説明

金属含有構造体の形成方法、及び金属含有積層体の形成方法

【課題】従来の素子作製に用いられてきたスパッタリング法やメッキ法などに起因した諸問題を解決し、ナノスケールの極微小化した素子作製の基本となる、新規な金属含有構造体の形成方法、さらには、この形成方法を発展させた新規な金属含有積層体の形成方法を提供する。
【解決手段】(R−C≡C−Mm、又は((R−C≡C2−M’2+)n、(ここで、M=Cu、AgまたはAu、M’=Fe,CoまたはNi、m及びnは整数、Rはメチル(−CH3)基や3級ブチル(−C(CH33)基などの炭化水素基)の形を持つ有機金属アセチリドクラスター化合物を準備し、前記有機金属アセチリドクラスター化合物に対して光照射を行い、前記有機金属アセチリドクラスター化合物を光励起して、エチニルアニオンと金属カチオンとを生成するとともに、前記エチニルアニオンと前記金属カチオンとの間における電荷移動を通じて中性化を生ぜしめ、金属原子クラスターを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ技術による超微細電子デバイス作製などの基本となる、金属含有構造体の形成方法、及び金属含有積層体の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI内の配線は、現在、スパッタリング法とメッキ法を組み合わせて行われている。しかしながら、超高速・超高集積・省電力化のニーズに対応した素子寸法の縮小化の限界、および現在の配線形成法の限界が指摘されており、LSIをさらに高性能化する必要性が生まれ、次世代のLSI内の最小配線幅は、100ナノメートル以下と極微小化しようとしている。このため、ナノスケール集積回路配線の開発が強く求められている。ナノスケール配線材料としては、低抵抗で断線故障が生じにくい「銅」が最有力である。ナノスケールで銅配線を実現するためにプラズマCVD法を用いて、下地との付着力が強く純度と平滑性の高い銅薄膜形成の研究が進められている。プラズマCVD法は、しかしながら高温プロセスであるため、極微細加工に対しては様々な問題が存在する。このため、低温で銅の微
細加工配線が可能な手法の開発が必要となっている。
【0003】
一方、金属薄膜を作る方法としては蒸着法やイオンスパック法やレーザースパッタ法が広く用いられているが、これらはエネルギーの高い原子やイオンを表面に衝突固定することになり、ナノレベルでの制御には問題を持っている。また、その上に高分子膜をかぶせたとしても、欠陥などから酸素が入り込み、次第に腐食してしまうという大きな欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の素子作製に用いられてきたスパッタリング法やメッキ法などに起因した諸問題を解決し、ナノスケールの極微小化した素子作製の基本となる、新規な金属含有構造体の形成方法、さらには、この形成方法を発展させた新規な金属含有積層体の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明は、
(R−C≡C−Mm、又は((R−C≡C2−M’2+)n、(ここで、M=Cu、AgまたはAu、M’=Fe,CoまたはNi、m及びnは整数、Rはメチル(−CH3)基や3級ブチル(−C(CH33)基などの炭化水素基)の形を持つ有機金属アセチリドクラスター化合物を準備する工程と、
前記有機金属アセチリドクラスター化合物に対して光照射を行い、前記有機金属アセチリドクラスター化合物を光励起して、前記エチニルアニオンと前記金属カチオンとの間における電荷移動を通じて中性化を生ぜしめ、金属原子クラスターを生成する工程と、
を具えることを特徴とする、金属含有構造体の形成方法に関する。
【0006】
本発明者は上記課題を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、上述したような有機金属アセチリドクラスターに対して適当な光照射を行って光励起すると、前記金属アセチリドクラスター内のエチニルアニオンと金属カチオンとの間で電子移動が起こり金属原子クラスターと高分子マトリックスが生成することを見出した。
【0007】
次いで、この金属原子クラスターは、例えば互いに融合して金属平面結晶に成長するようになる。この場合、前記金属平面結晶内には、前記光照射によって生成した光電磁場の振動数で、前記金属平面結晶を構成する金属ナノ粒子同士において、位相を揃えた伝導電子の集団的プラズマ偏極が生じるようになる。そして、このようなプラズマ偏極は、未反応のイオンペアーの中性化をも刺激して前記金属平面結晶同士の融合を促進し、前記有機金属アセチリドクラスター内の金属元素を含む金属含有構造体が生成されるようになる。
【0008】
なお、上記有機金属アセチリドクラスターを予めフィルム状に形成しておくことにより、前記金属含有構造体は、金属含有シートとして形成することができる。
【0009】
