説明

金属ドロス処理装置、金属ドロス処理装置システムおよび金属ドロス処理方法

【課題】位置決めの簡略性を確保しつつ、バリ状の固着物の発生を抑制する。
【解決手段】本発明に係るアルミニウムドロス処理装置100は、アルミニウム融点以上に保持されたアルミニウムドロス3aを収容する、少なくとも底部に貫通孔12aが形成された収容器1aと、収容器1aに収容されたアルミニウムドロス3aを圧搾する昇降可能な圧搾ヘッド21とを備え、圧搾ヘッド21は、移動方向に一定の外周で延在する円柱部位22と、収容器1aのスリットダイス12に対向する加圧面23aを備え、円柱部位22の端面から加圧面23aまで外周を徐々に減じて延在するテーパー部位23とを有し、円柱部位22は、上記収容器に緩嵌する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ドロス処理装置に関するものであり、詳細には、金属ドロスから溶融金属を適切に分離回収するための金属ドロス処理装置、当該金属ドロス処理装置を備えた金属ドロス処理システム、および金属ドロス処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムドロスは、アルミニウム、アルミニウム酸化物およびアルミニウム窒化物を主成分とし、合金添加元素であるマグネシウム、シリコンなどの酸化物、窒化物、塩化物およびフッ化物を多量成分とする粉粒状の混合体である。
【0003】
そして、アルミニウムドロス中の溶融アルミニウムの存在状態は、以下に示す3つの種類に分類される。
(1)酸化物、窒化物と分離した塊、或いは、溜まりとして存在する状態。
(2)酸化物、窒化物と分離しているが、それらが互いに絡まりあって存在する状態。
(3)微細な溶融アルミニウムの液滴、或いは、微細粒子の周囲が、酸化物または窒化物の皮膜で覆われて存在する状態。
【0004】
アルミニウムの融点以上の高温状態では、酸素/窒素雰囲気下にあるアルミニウムドロスは、酸化反応、窒化反応が進行している状態にあり、放置すれば10%〜20%の溶融アルミニウムが酸化損耗してしまう。
【0005】
このような溶融アルミニウムの酸化による損耗を低減するためには、溶融アルミニウムが高温で流動性を保っている間に速やかに多くの溶融アルミニウムを分離回収し、回収した溶融アルミニウムの温度を下げることが有効であり、溶融アルミニウムの回収効率を向上させる観点からその実現が望まれていた。
【0006】
そこで、本願発明者らは、鋭意検討の結果、アルミニウムドロスから溶融アルミニウムを高効率に分離回収することができる処理装置および処理方法を実現し、特許文献1〜3に開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3259002号明細書(2001年12月14日公開)
【特許文献2】特許第4107657号明細書(2008年4月11日公開)
【特許文献3】特開2006−312766号公報(2006年11月16日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、高温のアルミニウムドロスを収納した容器を圧搾ヘッドに対して設置する際の位置決めには精度上の制約がある。このため、特許文献1〜3では、容器の内径に対して圧搾ヘッドの外径を十分に小さくしており、その結果、特許文献1〜3では、圧搾ヘッドと容器との間に大きな隙間が生じる。
【0009】
このため、特許文献3では、圧搾時にアルミニウムドロスから押し出された溶融アルミニウムが、当該隙間に大量に流入して凝固した結果、バリ状の固着物が付着する現象が生じる。当該バリ状の固着物が過大に成長すると、圧搾ヘッドの動作が阻害され、さらに、圧搾室から圧搾後のアルミニウムドロスの残渣を取り出す作業などにも支障をきたすという問題を有している。
【0010】
これに対して、特許文献1および特許文献2では、アルミニウムドロスの表面全体を覆う押し板を介在させることにより、圧搾ヘッドと容器との隙間への溶融アルミニウムの流入を妨げることで、バリ状の固着物の発生を抑制している。ところが、特許文献1および特許文献2のように、押し板を介在させた場合、押し板を設置する作業、並びに、圧搾後のアルミニウムドロスの残渣から押し板を取り外す作業が必要となり、作業効率が低下するという問題を有している。
【0011】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、位置決めの簡略性を確保しつつ、押し板を介在させることなくバリ状の固着物の発生を抑制可能な金属ドロス処理装置、当金属ドロス処理装置を備えた金属ドロス処理装置システム、並びに、金属ドロス処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る金属ドロス処理装置は、上記の課題を解決するために、融点以上に保持された金属ドロスを収容する、少なくとも底部に貫通孔が形成された収容部材と、上記収容部材に収容された金属ドロスを圧搾する昇降可能な圧搾部材とを備える金属ドロス処理装置において、上記圧搾部材は、移動方向に一定の外周で延在する円柱部位と、上記収容部材の底部に対向する加圧面を有し、上記円柱部位の端面から当該加圧面まで外周を徐々に減じて延在するテーパー部位とを備え、上記円柱部位は、上記収容部材に緩嵌することを特徴としている。
【0013】
本発明に係る金属ドロス処理方法は、上記の課題を解決するために、圧搾室に収容された融点以上の金属ドロスを圧搾し、当該圧搾室の底部に形成された貫通孔から、金属ドロスに含まれる溶融金属を分離する金属ドロス処理方法において、上記圧搾室に収容された金属ドロスを圧搾部材によって圧搾する圧搾ステップを有し、上記圧搾ステップは、上記圧搾部材の先端部に形成された外周を徐々に減じて延在するテーパー外周面と、上記圧搾室の内周面との隙間に流入した溶融金属を、上記圧搾部材で吸熱することにより凝固させて当該隙間を塞ぐ凝固ステップと、上記圧搾部材の後端部に形成された一定の外周で延在する円柱部外周面を、上記圧搾室の内周面に緩嵌させる緩嵌ステップとを含むことを特徴としている。
【0014】
上記発明によれば、圧搾部材のテーパー部位の外周面と収容部材の内周面との隙間に流入した溶融金属を、圧搾部材の吸熱作用によって凝固させることが可能となる。これにより、圧搾部材のテーパー部位の外周面と収容部材の内周面との隙間へのさらなる溶融金属の流入を抑制することができる。また、圧搾部材の先端部にテーパー部位を設けることで加圧面は減少するが、凝固した金属によって当該隙間を塞ぐことにより加圧力の低下を防ぐことができる。
【0015】
また、上記発明によれば、圧搾部材の円柱部位は、収容部材に緩嵌するため、円柱部位と収容部材の間に溶融金属が流入することを防ぐことができる。
【0016】
さらに、上記発明によれば、圧搾部材は、先端部にテーパー部位を有しているため、圧搾部材を収容部材に容易に挿入することができるので、圧搾部材および収容部材の位置決めの簡略性を確保することができる。
【0017】
以上のように、本発明によれば、位置決めの簡略性を確保しつつ、押し板を介在させることなくバリ状の固着物の発生を抑制可能な金属ドロス処理装置および金属ドロス処理方法を実現することができる。
【0018】
また、本発明に係る金属ドロス処理装置では、上記収容部材は、上記円柱部位の外周面に緩嵌する第1の内周面と、上記第1の内周面に連接し、上記収容部材の底部まで内周を徐々に増して延在する第2の内周面とを有することが好ましい。
【0019】
上記発明によれば、収容部材は、収容部材の底部まで内周を徐々に増して延在する第2の内周面を有している。このため、収容部材の底部の面積が拡大されるので、通過する溶融金属の量を増加させることができる。
【0020】
これにより、金属ドロス処理装置による溶融金属の回収効率を向上させることができる。
【0021】
また、本発明に係る金属ドロス処理装置では、上記圧搾部材に対する上記収容部材の位置決めを行うための位置決め機構を備え、上記位置決め機構は、上記圧搾部材を挟んで平行に突設され、上記加圧面よりも上記収容部材側に延在する少なくとも2つのガイド部材と、上記収容部材の開口部を挟んで設けられ、上記ガイド部材を挿入可能な少なくとも2つのガイド部材挿入口とを有することが好ましい。
