説明

金属元素を含むポリマー球又はポリマービーズを作製する方法

本発明は、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー球又はポリマービーズを作製する方法であって、a)重合開始剤を含む有機相中で、少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む少なくとも1つのエチレンモノマーの重合によりポリマー球又はポリマービーズを形成する工程と、b)該ポリマー球又はポリマービーズを少なくとも1つの金属元素を含む溶液に接触させる工程とを含む、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー球又はポリマービーズを作製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属元素でドープされた任意で多孔質なポリマー球又は金属元素でドープされた任意で多孔質なポリマービーズを作製する方法であって、金属元素がいわゆる配位結合(供与結合とも呼ばれる)を介して又はイオン結合を介して上記球又はビーズの構成材料と結合する、金属元素でドープされた任意で多孔質なポリマー球又は金属元素でドープされた任意で多孔質なポリマービーズを作製する方法に関する。
【0002】
上記及び下記において、球は、球体又は実質的に球状の対象物に形をつけるポリマー壁に囲まれた内部空洞を有する上記球体又は上記対象物を意味すると定める。
【0003】
上記及び下記において、ビーズは、固体の球体又は実質的に球状の固体の対象物を意味すると定める。
【0004】
特に本発明の方法は、多孔壁と、配位結合又はイオン結合を介して、制御された幾何学特性を有する構成材料の基と結合した金属元素を含む構成材料とを有する球又はビーズ、特にマイクロ球又はマイクロビーズ(すなわち数百マイクロメートル〜数ミリメートルの直径(球の外径)を有する球又はビーズ)を製造することを可能にする。
【0005】
得られた球又は得られたビーズは、プラズマ物理学においてレーザー/プラズマ相互作用を研究するため、より一般的には慣性閉じ込めによる熱核融合を研究するための標的又は標的元素の作製に適用される。
【背景技術】
【0006】
金属元素でドープされたポリマー球又は金属元素でドープされたポリマービーズを作製することができるが、これまではこれは2つの主要な合成経路に従うものであった。
【0007】
第1の経路によると、事前に合成したポリマー球又はポリマービーズを、金属元素を含む溶液中に浸漬し、該金属元素がマイクロ球の中心腔を塞ぐように球の壁を介して又はマイクロビーズの細孔(porosity)を塞ぐようにビーズの壁を介して物理的な含浸により拡散する。このようにしてこの物理的な含浸の終了時に、壁に存在する金属元素の量に比べて中心腔に過剰量の金属元素、又はビーズの或る特定領域に過剰量の金属元素を有し、上記壁又は上記ビーズ内のこの金属元素の量を制御することが不可能である球が見出される。
【0008】
球の中心腔に過剰に存在する金属元素を取り除くための解決策の1つは、このようにドープされた球を、中心腔に存在する金属元素と交換することが可能な溶媒による洗浄工程に供し、それに伴い上記中心腔に存在する金属元素を放出することからなる。しかしながら、この洗浄工程は識別力がなく、球の壁の内側に存在する金属元素の大部分又は全体を取り除く。
【0009】
ビーズの或る特定の多孔質領域における過剰量の金属元素を放出することを対象とする場合、ビーズに関して同じ問題が生じる。
【0010】
したがって、結論として、金属元素による事前に合成した球又はビーズのドーピング及び金属元素のドーピングレベルのモニタリングを進めることは非常に困難である。
【0011】
上述の欠点を克服するために、一部の著者らによって、以下の工程を含む方法である球の製造に関する第2の合成経路が研究されている:
幾何学的観点から球を形成するように接着接合により合わせることが可能な半殻をフォームブロックにおいて機械加工する工程と、
金属塩を含む溶液を半殻に含浸させる工程と、
そのように含浸させた半殻を乾燥させる工程であって、それによる結果が、半殻の構成ポリマーにおける金属塩の析出である、乾燥工程と、
球を形成するように、半殻を接着接合させる工程。
【0012】
しかしながら、この合成経路は適用するには複雑であることが分かっており、それとともに良好な球面を有する球を得るには困難を伴う。
【0013】
このため、従来技術の金属元素によりドープされた球又はドープされたビーズを合成する経路から以下の1つ又は幾つかの欠点が現れる:
上で説明した第1の方法では、
球又はビーズの構成壁において金属元素によるドーピングのレベルを制御することができないこと、
球の中心腔における又はビーズの細孔における金属元素の集積(これを取り除く経路は、必然的に球又はビーズの構成壁からの金属元素の除去を伴う洗浄によるものだけである)、及び
上で説明した第2の方法では、
