説明

金属パターンを有する基板の製造方法、およびその基板

【課題】特定の感紫外線化合物を用いて設計どおりの微細金属パターンを有する基板を容易に大量生産も可能に得ることができる金属パターンを有する基板の製造方法を提供する。
【解決手段】金属薄膜2を有する基板1表面に式(I)に示す感紫外線化合物3を吸着させ、該化合物上に熱可塑性高分子4により層を設け、紫外線を照射し、得られた熱可塑性高分子層上に熱ナノインプリント法によって凹凸を形成し、熱可塑性高分子の残膜を除去し、凹み部分に電気めっきにより金属層を形成し、熱可塑性高分子層を除去し、凹み部分における金属薄膜を除去して、金属パターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感紫外線化合物を用いた熱ナノインプリント法と電気めっきによる金属パターンを有する基板の製造方法及びその基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の社会に流通する情報量は飛躍的に増大し、これを処理する情報機器の小型化、多機能化に対する期待が高まっている。また液晶ディスプレイ、液晶プロジェクタ、デジタルカメラに使用される光学部材に関しても薄型化、高解像度化、コストダウンに対する期待が高まっている。これに応えるためには情報記録密度と情報処理速度の向上、電子デバイスの小型化と高性能化、光学デバイスの高性能化が不可欠である。
情報記録密度と情報処理速度の向上に対しては、半導体集積回路の高集積化における配線パターンの微細化が進み、現在では100nm以下の微細構造が形成されている。今後更なる微細化が要求されており、ITRS2006年版によると2007年には65nm、2010年には45nm、そして2013年には32nmのDRAMハーフピッチが要求されている。これら微細化要求に対して高屈折率液体を用いる液浸リソグラフィプロセスや、光源に極端紫外線を用いるEUVリソグラフィプロセスが提案されている。しかし、液浸リソグラフィプロセスにおいては極性溶媒や有機溶媒を用いるため、光酸発生剤の光分解物の溶出によるステッパーレンズへの汚染の問題がある。EUVリソグラフィにおいては各要素技術に関連する設備投資額が極端に増大する。
また、配線基板上に微細金属パターンを形成させる方法として、銅などの金属薄膜を有する基板上にフォトリソグラフィ法によってエッチングレジスト層を形成させ、次にウェットエッチングによる金属層を除去するサブトラクティブ法と、印刷法或いはフォトリソグラフィ法によって、基板にめっきレジスト層を形成させ、無電解めっきや電気めっきによって導体金属層を形成させるアディティブ法とがある。しかし、これらは10μm以上の金属パターンの形成方法で実用化されているが、10μm以下の微細加工、更には1μm以下のアスペクト比の大きい金属パターンの形成に対しては、サブトラクティブ法ではサイドエッチによってパターンの痩せが生じ矩形の維持が困難である。更に、アディティブ法ではレジストの耐溶剤性が不十分のため金属パターンの太りが生じ矩形の維持が困難である。
そこで、非特許文献1および特許文献1によれば、プリンストン大学のChou教授らによってナノインプリントリソグラフィプロセスが提案された。この方法は、フォトリソグラフィと比較してプロセスが簡便であることから、設備投資額を抑制でき製造コストを大幅に圧縮することができることから、従来の微細金属パターン形成プロセスに代わる量産技術と期待されている。
【0003】
ナノインプリントリソグラフィプロセスを大別すると、熱ナノインプリントリソグラフィと光ナノインプリントリソグラフィがあり、前者は、インプリントされる基板上に熱可塑性高分子を成膜した後加温して軟化させ、その上から凹凸形状にパターニングされたモールドを押し付け、冷却後離型してモールドの凹凸形状を基板上の熱可塑性高分子からなる膜に転写するプロセスである。前者の熱ナノインプリントリソグラフィでは、自己支持性のある膜厚数10μm以上の熱可塑性高分子の膜にモールドを押し付けて、熱可塑性高分子に凹凸形状を成型することが容易にできる。そして、凹凸形状の成形後残膜を除去し電気めっきあるいは無電解めっきすることによって、微細金属パターンを形成させることができる。
非特許文献2によれば、金の層を有する基板上に熱可塑性高分子薄膜を設け、熱ナノインプリントによって凹凸を転写し、RIE(反応性イオンエッチング)プロセスの後ウェットケミカルエッチングによって金を除き、最後に酸素プラズマで熱可塑性高分子を除くことによる金の微細パターン形成方法とその基板が報告されている。ところが、一般的に金属と熱可塑性高分子樹脂は密着性が低いため、ナノインプリント時の高分子の剥がれや、金をエッチングする際エッチング液の浸透による金パターンの消失、変形、痩せが生じ、特にアスペクト比の大きい金パターンの形成は困難である。
【0004】
