説明

金属メッキ組成物および方法

【課題】改良されたレベリングおよび均一電解性を与える金属メッキ組成物および方法を提供する。
【解決手段】銅、錫、ニッケル、金、銀、パラジウム、白金、インジウム、これらの合金のイオン源、および下記式(I)を有する1以上の化合物を含む金属メッキ組成物を用いてメッキを行う。H−A’p−Q−[C(O)−CH2O−((R1CH)t−O)Z−CH2−C(O)−NH−A]u−H(I)(式中、A’は、−(NH−(CH2)x’)y’;−NH(CH2)x’−(O−(CHR1)r’)w’−O−(CH2)x’−;または−NH−((R1CH)r’−O)w’−C2H4−、Aは、−((CH2)x−NH)y−;−(CH2)x−(O−(CHR1)r)w−O−(CH2)x−NH−;または−((R1CH)r−O)w−C2H4−NH−、R1は、−Hまたは−CH3、Qは、p=1のとき−NH−、またはp=0のとき、−O−。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属メッキ組成物および方法を対象とする。より具体的には、本発明は、改良されたレベリングおよび均一電解性を与える金属メッキ組成物および方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
金属メッキは、メッキ組成物中に複数の成分を包含する複合プロセスである。金属源およびイオン伝導性を与える金属塩および他のイオンに加えて、他の成分には、金属堆積物の輝度、延性、およびメッキ分布を改良するための添加剤が含まれる。このような添加剤には、界面活性剤、光沢剤、担体、およびレベラーが包含される。
【0003】
基体上の金属の均一分布は例えば、表面層、ならびにいくつかのスルーホール、およびブラインドビア(vias)を有するプリント配線基板の金属化において必要である。金属の薄層のみが、これらのスルーホールおよびブラインドビアに堆積されれば、これは、熱応力または機械応力下に、例えばハンダ付け中に裂けることがあり、したがって電流の通過が中断される。このタイプの破損は、電子用途への使用には許容し得ないプリント配線基板を生じさせる。ますます小さくなってゆく孔直径、例えば0.25mm以下の孔直径を有するプリント配線基板が製造されつつあるので、表面上へおよびスルーホール中へ、均一に分布された金属層を同時に電気めっきすることがますます難しくなっている。金属層の厚さは、多くのプリント配線基板において、とくに小さい直径の孔において不充分であることが観察されてきた。高い熱信頼性を有する均一厚さの光沢のある金属層を得ることは、多くの回路基板設計にとって簡単なことではない。
【特許文献1】米国特許第6,425,996号明細書
【特許文献2】特開昭第63−52120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メッキ浴へレベラーを添加することによって不均一メッキの問題に取り組むために、多くのメッキ処方は化学溶液を用いる。種々の性能を有する様々な化合物が用いられてきた。銅メッキ浴中に用いられるレベラーの一種の一例は、エピハロヒドリン、ジハロヒドリン、または1−ハロゲン−2,3−プロパンジオール、および米国特許第6,425,996号に開示されているようなポリアミドアミンから形成された変換生成物である。レベラーのもう1つの例は、特開昭第63−52120号に開示されているものである。これらのレベラーは、エトキシル化ジカルボン酸およびエトキシル化ジアミンである。これら2つの特許に開示された化合物は、許容しうるレベリング性能を有するとされているが、金属メッキ性能を改良する化合物へのニーズが依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、本発明は、下記一般式を有する化合物を包含する:
H−A’−Q−[C(O)−CHO−((RCH)−O)−CH−C(O)−NH−A]−H (I)
(式中、A’は、−(NH−(CHx’y’− ;−NH(CHx’−(O−(CHRr’w’−O−(CHx’−;または−NH−((RCH)r’−O)w’−C−であり;
Aは、−((CH−NH)− ;−(CH−(O−(CHR−O−(CH−NH−;または−((RCH)−O)−C−NH−であり;
は、−Hまたは−CHであり、
Qは、p=1のとき−NH−であり、またはp=0のとき−O−であり、
pは、0または1であり、ここで、H−およびQは、p=0のとき、化学結合を形成し、
r’は、2〜4の整数であり、
w’は、1〜50の整数であり、
x’は、2〜6の整数であり、
y’は、0〜5の整数であり、
ここで、H−およびQは、y’が0であるとき、化学結合を形成し、
rは、2〜4の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、
xは、2〜6の整数であり、
yは、0〜5の整数であり、ここで、H−は、yが0であるとき、末端−C(O)−NH−の窒素へ結合し、
tは、2〜4の整数であり、
uは、1〜20の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、そして
zは、1〜50の整数である)。
【0006】
別の態様において、本発明は、1以上の金属イオン源、および下記式を有する1以上の化合物を含む金属メッキ組成物を包含する:
H−A’−Q−[C(O)−CHO−((RCH)−O)−CH−C(O)−NH−A]−H (I)
(式中、A’は、−(NH−(CHx’y’− ;−NH(CHx’−(O−(CHRr’w’−O−(CHx’−;または−NH−((RCH)r’−O)w’−C−であり、
Aは、−((CH−NH)− ;−(CH−(O−(CHR−O−(CH−NH−;または−((RCH)−O)−C−NH−であり、
は、−Hまたは−CHであり、
Qは、p=1のとき、−NH−であるか、またはp=0のとき、−O−であり、
pは、0または1であり、ここで、H−およびQは、p=0のとき、化学結合を形成し、
r’は、2〜4の整数であり、
w’は、1〜50の整数であり、
x’は、2〜6の整数であり、
y’は、0〜5の整数であり、
ここで、H−およびQは、y’が0であるとき、化学結合を形成し、
rは、2〜4の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、
xは、2〜6の整数であり、
yは、0〜5の整数であり、ここで、H−は、yが0であるとき、末端−C(O)−NH−の窒素へ結合し、
tは、2〜4の整数であり、
uは、1〜20の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、そして
zは、1〜50の整数である)。
【0007】
さらなる態様において、本発明は、1以上の金属イオン源、および下記式を有する1以上の化合物を含む金属メッキ組成物を提供する工程:
H−A’−Q−[C(O)−CHO−((RCH)−O)−CH−C(O)−NH−A]−H (I)
(式中、A’は、−(NH−(CHx’y’− ;−NH(CHx’−(O−(CHRr’w’−O−(CHx’−;または−NH−((RCH)r’−O)w’−C−であり、
Aは、−((CH−NH)− ;−(CH−(O−(CHR−O−(CH−NH−;または−((RCH)−O)−C−NH−であり;
は、−Hまたは−CHであり、
Qは、p=1のとき、−NH−であるか、またはp=0のとき、−O−であり、
pは、0または1であり、ここで、H−およびQは、p=0のとき、化学結合を形成し、
r’は、2〜4の整数であり、
w’は、1〜50の整数であり、
x’は、2〜6の整数であり、
y’は、0〜5の整数であり、
ここで、H−およびQは、y’が0であるとき、化学結合を形成し、
rは、2〜4の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、
xは、2〜6の整数であり、
yは、0〜5の整数であり、ここで、H−は、yが0であるとき、末端−C(O)−NH−の窒素へ結合し、
tは、2〜4の整数であり、
uは、1〜20の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、そして
zは、1〜50の整数である);
基体と前記組成物とを接触させる工程;および、
金属を基体上に堆積させる工程;を含む方法を包含する。
【0008】
水溶性化合物は、金属メッキが行なわれるあらゆる産業における金属メッキ組成物において用いることができる。例えばこれらの金属メッキ組成物は、電気デバイス、例えばプリント配線基板、一般にスルーホール、ビア、集積回路、電気接触表面およびコネクタ、電解ホイル、マイクロチップ用途のためのシリコンウエハー、半導体および半導体パッケージング、太陽電池、リードフレーム、光電子工学のデバイスおよびパッケージング、およびはんだバンプ(solder bump)の製造において用いることができる。これらの金属メッキ組成物はまた、装飾品、例えば宝飾品、建具金物、自動車部品、および衛生器具を金属メッキするために用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書全体で用いられる場合に、次の略語は、文脈が他を示左内限り、次の意味を有するものとする:℃=摂氏度;g=グラム;mg=ミリグラム;L=リットル;ml=ミリリットル;dm=デシメートル;A=アンペア;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;ppb=10億分の1;ppm=100万分の1;mbar=ミリバール;ミル=0.001インチ;2.54cm=1インチ;wt%=重量%;NMR=核磁気共鳴;SEC=サイズ排除クロマトグラフィー;および「均一電解性」(throwing power)=表面においてメッキされた金属の厚さと比較された、スルーホールの中心においてメッキされた金属の厚さの比である。すべてのパーセンテージは、他に注記がない限り重量による。すべての分子量は、他に注記がない限り、グラム/モルである。すべての数字範囲は両端の数字を含み、かかる数字範囲が合計して100%になることが論理的である場合を除いて、任意の順序で組み合わせ可能である。
