金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤ及びその製造方法
【課題】電気伝導性及び光特性に優れたシリコンナノワイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のシリコンナノワイヤは、金属ナノクラスターが、シリコンナノ構造体の表面上に形成されてなる点に特徴を有する。金属ナノクラスターは、シリコンナノワイヤの電気的特性及び光学的特性を向上させる役割を果たす。よって、本発明のシリコンナノワイヤは、リチウム電池、太陽電池、バイオセンサー、メモリ素子などの多様な電気素子に有効に使用できる。
【解決手段】本発明のシリコンナノワイヤは、金属ナノクラスターが、シリコンナノ構造体の表面上に形成されてなる点に特徴を有する。金属ナノクラスターは、シリコンナノワイヤの電気的特性及び光学的特性を向上させる役割を果たす。よって、本発明のシリコンナノワイヤは、リチウム電池、太陽電池、バイオセンサー、メモリ素子などの多様な電気素子に有効に使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤ及びその製造方法に係る。より詳細には、シリコンナノ構造体の表面上に金属ナノクラスターが形成されてなるシリコンナノワイヤ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンナノワイヤのような1次元ナノ構造物は、優秀な物性を有していることから、ナノサイズの電子素子、光学素子、バイオセンサーなどへの応用可能性を有しており、次世代ナノ材料として大いに注目されている。
【0003】
特に、半導体の集積度向上及び速度増加のための垂直型構造のシリコンナノワイヤ電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)、シリコンの高容量特性を活用するためのシリコンナノワイヤリチウム電池及び太陽電池などについての研究が進みつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電気伝導性及び光特性に優れたシリコンナノワイヤを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の他の目的は、前記シリコンナノワイヤの製造方法を提供することである。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、前記シリコンナノワイヤの多様な応用分野を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、金属ナノクラスターが、シリコンナノ構造体の表面上に形成されてなるシリコンナノワイヤが提供される。
【0008】
好ましくは、前記金属ナノクラスターの平均サイズは、1〜10nmである。
【0009】
好ましくは、前記金属ナノクラスターの平均サイズは、2〜5nmである。
【0010】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、前記シリコンナノ構造体の表面上に1×105個/cm2以上の高密度で存在する。
【0011】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、シリコンナノ構造体の表面上に1×106個/cm2〜1×1016個/cm2の密度で存在する。
【0012】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、シリコンナノ構造体の表面上に1×1011個/cm2〜1×1013個/cm2の密度で存在する。
【0013】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、遷移金属、ランタノイド、13族元素(ただし、ホウ素を除く)及び14族元素(ただし、炭素及びケイ素を除く)からなる群から選択される一つ以上の金属を含む。
【0014】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択される一つ以上の金属を含む。
【0015】
好ましくは、前記シリコンナノワイヤの長手方向に対する垂直な断面は、六角形構造である。
【0016】
好ましくは、前記シリコンナノワイヤの末端部は、半球状の金属キャップを備える。
【0017】
好ましくは、前記シリコンナノワイヤの直径は、10〜50nmである。
【0018】
好ましくは、前記シリコンナノワイヤの長さは、0.5〜20μmである。
【0019】
好ましくは、前記金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に形成されたシリコンナノワイヤは、急速加熱化学気相蒸着、レーザー加熱化学気相蒸着または有機金属化学蒸着により得られる。
【0020】
本発明の他の一態様によれば、シリコン基板上に金属薄膜層を形成する段階Aと、得られた金属薄膜層を有するシリコン基板を化学気相蒸着装置のチャンバ内で水素雰囲気下で第1焼成して金属−シリコンアイランドを形成する段階Bと、前記チャンバ内に混合ガスを注入しつつ前記金属−シリコンアイランドが形成されたシリコン基板を第2焼成して、シリコンナノ構造体を成長させる段階Cと、を含むシリコンナノワイヤの製造方法が提供される。
【0021】
本発明の他の一態様によれば、前記金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に形成されたシリコンナノワイヤを備える電気素子が提供される。
【0022】
好ましくは、前記電気素子は、太陽電池、リチウム電池、トランジスタ、メモリ素子、光センサー、バイオセンサー、発光ダイオード、導波管、発光素子またはキャパシタなどである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤは、優れた電気伝導性及び光特性を有する。よって、当該シリコンナノワイヤは様々な半導体素子などに使用することができる。
【0024】
また、前記シリコンナノワイヤは、金属ナノクラスターとして毒性の少ない金または銀などを使用する場合、バイオ物質伝達用またはバイオセンサーなどに適したナノ物質として使用することができる。
【0025】
また、前記シリコンナノワイヤは、リチウム電池に採用した場合、伝導性に優れ、充放電によるシリコン劣化を低減する構造を有しているため、電気的特性に優れたリチウム電池を提供することができる。
【0026】
また、前記シリコンナノワイヤの表面プラズモン共鳴を利用することにより、応答信号の優秀な光素子、例えば、太陽電池などを提供することができる。
【0027】
前記シリコンナノワイヤに含まれる金属ナノクラスターは電荷捕獲特性に優れる。よって、既存の薄膜工程によるCTFフラッシュメモリに比べて、単純な工程で優れたトラップ特性を有する素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤのSEM画像である。
【図2A】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの単一拡大図である。
【図2B】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの上端部の部分拡大図である。
【図2C】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの中央部の部分拡大図である。
【図3A】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの断面TEM画像である。
【図3B】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの断面Z−コントラスト(STEM)画像である。
【図4A】実施例1で得られたシリコンナノワイヤに存在する金ナノクラスターの構造を示す高分解能Z−コントラスト画像である。
【図4B】図4Aに示したa領域のコントラスト強度差で区分したSi、Au原子を示すグラフである。
【図4C】図4Aに示したb領域のコントラスト強度差で区分したSi原子を示すグラフである。
【図4D】図4Aに示したc領域のコントラスト強度差で区分したAu原子を示すグラフである。