【0022】
上記発明によれば、圧搾部材を下降させる際、収容部材側に延在するガイド部材を、圧搾部材に先行させてガイド部材挿入口に挿入することが可能となる。
【0023】
これにより、圧搾部材に対する収容部材の位置決めを正確に行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る金属ドロス処理装置では、上記圧搾部材の移動を制御する圧搾部材移動制御部を備え、上記圧搾部材移動制御部は、上記収容部材に収容された金属ドロスの表面が上記加圧面によって脈動的に加圧されるように、上記圧搾部材を反復移動させることが好ましい。
【0025】
また、本発明に係る金属ドロス処理方法では、上記圧搾室に収容された金属ドロスの表面を上記圧搾部材で脈動的に加圧して、当該金属ドロスの表面に凝固層を形成する凝固層形成ステップを含むことが好ましい。
【0026】
上記発明によれば、加圧面によって金属ドロスの表面を動脈的に加圧することによって、金属ドロスの表面に凝固層を形成することができる。
【0027】
これにより、金属ドロスを圧搾する際、圧搾部材のテーパー部位と収容部材との隙間への溶融金属の流入を低減することができる。
【0028】
また、本発明に係る金属ドロス処理装置では、上記収容部材は、当該収容部材の壁部を構成する円筒部材と、上記円筒部材の下方に配置され、当該収容部材の底部を構成する、貫通孔が形成された有孔板状部材とからなることが好ましい。
【0029】
上記発明によれば、収容部材は、収容部材の壁部を構成する円筒部材と、円筒部材の下方に配置され、収容部材の底部を構成する貫通孔が形成された有孔板状部材との2つの部材からなる。
【0030】
これにより、収容部材から圧搾後の金属ドロスの残渣を容易に取り出すことができ、また、収容部材のメンテナンス性を向上させることができる。
【0031】
また、本発明に係る金属ドロス処理装置では、上記円筒部材と上記有孔板状部材との間を所定の間隔に保持するためのスペーサ部材を挿入するスペーサ部材挿入機構を備え、上記スペーサ部材挿入機構は、上記円筒部材を昇降移動させる円筒部材昇降手段と、上記円筒部材昇降手段によって上昇させた上記円筒部材と、上記有孔板状部材との間に上記スペーサ部材を挿入するスペーサ部材挿入手段とを備えることが好ましい。
【0032】
上記発明によれば、円筒部材昇降手段によって円筒部材を上昇させることによって生じた隙間に、スペーサ部挿入手段によってスペーサ部を挿入する。
【0033】
これにより、例えば、圧搾後の金属ドロスの残渣を包持した円筒部材と、有孔板状部材との間にスペーサ部材を挿入し、金属ドロスの残渣を圧搾部材で加圧することにより、円筒部材から金属ドロスの残渣を容易に分離することができる。
【0034】
また、本発明に係る金属ドロス処理装置では、上記収容部材に収容された金属ドロスの表面を覆う押し板部材を備え、上記押し板部材は、上記収容部材に収容された金属ドロスを加圧する面に、複数の隆起部が並列に設けられており、上記隆起部は、当該隆起部の長手方向から見た断面が、三角形であることが好ましい。
【0035】
上記発明によれば、押し板部材の金属ドロスを加圧する面に三角形の隆起が複数設けられているため、金属ドロスに接する表面積が増加する。
【0036】
これにより、金属ドロスの表面の凝固を促進して、溶融金属の回収効率を向上させることができる。また、押し板部材を用いることで、圧搾後の金属ドロスの残渣を破砕する作業を容易にすることができる。
【0037】
本発明に係る金属ドロス処理システムは、上記の課題を解決するために、上記金属ドロス処理装置を備えることを特徴としている。
【0038】
上記発明によれば、位置決めの簡略性を確保しつつ、押し板を介在させることなくバリ状の固着物の発生を抑制可能な金属ドロス処理システムを実現することができる。
【0039】
また、本発明に係る金属ドロス処理方法では、上記圧搾室に収容された金属ドロスに対して振動を付与し、溶融金属を液滴として金属ドロスから分離させる分離ステップを有することが好ましい。
【0040】
上記発明によれば、金属ドロスに対して振動を付与するため、溶融金属分を液滴として金属ドロスから分離させることができる。
【0041】
これにより、金属ドロス中の溶融金属の回収効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0042】
以上のように、本発明に係る金属ドロス処理装置では、上記圧搾部材は、移動方向に一定の外周で延在する円柱部位と、上記収容部材の底部に対向する加圧面を有し、上記円柱部位の端面から当該加圧面まで外周を徐々に減じて延在するテーパー部位とを備え、記円柱部位の外周面は、上記収容部材に緩嵌する。
【0043】
それゆえ、本発明に係る金属ドロス処理装置によれば、位置決めの簡略性を確保しつつ、押し板を介在させることなくバリ状の固着物の発生を抑制可能な金属ドロス処理装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1(a)は、本発明に係るアルミニウムドロス処理装置の第1の実施形態を示す側面透視図であり、図1(b)は、図1(a)に示されるアルミニウムドロス処理装置の正面透視図である。
【図2】図2(a)は、図1に示される圧搾ユニットを示す断面図であり、図2(b)は、図1に示されるコンテナ側壁部を示す断面図であり、図2(c)は、図2(a)に示される圧搾ヘッドを図2(b)に示されるコンテナ側壁部に挿入した状態を示す断面図である。
【図3】図3(a)は、第1の実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置の動作状態を示す側面透視図であり、図3(b)は、図3(a)に示されるアルミニウムドロス処理装置の正面透視図であり、図3(c)は、図3(b)に示されるアルミニウムドロス処理装置のA−A断面図である。
【図4】図4(a)は、第1の実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置に用いられる金属押し板を示す下面図であり、図4(b)は、図4(a)に示される金属押し板のB−B断面図であり、図4(c)は、図4(a)に示される金属押し板のC−C断面図である。
【図5】図5(a)は、第1の実施形態に係るコンテナユニット分離組立装置を示す正面図であり、図5(b)は、図5(a)に示されるコンテナユニット分離組立装置の側面図である。
【図6】図6(a)は、図5(a)に示されるコンテナユニット分離組立装置にコンテナユニットを載置した状態を示す正面図であり、図6(b)は、図6(a)に示されるコンテナユニット分離組立装置の側面図である。
【図7】図7(a)は、第1の実施形態に係る金属押し板自動取外し装置を示す正面透視図であり、図7(b)は、図7(a)に示される金属押し板自動取外し装置の上面図である。
【図8】図8(a)は、図7(a)に示される金属押し板自動取外し装置の動作状態を示す正面透視図であり、図8(b)は、図8(a)に示される金属押し板自動取外し装置の上面透視図である。
【図9】図9(a)は、本発明に係るアルミニウムドロス処理装置の第2の実施形態を示す正面透視図であり、図9(b)は、図9(a)に示されるアルミニウムドロス処理装置の上面透視図である。
【図10】図10(a)は、第2の実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置の動作状態を示す正面透視図であり、図10(b)は、図10(a)に示されるアルミニウムドロス処理装置の上面透視図であり、図10(c)は、図10(a)の部分拡大図であり、図10(d)は、図10(b)の部分拡大図である。
【図11】図11(a)は、第2の実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置の動作状態を示す正面透視図であり、図11(b)は、図11(a)の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明に係る金属ドロス処理装置に関する第1の実施形態について、図1〜図8に基づいて説明すれば以下のとおりである。本実施形態では、本発明に係る金属ドロス処理装置を用いて、アルミニウムドロスを処理する場合について説明する。