【0010】
化合物は、下記一般式を有する:
H−A’−Q−[C(O)−CHO−((RCH)−O)−CH−C(O)−NH−A]−H (I)
(式中、A’は、−(NH−(CHx’y’− ;−NH(CHx’−(O−(CHRr’w’−O−(CHx’−;または−NH−((RCH)r’−O)w’−C−であり、
Aは、−((CH−NH);−(CH−(O−(CHR−O−(CH−NH−;または−((RCH)−O)−C−NH−であり、
は、−Hまたは−CHであり、
Qは、p=1のとき、−NH−であるか、またはp=0のとき、−O−であり、
pは、0または1であり、ここで、H−およびQは、p=0のとき、化学結合を形成し、
r’は、2〜4、または例えば2〜3の整数であり、
w’は、1〜50、または例えば1〜40、または例えば2〜35の整数であり、
x’は、2〜6、または例えば2〜3の整数であり、
y’は、0〜5、または例えば2〜3の整数であり、
ここで、H−およびQは、y’が0であるとき、化学結合を形成し、
rは、2〜4、または例えば2〜3の整数であり、
wは、1〜50、または例えば1〜40、または例えば2〜35の整数であり、
xは、2〜6、または例えば2〜3の整数であり、
yは、0〜5または例えば2〜3の整数であり、ここで、H−は、yが0であるとき、末端−C(O)−NH−の窒素へ結合し、
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数であり、
uは、1〜20、または例えば1〜10の整数であり、
wは、1〜50、または例えば1〜40、または例えば2〜35の整数であり、そして
zは、1〜50、または例えば1〜40、または例えば1〜16の整数である)。
【0011】
典型的には、これらの化合物は、下記一般式を有する化合物を包含する:
H−A’−Q−[C(O)−CHO−((RCH)−O)−CH−C(O)−NH−A]−H (I)
(式中、A’は、−(NH−(CHx’y’− ;−NH(CHx’−(O−(CHRr’w’−O−(CHx’−;または−NH−((RCH)r’−O)w’−C−であり、
Aは、−((CH−NH)− ;−(CH−(O−(CHR−O−(CH−NH−;または−((RCH)−O)−C−NH−であり、
は、−Hまたは−CHであり、
Qは、−NH−または−O−であり、
pは、0または1であり、p=0のとき、その場合にはQは−O−であり、p=1のとき、その場合にはQは−NH−であり、
r’は、2〜4、または例えば2〜3の整数であり、
w’は、2〜36、または例えば32〜36の整数であり、x’は2〜6、または例えば3〜6の整数であり、
y’は、0〜5、または例えば2〜5、または例えば3〜5の整数であり、y’が0であるとき、その場合にはQは、H−とともに化学結合を形成し、
rは、2〜4、または例えば2〜3の整数であり、
wは、2〜36、または例えば32〜36の整数であり、
xは、2〜6、または例えば3〜6の整数であり、
yは、0〜5、または例えば2〜5、または例えば3〜5の整数であり、yが0であるとき、その場合にはH−が、−C(O)−NH−の末端窒素へ結合し、
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数であり、uは1〜5、または例えば1〜4、または例えば1〜2、または例えば2〜5、または例えば3〜5の整数であり、そして
zは、1〜13、または例えば9〜13、または例えば1〜3の整数である)。
【0012】
より典型的には、かかる化合物は次のものを包含するが、これらに限定されるわけではない:
H−((NH−(CH −Q−[C(O)CHO((RCH)O)9−13−CH−C(O)−NH−((CHNH)1−2−H (II)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、そしてtは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−((NH−(CH−Q−[C(O)CHO(RCH)O)1−3−CHC(O)−NH−((CH−NH)1−2−H (III)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、そして
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−(NH(CH −(O−(CHRr’−(O(CH)−Q−[C(O)−CHO−((RCH)−O)9−13−CH−C(O)−NH−(CH−(O−(RCH)−O−(CH−NH]2−4−H (IV)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、
Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、
rおよびr’は、同一または異なっていてもよく、かつ2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2であり、そしてtは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−(NH−(CH−(O−(CHRr’−O−(CH−Q−[C(O)−CH−O−((RCH)−O)1−3−CH−C(O)−NH−(CH−(O−(RCH)−O−(CH−NH]2−4−H (V)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、
Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、
rおよびr’は、同一または異なっていてもよく、かつ2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2であり、そして
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−(NH−(CH−(O−(CHRr’32−36−O−(CH−Q−[C(O)−CH−O−((RCH)−O)9−13−CH−C(O)−NH−(CH−(O−(RCH)32−36−O−(CH−NH]3−5−H (VI)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、
Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、rおよびr’は、同一または異なっていてもよく、かつ2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2であり、そして
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−((NH−(CH−Q−[C(O)−CH−O−((RCH)−O)1−3−CH−C(O)−NH−(CH−NH]3−5−H (VII)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、
Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、そして
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−((NH−(CH−Q−[C(O)−CH−O−((RCH)−O)9−13−CH−C(O)−NH−(CH−NH]2−4−H (VIII)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、
Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、そして
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−((NH−(CH−Q−[C(O)−CH−O−((RCH)−O)1−3−CH−C(O)−NH−((CH−NH)2−4−H (IX)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、そしてtは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−(NH−(CH−Q−[C(O)−CH−O−((RCH)−O)9−13−CH−C(O)−NH−((CH−NH)1−3−H (X)
(式中、Rは、より典型的には−Hまたは−CHであり、
Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、そして
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−(NH−((RCH)r’−O−)−C−Q−[C(O)−CH−O−((RCH)−O)1−3−CH−C(O)−NH−((RCH)−O)−C−NH]2−4−H (XI)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、そして
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);
H−(NH−((RCH)−O−)−C−Q−[C(O)−CH−O−((RCH)−O)9−13−CH−C(O)−NH−((RCH)−O)−C−NH]1−3−H (XII)
(式中、Rは、より典型的には−Hまたは−CHであり、
Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、そして
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である);並びに、