非特許文献3では、分子量の効果を検討し、低分子量のポリマーを用いた場合、高分子量のポリマーに比べ粘度が低下し、保持時間短縮の可能性が述べられている。しかし、検討されている熱可塑性高分子の重量平均分子量は、58000及び353000であり、58000以下の熱可塑性高分子を用いた際の効果は検討されていない。また、熱可塑性高分子の分子量が小さいほど、モールドの保持時間の短縮、残膜除去時間の短縮、および熱可塑性高分子パターン精度の向上が認められる一方で、金属薄膜に対する熱可塑性高分子の濡れ性が低下するために、熱可塑性高分子薄膜の欠陥や膜厚の不均一化によって、後工程である電気めっきによって形成された微細金属パターンの欠陥やアスペクト比の低下を引き起こす問題がある。更に、熱可塑性高分子の分子量が低下するにつれて、めっき液に対する耐溶剤性が低下するため、微細金属パターンの形状安定性が低下する問題がある。
また、インクジェットヘッド、加速度センサー、ジャイロセンサーなどの電子デバイスの小型化と高性能化に対しては、微細パターンの加工精度やアスペクト比の大きい微細金属パターンの形成方法として有用なMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)のプロセスが用いられている。MEMSとは従来の機械加工では製造困難なサブミクロン以下のスケールでアスペクト比の大きい微細金属パターンを、高精度且つ低コストで製造する方法として、シリコンのドライエッチング技術と無電解めっきあるいは電気めっきなどの半導体製造技術を用いた製造方法であり、MEMSで作製したモールドを用いて射出成形などの成形方法によって電子デバイスを製造している。
しかし、依然として微細金属パターンの加工精度やアスペクト比の大きい微細金属パターンの形成方法としては不十分であり、また加工精度やアスペクト比を満足するデバイスを作製するためには加工プロセスが増え加工時間が長くなり量産性に問題がある。
【0005】
そこで、特許文献2では、ナノインプリントリソグラフィを利用してサブミクロン以下の微細金属パターンをよりよい加工精度で製造する方法が開示されている。この方法は、矩形を維持しアスペクト比の大きい微細金属パターンを形成させることが可能であるが、ナノインプリントされた硬化膜を剥離しその凹凸パターン面を、金属薄膜を有する基板上に貼り付ける工程を有するため、電気めっき時にパターンのずれが生じる可能性があり、またアライメントの制御が困難になる問題が有る。
更に、液晶ディスプレイ等に用いられている偏光フィルムなどの光学材料に対しては、ポリマーを延伸しフィルム化することにより発現する光学異方性が利用されている。この方法は、低コストで製造できるものの光学特性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性等が低いという問題がある。これに対して透明基板上に多数の微細金属パターンが平行になるようにワイヤーグリッドを形成した偏光子などの光学デバイスが知られている。この偏光子は、光学特性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性等に優れるものの、形成方法として電子線リソグラフィ又はX線リソグラフィを用いているため、量産性と設備投資に問題がある。
【0006】
そこで、特許文献3によれば、ナノインプリントリソグラフィを利用して基板上にパターンを有したレジストを形成する工程、それに対して耐めっき性を付与する工程、金属種の異なる二段階のめっき工程によって得られる微細金属パターンの形成方法が提案されている。しかし、耐めっき性を付与する工程が含まれているために工程全体が長くなる問題があり量産に適していない。また、特許文献4によれば、ガラス基板上に、親水性薄膜、疎水性薄膜を順次積層し、ナノインプリントリソグラフィを利用して、疎水性薄膜の微細パターンを形成し、その後、めっき法にて金属細線を成長させることにより、透過率、消光比及び偏光度が高く、薄型のワイヤーグリッド偏光子が提案されている。しかし、親水性薄膜を使用していることからめっき液に対する耐溶剤性の問題や、めっき時における親水性薄膜と疎水性薄膜間の密着性の低下による金属パターンの精度に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5772905号明細書
【特許文献2】特開2006-297571号公報
【特許文献3】特開2005-70456号公報
【特許文献4】特開2007-10713号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】S. Y. Chou, et al., Applied Physics Letters, 67, 3114-3116 (1995)
【非特許文献2】Ch. Pannemann, T. Diekmann, U. Hilleringman, Microelect. Eng., 67-68, 845-852 (2003)
【非特許文献3】H. Schulz, M. Wissen, N. Bogdanski, H.-C. Scheer, K. Mattes, Ch. Friedrich; Microelect. Eng., 83, 259 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、特定の感紫外線化合物を用いて設計どおりの微細金属パターンを有する基板を容易に大量生産も可能に得ることができる金属パターンを有する基板の製造方法を提供することにある。