【0046】
(1)アルミニウムドロス処理装置
図1(a)は、本実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置100の構成を示す側面透視図であり、図1(b)は、図1(a)に示されるアルミニウムドロス処理装置100の正面透視図である。図1(a)および図1(b)に示されるように、アルミニウムドロス処理装置(金属ドロス処理装置)100は、コンテナユニット1と、圧搾ユニット2と、圧搾ユニット昇降ユニット4と、フレームユニット5と、制御部(圧搾部材移動制御部)6とを備えている。
【0047】
コンテナユニット1は、コンテナ側壁部(円筒部材)11と、スリットダイス(有孔板状部材)12と、メタルケース(回収部材)13とから構成されており、コンテナユニット載置/搬送台15に載置されている。また、コンテナ側壁部11とスリットダイス12とは、融点以上に保持されたアルミニウムドロス3aを収容する圧搾室1Aを有する収容器(収容部材)1aを構成している。
【0048】
コンテナ側壁部11は、圧搾室1Aの壁部を構成する円筒部材であり、外周面の両端部には上部フランジ部11dと下部フランジ部11eとが突設されている。そのうち、圧搾室1Aの開口部側に突設された上部フランジ部11dには、圧搾室1Aを挟んで2つの位置決めガイド挿入口(ガイド部材挿入口)11cが設けられている。なお、コンテナ側壁部11の形状については後述する。
【0049】
スリットダイス12は、コンテナ側壁部11の下方に配置され、圧搾室1Aの底部を構成する、貫通孔12aが形成された板状部材である。貫通孔12aは、アルミニウムドロス3aに含まれる非金属粒子同士のアーチング現象を利用して、非金属粒子の通過を遮断し、溶融アルミニウムを通過させることにより、アルミニウムを分離する。貫通孔12aは、少なくとも1つ以上設けられていればよく、スリット状以外に、例えば、円形状に形成してもよい。なお、このようなスリットダイス12は、日本国特許公報第3155970号公報に開示されており、参照によって本願に引用される。
【0050】
メタルケース13は、スリットダイス12の下方に配置され、貫通孔12aを通過した溶融アルミニウムを回収する金属製の容器である。メタルケース13は、フレームユニット5の下部フレーム53に設置されたコンテナユニット載置/搬送台15に載置されている。
【0051】
コンテナユニット載置/搬送台15は、コンテナ側壁部11、スリットダイス12およびメタルケース13が積層されたコンテナユニット1を載置するものである。コンテナユニット載置/搬送台15は、コンテナユニット1を載置した状態で、フォークリフトなどによって搬送される。
【0052】
また、アルミニウムドロス処理装置100では、スリットダイス12上に、ガラスクロス(網状部材)14が敷設されている。ガラスクロス14は、熱伝導率の小さいガラス繊維からなる目開き3mm以下の布状フィルターであり、多くの微小開口部を有している。
【0053】
ここで、アルミニウムドロスを構成する非金属粒子の大部分は、粒子径1mm以下と非常に細かく、また、非金属粒子と溶融アルミニウムとの分離が進んでいるアルミニウムドロスでは非金属粒子の流動性が高い状態になっている。このため、非金属粒子の一部がスリットダイス12の貫通孔12aを通過して、回収された溶融アルミニウム上に落下する、或いは、メタルケース13に堆積してしまう。これは、アルミニウムドロス処理装置が本来目的とするアルミニウムと非金属粒子との分離効率を減じるものである。
【0054】
特に、塗料、油脂類の付着が多い溶解原料を大量に使用する工場から発生するアルミニウムドロスの場合、塗料、油脂類の燃焼残渣であるカーボンブラックが、非金属粒子およびアルミニウム液滴を全体的にコーティングする。この結果、非金属粒子相互の摩擦力が大幅に減じられて、非金属粒子同士のアーチング現象が封殺されるため、スリットダイス12の貫通孔12aを通過し易くなる。
【0055】
このような非金属粒子が貫通孔12aを通過することを抑制するためには、例えば、貫通孔12aの大きさを、1mm以上、3mm以下程度に小さくすることが考えられる。しかしながら、この場合、溶融アルミニウムの温度が貫通孔12aで低下し、半溶融、若しくは、凝固状態となって貫通孔12aを詰まらせてしまう。このため、アルミニウムの回収率が大きく低下し、また、貫通孔12aの詰まり除去、清掃に多大の労力が必要となり、コスト的に不利となる以上に実用性を損なうという結果を招く。
【0056】
そこで、アルミニウムドロス処理装置100では、スリットダイス12上にガラスクロス14を敷設することにより、貫通孔12aを通過し易い微小な非金属粒子、或いは、摩擦係数の低い非金属粒子などの固体粒子をガラスクロス14によって捕捉させる。これにより、実用性を損なうことなく、溶融アルミニウムと非金属粒子との分離効率を向上させることができる。
【0057】
次に、圧搾ユニット2は、コンテナユニット1の上方に配置されており、圧搾ヘッド(圧搾部材)21と、蓋板24とを備えている。
【0058】
圧搾ヘッド21は、圧搾室1Aに収容されたアルミニウムドロス3aを加圧して圧搾するものであり、スリットダイス12に対向する下面に加圧面23aを有している。また、圧搾ヘッド21は、移動方向に一定の外周で延在する円柱部位22と、円柱部位22の端面から加圧面23aまで外周を徐々に減じて延在するテーパー部位23とを有している。なお、圧搾ヘッド21の形状については後述する。
【0059】
蓋板24は、その下面で圧搾ヘッド21を垂下する板状部材であり、蓋板24には圧搾ヘッド21を挟んで2つの位置決めガイド(ガイド部材)25が平行に突設されている。
【0060】
位置決めガイド25は、加圧面23aよりもコンテナユニット1側に延在する棒状部材であり、その先端には突端部25aがそれぞれ設けられている。なお、位置決めガイド25および上述した位置決めガイド挿入口11cは、圧搾ヘッド21に対するコンテナユニット1の位置決めを行うための位置決め機構であり、その詳細については後述する。
【0061】
次に、圧搾ユニット昇降ユニット4は、圧搾ユニット2を垂直方向に昇降移動させるものであり、圧搾ユニット昇降シリンダ41と、シリンダロッド42と、連結板43と、昇降ガイド44とを備えている。
【0062】
圧搾ユニット昇降シリンダ41は、フレームユニット5の上部フレーム52に垂設されて固定されており、シリンダロッド42および連結板43を介して圧搾ユニット2の蓋板24に連結されている。また、圧搾ユニット昇降シリンダ41は、配線7を介して制御部6に接続されており、制御部6からの制御信号に従って、圧搾ユニット2を垂直方向に昇降移動させる。
【0063】
昇降ガイド44は、下方の端部が連結板43に固定された棒状部材であり、上部フレーム52を貫通することによって、圧搾ユニット2の垂直方向の昇降移動をガイドするものである。
【0064】
フレームユニット5は、アルミニウムドロス処理装置100の骨格を構成するものであり、上述した各ユニットを支持する。フレームユニット5は、コンテナユニット1を設置する下部フレーム53の四隅に突設された4つの側部フレーム51が、上部フレーム52の四角を支持している。なお、図1では省略しているが、アルミニウムドロス処理装置100の側面は、耐熱性を有する外壁パネルで覆われている。また、アルミニウムドロス処理装置100の正面側には、コンテナユニット1を搬入および搬出するための扉80が設けられている。
【0065】
制御部6は、アルミニウムドロス処理装置100の動作を制御するものである。制御部6は、圧搾ユニット昇降シリンダ41の昇降移動を制御する制御信号を生成し、配線7を介して圧搾ユニット昇降シリンダ41に送る。なお、制御部6は、ユーザの指示、或いは、所定のプログラムに従って制御信号を生成する。
【0066】
次に、アルミニウムドロス処理装置100が備える圧搾ヘッド21およびコンテナ側壁部11の形状について説明する。
