説明

金属ナノ粒子を含む、被膜への添加剤および当該添加剤の調製方法

本発明の添加剤は、最終的な被膜に、殺生物性、紫外線カットおよび難燃特性を付与するものであり、上記特性は、概して、Ag、Au、Cu、Mg、Zn、Bi、Sbの金属および化合物が本来備える性質から選択されたものである。上記添加剤は、最終的な被膜と親和性のある溶媒、界面活性剤、分散剤および樹脂としても使用されるものである。また、無機担体を必要とせず、上記添加剤を処理して得られた上記被膜では、ナノ粒子の完全な分布および分散が確実に可能である。上記添加剤の製造方法は、上記金属および化合物の既存のナノ粒子から開始する。上記ナノ粒子は、水性の有機媒体または乾燥粉末として存在可能であり、被膜に混合させる処理がなされる。上記被膜は、環境が大きく変化する条件にて使用される。上記方法を用いて、種々の機能的な添加剤を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、塗料および被膜において使用される添加剤に関する。その目的は、最終的な塗布物に関連する所望の性質を付与するものであり、特に、本発明は1つまたは複数の化合物、好ましくは金属化合物に係るナノ粒子を含む添加剤に関する。1つまたは複数の化合物、好ましくは、金属化合物に添加される溶媒、分散剤および界面活性剤は、塗料または被膜の性質に応じて選択される。
【0002】
〔背景技術〕
一般的な塗料、ワニスおよび被膜の本来の性質を異なる特性に変更するためにナノ粒子状物質を使用することが知られており、近年、非常に増加している。
【0003】
例えば、添加された材料に抗菌特性を付与するため、金属銀が使用されることが広く知られている。以下に特許文献を示す。
【0004】
金属またはそれらの化合物を使用することは、通常なされていることであり、金属またはそれらの化合物は、所望の特性を改善するための剤として用いられる。例えば、銀の抗菌的な使用は広く知られており、銀がナノサイズからなる場合、効果が向上することが知られている。ナノ金属銀が添加された材料は存在するが、上記金属銀は、数ミクロンサイズの不活性物質に被着している。その結果、ナノ粒子が高濃度で局在化した領域が生じる。
【0005】
酸化亜鉛はその殺藻効果で知られており、個人用の衛生品および皮膚薬剤として広く用いられている。ナノサイズの酸化亜鉛は紫外線を吸収でき、酸化亜鉛を含む材料を保護することができる。保護手段のない範囲のものは実質的に排除されてしまうため、ナノメートル規模の物質にとって、良好な分散および粒子サイズを制御することは有益である。
【0006】
マグネシウム水酸化物の難燃性効果も知られている。そして、その効果はナノサイズではより有利であるとの測定がなされている。例えば、透明性、使用された被膜の機械的特性に影響を与えないことが測定されている。これは、被膜および結果物への難燃性添加剤の調製方法に係る特許出願 PCT/MX2007/000046(Martinezら、2007)に示されている。
【0007】
同様に、Ag、Au、Cu、Bi、Mg、Zn、Sb、これらの酸化物、これらの水酸化物、これらの硫化物、これらの塩化物、これらの硫酸塩、および、これらの混合物のナノ粒子の性質を最終生成物の被膜に付与することができる。
【0008】
また、被膜に所定の品質または性質を与えるナノ粒子において、被膜が見出された例もある。特に対処すべき問題は、適用される量でナノ粒子を十分に分散させることである。これはナノ粒子の効果を低減させる凝集体の発生のためである。
【0009】
本発明は、被膜を通じてナノ粒子の均一な分布および十分な分散が確実に可能な添加剤に係るものである。より明確には、上記“添加剤”は、組成物の混合物または結合物を意味する。上記組成物には、不足している品質を付与する、または、すでに備える品質を向上させるための他の物質が添加される。特に、本発明の添加剤は、塗料、ワニスおよび重合体混合物などの被膜に利用される。上記塗料、ワニスおよび重合体混合物は、室温で流動性を有するものである。
【0010】
従来技術では、ナノ粒子の組み合わせに関して非常に多くの変形例が存在する。そして、上記変形例は被膜に所定の性質をもたらすものであり、この性質は上記のナノ粒子が固有に持つものである。
【0011】
CN特許第1850924号(Li、2006)には、銀ナノ粒子を含む抗菌性被膜の製造に関して記載がなされている。ポリエチレンワックスにおける銀ナノ粒子6%溶液を出発原料として、水素化されたアクリル樹脂またはアクリル酸ポリマーのエマルションを用いて上記添加剤が調製される。