本発明の別の課題は、0.05μm〜10μmの線幅の微細金属パターンを有する基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、金属薄膜を有する基板表面に下記式(I)に示す感紫外線化合物を吸
着させる工程、該感紫外線化合物上に熱可塑性高分子により層を設け、紫外線を照射する工程、得られた熱可塑性高分子層上に熱ナノインプリント法によって凹凸を形成する工程、凹み部分における熱可塑性高分子の残膜を除去する工程、凹み部分に電気めっきにより金属層を形成する工程、熱可塑性高分子層を除去する工程、及び凹み部分における金属薄膜を除去し、金属パターンを形成する工程を含む金属パターンを有する基板の製造方法が提供される。
【化1】

(式中、R1〜R3から選択される一つの基が、若しくはR1〜R3から選択される一つの基とR4〜R6から選択される一つの基の二つの基が−X−(CH2)m−SH(ここでXはO、OCO、COO、NH、NHCOを示し、mは1〜20の整数を示す。)を表し、残りがそれぞれ単独に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、または酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)
また、本発明によれば、上記製造方法により得られた、0.05μm〜10μmの線幅の金属パターンを有する基板が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の微細金属パターンを有する基板の製造方法では、紫外線照射により接着性を発現する感紫外線化合物を利用するので、熱ナノインプリント法における熱可塑性高分子の剥がれや電気めっきにおけるめっき液の金属薄膜と熱可塑性高分子との間の界面への浸潤を抑制することができ、めっきパターンの消失、変形を防止し、設計どおりの微細金属パターンを有する基板を得ることができる。また、この方法は従来の熱ナノインプリント法と比較して微細金属パターンの解像度、アスペクト比、およびその品質に優れ、量産性に優れる。こうして得られた微細金属パターンを有する本発明の基板は、半導体、配線基板、電子デバイス、光学デバイス等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の製造方法を説明するための概略工程図である。
【図2】実施例で行った、熱ナノインプリントによって得られたポリスチレン成型体のパターンの電子顕微鏡写真像の写しである。
【図3】実施例で行った、ポリスチレン除去後の電析金パターンの電子顕微鏡写真像の写しである。
【図4】実施例で行った、ヨウ素系エッチング溶液に浸漬後の金パターンの電子顕微鏡写真像の写しである。
【図5】実施例で行った、Crエッチング溶液に浸漬後の金パターンの電子顕微鏡写真像の写しである。
【図6】比較例で行った、ポリスチレン除去後の電析金パターンの電子顕微鏡写真像の写しである。
【符号の説明】
【0013】
1:基板
2:金属薄膜
3:感紫外線化合物
4:熱可塑性高分子のパターン
5:熱ナノインプリント用モールド
6:めっき金属
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し本発明の内容を詳細に説明する。
図1(1)〜(9)に本発明による微細金属パターンの製造工程を示す。ただし、各部材の縮尺は適宜変更している。
本発明の製造方法においては、まず、基板1上に金属薄膜2を有する金属薄膜基板を準備する。(図1(1)参照)。
基板1の材料としては、後述する熱ナノインプリント法により成型する熱可塑性高分子のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する材料であれば良く、例えば、シリコン、ガラス、石英、アルミナ、チタン酸バリウム等の無機あるいは無機酸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、或いはそれらの積層体、複合体が挙げられる。最終的に得られた基板をエレクトロニクス用の配線基板として用いる場合、平滑性、低膨張係数、絶縁性の点から、シリコン、ガラス、石英等の無機あるいは無機酸化物材料やポリイミドなどの耐熱性有機材料からなる基板が好ましい。
【0015】
金属薄膜2は、上記感紫外線化合物のチオール基が吸着する表面を有する薄膜であって、該金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、亜鉛、スズ、白金、チタン、パラジウムが挙げられる。特に、金属表面が酸化されていない金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムが挙げられる。また、基板1と金属薄膜2との密着性を確保するために、クロム、チタン等の金属を予めスパッタリング等の処理により、基板1と金属薄膜2の間に形成させても良い。
金属薄膜2の厚さは、5nm〜20μmが好ましい。5nm未満であると基板表面の平滑性が不足し、20μmより大きいと後工程におけるエッチング時間が長時間になるおそれがある。また、表面が酸化されている金属薄膜基板を用いる場合、予め表面を還元処理することが好ましい。
