説明

金属キャパシタ及びその製造方法

【課題】本発明は、既存のアルミニウム電解コンデンサの電解液と固体電解質の代わりに金属材質を適用して電気伝導度を大きく改善させた金属キャパシタ及びその製造方法を提供するものである
【解決手段】本発明の中、金属キャパシタ10は両面に夫々多数個の溝11aが形成される金属部材11と、金属部材11に形成される金属酸化膜12と、金属酸化膜12に形成されるシード電極層13と、多数個の溝11aが満たされるようにシード電極層13に形成されるメーン電極層14と、メーン電極層14に設けられる多数個のリード端子15と、多数個のリード端子15が外部に突出されて金属部材11と金属酸化膜12とシード電極層13とメーン電極層14が密封されるように設置されるモールディング部材16を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属キャパシタ及びその製造方法に係るもので、より詳しくは電解質で金属材質を適用して電気伝導度を大きく改善させた金属キャパシタ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電源回路から出力される電源を一定な値になるように平滑させるか又は低周波バイパスで使用されるアルミニウム電解キャパシタ(aluminum electrolytic capacitor)の製造方法を概略的に説明すると次のようになる。
【0003】
まず、アルミニウム箔の表面積を広げて静電容量を大きくするために、アルミニウム箔(aluminum foil)の表面を食刻(etching)する過程を実施する。食刻が完了したらアルミニウム箔に誘電体を形成させる化成(forming)過程を実施する。食刻や化成過程を通じてそれぞれ陰極と陽極のアルミニウム箔が製造されたら、アルミニウム箔と電解紙を製品の長さによって必要寸法の幅だけ切る断裁(slit)過程を実施する。断裁が完了したらアルミニウム箔に引き出し端子であるリード棒を接合させるステッチ(stitch)過程を実施する。
【0004】
アルミニウム箔と電解紙の断裁が完了したら陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔の間に電解紙を挿入した後円筒状で巻いて解かされないようにテープで接着させる巻取り(winding)過程を実施する。巻取り過程が完了したらこれをアルミニウムケースに挿入した後電解液を注入する含浸(impregnation)を実施する。電解液の注入が完了したらアルミニウムケースを封口材で封入する封入(curling)過程を実施する。封入過程が完了したら誘電体損傷を復旧するエージング(aging)過程を実施してアルミニウム電解キャパシタの組立を完了する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の電解キャパシタを適用する場合、最近電子機器のデジタル及び小型化の進展で次のような問題点がある。
即ち、アルミニウム電解キャパシタは電解質で電解液が使用されるので、電気伝導度が低くて高周波領域での寿命が短くなる限界があって、信頼性の改善、高周波数特性、低損失化(低ESR(Equivalent Series Resistance)、低インピーダンス(impedance)化)に限界があって、リプル発熱が高くて発煙、発火という安全性及び耐環境性に限界がある。
【0006】
本発明の目的は前記のような問題点を解決するためのもので、電解質で金属材質を適用して電気伝導度を従来の電解質で電解液や有機半導体を使用することに比べて10,000〜1,000,000倍改善させた金属キャパシタとこれを用いた積層金属キャパシタ及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、電解質で金属材質を使用することによって小型化、低損失化、リプル発熱低減、長寿命化、耐熱安全性、非発煙、非発火及び耐環境性を改善させることができる金属キャパシタとこれを用いた積層金属キャパシタ及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明のまた他の目的は、電解質で金属材質を使用することによって直列積層が容易で既存のアルミニウム電解キャパシタの構造としては不可能な高電圧用金属キャパシタとこれを用いた積層金属キャパシタ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するための本発明の金属キャパシタは、両面に夫々多数個の溝が形成される金属部材と、金属部材に形成される金属酸化膜と、金属酸化膜に形成されるシード電極層(seed electrode layer)と、多数個の溝が満たされるようにシード電極層に形成されるメーン電極層(main electrode layer)と、メーン電極層に設けられる多数個のリード端子(lead terminal)と、多数個のリード端子が外部に突出されて金属部材と金属酸化膜とシード電極層とメーン電極層が密封されるように形成されるモールディング部材を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の金属キャパシタの製造方法は,DC(Direct Current)食刻方法を用いて金属部材の両面に多数個の溝を形成する食刻工程と、金属部材に多数個の溝が形成されると両極酸化方法を用いて金属部材に金属酸化膜(metal