説明

金属リングの検査用画像生成装置及び検査用画像生成方法

【課題】設定された撮像位置を維持したまま、周長が異なる金属リングの側縁を検査するための画像生成装置を提供する。
【解決手段】画像生成装置1は、第1の一対のローラ6a,10a間及び第2の一対のローラ6b,10b間に金属リング2を挟持し、少なくとも一つのローラを回転させることにより金属リング2を周方向に回転させるローラ6a,6b,10a,10bと、金属リング2の側縁2aを定位置Pで撮像するカメラ4と、得られた画像を処理して表示する画像処理装置5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属リングの検査用画像生成装置及び検査用画像生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の無段変速機の動力伝達のために、複数の金属製環状部材を積層して金属リングを形成し、金属リングを所定形状のエレメントに組み付け保持して構成した無段変速機用ベルトが用いられている。このような金属リングは、製造工程、搬送工程、積層工程等で側縁に傷や打痕等が生じることがあり、側縁に傷等が生じた金属リングは破断するおそれがある。そこで、金属リングを形成したところで、その側縁に対する検査が行われている。
【0003】
その検査のために、保持部により円形に保持された金属リングを回転テーブルにより回転させ、金属リングの側縁に光を当ててその側縁をカメラで撮像し、金属リングの傷等を検査するための画像を生成する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−10586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の金属リングの検査用画像生成装置では、検査対象となる金属リングの周長が変わると、それに対応するために、金属リングを保持する回転テーブルの保持部を変更したり、周長の異なる金属リング毎に撮像位置を変更しなければならないという煩わしさがある。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みて、検査対象の金属リングの周長が異なっても、設定された撮像位置等を維持したまま、周長の異なる金属リングの側縁を検査できる検査用画像生成方法と、それを実施するための装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の検査用画像生成装置は、無端状に形成された金属リングの側縁を検査するための画像生成装置であって、該金属リングを周方向に回転させる回転手段と、該回転手段により回転されている該金属リングの回転中心軸方向からその側縁を定位置で撮像する撮像手段と、該撮像手段により得られた画像を処理して表示する画像処理手段とを備え、該回転手段は、第1の一対のローラと第2の一対のローラとを該金属リングの周方向に間隔をおいて配置して構成され、該第1の一対のローラ間及び第2の一対のローラ間に該金属リングを挟持し、該第1及び第2の一対のローラのうち少なくとも一つのローラを回転させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明の検査用画像生成装置は、第1の一対のローラ間及び第2の一対のローラ間に金属リングを狭持する構成であるから、金属リングの周長の大きさに関わらず、周長が異なる金属リングを狭持することができる。
【0009】
そして、検査用画像生成装置は、第1の一対のローラ間及び第2の一対のローラ間に金属リングを狭持し、該金属リングを周方向に回転させると共に、定位置である撮像位置に金属リングの側縁を通過させる。
【0010】
従って、本発明の検査用画像生成装置によれば、金属リングの周長の大きさに関わらず、設定された撮像位置等を維持したまま撮像し、金属リングの側縁を検査するための画像生成を行うことができる。
【0011】
本発明の金属リングの検査用画像生成装置において、前記第1及び第2の一対のローラは、該金属リングの側縁を押圧することが好ましい。
【0012】
本発明によれば、第1及び第2の一対のローラは金属リングの側縁を押圧するので、撮像位置における金属リング、特に、撮像される金属リングの側縁を、基盤に対する所望の高さに確実に設定することができる。
【0013】