【図5】実施例1で得られたシリコンナノワイヤに存在する金キャップと金ナノクラスターとの表面プラズモン励起エネルギーを測定/比較したモノクローム−EELSデータを示すグラフである。
【図6】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤを利用して作製したナノ光デバイスのSEM画像である。
【図7A】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤを、さらに700℃で熱処理した後の表面拡大図である。
【図7B】図7Aの金ナノクラスターのサイズ分布を示すグラフである。
【図8A】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤを800℃で熱処理した後の表面拡大図である。
【図8B】図8Aの金ナノクラスターのサイズ分布を示すグラフである。
【図9A】実施例1で得られた金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤを900℃で熱処理した後の表面拡大図である。
【図9B】図9Aの金ナノクラスターのサイズ分布を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照しながら本発明の好ましい形態を説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきものであり、以下の形態のみに制限されない。
【0030】
本発明の一形態に係るシリコンナノワイヤは、2種以上の素材で構成されたヘテロ構造を有し、シリコン素材のナノ構造体(シリコンナノ構造体)の表面上に金属ナノクラスターが均一に形成された構造を有する。
【0031】
このようにシリコンナノ構造体の表面上に存在する(好ましくは高密度で存在する)金属ナノクラスターによって、シリコンナノワイヤが有する多様な物性、例えば、電荷容量特性、電荷捕獲特性、電気伝導性及び光特性などを向上させることが可能になる。
【0032】
従来のシリコンナノワイヤ(すなわち、金属ナノクラスターを有しないシリコンナノワイヤ)と比較して、金属ナノクラスターは高い電気伝導性を有する。よって、金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に存在する(好ましくは高密度で存在する)ことで、シリコンナノワイヤの電気伝導性を向上させることが可能になる。また、シリコンナノ構造体の表面上に存在する(好ましくは高密度で存在する)金属ナノクラスターによって生じる表面プラズモン共鳴を利用すれば、応答信号の優秀な光特性を提供することが可能になる。
【0033】
このような特性を提供できる金属ナノクラスターは、特に制限されないが、例えば、遷移金属、ランタノイド、13族元素及び14族元素からなる群から選択される一つ以上の金属を含みうる。ただし、これらのうち、非金属であるホウ素、炭素及びケイ素は除外される。好ましくは、金属ナノクラスターは、これらの金属のうち、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択された一つ以上の金属を含む。上記金属は、シリコンナノワイヤの用途により当業者が適宜選択することができる。例えば、シリコンナノワイヤを薬品伝達物質または生体応用分野に適用する場合は、無毒性の金属を使用することができ、例えば、金または銀が好ましく使用される。
【0034】
金属ナノクラスターは、金属原子または分子が集まってできる集合体であり、その形状は特に制限はなく、円形状のみならず不規則な形状を有していてもよい。金属ナノクラスターの平均サイズは、特に制限はないが、シリコンナノワイヤの直径以下のサイズ、例えば、500nm以下、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜10nm、さらに好ましくは2〜5nmでありうる。金属ナノクラスターの平均サイズが上記の範囲であれば、シリコンナノワイヤの特性を発揮することができる。金属ナノクラスターのサイズは、これらが円形状である場合に直径であり、不規則な形状である場合に長軸の長さ(輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離)として定義できる。
【0035】
金属ナノクラスターは、シリコンナノワイヤの表面上に高密度(1×105個/cm2以上)で存在することが好ましく、より好ましくは1×106個/cm2〜1×1016個/cm2、さらに好ましくは1×1011個/cm2〜1×1013個/cm2の範囲で存在しうる。このように金属ナノクラスターが高密度で存在する場合、当該金属ナノクラスターは均一に配列され、この時の各金属ナノクラスターの配列間隔は、例えば、1nm〜100nmの間隔でありうる。
【0036】
上述のような金属ナノクラスターの分布範囲、配列間隔、サイズなどは、金属ナノクラスターの用途によって製造条件を調節することにより、適宜調節することができる。
【0037】
金属ナノクラスターが形成されたシリコンナノワイヤのシリコンナノ構造体は、シリコン材料を含む。シリコン材料としては、例えば、非晶質シリコン、結晶質シリコン、シリカ含有シリコンなどが挙げられ、その形態や規格に関係なく使用できる。本発明の一形態に係るシリコンナノワイヤは、その長手方向に垂直な断面が六角形構造を有する。また、本発明の他の一形態に係るシリコンナノワイヤは、上端部(末端部)に半球状の金属キャップを有する。
【0038】
シリコンナノワイヤの直径は、特に制限はないが、好ましくは10〜500nmであり、より好ましくは10〜50nmである。また、シリコンナノワイヤの長さも特に制限はないが、好ましくは0.5〜20μmである。シリコンナノワイヤの直径は長手方向に対して垂直な断面における任意の2点間の距離のうち、最大の距離で定義される。例えば、断面が正六角形である場合、対向する頂点を連結した線の長さが直径となる。このようなシリコンナノワイヤの直径及び長さなどは、製造条件を調節することによって適宜調節することができる。
【0039】
シリコンナノワイヤは、水素雰囲気下でシリコン基板上に金属薄膜層を形成した後、シリコンナノ構造体を成長させることで製造できる。
【0040】
本発明の一形態によれば、シリコンナノワイヤは、シリコン基板上に金属薄膜層を形成した後、得られた金属薄膜層を有するシリコン基板を化学気相蒸着装置のチャンバ内で水素雰囲気下で第1焼成して金属−シリコンアイランドを形成し、次いで、チャンバ内に混合ガスを注入しつつ、金属−シリコンアイランドが形成されたシリコン基板を第2焼成して、シリコンナノ構造体を成長させることで製造される。本形態によると、シリコン基板上に形成された金属薄膜層が、第1焼成で金属−シリコンアイランドとなり、その後の第2焼成でシリコンナノ構造体の成長と共に、シリコンナノ構造体表面上に均一に配置され、金属ナノクラスターとなることによって、シリコンナノワイヤが形成される。
【0041】
シリコン基板上に形成される金属薄膜層は、金属ナノクラスターを形成する金属成分からなる金属薄膜層であり、遷移金属、ランタノイド、13族元素及び14族元素からなる群から選択された一つ以上の金属を含みうる。ただし、これらのうち、非金属であるホウ素、炭素及びケイ素は除外される。このような金属成分の例としては、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択された一つ以上の金属を含みうるが、これらに限定されるものではない。これらの金属成分のうち、金(Au)を含むことが好ましい。
【0042】
金属成分からなる薄膜層をシリコン基板上に形成する方法は、特に制限されないが、例えば、スパッタリング、化学気相蒸着法、スピンコーティング、原子層蒸着法、有機金属化学蒸着装備などを使用することができる。金属薄膜層の厚さも特に制限はないが、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜10nmでありうる。このような金属薄膜層は、シリコン基板の少なくとも一方の面上に形成されるが、両方の面上に形成されてもよい。
【0043】
上述のように金属薄膜層をシリコン基板上に形成した後、シリコンナノ構造体を成長させる。このようなシリコンナノ構造体の成長方法も特に制限はないが、例えば、急速加熱化学気相蒸着、レーザー加熱化学気相蒸着、有機金属化学気相蒸着などの方法が使用されうる。