oxide)を形成する化成(forming)工程と、金属酸化膜が形成されると無電解メッキ方法を用いて金属酸化膜に浸透するようにシード電極層を形成する工程と、シード電極層が形成されると無電解メッキ方法や電解メッキ方法を用いてシード電極層を媒介として金属部材に形成された多数個の溝が埋没されるようにメーン電極層を形成する工程と、メーン電極層が形成されるとそれぞれのメーン電極層にリード端子を形成する工程と、リード端子が形成されるとリード端子が外部に突出されるように前記金属部材を密封させるモールディング工程を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の金属キャパシタは、電解質で金属材質を適用することによって従来の電解質で電解液や有機半導体を使用することに比べて電気伝導度を10,000〜1,000,000倍改善させることができて、また直列積層して高電圧化が可能で、極性の方向性がなくて安全性が高くて、小型化、低損失化(低ESR、低インピーダンス化)、耐熱安全性、非発煙、非発火及び耐環境性を改善させることができる利点を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係る金属キャパシタの断面図を示す。
本発明の金属キャパシタ10は、両面に夫々多数個の溝11a(図2B参照)が形成される金属部材11と、金属部材11に形成される多数個の溝11aに形成される金属酸化膜12と、金属酸化膜12に形成されるシード電極層13と、多数個の溝11aが満たされるようにシード電極層13に形成されるメーン電極層14と、メーン電極層14に設けられる多数個のリード端子15と、多数個のリード端子15が外部に突出されて,金属部材11と金属酸化膜12とシード電極層13とメーン電極層14が密封されるように形成されるモールディング部材16とで構成される。
【0013】
前記金属キャパシタ10の構成をより詳しく説明すると、次のとおりである。
図1に示されたように、金属キャパシタ10は、金属部材11、金属酸化膜12、シード電極層13、メーン電極層14、リード端子15及びモールディング部材16で構成されて、夫々の構成を順次に説明すると次のとおりである。
【0014】
金属部材11はホイル(foil)及び平板からなり、金属部材11の表面積を増加させるために夫々多数個の溝11aが配列され形成されている。多数個の溝11aが形成される金属部材11の材質は、アルミニウム(Al)、ニオビウム(Nb)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)のうちいずれか一つが適用される。
【0015】
金属酸化膜12は金属部材11に形成され、金属酸化膜12の材質は金属部材11がアルミニウム(Al)、ニオビウム(Nb)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)のうちいずれか一つが適用される場合に各材質によってアルミナ(Al)、酸化ニオビウム(Nb)、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化チタン(TiO)のうちいずれか一つが適用される。
【0016】
シード電極層13は図1に示された小さい円形で配列された部分であって、金属酸化膜12上に形成されて、金属部材11に形成された多数個の溝11aにメーン電極層14を埋立することができない場合に形成される。このようなシード電極層13は、金属酸化膜12に浸透されるように、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pd)、コバルト(Co)、インジウム(In)のうちいずれか一つを適用して形成させる。
【0017】
メーン電極層14は多数個の溝11aが満たされるようにシード電極層13に形成されて、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、コバルト(Co)、インジウム(In)のうちいずれか一つが使用される。メーン電極層14は、多数個が具備され図1のように金属部材11の両面に形成されたシード電極層13に夫々形成されて、導電性接着層17を具備することができる。
【0018】
導電性接着層17は、ソルダーペースト(solder paste)や電解メッキ方法又は無電解メッキ方法等を用いて形成されて、多数個のリード端子15の接着の際、接着力を改善させるために形成される。多数個のリード端子15は、メーン電極層14に設けられる。図1のように、多数個のリード端子15は導電性接着層17に設置されるか又は導電性接着層17が具備されない場合にメーン電極層14に高圧力による機械的な力で設置することになる。
【0019】
モールディング部材16には、EMC(Epoxy Molding Compound)モールディング材質が使用される。モールディング部材16は、メーン電極層14や導電性接着層17にリード端子15が設置されると、リード端子15が外部に突出された状態で金属部材11と金属酸化膜12とシード電極層13とメーン電極層14が密封されるように設置される。モールディング部材16でモールディングの際、モールディング部材16は図1に示されたように板状でモールディングすることができ、また、円筒状(図示せず)でモールディングすることができる。円筒状でモールディングの際、金属部材は従来のアルミニウム電解コンデンサのように巻き取った状態でモールディングされる。
【0020】
次に、実施例1に係る金属キャパシタの製造方法について図2A〜図2Fを参照して説明する。