H−((NH−(CH−Q−[C(O)−CH−O−((RCH)−O)9−13−CH−C(O)−NH−((CH−NH)1−2−H (XIII)
(式中、Rは、−Hまたは−CHであり、
Qは、pが1であるとき、−NH−であり、pが0であるとき、−O−であり、そして
tは、2〜4、または例えば2〜3の整数、または例えば2である)。
【0013】
これらの化合物の数平均分子量は、250以上の範囲にあるか、または例えば500〜15,000、または例えば900〜10,000の範囲にある。これらの化合物の分子量は、当該技術分野における任意の従来の方法を用いて決定され得る。
【0014】
式(I)〜(XIII)の化合物は、従来の縮合反応を用いて、1以上のポリエチレングリコール、および1以上のポリアルコキシル化ジアミンまたはアルキレントリアミンから調製され得る。
【0015】
式(I)〜(XIII)の化合物を調製するために用いることができるポリエチレングリコール二酸は、下記式を有するポリエチレングリコール二酸を包含するが、これらに限定されるわけではない:
HO−C(O)−CH−(O−(CHR−OCH−C(O)−OH (XIV)
(式中、gは2〜4の整数であり、hは、1〜150の整数であり、Rは−Hまたは−CHである)。
かかるポリエチレングリコール二酸は、250以上の範囲の数平均分子量を有する。
【0016】
式(I)〜(XIII)の化合物を作るために用いることができるポリアルコキシル化ジアミンは、下記式を有する化合物を包含するが、これらに限定されるわけではない:
N−(CH−(O−(CHR−(CH−NH (XV)
または
N(CHNH (XVI)
(式中、g、h、およびRは、上に定義されているとおりであり、jは2〜6の整数であり、kは、0〜6の整数であり、mは、6〜10の整数である)。
【0017】
式(I)〜(XIII)の化合物を作るために用いることができるアルキレントリアミンは、下記式を有する化合物を包含するが、これらに限定されるわけではない:
N−(CH−CH−NH)−(CH−NH (XVII)、
または
N−(CH−NH−(CH−NH (XVIII)。
【0018】
当該技術分野において公知であるか、または文献において公開されている任意の従来の方法を、式(I)〜(XIII)の化合物を作るために用いることができる。出発原料は、商業的に入手しうるか、または当該技術分野および文献において公知である方法によって合成することができる。酸末端ポリアルキレングリコールは、カルボン酸を生成するための、1分子あたりすべてのヒドロキシル基がカルボン酸基へ酸化されて二酸を形成するまで米国特許第5,250,727号および米国特許第5,166,423号に開示されているようなポリアルキレングリコールの酸化によって合成されうる。酸末端ポリアルキレングリコールはまた、ポリアルキレングリコールとクロロ酢酸とを、塩基の存在下に反応させることによって、周知のウイリアムソンエーテル合成によっても作ることができる。
【0019】
ポリ(エチレンオキシド)ジアミンは、ビヒドロキシル−開始剤とエチレンオキシドとの反応、ついでこの結果として生じた末端ビヒドロキシル基のアミンへの転化によって調製され得る。ポリ(アルキレンオキシド)アミンのJeffamine(商標)銘柄が、米国テキサス州ヒューストンのHuntsman Performance Chemicalsから入手可能であり、プロピルアミン末端ポリエチレンオキシドは、アルドリッチ(Aldrich)から入手可能である。
【0020】
一般に、これらの反応体は、1:1〜3:1の重量比の範囲内にあってもよい。縮合反応は、不活性ガス雰囲気下、例えばN(g)雰囲気下に進行する。温度は180℃〜250℃の範囲であってもよく、圧力は10ミリバール〜大気圧であってもよい。反応の進行は、分光法、例えばNMR分光法によってモニターされ得る。
【0021】
金属メッキ組成物の性能を向上するために、アミド化合物が金属メッキ組成物へ添加されてもよい。これらのアミド化合物は、金属メッキ組成物中に、0.001g/L〜5g/L、または例えば0.01g/L〜1g/Lの量で含まれる。
【0022】
1以上の金属イオン源が、金属をメッキするために金属メッキ組成物中に含まれる。1以上の金属イオン源は、これらに限定されるわけではないが、銅、錫、ニッケル、金、銀、パラジウム、白金、およびインジウムをはじめとする金属イオンを提供する。合金には、これらに限定されるわけではないが、前記金属の二元合金および三元合金が包含される。典型的には、銅、錫、ニッケル、金、銀、またはインジウムから選択された金属が、金属メッキ組成物でメッキされる。より典型的には、銅、錫、銀、またはインジウムから選択された金属がメッキされる。最も典型的には、銅がメッキされる。
【0023】
金属メッキ組成物中に用いることができる銅塩には、銅ハライド、硫酸銅、銅アルカンスルホン酸銅、アルカノールスルホン酸銅、およびクエン酸銅のうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。典型的には、硫酸銅、アルカノールスルホン酸銅、またはこれらの混合物が、メッキ組成物中に用いられる。
【0024】
金属メッキ組成物中に用いることができる錫塩には、硫酸錫、錫ハライド、アルカンスルホン酸錫、例えばメタンスルホン酸錫、エタンスルホン酸錫、およびプロパンスルホン酸錫など、アリールスルホン酸錫、例えばフェニルスルホン酸錫、およびトルエンスルホン酸錫など、およびアルカノールスルホン酸錫のうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。典型的には、硫酸錫またはアルカンスルホン酸錫が、金属メッキ組成物において用いられる。
【0025】
金属メッキ組成物中に用いることができる金塩には、三塩化金、三臭化金、シアン化金、塩化金カリウム、シアン化金カリウム、塩化金ナトリウム、およびシアン化金ナトリウムのうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0026】
金属メッキ組成物中に用いることができる銀塩には、硝酸銀、塩化銀、酢酸銀、および臭化銀のうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。典型的には硝酸銀が、金属メッキ組成物中に用いられる。
【0027】
金属メッキ組成物中に用いることができるニッケル塩には、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム、および硫酸ニッケルのうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0028】
金属メッキ組成物中に用いることができるパラジウム塩には、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、塩化パラジウムカリウム、および塩化パラジウムカリウムのうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0029】
用いることができる白金塩には、三塩化白金、硫酸白金、および塩化白金酸ナトリウムのうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0030】
用いることができるインジウム塩には、アルカンスルホン酸および芳香族スルホン酸のインジウム塩、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸のインジウム塩など、スルファミン酸の塩、硫酸塩、インジウムの塩化物塩および臭化物塩、硝酸塩、水酸化物塩、インジウムオキシド、フッ化臭素塩、カルボン酸のインジウム塩、例えばクエン酸、アセト酢酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、グリコール酸、マロン酸、ヒドロキサム酸、イミノジ酢酸、サリチル酸、グリセリン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酪酸、アミノ酸のインジウム塩、例えばアルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グリシン、グルタミン、ロイシン、リシン、トレオニン、イソロイシン、およびバリンのうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0031】
金属メッキ組成物中に含めることができる追加金属には、ビスマス、コバルト、クロム、および亜鉛のうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。かかる金属は、合金金属として上記された金属のうちの1以上とともに含めることができる。ビスマスイオン源には、クエン酸ビスマスアンモニウムおよびリン酸ビスマスのうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。コバルトイオン源には、硫酸コバルトアンモニウム、酢酸コバルト、硫酸コバルト、および塩化コバルトのうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。クロムイオン源には、酢酸クロム、硝酸クロム、および臭化クロムのうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。亜鉛イオン源には、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、および硫酸亜鉛のうちの1以上が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0032】
これらの金属メッキ組成物からメッキされ得る二元合金には、錫と銅、錫とビスマス、金と銀、インジウムとビスマス、インジウムと亜鉛、および金とコバルトの合金が包含されるが、これらに限定されるわけではない。典型的には、錫と銅の合金がメッキされる。
