説明

金属基体用の弱アルカリ性薄膜無機腐食保護コーティング

リン酸塩事前処理なしで金属表面に直接塗工でき、向上した腐食保護を表面に与える中性〜アルカリ性の、無機でクロムを含まない化成コーティング組成物が開示される。この化成コーティング組成物は、好ましくは約6〜11、より好ましくは8〜10のpHを有する。コーティング組成物は、周期表IVB族の元素の少なくとも1種類と、周期表VB族の元素の少なくとも1種類とを含む。好ましくは、コーティング組成物は、1〜7重量%のIVB族の元素の少なくとも1種類と、0.20〜2.00重量%のVB族の元素の少なくとも1種類とを含む。この化成コーティング組成物は、その場で乾燥するコーティングであり、また、クロムを含んでおらず、よって、クロム系コーティングに伴う環境問題がない。コーティング組成物は、非常に用途が広く、広範な種々の有機コーティング樹脂の添加を受け入れることができ、有機コーティング樹脂をコーティング組成物に直接加えることができ、従って、多段階のコーティングプロセスを無くすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、金属基体の腐食保護に関し、より特には、リン酸塩処理溶液などの事前処理なしで金属基体に直接塗工でき、向上した腐食保護を金属基体に与える中性〜弱アルカリ性の薄膜無機コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
未処理の金属表面は腐食されて、錆の発生、弱化、変色、および表面の不具合が生じることがある。そのため、金属基体は、典型的には、表面の反応性を低下させ、耐腐食性を高めるために、種々の方法で処理される。加えて、金属表面は、多くの場合、続いて、樹脂コーティング、プライマー、塗装および他の表面処理などの装飾物または追加の保護コーティングでコーティングされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの場合、金属表面の最初の処理は、金属リン酸塩処理と、その後のクロム含有リンス剤を含む。この処理は効果的であるが、金属リン酸塩およびクロム含有リンス剤は環境に対して有害な廃棄物を生成するために望ましくない。また、これらの廃棄物を処理するコストも上昇し続けている。典型的には、これらの処理はかなりの酸性条件を必要とし、そのような酸性の環境は多くの金属基体にとって望ましくない。従って、先行技術の廃棄物を付随することなく、金属基体に向上した腐食保護を与える処理方法および溶液を考案することが望まれている。加えて、無機物であり、中性または弱アルカリ性の条件下において実施できる溶液を開発することは有益である。最後に、これまで使用されてきた他の装飾用の表面処理を引き続いて使用することを妨げない溶液を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般的に、本発明は、リン酸塩事前処理なしで金属表面に直接塗工でき、大きな腐食保護を与える中性または弱アルカリ性の無機コーティング溶液を提供する。コーティング溶液は、好ましくは、約6〜11、より好ましくは、8〜10のpHを有する。コーティング溶液は、少なくとも1種類の周期表IVB族遷移金属元素、即ち、ジルコニウム、チタン、および、ハフニウムの供給源と、少なくとも1種類の周期表VB族遷移金属元素、即ち、バナジウム、ニオブ、および、タンタルの供給源とを含む。好ましくは、コーティング溶液は、コーティング溶液の総重量に対して、1〜7重量%、より好ましくは2〜5重量%、最も好ましくは3〜5重量%のIVB族元素を含む。好ましくは、コーティング溶液は、コーティング溶液の総重量に対して、0.2〜2.00重量%、より好ましくは0.40〜1.00重量%のVB族元素を含む。好ましいIVB族元素はジルコニウムであり、好ましくは炭酸ジルコニルアンモニウムとして供給される。好ましいVB族元素は、バナジウムであり、Vとして供給される。コーティング溶液は、その場で乾燥する化成コーティング(dry in place conversion coating)であり、また、クロムを含んでおらず、よって、クロム系コーティングに伴う環境問題がない。このコーティングは、広範な種々の有機コーティング樹脂の添加に対応することができ、有機コーティング樹脂をコーティング溶液に直接加えることができ、従って、多段階のコーティングプロセスを無くすことができ、適当な樹脂は水性コーティング溶液に分散する、または溶解するものであるため、非常に用途が広い。化成コーティングにおいては、その用語が当該技術分野において知られている通り、コーティングプロセス中にコーティング溶液中の成分が金属基体と反応し、その場で乾燥した(dry in place)最終的なコーティングを生じる。
【0005】
好ましい実施形態の詳細な記載から、当業者には、本発明のこれら、および他の特徴および利点が、より明白となるであろう。図面を、詳細な説明と共に、以下に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、露出金属表面(金属リン酸塩溶液、クロム含有リンス剤、または他の不動態化処理で、金属表面が事前に処理されていないことを意味する。)の処理に関する。本発明の方法の恩恵を受ける金属表面としては、鋼、冷延鋼、熱延鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、亜鉛金属または亜鉛合金でコーティングされた鋼(電気亜鉛めっき鋼、ガルバリウム(登録商標)、ガルバニール、および、溶融亜鉛めっき鋼など)が挙げられる。