【0067】
図2(a)は、図1に示される圧搾ユニット2を示す断面図であり、図2(b)は図1に示されるコンテナ側壁部11を示す断面図であり、図2(c)は図2(a)に示される圧搾ヘッド21を示す断面図であり、図2(b)に示されるコンテナ側壁部11に挿入した状態を示す断面図である。図2(a)に示されるように、圧搾ヘッド21は、円柱部位22と、テーパー部位23との2つの部位からなり、テーパー部位23は、円柱部位22の下端側、即ち、コンテナユニット1側に設けられている。
【0068】
円柱部位22は、圧搾ヘッド21の移動方向に中心軸を有する円柱部材であり、円柱外周面22aは、一定の外周で移動方向に延在して、テーパー外周面23bに連接している。
【0069】
テーパー部位23は、下端に円柱部位22より小径の加圧面23aを有しており、テーパー外周面23bは、円柱部位22の下端面の外縁から加圧面23aの外縁まで外周を徐々に減じて延在している。
【0070】
加圧面23aは、圧搾室1Aに収容されたアルミニウムドロス3aを加圧するものであり、本実施形態では、円弧状に深さWだけ窪んでいる。加圧面23aの外縁とテーパー外周面23bとは角度θをなして連接しており、これにより、加圧面23aの外縁に沿って凸状のエッジ23cが形成されている。
【0071】
なお、角度θは、エッジ23cが形成可能な角度であれば特に限定されない。また、本実施形態では、円弧状に深さWだけ窪んだ加圧面23aとすることで外縁にエッジ23cを設けているが、本発明はこれに限定されない。例えば、平面状の加圧面23aの外縁に段差を設けてエッジ23cを形成してもよい。
【0072】
テーパー外周面23bは、円柱外周面22aに対して所定の角度で傾斜しており、当該所定の角度は、0.5度以上、1.5度以下であることがこの好ましく、さらに好ましくは、0.8度以上、1.0度以下である。
【0073】
また、圧搾ヘッド21の全高に対する、円柱部位22とテーパー部位23との高さの割合は、60対40から70対30までの範囲内にあることが好ましく、本実施形態では、円柱部位22とテーパー部位23との高さの割合は65対35である。
【0074】
図2(b)に示されるように、コンテナ側壁部11は、上部開口部、即ち、圧搾ヘッド21が挿入される側の開口部の近傍から、垂直方向に一定の内周で延在する非テーパー内周面(第1の内周面)11aと、非テーパー内周面11aに連接し、下方に向けて内周を徐々に増して延在するテーパー内周面(第2の内周面)11bとを有している。
【0075】
また、上部開口部の外縁および上部開口部と反対側の下部開口部の外縁部分は面取りされており、各開口部の直径を増加させる方向に傾斜した傾斜面11f・11gが環状に形成されている。
【0076】
図2(c)に示されるように、圧搾ヘッド21をコンテナ側壁部11に挿入したとき、圧搾ヘッド21の円柱外周面22aは、コンテナ側壁部11の非テーパー内周面11aに緩嵌するようになっている。ここで、緩嵌とは、ごく僅かな隙間を介して嵌った状態をいい、本実施形態では、円柱外周面22aの直径は、非テーパー内周面11aの直径に対して5mm程度小さくしている。このため、円柱外周面22aと非テーパー内周面11aと間には、平均2.5mm程度の隙間が生じており、当該隙間を介して円柱部位22は非テーパー内周面11aに嵌るように設計されている。
【0077】
また、圧搾ヘッド21をコンテナ側壁部11に完全に挿入した状態、即ち、蓋板24の下面が、上部フランジ部11dの上面に当接した状態おいて、テーパー外周面23bとテーパー内周面11bとの傾斜が開始する位置は略一致しており、テーパー外周面23bとテーパー内周面11bとは、角度θをなしている。角度θ3.0度以上、5.0度以下であることが好ましく、さらに好ましくは、4.0度以上、5.0度以下である。
【0078】
次に、アルミニウムドロス処理装置100が備える位置決め機構について説明する。
【0079】
図3(a)は本実施形態に係る圧搾ユニット2の移動状態を示す側面透視図であり、図3(b)は図3(a)に示されるアルミニウムドロス処理装置100の正面透視図であり、図3(c)は図3(b)に示されるアルミニウムドロス処理装置100のA−A断面図である。
【0080】
図3(c)に示されるように、コンテナ側壁部11の上端部側面に設けられた上部フランジ部11dの上面は略正方形であり、圧搾室1Aを挟んで対称な位置に位置決めガイド挿入口11cが1つずつ設けられている。
【0081】
また、図3(a)および図3(b)に示されるように、蓋板24には、圧搾ヘッド21を挟んで対称な位置に位置決めガイド25が1つずつ設けられており、位置決めガイド25は、圧搾ユニット2が下降した際、位置決めガイド挿入口11cに挿入可能な位置に突設されている。
【0082】
従って、図3(a)に示されるように、圧搾ユニット2が下降したとき、位置決めガイド25は、圧搾ヘッド21に先行してコンテナユニット1に到達する。このため、位置決めガイド25を位置決めガイド挿入口11cに挿入しなが圧搾ユニット2を下降させることで、圧搾ヘッド21に対するコンテナユニット1の位置ズレを防止することができる。これにより、圧搾ヘッド21に対する圧搾室1Aの位置決めを正確に行うことができるので、圧搾ヘッド21とコンテナユニット1との接触による損傷を防止することができる。
【0083】
次に、上述した構成のアルミニウムドロス処理装置100を用いて、アルミニウムドロスから溶融アルミニウムを分離回収するアルミニウムドロス処理方法について説明する。
【0084】
まず、コンテナユニット1のスリットダイス12上に、ガラスクロス14を敷設する。或いは、コンテナユニット1の組み立て時に、予め、スリットダイス12にガラスクロス14を敷設しておき、その後、ガラスクロス14の上にコンテナ側壁部11を積層してもよい。
【0085】
次に、アルミニウムの融点以上に保持されたアルミニウムドロスを圧搾室1Aに収容し、コンテナユニット1をフレームユニット5の下部フレーム53上に設置する。
【0086】
次に、圧搾室1Aに収容されたアルミニウムドロス3aに対して振動を付与し、アルミニウム成分を液滴としてアルミニウムドロス3aから分離させる(分離ステップ)。これにより、アルミニウムドロス3a中の溶融アルミニウムの回収効率を高めることができる。なお、アルミニウムドロス3aに対して振動を付与する方法は特に限定されないが、アルミニウムドロス処理装置100に、振動を付与するための機構を組み込んでもよい。なお、このような振動を付与するための機構は、公開特許公報2006−312766号に開示されており、参照によって本願に引用される。
【0087】
次に、圧搾ユニット2を下降させる。このとき、位置決めガイド25を、圧搾ヘッド21に先行させて位置決めガイド挿入口11cに挿入する。これにより、圧搾ヘッド21に対するコンテナユニット1の位置決めを正確に行うことができる。
【0088】
また、図2(a)に示されるように、圧搾ヘッド21は、先端部にテーパー部位23を有しており、さらに、図2(b)に示されるように、コンテナ側壁部11の上部開口部の外縁部分には傾斜面11fが形成されている。このため、加圧面23aを圧搾室1Aに容易に挿入することができるので、圧搾ヘッド21に対するコンテナユニット1の位置決めの簡略性を確保することができる。
【0089】
次に、圧搾室1Aに収容されたアルミニウムドロス3aの表面を加圧面23aで脈動的に加圧して、アルミニウムドロス3aの表面に凝固層を形成する(凝固層形成ステップ)。
【0090】
具体的には、アルミニウムドロス3aの表面を加圧面23aによって僅かに加圧し、その状態を数秒間保持する。そして、圧搾ヘッド21を僅かに上昇させた後、圧搾ヘッド21を再度下降させて、アルミニウムドロス3aの表面を加圧面23aによって僅かに加圧し、その状態を数秒間保持するという動作サイクルを必要な回数分繰り返す。これにより、アルミニウムドロス3aの表面から数センチを凝固させた凝固層をアルミニウムドロス3aに形成することができる。
【0091】