【0033】
これらの金属メッキ組成物からメッキされうる三元合金は、錫と銀と銅、並びに金と銀と銅の合金が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0034】
一般に、これらの金属塩は、金属イオンが、0.01g/L〜200g/L、または例えば0.5g/L〜150g/L、または例えば1g/L〜100g/L、または例えば5g/L〜50g/Lの濃度の範囲にあるようにメッキ組成物中に含まれる。典型的には金属塩は、金属イオン濃度が、0.01〜100g/L、より典型的には0.1g/L〜60g/Lの範囲になるような量で含まれる。
【0035】
これらの金属メッキ組成物はまた、1以上の通常の希釈剤を含んでいてもよい。典型的にはこれらの金属メッキ組成物は、水性である。しかしながら、所望であれば通常の有機希釈剤が用いられてもよい。任意の通常のメッキ組成物添加剤もまた、含まれていてもよい。このような添加剤は、光沢剤、抑制剤、界面活性剤、無機酸、有機酸、光沢剤分解阻害化合物、アルカリ金属塩、およびpH調節化合物のうちの1以上を包含するが、これらに限定されるわけではない。特定の基体のために金属メッキの性能を調整するために、追加添加剤がこれらの金属メッキ組成物中に含まれてもよい。このような追加添加剤は、均一電解性に影響を与えるほかのレベラーおよび化合物を包含しうるが、これらに限定されるわけではない。典型的には、銅またはその合金の1つがメッキされる時、メッキ組成物は、1以上の光沢剤および1以上の抑制剤を含む。
【0036】
光沢剤は、3−メルカプト−プロピルスルホン酸ナトリウム塩、2−メルカプト−エタンスルホン酸ナトリウム塩、ビススルホプロピルジスルフィド(BSDS)、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(3−スルホプロピル)エステルナトリウム塩(DPS)、(O−エチルジチオカルボナト)−S−(3−スルホプロピル)−エステルカリウム塩(OPX)、3−[(アミノ−イミノメチル)−チオ]−1−プロパンスルホン酸(UPS)、3−(2−ベンズチアゾリルチオ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩(ZPS)、ビススルホプロピルジスルフィドのチオール(MPS)、硫黄化合物、例えば3−(ベンズチアゾイル−2−チオ)−プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸ナトリウム塩、エチレンジチオジプロピルスルホン酸ナトリウム塩、ビス−(p−スルホフェニル)−ジスルフィドジナトリウム塩、ビス−(ω−スルホブチル)−ジスルフィドジナトリウム塩、ビス−(ω−スルホヒドロキシプロピル)−ジスルフィドジナトリウム塩、ビス−(ω−スルホヒドロキシプロピル)−ジスルフィドジナトリウム塩、ビス−(ω−スルホプロピル)−ジスルフィドジナトリウム塩、ビス−(ω−スルホプロピル)−スルフィドジナトリウム塩、メチル−(ω−スルホプロピル)−ジスルフィドナトリウム塩、メチル−(ω−スルホプロピル)−トリスルフィドジナトリウム塩、O−エチル−ジチオ炭酸−S−(ω−スルホプロピル)−エステル、チオグリコール酸カリウム塩、チオリン酸−O−エチル−ビス−(ω−スルホプロピル)−エステルジナトリウム塩、およびチオリン酸−トリス(ω−スルホプロピル)−エステルトリナトリウム塩のうちの1以上を包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0037】
光沢剤は、これらの金属メッキ組成物へ通常の量で添加することができる。一般に光沢剤は、1ppb〜1g/L、または例えば10ppb〜500ppmの量で添加される。
【0038】
抑制剤は、酸素含有高分子量化合物、例えばカルボキシメチルセルロース、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、オクタンジオールビス−(ポリアルキレングリコールエーテル)、オクタノールポリアルキレングリコールエーテル、オレイン酸ポリグリコールエステル、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ステアリン酸ポリグリコールエステル、およびステアリルアルコールポリグリコールエーテルのうちの1以上を包含するが、これらに限定されるわけではない。典型的にはポリ(アルコキシル化)グリコールが用いられる。このような抑制剤は、金属メッキ組成物に通常の量、例えば0.01g/L〜10g/L、または例えば0.5g/L〜5g/Lで含まれ得る。
【0039】
1以上の通常の界面活性剤が用いられてもよい。典型的には界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えばアルキルフェノキシポリエトキシエタノールを包含するが、これらに限定されるわけではない。複数のオキシエチレン基を含有するほかの適切な界面活性剤も用いることができる。このような界面活性剤は、20〜150もの反復単位を有するポリオキシエチレンポリマーの化合物を含む。このような化合物はまた、抑制剤としても機能しうる。ポリオキシエチレン(EO)およびポリオキシプロピレン(PO)のブロックおよびランダムのどちらのコポリマーもポリマーの種類に包含される。界面活性剤は、通常の量、例えば0.05g/L〜20g/L、または例えば0.5g/L〜5g/Lで添加され得る。
【0040】
通常のレベラーは、アルキル化ポリアルキレンイミンおよび有機スルホスルホネートのうちの1以上を包含するが、これらに限定されるわけではない。このような化合物の例としては、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトチアゾリン、エチレンチオ尿素、チオ尿素、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジンチオン(HIT)、およびアルキル化ポリアルキレンイミンが挙げられる。このようなレベラーは、通常の量で含まれる。典型的にはこのようなレベラーは、1ppb〜1g/L、または例えば10ppb〜500ppmの量で含まれる。
【0041】
1以上の無機および有機酸が、マトリックスの溶液導電性を増加させるため、およびまたメッキ組成物のpHを調節するために、これらの金属メッキ組成物中に含まれる。無機酸は、硫酸、塩酸、硝酸、およびリン酸を包含するが、これらに限定されるわけではない。有機酸は、アルカンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸を包含するが、これらに限定されるわけではない。酸は、通常の量でこれらのメッキ組成物中に含まれる。
【0042】
メッキ組成物中に含めることができるアルカリ金属塩はこれに限定されないが、ハロゲンのナトリウムおよびカリウム塩、例えば、塩化物、フッ化物および臭化物を包含する。典型的には、塩化物が使用される。かかるアルカリ金属塩は通常の量で使用される。
【0043】
1以上の光沢剤分解阻害化合物をメッキ組成物中に含めることができる。光沢剤分解阻害化合物は、組成物の他の成分と混合可能であり、かつメッキ組成物中の光沢剤の分解を防止または少なくとも阻害する任意の化合物を包含する。典型的には、かかる化合物は、不溶性陽極を有する電気メッキ用金属メッキ浴中に含められる。かかる化合物は、これに限定されないが、アルデヒド、例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシシンナムアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド一水和物、シリングアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、2−クロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、および3−フランアルデヒドを包含する。他のアルデヒドは、これに限定されないが、ピリジンカルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、ビフェニルアルデヒド、アントラセンアルデヒド、フェナントラセンアルデヒド、および2−ホルミルフェノキシ酢酸を包含する。
【0044】
光沢剤分解阻害剤として機能し得るヒドロキシルアミンは、これに限定されないが、硫酸ヒドロキシルアミン、硝酸ヒドロキシルアミンおよび塩化ヒドロキシルアミンを包含する。典型的には、硫酸ヒドロキシルアミンまたは硝酸ヒドロキシルアミンが使用される。
【0045】
