説明

金属包装材用水性塗料、その製造方法及び金属包装材

【課題】本発明は、十分かつ必要な加工性、金属密着性、耐レトルト性を有するだけでなく、優れた滑り性、耐摩耗性を有し、アウターワックスを塗布せずに製蓋加工をしても、塗膜欠損やカットエッジラフ、ワックス堆積が発生しない塗膜を形成し得る金属包装材用水性塗料の提供を目的とする。
【解決手段】アクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体を含む金属包装材用水性塗料であって、前記アクリル変性樹脂組成物(A)が、エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを反応させてなることを特徴とする金属包装材用水性塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属包装材用水性塗料、及び被塗物に関し、金属素材に直接または下地塗料上等の被覆に好適に用いられる水性塗料に関する。詳しくは、飲料や食品を収容する金属包装容器被覆用の水性塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や食品等を収容する金属缶は、金属板に予め印刷、塗装を行った後、得られた塗装板に様々な成型加工(絞り加工、打抜き加工、巻締め加工、折曲げ加工等を指し、総称して製缶とも言う)を施すことで製造される。特に、缶の蓋部分は、金属板に塗料を塗装した後、多段に渡る成型加工を加え、タブの取り付け等の工程を経て製造される(塗装後の工程を総称して製蓋工程と言う)。このような製缶、製蓋工程における種々複雑な成型加工は塗膜に過度の物理的負荷を与え、これにより塗膜は損傷したり、下地金属から剥離したりし、塗膜欠損が生じ易くなる。特に、缶蓋の外面側では蓋外周付近に塗膜欠損が生じるばかりか、時には基材である下地金属までもが削られることもある(この現象をカットエッジラフと言う)。さらには、削られた金属粉が製蓋用ツールに堆積すると、連続製蓋が困難となり、しばしば製蓋を中断して製蓋ツールを研磨する必要が生じてしまう。
【0003】
そこで、かかる問題を解決すべく、塗膜に滑り性や耐磨耗性を付与することを目的とし、塗膜形成後、製蓋工程前に塗膜表面に石油系ワックス等(以下、アウターワックス)を塗布する場合がある。
【0004】
しかしながら、この方法では、製蓋時の塗膜欠損、カットエッジラフ等の現象は解消されるものの、連続して製蓋した場合に塗布されたアウターワックスが製蓋ツールに付着堆積し(この現象をワックス堆積と言う)、堆積したワックスが製蓋された蓋に再転移する等の問題がしばしば発生する。このため、製蓋ツールの清掃は頻繁となり、生産効率の低下を招くことになる。
【0005】
このような状況から、アウターワックスを塗布せずとも、製蓋工程において、塗膜欠損やカットエッジラフ、ワックス堆積等を引き起こすことのない塗料の設定が望まれている。
【0006】
一方、缶用塗料は、省資源、省エネルギーあるいは環境公害等の観点から、水系への移行が望まれており、蓋用塗料の場合も例外ではない。そこで、蓋用の水性塗料としては、アクリル変性エポキシ樹脂の水分散体、ワックス等の潤滑剤、及びその他の添加剤から構成されるものが広く検討されている。アクリル変性エポキシ樹脂の水分散体は、塗膜を形成した際の加工性、耐食性、耐レトルト性、金属密着性に優れており、水性塗料の樹脂成分として好適に用いられている。
【0007】
通常、このような水性塗料は、樹脂やワックス等の含有成分のそれぞれを個々別々の手法により予め水中、もしくは親水性溶剤中に分散させておき、その後、これらを配合することにより得られる。
【0008】
例えば、アクリル変性エポキシ樹脂の水分散体は、疎水性であるエポキシ樹脂に対し、親水性基を含有するアクリル樹脂を用いて化学変性を施すことで得られる。その変性手法としては下記のようなものが挙げられる。
【0009】
特許文献1、及び特許文献2には、3級アミン等の塩基性化合物の存在下において、エポキシ樹脂のエポキシ基に、アクリル系樹脂のカルボキシル基を求核反応せしめて、エステル化した後、塩基性化合物でさらに中和して水分散させる旨開示されている(以下、この手法をエステル化法と言う)。
【0010】
特許文献3には、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーを必須成分とするエチレン性不飽和モノマーを、フリーラジカル発生剤を用いてエポキシ樹脂にグラフトさせ、上記同様の方法で水分散させる旨開示されている(以下、この手法をグラフト法と言う)。
【0011】
ワックスの水分散体としては、多量の親水性溶剤で機械的に分散させたもの、界面活性剤を用いて乳化分散したもの、揮発性アミンで中和した脂肪酸により分散させたものなどが広く知られており、水性塗料用として好適に使用されている。
【0012】
その他、特許文献4には特定の構造を有する樹脂により水性分散させたワックス、及びこれを含む水性被覆剤が、また、特許文献5には特定の樹脂により乳化分散したワックスと、親水性溶剤中に分散したワックス、及びアクリル変性エポキシ樹脂とを含有する水性分散体組成物がそれぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭55−75460号公報
【特許文献2】特開昭56−43362号公報
【特許文献3】特開昭53−1228号公報
【特許文献4】特開平11−279489号公報
【特許文献5】特開平11−343455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来手法による水性塗料では、塗料中における樹脂成分とワックス成分の分散均一性が乏しいという問題がある。上述のように、これらの塗料はワックスの水分散体とアクリル変性エポキシ樹脂の水分散体とを配合して得られるものであり、当然、塗料中ではワックスと樹脂成分とがそれぞれ独立に存在している。分散均一性が劣ると、塗料の保存中にワックスと樹脂の粒子分離が生じ易くなり、その使用時には十分な撹拌が必要となる。そればかりか、塗膜を形成した際には、塗膜樹脂の表面をワックスが不均一に被覆することとなり、結果、滑り性や耐磨耗性が低下し、製蓋時にはカットエッジラフや、ワックス堆積を引き起こす恐れがある。
【0015】
本発明の課題は、特に蓋用塗料として用いた場合に、十分かつ必要な加工性、金属密着性、耐レトルト性を有するだけでなく、優れた滑り性、耐摩耗性を有し、アウターワックスを塗布せずに製蓋加工をしても、塗膜欠損やカットエッジラフ、ワックス堆積が発生しない塗膜を形成し得る金属包装材用水性塗料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、かかる目的に対して鋭意検討した結果、エポキシ樹脂と、ワックスと、エチレン性不飽和モノマーとを反応させることによりアクリル変性樹脂組成物が得られ、該樹脂組成物の水分散体を含有する水性塗料は、上記の課題を解決する塗膜を形成し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
【0017】
即ち、第1の発明は、アクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体を含む金属包装材用水性塗料であって、