なお、凝固層を形成させるための動作サイクルの回数は、アルミニウムドロス3aの温度、アルミニウムドロス3aを形成するアルミニウムの合金種などにより最適範囲が異なる。
【0092】
このため、動作サイクルの回数が不足している場合は、凝固層の形成が不十分となり本来の目的を達成できない。逆に、動作サイクルの回数が多すぎる場合は、凝固層が厚くなり過ぎるため、圧搾室1Aに収容されたアルミニウムドロス3aの温度が低下する。この結果、アルミニウムドロス3aに含まれる溶融アルミニウムの凝固、或いは、半凝固への移行が進み、アルミニウム回収率の低下をもたらす。
【0093】
従って、最適範囲内の動作条件を特定した後、制御部6に動作サイクルの動作プログラムに組み込み、以後は自動で凝固層形成ステップを行うことが好ましい。
【0094】
また、アルミニウムドロス処理装置100では、図2(a)に示されるように、加圧面23aの外縁にエッジ23cが設けられている。このため、凝固層形成ステップにおいて、エッジ23cがアルミニウムドロス3aの表面を動脈的に加圧するので、加圧面23aの外縁に面するアルミニウムドロス3aの表面に凝固層を容易に形成することができる。当該部分に凝固層を形成することにより、アルミニウムドロス3aを圧搾する際、圧搾ヘッド21のテーパー外周面23bとコンテナ側壁部11の非テーパー内周面11aとの隙間への溶融アルミニウムの流入を低減することができる。
【0095】
次に、圧搾ヘッド21をさらに下降させてアルミニウムドロス3aを圧搾する(圧搾ステップ)。このとき、図2(a)に示されるように、加圧面23aは円弧状に深さWだけ窪んでいるため、アルミニウムドロス3aは圧搾室1Aの下方内側に向かって加圧される。このため、圧搾ヘッド21のテーパー外周面23bとコンテナ側壁部11の非テーパー内周面11aとの隙間への溶融アルミニウムの流入をさらに低減することができる。
【0096】
また、圧搾ヘッド21のテーパー外周面23bとコンテナ側壁部11の非テーパー内周面11aとの僅かな隙間に流入した溶融アルミニウムは、圧搾ヘッド21の吸熱効果によって当該隙間を塞ぐように凝固する。これにより、テーパー外周面23bとコンテナ側壁部11の非テーパー内周面11aとの隙間へのさらなる溶融アルミニウムの流入を抑制することができる。
【0097】
また、圧搾ヘッド21の先端部にテーパー部位を設けたことで加圧面23aは減少するが、凝固したアルミニウムによって当該隙間を塞ぐことにより、圧搾効率の低下を防ぐことができる。
【0098】
さらに、圧搾ヘッド21の円柱部位22は、コンテナ側壁部11の非テーパー内周面11aに緩嵌しているため、圧搾ヘッド21の円柱外周面22aと、コンテナ側壁部11の非テーパー内周面11aとの間への溶融アルミニウムの流入は抑止される。
【0099】
従って、圧搾ヘッド21を円柱部位22とテーパー部位23とで構成することにより、圧搾ヘッド21と圧搾室1Aとの隙間に溶融アルミニウムが流入することを効果的に防止することができるため、押し板を介在させることなくバリ状の固着物の発生を抑制することができる。
【0100】
このようにして圧搾されたアルミニウムドロス3aに含まれる溶融アルミニウムは、スリットダイス12の貫通孔12aを通過する。ここで、アルミニウムドロス処理装置100では、図2(b)に示されるように、コンテナ側壁部11はテーパー内周面11bを有しており、また、コンテナ側壁部11の下部開口部の外縁には傾斜面11fが形成されている。このため、圧搾室1Aの底部の面積を拡大することができるので、通過する溶融アルミニウムの量を増加させることができる。これにより、アルミニウムの回収効率を向上させることができる。
【0101】
また、アルミニウムドロス処理装置100では、図1(a)および図1(b)に示されるように、スリットダイス12上にガラスクロス14が敷設されているため、溶融アルミニウムと非金属粒子との分離効率を向上させることができる。
【0102】
最後に、貫通孔12aを通過した溶融アルミニウムを、メタルケース13で回収することにより、アルミニウムドロス3aから溶融アルミニウムを適切に分離回収することができる。
【0103】
このように、アルミニウムドロス処理装置100によれば、位置決めの簡略性を確保しつつ、押し板を介在さずにバリ状の固着物の発生を抑制可能であり、さらに分離効率および回収効率に優れた金属ドロス処理方法を実現することができる。
【0104】
なお、本実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置100は、上述したように、押し板を介在さずにバリ状の固着物の発生を抑制することができる。しかしながら、押し板を介在させてアルミニウムドロス3aを圧搾することも可能である。
【0105】
図4(a)は、本実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置100に用いられる金属押し板60を示す下面図であり、図4(b)は、図4(a)に示される金属押し板60のB−B断面図であり、図4(c)は、図4(a)に示される押し板のC−C断面図である。
【0106】
図4(a)〜図4(c)に示されるように、金属押し板(押し板部材)60は、円盤61の下面、即ち、アルミニウムドロス3aを加圧する面に3つの隆起部62が設けられている。また、金属押し板60の上面の中心部分にはハンドル63が取り付けられている。
【0107】
図4(b)に示されるように、長手方向と垂直な面に対する隆起部62の断面は、峰62aを頂点とする三角形であり、3つの隆起部62が平行に隣り合って設けられている。
【0108】
また、図4(c)に示されるように、隆起部62の両端面は峰62aの長さを減じる方向にそれぞれ傾斜しており、円盤61の下面の端部と峰62aの端部とを結ぶ接線は、垂線に対して角度θをなしている。角度θは25度以上、35度以下であることが好ましく、本実施形態では、角度θは30度である。
【0109】
このように、金属押し板60のアルミニウムドロス3aを加圧する面に隆起部62を設けることにより、金属押し板60のアルミニウムドロス3aに接する表面積が増加するため、アルミニウムドロス3aの表面の凝固を促進することができる。これにより、金属押し板60の側面とコンテナ側壁部11の非テーパー内周面11aとの隙間への溶融アルミニウムの流入を抑制して、溶融金属の回収効率を向上させることができる。また、圧搾後のアルミニウムドロス3aには、隆起部62に応じた窪みが形成されるため、アルミニウムドロス3aの残渣を破砕する作業を容易にすることができる。
【0110】
(2)コンテナユニット分離組立装置
次に、本実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置100が備えるコンテナユニット1に好適に利用することができるコンテナユニット分離組立装置(コンテナユニット載置台)について説明する。
【0111】
コンテナユニット分離組立装置200は、コンテナ側壁部11、スリットダイス12およびメタルケース13が積層されたコンテナユニット1を分離して載置すると共に、コンテナユニット1の組み立て作業を簡略化するためのものである。
【0112】
図5(a)は、本実施形態に係るコンテナユニット分離組立装置200を示す正面図であり、図5(b)は、図5(a)に示されるコンテナユニット分離組立装置200の側面図である。
【0113】
図5(a)および図5(b)に示されるように、コンテナユニット分離組立装置200は、コンテナ側壁部載置部110と、スリットダイス載置部120と、基部130と、背面壁部140を備えている。
【0114】
コンテナ側壁部載置部110は、コンテナ側壁部11を載置するためのものであり、2つのコンテナ側壁部担持板111と、停止部112とを備えている。
【0115】
コンテナ側壁部担持板111は、図5(b)に示される矢印の方向、即ち、コンテナユニット1の搬入方向に対してそれぞれ平行に配置されており、コンテナ側壁部11の上部フランジ部11dを担持する。
【0116】
停止部112は、搬送されたコンテナユニット1のうち、コンテナ側壁部11の上部フランジ部11dを当接させて、コンテナユニット1の搬入方向に対するコンテナユニット1の位置決めを行う。このため、停止部112は、コンテナユニット1の搬入方向から見て、コンテナユニット分離組立装置200の背面側に配置された背面壁部140の上方に設けられている。