様々なアルコールもまた、光沢剤分解阻害化合物として用いることができる。このようなアルコールは、非分岐および分岐のアルキル、アルケニル、およびアルキニルアルコール、ならびに芳香族アルコール、非芳香族環式アルコール、およびヘテロ環式アルコールを包含するが、これらに限定されるわけではない。このようなアルコールは、クロチルアルコール、2−メチレン−1,3−プロパンジオール、3−ブテン−1−オール、および1,4−アンヒドロ−エリトリトールを包含する。ほかのアルコールは、ナフタレン誘導体、例えば1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸ジナトリウム塩、6,7−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、4−アミノ−5−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸モノナトリウム塩、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドラ−ナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸ジナトリウム塩水和物、デカヒドロ−2−ナフトール、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール、2−ナフタレンメタノール、1,6−ジヒドロキシナフタレン、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸半水和物、および4−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩を包含する。好ましい芳香族アルコールは、5−メトキシレゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、2−ニトロレゾルシノール、2−アリルフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、イソオイゲノール、α,α,α−トリフルオロ−m−クレゾール、4−tert−ブチルカテコール、3−ヒドロキシ−1−ベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、フロログルシノール二水和物および無水物、オリベトール、および3−クロロフェノールを包含する。
【0046】
ほかの好適なアルコールの例は、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、4−アミノフェノール、4−メトキシフェノール、4−エチルレゾルシノール、ヒドロキノン、クロロキノン、ヒドロキノンスルホン酸カリウム塩、4−(メチルチオ)−ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、コニフェリルアルコール、3−メトキシカテコール、4−メルカプト−フェノール、4,4’−チオジフェノール、3−メトキシフェノール、フェノール、クレゾール、およびオルシノール一水和物を包含する。他の好ましい化合物は、これに限定されないが、2’,4’,6’−トリヒドロキシアセトフェノン一水和物、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、およびテトラヒドロキシ−1,4−キノン水和物を包含する。
【0047】
ヘテロ環式化合物は、飽和ラクトン、もしくは1以上の二重結合を有するラクトンを包含する。このようなラクトンは、アスコルビン酸およびα−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを包含する。かかるラクトンの金属塩、例えばナトリウム、カリウム、および鉄塩も包含される。他のヘテロ環式化合物の例は、2−ヒドロキシベンゾフラン、5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2H−ピラン−2−オン、2−ヒドロキシベンゾフラン、ナリンジン水和物、セサモール、2,4−ジヒドロキシ−6−メチルピリミジン、および1,2,4−トリアゾロ(1,5−A)−ピリミジンを包含する。
【0048】
他の好適な化合物の例は、3−フランメタノール、2,4,5−トリヒドロキシ−ピリミジン、5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸、およびデヒドロアスコルビン酸を包含する。
【0049】
有機酸はまた、光沢剤分解阻害化合物としても機能しうる。かかる酸は、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸レゾルシノール、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、メチル−3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート、メチル−2,4−ジヒドロキシベンゾエート、4−ヒドロキシマンデル酸一水和物、3−(フェニルチオ)酢酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、没食子酸、4−ビニル安息香酸、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸、4−メトキシ桂皮酸、2−ヒドロキシ桂皮酸、フタル酸、トランス−3−フラニルアクリル酸、ビニル酢酸、およびスルファニル酸のうちの1以上を包含するが、これらに限定されるわけではない。同様に、酸無水物、例えば無水フタル酸も包含される。
【0050】
光沢剤分解阻害化合物として機能しうるほかの化合物は、メチルスルホキシド、メチルスルホン、テトラメチレンスルホキシド、チオグリコール酸、2(5H)チオフェノン、1,4−ジチアン、トランス−1,2−ジチアン、4,5−ジオール、テトラヒドロチオフェン−3−オン、3−チオフェンメタノール、1,3,5−トリチアン、3−チオフェン酢酸、チオテトロン酸、チオクト酸、クラウンエーテル、クラウンチオエーテル、テトラピリド、エタンチオスルホネート、(2−スルホナトエチル)メタンスルホネート、カルボキシエチルメタンチオスルホネート、2−ヒドロキシエチルメタンチオスルフェート、1,4−ブタンジイルビスメタンチオスルホネート、1,2−エタンジイルビスメタンチオスルホネート、1,3−プロパンジイルメタンチオスルホネート、(3−スルホナトプロピル)メタンチオスルホネート、プロピルメタンチオスルホネート、p−トリルジスルホキシド、p−トリルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)スルフィド、イソプロピルスルホニルクロライド、4−(クロロスルホニル)安息香酸、ジプロピルトリスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジメチルテトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリル)プロピルテトラスルフィド、フェニルビニルスルホン、4−ヒドロキシ−ベンゼンスルホン酸、1,4,7,10,13,16−ヘキサメチル−1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10−テトラ−p−トシル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン、および1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザシクロオクタデカンを包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0051】
光沢剤分解阻害化合物は、メッキ組成物中に、0.001g/L〜100g/Lの量で含まれる。典型的にはかかる化合物は、0.01g/L〜20g/Lの量で含まれる。
【0052】
金属メッキ組成物の測定されたpHは、−1〜14、または例えば−1〜8の範囲であり得る。典型的には、これらのメッキ組成物の測定されたpHは、−1〜5、より典型的には−1〜3の範囲であってもよい。これらの組成物のpHを制御するために、通常の緩衝化合物が含まれてもよい。
【0053】
金属メッキ組成物は、当該技術分野および文献において公知のあらゆる方法によって、基体上に金属または金属合金をメッキするために用いられ得る。典型的には、金属または金属合金は、通常の装置を用いた通常の電気メッキ方法を用いて電気メッキされる。可溶または不溶陽極が、電気メッキ組成物とともに用いられ得る。
【0054】
パルスメッキまたは直流(DC)メッキまたはDCとパルスメッキとの組み合わせが用いられてもよい。このようなメッキ方法は、当該技術分野において公知である。電流密度および電極表面電位は、メッキされる個々の基体に応じて変化し得る。一般に、陽極および陰極電流密度は、0.01〜15A/dmの様々なものであってもよい。低速メッキは、0.1A/dm〜3A/dmの範囲にある。高速メッキは、3A/dm以上、典型的には3A/dm〜15A/dmの範囲にある。メッキ浴は、20℃〜110℃、または例えば20℃〜50℃の温度範囲に維持される。メッキ温度は、メッキされる金属に応じて変化し得る。
【0055】
金属メッキ組成物中にアミドを含むことによって、多くの従来の金属メッキ組成物よりも少なくとも改良されたレベリング性能が提供される。かかる金属メッキ組成物は、スルーホールおよびビア、集積回路、電気接触表面およびコネクタ、電解ホイル、マイクロチップ用途のためのシリコンウエハー、半導体および半導体パッケージング、リードフレーム、オプトエレクトロニクスおよび光電子工学のパッケージング、およびはんだバンプをはじめとする、電気デバイス、例えばプリント配線基板の製造における金属メッキに用いることができる。これに加えて、これらの金属メッキ組成物は、装飾品、例えば宝飾品、建具金物、自動車部品、および衛生器具を金属メッキするために用いられてもよい。
【0056】
次の実施例は、本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、本発明をさらによく説明するために提供される。
【実施例1】
【0057】
Fluka(スイス国ブフス(Buchs)の化学会社)からの数平均分子量600の24gのポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル600を、6時間190〜200℃で、アルドリッチからの19gのペンタエチレン−ヘキサミンと、1:1.7のモル比で、短いガラス管、蒸留ヘッド、リービッヒ冷却器、および受け入れフラスコを有する丸底フラスコにおいて、一定不活性ガス供給下に反応させる。水がフラスコから留去される。反応液が、凝縮器および受け入れフラスコを用いて、200℃、15ミリバールで加熱される。残留生成物が水中に溶解され、エーテルで抽出される。水相が蒸発によって乾燥され、下記式を有するポリアミドアミンを得た。