前記アクリル変性樹脂組成物(A)が、エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを反応させてなることを特徴とする金属包装材用水性塗料に関する。
【0018】
第2の発明は、アクリル変性樹脂組成物(A)が、エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、ラジカル重合開始剤(E)の存在下で反応してなることを特徴とする第1の発明の金属包装材用水性塗料に関する。
【0019】
第3の発明は、アクリル変性樹脂組成物(A)が、エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、ラジカル重合開始剤(E)の存在下で反応してなる生成物(a1)を、
塩基性化合物(F)の存在下で、エステル化反応してなることを特徴とする第1の発明の金属包装材用水性塗料に関する。
【0020】
第4の発明は、アクリル変性樹脂組成物(A)が、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、ラジカル重合開始剤(E)の存在下で反応してなる生成物(a2)を、
塩基性化合物(F)の存在下で、エポキシ樹脂(B)とエステル化反応してなることを特徴とする第1の発明の金属包装材用水性塗料に関する。
【0021】
第5の発明は、エポキシ樹脂(B)とワックス(D)との合計100重量部に対して、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)を、合計10〜100重量部用いてなることを特徴とする第1〜4いずれかの発明の金属包装材用水性塗料に関する。
【0022】
第6の発明は、エポキシ樹脂(B)とカルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)との合計100重量部に対して、ワックス(D)を0.1〜10重量部用いてなることを特徴とする第1〜5いずれかの発明の金属包装材用水性塗料に関する。
【0023】
第7の発明は、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)が、酸価150〜400mgKOH/gの組成であることを特徴とする第1〜6いずれかの発明の金属包装材用水性塗料に関する。
【0024】
第8の発明は、少なくともフェノール樹脂またはアミノ樹脂を含むことを特徴とする第1〜7いずれかの発明の金属包装材用水性塗料に関する。
【0025】
第9の発明は、エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、溶剤とラジカル重合開始剤(E)との存在下で反応させてアクリル変性樹脂組成物(A)を得る第1の工程、
さらに、塩基性化合物(F)と、水とを混合し、転相させてアクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体を得る第2の工程を含むことを特徴とする金属包装材用水性塗料の製造方法に関する。
【0026】
第10の発明は、エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、溶剤とラジカル重合開始剤(E)との存在下で反応させて生成物(a1)を得る第1の工程、
前記生成物(a1)と、塩基性化合物(F)とを混合し、エステル化反応させてアクリル変性樹脂組成物(A)を得る第2の工程、
さらに、塩基性化合物(F)と、水とを混合し、転相させてアクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体を得る第3の工程を含むことを特徴とする金属包装材用水性塗料の製造方法に関する。
【0027】
第11の発明は、ワックス(D)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)とを、溶剤とラジカル重合開始剤(E)との存在下で反応させて生成物(a2)を得る第1の工程、
前記生成物(a2)と、エポキシ樹脂(B)と、塩基性化合物(F)とを混合し、エステル化反応させてアクリル変性樹脂組成物(A)を得る第2の工程、
さらに、塩基性化合物(F)と、水とを混合し、転相させてアクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体を得る第3の工程を含むことを特徴とする金属包装材用水性塗料の製造方法に関する。
【0028】
第12の発明は、金属板と、第1〜8いずれかの発明の金属包装材用水性塗料、もしくは第9〜11いずれかの発明の製造方法により得られた金属包装材用水性塗料から形成されてなる塗膜層を有する金属包装材に関する。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、公知のアクリル変性エポキシ樹脂の持つ塗膜の加工性、金属密着性、耐レトルト性を維持したまま、従来手法のように樹脂の水分散体にワックスを添加せずとも、滑り性、耐磨耗性に優れる塗膜を形成することができ、特に蓋外面被覆用として使用した場合には、製蓋加工をしても塗膜欠損やカットエッジラフ、ワックス堆積が発生しない金属包装材用水性塗料の提供が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の金属包装材用水性塗料は、エポキシ樹脂(B)とカルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)とワックス(D)とを反応させてアクリル変性樹脂組成物(A)を得ることが重要である。本発明においてアクリル変性樹脂組成物(A)は、従来のアクリル変性エポキシ樹脂とは異なり、ワックス(D)の存在下で、反応を行うことが特徴である。そのため、このアクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体は、樹脂成分とワックス成分の均一性に優れ、これからなる硬化塗膜は塗膜最表面をワックスが均一に被覆するので、カットエッジラフやワックス堆積の発生を防ぐことが可能となる。
【0031】
まず、本発明で使用するエポキシ樹脂(B)、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)、ワックス(D)について詳細に説明する。
【0032】
尚、以下の説明においては、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)を単にエチレン性不飽和モノマー(C)と省略して記載する場合がある。
【0033】
本発明において使用するエポキシ樹脂(B)は、ビスフェノール型、ノボラック型、ナフタレン型、ビフェニル型等のエポキシ樹脂が好ましい。これらの中でも、塗膜にした際の加工性、耐レトルト性、金属密着性を考慮すると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0034】
一般にビスフェノールA型エポキシ樹脂の製造方法には、大きく2つ、タフィー法とアドバンス法とがある。前者はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとを、必要に応じてアルカリ触媒の存在下に、所定の分子量になるまで縮合させるものである。後者はビスフェノールA型エポキシモノマーとビスフェノール類とを、必要に応じてアルカリ触媒の存在下に、所定の分子量になるまで縮合させるものである。
【0035】