【0007】
好ましくは、本発明による処理に先立ち、金属表面は洗浄および脱脂される。金属表面の洗浄は当該技術分野においてよく知られており、弱または強アルカリ性洗浄剤を含むことができる。2つのアルカリ性洗浄剤の例として、Parco(登録商標)Cleaner ZX−1およびParco(登録商標)Cleaner 315が挙げられ、両者ともHenkel Surface Technologies社から市販されている。洗浄に続いて、本発明による処理に先立ち、好ましくは、表面を水洗する。
【0008】
本発明の腐食保護コーティングは、約6〜11のpH、より好ましくは8〜10のpHで、脱イオン水中に、少なくとも1種類のIVB族元素と少なくとも1種類のVB族元素の混合物を含む。コーティングプロセスが動作するためには、溶液のpHをこの範囲内に維持することが重要である。好ましくは、IVB族元素は、溶液の総重量に対して、溶液の約1〜7重量%、より好ましくは約2〜5重量%、最も好ましくは3〜5重量%の量で存在する。コーティング組成物は、総重量に対して1〜7重量%の間の任意の下位範囲を含むことができる。好ましくは、溶液中のVB族元素の量は、溶液の総重量に対して、約0.20〜2.00重量%、より好ましくは約0.40〜1.00重量%である。コーティング組成物は、総重量に対して0.20〜2.00重量%の間の任意の下位範囲を含むことができる。好ましくは、コーティング溶液は、ジルコニウムとバナジウムの混合物である。ジルコニウムの1つの好ましい供給源は、Bacote 20(登録商標)と呼ばれ、ニュージャージー州フレミントン市のMEIから市販されている炭酸ジルコニルアンモニウムである。MEIの資料によれば、Bacote 20(登録商標)は、アニオン性でヒドロキシル化されたジルコニウムポリマーを含有する安定化された炭酸ジルコニルアンモニウムの透明なアルカリ性水溶液である。Bacote 20(登録商標)は、ほぼ20%重量/重量のZrOを与える。Bacote 20(登録商標)は、紙および板紙用途用の架橋剤として販売されている。好ましいVB族元素は、Vとして与えられるバナジウムである。任意成分として、本発明のコーティングは、更に、種々のタイプの有機コーティング樹脂の添加を含むことができ、単に例としてであるが、エポキシ、ポリ二塩化ビニル、アクリル系樹脂、メタクリレート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン分散系、および、ポリウレタン分散系ハイブリッドが挙げられる。これらの樹脂の例として、Carboset(登録商標)CR760、Hauthane HD−2120、Hauthane L−2989、Maincote(商標)PR−15、Maincote(商標)PR−71、Avanse MV−100、Rhoplex AC 337N、および、Alberdingk−Boley LV−51136およびM−2959が挙げられる。また、コーティングは、システイン、Sn2+、アスコルビン酸、または、チオコハク酸などのVのための還元剤の添加を含むこともできる。任意選択で、硫酸バナジルまたはアセチルアセトン酸バナジルからのV+4によって最初に開始することができる。また、任意成分として、コーティングは、コーティングされた基体の成形性を向上させるワックスなどの加工助剤を含むこともできる。これらの任意成分の添加剤の添加については、以下で更に論じる。
【実施例】
【0009】
第1の例において、本発明の無機コーティング溶液を、83.00重量%の脱イオン(DI)水と、1.00重量%のVおよび16.00重量%のBacote 20(登録商標)とを混ぜ合わせることで調製した。このレベルのBacote 20(登録商標)は、3.2重量%のZrOを溶液に与える。溶液のpHは、ほぼ9.5であった。既知のドローワイヤー技術を使用して、ACT HDGパネル APR 31893として知られる一連の溶融亜鉛めっき(HDG)パネル、およびU.S.Steel社(USS)ガルバリウム(登録商標)パネルに無機コーティングを塗工し、1平方フィート当たり200ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり200ミリグラム)のコーティング重量を塗工した。ガルバリウム(登録商標)は、55%アルミニウム−亜鉛合金コーティングされた鋼板の商標名である。塗工後、直ちに、試験パネル上で210°F(98℃)のピーク金属温度(PMT)まで、その場においてコーティングを乾燥した。次いで、各時点において、複数のパネルを用い、ASTM B117を使用する塩水噴霧(NSS)腐食試験を行った。この試験において、HDGまたはUSSガルバリウム(登録商標)のいずれかのコーティングされていないパネルは、NSS試験において24時間で100%の腐食を示した。それぞれの処理されたパネルの平均パーセント腐食試験結果を下記の表1に示す。
【0010】
【表1】