H−(NH−(CHNH−[C(O)CHO(C11−CH−C(O)−NH−((CH−NH)]−H (XIX)
この構造は、炭素13および水素1NMR分光法を用いて決定される。数平均分子量は、SECによって決定された場合1050である。
【実施例2】
【0058】
数平均分子量250を有する、アルドリッチからの13gのポリエチレングリコール−ビス(カルボキシメチルエーテル)250を、実施例1に記載されているように、6時間190〜200℃で、23gのペンタエチレン−ヘキサミンと、1:2のモル比で反応させる。反応は、200℃、30ミリバールで完了される。構造は、NMR分光法を用いて決定される。
【0059】
ポリアミドアミンの構造が、ついで炭素13および水素1NMR分光法を用いて決定される。このポリアミドアミンは次の式を有する。
H−(NH−(CH−NH−[C(O)−CHO−(CO)−CH−C(O)−NH−((CH−NH)]−H (XX)
数平均分子量は、SECによって決定された場合600〜650である。
【実施例3】
【0060】
18gのポリエチレングリコールビス(カルボキシメチルエーテル)600を、アルドリッチからの7gの4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンと、2時間190〜240℃で、実施例1に記載されているように反応させる。該反応物のモル比は1:1.1である。反応水が留去され、生成物は、下記式を有する。
HO−[C(O)−CH−O−(CO)11−CH−C(O)−NH−(CH−(OC−O−(CH−NH]−H (XXI)
この式は、NMR分光法を用いて決定される。数平均分子量は、SECによって決定された場合2430である。
【実施例4】
【0061】
10gのポリエチレングリコールビス(カルボキシルメチルエーテル)250を、18gの4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンと、1時間180〜220℃で、実施例1に記載されているように、1:2のモル比で反応させる。反応は、220〜250℃へ30ミリバールで4時間加熱することによって、さらに250℃、1ミリバールでの3時間後に完了される。反応生成物の構造は、NMR分光法を用いて決定され、次の構造を有する。
N(CH−(OC−O−(CH−NH−[C(O)−CH−O−(CO)−CH−C(O)−NH−(CH−(OC−O(CH−NH]−H (XXII)
数平均分子量は、SECによって決定された場合1600である。
【実施例5】
【0062】
6gのポリエチレングリコールビス(カルボキシメチルエーテル)600を、2時間230〜240℃で、アルドリッチからの16gのO,O’−ビス(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコール1500と、1:1のモル比で反応させる。反応装置は、実施例1に記載されているものと同じである。反応水が留去されると、褐色がかった固体を生じる。生成物が水中に溶解され、活性炭フィルターを通して濾過され、ついで微細濾過される。生成物が蒸発によって乾燥される。反応生成物の構造は、NMR分光法によって決定され、次の構造を有する。
HO−[C(O)−CHO(CO)11−CHC(O)−NH−(CH−(OC34−O−(CH−NH]−H (XXIII)
数平均分子量は、SECによって決定された場合8800である。
【実施例6】
【0063】
24gのポリエチレングリコールビス(カルボキシルメチルエーテル)250を、5時間200℃で、アルドリッチからの18gの1,6−ジアミノヘキサンと、1:1.6のモル比で反応させる。装置は、実施例1に記載されているものと同じである。反応水が、いくらかの抽出物をともなって留出される。抽出物が水中に溶解される。水が蒸発され、抽出物が、210〜220℃、30ミリバールで3時間にわたって留出される。黄色がかったワックス生成物が得られる。この生成物の構造は、NMR分光法によって決定され、次の構造を有する。
N−(CH−NH−[C(O)−CHO(CHO)−CH−C(O)−NH−(CH−NH]−H (XXIV)
SECによって決定された分子量は、1300である。
【実施例7】
【0064】
24gのポリエチレングリコール−ビス(カルボキシメチルエーテル)600を、3.5時間200〜210℃で、9.5gの1,6−ジアミノヘキサンと、1:2のモル比で反応させる。反応は、上の実施例1に記載されているものと同じ装置を用いて実施される。反応水がいくらかのアミンをともなって留去される。さらなるアミンが、200〜210℃、30ミリバールで除去されると、下記式を有する生成物を生じる。
N−(CH−NH−[C(O)−CH−O−(CO)11−CH−C(O)−NH−(CH−NH]−H (XXV)
数平均分子量は、SECによって、2200であると決定される。
【実施例8】
【0065】
12.5gのポリエチレングリコール−ビス(カルボキシメチルエーテル)250を、19gのビス(ヘキサメチレン)トリアミンと、4.5時間200〜230℃で、1:1.8のモル比で反応させる。反応水が留去される。加熱が240℃で5時間、ついで1時間にわたって250℃、30ミリバールで続行され、シロップ状油が残され、これは、室温で放置した際に固化した。この油状物は、濁った溶液としておよび透明溶液として、濃縮された研究室グレードの硫酸を添加した場合に水中に可溶である。この重縮合体は、次の構造を有する。
H(NH−(CH−NH−[C(O)−CH−O−(CO)−CH−C(O)−NH−((CH−NH)−H (XXVI)
数平均分子量は、1400である。
【実施例9】
【0066】
24gのポリエチレングリコール−ビス(カルボキシメチルエーテル)600を、15gのビス(ヘキサメチレン)トリアミンと、1時間200〜210℃で、1:1.7のモル比で反応させる。反応水が留去される。加熱が240℃で5時間、そして最後に240℃、30ミリバールで5時間にわたって続行される。生成物は、次の式を有する。
N−(CH−NH−(CH−NH−[C(O)−CH−O−(CO)11−CH−C(O)−NH−(CH−NH−(CH−NH]−H (XXVII)
数平均分子量は、1800である。
【実施例10】
【0067】
12.5gのポリエチレングリコール−ビス(カルボキシメチルエーテル)250を、15gの2,2’−エチレンジオキシビスエチルアミンと、2.5時間180〜185℃で、および1.5時間200〜210℃で、1:2のモル比で反応させる。反応水が留去される。さらに2時間220℃、30ミリバールでの加熱後、油状物が得られる。この油状生成物は、式を有する。
N−(CO)−C−NH−[C(O)−CHO−(CO)−CH−C(O)−NH−(CO)−NH]−H (XXVIII)
数平均分子量は、1150である。
【実施例11】
【0068】
21gのポリエチレングリコール−ビス(カルボキシメチルエーテル)600を、10gの2,2’−エチレンジオキシビスエチルアミンと、4時間200〜210℃で、1:2のモル比で反応させる。反応水が留去される。さらに2時間220℃、30ミリバールでの加熱後、油状物が得られる。この油状物が水中に溶解され、活性炭で処理される。これはついで微細濾過され、乾燥され、凍結乾燥され、褐色がかったシロップ状油が得られる。生成物は、次の式を有する。
N−(CO)−C−NH−[C(O)−CHO−(CO)11−CH−C(O)−NH−(CO)−C−NH]−H (XXIX)
数平均分子量は、1600である。
【実施例12】
【0069】
16gのポリエチレングリコール−ビス(カルボキシメチルエーテル)600を、10gのN,N’−ビス−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミンと、1:2のモル比で2.5時間、180〜190℃で、ついで1.5時間、200〜220℃で反応させる。反応水が留去される。ついでさらなる加熱が、250℃、15ミリバールで実施される。黒い油状物が反応容器中に残留した。この油状物が水中に溶解され、活性炭で処理される。濾過、および蒸発による乾燥後、オレンジ色の油状物が得られる。生成物は、下記式を有する。
H−(NH(CH−NH−[C(O)−CHO−(CHO−(CO)11−CH−C(O)−NH−((CH−NH)]−H (XXX)
この生成物の分子量は、960である。
【実施例13】
【0070】
水性銅メッキ組成物のストック溶液が、次の濃度の材料:80g/硫酸銅5水和物、225g/L硫酸、および60mg/Lの塩素イオンを供給するのに十分な量の塩酸;を用いて調製される。光沢剤および抑制剤を含有する14個の1400ml溶液を作るために、ストック溶液からアリコートが取られる。また12個の溶液は、実施例1〜12からの化合物を含んでいる。下記の表は、14個の処方を開示している。
【0071】
【表1】

【0072】
実施例1〜12の化合物が、1g/Lの量でサンプル中に含まれる。光沢剤は、0.01g/Lの量で含まれ、抑制剤は、0.5g/Lの量で含まれる。水性銅メッキ組成物の各々1400mlのアリコートが、ついで通常のハーリングセルへ添加される。リン含有銅陽極が、ハーリングセルの両側に浸漬され、通常の整流器へ電気接続される。両面銅クラッドパネル(0.16cm厚さ、5cm×15cm)が、ついでハーリングセルの中心に浸漬され、これらのパネルはついで、50分間、3A/dmで空気撹拌をともなってメッキされる。電気メッキは、室温で実施される。
【0073】