1)まず、図2Aの金属部材11の表面積を増加させるため、図2Bのように金属部材11を電気化学的な方法であるDC(Direct Current)食刻方法を用いて金属部材11の両面にそれぞれ多数個の溝11aが配列されるように形成する食刻工程を実施する。ここで、溝11aの幅(a,b)は夫々0.1乃至5μmになるように形成され、高さ(c)は夫々10乃至100μmになるように形成されるが、溝11aの幅(a,b)は好ましくは1μmになるように形成し、溝11aの高さ(c)は好ましく40μmになるように形成する。
【0021】
2)次に、図2Cに示すように、両極酸化方法を用いて金属部材11に金属酸化膜12を形成する化成工程を実施する。ここで、金属部材11の材質がアルミニウム(Al)、ニオビウム(Nb)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)のうちいずれか一つが適用される場合に、夫々の材質によってアルミナ(Al)、酸化ニオビウム(Nb)、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化チタン(TiO)のうちいずれか一つが適用される。なお、両極酸化の際、金属キャパシタ10の定格電圧が6.3乃至500Vの140乃至160%電圧になるように両極酸化処理する。
【0022】
3)つづいて、図2Dに示すように、金属酸化膜12の片面(下面)に、無電解メッキ方法、CVD、熱蒸着(thermal evaporation)又は分子層成長方法のうちいずれか一つを用いて金属酸化膜12に浸透され成長し得るようにシード電極層13を形成する工程を実施する。ここで、分子層成長方法としてはMOCVD(Metal Organic CVD)やMBE(molecular beam epitaxy)を使用する。シード電極層13は、金属部材11に形成された多数個の溝11aにメーン電極層14を埋立させ形成することができない場合に形成する。さらに、上記と同様な方法により、図2Eに示すように、金属酸化膜12の反対面(上面)にシード電極層13を形成する。なお、シード電極層13やメーン電極層14の材質としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、コバルト(Co)、インジウム(In)のうちいずれか一つが使用される。
【0023】
4)ひきつづき、図2Fのように無電解メッキ方法や電解メッキ方法(AC;交流もしくはDC;直流)を用いて、シード電極層13を媒介として金属部材11に形成された多数個の溝11aが埋没されるようにメーン電極層14を形成する工程を実施する。
また、メーン電極層14を形成する工程で、メーン電極層14が形成されるとメーン電極層14に導電性接着層17を形成する工程をさらに具備することができる。導電性接着層17はリード端子15の接着力を改善させるために具備され、ソルダーペースト、無電解メッキ方法又は電解メッキ方法を適用して形成される。
【0024】
メーン電極層14が形成されると、図1に示されたように夫々のメーン電極層14にリード端子15を形成する工程を実施し、リード端子15が形成されるとリード端子15が外部に突出されるように金属部材11を密封させるモールディング工程を実施して金属キャパシタ10を製造することになる。金属部材11の密封の際、板状もしくは円筒状でモールディングすることができる。円筒状でモールディングの際、メーン電極層14が形成された金属部材11は従来のアルミニウム電解コンデンサのように巻き取った状態でモールディングされる。
【0025】
上述したように、実施例1に係る金属キャパシタは、両面に夫々多数個の溝11aが形成された金属部材11と、金属部材11に形成された金属酸化膜12と、金属酸化膜12に形成されたシード電極層13と、多数個の溝11aが満たされるようにシード電極層13に形成されたメーン電極層14と、メーン電極層14に設けられたリード端子15と、リード端子15が外部に突出されて,金属部材11と金属酸化膜12とシード電極層13とメーン電極層14が密封されるように形成されたモールディング部材16とを具備した構成となっている。従って、上記金属キャパシタによれば、電解質で金属材質を適用して電気伝導度を従来の電解質で電解液や有機半導体を使用することに比べて10,000〜1,000,000倍改善させることができる。また、電解質で金属材質を使用することによって小型化、低損失化、リプル発熱低減、長寿命化、耐熱安全性、非発煙、非発火及び耐環境性を改善させることができる。
【0026】
(実施例2)
図3は、本発明の実施例2に係る積層金属キャパシタの断面図を示す。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図3に示すように、本発明の積層金属キャパシタ100は、両面に夫々多数個の溝11aが形成される金属部材11と、金属部材11に形成される金属酸化膜12と、金属酸化膜12に形成されるシード電極層13と、多数個の溝11aが満たされるようにシード電極層13に形成されるメーン電極層14からなる多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス(capacitance)部材10a,10b,…,10nと、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nの中、第1金属キャパシタンス部材10aと第n金属キャパシタンス部材10nの夫々の外側に位置されるメーン電極層14に設置される多数個のリード端子15と、多数個のリード端子15が外部に突出されて、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nが密封されるように設置されるモールディング部材16、とで構成される。
【0027】
以下、実施例2の積層金属キャパシタの構成をより詳しく説明する。