【0012】
CN特許第1837035号(Wangら、2006)には、無機ナノ粒子を含むハイブリッド炭素細胞膜の調製方法の説明がなされている。この発明の生成物は、用途がただ一つに限定されている。
【0013】
日本国公開特許公報2005248136(ando、2005)では、被膜にナノメートル規模の銀を含む添加剤について論じられている。上記添加剤は表面に付着する海洋生物を抑制するものである。上記発明は、水に浸った表面上における海洋生物の除去および海事用途の塗装に限定される。
【0014】
TW特許220398(Liang 、2004)では、金属ナノ粒子を含む添加剤について論じられている。しかし、上記金属ナノ粒子は有機溶媒中で直接的に合成されるものである。この発明に係る生成物は有機溶媒と相性が良く、有機溶媒中で合成可能な原料に限定される。
【0015】
WO公開公報2003103392(Nonninger ら、2003)には、抗菌性の金属ナノ粒子を含む被膜が記載されている。しかし、上記ナノ粒子は他の粒子として二酸化チタンに限定される。
【0016】
米国特許公報2007017356A1(Sohnら、2007)は、光硬化樹脂による透明被膜を製造するための組成物に関する。上記被膜は銀ナノ粒子を含んでいる。本発明の生成物は、光硬化性の透明被膜における銀ナノ粒子に限定される。
【0017】
米国特許公報2006155033A1(Sisson、2006)では、接触面間の電気伝導率の向上、および、時間の影響に対する接触面の保護に使用されるエマルションが記載されている。上記接触面としては、例えば、電気コネクタが挙げられる。この被膜は、電気特性の付与および銀ナノ粒子の用途に限定される。
【0018】
米国特許第6855749B1(Yadav ら、2005)は、ナノ複合材料ポリマーに限定される。ナノ複合材料ポリマーは医療品の媒体、医療品および骨または歯のインプラントなど、生体利用用途の原料として主に使用される。
【0019】
米国特許第6228904B1(Yadav ら、2001)は、抵抗特性をもつナノ材料を有する重合体組成物、その方法および電気的特性をもつプラスチックの製造に係る混合物の利用について特に関連するものである。この文献は、問題となっている特性が電気的特性に関連することを除き、我々の発明として被膜の流動体混合物が利用可能であることを直接教示するものではない。
【0020】
本発明の添加剤は、最終的な被膜に、殺生物性、紫外線カットおよび難燃特性を付与するように設計されたものであり、上記特性は、概して、Ag、Au、Cu、Mg、Zn、Bi、Sbの金属および化合物が本来備える性質から選択されたものである。上記添加剤は、最終的な被膜と親和性のある溶媒、界面活性剤、分散剤および樹脂としても使用されるものである。また、無機担体を必要とせず、上記添加剤を含む上記被膜ではナノ粒子の完全な分布および分散が確実に可能である。上記添加剤の製造方法は、上記金属および化合物の既存のナノ粒子から開始する。上記ナノ粒子は、水性の有機媒体または乾燥粉末として存在可能であり、被膜に混合される処理がなされる。上記被膜は、環境が大きく変化する条件にて使用される。上記方法を用いて、種々の機能的な添加剤を得ることができる。
【0021】
〔本発明の目的〕
本発明の目的は、流動体の性質を持つ塗料、ワニスまたは被膜などの重合体混合物において添加剤として用いられる組成物を提供することにある。上記組成物にて、最終的な塗布物にて所望される特性が、金属性ナノメートル規模の粒子およびそれらの複合材料によって提供される。
【0022】
本発明の他の目的は、被膜に特性を付与する添加剤のナノ粒子を、被膜の体積中で均一な分布にすることにある。
【0023】
本発明の他の目的は、添加剤と被膜との両方の寿命の間、添加剤のナノ粒子が凝集せず、分散された状態を保持している添加剤を提供することにある。添加剤と被膜との両方の寿命の間、添加剤と被膜とは混合している。
【0024】
本発明のさらなる目的は、1つまたは複数の金属およびそれらの化合物のナノ粒子を適切に選択することによって、被膜にて所望される特性を得ることにある。
【0025】
さらに本発明の目的は、金属または金属化合物のナノ粒子がさらに担体を必要としない添加剤を提供することにある。上記担体としては、非凝集状態を保持するためのセラミック材料が挙げられる。
【0026】