半殻を機械加工し、それを組み立てることにより球を製造することを対象とする場合に製造が非常に複雑であること。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このため本発明者らは、上述の欠点を有しないドープされたポリマー球又はドープされたポリマービーズを作製する方法を提示することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため第1の目的による本発明は、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー球又は少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマービーズを作製する方法であって、
a)重合開始剤を含む有機相中で、少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む少なくとも1つのエチレンモノマーの重合によりポリマー球又はポリマービーズを形成する工程と、
b)上記ポリマー球又はポリマービーズを少なくとも1つの金属元素を含む溶液に接触させる工程と、
を含む、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー球又は少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマービーズを作製する方法に関する。
【0016】
本発明の記載においてより詳細な説明を与える前に、以下の定義を定める。
【0017】
少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含むエチレンモノマーとは、従来的には少なくとも1つの金属元素と錯体形成することが可能な少なくとも1つのペンダント基を含む炭素二重結合を有するモノマーを意味し、これは換言すると、金属元素が、非共有電子対(free doublet)を共有することにより配位結合を介して、又は結合する金属原子と上記ペンダント基が有する負の電荷を共有することによるイオン結合を介して、上記ペンダント基と結合することが可能であることを意味する。
【0018】
金属元素とは、従来的にはアルカリ元素、アルカリ土類元素、遷移元素、ランタニド元素、アクチニド元素、又はAl、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi及びPoから選択される元素のカテゴリーに属する元素を意味する。
【0019】
金属元素でドープされたポリマー球又は金属元素でドープされたポリマービーズを作製するこの革新的な方法は、以下の利点をもたらす:
金属元素と球の壁及びビーズの構成ポリマー材料との間の結合が、上述のモノマーを選択することによって、単純な配位結合又はイオン結合により達成されるため、多様な金属元素の球の壁及びビーズへの組み込みを可能にし、
所定のレベルの金属元素の導入を可能にし(上記レベルは、重合工程中に用いられる上述のモノマーの量を変えることにより調整することができる)、
一定領域に均質にこれらの元素を分布させることにより、又は金属の分布を領域ごとに変えることにより(例えば、接触時間又は金属溶液中の浸漬深度を変えることにより)、球の壁における又はビーズにおける金属元素の特異的な局在化を可能にし、
上述のモノマーの局在化により、球の中心腔ではなく壁における及びビーズの所定の領域における金属元素の排他的な局在化を可能にし、球の壁及びビーズの所定の領域における金属元素の量に影響を与えない洗浄操作により球の中心腔から存在すると考え得る金属元素を取り除くことができ(これは球の壁及びビーズの所定の領域における金属元素が上述のモノマーによって配位結合及び/又はイオン結合を介して安定に結合しているためである)、
とりわけ、球の壁に又はビーズの関連領域に存在する金属元素のレベルに関して容易に再現可能である(これは球の壁及びビーズの所定の領域の構造に入るのには、重合した特定のモノマーの量だけがこのレベルと関係があるためである)。
【0020】
上述のように本発明の方法は初めに、少なくとも1つの重合開始剤を含む有機相中で、少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む少なくとも1つのエチレンモノマーの重合によりポリマー球又はポリマービーズを形成する工程を含む。
【0021】
本発明によれば、キレート配位子を形成することができる基を含むモノマーは有益には、非共有電子対を有する少なくとも1つの基、特にアミン基、及び/又は少なくとも1つの負に荷電した基、特にカルボキシレート基を含むモノマーである。有益なモノマーは、少なくとも1つのアミン基と少なくとも1つのカルボキシレート基との両方を含むことができ、これらのタイプの基は両方ともアミノ酸残基から誘導することができ、またこのようなモノマーの利点は、これらが周期表のほとんど全ての金属元素との結合が可能であることである。
【0022】
より具体的には、本発明の方法に使用することができるモノマーは、以下の式(I):
【化1】