【0016】
本発明の製造方法においては、次に、金属薄膜を有する基板上に前述の感紫外線化合物3を吸着させる(図1(2)参照)。
本発明の感紫外線化合物3は、上記式(I)で表される化合物である。
式中、R1〜R3から選択される一つの基が、若しくはR1〜R3から選択される一つの基とR4〜R6から選択される一つの基の二つの基が−X−(CH2)m−SHであり、残りの基が、それぞれに単独に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、または酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素数が7以上になると、ベンゾフェノン基の基板表面に対する吸着密度が低下するため、紫外線の照射量を増大させる必要がある。
ここで、XはO、OCO、COO、NH、NHCOを示し、mは1〜20の整数を示す。mが20を超えると分子鎖の屈曲性が大きくなり、該化合物の吸着量が減少し、接着機能が低下する恐れがある。
また、式(I)中、R2単独が、もしくはR2およびR5のふたつの基が−X−(CH2)m−SHである化合物が好ましく挙げられ、この際のXはO、OCO、COO、NH、NHCOが好ましい。
【0017】
炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基であり、立体障害に起因する光反応性と金基板への密着性の理由からメチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基が好ましい。
酸素原子あるいは窒素原子で連結されている炭素数1〜6の炭化水素基としては、上記炭素数1〜6の炭化水素基の例示の基が酸素原子あるいは窒素原子で連結されている基が好ましく挙げられる。
【0018】
上記式(I)中のR1〜R3から選択される一つの基が、−X−(CH2)m−SHであり、残りの基が水素原子である感紫外線化合物としては、例えば、3−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、3−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、3−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)、3−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、3−(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、3−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノンベンゾフェノンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0019】
上記式(I)中のR1〜R3のひとつの基が−X−(CH2)m−SHであり、残りの基が水素原子以外の基を含む感紫外線化合物としては、例えば、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(4−メルカプトブチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(4−メルカプトブチルオキシ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10-メルカプトデシルオキシ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10-メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−フェノキシベンゾフェノンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0020】
上記式(I)中のR1〜R3の一つの基とR4〜R6から選択される一つの基との二つ
の基が−X−(CH2)m−SHである感紫外線化合物としては、例えば、3,3’−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0021】
本発明に用いる感紫外線化合物において好ましいものとしては、例えば、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(4−メルカプトブチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(4−メルカプトブチルオキシ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)-4’-ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4-(11-メルカプトウンデカノイルオキシ)-4’-フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−フェニルベンゾフェノン、4-(10-メルカプトデシルオキシカルボニル)-4’-フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4-(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。