50分後、これらのパネルは除去され、20容量%の水性Antitarnish(商標)7130(マサチューセッツ州マールボロー、ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズから入手可能)の曇り防止溶液中に浸漬され、ブロワーで空気乾燥された。実施例1〜12の化合物を有するこれらの溶液中でメッキされたパネル上の銅メッキは、光沢があり滑らかであると予想される。これに加えて、パネル上の観察しうる欠陥、例えば小塊(nodule)、ステップメッキ(step plating)、および指紋は観察されないと予想される。これに対して、実施例1〜12の化合物を有さない溶液でメッキされたパネルは、濁っていると予想される。
【0074】
上の手順が、3つの新しいパネルセットを用いて繰り返される。1つのセットは、1A/dmで150分間メッキされ、2つ目のセットは、2A/dmで70分間メッキされ、3つ目のセットは、4A/dmで35分間メッキされる。実施例1〜12の化合物を含有するサンプルで電気メッキされたパネルのすべては、光沢のある滑らかな銅メッキを有し、観察しうる欠陥をともなわないと予想される。これに対して、実施例1〜12の化合物を含まないサンプルは、濁っていると予想される。
【実施例14】
【0075】
実施例13に記載されているような銅電気メッキストック溶液が調製される。50個の別々のテスト溶液を作るために、50個の1400mlアリコートが、ストック溶液から取られる。各テスト溶液の組成が、下の表2に開示されている。
【0076】
【表2】

【0077】
各サンプルは、光沢剤を1g/Lの量で含み、かつ抑制剤を5g/Lの量で含んでいる。各サンプル中の実施例1〜12からの化合物の量は、様々である。サンプル1〜4は、実施例1からの化合物を、それぞれ0.001g/L、0.01g/L、0.5g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル5〜8は、実施例2からの化合物を、それぞれ0.005g/L、0.01g/L、0.5g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル9〜12は、実施例3からの化合物を、それぞれ0.05g/L、0.25g/L、0.5g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル13〜16は、実施例4からの化合物を、それぞれ0.01g/L、0.25g/L、0.5g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル17〜20は、実施例5からの化合物を、それぞれ0.001g/L、0.05g/L、0.1g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル21〜24は、実施例6からの化合物を、それぞれ0.001g/L、0.01g/L、0.5g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル25〜28は、実施例7からの化合物を、それぞれ0.01g/L、0.25g/L、0.5g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル29〜32は、実施例8からの化合物を、それぞれ0.001g/L、0.01g/L、0.1g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル33〜36は、実施例9からの化合物を、それぞれ0.05g/L、0.25g/L、0.75g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル37〜40は、実施例10からの化合物を、それぞれ0.05g/L、0.25g/L、0.5g/L、および0.75g/Lの量で含んでいる。サンプル41〜44は、実施例11からの化合物を、それぞれ0.05g/L、0.1g/L、0.5g/L、および1g/Lの量で含んでいる。サンプル45〜48は、実施例12からの化合物を、それぞれ0.01g/L、0.5g/L、0.75g/L、および1g/Lの量で含んでいる。
【0078】
各サンプルがハーリングセルに入れられ、リン含有銅陽極が、各ハーリングセルの両側に浸漬される。これらのセルは、通常の整流器へ電気的に接続される。複数の0.2mm直径スルーホールを有する両面銅クラッドパネル(0.16cm厚さ、5cm×15cm)が、各ハーリングセルの中心に置かれる。各パネルが、50分間、3A/dmで空気撹拌をともなって電気メッキされる。電気メッキは室温で行なわれる。電気メッキが完了した後、これらのパネルがハーリングセルから除去され、スルーホールの銅メッキの厚さを調べるために横断面切断される。これらのスルーホールは、光学顕微鏡を用いて200×倍率で検査される。実施例1〜12の化合物を含有するサンプルでのスルーホールは、2つの対照サンプルよりも、より厚くかつより均一な銅層をこれらのスルーホールの中心に有することによって、改良された均一電解性を示すと予想される。
【実施例15】
【0079】
硫酸錫からの錫イオン20g/L、硫酸40g/L、平均分子量2,200を有するエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー0.5g/L、硫酸化アルキルエトキシレート(TRITON(商標)QS−15)10ml/L、および実施例1の化合物XIX0.1g/Lを含んでいる水性錫メッキ組成物が、実施例13に記載されているようにハーリングセルに入れられる。この錫メッキ組成物のpHは1未満であり、温度は30℃である。基体は、青銅クーポン5cm×15cmである。錫電気メッキは、3A/dmで50分間行なわれる。錫層は、滑らかで、観察しうるいかなる欠陥も含んでいないと予想される。
【実施例16】
【0080】
硫酸錫からの錫イオン30g/L、硫酸銅5水和物からの銅イオン20g/L、硫酸50g/L、平均分子量3,000を有するエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー1g/L、ポリエトキシル化アミン(Jeffamine(商標)T−403、Huntsman Corporationから入手可能)20ml/L、および実施例2の化合物XX0.1g/Lを含んでいる水性錫/銅合金メッキ組成物が、実施例13に記載されているようにハーリングセルに入れられる。錫/銅メッキ組成物のpHは1未満であり、温度は30℃である。基体は、青銅クーポン5cm×15cmである。錫/銅電気メッキは、4A/dmで35分間行なわれる。錫/銅合金層は、滑らかで、観察しうるいかなる欠陥も含んでいないと予想される。
【実施例17】
【0081】
硫酸錫からの錫イオン25g/L、三塩化ビスマスからのビスマスイオン10g/L、硫酸90g/L、平均分子量2,500を有するエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー2g/L、硫酸化アルキルエトキシレート(TRITON(商標)QS−15)10ml/L、および実施例3の化合物XXI0.1g/Lを含んでいる水性錫/ビスマス合金メッキ組成物が、実施例13に記載されているようにハーリングセルに入れられる。錫/ビスマスメッキ組成物のpHは1未満であり、温度は30℃である。基体は、青銅クーポン5cm×15cmである。錫/ビスマス電気メッキは、2A/dmで60分間行なわれる。錫/ビスマス合金層は、滑らかで、観察しうるいかなる欠陥も含んでいないと予想される。
【実施例18】
【0082】
硫酸錫からの錫イオン35g/L、三塩化インジウムからのインジウムイオン5g/L、硫酸50g/L、平均分子量5,000を有するエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー1g/L、硫酸化アルキルエトキシレート(TRITON(商標)QS−15)10ml/L、および0.1g/Lの実施例4のXXII を含んでいる水性錫/インジウム合金メッキ組成物が、実施例13に記載されているようにハーリングセルに入れられる。錫/インジウム組成物のpHは1未満であり、温度は30℃である。基体は、青銅クーポン5cm×15cmである。錫/インジウム電気メッキは、1A/dmで100分間行なわれる。錫/インジウム合金層は、滑らかで、観察しうるうかなる欠陥も含んでいないと予想される。
【実施例19】
【0083】
メタンスルホン酸錫からの錫イオン40g/L、メタンスルホン酸銀からの銀イオン1g/L、メタンスルホン酸銅からの銅1g/L、メタンスルホン酸90g/L、エトキシル化ビスフェノール2g/L、1−アリル−2−チオ尿素4g/L、および実施例5の化合物XXIII0.1g/Lを含んでいる水性錫/銀/銅合金メッキ組成物が、実施例13に記載されているようにハーリングセルに入れられる。錫/銀/銅組成物のpHは1であり、温度は30℃である。基体は、青銅クーポン5cm×15cmである。錫/銀/銅電気メッキは、2A/dmで100分間行なわれる。錫/銀/銅合金層は、滑らかで、観察しうるうかなる欠陥を含んでいないと予想される。
【実施例20】
【0084】
実施例15に記載された金属メッキ方法が、化合物が実施例6の化合物XXIVであることを除いて同じタイプの錫メッキ組成物、および金属メッキパラメーターを用いて繰り返される。これらのパネル上に堆積された錫層は、滑らかで、観察しうる欠陥を含んでいないと予想される。
【実施例21】
【0085】
実施例15に記載された金属メッキ方法が、化合物が実施例7の化合物XXVであることを除いて同じタイプの錫メッキ組成物、および金属メッキパラメーターを用いて繰り返される。これらのパネル上に堆積された錫層は、滑らかで、観察しうる欠陥を含んでいないと予想される。
【実施例22】
【0086】
実施例16に記載された金属メッキ方法が、化合物が実施例8の化合物XXVIであることを除いて同じ型の錫/銅メッキ組成物および金属メッキパラメーターを用いて繰り返される。これらのパネル上の錫/銅層は、滑らかで、観察しうる欠陥を含んでいないと予想される。
【実施例23】
【0087】