(式中、Rは以下の式の基から選択される基を表し:
【化2】

及びRは独立して、H、アルキル基、アリール基、又は以下の式の基を表し、:
【化3】

11及びR12は独立して、上記で与えられたR及びRと同じ規定に対応する基に相当し、
R’はOR13又はアミン基であり;
、R、R、R、Rは独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ(但し、R、R、R、R、Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す);
、R及びR10は独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
13は、H、金属、例えば、アルカリ金属、アルキル基、アリール基、アシル基又はアルキルアリール基を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
k、l及びmが0〜20の範囲の整数である);
で表されるモノマー及びその塩に対応し得る。
【0023】
上述のモノマーの記載においてより詳細な説明を与える前に、以下の定義を提示する。
【0024】
アルキル基は一般的に、上記及び下記において、1個〜20個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐状のアルキル基又は3個〜20個の炭素原子を含む環状アルキル基を意味する。例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ドデカニル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基が言及され得る。
【0025】
アリール基は一般的に、上記及び下記において、6個〜20個の炭素原子を含むアリール基を意味する。例としては、ベンジル基、ナフチル基、ビフェニル基が言及され得る。
【0026】
アルキルアリール基は一般的に、上記及び下記において、上記で与えられたものと同じ定義を有するアリール基を意味し、上記基は上記で与えられたものと同一の定義を有する少なくとも1つのアルキル基で置換される。
【0027】
−O−アルキル基、−O−アリール基は、上記で与えられたものと同じ定義に従うアルキル基又はアリール基を意味し、アルキル基又はアリール基はこの場合、酸素原子を介してモノマーの別の部分と結合している。
【0028】
全フッ素置換基は水素原子が全てフッ素原子に置換されている基を意味する。
【0029】
1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を上記基(すなわち、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基)に挿入することができると定める場合、これは換言すると炭素原子が−O−基、−S−基、−N−基又は−Se−基に置き換えられることを意味する。
【0030】
エチレン基は、二重結合を介して結合した2つの炭素原子を含む炭素基(carbonaceous group)を意味し、この基はラジカル経路により重合可能である。特定のエチレン基はビニル基(CH=CH−)、(アルキル)アクリレート基、例えば、メタクリレート基である。
【0031】
アシル基は−CO−アルキル基(アルキル基は上記で与えられたものと同じ定義に従う)を意味する。
【0032】
塩はイオン構造の化合物を意味する。例えば、R’がOR13(R13は金属である)に相当する場合、金属炭酸塩が言及され得る。この場合では、金属は従来的には、一価の金属、例えば、Na、Kのようなアルカリ金属を意味する。
【0033】
金属元素は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド、アクチニド、並びに、Al元素、Ga元素、Ge元素、In元素、Sn元素、Sb元素、Tl元素、Pb元素、Bi元素及びPo元素を意味する。
【0034】
特に、金属元素は有益には、イッテルビウム等のランタニドである。
【0035】
添字k、l、mは丸括弧内にある単位の反復数を表すと定め、この数は0〜20の範囲であり得る。
【0036】
特定のモノマーは、Rが式:
【化4】

の基であり、R及びRのうちの少なくとも1つが式:
【化5】

の基であり、R〜R、R’、l及びmは上記で説明されたものと同じ意味を有するが、但し常に、R〜Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーであり得る。
【0037】
より具体的には、上記で与えられた規定に従うモノマーは、Rが式:
【化6】

の基であり、Rが式:
【化7】

の基であり、Rが水素原子であり、l及びm、R〜R及びR’は上記で与えられたものと同じ意味を有するが、R〜Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーである。特にl及びmは1に等しい場合がある。
【0038】
このタイプの特定のモノマーは、以下の式(II):
【化8】

(式中、R13は特に、H、アルカリ金属(Na、Kのような)等の金属、又はエチル基等のアルキル基を表す)に対応する。
【0039】
式(I)のモノマーの規定に従う別の群のモノマーは、Rが式:
【化9】

の基であり、Rが式:
【化10】

の基であり、Rが式:
【化11】

の基であり、l及びm、R〜R及びR’は上記で与えられたものと同じ意味を有するが、R〜Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーに相当する。特にl及びmは1に等しい場合がある。
【0040】
このタイプの特定のモノマーは、以下の式(III):
【化12】

(式中、R13は特に、H、例えば、Na、Kのようなアルカリ金属等の金属、又はエチル基等のアルキル基を表す)に対応する。
【0041】
本発明の方法に有益に使用することができる他のモノマーは、少なくとも2つの窒素原子を含む環状アミンを含むモノマーであり得る。
【0042】
このタイプの特定のモノマーは、以下の式(IV):
【化13】

(式中、R14は以下の式の基から選択される基を表し:
【化14】

R’及びR’は独立してアルキル基、アリール基、又は以下の式の基を表し:
【化15】

11及びR12は独立して、上記で与えられたR’及びR’と同じ規定に対応する基に相当し;
R’はOR13又はアミン基であり;
、R、R、R及びRは独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ(但しR、R、R、R、Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す);
、R及びR10は独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
15は以下の式の基を表し:
【化16】

(式中、R〜R10は上記で規定されるとおりである)、
13は、H、金属、アルキル基、アリール基、アシル基又はアルキルアリール基を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
16は式の基を表し:
【化17】