【0022】
本発明に用いる感紫外線化合物において最も好ましく使用できるのは、原料入手の容易さ、合成の容易さ、熱可塑性高分子との光反応性、金基板への密着性の理由から、R1が水素原子であり、R2が10−メルカプトデシルアミノ基、または6−メルカプトヘキサノイルアミノ基であり、R3が水素原子であり、R4が水素原子であり、R5がメトキシ基、10−メルカプトデシルアミノ基、または6−メルカプトヘキサノイルアミノ基であり、R6が水素原子である4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、または4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノンである。
【0023】
本発明に用いる感紫外線化合物の製造は、例えば、まず、安息香酸クロリドとフェノール、安息香酸クロリドと安息香酸、安息香酸クロリドとニトロベンゼンのそれぞれを塩化アルミニウム存在下に反応させるFriedel-Crafts反応によってヒドロキシベンゾフェノン、カルボキシベンゾフェノン、ニトロベンゾフェノンを得、ヒドロキシベンゾフェノン、カルボキシベンゾフェノンのハロアルキル化とスルフィド化によって目的とする感紫外線化合物を得ることができる。
【0024】
前記ベンゾフェノン反応原料である安息香酸クロリド、フェノール、安息香酸、ニトロベンゼンが、アルキル基、シクロアルキル基、アルコシキル基、フェニル基、フェノキシ基で核置換されていても良いが、感紫外線化合物の2位、6位、2’位、6’位は水素原子である必要がある。
【0025】
本発明の製造方法においては、図1(2)に示すように、金属薄膜2を有する基板1上に感紫外線化合物3の吸着膜を形成させる。吸着膜の形成方法は、感紫外線化合物を含む溶液を、例えば、スピンコート法、浸漬法等を用いて処理し、さらに送風下、加熱下や減圧下で溶媒を蒸散させる方法によって行うことができる。
感紫外線化合物3を含有する溶液は、ベンゾフェノンの光化学反応を促進させるための添加物をさらに含んでいてもよい。
該溶液に使用する溶媒は、感紫外線化合物を溶解させる溶媒であれば良く、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、乳酸エチル等のエステル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、クロロホルム、ブチルクロリド等のハロゲン化アルキル、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。作業環境の点からエタノールが好ましい。
【0026】
本発明の製造方法においては、次に、感紫外線化合物3を吸着させた基板1に熱可塑性高分子の薄膜を形成する(図1(3)参照)。
熱可塑性高分子としては、重量平均分子量が10000〜1000000であって、室温以上のガラス転移温度を有し、溶媒に可溶で、かつ、電気めっきにおいて用いるめっき液に不溶な樹脂であれば良く、さらに好ましくは分子内に炭化水素基を有する熱可塑性高分子が好ましい。特に重量平均分子量が50000〜500000であることが好ましい。
ここで、炭化水素基とは、例えば、メチル基、メチレン基、メチン基が挙げられる。熱可塑性高分子としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。
また、基板への塗布特性改善のために界面活性剤、レベリング剤等を添加することもできる。これらの添加剤としては、イオン系、またはノニオン系界面活性剤、あるいはシリコン誘導体、フッ素誘導体が挙げられる。
【0027】
熱可塑性高分子の薄膜の形成は、例えば、熱可塑性高分子を溶媒に溶解させた溶液を、スピンコート法、浸漬法、スプレイコート法、フローコート法、ロールコート法等により成膜し、更に送風下、加熱下、減圧下で溶媒を蒸散させることによって行う。溶媒としては上述の感紫外線化合物の吸着において例示したものを用いることができる。また、塗布性改良のためにイオン系、またはノニオン系等の界面活性剤、シリコン系、フッ素系のレベリング剤を含ませることができる。
【0028】
熱可塑性高分子の濃度は、通常0.1〜20質量%の範囲である。0.1質量%より低濃度の場合、熱可塑性高分子の膜厚が薄くなり過ぎ、金属めっきの膜厚に制限を受けるおそれがある。20質量%より高濃度の場合、膜厚の均一性が保てなくなるおそれがある。
上記熱可塑性高分子薄膜を形成させた基板に対して、通常、波長が200nm〜400nmの紫外線を照射する。紫外線の照射によって、感紫外線化合物におけるベンゾフェノンのカルボニル基が励起しビラジカルが発生する。ベンゾフェノンの酸素原子上に発生するラジカルは速やかに熱可塑性高分子の炭化水素から水素原子を引き抜きアルコールに変化する。一方のベンゾフェノンの炭素上に発生したラジカルは、熱可塑性高分子の炭化水素上に発生したラジカルとの再結合によって共有結合を生成する。この原理により、チオールの金属薄膜に対する吸着とベンゾフェノンの熱可塑性高分子に対する共有結合によって、基板1と熱可塑性高分子4が強固に接着される。