当業者が以下の記載を読解することにより、これらおよび他の目的は明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る添加剤の製造方法を示すブロック図である。
【0028】
〔発明の詳細な説明〕
本発明に係る方法により添加剤が調製される。上記添加剤は、金属ナノ粒子およびそれらの複合材料から開始して製造される。金属ナノ粒子およびそれらの複合材料の平均粒子径は1〜100ナノメートルの範囲内から選択される。また、単分散であることが好ましく、すなわち、平均粒子径の変化量は非常に小さいことが好ましい。平均粒子径は所望の塗布物の機能となるものである。例えば、医療系の用途としては、平均粒子径は10nm未満であることが好ましく、紫外線カットにおいては、平均粒子径は約60nmであることが好ましい。純度は少なくとも95%である。
【0029】
本発明に係る添加剤の構成で用いられるナノ粒子の材料選定は、最終的な塗布物にて所望される特性に密接に関連する。表1から理解されるように、最終的な塗布物における所望の効果を得るために推奨されるパラメータの決定に役立つ用例が示されている。
【0030】
【表1】

【0031】
A:殺菌性、防カビ性、殺藻性などの殺生物特性
B:紫外線カット
C:難燃性
D:防カビ性
E:電気伝導性
F:光学特性
最終的な被膜との親和性を向上させるため、本発明では、添加剤の媒体を変更させる点に重要な部分がある。そのため、構成が制限される、ナノ粒子の媒体と添加剤のベースとの間に親和性が無くとも、表1によって選定されたナノ粒子は、最終的には被膜に混合される処理がなされる。上記処理は、水性または有機懸濁液または粉末状のナノ粒子から開始される。
【0032】
図1は本発明に係る添加剤の製造方法を示すブロック図である。図1によれば、2つの領域が存在する。部材番号IおよびIIによれば;第1に、ブロック(10)からブロック(40)の構成はナノ粒子の前処理を示す。そして、ブロック(50)からブロック(60)の構成は添加剤自体の調製方法を示す。
【0033】
前処理段階の領域Iにおいて、ブロック(10)は原材料を示し、原材料は金属ナノ粒子、それらの複合材料またはそれらの混合物から構成されている。上記原材料は、添加剤の調製に使用されることとなり、好ましくは湿性ペーストであることが好ましい。しかしながら、ある特定の塗布物では水分が無いことが必要であり、乾燥粉末であることが好ましい。すでに上述したように、ナノ粒子は、1〜100ナノメートルの範囲で平均粒子径を有しており、純度は少なくとも95%である。この原料はブロック(20)に供給される。
【0034】
ブロック(20)は、“媒体の変更”について設計する工程を意味する。原材料は、含有された水分または溶媒を除去するために洗浄される。本発明では、“親和性のある”溶媒に置換される。すなわち、相分離を伴わずに、溶媒または最終的な塗布物(“目的被膜”)の希釈剤との混合がなされる。この行為により目的被膜と接触する集合体が形成することを抑制できる。
【0035】
この処理は、好ましくは5分〜30分間、強く撹拌することによりなされる。また、必要に応じてより長時間としてもよい。混合物は、分散器によって、乱流状態にて撹拌される。上記分散器は、少なくとも2m/s〜最大30m/sの撹拌速度を生じさせる剪断盤または他のデバイスを有している。撹拌後、相分離が起こり、5%未満の残留湿気量が固体相で得られるまで、当該処理が繰り返される。
【0036】
溶媒または希釈剤の性質が起因となり、および、目的被膜に含まれる樹脂が起因となり、ナノ粒子が反応し得る場合、“媒体の変更”(20)の工程の前に、目的被膜との親和性のある公知の界面活性剤を用いて、ナノ粒子に対して表面処理(16)を行う必要がある。表面処理(16)を行うかについてはブロック(15)で示されるように判断がなされる。
【0037】
“媒体の変更”(20)の工程には、被膜に混合された状態、または、後の表面処理後の塗布物上にて、領域IIの分離段階(50)でナノ粒子の凝集が生じないようにする目的がある。
【0038】
本事例におけるブロック(30)では、目的被膜中の樹脂および溶媒または希釈剤の性質に応じて、添加剤において許容される残留湿気量が非常に低いまたは0に近い場合、媒体の変更”(20)の段階は一旦完了する。固体相における残留湿気量は、乾燥工程(40)によって低減される。上記乾燥工程(40)での工程温度は、媒体の沸点よりも低く管理される。上記工程は目的被膜に許容される残留湿気量が得られるまで継続される。