(式中、R’及びR’は上記で規定されるとおりである);
k、l、m、u、p、q、r、x及びwは0〜20の範囲の整数であり、vは1〜20の範囲の整数であるが、xが0に等しい場合、(r+q)は少なくとも2に等しく、xが1に等しい場合、p、q、rのうちの少なくとも1つは0とは異なる)に対応する。
【0043】
p、q、r、x、k、l、m、u、v及びwは丸括弧内(p、q、r、k、l、m、u、v及びwでは)又は角括弧内(xでは)にある単位の反復数に相当すると定める。
【0044】
有益には、目的のモノマーは、R14が、以下の式の基を表し:
【化18】

R’及びR’のうちの少なくとも1つが、
【化19】

を表し、R〜R、R’、l及びmは上記で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは有益には少なくとも1に等しいが、但し常に、R〜Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーである。
【0045】
より具体的には、上記で与えられた規定に従うモノマーは、R14が式:
【化20】

の基であり、R’及びR’が、式:
【化21】

の基を表し、R〜R、R’、l及びmは上記で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは有益には少なくとも1に等しいが、但し常に、R〜Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーである。特に、l及びmは1に等しい整数である場合があり、p、q、r及びxは2に等しい整数である場合がある。
【0046】
上記の規定に対応する特定のモノマーは、以下の式(V):
【化22】

(式中、R13が特に、H、エチル基等のアルキル基又は金属を表す)に対応するモノマーである。
【0047】
このようにして、式(V)のモノマーでは、R14は式:
【化23】

の基に相当し、R’及びR’は式−CH−COOR13の基に相当し、p、q、r及びxは2に等しい整数である。
【0048】
上記で与えられた規定に従う他のモノマーは、R14、R’及びR’が、以下の式:
【化24】

に対応し、R〜R、lは上記で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは少なくとも有益には少なくとも1に等しいが、但し常に、R〜Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーである。特に、lは1に等しい整数である場合があり、p、q、r及びxは2に等しい整数である場合がある。
【0049】
上記で与えられた規定に対応する特定のモノマーは、以下の式:
【化25】

に対応するモノマーである。
【0050】
有益には、R14は式:
【化26】

の基を表していてもよく、R’及びR’のうちの少なくとも1つが、
【化27】

を表し、R15、R16、R’、m、u及びvは上記で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは有益には少なくとも1に等しい。
【0051】
14が式:
【化28】

の基に相当する場合、モノマーは以下の一般式:
【化29】

により表され得ると定める。
【0052】
上記で与えられた規定に従う特定のモノマーの基は、R15が、式:
【化30】

(式中、l及びR〜Rは上記で与えられたものと同じ規定に対応するが、R〜Rのうちの少なくとも1つがエチレン基を表す)の基に相当し、R’基及びR’基は式:
【化31】

(式中、m及びR’は上記で与えられたものと同じ規定に対応する)の基を表し、p、q、r及びxは有益には少なくとも1に等しい、モノマーに相当する。特にp、q、r、x、u、v及びwは例えば、2に等しい整数を表す。
【0053】
これまでの規定に従う特定のモノマーは、以下の式(VI):
【化32】

(式中、R13は特に、H、金属、又は、エチル基等のアルキル基を表す)及びそれらの任意の塩に対応する。
【0054】
このため式(VI)のこのモノマーでは、R15は式:
【化33】

の基を表し、R’及びR’は式−CH2−−COOR13の基に相当し、p、q、r、x、u、v及びwは2に等しい整数である。
【0055】
最後に、使用することができる他のモノマーは、以下の式:
【化34】

に対応するビニルイミダゾールモノマー等の少なくとも1つの複素環芳香族基を含むエチレンモノマーであり得る。
【0056】
上述のモノマーに加えて、有機相は、一般的に上述のモノマーとは異なる1つ又は複数のコモノマーを含むことができる。
【0057】
これらのコモノマーは、スチレンモノマー又はアクリレートモノマーから選択することができる。
【0058】
有益にはコモノマーは、少なくとも2つのエチレン基を含み、そのことにより架橋剤の役割を確実なものにする。それにより得られた材料は良好な機械強度を有する。
【0059】
使用することができるコモノマーは、以下の式(VII)のスチレンモノマーであり得る:
【化35】

(式中、(6−n)個のR17は、同一であるか又は異なり、水素原子、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基は任意に全フッ素置換されており、nは1〜3の範囲の整数であり、好ましくはnは2に等しい)。
【0060】
特に、好適なコモノマーはジビニルベンゼン、特に1,4−ジビニルベンゼンであり得る。
【0061】
使用することができるコモノマーは、以下の式(VIII)のアクリル酸化合物でもあり得る:
【化36】