また、本発明の金属含有積層体の形成方法は、上記金属含有構造体の製造方法を発展させたものであり、
(R−C≡C−Mm、又は((R−C≡C2−M’2+n、(ここで、M=Cu、AgまたはAu、M’=Fe,CoまたはNi、m及びnは整数、Rはメチル(−CH3)基や3級ブチル(−C(CH33)基などの炭化水素基)の形を持つ第1の有機金属アセチリドクラスター化合物から第1のフィルムを形成する工程と、
前記第1のフィルム上にマスクを設けるとともに光照射を行い、前記第1のフィルムを光励起して、前記エチニルアニオンと前記金属カチオンとの間における電荷移動を通じて中性化を生ぜしめ、金属原子クラスターの生成を通じて、第1の金属含有シートを形成する工程と、
前記金属含有シートにおける光の未照射部分を除去し、前記金属含有シートからなる金属含有シートパターンを形成する工程と、
前記金属含有シートパターン上に、(R−C≡C−Mm、又は((R−C≡C2−M’2+)n、(ここで、M=Cu、AgまたはAu、M’=Fe,CoまたはNi、m及びnは整数、Rはメチル(−CH3)基や3級ブチル(−C(CH33)基などの炭化水素基)の形を持つ第2の有機金属アセチリドクラスター化合物から第2のフィルムを形成する工程と、
前記第2のフィルムを光励起して、前記エチニルアニオンと前記金属カチオンとの間における電荷移動を通じて中性化を生ぜしめ、金属原子クラスターの生成を通じて、前記金属含有シートパターン上に、第2の金属含有シートを形成し、3次元的な金属含有積層体を形成することを特徴とする。
【0010】
この場合、上記金属含有構造体の製造方法における工程を2回繰り返すことによって、第1の有機金属アセチリドクラスター化合物フィルムから第1の金属シートを形成するとともに、この第1のシート上に積層するようにして、第2の有機金属アセチリドクラスター化合物フィルムから第2の金属シートを形成する。さらに、前記第1のシートを予めパターン化しているので、前記第2のシートをこのパターン化形状を反映させた、凹凸形状を具える3次元的な構造体となる。したがって、この構造体の3次元的なパターン化された凹凸部を利用することによって情報の記録を行うことができ、新規な記録媒体への可能性を提供することができる。
【0011】
また、前記パターンを極微細化することによって、新規な超高密度記録媒体への可能性を提供することができる。
【0012】
なお、本発明と類似のアセチリド化合物を使った導電性フィルムおよびその作成方法として特開2005−54240号公報があるが、これは、メッキ法によって形成させた金属薄膜層に平均粒子系が1〜10μmの微粒子および金属アセチリドの熱分解物を接触させ、これによって良好な密着性を与えるものであり、本発明の形成方法とは原理及び構成において全く異なるものである。
【特許文献1】特開2005−54240号
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、従来の素子作製に用いられてきたスパッタリング法やメッキ法などに起因した諸問題を解決し、ナノスケールの極微小化した素子作製の基本となる、新規な金属含有構造体の形成方法、さらには、この形成方法を発展させた新規な金属含有積層体の形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
【0015】
本発明の一例として、金属含有構造体として金属含有シートを作製する場合について説明する。図1は、前記金属含有シートを形成する際の工程図である。
【0016】
最初に、(R−C≡C−Mm、又は((R−C≡C2−M’2+)n、(ここで、M=Cu、AgまたはAu、M’=Fe,CoまたはNi、m及びnは整数、Rはメチル(−CH3)基や3級ブチル(−C(CH33)基などの炭化水素基)の形を持つ有機金属アセチリドクラスター化合物を準備し、この化合物をヘキサンなどの有機溶媒中に溶解又は分散させて溶液を作製し、この溶液をスピンコート法などを用いることによって、所定の支持基板(図示せず)上に塗布し、図1(a)に示すように、塗布膜(フィルム)を形成する。この塗布膜中には、図に示すように多数のクラスターが存在している。
【0017】
次いで、前記塗布膜(フィルム)に対して光照射を行って励起すると、前記エチニルアニオンと前記金属カチオンとの間で電荷移動が生じて中性化を引き起こし、図1(b)に示すように、金属原子クラスターを生成する。
【0018】
なお、励起に際して使用する光は、可視光などを使用することもできるが、より波長が短い光、例えば紫外線(紫外光)を用いることによってより効果的に励起を行うことができ、上述のようなエチニルアニオンと金属カチオンの間の電子移動を効率的に誘起することができるようになる。
【0019】