本発明の金属リングの検査用画像生成装置において、前記第1及び第2の一対のローラの各ローラの回転軸は、該金属リングの回転中心軸方向と平行に配設されることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、第1及び第2の一対のローラの各ローラの回転軸は金属リングの回転中心軸方向と平行に配設されるので、各ローラは金属リングの側縁と非接触状態で金属リングを回転させることができる。従って、各ローラが金属リングの側縁に当接することにより、傷等を金属リングの側縁に生じさせることを防止できる。
【0015】
また、本発明の検査用画像生成方法は、無端状に形成された金属リングの側縁を検査するための画像生成方法であって、第1の一対のローラ間及び第2の一対のローラ間に該金属リングを挟持し、該第1及び第2の一対のローラのうち少なくとも一つのローラを回転させることにより該金属リングを周方向に回転させる回転工程と、該回転工程により回転されている該金属リングの回転中心軸方向からその側縁を定位置で撮像する撮像工程と、該撮像工程により得られた画像を処理してモニタに表示する画像処理工程とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の検査用画像生成方法の回転工程では、第1の一対のローラ間及び第2の一対のローラ間に金属リングを狭持するため、周長が異なる金属リングを狭持することができる。
【0017】
そして、回転工程では、第1の一対のローラ間及び第2の一対のローラ間に周長の大きさに関わらず金属リングを狭持し、該金属リングを周方向に回転させると共に、定位置である撮像位置に、撮像する金属リングの側縁を通過させる。
【0018】
従って、本発明の検査用画像生成方法によれば、撮像工程において周長の大きさに関わらず金属リングを撮像し、画像処理手段において得られた画像を処理してモニタに表示する際にも、設定された撮像位置等を維持したまま、金属リングの側縁を検査するための画像生成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態の検査用画像生成装置の概要を示す説明図。
【図2】図1の検査用画像生成装置の基盤をカメラ方向から見た説明的平面図。
【図3】図2のIII−III線拡大断面図。
【図4】画像処理装置の機能的構成を示す説明図。
【図5】本発明の第2の実施形態の検査用画像生成装置の概要を示す説明図。
【図6】図5の検査用画像生成装置の基盤をカメラ方向から見た説明的平面図。
【図7】図6のVII−VII線一部省略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
図1乃至図4を参照して説明する。第1の実施形態の検査用画像生成装置1は、複数の金属製環状部材が積層された異なる周長の金属リング2を定位置である撮像位置Pで撮像し、得られた画像を処理して画像表示するものである。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態の検査用画像生成装置1は、基盤3と、基盤3の上方に設けられたカメラ4と、カメラ4によって撮像位置Pで撮影された画像の処理を行う画像処理装置5とを備えている。また、第1の実施形態の検査用画像生成装置1には、カメラ4による撮像位置に光を照射するために、基盤3の上方に設けられた照明装置(図示せず)が設けられている。
【0022】
基盤3は、第1駆動ローラ6a及び第2駆動ローラ6bを駆動するモータ(図示せず)を収容する筐体7を備える。筐体7は、昇降用アクチュエータとしてのシリンダ8により上下方向に駆動される支持部材11と共に基盤3に対して垂直方向に移動することができる。その際、筐体7は、第1駆動ローラ6a及び第2駆動ローラ6bと一体的に移動する。そして、基盤3は、昇降用アクチュエータ8により筐体7が基盤3に対して垂直方向に移動するために、2本の筐体案内柱9,9を備える。
【0023】
また、基盤3は、第1駆動ローラ6aにより押圧される金属リング2に従動回転する第1従動ローラ10aと、第2駆動ローラ6bにより押圧される金属リング2に従動回転する第2従動ローラ10bとを備える。
【0024】
第1従動ローラ10a及び第2従動ローラ10bは、各ローラが基盤3に回転自在に埋設され、各ローラの外表面の一部が基盤3から露出するように設けられている。転動する従動ローラ10a,10bの外表面上を金属リング2が移動することにより、金属リング2の側縁2aが第1従動ローラ10aと第2従動ローラ10bの間の基盤3上を摺動して傷付くことを防止する。
