャスクAの上部トラニオン3aが嵌まり込むように蓋部A1に嵌合されて取付けられている。そして、専用治具6と架台1は、4本の支持アーム5で連結することによってキャスクAがキャスク本体2を載せた架台1に支持されている。具体的には、専用治具6と架台1にはそれぞれ4個の被掛止部62および7が設けられており、支持アーム5のアーム本体51の両端に連結部として設けられた一方のフック5aが専用治具6の被掛止部62に掛止され、他方のフック5aが架台1の被掛止部7に掛止されることによって専用治具6と架台1が連結されている。なお、本体部61は蓋部A1の形状に応じて自在に設計変更が可能である。
【0039】
ロ.キャスク本体に取付けるタイプの専用治具
次に、キャスク本体に取付けるタイプの専用治具について説明する。図6は、ベルト状の専用治具8をキャスク本体2に取付けた状態を示す図である。専用治具8は、キャスク本体2の側面を拘束するベルト状の本体部81と、本体部81に設けられ支持A部となる被掛止部82とを有する。そして、本体部81はキャスク本体2の胴部の重心より上部に巻設して使用される。支持アーム5の両端にはフック5aが設けられており、一方のフック5aは支持A部となる被掛止部82に掛止し、他方のフック5aは支持B部となる床に設けられた被掛止部7に掛止することにより、キャスクAが支持される。
【0040】
(3)支持アーム
次に、支持アームについて説明する。支持アーム5は、基本的には図2に示すように、アーム本体51とアーム本体51を支持A部(図2の場合は上部トラニオン3aが支持A部に相当する)に固定する連結部52を有する。また、図2には示されていないが、アーム本体51を支持B部に固定する連結部が設けられていてもよい。
【0041】
支持アーム5は、キャスクAの支持に耐え得る形状、材質であればよく、構造材に限らず、例えばワイヤーやバネが設けられていてもよい。また、テンションベルトのように張力を調整することが可能な構造にしてもよい。
【0042】
連結部は、例えば図2に示したように上部トラニオン3aを嵌め込む構造や、図5に示したように被掛止部62および7に掛止するフックなどを挙げることができる。
【0043】
そして、アーム本体51をワイヤーやテンションベルト等で構成し、連結部として両端にフック5aを設けた構成とすることにより支持アーム5は支持A部、支持B部に対して容易に取付け、取外しが可能となり、据付、メンテナンス等を容易にすることができる。
【0044】
また、アーム本体51には、地震時におけるキャスクAの振動を減衰させる振動減衰機構として図2に示すように、ダンパ5dを設けてもよい。また、図5に示すように、アーム本体51の両端に設けたフック5aを被掛止部62と7に掛止後、レバー5bを操作することによりアーム本体51の張力を適切な張力に調節することができるように緊張装置5cからなる張力調整機構を設けてもよい。
【0045】
(4)支持B部
前記の通り、支持B部は、金属キャスクの周囲に位置する構造体に設けられる。具体的に設ける方法は複数の観点から分類される。支持B部の位置の観点からは、支持B部が架台に設けられる場合と、架台以外に設けられる場合と、両方に設けられる場合に分類される。また、支持B部に取付ける支持アームの本数の観点からは、1本の場合と複数本の場合に分類される。以下に、これらの主要な例について具体例を挙げて説明する。
【0046】
イ.支持B部を架台に設けた例
本例は、キャスクを架台に載せて移動させる場合に特に有効な例である。
a.支持B部1箇所に1本の支持アームを連結させた例
前記の通り、図5の場合、被掛止部7からなる支持B部が架台1の各辺に沿って4箇所設けられ、専用治具6にも4つの被掛止部62が設けられている。そして、専用治具6に設けた被掛止部62(支持A部)と架台1に設けた被掛止部7(支持B部)とを4本の支持アーム5でそれぞれ連結することによりキャスクAが支持される。このような支持B部1箇所に1本の支持アーム5が取付けられる支持方法はシンプルな手段でキャスクを支持できる。
【0047】
b.支持B部1箇所に複数本の支持アームを連結させた例
図7は、支持B部の数を増やさずに支持アーム5を追加してキャスクAを固定した支持方法を示す平面図である。図7においては、1箇所の支持B部(図では架台1の左下角の◎)に3本の支持アームが連結されている。一般的に支持B部の数を増やすより支持アームの本数を増やす方が容易である。このため、図7のように支持B部の数を増やさずに支持アームの本数を多くすることにより、容易に安定したキャスクAの支持が可能となる。
【0048】
ロ.支持B部を床に設けた例
a.支持アームのみで支持する例
図8は、支持B部を床に設け、キャスクAを支持アーム5のみで支持する例を示す斜視図である。図8では、被掛止部7からなる複数の支持B部が床に設けられ、支持A部である上部トラニオン3aと支持B部とを支持アーム5で連結することによりキャスクAが支持される。また、図9は、図5に示された支持方法において支持B部を架台ではなく床に設けた支持方法を示す斜視図である。このように、支持B部を架台ではなく床に設けることにより、より強固にキャスクAを支持できる。
【0049】
b.支持アームによる支持と下部トラニオンの固定とを併用する例