【0044】
金属薄膜層が形成されたシリコン基板は化学気相蒸着装置のチャンバ内に設置され、シリコンナノ構造体の成長が行われる。チャンバとしては、例えば、ハロゲンランプまたはレーザーを使用する化学気相蒸着用チャンバなどが使用されうる。
【0045】
上述のようなチャンバ内で第1焼成を行うことにより、金属とシリコンとが互いに反応して金属−シリコンアイランドが基板上に均一に形成される。本明細書において、「金属−シリコンアイランド」とは、ナノサイズのケイ化物を含む粒子状物質を意味する。
【0046】
第1焼成は水素雰囲気下で行われ、好ましくは、0.1〜500Torrの気圧下で行われうる。このような第1焼成は、300〜1,000℃の範囲で5分間〜1時間行われうる。
【0047】
上述のような第1焼成によりシリコン基板上に金属−シリコンアイランドが均一に形成された後、次いで、第2焼成を行うことによりシリコンナノ構造体を成長させ、シリコンナノ構造体の表面上に金属ナノクラスターが形成されてなるシリコンナノワイヤが形成される。
【0048】
第2焼成は、混合ガスを流しつつチャンバ内の圧力と温度とをそれぞれ0.1〜10Torr(1Torr≒133.322Pa)、500〜600℃に維持した状態で、0.1〜10時間行われる。混合ガスとしては、SiH4とH2との混合ガスを例として挙げることができる。それぞれのガスの流量は特に制限はないが、SiH4は、例えば、1〜10sccmの量で使用され、H2は、例えば、10〜100sccmの量で使用される。なお、「sccm(standard cc/min)」は、1atm(101325Pa)、25℃における、1分間あたりの流量[cc(cm3)]を表す単位である。
【0049】
上述のような第2焼成を経れば、金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で均一に形成されたシリコンナノワイヤが得られる。
【0050】
金属ナノクラスターのサイズ、分布程度、配列間隔、またはシリコンナノワイヤの直径、長さなどは、第1焼成及び第2焼成でチャンバ内の圧力と温度、滞留時間などを調節して制御できる。例えば、金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤは、化学気相蒸着装置のチャンバ内の圧力、温度、滞留時間などを調節して制御できる。
【0051】
また、第2焼成を行った後、さらに300〜1,000℃で0.1〜10時間熱処理して、金属ナノクラスターのサイズまたは密度を調節する段階をさらに含むことができる。この際の熱処理は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0052】
上述のように製造された金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で均一に形成されたシリコンナノワイヤは、シリコンナノワイヤが有する電子捕獲特性、電気伝導性及び光特性(光吸収または光放出)などが向上されるため、多様な電気素子分野への活用が可能である。
【0053】
電気素子としては、リチウム電池、太陽電池、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)、CTF(Charge Trap Flash)メモリ、光センサー、バイオセンサー、発光ダイオード、表面プラズモン導波管、PL(Photoluminescence)素子、キャパシタなどが例示される。
【0054】
金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤをバイオ分野に使用する場合、バイオ物質の伝達やバイオセンサーに適した金属ナノクラスターがシリコンナノワイヤの表面に高密度で分布されているため、従来のシリコンナノワイヤに比べて毒性の少ないバイオ分野用ナノ物質としての応用が期待される。
【0055】
さらに、金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤをリチウム電池に採用する場合、従来のシリコンナノワイヤを備えるリチウム電池より伝導性に優れ、充放電によるシリコン劣化が低減しうる構造を有しているので、特性が改善されたシリコンナノワイヤリチウム電池を製造できる。
【0056】
またシリコンナノワイヤの表面の高密度で過飽和された金属ナノクラスターの表面プラズモン共鳴を利用して、応答信号の優秀な光素子の作製が可能である。また、金属ナノクラスターの電荷トラップ特性を利用して、既存の薄膜工程によるCTFフラッシュメモリに比べて工程が単純であり、かつトラップ特性の優秀な素子を作製することもできる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、下記の実施例は説明の目的のためのものであって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【0058】
[実施例1]
サイズ1.0×1.0cmであり、厚さ700μmのシリコン基板上に1.0〜1.5nmの金(Au)薄膜層をスパッタリングにより蒸着した。
【0059】
金薄膜層が形成されたシリコン基板を、ハロゲンランプが備えられた急速加熱化学気相蒸着装置のチャンバに設置した後、チャンバ内部を水素雰囲気、0.5Torrで700℃とし、10分間焼成して、50〜150nmのサイズを有する金−シリコンアイランドを形成した。
【0060】
金−シリコンアイランドが形成された後、チャンバの気圧と温度とを0.5Torr、550℃に維持させた状態で、SiH4(2sccm)とH2(50sccm)との混合ガスを60分間流しつつシリコンナノ構造体を成長させることで、当該シリコンナノ構造体の表面上に金ナノクラスターが形成されたシリコンナノワイヤを製造した。
【0061】
上記シリコンナノワイヤの側壁(sidewall)上の金ナノクラスターの数密度(number density)は少なくとも3×1012cm−2である。金ナノクラスターの形状が球状であり、平均サイズが4nmであると仮定すれば、シリコンナノワイヤ表面の全体の約37%が金ナノクラスターでコーティングされていることが分かる。このような密度は、高角度散乱暗視野(走査透過電子顕微鏡)法トモグラフィー(high−angle annular dark field scanning transmission electron microscopy tomography)で測定した。
【0062】
図1は、上述のような方法により得られた金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に形成されたシリコンナノワイヤのSEM画像を示す。図1に図示されたように、直径が30〜100nmであり、長さが0.5〜12μmであるシリコンナノワイヤがシリコン基板上に高密度で形成されたことが分かる。
【0063】
図2Aは、実施例1で得られた金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成された一つのシリコンナノワイヤをZ−コントラスト画像で拡大した画像である。一定の厚さを有するシリコンナノワイヤが形成されたことが分かる。
【0064】
図2Bは、図2Aに開示されたシリコンナノワイヤの上端部の部分拡大図である。シリコンナノワイヤの表面全体にわたってそのサイズが2〜5nmの金ナノクラスターが均一に分布しており、上端部に金からなる半球状のキャップが形成されたことが分かる。
【0065】
図2Cは、図2Aのシリコンナノワイヤの中央部の部分拡大図である。シリコンナノ構造体の表面全体にわたって、そのサイズが2〜5nmの金ナノクラスターが均一に分布していることが分かる。
【0066】
図3Aは、実施例1で得られた金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に形成されたシリコンナノワイヤの断面を撮影したTEM画像である。図3Bは、Z−コントラスト画像であって、これからシリコンナノワイヤの断面が六角形構造を形成しており、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面のみに一定の間隔で均一に分布することが分かる。
【0067】