【0039】
乾燥工程(40)の結果、ナノ粒子の“乾燥”粉末が得られる。上記乾燥粉末は、添加剤の次工程まで貯蔵可能である。この方法にて得られた生成物は、性質が保持される期間が長い。
【0040】
5%オーダーでの湿気量が最終的な塗布物で許容される場合、上記ブロック(40)で表わされる乾燥工程は省略される。
【0041】
第1の段階において、工程(25)または工程(45)の1つまたは2つの経路から、生成物が“乾燥”または湿気のある状態にて得られる。上記生成物に対して領域IIでの分散工程(50)がなされる。分散工程(50)は、本発明の目的被膜において使用可能な状態の添加剤を調製する工程である。
【0042】
この段階において、ブロック(20)またはブロック(40)からペーストまたは“乾燥”粉末が、分散工程(50)に供給される。表2および表3に示すように、分散工程(50)では、目的被膜と親和性のある樹脂および分散剤が添加される。
【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
分散工程(50)は、15m/s〜30m/sの撹拌速度を有する撹拌器または分散器によってなされる。目的被膜の粘度に適合するように、混合物の粘度は溶媒または希釈剤を添加することによって調節される。好ましくは、被膜と同等か、被膜と親和性のある粘度である。上記混合物における分散剤の割合は、乾燥状態のナノ粒子を基準として0.5%〜10%である。
【0046】
分散工程(50)から得られた生成物(60)は、本発明に係る添加剤である。さらに好ましい形態として、上記添加剤の構成はナノ粒子が99重量%以上である。
【0047】
本発明の方法によって得られた添加剤は、段階(20)において媒体の変更処理がなされている。そして、段階(50)において樹脂および分散剤との混合がなされている。生成物は、表2および表3に示されるように適切な樹脂および分散剤が選定されることによって調製されたものであり、目的被膜と完全に親和性がある。そして、適切な界面活性剤が選定され、必要に応じてさらに、構成された状態においてナノ粒子の高い均一な分散性が維持されている。よってナノ粒子を目的被膜に添加でき、上記添加剤は容易にかつ速やかに混合される。また、被膜の体積中でナノ粒子がその均一分散された状態を維持する。そのため、表面を保護する処理の後、被膜層において表面が保護される。
【0048】
〔実施例1:ポリエステルベースの塗料用途の有機マトリックス中で使用される添加剤の調製〕
1.MALVERN Zetasizer Nano ZS タイプの装置内で、含水率が64%、光子相関分光法(PCS)にて測定された粒度分布D10が16.3nm、D50が23.9nm、D90が43.5nmである金属銀のナノ粒子ペーストから開始した。実証のため、300グラムを使用する。
【0049】
2.ナノ粒子のペーストを、プロペラ分散器付きBerzelius 型の細口ビーカーに注ぐ。さらに、2倍量のブチルセロソルブ溶液をペーストと同様に添加する。5分間、撹拌を行う。
【0050】
3.物理的手段(デカンテーション、ろ過、遠心分離など)によって母液からナノ粒子を分離する。カールフィッシャー法によって水分を物理的に分析するため、上記母液を保持する。また、得られたナノ粒子のペーストの含水量を計算するために、上記ペーストの量を測定する。
【0051】
4.含水量が5%未満または最終的な塗布物に許容される値に到達するまで必要な限り上記の工程2および工程3を繰り返す。
【0052】
5.工程2および工程3を3回以上繰り返す。しかし、本工程では溶媒をプロピレングリコールアセテートメチルエーテルに変更する。
【0053】
6.分離管中に、当該系と親和性のあるポリエステルベースの樹脂または他の樹脂を125グラム溶解する。例えば、溶媒がプロピレングリコールアセテートメチルエーテル100mlのLaropal (登録商標)A 81(BASF)が挙げられる。公知の方法にて樹脂が完成に溶解したことを確認する。
【0054】
7.工程5にて得られたナノ粒子のペーストを、工程6の樹脂および溶媒の溶液に分散させる。表2および表3にて推奨される選定から20gの分散剤を添加する。撹拌速度は15m/s〜30m/sであり、時間は5分〜30分であることが推奨される。そして、公知の方法にてペーストが分散されたことを確認する。
【0055】
8.工程7にて分散させたペーストに樹脂(375グラム)の残分を希釈する。さらにプロピレングリコールアセテートメチルエーテルの溶液を400mL添加する。この添加は、撹拌速度5m/sにて1時間かけてなされる。