(式中、R18はアルキル基を表し、R19はH又はアルキル基を表し、nは1〜3の範囲の整数である)。
【0062】
特に、このタイプの好適なコモノマーは、以下の式:
【化37】

のトリメチロールプロパントリアクリレート(頭文字を取ってTMPTAとして知られる)であり得る。
【0063】
加えて、有機相は従来、過酸化物化合物、アゾニトリル(例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(頭文字を取ってAiBNとして知られる)、2,2’−アゾジ(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)(V70とも称される))、アゾエステル、アゾアミドから選択されるラジカル開始剤等の少なくとも1つの重合開始剤を含む。
【0064】
開始剤を様々な量で、例えば、利用されるモノマーの総質量に基づき0重量%〜50重量%の範囲であり得る量で重合媒体に導入することができる。
【0065】
有機相は、極性であり得るポロゲン溶媒(porogenic solvent)、非極性有機溶媒を更に含むことができ、エーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)、ジメチルスルホキシド、フタル酸溶媒(例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル)、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、フルオロベンゼン)、ケトン溶媒から選択することができる。
【0066】
最後に、有機相は、1つ又は複数の界面活性剤、例えば、第4級アンモニウム、リン脂質、SPAN 80(登録商標)を含むことができる。
【0067】
特に、工程a)は、上述の式(III)のモノマー、ジビニルベンゼン及びスチレンの存在下で適用することができる。
【0068】
特定の実施の形態によれば、工程a)を、
少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む少なくとも1つのエチレンモノマーと、少なくとも1つの重合開始剤とを含む有機相中での第1の水相Wの封入により有機相を有する液体ビーズ又は液体球を形成すること、
そのようにして形成された球又はそのようにして形成されたビーズを第2の水相W中で乳化すること、
有機相の構成モノマー(複数の場合もあり)を重合して、これによりポリマー球又はポリマービーズを得ること、
の一連の操作により適用することができる。
【0069】
実際には、液体球又は液体ビーズは、注入システムの排出口で形成することができる。液体球の形成に関して、注入システムは有機相を供給するためのキャピラリー形態の第1の注入口と、水相Wを供給するためのキャピラリー形態の第2の注入口とを備えることができ、これらのキャピラリーはともに排出口の開口部で接続され、そこで液体球が形成される。
【0070】
次いで、そのようにして形成された球又はそのようにして形成された液体ビーズを第2の水相Wにより注入システムの排出口の開口部に「集め(picked up)」、ここでは上記球又は上記ビーズは上述のような懸濁工程により規定されるようにエマルションとして見出される。
【0071】
形成された液体球の良好な同心度を確保するために、有機相の密度は水相Wの密度よりも大きいのが好ましい。
【0072】
さらに、形成工程中に形成された球又は形成されたビーズに水相Wを接触させることにより形成されたエマルションの強度を確保するために、水相Wの密度は形成工程中に形成された球又は形成されたビーズの見掛けの密度、すなわち球を作製する場合の有機相及び水相Wにより形成された全体の密度よりも大きいことが好ましい。例えば、水相Wの密度は形成された球の見掛けの密度より最大で1%大きい。
【0073】
そのため、水相W、有機相、及び球を形成する場合には、水相Wの構成要素、並びにそれらのそれぞれの割合を選択する。
【0074】
有機相は工程a)の記載に関して上記で与えられたものと同じ規定を対応することが理解される。
【0075】
上述の有機相に存在するモノマーの重合工程は、40℃〜100℃の範囲の温度に加熱することにより実現することができる。
【0076】
重合が行われたら、工程b)に供する前に、形成された球又は形成されたビーズをろ過により単離することができる。
【0077】
重合前、及び重合の適用中に金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含むモノマー(複数の場合もあり)を、上記モノマーを有機相に可溶性にする機能を有し得る保護基で保護することができる。この場合、工程b)の適用を進める前に、工程b)で配位子が機能するように、配位子の脱保護を進める必要がある。この脱保護工程は、重合した球又は重合したビーズを、化学的脱保護試薬と接触させること、又は更にはそれに物理的刺激、例えば、放射線照射(保護基がかかる放射線照射により開裂可能である場合)をかけることからなり得る。
【0078】