【0025】
第1駆動ローラ6aと第1従動ローラ10aとで第1の一対のローラを構成し、第2駆動ローラ6bと第2従動ローラ10bとで第2の一対のローラを構成する。第1の一対のローラ6a,10a及び第2の一対のローラ6b,10bは、両一対のローラの間に、定位置である撮像位置Pを挟むように配設されている。そして、第1の一対のローラ6a,10a及び第2の一対のローラ6b,10bは、各一対のローラ間に金属リング2を挟持し、周方向に金属リング2を回転させる。
【0026】
また、第1の一対のローラ6a,10a及び第2の一対のローラ6b,10bの各ローラは、金属リング2の側縁2aを押圧する。従って、撮像位置Pにおける金属リング2、特に、撮像される金属リング2の側縁2aを、基盤3に対する所望の高さに確実に設定することができる。
【0027】
ここで、第1駆動ローラ6a及び第2駆動ローラ6bは、昇降用アクチュエータ8により、筐体7と一体的に基盤3に対して垂直方向に移動する。昇降用アクチュエータ8が筐体7を基盤3に対して垂直方向に上昇することにより、第1の一対のローラ6a,10a間及び第2の一対のローラ6b,10b間に金属リング2を挿入できる。
【0028】
その後、昇降用アクチュエータ8が筐体7を基盤3に対して垂直方向に下降することにより、第1の一対のローラ6a,10a間及び第2の一対のローラ6b,10b間に金属リングを挟持することができる。
【0029】
図1及び図3に示すように、基盤3は、第1の一対のローラ6a,10aと第2の一対のローラ6b,10bとの間に、金属リング2の外表面側と内表面側に設けられると共に、撮像位置Pを挟む一対のリング案内部12,12を備える。一対のリング案内部12,12に挿入される金属リング2は、金属リング2の側縁2aが撮像位置Pを通過するように位置決めされる。
【0030】
さらに、基盤3には、所定範囲の周長の金属リング2に対応して、複数のベアリング13が配設されている。ベアリング13は、その外表面の一部が基盤3から露出するように設けられる。金属リング2が回転させられる際、転動するベアリング13の外表面上を金属リング2が移動することにより、金属リング2の側縁2aが基盤3上を摺動して傷付くことを防止することができる。
【0031】
カメラ4は、一般に用いられているCMOSカメラであり、定位置である撮像位置Pにおいて金属リング2の軸方向からその側縁2aを撮像するものである。また、カメラ4はケーブル14により画像処理装置5に接続されている。尚、カメラ4は金属リング2の側縁2aを撮像できるものであれば、CCDカメラ等の他のカメラを用いてもよい。
【0032】
画像処理装置5は、図4に示すように、機能的構成として、画像記憶手段15と、2値化手段16と、結果表示手段17とを備えている。また、画像記憶手段15はカメラ4に接続され、結果表示手段17が画像処理装置5に内蔵されたモニタ18に接続されている。
【0033】
次に、本実施形態の検査用画像生成装置1の作動について説明する。
【0034】
まず、筐体案内柱9,9に従い、筐体7を基盤3に対して垂直方向に上昇させる。筐体7の基盤3に対する上昇は、昇降用アクチュエータ8によって、筐体7と第1駆動ローラ6aと第2駆動ローラ6bとを一体的に基盤3に対して垂直方向に上昇させることにより行われる。
【0035】
従って、筐体7の基盤3に対する上昇は、基盤3に対する筐体7の固定を解除すると共に、第1駆動ローラ6aと第1従動ローラ10aとの間、並びに、第2駆動ローラ6bと第2従動ローラ10bとの間に、金属リング2を挿入する空間を形成することができる。また、一対のリング案内部12,12の間に、金属リング2を挿入することができる。
【0036】
次に、金属リング2を基盤3上に移送する。金属リング2の基盤3上への移送は、基盤3に配設された複数のベアリング13と、第1従動ローラ10a及び第2従動ローラ10bとの上に金属リング2を移送して載置すると共に、一対のリング案内部12,12の間に金属リング2を挿入することにより行われる。
【0037】
次に、筐体案内柱9,9に従い、筐体7を基盤3に対して垂直方向に下降させる。筐体7の基盤3に対する下降は、昇降用アクチュエータ8によって、筐体7と第1駆動ローラ6aと第2駆動ローラ6bとを一体的に基盤3に対して垂直方向に下降させることにより行われる。
【0038】