【0117】
スリットダイス載置部120は、スリットダイス12を載置するためのものであり、スリットダイス担持板121と、支持部122とを備えている。スリットダイス載置部120は、基部130の両側に1組ずつ対向するように配置されており、スリットダイス担持板121は、支持部122によって水平に支持されている。
【0118】
基部130は、コンテナユニット分離組立装置200の土台部分を構成するものである。基部130の上面はメタルケース載置面131であり、メタルケース13はコンテナユニット載置/搬送台15に載置された状態でメタルケース載置面131に載置される。
【0119】
背面壁部140は、コンテナユニット1の搬入方向から見て、メタルケース載置面131の背面側に直立に配置された板状部材であり、その上面でコンテナ側壁部載置部110を支持している。
【0120】
このようなコンテナユニット分離組立装置200に、コンテナユニット1を載置する場合、例えば、フォークリフトLなどで、コンテナユニット載置/搬送台15に載置した状態でコンテナユニット1をコンテナユニット分離組立装置200に搬入する。このとき、コンテナ側壁部11の上部フランジ部11dが、コンテナ側壁部担持板111よりも上方に位置するように持ち上げ、コンテナ側壁部11の上部フランジ部11dが停止部112に当接する位置まで押し出して位置決めを行う。
【0121】
図6(a)は、図5(a)に示されるコンテナユニット分離組立装置200にコンテナユニット1を載置した状態を示す正面図であり、図6(b)は、図6(a)に示されるコンテナユニット分離組立装置200の側面図である。
【0122】
図5(a)および図5(b)に示される位置に位置決めを行った後、図6(b)に示される矢印の方向に、コンテナユニット1を下降させる。このとき、図6(a)および図6(b)に示されるように、コンテナ側壁部11がコンテナ側壁部担持板111に、スリットダイス12がスリットダイス担持板121に、そして、メタルケース13がメタルケース載置面131に順次担持または載置される。
【0123】
このように、コンテナユニット分離組立装置200によれば、コンテナユニット1を分離しながら載置することが可能であるため、コンテナユニット1を分離するための作業効率を向上させることができる。
【0124】
なお、ここでは、コンテナユニット1を分離して載置する場合について説明したが、反対に、コンテナユニット分離組立装置200に載置されたコンテナユニット1を組み立てる場合ことも可能である。この場合、図6(a)および図6(b)に示される状態から、メタルケース13を上昇させることで、コンテナユニット1を容易に組み立てることができる。
(3)金属押し板自動取外し装置
次に、本実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置100が金属押し板を介在させて圧搾したアルミニウムドロス3aの残渣(以下、単に残渣と称する)から、融着した金属押し板を取り外す金属押し板自動取外し装置について説明する。
【0125】
図7(a)は、本実施形態に係る金属押し板自動取外し装置300を示す正面透視図であり、図7(b)は、図7(a)に示される金属押し板自動取外し装置300の上面図である。
【0126】
図7(a)および図7(b)に示されるように、金属押し板自動取外し装置300は、除去ユニット(除去手段)210と、分離ユニット(分離部材挿入手段)220と、回転円筒枠230と、除去/分離ユニット昇降ユニット240と、スリットダイス配置台202と、回収ケース203とを備えている。また、スリットダイス配置台202上には、上面に金属押し板60aが融着した残渣3bを載置したスリットダイス12が配置されている。
【0127】
除去ユニット210は、金属押し板60aの上面または側面(表面)に固着した固着物を除去するものであり、ヘッド211と、除去部材212と、除去ユニット移動シリンダ213と、シリンダロッド214とを備えている。
【0128】
除去部材212は、金属押し板60aの表面または側面に圧接して固着した固着物を除去するものであり、ヘッド211に保持されている。
【0129】
ヘッド211は、残渣3bに融着した金属押し板60aの上方に除去部材212を保持しており、一端がシリンダロッド214に接続されている。
【0130】
除去ユニット移動シリンダ213は、シリンダロッド214を介してヘッド211に連結されており、シリンダロッド214の伸縮に応じてヘッド211を水平方向に移動させる。また、各除去ユニット移動シリンダ213は、シリンダロッド214が装置の中心方向に向けて水平になるように、回転円筒枠230に取り付けられている。従って、除去ユニット移動シリンダ213は、金属押し板60aの遠心方向に沿ってヘッド211を移動させることができる。
【0131】
分離ユニット220は、残渣3bに融着した金属押し板60aを残渣3bから分離するためのものであり、分離ユニットシリンダ221と、分離ユニットシリンダ221の先端部に取り付けられた針223とを備えている。
【0132】
分離ユニットシリンダ221は、先端部に設けられた針223を伸縮させるものであり、各分離ユニット220は、針223が装置の中心方向に向けて水平になるように、回転円筒枠230に取り付けられている。
【0133】
回転円筒枠230は、除去/分離ユニット昇降ユニット240に垂下されており、回転駆動部(図示省略)によって回転可能に取り付けられている。回転円筒枠230には、除去ユニット移動シリンダ213と分離ユニットシリンダ221とが各4つずつ放射状に取り付けられている(図8(b)を参照)。
【0134】
除去/分離ユニット昇降ユニット240は、除去ユニット移動シリンダ213および分離ユニットシリンダ221が取り付けられた回転円筒枠230を垂直方向に昇降移動させるものである。除去/分離ユニット昇降ユニット240は、円筒枠昇降シリンダ241と、連結板243と、昇降ガイド244とを備えている。
【0135】
円筒枠昇降シリンダ241は、金属押し板自動取外し装置300の天面に垂設されて固定されており、連結板243を介して回転円筒枠230に連結されている。
【0136】
昇降ガイド244は、一方の端部が連結板243に固定された棒状部材であり、金属押し板自動取外し装置300の天面を貫通することによって、回転円筒枠230の垂直方向の昇降移動をガイドする。
【0137】
スリットダイス配置台202は、金属押し板60aが融着した残渣3bを載置したスリットダイス12を配置するものである。スリットダイス配置台202は、回転円筒枠230の下方に設けられており、中心部分に開口部202aが設けられている。
【0138】
回収ケース203は、開口部202aの下方に配置されており、金属押し板60aを残渣3bから取り外す際に滴下する溶融アルミニウムを回収する容器である。
【0139】
次に、残渣3bに融着した金属押し板60aを取り外す金属押し板自動取外し装置300の動作について説明する。
【0140】
図8(a)は、図7(a)に示される金属押し板自動取外し装置300の動作状態を示す正面透視図であり、図8(b)は、図8(a)に示される金属押し板自動取外し装置300の上面透視図である。
【0141】
図8(a)および図8(b)に示されるように、スリットダイス配置台202上に、金属押し板60aが融着した残渣3bを配置した後、回転円筒枠230を円筒枠昇降シリンダ241によって下降させる。このとき、除去部材212が、金属押し板60aの上面に当接する位置まで回転円筒枠230を下降させる。
【0142】
次に、円筒枠昇降シリンダ241によって金属押し板60aに向かって一定の圧力を加えながら、除去ユニット移動シリンダ213によって、ヘッド211を金属押し板60aの遠心方向に向けて水平移動させる。このとき、除去部材212は金属押し板60aの上面に圧接しながら金属押し板60aの遠心方向に移動するため、金属押し板60aの上面に固着した固着物を除去することができる。
【0143】