該方法の工程b)は、そのようにして重合した球又はそのようにして重合したビーズを、金属元素の塩又は錯体として現れ得る少なくとも1つの金属元素を含む溶液に接触させることからなる。
【0079】
該溶液は、球若しくはビーズの壁を構成するポリマー材料と錯体形成する金属元素の塩又は金属錯体が可溶化している有機溶媒又は有機溶媒の混合物であり得る。
【0080】
金属元素の金属塩又は錯体の例としては、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、ヨウ素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、亜硫酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、シアニド、アジド、ヒドロキシル、塩素酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、アルコキシド、アセチルアセトネート、シクロペンタジエニル、金属アルキニドが言及され得る。
【0081】
実用上の観点から、接触工程b)は重合した球又は重合したビーズを含浸させるのに及び金属元素がこれらの球又はビーズを構成するポリマー材料と錯体形成するのに適した時間、金属元素の塩又は錯体を含む溶液に、重合した球又は重合したビーズを浸漬させることからなり得る。
【0082】
この工程b)の後、本発明の方法は、金属元素の塩又は錯体を含む、球の中心腔に又はビーズの細孔に残った溶液を取り除くように、このようしてドープされた球又はこのようしてドープされたビーズを洗浄する工程を含み得る。この洗浄工程は、ドープされた球又はドープされたビーズを溶媒に接触させ、その溶媒を金属元素の塩又は錯体を含む溶媒と交換させることからなり得る。この洗浄工程は1回又は数回繰り返すことができる。
【0083】
洗浄工程が球の壁に又はビーズに存在する金属元素の漏出を伴う従来技術の実施の形態とは異なり、本発明の方法で作製される球の壁又は本発明の方法で作製されるビーズの構成ポリマー材料と錯体形成する金属元素は、これらの元素が強い結合:配位結合又はイオン結合を介して材料上に結合するため、この工程によっては影響を受けない。
【0084】
最後に、該方法は工程b)及び任意の洗浄工程後に、ドープされた球又はドープされたビーズを乾燥させる工程を含み得る。この乾燥工程は、上記球又は上記ビーズを凍結乾燥させること、又は超臨界二酸化炭素COにより乾燥させることからなり得る。
【0085】
本発明の方法は、以下を備える、これまでに規定されたような方法を適用するために特別に設計された装置で適用することができる:
該装置に有機相及び任意で水相Wを供給するための1つ又は幾つかの注入口と、液体球又は液体ビーズを形成するための排出口の開口部とを備える注入システム、
水相Wを供給するための1つ又は幾つかの注入口と、この水相W中での液体球又は液体ビーズの懸濁により得られるエマルションをチャンバーの外に排出させるための排出口とを備える、注入システムの排出口の開口部が収容された閉塞チャンバー、
形成されたエマルションを上記閉塞チャンバーで受けるための手段。
【0086】
本発明の方法により形成された球又はビーズは、ポリマー発泡体の物体の形態の外観を有しており、該球又は該ポリマーは10mg/cm〜250mg/cmの範囲の比重を有することがあり、慣性閉じ込め実験を行うための標的又は標的元素を形成するのに使用することができる。
【0087】
これより本発明は本発明による方法の例示的な実施形態を鑑みて説明し、この実施例は本発明の例示として与えられ、それを限定するものでは決してない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】以下で言及される実施例の適用の際の3相注入システムの排出口での液体マイクロ球の形成を示すCCDカメラで撮像した画像である。
【図2A】以下で言及される実施例の適用の際に得られたイッテルビウムでドープされたマイクロ球の写真である。図2Aに示される写真のスケールは図2Bの写真の尺度よりも小さい。この写真は乾燥工程の前に撮像した。
【図2B】以下で言及される実施例の適用の際に得られたイッテルビウムでドープされたマイクロ球の写真である。図2Aに示される写真のスケールは図2Bの写真の尺度よりも小さい。この写真は乾燥工程の前に撮像した。
【図3】以下で言及される実施例の適用の際に得られたイッテルビウムでドープされたマイクロ球の真円度C(%)を横座標に、及び頻度F(%)を縦座標に示す図である。
【図4】以下に示される実施例による超臨界二酸化炭素COによる乾燥後に得られた、イッテルビウムでドープされたマイクロ球の写真である。
【図5】以下に示される実施例により得られたイッテルビウムでドープされたマイクロ球の走査型電子顕微鏡観察により得られた断面図である(倍率2,000倍)。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0089】
本実施例は、3相注入法による、以下の式:
【化38】