本発明においてビスフェノールA型エポキシ樹脂は、上記の製造方法で製造された物だけでなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の末端エポキシ基と、1分子中にフェノール性の水酸基を1個有する化合物とをエステル化反応させてエポキシ当量を高めたものであってもよい。
【0036】
前記1分子中にフェノール性の水酸基を1個有する化合物としては、フェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−ノニルフェノール等が挙げられる。
【0037】
本発明においてエポキシ樹脂(B)は、重量平均分子量が2500〜70000であるものが好ましい。重量平均分子量が2500に満たない場合は、ビスフェノールA等の未反応物の残存量が多くなり、加工性、耐レトルト性が悪化する場合がある。一方、重量平均分子量が70000を越えると、金属密着性が悪化する場合がある。
【0038】
本発明においてエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート1007、エピコート1009、エピコート1010等が挙げられる。
【0039】
本発明においてエチレン性不飽和モノマー(C)は、カルボキシル基含有モノマーを必須成分とし、更にこれと共重合が可能なその他のエチレン性不飽和モノマーを含むものである。エチレン性不飽和モノマー(C)はラジカル重合開始剤(E)の存在下で、共重合をなすとともに、エポキシ樹脂(B)やワックス(D)ともグラフト重合を引き起こすことが可能である。また、エチレン性不飽和モノマー(C)は、本発明のアクリル変性樹脂組成物(A)の水分散性や、塗膜を形成した際の物性に大きく寄与するため、本発明において重要な成分の1つとして位置付けられる。
【0040】
本発明においてカルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸〔「アクリル酸」と「メタクリル酸」とを併せて「(メタ)アクリル酸」と表記する。以下同様。〕、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。その中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0041】
また、本発明においてその他のエチレン性不飽和モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、
スチレン、メチルスチレン等の芳香族系モノマー、
N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマーが挙げられる。
【0042】
エチレン性不飽和モノマー(C)は、エポキシ樹脂(B)と後述のワックス(D)との合計100重量部に対して、10〜100重量部用いることが好ましい。エチレン性不飽和モノマー(C)が100重量部よりも多いと、加工性や金属密着性が低下する傾向にある。また、エチレン性不飽和モノマー(C)が10重量部よりも少ないと、水分散性が低下する傾向にあり、得られる水性塗料の保存安定性が低下する可能性がある。
【0043】
エチレン性不飽和モノマー(C)の組成は、水分散体としての保存安定性、塗膜を形成した際の加工性や金属密着性を考慮すると、その酸価が150〜400mgKOH/gとなるようにすることが好ましい。組成酸価が150mgKOH/g未満であると、水分散性が低下する傾向にあり、水性塗料としての安定性が劣ることがある。また、酸価が400mgKOH/gより大きいと塗膜を形成した際の加工性、金属密着性、耐レトルト性が劣る傾向にあるので注意が必要である。尚、本発明における酸価は、エチレン性不飽和モノマー(C)の組成中に含まれるカルボキシル基含有モノマー量から得られる理論値を用いたものである。
【0044】
本発明で用いるワックス(D)には、天然ワックスと、合成ワックスを挙げることができる。
【0045】
天然ワックスとしては、例えば蜜蝋、ラノリンワックス、鯨蝋、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバ油等の動植物系ワックスを挙げることができる。また、モンタンワックス、オゾゲライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の鉱物、石油系ワックス等を挙げることができる。これらの中でも塗膜を形成した際の滑り性、耐摩耗性を考慮すると、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、ラノリンワックス、マイクロクリスタリンワックスが好ましい。
【0046】
合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス、
モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、
硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油誘導体等の水素化ワックス、
テフロン(登録商標)ワックス等が挙げられ、やはり、塗膜を形成した際の滑り性、耐摩耗性を考慮すると、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス誘導体が好ましい。
【0047】
これらはいずれも単独あるいは2種以上の混合物として用いることができ、用途に合わせてその組成を調整することが重要である。
【0048】
ワックス(D)は、エポキシ樹脂(B)とエチレン性不飽和モノマー(C)との合計100重量部に対して、0.1〜10重量部用いることが好ましい。ワックス(D)が0.1重量部未満であると、得られる硬化塗膜の滑り性、耐磨耗性が低下する傾向にある。また、ワックス(D)が10重量部を超えると、塗膜に存在するワックス量が増加するのでワックス堆積を引き起こす懸念がある。
【0049】
続いて、本発明におけるアクリル変性樹脂組成物(A)について説明する。
本発明のアクリル変性樹脂組成物(A)は、エポキシ樹脂(B)と、エチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを有機溶媒中で反応して得ることが好ましく、その後、これを水中に分散し水分散体として用いることが好ましい。
【0050】
本発明においてアクリル変性樹脂組成物(A)は、以下に挙げる(ア)〜(ウ)の3つの方法のいずれかにより得ることが好ましい。
【0051】
(ア)エポキシ樹脂(B)とワックス(D)とエチレン性不飽和モノマー(C)を溶剤中で溶融混合し、ラジカル重合開始剤(E)によりグラフト重合を行う方法。
【0052】
即ち、グラフト重合において、ラジカル重合開始剤(E)から発生したフリーラジカルは、エポキシ樹脂(B)、ワックス(D)分子中の2級、及び3級炭素の水素を引き抜き、その分子中にフリーラジカルを生成させる。このフリーラジカルが、エチレン性不飽和モノマー(C)、もしくはその共重合体の生長末端と反応することで、エポキシ樹脂(B)、及びワックス(D)にアクリル分子鎖を導入することができ、アクリル変性樹脂組成物(A)が得られるものである。尚、本発明におけるアクリル変性とは、グラフト重合や後述のエステル化反応を通し、エチレン性不飽和モノマー(C)に由来するアクリル分子鎖をエポキシ樹脂(B)やワックス(D)に導入することを指すものである。
【0053】