結果は、本発明に従って調製されたコーティング溶液の有用性を示している。本発明のコーティング溶液はUSSガルバリウム(登録商標)鋼上において非常に効果的であり、示される通り、1008時間まで著しい腐食保護を与えた。これらの結果は、24時間以内に100%腐食された、コーティングされていないUSSガルバリウム(登録商標)とは劇的に異なる。また、HDG基体を使用した場合も結果は有効であったが、USSガルバリウムの場合ほど良好ではなかった。
【0011】
上記の通り、本発明のコーティング溶液の別の利点は、有機樹脂の添加を容易に受け入れて、複雑で多段階の加工または適用を必要とせずに、腐食保護を更に向上させることができることである。望ましい樹脂は、コーティング溶液に単に添加することができる。無機コーティング溶液を有機樹脂と混ぜ合わせる第1の例においては、有機樹脂としてポリ二塩化ビニル(PVDC)を使用した。使用したPVDC樹脂はNoveon XPD−2903であった。一連のコーティング溶液を下記の表2に記載される通り調製した。
【0012】
【表2】

次いで、上記のその場で乾燥する方法(dry in place process)を使用し、1平方フィート当たり200ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり200ミリグラム)のコーティング重量で、一連のHDGパネルおよび一連のUSSガルバリウム(登録商標)パネル上に各配合物をコーティングし、210°F(98℃)のPMTまで乾燥した。一連の対照HDGおよびUSSガルバリウム(登録商標)パネルは、Henkelから市販されているクロムを含有しないコーティングGranocoat(登録商標)342(商標)(G342)を使用して作製した。G342は、製造者の使用説明書通りに塗工した。第1の試験において、これらのパネルに対し、上記のNSS試験を行い、それぞれの時点で複数のパーセント腐食について評価し、平均を計算した。結果を下記の表3に示すが、表中、略称Gal.はUSSガルバリウム(登録商標)パネルを示す。
【0013】
【表3】