本発明の積層金属キャパシタ100は、大きく多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10n、リード端子15及びモールディング部材16で構成されて、夫々の構成を順次に説明すると次のようになる。
多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nは、夫々金属部材11、金属酸化膜12、シード電極層13及びメーン電極層14からなり、各々は本発明の実施例1による金属キャパシタ10の構成と同一なので概略的に説明する。
【0028】
金属部材11の両側面には、夫々多数個の溝11aが配列され形成されている。金属部材11に配列され形成される多数個の溝11aには、金属酸化膜12が形成される。金属酸化膜12にはシード電極層13が形成されて、シード電極層13に多数個の溝11aが満たされるようにメーン電極層14が形成される。メーン電極層14は導電性接着層17がさらに具備されて、導電性接着層17は多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nをより容易に積層するか又は多数個のリード端子15の設置の際接着力を改善するために具備される。
【0029】
多数個のリード端子15は、図3に示されたように、積層金属キャパシタ100を高電圧小容量に使用するために直列積層型で使用するか又は低電圧大容量に使用するために並列積層型で使用する場合によって別に設置される。
積層金属キャパシタ100を高電圧小容量に使用するために直列積層型で使用される場合に、多数個のリード端子15は図3に実線で示されたもののように設置される。即ち、多数個のリード端子15は多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nの中、第1金属キャパシタンス部材10aと第n金属キャパシタンス部材10nの夫々の外側に位置されるメーン電極層14に設置される。
【0030】
積層金属キャパシタ100を低電圧大容量に使用するために並列積層型で使用する場合に、多数個のリード端子15は図3に点線で示されたもののように設置される。即ち、多数個のリード端子15のうち一つは多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nの中、奇数番目に位置した多数個の金属キャパシタンス部材10a,…,10n-1のメーン電極層14に連結され設置されて、残りの一つは偶数番目に位置した多数個の金属キャパシタンス部材10b,…,10nの夫々のメーン電極層14に連結され設置される。
【0031】
多数個のリード端子15が多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nに設置されると、モールディング部材16を設置することになる。モールディング部材16はリード端子15が外部に突出されるように多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nが密封されるように設置される。多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nの密封の際、図3に示されたように、板状や円筒状(図示せず)のうちいずれか一つの形状でモールディングし、円筒状で多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nのモールディングの際、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nを巻き取った後モールディングすることになる。
【0032】
次に、実施例2に係る積層金属キャパシタの製造方法について図2A〜図2F、図3及び図4を参照して説明する。
積層金属キャパシタ100の製造方法は、金属部材11をDC食刻方法を用いて材質がアルミニウムが使用される金属部材11の両面に夫々多数個の溝11aが配列されるように形成する食刻工程からシード電極層13を媒介として金属部材11に形成された多数個の溝11aが埋没されるようにメーン電極層14を形成する工程までは本発明の実施例1による金属キャパシタの製造過程と同一なので省略する。
【0033】
1)図2A〜図2Fに示された過程を通じてメーン電極層14を形成した後、メーン電極層14が形成された金属部材11を切断して多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nを形成する工程を実施する。多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nが形成されると多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nを積層した後、高圧で圧着して金属キャパシタンス積層体100aを形成する工程を実施する(図4参照)。
【0034】
2)多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nをより容易に積層するために、図2Fに示されたように導電性接着層17を形成する工程がさらに具備される。導電性接着層17を形成する工程は、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nを加熱してより容易に積層するか又はメーン電極層14に多数個のリード端子15をより容易に設けるために具備される。
【0035】