(イ)エポキシ樹脂(B)とワックス(D)とエチレン性不飽和モノマー(C)を溶剤中で溶融混合し、ラジカル重合開始剤(E)によりグラフト重合を行って生成物(a1)を得た後、さらに、塩基性化合物(F)によりエステル化反応を行う方法。
【0054】
即ち、上記(ア)と同様の方法により生成物(a1)を得た後、生成物(a1)中のエポキシ樹脂(B)に由来するエポキシ基と、エチレン性不飽和モノマー(C)に由来するカルボキシル基とを、塩基性化合物(F)によりエステル化反応させることでアクリル変性樹脂組成物(A)が得られるものである。
【0055】
(ウ)ワックス(D)とエチレン性不飽和モノマー(C)を溶剤中で溶融混合し、ラジカル重合開始剤(E)によりグラフト重合を行って生成物(a2)を得た後、塩基性化合物(F)によりエポキシ樹脂(B)と該生成物(a2)のエステル化反応を行う方法。
【0056】
即ち、グラフト重合においては、ラジカル重合開始剤(E)は、ワックス(D)分子中の2級、及び3級炭素の水素を引き抜き、これに起因したフリーラジカルとエチレン性不飽和モノマー(C)、もしくはその共重合体の生長末端とが共重合をなすことで生成物(a2)が得られる。次いで、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基と、生成物(a2)中のエチレン性不飽和モノマー(C)に由来するカルボキシル基を、塩基性化合物(F)によりエステル化反応させることでアクリル変性樹脂組成物(A)が得られるものである。
【0057】
(ア)〜(ウ)のグラフト重合において用いられるラジカル重合開始剤(E)は、上述のように、エチレン性不飽和モノマー(C)の重合開始剤として機能するのみではなく、これとエポキシ樹脂(B)やワックス(D)とのグラフト重合を引き起こす役割も担う。
【0058】
ラジカル重合開始剤(E)としては、例えば、有機過酸化物、過硫酸塩、アゾビス化合物、及びこれらと還元剤とを組み合わせたレドックス系を用いることができる。具体的には、過酸化水素、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド(過酸化ベンゾイル)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等の各種過酸化物系開始剤。
【0059】
または、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ハイドロクロライド
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等の各種アゾ系開始剤が挙げられる。
【0060】
本発明においては、過酸化物系開始剤が好ましく、特に過酸化ベンゾイルが好ましい。
尚、グラフト重合時の温度、時間等の反応条件は特別なものではなく、公知の条件を用いて行うことができる。ラジカル重合開始剤(E)は、エチレン性不飽和モノマー(C)の合計100重量部に対して1〜10重量部、より好ましくは1〜6重量部を用いることにより、グラフト重合が優先的かつ効率的に行われる。
【0061】
また、(イ)と(ウ)の方法において、エステル化反応の際に用いる塩基性化合物(F)としては、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等のアルコールアミン類や、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類、
モルホリン、アンモニア等の揮発性アミン等が挙げられる。
【0062】
塩基性化合物(F)は、カルボキシル基含有モノマー100モル%に対して、1〜80モル%、より好ましくは5〜60モル%の割合で使用することが好ましい。尚、エステル化反応時の温度、時間等の反応条件は特別なものではなく、公知の条件を用いて行うことができる。
【0063】
アクリル変性樹脂組成物(A)は、通常、有機溶剤中での反応により得られる。反応工程において使用される有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、下記に示すような親水性が比較的高い溶剤が好ましい。具体的には、例えば、n−プロパノール、イソプロパール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−アミルアルコール、アミルアルコール、メチルアミルアルコール等のアルコール類、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレングリコール等のグリコールエーテル類、
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のアセテート類等の有機溶剤を適宜用いることができ、必要に応じては、反応後に別途追加してもよい。
【0064】
上記により得られたアクリル変性樹脂組成物(A)を水分散体とするには、常法のアクリル変性エポキシ樹脂を水分散させる手法と同様にして得ることができる。詳しくは、アクリル変性樹脂組成物(A)中に存在するカルボキシル基を、上記で示したような塩基性化合物(F)等で中和せしめ、親水性を付与することによるものである。さらに詳しくは、アクリル変性樹脂組成物(A)に塩基性化合物(F)を加えた後、水もしくは水性媒体を添加して水分散体とする方法や、アクリル変性樹脂組成物(A)に、塩基性化合物(F)を含有する水もしくは水性媒体を添加して水分散体とする方法等が例示できる。
【0065】
本発明の金属包装材用水性塗料には、さらに、必要に応じて塗膜の硬化性や金属密着性を向上させる目的で、上記したアクリル変性樹脂組成物(A)の他にフェノール樹脂、アミノ樹脂等の硬化剤を1種または2種以上添加することができる。
【0066】
フェノール樹脂やアミノ樹脂は、自己架橋反応する他、アクリル変性樹脂組成物(A)中のカルボキシル基と反応し得る。また、アクリル変性樹脂組成物(A)が水酸基を有する場合には、フェノール樹脂やアミノ樹脂は、それらの水酸基とも反応し得る。さらに、エチレン性不飽和モノマー(C)がアミド系モノマーを含み、アクリル変性樹脂組成物(A)がこのアミド系モノマーに由来する架橋性官能基を有する場合は、これら架橋性官能基とも反応し得る。
【0067】
本発明においてフェノール樹脂としては、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール等の3官能フェノール化合物や、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の2官能フェノール化合物とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させたもの等を挙げることができる。この場合、フェノール化合物は単独あるいは2種以上の組み合わせにて使用される。
【0068】
本発明においてアミノ樹脂としては、尿素やメラミン、ベンゾグアナミン等のアミノ化合物にホルムアルデヒドを付加反応させたもの等を挙げることができる。この場合、アミノ化合物は単独あるいは2種以上の組み合わせにて使用される。
【0069】
上記フェノール樹脂やアミノ樹脂は、ホルマリンの付加により生成したメチロール基の一部ないし全部を、炭素数が1〜12なるアルコール類によってエーテル化した形のものも好適に用いられる。
【0070】
フェノール樹脂やアミノ樹脂を用いる場合には、アクリル変性樹脂組成物(A)100重量部に対して、0.5〜20重量部添加することが好ましく、1〜10重量部添加することがより好ましい。