3Dトモグラフィーでシリコンナノ構造体表面上の金ナノクラスターの密度を確認した結果、金ナノクラスターが3.2×1012個/cm2の高密度で存在することが確認された。
【0068】
図4Aは、実施例1で得られたシリコンナノ構造体の表面に金ナノクラスターがいかなる構造で分布しているかを確認した高分解能Z−コントラスト画像である。図4Aのa領域、b領域及びc領域のコントラスト強度分布を図4B〜図4Dに図示した。図4B〜4Dの強度分布において、強度の大きい位置には金、弱い位置にはケイ素原子が存在することを意味する。したがって、シリコンナノ構造体表面のシリコン部位にケイ素原子の代わりに金原子が置換されてなる過飽和構造をなしていることが確認された。
【0069】
図5は、実施例1で得られた金ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤの上端部に存在する金キャップと、表面上に存在する金ナノクラスターとの光学的特性をモノクローム−EELSで測定した結果を示すグラフである。金キャップは2.31eV(537nm)で、金ナノクラスターは3.12eV(397nm)で表面プラズモン共鳴が起きることを測定した。
【0070】
図6は、実施例1で得られた金ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤに397nm波長の光を照射した時、金ナノクラスターの表面プラズモン共鳴効果により抵抗値が低減する原理を利用して作ったナノ光デバイスの構造を示すSEM画像である。ナノ光デバイスは、ガラス基板上に数十μmサイズの金電極を形成し、その上に実施例1で得られた金ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤをブリッジ状に連結させた後、両側の金電極部分にあるナノワイヤを白金で覆って作製した。
【0071】
図7A、図8A、及び図9Aは、実施例1で得た金ナノクラスターが表面上に高密度で形成された一つのシリコンナノワイヤを、窒素雰囲気下で700℃、800℃、900℃熱処理して得られた金ナノクラスターの部分拡大図である。また、図7B、図8B、及び図9Bは、それぞれこれらの金ナノクラスターのサイズによる分布を示す。熱処理温度によって金ナノクラスターのサイズが1〜30nmサイズに変化できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、シリコンナノワイヤ関連の技術分野に好適に用いられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤ及びその製造方法に係る。より詳細には、シリコンナノ構造体の表面上に金属ナノクラスターが形成されてなるシリコンナノワイヤ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンナノワイヤのような1次元ナノ構造物は、優秀な物性を有していることから、ナノサイズの電子素子、光学素子、バイオセンサーなどへの応用可能性を有しており、次世代ナノ材料として大いに注目されている。
【0003】
特に、半導体の集積度向上及び速度増加のための垂直型構造のシリコンナノワイヤ電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)、シリコンの高容量特性を活用するためのシリコンナノワイヤリチウム電池及び太陽電池などについての研究が進みつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電気伝導性及び光特性に優れたシリコンナノワイヤを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の他の目的は、前記シリコンナノワイヤの製造方法を提供することである。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、前記シリコンナノワイヤの多様な応用分野を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、金属ナノクラスターが、シリコンナノ構造体の表面上に形成されてなるシリコンナノワイヤが提供される。
【0008】
好ましくは、前記金属ナノクラスターの平均サイズは、1〜10nmである。
【0009】
好ましくは、前記金属ナノクラスターの平均サイズは、2〜5nmである。
【0010】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、前記シリコンナノ構造体の表面上に1×105個/cm2以上の高密度で存在する。
【0011】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、シリコンナノ構造体の表面上に1×106個/cm2〜1×1016個/cm2の密度で存在する。
【0012】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、シリコンナノ構造体の表面上に1×1011個/cm2〜1×1013個/cm2の密度で存在する。
【0013】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、遷移金属、ランタノイド、13族元素(ただし、ホウ素を除く)及び14族元素(ただし、炭素及びケイ素を除く)からなる群から選択される一つ以上の金属を含む。
【0014】
好ましくは、前記金属ナノクラスターは、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択される一つ以上の金属を含む。
【0015】
好ましくは、前記シリコンナノワイヤの長手方向に対する垂直な断面は、六角形構造である。
【0016】
好ましくは、前記シリコンナノワイヤの末端部は、半球状の金属キャップを備える。
【0017】
好ましくは、前記シリコンナノワイヤの直径は、10〜50nmである。
【0018】
好ましくは、前記シリコンナノワイヤの長さは、0.5〜20μmである。
【0019】
好ましくは、前記金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に形成されたシリコンナノワイヤは、急速加熱化学気相蒸着、レーザー加熱化学気相蒸着または有機金属化学蒸着により得られる。
【0020】
本発明の他の一態様によれば、シリコン基板上に金属薄膜層を形成する段階Aと、得られた金属薄膜層を有するシリコン基板を化学気相蒸着装置のチャンバ内で水素雰囲気下で第1焼成して金属−シリコンアイランドを形成する段階Bと、前記チャンバ内に混合ガスを注入しつつ前記金属−シリコンアイランドが形成されたシリコン基板を第2焼成して、シリコンナノ構造体を成長させる段階Cと、を含むシリコンナノワイヤの製造方法が提供される。
【0021】
本発明の他の一態様によれば、前記金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に形成されたシリコンナノワイヤを備える電気素子が提供される。
【0022】
好ましくは、前記電気素子は、太陽電池、リチウム電池、トランジスタ、メモリ素子、光センサー、バイオセンサー、発光ダイオード、導波管、発光素子またはキャパシタなどである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤは、優れた電気伝導性及び光特性を有する。よって、当該シリコンナノワイヤは様々な半導体素子などに使用することができる。
【0024】
また、前記シリコンナノワイヤは、金属ナノクラスターとして毒性の少ない金または銀などを使用する場合、バイオ物質伝達用またはバイオセンサーなどに適したナノ物質として使用することができる。
【0025】
また、前記シリコンナノワイヤは、リチウム電池に採用した場合、伝導性に優れ、充放電によるシリコン劣化を低減する構造を有しているため、電気的特性に優れたリチウム電池を提供することができる。
【0026】
また、前記シリコンナノワイヤの表面プラズモン共鳴を利用することにより、応答信号の優秀な光素子、例えば、太陽電池などを提供することができる。
【0027】
前記シリコンナノワイヤに含まれる金属ナノクラスターは電荷捕獲特性に優れる。よって、既存の薄膜工程によるCTFフラッシュメモリに比べて、単純な工程で優れたトラップ特性を有する素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤのSEM画像である。