そして、第1の一対のローラ6a,10a間及び第2の一対のローラ6b,10b間に、金属リング2を狭持するまで筐体7を下降させる。
【0039】
従って、昇降用アクチュエータ8が筐体7を基盤3に対して垂直方向に下降させることにより、第1の一対のローラ6a,10a間及び第2の一対のローラ6b,10b間に、金属リング2を狭持させることができる。
【0040】
次に、第1の一対のローラ6a,10a間及び第2の一対のローラ6b,10b間に狭持される金属リング2を所定の速度で回転させる。金属リング2は、図示しないモータで第1駆動ローラ6a及び第2駆動ローラ6bを駆動することにより回転する。金属リング2は、一対のリング案内部12,12間を通過するため、定位置である撮像位置Pで金属リング2の側縁2aを確実に撮像することができる。
【0041】
金属リング2の撮像位置Pでは、図示しない照明装置によって拡散光が照射されている。金属リング2が回転され、照明装置によって照明がなされている状態で、カメラ4によって金属リング2の側縁2aの映像が撮影される。
【0042】
カメラ4によって撮像された画像は、ケーブル14を介して画像処理装置5に送られ、画像記憶手段15に記憶される。画像処理装置5では、画像記憶手段15に記憶された画像について、2値化手段16が所定の2値化閾値を用いて2値化処理を行い、さらに2値化された画像のデータは結果表示手段17に送られる。2値化された画像は結果表示手段17からモニタ18に送信されて表示される。
【0043】
従って、モニタ18に表示された画像により、金属リング2の側縁2aの傷や打痕等を目視確認することができる。
【0044】
そして、本実施形態の検査用画像生成装置1により側縁2aを目視確認された金属リング2は、傷等がなければ正常な金属リング2として組み付け工程等の次の工程に払い出される。一方、傷等が発見された金属リング2は、再度検査員による検査を行い、検査員による検査によっても不良と判断された場合は、そのような傷等のある金属リング2を取り除く等の作業が行われる。
【0045】
本実施形態の検査用画像生成装置1では、第1の一対のローラ6a,10a間及び第2の一対のローラ6b,10b間に金属リング2を狭持する構成であるので、金属リングの周長の大きさに関わらず、周長が異なる金属リング2を狭持することができる。そして、第1の一対のローラ6a,10a間及び第2の一対のローラ6b,10b間に周長が異なる金属リング2を狭持し、金属リング2を周方向に回転させると共に、定位置である撮像位置Pに、撮像する金属リング2の側縁2aを通過させる。
【0046】
従って、周長が異なる金属リング2を撮像し、撮像された画像を処理して画像表示する際にも、設定された撮像位置P等を維持したまま、金属リング2の側縁2aを検査することができる。また、異なる周長の金属リング2を既に設定された撮像位置P等を用いて検査できるため、検査用画像生成装置1の設定変更による無駄時間を低減することができ、検査作業の効率化を図ることができる。
【0047】
尚、本実施形態の検査用画像生成装置1においては、第1及び第2駆動ローラ6a,6bの2つの駆動ローラを用いたが、金属リング2を回転させることができるものであれば、少なくとも一つの駆動ローラを用いた検査用画像生成装置とすることもできる。
【0048】
[第2の実施形態]
図5乃至図7を参照して説明する。なお、第1の実施形態の検査用画像生成装置1と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0049】
図5及び図6に示すように、第2の実施形態の検査用画像生成装置20は、第1の実施形態の検査用画像生成装置1と同様に、基盤3と、基盤3の上方に設けられたカメラ4と、カメラ4によって撮像位置Pで撮影された画像の処理を行う画像処理装置5とを備える。
【0050】
基盤3には、第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21bを駆動するモータ22が載置されている。モータ22の駆動は、ベルト23を介して、第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21bに伝達される。第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21bは、金属リング2が両ローラに当接することにより、金属リング2が撮像位置Pを通過するように基盤3上に配設されている。