【0071】
本発明の金属包装材用水性塗料には、塗装性を向上させる目的で、親水性溶剤を添加することができる。親水性溶剤としては、アクリル変性樹脂組成物(A)を得る際に使用する上述の溶剤等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0072】
本発明の金属包装材用水性塗料は、必要に応じて塗装性を改良するための溶剤、界面活性剤や消泡剤を加えることも可能である。
【0073】
本発明の金属包装材用水性塗料は、種々の基材に適用することができ、該水性塗料から形成された塗膜層を有する金属包装材を得ることができる。基材としては、例えばアルミニウム板、鋼板、ブリキ板等の無処理のまたは表面処理された各種金属や、これらの金属にプライマーを塗装した金属、あるいはこれらの金属にポリエステルフィルム(PET)をラミネートしたPET被覆金属等が挙げられる。
【0074】
また基材の形状は、板状であっても有底円筒状であってもよい。本発明の金属包装材用水性塗料をこれら基材に塗布、硬化した後に、さらに変形加工を加えてもよい。種々の加工工程を経て、飲料用容器を得ることができる。
【0075】
本発明の金属包装材用水性塗料を基材に塗装する方法としては、公知の各種の方法、例えばロールコータ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装や電着塗装等が適用できる。塗装した塗料の乾燥条件としては、通常、基材最高到達温度が120〜300℃となる条件で10秒〜30分間が好ましい。
【0076】
乾燥後の塗膜量は用途によって適宜選定すればよいが、通常5〜200mg/dm2程度が好ましい。特に、蓋の外面部として使用する場合は、10〜100mg/dm2が好ましい。
【0077】
また、本発明の金属包装材は、その塗膜層の表面自由エネルギーが25〜45mN/mであることが好ましい。塗膜層の表面自由エネルギーが25mN/m未満であると、塗膜層に存在するワックス量が過多となり、ワックス堆積を引き起こす可能性がある。また、塗膜層の表面自由エネルギーが45mN/mよりも大きいと、塗膜層に存在するワックス量が少なくなる傾向にあり、塗膜の滑り性が低下したり、耐摩耗性が低下したりする懸念がある。尚、本発明における塗膜層の表面自由エネルギーとは、塗膜と液体試料の接触角を測定し算出したものである。測定には自動接触角計CA−V型(協和界面科学(株)製)を使用し、液体試料に水、ヨウ化メチレン、n−ヘキサデカンを用い、それぞれの接触角を計測した。
【実施例】
【0078】
以下に、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例中「部」、「%」はそれぞれ「重量部」、「重量%」を示す。
【0079】
[製造例1]
<生成物(a2−1)の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル100部、精製カルナバワックス4部、ポリエチレンワックス4部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。反応容器内の温度を120℃に保ちながら、メタクリル酸40部、スチレン50部、アクリル酸エチル(エチルアクリレート)10部、及び過酸化ベンゾイル3部からなる混合物を滴下槽から2時間にわたって連続滴下した。
【0080】
滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.3部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、その後にn−ブタノール100部を添加し、不揮発分35%の生成物を得た。これを生成物(a2−1)とする。
【0081】
[製造例2]
<生成物(a2−2)の合成>
製造例1同様の反応容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル100部、精製カルナバワックス4部、ラノリンワックス4部、ポリエチレンワックス4部を仕込んで120℃まで昇温した。以降は、製造例1と同様にして、不揮発分35%の生成物を得た。これを生成物(a2−2)とする。
【0082】
[製造例3]
<生成物(a2−3)の合成>
一切のワックスを用いなかった以外は、製造例1と同様にして、不揮発分35%の生成物を得た。これを生成物(a2−3)とする。
【0083】
[製造例4]
<ワックス分散用アクリル樹脂溶液(g)の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、n−ブタノール590部を仕込み110℃に昇温した。メタクリル酸90部、スチレン105部、アクリル酸エチル105部、n−ブタノール100部、過酸化ベンゾイル6部の混合物を滴下槽から3時間にわたって連続滴下した。滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.6部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、不揮発分30%のアクリル樹脂溶液を得た。これをワックス分散用アクリル樹脂溶液(g)とする。
【0084】
[製造例5]
<ワックス分散体(G−1)の製造>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器(1)に、精製カルナバワックス100部、製造例4で得られたワックス分散用アクリル樹脂溶液(g)16.2部を仕込み、90℃に昇温して混合溶解した。これとは別の反応容器(2)にジメチルアミノエタノール3.1部、水880部を仕込み撹拌した。次いで、反応容器(1)内の混合物を反応容器(2)へ徐々に添加し、添加終了後、40℃まで冷却して不揮発分11%のワックス分散体を得た。これをワックス分散体(G−1)とする。
【0085】
[製造例6]
<ワックス分散体(G−2)の製造>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器(1)に、精製カルナバワックス45部、ラノリンワックス55部、製造例4で得られたワックス分散用アクリル樹脂溶液(g)16.2部を仕込み、90℃に昇温して混合溶解した。以降、製造例5と同様にして不揮発分11%のワックス分散体を得た。これをワックス分散体(G−2)とする。
【0086】
[製造例7]
<ワックス分散体(G−3)の製造>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器(1)に、ポリエチレンワックス80部、精製カルナバワックス20部を仕込み、120℃に昇温して混合溶解した。これとは別の反応容器(2)にジメチルアミノエタノール2.1部、エチレングリコールモノブチルエーテル449部、水449部を仕込み撹拌した。次いで、反応容器(1)内の混合物を反応容器(2)へ徐々に添加し、添加終了後、そのまま撹拌しながら40℃まで冷却して不揮発分10%のワックス分散体を得た。これをワックス分散体(G−3)とする。
【0087】