【図2A】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの単一拡大図である。
【図2B】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの上端部の部分拡大図である。
【図2C】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの中央部の部分拡大図である。
【図3A】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの断面TEM画像である。
【図3B】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤの断面Z−コントラスト(STEM)画像である。
【図4A】実施例1で得られたシリコンナノワイヤに存在する金ナノクラスターの構造を示す高分解能Z−コントラスト画像である。
【図4B】図4Aに示したa領域のコントラスト強度差で区分したSi、Au原子を示すグラフである。
【図4C】図4Aに示したb領域のコントラスト強度差で区分したSi原子を示すグラフである。
【図4D】図4Aに示したc領域のコントラスト強度差で区分したAu原子を示すグラフである。
【図5】実施例1で得られたシリコンナノワイヤに存在する金キャップと金ナノクラスターとの表面プラズモン励起エネルギーを測定/比較したモノクローム−EELSデータを示すグラフである。
【図6】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤを利用して作製したナノ光デバイスのSEM画像である。
【図7A】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤを、さらに700℃で熱処理した後の表面拡大図である。
【図7B】図7Aの金ナノクラスターのサイズ分布を示すグラフである。
【図8A】実施例1で得られた、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤを800℃で熱処理した後の表面拡大図である。
【図8B】図8Aの金ナノクラスターのサイズ分布を示すグラフである。
【図9A】実施例1で得られた金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成されたシリコンナノワイヤを900℃で熱処理した後の表面拡大図である。
【図9B】図9Aの金ナノクラスターのサイズ分布を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照しながら本発明の好ましい形態を説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきものであり、以下の形態のみに制限されない。
【0030】
本発明の一形態に係るシリコンナノワイヤは、2種以上の素材で構成されたヘテロ構造を有し、シリコン素材のナノ構造体(シリコンナノ構造体)の表面上に金属ナノクラスターが均一に形成された構造を有する。
【0031】
このようにシリコンナノ構造体の表面上に存在する(好ましくは高密度で存在する)金属ナノクラスターによって、シリコンナノワイヤが有する多様な物性、例えば、電荷容量特性、電荷捕獲特性、電気伝導性及び光特性などを向上させることが可能になる。
【0032】
従来のシリコンナノワイヤ(すなわち、金属ナノクラスターを有しないシリコンナノワイヤ)と比較して、金属ナノクラスターは高い電気伝導性を有する。よって、金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に存在する(好ましくは高密度で存在する)ことで、シリコンナノワイヤの電気伝導性を向上させることが可能になる。また、シリコンナノ構造体の表面上に存在する(好ましくは高密度で存在する)金属ナノクラスターによって生じる表面プラズモン共鳴を利用すれば、応答信号の優秀な光特性を提供することが可能になる。
【0033】
このような特性を提供できる金属ナノクラスターは、特に制限されないが、例えば、遷移金属、ランタノイド、13族元素及び14族元素からなる群から選択される一つ以上の金属を含みうる。ただし、これらのうち、非金属であるホウ素、炭素及びケイ素は除外される。好ましくは、金属ナノクラスターは、これらの金属のうち、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択された一つ以上の金属を含む。上記金属は、シリコンナノワイヤの用途により当業者が適宜選択することができる。例えば、シリコンナノワイヤを薬品伝達物質または生体応用分野に適用する場合は、無毒性の金属を使用することができ、例えば、金または銀が好ましく使用される。
【0034】
金属ナノクラスターは、金属原子または分子が集まってできる集合体であり、その形状は特に制限はなく、円形状のみならず不規則な形状を有していてもよい。金属ナノクラスターの平均サイズは、特に制限はないが、シリコンナノワイヤの直径以下のサイズ、例えば、500nm以下、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜10nm、さらに好ましくは2〜5nmでありうる。金属ナノクラスターの平均サイズが上記の範囲であれば、シリコンナノワイヤの特性を発揮することができる。金属ナノクラスターのサイズは、これらが円形状である場合に直径であり、不規則な形状である場合に長軸の長さ(輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離)として定義できる。
【0035】
金属ナノクラスターは、シリコンナノワイヤの表面上に高密度(1×105個/cm2以上)で存在することが好ましく、より好ましくは1×106個/cm2〜1×1016個/cm2、さらに好ましくは1×1011個/cm2〜1×1013個/cm2の範囲で存在しうる。このように金属ナノクラスターが高密度で存在する場合、当該金属ナノクラスターは均一に配列され、この時の各金属ナノクラスターの配列間隔は、例えば、1nm〜100nmの間隔でありうる。
【0036】
上述のような金属ナノクラスターの分布範囲、配列間隔、サイズなどは、金属ナノクラスターの用途によって製造条件を調節することにより、適宜調節することができる。
【0037】
金属ナノクラスターが形成されたシリコンナノワイヤのシリコンナノ構造体は、シリコン材料を含む。シリコン材料としては、例えば、非晶質シリコン、結晶質シリコン、シリカ含有シリコンなどが挙げられ、その形態や規格に関係なく使用できる。本発明の一形態に係るシリコンナノワイヤは、その長手方向に垂直な断面が六角形構造を有する。また、本発明の他の一形態に係るシリコンナノワイヤは、上端部(末端部)に半球状の金属キャップを有する。
【0038】
シリコンナノワイヤの直径は、特に制限はないが、好ましくは10〜500nmであり、より好ましくは10〜50nmである。また、シリコンナノワイヤの長さも特に制限はないが、好ましくは0.5〜20μmである。シリコンナノワイヤの直径は長手方向に対して垂直な断面における任意の2点間の距離のうち、最大の距離で定義される。例えば、断面が正六角形である場合、対向する頂点を連結した線の長さが直径となる。このようなシリコンナノワイヤの直径及び長さなどは、製造条件を調節することによって適宜調節することができる。
【0039】
シリコンナノワイヤは、水素雰囲気下でシリコン基板上に金属薄膜層を形成した後、シリコンナノ構造体を成長させることで製造できる。
【0040】
本発明の一形態によれば、シリコンナノワイヤは、シリコン基板上に金属薄膜層を形成した後、得られた金属薄膜層を有するシリコン基板を化学気相蒸着装置のチャンバ内で水素雰囲気下で第1焼成して金属−シリコンアイランドを形成し、次いで、チャンバ内に混合ガスを注入しつつ、金属−シリコンアイランドが形成されたシリコン基板を第2焼成して、シリコンナノ構造体を成長させることで製造される。本形態によると、シリコン基板上に形成された金属薄膜層が、第1焼成で金属−シリコンアイランドとなり、その後の第2焼成でシリコンナノ構造体の成長と共に、シリコンナノ構造体表面上に均一に配置され、金属ナノクラスターとなることによって、シリコンナノワイヤが形成される。