さらに、上述したように、円筒枠昇降シリンダ241によって金属押し板60aに向かって一定の圧力が加えられているため、除去部材212が金属押し板60aの上面の外縁に達したとき、除去部材212は金属押し板60aの側面に固着した固着物を除去する。これにより、金属押し板60aと残渣3bとの融着面を露出させることができる。
【0144】
次に、円筒枠昇降シリンダ241によって、金属押し板60aと残渣3bとの融着面の高さになるように、針223の位置を調整する。そして、回転円筒枠230を回転させて、露出した金属押し板60aと残渣3bとの融着面に針223を対向させる。
【0145】
次に、分離ユニットシリンダ221によって、露出した金属押し板60aと残渣3bとの融着面に針223を挿入することにより、金属押し板60aと残渣3bとを分離する。
【0146】
このように、金属押し板自動取外し装置300によれば、残渣3bから、金属押し板60aを自動的に取り外すことができる。
【0147】
なお、ここでは、回転円筒枠230を回転させる構成について説明したが本発明はこれに限定されない。例えば、金属押し板60aが融着した残渣3bを載置するスリットダイス配置台202を回転可能な構成としてもよい。
【0148】
以上のように、本実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置100は、アルミニウムの融点以上に保持されたアルミニウムドロス3aを収容する、少なくとも底部に貫通孔12aが形成された収容器1aと、収容器1aに収容されたアルミニウムドロス3aを圧搾する昇降可能な圧搾ヘッド21とを備え、圧搾ヘッド21は、移動方向に一定の外周で延在する円柱部位22と、収容器1aの底部に対向する加圧面23aを有し、円柱部位22の端面から加圧面23aまで外周を徐々に減じて延在するテーパー部位23と備え、円柱部位22は収容器1aの内周面に緩嵌する構成である。
【0149】
それゆえ、本実施形態によれば、置決めの簡略性を確保しつつ、押し板を介在させることなくバリ状の固着物の発生を抑制可能なアルミニウムドロス処理装置100を実現することができる。
【0150】
また、本実施形態によれば、アルミニウムドロス処理装置100を備えると共に、コンテナユニット分離組立装置200、および金属押し板自動取外し装置300などをさらに備えた金属ドロス処理装置システムを実現することができる。
〔第2の実施形態〕
本発明に係る金属ドロス処理装置の第2の実施形態について、図9から図11に基づいて説明すれば以下のとおりである。本実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置は、コンテナ側壁部とスリットダイスとの間にスペーサを挿入するスペーサ挿入ユニット(スペーサ部材挿入機構)を備える点で第1の実施形態と異なる。
【0151】
本実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置は、残渣を包持したコンテナ側壁部とスリットダイスとの間にスペーサを挿入した状態で、圧搾ヘッドによって残渣を加圧することにより、コンテナ側壁部に包持された残渣を分離することを特徴とするものである。
【0152】
なお、説明の便宜上、第1の実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0153】
図9(a)は、本実施形態に係るアルミニウムドロス処理装置100aを示す正面透視図であり、図9(b)は、図9(a)に示されるアルミニウムドロス処理装置100aの上面透視図である。
【0154】
図9(a)および図9(b)に示されるように、アルミニウムドロス処理装置100aは、スペーサ挿入ユニット70を備えている。スペーサ挿入ユニット70は、コンテナ側壁部載置台71と、昇降ガイド72と、コンテナ側壁部昇降シリンダ73と、スペーサ(スペーサ部材)75と、スペーサ連動軸76と、スペーサ回転軸77と、スペーサ移動シリンダ78とを備えている。
【0155】
コンテナ側壁部載置台71と、昇降ガイド72と、コンテナ側壁部昇降シリンダ73とは、コンテナ側壁部11を昇降させるコンテナ側壁部昇降ユニットである(円筒部材昇降手段)。
【0156】
また、スペーサ連動軸76と、スペーサ回転軸77と、スペーサ移動シリンダ78とは、コンテナ側壁部11とスリットダイス12との間にスペーサ75を移動させるスペーサ移動ユニット(スペーサ部材挿入手段)である。
【0157】
コンテナ側壁部載置台71は、コンテナ側壁部11の上部フランジ部11dを担持するものであり、2つのコンテナ側壁部載置台71が、コンテナ側壁部11の外周面を挟んで水平にして配置されている。
【0158】
昇降ガイド72は、コンテナ側壁部載置台71を貫通する棒状部材であり、コンテナ側壁部載置台71の昇降移動をガイドするものである。昇降ガイド72は、アルミニウムドロス処理装置100aの四角にそれぞれ突設されている。
【0159】
コンテナ側壁部昇降シリンダ73は、コンテナ側壁部載置台71を昇降移動させるものであり、昇降ガイド72と同様に、アルミニウムドロス処理装置100aの四角にそれぞれ突設されている。
【0160】
スペーサ75は、コンテナ側壁部11とスリットダイス12との間を所定の間隔に保持する断面コの字型の部材であり、コンテナ側壁部11を担持する。スペーサ75は、スペーサ回転軸77を中心として水平方向に回転可能に取り付けられており、コンテナユニット1を挟んで1つずつ配置されている。
【0161】
スペーサ連動軸76は、スペーサ75に連結されており、スペーサ移動シリンダ78の動作に従ってスペーサ75を連動させるものである。
【0162】
スペーサ回転軸77は、スペーサ75を貫通してアルミニウムドロス処理装置100aのフレームユニット5に固定されており、スペーサ回転軸77を回転可能に支持している。
【0163】
スペーサ移動シリンダ78は、シリンダロッド78a(図10を参照)を伸縮させることにより、スペーサ回転軸77を中心にスペーサ75を回転移動させるものである。
【0164】
図10(a)は、図9に示されるアルミニウムドロス処理装置100aの動作状態を示す正面透視図であり、図10(b)は、図10(a)に示されるアルミニウムドロス処理装置100aの正面透視図であり、図10(c)は、図10(a)の部分拡大図であり、図10(d)は、図10(b)の部分拡大図である。
【0165】
図10(a)〜図10(d)に示されるように、スペーサ移動シリンダ78がシリンダロッド78aを伸長させると、連結板79を介してシリンダロッド78aに連結されたスペーサ連動軸76が、スペーサ回転軸77を中心に回転してアルミニウムドロス処理装置100aの内部方向に移動する。このとき、スペーサ連動軸76に連結されたスペーサ75は、スペーサ連動軸76に連動して、スペーサ回転軸77を中心に90度回転する。これにより、アルミニウムドロス処理装置100aの内部方向にスペーサ75の一端を移動させることができる。
【0166】
一方、スペーサ移動シリンダ78がシリンダロッド78aを収縮させると、スペーサ75は、スペーサ連動軸76に連動して、スペーサ回転軸77を中心に逆回転する。これにより、スペーサ75をアルミニウムドロス処理装置100aの側面側に戻すことができる。このように、スペーサ移動シリンダ78の伸縮を制御することにより、スペーサ75を移動させることができる。
【0167】
次に、アルミニウムドロス処理装置100aのコンテナ側壁部11に包持された残渣を分離する動作について説明する。
【0168】
図11(a)は、図10に示されるアルミニウムドロス処理装置100aの動作状態を示す正面透視図であり、図11(b)は、図11(a)の部分拡大図である。
【0169】
まず、残渣3bを包持したコンテナ側壁部11を上昇させる。具体的には、コンテナ側壁部昇降シリンダ73(図10を参照)を制御し、コンテナ側壁部載置台71を上昇させる。このとき、コンテナ側壁部載置台71は、コンテナ側壁部11の上部フランジ部11dを担持して所定の高さまコンテナ側壁部11を上昇させる。
【0170】