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エピコート1009を181.5部、精製カルナバワックス2.42部、ポリエチレンワックス2.42部、エチレングリコールモノブチルエーテル70部、n−ブタノール66部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。反応容器内の温度を120℃に保ちながら、メタクリル酸24.2部、スチレン30.3部、アクリル酸エチル6.1部、及び過酸化ベンゾイル1.8部からなる混合物を滴下槽から1時間にわたって連続滴下した。滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.3部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、その後に90℃まで冷却した。続いて、ジメチルアミノエタノール8.8部を添加して10分間撹拌した後、水485部を1時間かけて滴下し、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0088】
[実施例2]
実施例1同様の反応容器に、エピコート1009を181.5部、精製カルナバワックス2.42部、ポリエチレンワックス2.42部、エチレングリコールモノブチルエーテル70部、n−ブタノール66部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。反応容器内の温度を120℃に保ちながら、メタクリル酸24.2部、スチレン30.3部、アクリル酸エチル6.1部、及び過酸化ベンゾイル1.8部からなる混合物を滴下槽から1時間にわたって連続滴下した。滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.3部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、その後に90℃まで冷却した。
続いて、ジメチルアミノエタノール2.5部、水2.5部を混合して添加し、90℃で1時間エステル化反応を行った。
反応終了後にジメチルアミノエタノール6.3部を添加して10分間撹拌した後、水485部を1時間かけて滴下し、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0089】
[実施例3]
実施例1同様の反応容器に、エピコート1009を181.5部、エチレングリコールモノブチルエーテル9部、n−ブタノール5部、及び製造例1で得た生成物(a2−1)186.7部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。溶解確認後に90℃まで冷却し、続いて、ジメチルアミノエタノール2.5部、水2.5部を混合して添加し、90℃で1時間エステル化反応を行った。
反応終了後にジメチルアミノエタノール6.3部を添加して10分間撹拌した後、水485部を1時間かけて滴下し、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0090】
[実施例4]
実施例1同様の反応容器に、エピコート1009を205.7部、精製カルナバワックス2.42部、ポリエチレンワックス2.42部、エチレングリコールモノブチルエーテル70部、n−ブタノール66部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。反応容器内の温度を120℃に保ちながら、メタクリル酸14.5部、スチレン18.2部、アクリル酸エチル3.6部、及び過酸化ベンゾイル1.1部からなる混合物を滴下槽から1時間にわたって連続滴下した。滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.3部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、その後に90℃まで冷却した。続いて、ジメチルアミノエタノール8.8部を添加して10分間撹拌した後、水485部を1時間かけて滴下し、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0091】
[実施例5]
実施例1同様の反応容器に、エピコート1009を145.2部、精製カルナバワックス2.42部、ポリエチレンワックス2.42部、エチレングリコールモノブチルエーテル70部、n−ブタノール66部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。反応容器内の温度を120℃に保ちながら、メタクリル酸38.7部、スチレン48.4部、アクリル酸エチル9.7部、及び過酸化ベンゾイル2.9部からなる混合物を滴下槽から1時間にわたって連続滴下した。滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.3部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、その後に90℃まで冷却した。続いて、ジメチルアミノエタノール8.8部を添加して10分間撹拌した後、水485部を1時間かけて滴下し、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0092】
[実施例6]
メタクリル酸を14.5部、スチレンを41.2部、アクリル酸エチルを4.8部とした以外は実施例1と同様にして、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0093】
[実施例7]
メタクリル酸を36.3部、スチレンを15.7部、アクリル酸エチルを8.5部とした以外は実施例1と同様にして、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0094】
[実施例8]
精製カルナバワックスを9.68部、ポリエチレンワックスを9.68部とした以外は実施例1と同様にして、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0095】
[実施例9]
精製カルナバワックスを0.24部、ポリエチレンワックスを0.24部とした以外は、実施例1と同様にして不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0096】
[実施例10]
実施例1同様の反応容器に、エピコート1009を181.5部、精製カルナバワックス2.42部、ポリエチレンワックス2.42部、ラノリンワックス2.42部、エチレングリコールモノブチルエーテル70部、n−ブタノール66部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。反応容器内の温度を120℃に保ちながら、メタクリル酸24.2部、スチレン30.3部、アクリル酸エチル6.1部、及び過酸化ベンゾイル1.8部からなる混合物を滴下槽から1時間にわたって連続滴下した。滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.3部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、その後に90℃まで冷却した。続いて、ジメチルアミノエタノール8.8部を添加して10分間撹拌した後、水485部を1時間かけて滴下し、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0097】
[実施例11]