【0041】
シリコン基板上に形成される金属薄膜層は、金属ナノクラスターを形成する金属成分からなる金属薄膜層であり、遷移金属、ランタノイド、13族元素及び14族元素からなる群から選択された一つ以上の金属を含みうる。ただし、これらのうち、非金属であるホウ素、炭素及びケイ素は除外される。このような金属成分の例としては、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択された一つ以上の金属を含みうるが、これらに限定されるものではない。これらの金属成分のうち、金(Au)を含むことが好ましい。
【0042】
金属成分からなる薄膜層をシリコン基板上に形成する方法は、特に制限されないが、例えば、スパッタリング、化学気相蒸着法、スピンコーティング、原子層蒸着法、有機金属化学蒸着装備などを使用することができる。金属薄膜層の厚さも特に制限はないが、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜10nmでありうる。このような金属薄膜層は、シリコン基板の少なくとも一方の面上に形成されるが、両方の面上に形成されてもよい。
【0043】
上述のように金属薄膜層をシリコン基板上に形成した後、シリコンナノ構造体を成長させる。このようなシリコンナノ構造体の成長方法も特に制限はないが、例えば、急速加熱化学気相蒸着、レーザー加熱化学気相蒸着、有機金属化学気相蒸着などの方法が使用されうる。
【0044】
金属薄膜層が形成されたシリコン基板は化学気相蒸着装置のチャンバ内に設置され、シリコンナノ構造体の成長が行われる。チャンバとしては、例えば、ハロゲンランプまたはレーザーを使用する化学気相蒸着用チャンバなどが使用されうる。
【0045】
上述のようなチャンバ内で第1焼成を行うことにより、金属とシリコンとが互いに反応して金属−シリコンアイランドが基板上に均一に形成される。本明細書において、「金属−シリコンアイランド」とは、ナノサイズのケイ化物を含む粒子状物質を意味する。
【0046】
第1焼成は水素雰囲気下で行われ、好ましくは、0.1〜500Torrの気圧下で行われうる。このような第1焼成は、300〜1,000℃の範囲で5分間〜1時間行われうる。
【0047】
上述のような第1焼成によりシリコン基板上に金属−シリコンアイランドが均一に形成された後、次いで、第2焼成を行うことによりシリコンナノ構造体を成長させ、シリコンナノ構造体の表面上に金属ナノクラスターが形成されてなるシリコンナノワイヤが形成される。
【0048】
第2焼成は、混合ガスを流しつつチャンバ内の圧力と温度とをそれぞれ0.1〜10Torr(1Torr≒133.322Pa)、500〜600℃に維持した状態で、0.1〜10時間行われる。混合ガスとしては、SiH4とH2との混合ガスを例として挙げることができる。それぞれのガスの流量は特に制限はないが、SiH4は、例えば、1〜10sccmの量で使用され、H2は、例えば、10〜100sccmの量で使用される。なお、「sccm(standard cc/min)」は、1atm(101325Pa)、25℃における、1分間あたりの流量[cc(cm3)]を表す単位である。
【0049】
上述のような第2焼成を経れば、金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で均一に形成されたシリコンナノワイヤが得られる。
【0050】
金属ナノクラスターのサイズ、分布程度、配列間隔、またはシリコンナノワイヤの直径、長さなどは、第1焼成及び第2焼成でチャンバ内の圧力と温度、滞留時間などを調節して制御できる。例えば、金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤは、化学気相蒸着装置のチャンバ内の圧力、温度、滞留時間などを調節して制御できる。
【0051】
また、第2焼成を行った後、さらに300〜1,000℃で0.1〜10時間熱処理して、金属ナノクラスターのサイズまたは密度を調節する段階をさらに含むことができる。この際の熱処理は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0052】
上述のように製造された金属ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で均一に形成されたシリコンナノワイヤは、シリコンナノワイヤが有する電子捕獲特性、電気伝導性及び光特性(光吸収または光放出)などが向上されるため、多様な電気素子分野への活用が可能である。
【0053】
電気素子としては、リチウム電池、太陽電池、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)、CTF(Charge Trap Flash)メモリ、光センサー、バイオセンサー、発光ダイオード、表面プラズモン導波管、PL(Photoluminescence)素子、キャパシタなどが例示される。
【0054】
金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤをバイオ分野に使用する場合、バイオ物質の伝達やバイオセンサーに適した金属ナノクラスターがシリコンナノワイヤの表面に高密度で分布されているため、従来のシリコンナノワイヤに比べて毒性の少ないバイオ分野用ナノ物質としての応用が期待される。
【0055】
さらに、金属ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤをリチウム電池に採用する場合、従来のシリコンナノワイヤを備えるリチウム電池より伝導性に優れ、充放電によるシリコン劣化が低減しうる構造を有しているので、特性が改善されたシリコンナノワイヤリチウム電池を製造できる。
【0056】
またシリコンナノワイヤの表面の高密度で過飽和された金属ナノクラスターの表面プラズモン共鳴を利用して、応答信号の優秀な光素子の作製が可能である。また、金属ナノクラスターの電荷トラップ特性を利用して、既存の薄膜工程によるCTFフラッシュメモリに比べて工程が単純であり、かつトラップ特性の優秀な素子を作製することもできる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、下記の実施例は説明の目的のためのものであって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【0058】
[実施例1]
サイズ1.0×1.0cmであり、厚さ700μmのシリコン基板上に1.0〜1.5nmの金(Au)薄膜層をスパッタリングにより蒸着した。
【0059】
金薄膜層が形成されたシリコン基板を、ハロゲンランプが備えられた急速加熱化学気相蒸着装置のチャンバに設置した後、チャンバ内部を水素雰囲気、0.5Torrで700℃とし、10分間焼成して、50〜150nmのサイズを有する金−シリコンアイランドを形成した。
【0060】
金−シリコンアイランドが形成された後、チャンバの気圧と温度とを0.5Torr、550℃に維持させた状態で、SiH4(2sccm)とH2(50sccm)との混合ガスを60分間流しつつシリコンナノ構造体を成長させることで、当該シリコンナノ構造体の表面上に金ナノクラスターが形成されたシリコンナノワイヤを製造した。
【0061】
上記シリコンナノワイヤの側壁(sidewall)上の金ナノクラスターの数密度(number density)は少なくとも3×1012cm−2である。金ナノクラスターの形状が球状であり、平均サイズが4nmであると仮定すれば、シリコンナノワイヤ表面の全体の約37%が金ナノクラスターでコーティングされていることが分かる。このような密度は、高角度散乱暗視野(走査透過電子顕微鏡)法トモグラフィー(high−angle annular dark field scanning transmission electron microscopy tomography)で測定した。
【0062】
図1は、上述のような方法により得られた金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に形成されたシリコンナノワイヤのSEM画像を示す。図1に図示されたように、直径が30〜100nmであり、長さが0.5〜12μmであるシリコンナノワイヤがシリコン基板上に高密度で形成されたことが分かる。