実施例16に記載された金属メッキ方法が、化合物が実施例9の化合物XXVIIであることを除いて同じ型の錫/銅メッキ組成物および金属メッキパラメーターを用いて繰り返される。これらのパネル上の錫/銅層は、滑らかで、観察しうる欠陥を含んでいないと予想される。
【実施例24】
【0088】
実施例17に記載された金属メッキ方法が、ただし化合物が実施例10の化合物XXVIIIであることを除いて同じ型の錫/ビスマスメッキ組成物および金属メッキパラメーターを用いて繰り返される。これらのパネル上の錫/ビスマス層は、滑らかで、観察しうる欠陥を含んでいないと予想される。
【実施例25】
【0089】
実施例17に記載された金属メッキ方法が、化合物が実施例11の化合物XXIXであることを除いて同じ型の錫/ビスマスメッキ組成物および金属メッキパラメーターを用いて繰り返される。これらのパネル上の錫/ビスマス層は、滑らかで、観察しうる欠陥を含んでいないと予想される。
【実施例26】
【0090】
実施例16に記載された金属メッキ方法が、化合物が実施例12の化合物XXXであることを除いて同じ型の錫/銅メッキ組成物、および金属メッキパラメーターを用いて繰り返される。これらのパネル上の錫/銅層は、滑らかで、観察しうる欠陥を含んでいないと予想される。
【実施例27】
【0091】
銅メッキ浴から電気メッキされた堆積銅の厚さに対するレベラー成分の効果を比較するために、一連の実験が実施された。下の各事例において、個々のレベラー(またはいくつかの事例ではレベラーが無い)が、銅メッキ浴へ添加され、ついでパネルが電気メッキされ、このパネルはついで加工処理され、電気メッキされた銅堆積物の厚さがついで、このパネルの表面、ならびにパネル中に穿孔されたスルーホールの中心の両方において測定された。メッキ実験の後、溶液が廃棄され、新鮮なストック溶液が、次の実験において用いられた。
【0092】
水性銅メッキ浴のストック溶液が、次の濃度無機材料を用いて調製された:75g/Lの硫酸銅5水和物、190g/Lの硫酸、および60mg/Lの塩素イオンを供給するのに十分な量の塩酸。3mL/Lのローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズのCopper Gleam(商標)ST−901A添加剤(光沢剤)および1.5g/Lのポリ(アルコキシル化)グリコール(抑制剤)が、ストック溶液へ添加された。1500mLのこの溶液が、ついでハーリングセルへ添加された。リン含有銅スラブが、ハーリングセルの両側に浸漬され、メッキサイクルの間、陽極として用いられた。両面銅クラッドパネル(1.6mm厚さ、5cm×10cmメッキ面積)が、ハーリングセルの中心に置かれ、メッキサイクルの間、陰極としての役目を果たした。空気撹拌が、メッキ実験の間を通して用いられた。スルーホールをパネル中に穿孔し、薄いが接着性の銅層(20〜25mm)が、スルーホールを含むパネルの全体的な露出した表面上に化学的に堆積されるように、パネルをあらかじめ処理した。ついである量のレベラーが、ハーリングセル中の溶液へ添加されるか、またはレベラーは添加されなかった。ついで銅が、3A/dmの電流密度で50分間電気メッキされた。ついでパネルが、脱イオン水中で洗浄された。基体上およびスルーホール(直径0.32mm)の中心にメッキされた銅の厚さが測定されるようにボードの領域を処理した。スルーホールの中心における銅厚さの寸法は、この浴の均一電解性、または特定のメッキ浴がスルーホールの内部で銅を電気メッキする能力の指標であった。スルーホール中で測定されたより厚い堆積物は、より高い均一電解性を示し、より望ましいものであった。様々なレベラーを含有するメッキ浴からの測定された銅厚さが、表3に示されている。
【0093】
【表3】

【0094】
すべてのレベラーは、レベラーを含有しないメッキ浴と比較して、スルーホールの中心でのメッキされた銅の厚さにおいて改良を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式を有する化合物:
H−A’−Q−[C(O)−CHO−((RCH)−O)−CH−C(O)−NH−A]−H (I)
(式中、A’は、−(NH−(CHx’y’− ;−NH(CHx’−(O−(CHRr’w’−O−(CHx’−;または−NH−((RCH)r’−O)w’−C−であり、
Aは、−((CH−NH)− ;−(CH−(O−(CHR−O−(CH−NH−;または−((RCH)−O)−C−NH−であり、
は、−Hまたは−CHであり、
Qは、p=1のとき−NH−であり、またはp=0のとき、−O−であり、
pは、0または1であり、ここで、H−およびQは、p=0のとき、化学結合を形成し、
r’は、2〜4の整数であり、
w’は、1〜50の整数であり、
x’は、2〜6の整数であり、
y’は、0〜5の整数であり、
ここで、H−およびQは、y’が0であるとき、化学結合を形成し、
rは、2〜4の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、
xは、2〜6の整数であり、
yは、0〜5の整数であり、ここで、H−は、yが0であるとき、末端−C(O)−NH−の窒素へ結合し、
tは、2〜4の整数であり、
uは、1〜20の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、および、
zは、1〜50の整数である)。
【請求項2】
1以上の金属イオン源と下記式を有する1以上の化合物とを含む組成物:
H−A’−Q−[C(O)−CHO−((RCH)−O)−CH−C(O)−NH−A]−H (I)
(式中、A’は、−(NH−(CHx’y’− ;−NH(CHx’−(O−(CHRr’w’−O−(CHx’−;または−NH−((RCH)r’−O)w’−C−であり、
Aは、−((CH−NH)− ;−(CH−(O−(CHR−O−(CH−NH−;または−((RCH)−O)−C−NH−であり、
は、−Hまたは−CHであり、
Qは、p=1のとき−NH−であり、またはp=0のとき−O−であり、
pは、0または1であり、ここで、H−およびQは、p=0のとき、化学結合を形成し、
r’は、2〜4の整数であり、
w’は、1〜50の整数であり、
x’は、2〜6の整数であり、
y’は、0〜5の整数であり、
ここで、H−およびQは、y’が0であるとき、化学結合を形成し、
rは、2〜4の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、
xは、2〜6の整数であり、
yは、0〜5の整数であり、ここで、H−は、yが0であるとき、末端−C(O)−NH−の窒素へ結合し、
tは、2〜4の整数であり、
uは、1〜20の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、および、
zは、1〜50の整数である)。
【請求項3】
1以上の光沢剤、抑制剤、界面活性剤、酸、光沢剤分解阻害化合物、およびアルカリ金属塩をさたに含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記金属イオンが、銅、錫、ニッケル、金、銀、パラジウム、白金、インジウム、またはこれらの合金から選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
前記金属イオンは、銅イオンである、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
a)1以上の金属イオン源と下記式を有する1以上の化合物とを含む金属メッキ組成物を提供する工程:
H−A’−Q−[C(O)−CHO−((RCH)−O)−CH−C(O)−NH−A]−H (I)
(式中、A’は、−(NH−(CHx’y’− ;−NH(CHx’−(O−(CHRr’w’−O−(CHx’−;または−NH−((RCH)r’−O)w’−C−であり、
Aは、−((CH−NH)− ;−(CH−(O−(CHR−O−(CH−NH−;または−((RCH)−O)−C−NH−であり、
は、−Hまたは−CHであり、
Qは、p=1のとき−NH−であり、またはp=0のとき−O−であり、
pは、0または1であり、ここで、H−およびQは、p=0のとき、化学結合を形成し、
r’は、2〜4の整数であり、
w’は、1〜50の整数であり、
x’は、2〜6の整数であり、
y’は、0〜5の整数であり、
ここで、H−およびQは、y’が0であるとき、化学結合を形成し、
rは、2〜4の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、
xは、2〜6の整数であり、
yは、0〜5の整数であり、ここで、H−は、yが0であるとき、末端−C(O)−NH−の窒素へ結合し、
tは、2〜4の整数であり、
uは、1〜20の整数であり、
wは、1〜50の整数であり、および、
zは、1〜50の整数である);
b)基体と前記組成物とを接触させる工程;および
c)金属を前記基体上に堆積させる工程;
を含む方法。
【請求項7】
前記金属イオンが、銅、錫、ニッケル、金、銀、パラジウム、白金、インジウム、またはこれらの合金から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記金属イオンは、銅イオンである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記基体は、電気デバイスまたは装飾品である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記電気デバイスは、プリント配線基板である、請求項9記載の方法。

【公開番号】特開2009−29776(P2009−29776A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−95847(P2008−95847)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】