【0051】
また、基盤3には、第1駆動ローラ21aにより押圧される金属リング2に従動回転する第1従動ローラ24aと、第2駆動ローラ21bにより押圧される金属リング2に従動回転する第2従動ローラ24bとを備える。
【0052】
第1駆動ローラ21aと第1従動ローラ24aとで第1の一対のローラを構成し、第2駆動ローラ21bと第2従動ローラ24bとで第2の一対のローラを構成する。第1の一対のローラ21a,24a及び第2の一対のローラ21b,24bは、両一対のローラ間に、定位置である撮像位置Pを挟むように配設されている。
【0053】
ここで、第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21bは、金属リング2が第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21bに当接すると、金属リング2が撮像位置Pを通過するように基盤上に配設されている。従って、第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21b間に金属リング2を狭持することにより、撮像位置Pに金属リング2を通過させることができる。
【0054】
また、第1駆動ローラ21aの回転軸26a、第2駆動ローラ21bの回転軸26b、第1従動ローラ24aの回転軸27a並びに第2従動ローラ24bの回転軸27bは、金属リング2の回転中心軸方向と平行に配設されている。従って、各ローラは金属リング2の側縁2aと非接触状態で金属リング2を回転させることができるため、金属リング2の側縁2aに各ローラの当接による傷等を生じさせることを防止できる。
【0055】
尚、金属リング2は、複数のベアリング13の外周面上に載置され、かつ、第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21bに当接するとき、撮像される金属リング2の側縁2aが撮像位置Pに位置決めされる。
【0056】
基盤3は、第1従動ローラ24aと第2従動ローラ24bの各々に対して、従動ローラの回転軸27a,27bを回転可能に保持する保持部材28,28が接続されると共に、基盤3に対して直立して回転可能に設けられた支柱29,29を備える。
【0057】
また、基盤3は、支柱29,29を中心に回転可能な保持部材28,28を駆動ローラ21a,21b側に押圧することにより、従動ローラ24a,24bを駆動ローラ21a,21b側に押圧する押圧アクチュエータ30,30を備える。
【0058】
従って、第1の一対のローラ21a,24a間及び第2の一対のローラ21b,24b間に金属リング2を挿入した後、第1従動ローラ24aを第1駆動ローラ21a側に、並びに、第2従動ローラ24bを第2駆動ローラ21b側に押圧することにより、第1の一対のローラ21a,24a間及び第2の一対のローラ21b,24b間に金属リング2を狭持することができる。
【0059】
第1の一対のローラ21a,24a及び第2の一対のローラ21b,24bは、各一対のローラ間に金属リング2を挟持し、周方向に金属リング2を回転させる。ここで、金属リング2は、基盤3に配設された複数のベアリング13上に載置されているので、図7に示すように、基盤3に対して垂直方向に離間した状態で回転する。従って、撮像位置Pにおいても、金属リング2の側縁2aが基盤3上を摺動して傷付くことを防止することができる。
【0060】
次に、本実施形態の検査用画像生成装置20の作動について説明する。
【0061】
まず、第1従動ローラ24a及び第2従動ローラ24bを、第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21bと反対側に移動する。第1従動ローラ24a及び第2従動ローラ24bの移動は、押圧アクチュエータ30,30によって、従動ローラ24a,24bの回転軸27a,27bを保持する保持部材28,28を、支柱29,29を中心に回転させることにより行われる。
【0062】
第1従動ローラ24a及び第2従動ローラ24bを第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21bと反対側に移動させたことにより、第1駆動ローラ21aと第1従動ローラ24bとの間、並びに、第2駆動ローラ21bと第2従動ローラ24bとの間に、金属リング2を挿入する空間を形成することができる。
【0063】