【0063】
図2Aは、実施例1で得られた金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に高密度で形成された一つのシリコンナノワイヤをZ−コントラスト画像で拡大した画像である。一定の厚さを有するシリコンナノワイヤが形成されたことが分かる。
【0064】
図2Bは、図2Aに開示されたシリコンナノワイヤの上端部の部分拡大図である。シリコンナノワイヤの表面全体にわたってそのサイズが2〜5nmの金ナノクラスターが均一に分布しており、上端部に金からなる半球状のキャップが形成されたことが分かる。
【0065】
図2Cは、図2Aのシリコンナノワイヤの中央部の部分拡大図である。シリコンナノ構造体の表面全体にわたって、そのサイズが2〜5nmの金ナノクラスターが均一に分布していることが分かる。
【0066】
図3Aは、実施例1で得られた金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面上に形成されたシリコンナノワイヤの断面を撮影したTEM画像である。図3Bは、Z−コントラスト画像であって、これからシリコンナノワイヤの断面が六角形構造を形成しており、金ナノクラスターがシリコンナノ構造体の表面のみに一定の間隔で均一に分布することが分かる。
【0067】
3Dトモグラフィーでシリコンナノ構造体表面上の金ナノクラスターの密度を確認した結果、金ナノクラスターが3.2×1012個/cm2の高密度で存在することが確認された。
【0068】
図4Aは、実施例1で得られたシリコンナノ構造体の表面に金ナノクラスターがいかなる構造で分布しているかを確認した高分解能Z−コントラスト画像である。図4Aのa領域、b領域及びc領域のコントラスト強度分布を図4B〜図4Dに図示した。図4B〜4Dの強度分布において、強度の大きい位置には金、弱い位置にはケイ素原子が存在することを意味する。したがって、シリコンナノ構造体表面のシリコン部位にケイ素原子の代わりに金原子が置換されてなる過飽和構造をなしていることが確認された。
【0069】
図5は、実施例1で得られた金ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤの上端部に存在する金キャップと、表面上に存在する金ナノクラスターとの光学的特性をモノクローム−EELSで測定した結果を示すグラフである。金キャップは2.31eV(537nm)で、金ナノクラスターは3.12eV(397nm)で表面プラズモン共鳴が起きることを測定した。
【0070】
図6は、実施例1で得られた金ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤに397nm波長の光を照射した時、金ナノクラスターの表面プラズモン共鳴効果により抵抗値が低減する原理を利用して作ったナノ光デバイスの構造を示すSEM画像である。ナノ光デバイスは、ガラス基板上に数十μmサイズの金電極を形成し、その上に実施例1で得られた金ナノクラスターを含むシリコンナノワイヤをブリッジ状に連結させた後、両側の金電極部分にあるナノワイヤを白金で覆って作製した。
【0071】
図7A、図8A、及び図9Aは、実施例1で得た金ナノクラスターが表面上に高密度で形成された一つのシリコンナノワイヤを、窒素雰囲気下で700℃、800℃、900℃熱処理して得られた金ナノクラスターの部分拡大図である。また、図7B、図8B、及び図9Bは、それぞれこれらの金ナノクラスターのサイズによる分布を示す。熱処理温度によって金ナノクラスターのサイズが1〜30nmサイズに変化できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、シリコンナノワイヤ関連の技術分野に好適に用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンナノ構造体の表面上に金属ナノクラスターを有するシリコンナノワイヤ。
【請求項2】
前記金属ナノクラスターの平均サイズは、1〜10nmであることを特徴とする請求項1に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項3】
前記金属ナノクラスターの平均サイズは、2〜5nmであることを特徴とする請求項2に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項4】
前記金属ナノクラスターは、前記シリコンナノ構造体の表面上に1×105個/cm2以上の高密度で存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項5】
前記金属ナノクラスターは、シリコンナノ構造体の表面上に1×106個/cm2〜1×1016個/cm2の密度で存在することを特徴とする請求項4に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項6】
前記金属ナノクラスターが、1×1011個/cm2〜1×1013個/cm2の範囲で存在することを特徴とする請求項5に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項7】
前記金属ナノクラスターが、遷移金属、ランタノイド、13族元素(ただし、ホウ素を除く)及び14族元素(ただし、炭素及びケイ素を除く)からなる群から選択される一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項8】
前記金属ナノクラスターが、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項7に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項9】
前記金属ナノクラスターが、金(Au)を含むことを特徴とする請求項8に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項10】
前記シリコンナノワイヤの長手方向に対する垂直な断面が、六角形構造であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項11】
前記シリコンナノワイヤの末端部が、半球状の金属キャップを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項12】
前記シリコンナノワイヤの直径が、10〜500nmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項13】
前記シリコンナノワイヤの長さが、0.5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項14】
急速加熱化学気相蒸着法、レーザー加熱化学気相蒸着法または有機金属化学蒸着法により得られることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項15】
シリコン基板上に金属薄膜層を形成する段階Aと、
得られた金属薄膜層を有するシリコン基板を、化学気相蒸着装置のチャンバ内で水素雰囲気下で第1焼成して金属−シリコンアイランドを形成する段階Bと、
前記チャンバ内に混合ガスを注入しつつ前記金属−シリコンアイランドが形成されたシリコン基板を第2焼成して、シリコンナノ構造体をさせる段階Cと、を含むシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項16】
前記第1焼成が、300〜1,000℃の温度範囲で0.1〜500Torrの気圧下で行われることを特徴とする請求項15に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項17】
前記第2焼成が、0.1〜10Torrの気圧下で500〜600℃の温度範囲で行われることを特徴とする請求項15または16に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項18】
前記混合ガスが、SiH4とH2との混合ガスであることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項19】