【0056】
9.プロピレングリコールアセテートメチルエーテルに溶解したペーストを1000グラムに調節する。ナノ粒子の割合、ペーストにおける全ての固体の割合、密度、粘度、顕微鏡による形態、カールフィッシャー法による物理的湿度を確認する。
【0057】
〔実施例2:ポリウレタンベースの塗料用途の有機マトリックス中で使用される添加剤の調製〕
1.MALVERN Zetasizer Nano ZS タイプの装置内で、含水率が64%、光子相関分光法(PCS)にて測定された粒度分布D10が16.3nm、D50が23.9nm、D90が43.5nmである金属銀のナノ粒子ペーストから開始した。実証のため、300グラムを使用する。
【0058】
2.ナノ粒子のペーストを、プロペラ分散器付きBerzelius 型の細口ビーカーに注ぐ。さらに、2倍量のブチルセロソルブ溶液をペーストと同様に添加する。5分間、撹拌を行う。
【0059】
3.物理的手段(デカンテーション、ろ過、遠心分離など)によって母液からナノ粒子を分離する。カールフィッシャー法によって水分を物理的に分析するため、上記母液を保持する。また、得られたナノ粒子のペーストの含水量を計算するために、上記ペーストの量を測定する。
【0060】
4.含水量が5%未満または最終的な塗布物に許容される値に到達するまで必要な限り上記の工程2および工程3を繰り返す。
【0061】
5.分離管中に、当該系と親和性のあるポリウレタンベースの樹脂または他の樹脂を125グラム溶解する。例えば、ブチルセロソルブ100mlに溶解したLaropal (登録商標)A 81(BASF)が挙げられる。公知の方法にて樹脂が完成に溶解したことを確認する。
【0062】
6.工程5にて得られたナノ粒子のペーストを、工程6の樹脂および溶媒の溶液に分散させる。表2および表3にて推奨される選定から20gの分散剤を添加する。撹拌速度は15m/s〜30m/sであり、時間は5分〜30分であることが推奨される。そして、公知の方法にてペーストが分散されたことを確認する。
【0063】
7.工程7にて分散させたペーストに樹脂(375グラム)の残分を希釈する。さらにブチルセロソルブの溶液を400mL添加する。この添加は、撹拌速度5m/sにて1時間かけてなされる。
【0064】
8.ブチルセロソルブ溶液に溶解したペーストを1000グラムに調節する。ナノ粒子の割合、ペーストにおける全ての固体の割合、密度、粘度、顕微鏡による形態、カールフィッシャー法による物理的湿度を確認する。
【0065】
当業者にとって明白なように、本発明に係る添加剤の製造にて上述した方法は、上記方法を変更する必要なく、表1に従って化合物または化合物の混合物を選定することによって、最終的な塗布物における所望の特性を付与する適切な添加剤を得るため、使用可能である。また、他の元素またはそれらの化合物は、同様の製造方法におけるこれらのまたは他の特性を付与するために使用可能である。なお、特許請求の範囲における発明は新規性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)表面を保護し、(2)殺生物性(殺菌性、防カビ性、殺藻性)、紫外線カット、難燃性および電気特性などの所望の特性を付与する被膜において混合される添加剤であって、
当該添加剤は、上記活性剤として、金属、金属化合物またはこれらの混合物と、媒体と、分散剤と、樹脂とを含み、
a.当該添加剤は、1ナノメートル〜100ナノメートルの平均粒子径を有し、
b.当該添加剤は、被膜における所望の特性に関して選定されたものであり、
c.上記媒体は、当該添加剤により調製される被膜の所望の特性と親和性があり、
d.上記樹脂は、当該添加剤により調製される被膜の所望の特性と親和性があり、
e.上記分散剤は、目的被膜と親和性があることを特徴とする添加剤。
【請求項2】
上記活性剤が好ましくは単分散であることを特徴とする請求項0に記載の被膜への添加剤。
【請求項3】
当該添加剤の重量に対して1重量%〜99重量%の比率にて上記活性剤が存在していることを特徴とする請求項0に記載の被膜への添加剤。
【請求項4】
上記分散剤が、乾燥状態の活性剤を基準として0.5%〜10%の量にて存在していることを特徴とする請求項0に記載の被膜への添加剤。
【請求項5】