次に、金属リング2を基盤3上に移送する。金属リング2の基盤3上への移送は、第1の一対のローラ21a,24a間及び第2の一対のローラ21b,24b間に金属リング2を挿入し、基盤3に配設された複数のベアリング13上に金属リング2を載置することにより行われる。
【0064】
次に、第1従動ローラ24aを第1駆動ローラ21a側に、第2従動ローラ24bを第2駆動ローラ21b側に移動する。第1従動ローラ24a及び第2従動ローラ24bの移動は、押圧アクチュエータ30,30によって、支柱29,29を中心に保持部材28,28を回転させ、第1の一対のローラ21a,24a間及び第2の一対のローラ21b,24b間に、金属リング2を狭持するまで行われる。
【0065】
金属リング2が基盤3に配設された複数のベアリング13の外表面上に載置され、かつ、金属リング2が第1の一対のローラ21a,24a間及び第2の一対のローラ21b,24b間に狭持されると、金属リング2の側縁2aが撮像位置Pに位置決めされる。
【0066】
次に、第1の一対のローラ21a,24a間及び第2の一対のローラ21b,24b間に狭持される金属リング2を所定の速度で回転させる。金属リング2は、モータ22の回転力を、ベルト23を介して、第1駆動ローラ21a及び第2駆動ローラ21bに伝達することにより、回転駆動される。
【0067】
そして、撮像位置Pでカメラ4によって撮像された金属リング2の側縁2aの画像は、ケーブル14を介して画像処理装置5に送られ、画像記憶手段15に記憶される。画像記憶手段15に記憶された画像は、2値化手段16により所定の2値化閾値を用いて2値化処理が行われ、さらに2値化された画像のデータは結果表示手段17に送られる。2値化された画像は結果表示手段17からモニタ18に送信されて表示される。
【0068】
従って、モニタ18に表示された画像により、金属リング2の側縁2aの傷や打痕等を目視で確認することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…検査用画像生成装置、 2…金属リング、 2a…金属リングの側縁、 3…基盤、4…カメラ、 5…画像処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に形成された金属リングの側縁を検査するための画像生成装置であって、
該金属リングを周方向に回転させる回転手段と、
該回転手段により回転されている該金属リングの回転中心軸方向からその側縁を定位置で撮像する撮像手段と、
該撮像手段により得られた画像を処理して表示する画像処理手段とを備え、
該回転手段は、第1の一対のローラと第2の一対のローラとを該金属リングの周方向に間隔をおいて配置して構成され、該第1の一対のローラ間及び第2の一対のローラ間に該金属リングを挟持し、該第1及び第2の一対のローラのうち少なくとも一つのローラを回転させるようにしたことを特徴とする検査用画像生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の検査用画像生成装置において、
前記第1及び第2の一対のローラは、該金属リングの側縁を押圧することを特徴とする検査用画像生成装置。
【請求項3】
請求項1記載の検査用画像生成装置において、
前記第1及び第2の一対のローラの各ローラの回転軸は、該金属リングの回転中心軸方向と平行に配設されることを特徴とする検査用画像生成装置。
【請求項4】
無端状に形成された金属リングの側縁を検査するための画像生成方法であって、
第1の一対のローラ間及び第2の一対のローラ間に該金属リングを挟持し、該第1及び第2の一対のローラのうち少なくとも一つのローラを回転させることにより該金属リングを周方向に回転させる回転工程と、
該回転工程により回転されている該金属リングの回転中心軸方向からその側縁を定位置で撮像する撮像工程と、
該撮像工程により得られた画像を処理してモニタに表示する画像処理工程とを備えることを特徴とする検査用画像生成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−220809(P2011−220809A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89619(P2010−89619)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】