【0029】
紫外線照射の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、Hg−Xe灯、ハロゲンランプを用いることができ、用いる熱可塑性高分子の分光吸収帯を考慮して選択し、更に適宜カットオフフィルター等を使用することができる。200nm未満の紫外線は熱可塑性高分子に対する透過率が低いこと、光源が高価であることから好ましく無く、400nmを超える光はベンゾフェノンの光誘起ラジカルの形成の効率が低いので好ましくない。
紫外線の照射エネルギーは、通常、0.01〜250J/cm2である。0.01J/cm2未満であるとベンゾフェノンの光反応が十分に進行しない恐れがあり、250J/cm2を超えると光酸素酸化反応、熱可塑性高分子膜自体に光化学反応等による膜の劣化により熱可塑性高分子の熱物性が変わり、膜の表面にひび割れが生じる恐れがある。
【0030】
本発明の製造方法においては、次に、熱ナノインプリント用モールド5を用いて熱ナノインプリントし、モールドのネガ像を基板上に転写して凹凸を形成する工程を行う(熱ナノインプリント処理直前:図1(4)、熱ナノインプリント処理直後:図1(5)参照)。
熱ナノインプリント用モールド5は、熱ナノインプリント法により基板上の熱可塑性高分子膜を凹凸に成型するためのモールドであって、その材質としては、主に表面酸化シリコン、合成シリカ、溶融シリカ、石英、シリコン、ニッケルが挙げられる。熱ナノインプリント用モールドは、公知の技術を用いて、モールド材料の表面に所望の凹凸パターンを形成させることにより得ることができる。モールドの凹部がウェットエッチングプロセス後最終的に残存する金属薄膜のパターンに相当する。表面酸化シリコンの表面シリカ層、合成シリカ、溶融シリカ、石英の化学組成は、ほぼ同じSiO2であるので、上記材質の平板を公知の半導体微細加工技術を用いて加工することにより凹凸パターンを形成することができる。
【0031】
一例をあげると表面が平滑な該平板にネガ型電子線レジストを塗布し、電子線描画装置により電子レジストに電子描画する。その後、現像を行うと、電子線未照射部のレジストが除去され、平板上の電子線照射部にレジスト膜が残存する。CHF3/O2プラズマ等のドライエッチングにより電子線レジストのネガ像を、ドライエッチングのエッチングマスクを用いてSiO2をエッチングする。その後、剥離液に浸漬して電子線レジストのネガ像を除き、洗浄することにより、平板の表面に凹部を作製できる。熱可塑性高分子の離型を促進するために、フルオロカーボン含有シランカップリング剤等の離型剤による処理をしても良い。
【0032】
このようにして製造されたモールドは、そのままモールドとして用いることができるが、モールドの表面にニッケル等の金属膜を成膜した後、電鋳プロセス技術を用いてニッケル層をさらに厚く被覆し剥離したモールドとすることもできる。また、上記材質の平板やポリイミド、ポリエステルの樹脂平板の表面に、スパッタリング法でニッケル等の金属膜を成膜した後、フォトレジストや電子線レジストを用いて有機画像形成を行い、電鋳プロセス技術によりニッケル層をさらに厚くして、表面研磨、レジスト除去により、より安価なニッケル製のモールドとして用いることもできる。
【0033】
熱ナノインプリント法で用いる装置は、加熱冷却部、加圧部、および減圧部を備える。加熱冷却部は、ヒーターと水冷構造を内蔵するステージとからなり、熱可塑性高分子を成膜した基板を設置し加熱により、熱可塑性高分子膜を軟化および冷却する部分である。
加圧部は熱可塑性高分子を成膜した基板に、凹凸形状のモールドを押し付けるプレスからなり、熱可塑性高分子膜が軟化した基板にモールドの微細凹凸構造を加圧により転写する部分である。減圧部は基板に対してモールドが減圧状態にあるときに、基板およびモールドを減圧状態に保ち、凹凸部に熱可塑性高分子を効率よく充填させる部分である。
【0034】
本発明の製造方法においては、次に、熱ナノインプリント処理後、凹み部分における熱可塑性高分子の残膜を、例えば、ドライエッチングによって除去する(図1(6)参照)。モールドの凸部に相当する部分、即ち、熱可塑性高分子パターンの凹部に相当する部分に熱可塑性高分子が残膜として残る。また、残膜の直下に感紫外線化合物の吸着膜が残る。その場合、UV/オゾン処理によるエッチングや酸素リアクティブエッチングなどでその部分を除去することができる。
【0035】
本発明の製造方法においては、次に、凹み部分に電気めっきにより金属層を形成する工程を行う。例えば、ドライエッチング後の開口部分2を電極として、電気めっきを行うことにより金属層を形成する(図1(7)参照)。
電気めっきにより、熱可塑性高分子パターン4が形成された基板の凹部にめっき金属6を堆積させることができる。めっき金属6としては、各種のめっき金属を使用することができる。例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、亜鉛、スズ、白金、チタン、パラジウムが挙げられる。特に好ましくは、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムが挙げられる。また、めっき金属6と金属薄膜2は同一又は異なる金属であっても良い。