次いで、この金属原子クラスターは、例えば互いに融合して金属平面結晶に成長するようになる。この場合、前記金属平面結晶内には、前記光照射によって生成した光電磁場の振動数で、前記金属平面結晶を構成する金属ナノ粒子同士において、位相を揃えた伝導電子の集団的プラズマ偏極が生じるようになる。そして、このようなプラズマ偏極は、前記金属平面結晶の両端に強い引力を生ぜせしめるようになる。このような状態を図1(c)に示す。
【0020】
次いで、上述したプラズマ偏極は、上記引力によって未反応のイオンペアーの中性化反応を刺激して前記金属平面結晶同士の融合を促進し、図1(d)に示すような前記有機金属アセチリドクラスター内の金属元素を含む金属含有シートが生成されるようになる。
【0021】
なお、上記金属平面結晶の大きさは1nm以上であることが好ましい。この場合、上述したプラズマ偏極を効果的に生ぜしめることができ、両端間のより強い引力によって前記金属平面結晶の融合をより効果的かつ効率的に行うことができる。
【0022】
また、図1(d)に示すように、得られた金属含有シートは、その中心部において前記有機金属アセチリドクラスター化合物内の金属元素からなる金属層を含むとともに、その上方において、有機金属アセチリドクラスター化合物から分解して生成した、第1の高分子層を含むとともに、その下方において第2の高分子層を含む。
【0023】
第1の高分子層は上述した生成過程に依存してπ電子ネットワークを有し、上述した生成過程で形成された際には紫外光などの光吸収層として有効に機能し、目的とする金属含有シートの形成をより促進するとともに、酸素による金属の酸化を防ぐ保護膜としても機能する。
【0024】
第2の高分子層は上述した生成過程に依存してメチル基や第三級ブチル基などの安定な炭化水素基を含む。この場合、前記第2の高分子層は疎水性層として機能し、水分による金属層の酸化を防止する。
【0025】
なお、上記第1の高分子層及び第2の高分子層は、本発明の金属含有シートにおいては必須の構成要素ではないが、使用する有機金属アセチリドクラスター化合物の種類などに応じて必然的に含まれるようになる。
【0026】
また、以下の実施例において開示されているように、特に好ましく使用することのできる有機金属アセチリドクラスター化合物である(CH33−C≡C2−Cu+においては、上述したような第1の高分子及び第2の高分子が必然的に形成される。
【0027】
なお、図1(d)に示す金属含有シートでは、最上層に前記有機金属アセチリドクラスター化合物からなる塗布層の未反応部分が残存しているが、このような残存塗布層は適宜エッチングなどによって除去する。
【0028】
次に、本発明の金属含有積層体の形成方法について説明する。図2は、本発明の金属含有積層体を形成する際の工程図である。
【0029】
最初に、図1に示す工程に従って所定の支持基板上に第1の金属含有シートを形成し、次いで、図2(a)に示すように、マスクを介して例えば露光し、現像処理などを行うことにより、図2(b)に示すような金属含有シートパターンを支持基板上に形成する。次いで、この金属含有シートパターン上に、図1に示す工程に従って第2の金属含有シートを形成する。
【0030】
なお、本例における第1の金属含有シート及び第2の金属含有シートは、図1に関する例の金属含有シートと同じものであるので、形成に際して使用する有機金属アセチリドクラスター化合物は、図1に関する例と同じものを使用することができ、この化合物からの形成過程に生じる諸現象も図1に関する例と同じである。また、使用する化合物の種類などに応じて、前記第1の金属含有シート及び前記第2の金属含有シートは、上層部においてπ電子ネットワークを有する第1の高分子層を有し、下層部において炭化水素基を有する第2の高分子層を有する。上述したように、第1の高分子層は、光吸収層及び酸素による金属の酸化を防ぐ保護膜として機能する。また、第2の高分子層は、疎水性層として水分による金属層の酸化を防止する。
【実施例】
【0031】
((CH3)3C-C≡C‐Cu+24、(tertiary-butyl-ethynyl-copper)24,を代表的な有機金属クラスター化合物として用い、これをへキサンに溶解させ、シリコン基板上に厚さ10nm〜800nmの様々な厚さに塗布して塗布層フィルムを形成した。次いで、前記塗布層に対してKrF(248nm)レーザー光を3mJ/cm2の光子密度で、15,000ショット照射し、上述したような工程及び現象を経ることにより、所定の金属含有シートを形成した。
【0032】
図3は、シリコン基板上の上記金属含有フィルムのSEM像である。中央の写真がスピンコートによって作成した薄膜で、左の自然乾燥法によって作ったものより均一性が高い。右の写真にある断面から厚さは15nm程度であることが判る。室温で生じる金属薄膜は多結晶であるが、ドメインの大きさは光強度や照射条件によって変えることが可能である。スピンコートの回転数を下げるとより厚いフィルムが得られる。
【0033】