前記金属薄膜層が、遷移金属、ランタノイド、13族元素(ただし、ホウ素を除く)及び14族元素(ただし、炭素及びケイ素を除く)からなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項20】
前記金属薄膜層が、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項19に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項21】
前記金属薄膜層が、金(Au)を含むことを特徴とする請求項20に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項22】
前記段階Cの後、300〜1,000℃で熱処理して、金ナノクラスターのサイズまたは密度を調節する段階Dをさらに含むことを特徴とする請求項15〜21のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項23】
請求項1〜14のうちいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤを備える電気素子。
【請求項24】
前記電気素子が、太陽電池、リチウム電池、トランジスタ、メモリ素子、光センサー、バイオセンサー、発光ダイオード、導波管、発光素子またはキャパシタであることを特徴とする請求項23に記載の電気素子。
【請求項1】
シリコンナノ構造体の表面上に金属ナノクラスターを有するシリコンナノワイヤ。
【請求項2】
前記金属ナノクラスターの平均サイズは、1〜10nmであることを特徴とする請求項1に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項3】
前記金属ナノクラスターの平均サイズは、2〜5nmであることを特徴とする請求項2に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項4】
前記金属ナノクラスターは、前記シリコンナノ構造体の表面上に1×105個/cm2以上の高密度で存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項5】
前記金属ナノクラスターは、シリコンナノ構造体の表面上に1×106個/cm2〜1×1016個/cm2の密度で存在することを特徴とする請求項4に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項6】
前記金属ナノクラスターが、1×1011個/cm2〜1×1013個/cm2の範囲で存在することを特徴とする請求項5に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項7】
前記金属ナノクラスターが、遷移金属、ランタノイド、13族元素(ただし、ホウ素を除く)及び14族元素(ただし、炭素及びケイ素を除く)からなる群から選択される一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項8】
前記金属ナノクラスターが、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項7に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項9】
前記金属ナノクラスターが、金(Au)を含むことを特徴とする請求項8に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項10】
前記シリコンナノワイヤの長手方向に対する垂直な断面が、六角形構造であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項11】
前記シリコンナノワイヤの末端部が、半球状の金属キャップを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項12】
前記シリコンナノワイヤの直径が、10〜500nmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項13】
前記シリコンナノワイヤの長さが、0.5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項14】
急速加熱化学気相蒸着法、レーザー加熱化学気相蒸着法または有機金属化学蒸着法により得られることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤ。
【請求項15】
シリコン基板上に金属薄膜層を形成する段階Aと、
得られた金属薄膜層を有するシリコン基板を、化学気相蒸着装置のチャンバ内で水素雰囲気下で第1焼成して金属−シリコンアイランドを形成する段階Bと、
前記チャンバ内に混合ガスを注入しつつ前記金属−シリコンアイランドが形成されたシリコン基板を第2焼成して、シリコンナノ構造体をさせる段階Cと、を含むシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項16】
前記第1焼成が、300〜1,000℃の温度範囲で0.1〜500Torrの気圧下で行われることを特徴とする請求項15に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項17】
前記第2焼成が、0.1〜10Torrの気圧下で500〜600℃の温度範囲で行われることを特徴とする請求項15または16に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項18】
前記混合ガスが、SiH4とH2との混合ガスであることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項19】
前記金属薄膜層が、遷移金属、ランタノイド、13族元素(ただし、ホウ素を除く)及び14族元素(ただし、炭素及びケイ素を除く)からなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項20】
前記金属薄膜層が、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガドリニウム(Gd)、銅(Cu)、インジウム(In)及び鉛(Pb)からなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項19に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項21】
前記金属薄膜層が、金(Au)を含むことを特徴とする請求項20に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項22】
前記段階Cの後、300〜1,000℃で熱処理して、金ナノクラスターのサイズまたは密度を調節する段階Dをさらに含むことを特徴とする請求項15〜21のいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤの製造方法。
【請求項23】
請求項1〜14のうちいずれか1項に記載のシリコンナノワイヤを備える電気素子。
【請求項24】
前記電気素子が、太陽電池、リチウム電池、トランジスタ、メモリ素子、光センサー、バイオセンサー、発光ダイオード、導波管、発光素子またはキャパシタであることを特徴とする請求項23に記載の電気素子。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2011−219355(P2011−219355A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81620(P2011−81620)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【出願人】(511083983)東国大学校産学協力団 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【出願人】(511083983)東国大学校産学協力団 (1)
【Fターム(参考)】
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