めっき金属6を堆積させる際、基板の凹部をはみ出して堆積させてもよい。そして、基板の凹部をはみ出すまで堆積させためっき金属を所望の厚さになるまで研磨やエッチングで除去することによって、めっき金属6の厚さを均一化することができる。
【0036】
本発明の製造方法においては、次に、有機溶剤やプラズマアッシング等により熱可塑性高分子層のパターン4を選択的に除去する工程を行う(図1(8)参照)。
【0037】
本発明の製造方法においては、最後に、エッチング等により凹み部分における金属薄膜2を除去する。この除去により、めっき金属6のパターンからなる微細金属パターンを得ることができる。また、基板1と金属薄膜2の間に形成させたクロム、チタン等の金属を、エッチングによって除去することにより、更にめっき金属6のパターンからなる微細金属パターンを得ることができる。(図1(9)参照)。
このようにして得られた金属パターンを有する基板は、金属パターンの線幅を0.05μm〜10μmとすることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれら例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0039】
厚さ1 mmの溶融シリカ基板に、膜厚20 nmのクロム、膜厚25 nmの金の順で直流スパッタ成膜を行った。その後、ダイシングを行い、15 mm角の厚さ1 mmの金薄膜を有する基板(以下、金基板と略する。)6枚を得た。該金基板6枚をUV/オゾン処理により洗浄した。その結果、水に対する接触角は5°以下であった。3.7 mgの4-(10-メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンを100 mLのエタノールに溶解させた。該金基板8枚を該溶液に24時間浸漬した後、清浄なエタノールで洗浄した。この時の水に対する接触角は75°±2°であった。4-(10-メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンを吸着させた金基板に、4質量%または7質量%のポリスチレン(Sigma-Aldrich製、重量平均分子量=45000、ガラス転位温度=93℃)のトルエン溶液を、3000回転で30秒間の条件でスピンコートし、膜厚165nm(35nmと60nmパターン形成用)と250nm(100nm以上のパターン形成用)のポリスチレン薄膜を形成させた。
成膜した金基板に対し、180℃で3分間アニール処理を行った。次に、200WのHg-Xeランプ(Sun-ei、Supercure 202S)用いて、365nmでの紫外線の露光量が88 J/cm2となるように金基板に照射した。これを熱ナノインプリント用モールド6種類(1μmのライン&スペース(1:1)、500nmのライン&スペース(1:1)、200nmのライン&スペース(1:1)、100nmのライン&スペース(1:1)、 60nmのライン&スペース(1:4)、30nmのライン&スペース(1:4))と熱ナノインプリント装置(明昌機工製、NM-400)を用いて、表1の5段階からなる条件で熱ナノインプリントを行った。
【0040】
【表1】

【0041】
熱ナノインプリントによって得られたポリスチレンの成型体を走査型電子顕微鏡による観察を行い、形状を評価した。図2に、1μm、500nm、200nm、100 nmのライン&スペース(1:1)と60nm、30 nmのライン&スペース(1:4)のポリスチレン成型体の走査型電子顕微鏡写真像の写しを示す。ライン&スペース1:1で1μm、500nm、200nm、100 nmのポリスチレン薄膜の凹凸が形成されていることがわかる。また、ライン&スペースが1:4で60nm、30 nmのポリスチレン薄膜が凹凸に成形されていることがわかる。
図2において、(a)は、1μmライン:スペース=1:1、(b)は、500nmライン:スペース=1:1、(c)は、200 nm ライン:スペース=1:1、(d)は、100 nm ライン:スペース=1:1、(e)は、60 nmライン:スペース=1:4、(f)は、30 nmライン:スペース=1:4。
【0042】
次に、172nmエキシマ光照射装置(ウシオ電機製、P0032)のステンレスチャンバー内に基板を設置し、1000Paの減圧下、300秒間UV/オゾン処理を行い、ポリスチレン成型体の凹部に残存する樹脂膜を除去した。
次に、参照電極Ag/AgCl、対極をPt、作用電極をポリスチレン成型金基板とし、金めっき液(田中貴金属製、ミクロファブ640)に浸漬させ、溶液温度60℃、電流値0.293mA、0.073 mAでそれぞれ50秒、30 秒間電析を行った。更に、クロロホルムで洗浄してポリスチレンパターンを除去した。図3に、1μm、500nm、200nm、100 nmのライン&スペース(1:1)と60nm、30 nmのライン&スペース(1:4)の微細金パターンの走査型電子顕微鏡写真像の写しを示す。図3から、1μm、500nm、200nm、100 nmのライン&スペース(1:1)と、60nm、30 nmのライン&スペース(1:4)で微細金パターンが凹凸に成形されていることがわかる。