次に、薄膜の均一性と光によるリソグラフの可能性を見るために、石英基板上にクロムで作成したフォトマスクを、シリコン基板上の((CH3)3C-C≡C‐Cu+24クラスター分子薄膜に載せて、KrF(248nm)レーザーを3mJ/cm2の光子密度で5Hz、10分間照射した。その後、マスクを外し、へキサンに浸した薄膜基板を超音波処理によって未反応物を除いて得られたリソグラフパターンを図4に示す。上部は、スリット状パターンであり、下部はドット状パターンである。このように、10分程度の照射できれいなパターンが描かれていることが分かる。
【0034】
次に、エポキシ基板の上に張ったポリイミド樹脂層の上に作った薄膜に、KrF(248nm)レーザーを3mJ/cm2の光子密度で5Hz、20分照射したものを、ミクロトームで薄膜と垂直方向に70nmの厚さにスライスして得た薄膜断面の高分解能透過電子顕微鏡写真を図5に示す。フィルムの厚さは800nmで、イミド基板側に第3級ブチルエチニル基が重合してできた高分子層が500nmの厚さに、その外側に300nmの厚さで、金属銅のシートが出来ており、さらにその外側の空気との接触層は5nmの厚さの有機保護膜が付いていることが判る。
【0035】
以上、本発明を、発明を実施するための最良の形態に則して説明してきたが、本発明の内容は上記に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0036】
例えば、上記具体例では、有機金属アセチリドクラスター化合物からシートを形成し、このシートから金属含有シートを形成する場合について説明したが、前記有機金属アセチリドクラスター化合物の初期形態などを適宜に制御することにより、任意の形態の金属含有構造体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の金属含有構造体として金属含有シートを作製する場合の工程図を示すものである。
【図2】本発明の金属含有積層体を形成する際の工程図である。
【図3】本発明の形成方法を経て得た、金属含有シートのSEM像である。
【図4】本発明の形成方法を経て得た金属含有シートのリソグラフパターンである。
【図5】本発明の形成方法を経て得た、金属含有シートのTEM像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R−C≡C−Mm、又は((R−C≡C2−M’2+)n、(ここで、M=Cu、AgまたはAu、M’=Fe,CoまたはNi、m及びnは整数、Rはメチル(−CH3)基や3級ブチル(−C(CH33)基などの炭化水素基)の形を持つ有機金属アセチリドクラスター化合物を準備する工程と、
前記有機金属アセチリドクラスター化合物に対して光照射を行い、前記有機金属アセチリドクラスター化合物を光励起して、前記エチニルアニオンと前記金属カチオンとの間における電荷移動を通じて中性化を生ぜしめ、金属原子クラスターを生成する工程と、
を具えることを特徴とする、金属含有構造体の形成方法。
【請求項2】
前記金属原子クラスター同士の融合を通じて金属平面結晶を生成するとともに、前記金属平面結晶同士の融着によって前記金属含有構造体を形成することを特徴とする、請求項1に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項3】
前記金属平面結晶の大きさが1nm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項4】
前記金属平面結晶同士の融着は、前記金属平面結晶を構成する金属ナノ粒子群の伝導電子によるプラズマ偏極を通じて行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項5】
前記光照射は、紫外線または真空紫外線を用いて行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項6】
前記金属含有構造体の上層部はπ電子ネットワークを有する第1の高分子層からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項7】
前記第1の高分子層は、前記金属含有構造体に対して紫外線吸収層として機能するとともに、耐酸化層として機能することを特徴とする、請求項6に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項8】
前記金属含有構造体の下層部はπ電子ネットワークを有する第2の高分子層からなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項9】
前記第2の高分子層は末端に炭化水素基を有し、疎水性層として機能することを特徴とする、請求項8に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項10】
前記有機金属アセチリドクラスター化合物は、(CH33C−C≡C2−Cu+であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項11】