3)次に、金属キャパシタンス積層体100aを形成した後、図3に示すように、金属キャパシタンス積層体100aの中、第1金属キャパシタンス部材10aと第n金属キャパシタンス部材10nの夫々の外側に位置されるメーン電極層14にリード端子15を形成する工程を実施する。リード端子(15)を第1金属キャパシタンス部材(10a)と第n金属キャパシタンス部材10nの夫々の外側に位置されるメーン電極層14に形成する場合に、積層金属キャパシタ100は直列積層型で構成され高電圧小容量キャパシタで使用し得る。
【0036】
4)積層金属キャパシタ100を低電圧大容量構造で使用するために並列積層型で構成する場合、図3に点線で示されたリード端子15のように設置される。即ち、リード端子15は、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nの中、奇数番目に位置した金属キャパシタンス部材10a,…,10n-1のメーン電極層14と、偶数番目に位置した多数個の金属キャパシタンス部材10b,…,10nのメーン電極層14に連結される。
【0037】
5)直列や並列積層型で多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nの積層の際、金属キャパシタ10の製造方法のように導電性接着層17を用いてリード端子15と多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nの接着力と接着作業を容易にすることができて、導電性接着層17はソルダーペースト、無電解メッキ方法又は電解メッキ方法を適用して形成される。このように導電性接着層17が具備される場合に、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nは加熱によって積層されて、導電性接着層17が具備されない場合には高圧力による機械的な力で圧着して積層することになる。
【0038】
6)多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nが導電性接着層17又は機械的な力によって直列積層型や並列積層型で積層されると、リード端子15が外部に突出されるように金属キャパシタンス積層体100aを密封させるモールディング工程を実施して積層金属キャパシタ100を製造することになる。このようなモールディング工程で多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nのモールディングの際、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nを板状又は円筒状でモールディングすることができる。
【0039】
7)金属キャパシタンス積層体100aのモールディング方法は、多様な方法でモールディングすることができる。例えば、モールディング部材16を円筒状にする場合に、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nは切断した後食刻工程乃至メーン電極層14を形成する工程を繰り返して金属キャパシタンス積層体100aを形成する。即ち、金属部材11を巻き取ることができる大きさで切断した状態で金属キャパシタンス積層体100aを形成する。モールディング部材16を図3のように板状で形成する場合には、板状に合うように金属部材11を一定な大きさで切断した後食刻工程乃至メーン電極層14を形成する工程を繰り返して多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材10a,10b,…,10nを形成した後積層して金属キャパシタンス積層体100aを形成することができる。
【0040】
実施例2によれば、電解質で金属材質を使用することによって、直列積層が容易で既存のアルミニウム電解キャパシタの構造としては不可能な高電圧用金属キャパシタとこれを用いた積層金属キャパシタが得られる。
【0041】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る金属キャパシタの断面図を示す。
【図2A】図2Aは、図1の金属キャパシタの製造方法の一工程を示す説明図である。
【図2B】図2Bは、図1の金属キャパシタの製造方法の一工程を示す説明図である。
【図2C】図2Cは、図1の金属キャパシタの製造方法の一工程を示す説明図である。
【図2D】図2Dは、図1の金属キャパシタの製造方法の一工程を示す説明図である。
【図2E】図2Eは、図1の金属キャパシタの製造方法の一工程を示す説明図である。
【図2F】図2Fは、図1の金属キャパシタの製造方法の一工程を示す説明図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2に係る積層金属キャパシタの断面図を示す。
【図4】図4は、図3の積層金属キャパシタの製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0043】
10…金属キャパシタ、11…金属部材、11a…溝、12…金属酸化膜、13…シード電極層、14…メーン電極層、15…リード端子、16…モールディング部材、17…導電性接着層、100…積層金属キャパシタ、100a…金属キャパシタ積層体、10a,10b,…,10n-1,10n…金属キャパシタンス部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数個の溝が形成される金属部材と、前記金属部材に形成される金属酸化膜と、前記多数個の溝が満たされるように前記金属酸化膜に形成されるメーン電極層を具備することを特徴とする金属キャパシタ。
【請求項2】