図3において、(a),(b),(c),(d)は電流値0.293mA、50秒で電析を、(e),(f)は0.073 mA、30秒で電析を行った。
(a)は、1μmライン:スペース=1:1、(b)は、500nmライン:スペース=1:1、(c)は、200nmライン:スペース=1:1、(d)は、100nmライン:スペース=1:1、(e)は、60nmライン:スペース=1:4、(f)は、30nmライン:スペース=1:4。
【0043】
次いで、ヨウ素系エッチング液(金RUM-302、関東化学)に室温で15秒間浸漬した後、脱イオン水で洗浄し乾燥させた。基板上に形成された微細金パターンを走査型電子顕微鏡により観察し形状を評価した。図4に、1μm、500nm、200nm、100 nmのライン&スペース(1:1)の微細金パターンの走査型電子顕微鏡写真像の写しを示す。図4から、1μm、500nm、200nm、100 nmのライン&スペース(1:1)で微細金パターンが凹凸に成形されていることがわかる。
図4において、(a)は、1μmライン:スペース=1:1、(b)は、500nmライン:スペース=1:1、(c)は、200nmライン:スペース=1:1、(d)は、100nmライン:スペース=1:1。
【0044】
次いで、Crエッチング液(林純薬社製)に室温で16秒間浸漬した後、脱イオン水で洗浄し乾燥させた。基板上に形成された微細金パターンを走査型電子顕微鏡により観察し形状を評価した。図5に、1μm、500nm、200nm、100 nmのライン&スペース(1:1)の微細金パターンの走査型電子顕微鏡写真像の写しを示す。図5から、1μm、500nm、200nm、100 nmのライン&スペース(1:1)で微細金パターンが凹凸に成形されていることがわかる。
図5において、(a)は、1μmライン:スペース=1:1、(b)は、500nmライン:スペース=1:1、(c)は、200nmライン:スペース=1:1、(d)は、100nmライン:スペース=1:1。
【比較例1】
【0045】
感紫外線化合物を使用せず、紫外線も照射しない以外は、実施例1に示す条件下でポリスチレン除去後の電析金パターンを形成させ、これの電子顕微鏡写真像の写しを図6の(a)、(c)に示す。但し(a)は60 nmのライン&スペース(1:4)の微細金パターン、(c)は30 nmのライン&スペース(1:4)の微細金パターンである。また、感紫外線化合物を使用し、紫外線を照射しない以外は、実施例1に示す条件下でポリスチレン除去後の電析金パターンを形成させ、これの電子顕微鏡写真像の写しを図6の(b)、(d)に示す。但し(b)は60 nmのライン&スペース(1:4)の微細金パターン、(d)は30 nmのライン&スペース(1:4)の微細金パターンである。その結果、図6の(a)、(c)、(d)の走査型電子顕微鏡写真像の写しから、微細金パターンが全く形成されていないことがわかる。また、図5の(b)の走査型電子顕微鏡写真像の写しから、微細金パターンは形成されているものの、図3の(e)と比較して解像度が不十分であることがわかる。
図6において、(a),(b),(c),(d)は電流値0.073mA、30秒で電析を行ったものである。(a)、(b)は60nmライン:スペース=1:4、(c)、(d)は、30nmライン:スペース=1:4。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄膜を有する基板表面に下記式(I)に示す感紫外線化合物を吸着させる工程、該
感紫外線化合物上に熱可塑性高分子により層を設け、紫外線を照射する工程、得られた熱可塑性高分子層上に熱ナノインプリント法によって凹凸を形成する工程、凹み部分における熱可塑性高分子の残膜を除去する工程、凹み部分に電気めっきにより金属層を形成する工程、熱可塑性高分子層を除去する工程、及び凹み部分における金属薄膜を除去し、金属パターンを形成する工程を含む金属パターンを有する基板の製造方法。
【化1】

(式中、R1〜R3から選択される一つの基が、若しくはR1〜R3から選択される一つの基とR4〜R6から選択される一つの基の二つの基が−X−(CH2)m−SH(ここでXはO、OCO、COO、NH、NHCOを示し、mは1〜20の整数を示す。)を表し、残りがそれぞれ単独に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、または酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法により得られた、0.05μm〜10μmの線幅の金属パターンを有する基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−182986(P2010−182986A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26938(P2009−26938)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】