結果は、本発明のコーティング溶液によって腐食保護が向上することを決定的に示している。USSガルバリウム(登録商標)パネルのデータを見ると、G342対照と比較して、試験の168時間まで全てのパネルにおいて腐食保護が改善されること、および、試験時間の増加に伴い、その差が大きくなることが分かる。試験の504時間後、本発明に従ってコーティングされたパネルは、対照のG342パネルよりも腐食が18〜147倍少ない。840時間までで、対照のG342パネルは、本発明に従ってコーティングされたパネルの28〜76倍の腐食を有する。試験の1200時間後においても、本発明に従ってコーティングされたパネルは、腐食が僅か3〜11%である。これらの結果は劇的で、本発明に従って調製されたコーティング溶液の能力を示している。また、最終時点において、ポリ二塩化ビニルのレベルを10%から30%に増加しても、腐食保護の程度に対する効果は小さいことを結果は示している。次に、HDGパネルのデータを見ると、約504時間の時点まで、G342と比べて、本発明のコーティングが向上した保護を与えることが分かる。HDGパネルの結果は、USSガルバリウム(登録商標)パネルほど劇的ではない。また、ポリ二塩化ビニルのレベルを増加することの効果は、USSガルバリウム(登録商標)パネルで見られたものと反対のようである。HDGパネルについては、ポリ二塩化ビニルのレベルが高くなるほど、コーティングは腐食からの保護が低下するようである。
【0014】
次に、上記の通り、USSガルバリウム(登録商標)またはHDGの一連の腐食試験パネルを、表2の配合物を使用して、1平方フィート当たり200ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり200ミリグラム)でコーティングし、その場においてパネル上で210°F(98℃)のPMTまで乾燥した。次いで、湿潤環境において互いに接触しているパネルをシミュレートするために、積み重ね試験(Stack試験)を行った。積み重ね試験は、第1のパネルのコーティングした面上に脱イオン水を噴霧し、第2のパネルのコーティングした面を第1のパネルのコーティングした面上に配置し、次いで、第1および第2のパネルを一緒に締め付けることで行った。次いで、締め付けられたパネルを、100°F(38℃)および湿度100%の湿度試験室内に配置した。種々の時点後、それぞれの条件の複数を取り外し、それぞれのパーセント腐食を決定し、結果を平均する。平均した結果を下記の表4に示す。
【0015】
【表4】

結果は、10%および20%の樹脂レベルについて、本発明のコーティング溶液は、全ての時点において、時点に依存して16〜2.2倍、G342コーティングよりも非常に良好に機能したことを示している。しかしながら、30%PVDCを有するコーティングは、1200時間後、対照G342パネルほど良好に機能せず、2016時間までに、対照パネルの約2倍の腐食を示した。この違いの理由は不明である。HDGパネルについては、対照パネルと本発明のコーティングとの間の違いは殆どないことを結果は示している。504時間まで、パネルは全て著しい腐食保護を示す。それ以降、20%および30%PVDCを有するコーティング溶液は、G342パネルおよび10%PVDCパネルよりも機能が悪化した。
【0016】
次に、上記の通り、USSガルバリウム(登録商標)またはHDGの一連の腐食試験パネルを、表2の配合物を使用して、1平方フィート当たり200ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり200ミリグラム)でコーティングし、その場においてパネル上で210°F(98℃)のPMTまで乾燥した。次いで、これらのパネルに対し、ASTM D4585を使用してクリーブランド湿度試験(CHT)を行った。結果を下記の表5に示す。
【0017】
【表5】

USSガルバリウム(登録商標)の結果は、10%PVDCの1200時間(これは対照G342と同等である。)を除いて、本発明のコーティング溶液は対照G342コーティングよりも非常に良好に機能することを示している。また、本発明に従って調製されたコーティングの腐食保護に対して、PVDCの量を増加させることが非常にプラスの効果を有することも結果は明瞭に示している。本発明のコーティングを有するHDGパネルについても同様の結果が見られ、G342と比べて腐食保護が著しく向上する。加えて、PVDCの量を増加させることで腐食保護が向上するようである。
【0018】
次に、上記の通り、USSガルバリウム(登録商標)またはHDGの一連の腐食試験パネルを、表2の配合物を使用して、1平方フィート当たり200ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり200ミリグラム)でコーティングし、その場においてパネル上で210°F(98℃)のPMTまで乾燥した。次いで、一連のパネルに対し、バトラー浸水(BWI)試験を行った。それぞれのパネルの下に1/2インチの水があり、それぞれのパネルの上に3/4インチの水があるように、それぞれの試験パネルを蒸留水のタンク中で支持および浸漬する。次いで、パネルを入れたタンクを、湿度100%および100°F(38℃)に設定された湿度室内に配置する。選択された時点においてパネルを取り外し、パーセント腐食を評価する。結果を下記の表6に示す。
【0019】
【表6】