上記活性剤が好ましくは、Ag、Au、Cu、Mg、Zn、Bi、Sb、これらの酸化物、これらの水酸化物、これらの硫化物、および、これらの混合物からなる群から選ばれる金属または金属化合物であることを特徴とする請求項0に記載の被膜への添加剤。
【請求項6】
当該添加剤が一度目的被膜に混合されると、均一に分散されることを特徴とする請求項0に記載の被膜への添加剤。
【請求項7】
対象となる被膜の所望の固有特性を妨げないことを特徴とする請求項0に記載の被膜への添加剤。
【請求項8】
上記被膜の体積において、均一に分布する上記活性剤によって上記特性が付与されることを特徴とする請求項0に記載の被膜への添加剤。
【請求項9】
当該添加剤における活性剤のナノ粒子が、互いに混合している添加剤および被膜の両方の寿命の間、凝集しないことを特徴とする請求項0に記載の被膜への添加剤。
【請求項10】
表面を保護する被膜への添加剤の調製方法において、
当該添加剤の活性剤が、金属、金属化合物またはこれらの混合物であり、
上記活性剤を前処理する第1の段階と、上記添加剤を調製する第2の段階とを含んでおり、
i) 上記第1の前処理段階において、活性剤の含水量を必要に応じて減少させ、水分を、上記被膜と親和性のある媒体に置換し(“媒体の変更”)、
ii)上記第2の段階において、前処理された活性剤の分散体を調製し、上記被膜と親和性のある樹脂、分散剤および溶媒と、上記分散体とを混合し、
iii) 得られた添加剤は上記被膜と親和性があり、公知の混合方法によって上記被膜と容易に混合するものであり、上記被膜の体積中にて、活性剤を均一に分布することが確実に可能であることを特徴とする添加剤の調製方法。
【請求項11】
上記活性剤の粒度分布が単一分散であり、上記活性剤の粒子径は1〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項10に記載の添加剤の調製方法。
【請求項12】
活性剤を上記親和性のある媒体によって洗浄することによって、上記第1の前処理段階において、上記初期の活性剤に含まれる水分を上記被膜の希釈剤と親和性のある媒体に置換することを特徴とする請求項10に記載の添加剤の調製方法。
【請求項13】
好ましくは5分〜30分間、5m/s〜最大30m/sの撹拌速度の強い撹拌によって、上記洗浄を行うことを特徴とする請求項12に記載の添加剤の調製方法。
【請求項14】
上記撹拌の後、液相を除去することにより相を分離し、
塗布物に必要とされる含水率となるまで、上記相の分離を繰り返す洗浄を行うことをさらに特徴とする請求項13に記載の添加剤の調製方法。
【請求項15】
上記活性剤が上記被膜と反応し得る場合、洗浄の前に、界面活性剤による表面処理を上記活性剤に対して行うことをさらに特徴とする請求項12に記載の添加剤の調製方法。
【請求項16】
上記被膜にて許容される残留湿気量が0に近い場合、上記“媒体の変更”から得られた生成物に対して乾燥工程を行うことを特徴とする請求項10に記載の添加剤の調製方法。
【請求項17】
上記第1の前処理段階から得られた金属化合物の含水率が0%〜5%の範囲内であり、
上記金属化合物は、目的被膜と親和性のある樹脂において分散されていることを特徴とする請求項10に記載の添加剤の調製方法。
【請求項18】
15m/s〜30m/sの撹拌速度にて上記分散体の調製を行うことを特徴とする請求項10に記載の添加剤の調製方法。
【請求項19】
上記混合物における分散剤の割合が、上記活性剤を基準として0.5%〜10%に維持されていることを特徴とする請求項10に記載の添加剤の調製方法。
【請求項20】
得られた生成物が、活性剤としてナノメートル規模の化合物を99重量%以上含んでいることを特徴とする請求項10に記載の添加剤の調製方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−503255(P2011−503255A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531973(P2010−531973)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/MX2007/000134
【国際公開番号】WO2009/061165
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(509094089)セルヴィシオス アドミニストラティヴォス ペニョーレス,ソシエダッド アノニマ デ キャピタル ヴァリアブル (4)
【Fターム(参考)】