次に、スペーサ移動シリンダ78を制御し、スペーサ回転軸77を中心に回転させることで、スペーサ75をコンテナ側壁部11の下方に移動させる。これにより、図11(b)に示されるように、スペーサ75の一端は、アルミニウムドロス処理装置100aの内部方向に配置される。
【0171】
次に、コンテナ側壁部昇降シリンダ73を制御し、コンテナ側壁部載置台71を下降させて、スペーサ75の上にコンテナ側壁部11を載置する。これにより、図11(a)に示されるように、コンテナ側壁部11とスリットダイス12との間にスペーサ75が挿入された状態になる。
【0172】
そして、圧搾ユニット昇降シリンダ41を制御して、圧搾ヘッド21を下降させ、コンテナ側壁部11に包持された残渣3bを加圧することにより、残渣3bをスリットダイス12上に落下させる。これにより、コンテナ側壁部11から残渣3bを分離することができる。
【0173】
以上のように、アルミニウムドロス処理装置100aはスペーサ挿入ユニットを備え、残渣3bを包持したコンテナ側壁部11とスリットダイス12との間にスペーサ75を挿入した状態で、圧搾ヘッド21によって残渣3bを加圧する構成である。
【0174】
それゆえ、本実施形態によれば、コンテナ側壁部11に包持された残渣3bを自動的にコンテナ側壁部11から分離することが可能なアルミニウムドロス処理装置100aを実現することができる。
【0175】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明は、圧搾によってアルミニウムなどの金属ドロスから溶融金属を分離回収する金属ドロス処理装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0177】
1 コンテナユニット
1a 収容器(収容部材)
1A 圧搾室
2 圧搾ユニット
3a アルミニウムドロス(金属ドロス)
3b 残渣(金属ドロス残渣)
6 制御部(圧搾部材移動制御部)
11 コンテナ側壁部(円筒部材)
11a 非テーパー内周面(第1の内周面)
11b テーパー内周面(第2の内周面)
11c 位置決めガイド挿入口(ガイド部材挿入口)
11d 上部フランジ部
11e 下部フランジ部
12 スリットダイス(有孔板状部材)
12a 貫通孔
13 メタルケース
14 ガラスクロス
15 コンテナユニット載置/搬送台
21 圧搾ヘッド(圧搾部材)
22 円柱部位
22a 円柱外周面(円柱部位の外周面)
23 テーパー部位
23a 加圧面
23b テーパー外周面(テーパー部位の外周面)
23c エッジ
24 蓋板
25 位置決めガイド(ガイド部材)
60 金属押し板(押し板部材)
60a 金属押し板(押し板部材)
75 スペーサ(スペーサ部材)
100 アルミニウムドロス処理装置(金属ドロス処理装置)
100a アルミニウムドロス処理装置(金属ドロス処理装置)
200 コンテナユニット分離組立装置
210 除去ユニット
220 分離ユニット
300 金属押し板自動取外し装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点以上に保持された金属ドロスを収容する、少なくとも底部に貫通孔が形成された収容部材と、
上記収容部材に収容された金属ドロスを圧搾する昇降可能な圧搾部材とを備える金属ドロス処理装置において、
上記圧搾部材は、移動方向に一定の外周で延在する円柱部位と、
上記収容部材の底部に対向する加圧面を有し、上記円柱部位の端面から当該加圧面まで外周を徐々に減じて延在するテーパー部位とを備え、
上記円柱部位は、上記収容部材に緩嵌することを特徴とする金属ドロス処理装置。
【請求項2】
上記収容部材は、
上記円柱部位の外周面に緩嵌する第1の内周面と、
上記第1の内周面に連接し、上記収容部材の底部まで内周を徐々に増して延在する第2の内周面と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の金属ドロス処理装置。
【請求項3】
上記圧搾部材に対する上記収容部材の位置決めを行うための位置決め機構を備え、
上記位置決め機構は、
上記圧搾部材を挟んで平行に突設され、上記加圧面よりも上記収容部材側に延在する少なくとも2つのガイド部材と、
上記収容部材の開口部を挟んで設けられ、上記ガイド部材を挿入可能な少なくとも2つのガイド部材挿入口と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の金属ドロス処理装置。
【請求項4】
上記圧搾部材の移動を制御する圧搾部材移動制御部を備え、
上記圧搾部材移動制御部は、上記収容部材に収容された金属ドロスの表面が上記加圧面によって脈動的に加圧されるように、上記圧搾部材を反復移動させることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の金属ドロス処理装置。
【請求項5】
上記収容部材は、
当該収容部材の壁部を構成する円筒部材と、
上記円筒部材の下方に配置され、当該収容部材の底部を構成する、貫通孔が形成された有孔板状部材と、
からなることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の金属ドロス処理装置。
【請求項6】
上記円筒部材と上記有孔板状部材との間を所定の間隔に保持するためのスペーサ部材を挿入するスペーサ部材挿入機構を備え、
上記スペーサ部材挿入機構は、
上記円筒部材を昇降移動させる円筒部材昇降手段と、
上記円筒部材昇降手段によって上昇させた上記円筒部材と、上記有孔板状部材との間に上記スペーサ部材を挿入するスペーサ部材挿入手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の金属ドロス処理装置。
【請求項7】
上記収容部材に収容された金属ドロスの表面を覆う押し板部材を備え、
上記押し板部材は、
上記収容部材に収容された金属ドロスを加圧する面に、複数の隆起部が並列に設けられており、
上記隆起部は、当該隆起部の長手方向から見た断面が、三角形であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の金属ドロス処理装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載の金属ドロス処理装置を備えることを特徴とする金属ドロス処理システム。
【請求項9】
圧搾室に収容された融点以上の金属ドロスを圧搾し、当該圧搾室の底部に形成された貫通孔から、金属ドロスに含まれる溶融金属を分離する金属ドロス処理方法において、
上記圧搾室に収容された金属ドロスを圧搾部材によって圧搾する圧搾ステップを有し、
上記圧搾ステップは、
上記圧搾部材の先端部に形成された外周を徐々に減じて延在するテーパー外周面と、上記圧搾室の内周面との隙間に流入した溶融金属を、上記圧搾部材で吸熱することにより凝固させて当該隙間を塞ぐ凝固ステップと、
上記圧搾部材の後端部に形成された一定の外周で延在する円柱部外周面を、上記圧搾室の内周面に緩嵌させる緩嵌ステップと、
を含むことを特徴とする金属ドロス処理方法。
【請求項10】
上記圧搾室に収容された金属ドロスの表面を上記圧搾部材で脈動的に加圧して、当該金属ドロスの表面に凝固層を形成する凝固層形成ステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の金属ドロス処理方法。
【請求項11】
上記圧搾室に収容された金属ドロスに対して振動を付与し、溶融金属を液滴として金属ドロスから分離させる分離ステップを有すること特徴とする請求項9または10に記載の金属ドロス処理方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−1811(P2012−1811A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110751(P2011−110751)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(390036858)ゼオンノース株式会社 (4)
【出願人】(503256092)
【Fターム(参考)】