生成物(a2−1)の代わりに、製造例2で得られた生成物(a2−2)193.6部を用いた以外は実施例3と同様にして、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0098】
[実施例12]
実施例1で得た金属包装材用水性塗料200部の撹拌下に「PR−C−10」(住友ベークライト(株)製フェノール樹脂)の濃度50重量%のブタノール溶液1.1部を添加し、不揮発分が28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0099】
[実施例13]
実施例1で得た金属包装用材水性塗料200部の撹拌下にマイコート106(日本サイテックインダストリーズ(株)製アミノ樹脂)の濃度50重量%のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液1.1部を添加し、不揮発分が28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0100】
[比較例1]
実施例1同様の反応容器に、エピコート1009を181.5部、エチレングリコールモノブチルエーテル70部、n−ブタノール66部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。反応容器内の温度を120℃に保ちながら、メタクリル酸24.2部、スチレン30.3部、アクリル酸エチル6.1部、及び過酸化ベンゾイル1.8部からなる混合物を滴下槽から1時間にわたって連続滴下した。滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.3部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、その後に90℃まで冷却した。続いて、ジメチルアミノエタノール8.8部を添加して10分間撹拌した後、水433部を1時間かけて滴下した。
最後に、製造例5で得られたワックス分散体(G−1)17.3部と、製造例7で得られたワックス分散体(G−3)30.3部を撹拌しながら徐々に仕込み、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0101】
[比較例2]
実施例1同様の反応容器に、エピコート1009を181.5部、エチレングリコールモノブチルエーテル70部、n−ブタノール66部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。反応容器内の温度を120℃に保ちながら、メタクリル酸24.2部、スチレン30.3部、アクリル酸エチル6.1部、及び過酸化ベンゾイル1.8部からなる混合物を滴下槽から1時間にわたって連続滴下した。滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.3部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、その後に90℃まで冷却した。
続いて、ジメチルアミノエタノール2.5部、水2.5部を混合して添加し、90℃で1時間エステル化反応を行った。
反応終了後にジメチルアミノエタノール6.3部を添加して10分間撹拌した後、水433部を1時間かけて滴下した。
最後に、製造例5で得られたワックス分散体(G−1)17.3部と、製造例7で得られたワックス分散体(G−3)30.3部を撹拌しながら徐々に仕込み、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0102】
[比較例3]
実施例1同様の反応容器に、エピコート1009を181.5部、エチレングリコールモノブチルエーテル14部、n−ブタノール10部、及び製造例3で得た生成物(a2−3)172.9部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。溶解確認後に90℃まで冷却し、続いて、ジメチルアミノエタノール2.5部、水2.5部を混合して添加し、90℃で1時間エステル化反応を行った。
【0103】
反応終了後にジメチルアミノエタノール6.3部を添加して10分間撹拌した後、水433部を1時間かけて滴下した。最後に、製造例5で得られたワックス分散体(G−1)17.3部と、製造例7で得られたワックス分散体(G−3)30.3部を撹拌しながら徐々に仕込み、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0104】
[比較例4]
ワックス分散体(G−1)17.3部を、製造例6で得られたワックス分散体(G−2)42部とした以外は比較例1と同様にして、不揮発分28%の金属包装材用水性塗料を得た。
【0105】
[比較例5]
実施例1同様の反応容器に、エピコート1009を181.5部、エチレングリコールモノブチルエーテル70部、n−ブタノール66部を仕込んで、120℃まで昇温して溶解させた。反応容器内の温度を120℃に保ちながら、メタクリル酸24.2部、スチレン30.3部、アクリル酸エチル6.1部、及び過酸化ベンゾイル1.8部からなる混合物を滴下槽から1時間にわたって連続滴下した。滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.3部をそれぞれ添加し、滴下終了から3時間にわたって反応を続けた。反応後、精製カルナバワックス2.42部、ポリエチレンワックス2.42部を添加して120℃で溶解混合させ、溶解確認後に90℃まで冷却した。
【0106】
続いて、ジメチルアミノエタノール8.8部を添加して10分間撹拌した後、水485部を1時間かけて滴下した。しかしながら、凝集物を多く発生させてしまう結果となり、金属包装材用水性塗料を得ることができなかった。
【0107】
[塗膜の評価]
下記の条件において試験パネルを作成し、塗膜の諸物性の評価を実施した。実施例1〜13、及び比較例1〜4で得られた金属包装材用水性塗料を0.26mm厚のアルミ板上に乾燥塗膜重量が45mg/dm2となるようにバーコーターで塗装した。この後、250℃に設定されたオーブンにて1分間焼付けて評価用試験パネルを作成した。得られた試験パネルの塗膜性能は以下のような方法で評価した。
【0108】
<動摩擦係数>
試験パネルの塗膜面に、3個の鋼球がついた重さ1kgの錘を、鋼球が塗膜面と接するようにして乗せ、この錘を150cm/分の速さで引っ張り、このときの動摩擦係数を測定した。動摩擦係数が小さいほど滑り性は良好である。
【0109】
<引っ掻き測定>
トライボギアHEIDON−22H(新東科学(株)製)を使用し、引っ掻き針ダイヤ100ミクロン、引っ掻き長さ50mm、引っ掻き速度300mm/分の条件において、連続的に0〜500gまで荷重を掛けて引っ掻き測定を行った。塗膜に傷が発生し、その傷がアルミ基材に到達した際の荷重を測定した。
◎:傷の発生なし
○:荷重400g以上
△:荷重300g以上400g未満
×:荷重300g未満
【0110】
<耐摩耗性>
トライボギアHEIDON−22H(新東科学(株)製)を使用し、荷重1000g、往復幅2mm、往復速度300mm/分の条件において、接触子φ3mmのステンレス球を試験パネル上で往復運動させた。塗膜に傷が発生し、その傷がアルミ基材に到達するまでの往復回数を測定した。
◎:往復回数が1000回以上
○:500回以上1000回未満
△:200回以上500回未満
×:200回未満
【0111】
<折り曲げ加工性>