図10は、支持アームによる支持と下部トラニオンの固定と併用してキャスクを支持する支持方法を概念的に示す正面図である。図10では、複数の支持B部(固定点)が床に設けられ、支持A部(専用治具6に設けた固定点)と支持B部とが支持アーム5により連結されている。また、下部トラニオン3bが固定部材9により架台1に固定されている。このように、支持アーム5による支持と下部トラニオン3bの固定とを併用することによりキャスクAをより強固に支持できる。
【0050】
ハ.支持B部を架台と床の両方に設けた例
図11および図12は、支持B部を架台と床の両方に設けてキャスクAを固定する支持方法を示す図であり、図11は支持方法を概念的に示す正面図であり、図12は他の支持方法を示す斜視図である。図11では、架台1と床にそれぞれ複数の支持B部(固定点)を設け、支持A部(専用治具6に設けた固定点)と前記支持B部とを支持アーム5で連結することによりキャスクAが支持される。また、図12では、架台1に4箇所、床に4箇所それぞれ被掛止部7からなる支持B部を設け、専用治具6に設けた被掛止部62からなる支持A部と架台1に設けた支持B部とを4本の支持アーム5により連結し、さらに上部トラニオン3aからなる支持A部と床に設けた支持B部とを他の4本の支持アーム5により連結してキャスクAが支持される。このような支持B部を架台と床の両方に設ける構成とすることにより、一定のスペース内で支持アーム5の本数を多くして強固に支持することができる。
【0051】
なお、図11の場合は、1箇所の支持A部に複数の支持アームが取付けられている例でもあり、図12の場合は、支持A部として専用治具に設けられた被掛止部62とキャスクに設けられた上部トラニオン3aの両方を用いている例でもある。
【0052】
以上のように、本発明のキャスクの支持方法において、支持A部、支持B部、支持アーム5はそれぞれ独立しており、個別に変更、強化が可能である。このため、架台を大型化することなく、強固に支持することができる。なお、上記に示した具体例では支持B部は架台または床に設けられているが、前記のように支持B部は、柱等の他の設備に設けることも可能である。これにより、建屋の状況や地震動に合わせた適切な支持箇所、支持点数を選定することができる。
【符号の説明】
【0053】
A キャスク
A1 蓋部
1 架台
2 キャスク本体
3a 上部トラニオン
3b 下部トラニオン
5 支持アーム
51 アーム本体
52 連結部
5a フック
5b レバー
5c 緊張装置
5d ダンパ
6、8 専用治具
61、81 専用治具本体
62、7、82 被掛止部
63 溝
64 掛止片
9 固定部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に固定手段を有する支持アームを介して、架台上に起立させた金属キャスクを長期間に渡って支持する金属キャスクの支持方法であって、
前記支持アームの一端を前記金属キャスクの重心位置よりも高い位置で前記金属キャスク側に固定すると共に、他端を前記金属キャスクの周囲に位置する構造体に固定することにより、金属キャスクを支持することを特徴とする金属キャスクの支持方法。
【請求項2】
前記支持アームは、取外し、交換が可能であることを特徴とする請求項1に記載の金属キャスクの支持方法。
【請求項3】
前記金属キャスク側における固定は、専用治具を介した固定であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属キャスクの支持方法。
【請求項4】
前記専用治具は、取外し、交換が可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の金属キャスクの支持方法。
【請求項1】
両端に固定手段を有する支持アームを介して、架台上に起立させた金属キャスクを長期間に渡って支持する金属キャスクの支持方法であって、
前記支持アームの一端を前記金属キャスクの重心位置よりも高い位置で前記金属キャスク側に固定すると共に、他端を前記金属キャスクの周囲に位置する構造体に固定することにより、金属キャスクを支持することを特徴とする金属キャスクの支持方法。
【請求項2】
前記支持アームは、取外し、交換が可能であることを特徴とする請求項1に記載の金属キャスクの支持方法。
【請求項3】
前記金属キャスク側における固定は、専用治具を介した固定であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属キャスクの支持方法。
【請求項4】
前記専用治具は、取外し、交換が可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の金属キャスクの支持方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−11769(P2011−11769A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155738(P2009−155738)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000165697)原子燃料工業株式会社 (278)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000165697)原子燃料工業株式会社 (278)
【Fターム(参考)】
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