の重合性キレート配位子からのイッテルビウムでドープされたマイクロ球の発泡体の作製を説明する。
【0090】
有機相は以下の要素を含む:
2つの重合開始剤:62mgのアゾイソブチロニトリル(AiBN)及び62mgの2,2’−アゾジ(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル);
118mgのSPAN(登録商標)80;
以下のコモノマーの混合物:17.5mgのスチレン、332.5mgのジビニルベンゼン(DVB)及び900mgの上述の式のキレート配位子;
10.43gのフタル酸ジブチル(DBP)。
【0091】
異なる開始剤の溶解が完了するまで、及び均質な相が得られるまで、有機相を撹拌する。次いで、それを窒素下で(又はアルゴン下で)脱気する。
【0092】
重合中にシステムの任意の劣化(例えば、合体、分子拡散又は位相反転現象)を避けるために、使用前に上述の有機相を40℃で30分間予めゲル化する。
【0093】
次に、有機相を3相注入器に移し、液体マイクロ球を予め形成させておく。これを行うために、水相(いわゆる相W)を、150μmの内径を有する比較的微細なキャピラリー(そのキャピラリー自体が、有機相の注入を可能にする450μmの内径を有する第2のキャピラリーに組み込まれている)を通して注入する。この注入は一定の制御された45mL/分の流速で5質量%のPVA(ポリビニルアルコール)を含む第2の水相(いわゆる相W)内で行い、それにより所望の直径を有する、1700μm〜2300μmの範囲のマイクロ球の分離を可能にする。
【0094】
図1は3相注入器の排出口でのマイクロ球の形成を示す。
【0095】
次いで、窒素によるスイープ下で3時間、熱経路(60℃)により重合工程を進行させるために、形成されたマイクロ球を水平撹拌器に入れる。この撹拌方法に続き、該マイクロ球を水による一連の洗浄に供した後、DPB及びW相を取り除くために、エタノール中に浸漬する。
【0096】
次いで、マイクロ球を10cm容のバイアル中で調整した後、ローラーで穏やかに撹拌する(15回転/分〜20回転/分)。
【0097】
次に、マイクロ球の構成ポリマーのエステル官能基の鹸化工程を以下の方法で行う。
【0098】
得られたマイクロ球を、エステル官能基を鹸化するために5日間、ソーダ(soda:水酸化ナトリウム)のエタノール溶液中に(より具体的には、0.3mLの35%ソーダ水溶液が加えられた30mLのエタノール中に)浸漬する。
【0099】
次いで、過剰なソーダをエタノール/水の溶液(95/5)により除去する。
【0100】
次いで、そのようにして鹸化したマイクロ球を、2日間イッテルビウムトリフレートのエタノール溶液(30mLのエタノール中の830mgの(OTf))中に浸漬する。
【0101】
図2A及び図2Bは得られたマイクロ球を異なる倍率で示している。
【0102】
次いで、イッテルビウムでドープされたマイクロ球を、180バール、50℃で超臨界COにより乾燥させる。得られたマイクロ球は約200mg/cmの比重を有する。
【0103】
図3は、得られたマイクロ球が99.55%〜99.85%にある真円度を有することを示している。
【0104】
図4及び図5は、本実施例により得られたマイクロ球、並びに特に図5の断面図においてマイクロ球の内表面と外表面との間の良好な構造均質性及び壁を示している。
【0105】
マイクロ球に挿入されたイッテルビウムレベルは、特徴付けられるマイクロ球の質量が低い(1つのマイクロ球当たり150μg程度)ため、元素分析では評価するのが困難である。しかしながら、作製されたサンプルの蛍光X線分析により、イッテルビウムドーピングレベルを5質量%〜8質量%であると推定することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー球を作製する方法であって、
a)重合開始剤を含む有機相中で、少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む少なくとも1つのエチレンモノマーの重合によりポリマー球を形成する工程と、
b)該ポリマー球を少なくとも1つの金属元素を含む溶液に接触させる工程と、
を含み、工程a)が、
少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む少なくとも1つのエチレンモノマーと、少なくとも1つの重合開始剤とを含む有機相中での第1の水相Wの封入により液体球を形成すること、
そのようにして形成された球を第2の水相W中で乳化すること、
該有機相の構成モノマー(複数の場合もあり)を重合して、これによりポリマー球を得ること、
の一連の操作により適用される、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー球を作製する方法。
【請求項2】
少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む前記エチレンモノマーが、非共有電子対を有する少なくとも1つの基、及び/又は少なくとも1つの負に荷電した基を含むモノマーである、請求項1に記載の作製する方法。
【請求項3】
少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む前記エチレンモノマーが、以下の式(I):
【化1】