試験パネルを大きさ30mm×50mmに切断し、塗膜を外側にして、試験部位が30mmの幅になるように手で予め折り曲げ、この2つ折りにした試験片の間に厚さ0.26mmのアルミ板を5枚はさみ、1kgの荷重を高さ40cmから折り曲げ部に落下させて完全に折り曲げた。次いで、試験片の折り曲げ先端部を濃度1%の食塩水中に浸漬させ、試験片の、食塩水中に浸漬されていない金属部分と、食塩水との間を6.0V×6秒通電した時の電流値を測定した。
塗膜の加工性が乏しい場合、折り曲げ加工部の塗膜がひび割れて、下地の金属板が露出して導電性が高まるため、高い電流値が得られる。
◎:5.0mA未満
○:5.0mA以上10mA未満
△:10mA以上20mA未満
×:20mA以上
【0112】
<密着性>
試験パネルを水に浸漬したまま、レトルト釜で130℃−1時間レトルト処理を行った。処理後の塗膜面にカッターにてクロスカットをした後、セロハン粘着テープを貼着し、強く剥離した後の塗膜面の状態について評価を行った。
◎:全く剥離なし
○:5%未満の剥離あり
△:5〜20%の剥離あり
×:20%を超える剥離あり
【0113】
<耐水性>
試験パネルを水に浸漬したまま、レトルト釜で130℃−1時間レトルト処理を行い、塗膜の外観について目視で評価した。
◎:未処理の塗膜と変化なし
○:ごく薄く白化
△:やや白化
×:著しく白化
【0114】
<ワックス堆積性>
試験パネルの塗膜表面に、有色ポリエチレン製シート(2×2cm)を塗膜に接触させ、荷重100gを掛けつつ、10回往復させた。塗膜上の試験箇所を10箇所変更することにより合計100往復させて、シートに付着した転移物質の量を目視、及び秤量により評価した。
◎:転移物なし(重量0.1mg未満)
○:わずかに転移物あり(重量0.1mg以上0.5mg未満)
△:転移物あり(重量0.5mg以上1mg未満)
×:著しく転移物あり(重量1mg以上)
【0115】
表1に実施例1〜13、及び比較例1〜4で得られた金属包装材用水性塗料の性状、及びこれら水性塗料から得られた塗膜の評価結果を示す。
【0116】
【表1】

【0117】
表1に示すように、実施例1〜13の金属包装材用水性塗料は、すべての塗膜物性が良好であったのに対し、比較例1〜4の金属包装材用水性塗料では塗膜物性のいずれかが不良であり、全てが良好となるものは得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体を含む金属包装材用水性塗料であって、
前記アクリル変性樹脂組成物(A)が、エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを反応させてなることを特徴とする金属包装材用水性塗料。
【請求項2】
アクリル変性樹脂組成物(A)が、エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、ラジカル重合開始剤(E)の存在下で反応してなることを特徴とする請求項1記載の金属包装材用水性塗料。
【請求項3】
アクリル変性樹脂組成物(A)が、エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、ラジカル重合開始剤(E)の存在下で反応してなる生成物(a1)を、
塩基性化合物(F)の存在下で、エステル化反応してなることを特徴とする請求項1記載の金属包装材用水性塗料。
【請求項4】
アクリル変性樹脂組成物(A)が、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、ラジカル重合開始剤(E)の存在下で反応してなる生成物(a2)を、
塩基性化合物(F)の存在下で、エポキシ樹脂(B)とエステル化反応してなることを特徴とする請求項1記載の金属包装材用水性塗料。
【請求項5】
エポキシ樹脂(B)とワックス(D)との合計100重量部に対して、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)を、合計10〜100重量部用いてなることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の金属包装材用水性塗料。
【請求項6】
エポキシ樹脂(B)とカルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)との合計100重量部に対して、ワックス(D)を0.1〜10重量部用いてなることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の金属包装材用水性塗料。
【請求項7】
カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)が、酸価150〜400mgKOH/gの組成であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の金属包装材用水性塗料。
【請求項8】
さらに、少なくともフェノール樹脂またはアミノ樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の金属包装材用水性塗料。
【請求項9】
エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、溶剤とラジカル重合開始剤(E)との存在下で反応させてアクリル変性樹脂組成物(A)を得る第1の工程、
さらに、塩基性化合物(F)と、水とを混合し、転相させてアクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体を得る第2の工程を含むことを特徴とする金属包装材用水性塗料の製造方法。
【請求項10】
エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)と、ワックス(D)とを、溶剤とラジカル重合開始剤(E)との存在下で反応させて生成物(a1)を得る第1の工程、
前記生成物(a1)と、塩基性化合物(F)とを混合し、エステル化反応させてアクリル変性樹脂組成物(A)を得る第2の工程、
さらに、塩基性化合物(F)と、水とを混合し、転相させてアクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体を得る第3の工程を含むことを特徴とする金属包装材用水性塗料の製造方法。
【請求項11】
ワックス(D)と、カルボキシル基含有モノマーを含むエチレン性不飽和モノマー(C)とを、溶剤とラジカル重合開始剤(E)との存在下で反応させて生成物(a2)を得る第1の工程、
前記生成物(a2)と、エポキシ樹脂(B)と、塩基性化合物(F)とを混合し、エステル化反応させてアクリル変性樹脂組成物(A)を得る第2の工程、
さらに、塩基性化合物(F)と、水とを混合し、転相させてアクリル変性樹脂組成物(A)の水分散体を得る第3の工程を含むことを特徴とする金属包装材用水性塗料の製造方法。
【請求項12】
金属板と、請求項1〜8いずれか記載の金属包装材用水性塗料、もしくは請求項9〜11いずれか記載の製造方法により得られた金属包装材用水性塗料から形成されてなる塗膜層を有する金属包装材。

【公開番号】特開2012−184330(P2012−184330A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48436(P2011−48436)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】