前記金属部材の両面に多数個の溝が夫々形成されることを特徴とする請求項1記載の金属キャパシタ。
【請求項3】
前記メーン電極層は、前記金属部材の両面に夫々位置されるように多数個形成されていることを特徴とする請求項1記載の金属キャパシタ。
【請求項4】
両面に夫々多数個の溝が形成される金属部材と、前記金属部材に形成される金属酸化膜と、前記金属酸化膜に形成されるシード電極層と、前記多数個の溝が満たされるように前記シード電極層に形成されるメーン電極層と、前記メーン電極層に設けられる多数個のリード端子と、前記多数個のリード端子が外部に突出されて前記金属部材と前記金属酸化膜と前記シード電極層と前記メーン電極層が密封されるように形成されるモールディング部材を具備することを特徴とする金属キャパシタ。
【請求項5】
前記金属部材は、アルミニウム(Al)、ニオビウム(Nb)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)のうちいずれか一つが適用されることを特徴とする請求項4記載の金属キャパシタ。
【請求項6】
前記金属酸化膜は、アルミナ(Al)、酸化ニオビウム(Nb)、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化チタン(TiO)のうちいずれか一つが適用されることを特徴とする請求項4記載の金属キャパシタ。
【請求項7】
前記シード電極層と前記メーン電極層は、夫々アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、コバルト(Co)及びインジウム(In)のうちいずれか一つが使用されることを特徴とする請求項4記載の金属キャパシタ。
【請求項8】
前記メーン電極層には、前記多数個のリード端子を接着するための導電性接着層がさらに形成されていることを特徴とする請求項4記載の金属キャパシタ。
【請求項9】
前記モールディング部材は、前記メーン電極層が形成された前記金属部材を板状と円筒状のうちいずれか一つの形状でモールディングして、前記円筒状でモールディングの際金属部材を巻き取った後モールディングされることを特徴とする請求項4記載の金属キャパシタ。
【請求項10】
両面に夫々多数個の溝が形成される金属部材と、前記金属部材に形成される金属酸化膜と、前記金属酸化膜に形成されるシード電極層と、前記多数個の溝が満たされるように前記シード電極層に形成されるメーン電極層と、からなる多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材と、
前記多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材のうち、第1金属キャパシタンス部材と第n金属キャパシタンス部材のメーン電極層に夫々設置される多数個のリード端子と、
前記多数個のリード端子が外部に突出されて前記多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材が密封されるように設置されるモールディング部材を具備することを特徴とする積層金属キャパシタ。
【請求項11】
前記多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材の間に、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材を接着させるか又は前記多数個のリード端子を接着させるための導電性接着層がさらに形成されていることを特徴とする請求項10記載の積層金属キャパシタ。
【請求項12】
前記多数個のリード端子のうち一つは多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材のうち、奇数番目に位置した多数個の金属キャパシタンス部材のメーン電極層に連結されて設置され、残りの一つは偶数番目に位置した多数個の金属キャパシタンス部材の夫々のメーン電極層に連結されて設置されていることを特徴とする請求項10記載の積層金属キャパシタ。
【請求項13】
前記モールディング部材は前記多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材を板状と円筒状のうちいずれか一つの形状でモールディングして、前記円筒状でモールディングの際多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材を巻き取った後モールディングされることを特徴とする請求項10記載の積層金属キャパシタ。
【請求項14】
DC食刻方法を用いて金属部材に多数個の溝を形成する食刻工程と、前記金属部材に多数個の溝を形成した後,両極酸化方法を用いて金属部材に金属酸化膜を形成する化成工程と、前記金属酸化膜を形成した後,無電解メッキ方法や電解メッキ方法を用いて多数個の溝が埋没されるようにメーン電極層を形成する工程を具備することを特徴とする金属キャパシタの製造方法。
【請求項15】