有機金属アセチリドクラスター化合物をフィルム状に形成し、前記金属含有構造体を金属含有シートとして形成することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の金属含有構造体の形成方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一に記載の方法で形成されたことを特徴とする、金属含有構造体。
【請求項13】
請求項11に記載の方法で形成されたことを特徴とする、金属含有シート。
【請求項14】
(R−C≡C−Mm、又は((R−C≡C2−M’2+)n、(ここで、M=Cu、AgまたはAu、M’=Fe,CoまたはNi、m及びnは整数、Rはメチル(−CH3)基や3級ブチル(−C(CH33)基などの炭化水素基)の形を持つ第1の有機金属アセチリドクラスター化合物から第1のフィルムを形成する工程と、
前記第1のフィルム上にマスクを設けるとともに光照射を行い、前記第1のフィルムを光励起して、前記エチニルアニオンと前記金属カチオンとの間における電荷移動を通じて中性化を生ぜしめ、金属原子クラスターの生成を通じて、第1の金属含有シートを形成する工程と、
前記金属含有シートにおける光の未照射部分を除去し、前記金属含有シートからなる金属含有シートパターンを形成する工程と、
前記金属含有シートパターン上に、(R−C≡C−Mm、又は((R−C≡C2−M’2+)n、(ここで、M=Cu、AgまたはAu、M’=Fe,CoまたはNi、m及びnは整数、Rはメチル(−CH3)基や3級ブチル(−C(CH33)基などの炭化水素基)の形を持つ第2の有機金属アセチリドクラスター化合物から第2のシートを形成する工程と、
前記第2のシートを光励起して、前記エチニルアニオンと前記金属カチオンとの間における電荷移動を通じて中性化を生ぜしめ、金属原子クラスターの生成を通じて、前記金属含有シートパターン上に、第2の金属含有シートを形成し、3次元的な金属含有積層体を形成することを特徴とする、金属含有積層体の形成方法。
【請求項15】
前記金属原子クラスター同士の融合を通じて金属平面結晶を生成するとともに、前記金属平面結晶同士の融着によって前記第1の金属含有シート及び前記第2の金属含有シートを形成することを特徴とする、請求項14に記載の金属含有積層体の形成方法。
【請求項16】
前記金属平面結晶の大きさが1nm以上であることを特徴とする、請求項14又は15に記載の金属含有積層体の形成方法。
【請求項17】
前記金属平面結晶同士の融着は、前記金属平面結晶を構成する金属ナノ粒子群の伝導電子によるプラズマ偏極を通じて行われることを特徴とする、請求項14〜16のいずれか一に記載の金属含有積層体の形成方法。
【請求項18】
前記光照射は、紫外線または真空紫外線を用いて行うことを特徴とする、請求項14〜17のいずれか一に記載の金属含有積層体の形成方法。
【請求項19】
前記第1の金属含有シート及び前記第2の金属含有シートの上層部はπ電子ネットワークを有する第1の高分子層からなることを特徴とする、請求項14〜18のいずれか一に記載の金属含有積層体の形成方法。
【請求項20】
前記第1の高分子層は、前記第1の金属含有シート及び前記第2の金属含有シートに対して紫外線吸収層として機能するとともに、耐酸化層として機能することを特徴とする、請求項19に記載の金属含有積層体の形成方法。
【請求項21】
前記第1の金属含有シート及び前記第2の金属含有シートの下層部はπ電子ネットワークを有する第2の高分子層からなることを特徴とする、請求項14〜20のいずれか一に記載の金属含有積層体の形成方法。
【請求項22】
前記第2の高分子層は末端に炭化水素基を有し、疎水性層として機能することを特徴とする、請求項21に記載の金属含有積層体の形成方法。
【請求項23】
前記有機金属アセチリドクラスター化合物は、(CH33C−C≡C2−Cu+であることを特徴とする、請求項14〜22のいずれか一に記載の金属含有積層体の形成方法。
【請求項24】
請求項14〜23のいずれか一に記載の方法で形成されたことを特徴とし、前記第1の金属含有シートからなる金属含有シートパターン上に、前記第2の金属含有シートが積層されてなることを特徴とする、3次元的な金属含有積層体。
【請求項25】
請求項24に記載の金属含有積層体を含むことを特徴とする、記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−114467(P2009−114467A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41173(P2006−41173)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(504261077)大学共同利用機関法人自然科学研究機構 (156)
【Fターム(参考)】