(式中、Rは以下の式:
【化2】

の基から選択される基を表し、
及びRは独立して、H、アルキル基、アリール基、又は以下の式:
【化3】

の基を表し、
11及びR12は独立して、上記で与えられたR及びRと同じ規定に対応する基に相当し;
R’はOR13又はアミン基であり、
、R、R、R、Rは独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ(但しR、R、R、R、Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す);
、R及びR10は独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
13は、H、金属、アルキル基、アリール基、アシル基又はアルキルアリール基を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ、
k、l及びmが0〜20の範囲の整数である);
モノマー及びその塩に対応するである、請求項1又は2に記載の作製する方法。
【請求項4】
Rが、式:
【化4】

の基であり、R及びRのうちの少なくとも1つが、式:
【化5】

の基であり、R〜R、R’、l及びmが請求項3で述べられたものと同じ意味を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Rが、式:
【化6】

の基であり、Rが、式:
【化7】

の基であり、Rが水素原子であり、R〜R、R’、l及びmが請求項3で述べられたものと同じ意味を有する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記モノマーが以下の式(II):
【化8】

(式中、R13はH、金属又はアルキル基を表す)に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Rが、式:
【化9】

の基であり、Rが、式:
【化10】

の基であり、Rが、式:
【化11】

の基であり、l及びm、R〜R及びR’が請求項3で与えられたものと同じ意味を有する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
前記モノマーが以下の式(III):
【化12】

(式中、R13はH、金属又はアルキル基を表す)に対応する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モノマーが少なくとも2つの窒素原子を含む環状アミンを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記モノマーが以下の式(IV):
【化13】

(式中、R14は以下の式:
【化14】

の基から選択される基を表し、
R’及びR’は独立して、アルキル基、アリール基、又は以下の式:
【化15】

の基を表し、
11及びR12は独立して、上記で与えられたR’及びR’と同じ規定に対応する基に相当し;
R’はOR13又はアミン基であり;
、R、R、R及びRは独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ(但しR、R、R、R、Rのうちの少なくとも1つはエチレン基を表す);
、R及びR10は独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
15は以下の式:
【化16】

(式中、R〜R10は上記で規定されるとおりである)の基を表し、
13は、H、金属、アルキル基、アリール基、アシル基又はアルキルアリール基を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
16は式:
【化17】

(式中、R’及びR’は上記で規定されるとおりである)の基を表し;
k、l、m、u、p、q、r、x及びwが0〜20の範囲の整数であり、vは1〜20の範囲の整数であるが、xが0に等しい場合、(r+q)は少なくとも2に等しく、xが1に等しい場合、p、q、rのうちの少なくとも1つは0とは異なる)に対応する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
14が、以下の式:
【化18】

の基を表し、R’及びR’のうちの少なくとも1つが、
【化19】

を表し、R〜R、R’、l及びmは請求項10で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは少なくとも1に等しい、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
14が、式:
【化20】

の基であり、R’及びR’が、式:
【化21】

の基を表し、R〜R、R’、l及びmは請求項10で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは少なくとも1に等しい、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記モノマーが、以下の式(V):
【化22】

(式中、R13がH、金属又はアルキル基を表す)に対応する、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
14が、式:
【化23】

の基を表し、R’及びR’のうちの少なくとも1つが、
【化24】

を表し、R15、R16、R’、m、u及びvは請求項10で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは少なくとも1に等しい、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記金属元素が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド、アクチニド、及びAl元素、Ga元素、Ge元素、In元素、Sn元素、Sb元素、Tl元素、Pb元素、Bi元素又はPo元素から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記金属元素が、イッテルビウム等のランタニド元素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記重合工程を、請求項1〜14のいずれか一項で規定されたモノマーとは異なる1つ又は幾つかのコモノマーの存在下で行う、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記コモノマー(複数の場合もあり)が合成モノマー及びアクリレートモノマーから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コモノマー(複数の場合もあり)が少なくとも2つのエチレン基を含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記コモノマー(複数の場合もあり)が以下の式(VII)又は式(VIII):
【化25】

(式中、(6−n)個のR17は、同一であるか又は異なり、水素原子、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、R18はアルキル基を表し、R19はH又はアルキル基を表し、nは1〜3の範囲の整数である)のうちの1つに対応する、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記コモノマーがジビニルベンゼンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程a)を、以下の式(III):
【化26】

(式中、R13はH、金属又はアルキル基を表す)のモノマー、並びにジビニルベンゼン及びスチレンの存在下で行う、請求項1に記載の方法。

【図3】
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【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−515123(P2013−515123A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545328(P2012−545328)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070516
【国際公開番号】WO2011/076858
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(510097644)コミッサリア ア ロンネルジー アトミック エ オ ゾンネルジー ザルテルナティーフ (33)
【Fターム(参考)】