DC食刻方法を用いて金属部材の両面に多数個の溝を形成する食刻工程と、前記金属部材に多数個の溝を形成した後,両極酸化方法を用いて金属部材に金属酸化膜を形成する化成工程と、前記金属酸化膜を形成した後,無電解メッキ方法を用いて金属酸化膜に浸透するようにシード電極層を形成する工程と、前記シード電極層を形成した後,無電解メッキ方法や電解メッキ方法を用いてシード電極層を媒介として前記金属部材に形成された多数個の溝が埋没されるようにメーン電極層を形成する工程と、前記メーン電極層を形成した後,夫々のメーン電極層にリード端子を形成する工程と、前記リード端子を形成した後,前記リード端子が外部に突出されるように前記金属部材を密封させるモールディング工程を具備することを特徴とする金属キャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記金属部材に多数個の溝を形成する食刻工程で多数個の溝の幅は夫々0.1乃至5μmに、高さは夫々10乃至100μmになるように形成されることを特徴とする請求項15記載の金属キャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記食刻工程で金属部材の材質は、アルミニウム(Al)、ニオビウム(Nb)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)のうちいずれか一つが適用されることを特徴とする請求項15記載の金属キャパシタ製造方法。
【請求項18】
前記化成工程で金属酸化膜の材質は、アルミナ(Al)、酸化ニオビウム(Nb)、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化チタン(TiO)のうちいずれか一つが適用されることを特徴とする請求項15記載の金属キャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記シード電極層を形成する工程でシード電極層は、CVD、熱蒸着方法又は分子層成長方法を適用することができることを特徴とする請求項15記載の金属キャパシタの製造方法。
【請求項20】
前記シード電極層を形成する工程と前記メーン電極層を形成する工程で夫々形成されるシード電極層とメーン電極層の材質は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、コバルト(Co)及びインジウム(In)のうちいずれか一つが使用されることを特徴とする請求項15記載の金属キャパシタの製造方法。
【請求項21】
前記メーン電極層を形成する工程で、リード端子を接着させるためにメーン電極層に導電性接着層を形成する工程がさらに具備されて、導電性接着層の形成はソルダーペースト、無電解メッキ方法又は電解メッキ方法を適用することを特徴とする請求項15記載の金属キャパシタの製造方法。
【請求項22】
前記モールディング工程は、前記メーン電極層が形成された前記金属部材を板状と円筒状のうちいずれか一つの形状でモールディングして、前記円筒状でモールディングの際金属部材を巻き取った後モールディングすることを特徴とする請求項15記載の金属キャパシタの製造方法。
【請求項23】
DC食刻方法を用いて金属部材の両面に夫々多数個の溝が配列されるように形成する食刻工程と、前記金属部材に多数個の溝を形成した後,両極酸化方法を用いて金属部材に金属酸化膜を形成する化成工程と、前記金属酸化膜を形成した後,無電解メッキ方法を用いて金属酸化膜に浸透するようにシード電極層を形成する工程と、前記シード電極層を形成した後,無電解メッキ方法や電解メッキ方法を用いてシード電極層を媒介として前記金属部材に形成された多数個の溝が埋没されるようにメーン電極層を形成する工程と、前記メーン電極層が形成された前記金属部材を切断して多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材を形成する工程と、前記多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材を形成した後,多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材を積層し、更に高圧で圧着して金属キャパシタンス積層体を形成する工程と、前記金属キャパシタンス積層体を形成した後,金属キャパシタンス積層体の中、第1金属キャパシタンス部材と第n金属キャパシタンス部材のメーン電極層にリード端子を形成する工程と、前記リード端子を形成した後,リード端子が外部に突出されるように前記金属キャパシタンス積層体を密封させるモールディング工程を具備することを特徴とする積層金属キャパシタの製造方法。
【請求項24】
前記メーン電極層を形成する工程は、多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材を加熱して積層するか又はリード端子を接着させるためにメーン電極層に導電性接着層を形成する工程がさらに具備されて、導電性接着層の形成はソルダーペースト、無電解メッキ方法又は電解メッキ方法を適用することを特徴とする請求項23記載の積層金属キャパシタの製造方法。
【請求項25】
前記リード端子を形成する工程でリード端子は多数個の第1乃至第n金属キャパシタンス部材のうち、奇数番目に位置した多数個の金属キャパシタンス部材のメーン電極層と偶数番目に位置した多数個の金属キャパシタンス部材のメーン電極層に連結され設置されることを特徴とする請求項23記載の積層金属キャパシタの製造方法。
【請求項26】
前記モールディング工程は、金属キャパシタンス積層体を板状と円筒状のうちいずれか一つの形状でモールディングして、前記円筒状でモールディングの際金属キャパシタンス積層体を巻き取った後モールディングすることを特徴とする請求項23記載の積層金属キャパシタの製造方法

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−193096(P2008−193096A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24881(P2008−24881)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(508037278)
【Fターム(参考)】