USSガルバリウム(登録商標)の結果は、本発明に従って調製されたコーティングは、対照G342コーティングよりも著しく高い腐食保護を与えることを示している。向上した保護は、G342と比較して、耐腐食性がほぼ2倍〜10倍増加している。腐食保護に対するPVDCレベルの効果は複雑、且つ非線形に現れ、最も高いレベルが10〜20重量%のレベルよりも低い効果を示す。また、HDGパネルも、G342と対比して、本発明のコーティングの利点を示す。本発明に従ってコーティングされたパネルの全てが、G342と比較して、向上した腐食保護を示した。また、PVDCレベルの効果は複雑であり、20%PVDCで最良の結果を示しているようであった。
【0020】
上記の通り、本発明のコーティングの利点は、有機樹脂の添加を容易に受け入れて、複雑で多段階の加工または適用を必要とせずに、腐食保護を更に向上させることができることである。望ましい樹脂は、コーティング溶液に単に添加することができる。無機コーティングを有機樹脂と混ぜ合わせる第2の例においては、有機樹脂として、Carboset(登録商標)CR−760と呼ばれる熱可塑性スチレン−アクリルコポリマーエマルジョンを使用した。Carboset(登録商標)CR−760は、オハイオ州クリーブランド市のLubrizol Advanced Materials社から市販されている。Carboset(登録商標)CR−760は、ほぼ42重量%の固体を含む。追加のコーティングにおいては、Carboset(登録商標)CR−760を、更に、上記で使用したPVDCと混ぜ合わせた。また、追加の配合物においては、コーティング溶液の成形性を向上させるために、コーティング溶液にカルナバワックスエマルジョンも含有させた。使用したカルナバワックスエマルジョンは、オハイオ州シンシナティ市のMichelman社から市販されているMichem(登録商標)Lube 160であった。一連のコーティング溶液を下記の表7に記載される通り調製した。次いで、上記のその場で乾燥する方法を使用し、1平方フィート当たり175〜180ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり175〜180ミリグラム)のコーティング重量で、一連のHDGパネルおよび一連のUSSガルバリウム(登録商標)パネル上に各配合物をコーティングし、210°F(98℃)のPMTまで乾燥した。第1の腐食試験において、これらのパネルに対し、上記のNSS試験を行い、それぞれの時点の複数のパネルをパーセント腐食について評価した。NSS試験について、それぞれの時点の平均の結果を下記の表8に示す。配合物162Bについては、NSS用の実例を実施しなかった。追加のパネルを使用して、上記の通りそれぞれ行われたバトラー浸水試験、クリーブランド湿度試験、および、積み重ね試験を使用して、コーティングを評価した。これらの試験の結果を、それぞれ下記の表9、10および11に示す。
【0021】
【表7】

【0022】
【表8】

USSガルバリウム(登録商標)の結果は、本発明のコーティングは、全て、上記の表3で報告されている結果の中のG342コーティングよりも効果的であったことを示している。Carboset(登録商標)CR760のみを含むコーティングは、2016時間でも非常に効果的であった。配合物162Aと162Bを比較すると、この配合物にカルナバワックスを添加することで腐食保護コーティングとしてのコーティング効果が低下するようであることが示されている。また、Carboset(登録商標)CR760をPVDCと混ぜ合わせると、Carboset(登録商標)CR760の単独使用と比べて、コーティング溶液の効果が低下するが、ブレンドにカルナバワックスを添加すると、その効果が向上するようであることも結果は示している。HDG試料においては、いずれのコーティングも非常に効果的ではないようで、カルナバワックスまたはPVDCが存在しても、Carboset(登録商標)CR760の単独の性能に影響を及ぼさないようである。
【0023】
【表9】

USSガルバリウム(登録商標)パネルの結果は、Carboset(登録商標)CR760およびPVDCのブレンドを除いて、全てのコーティングが表6のG342よりも良好に機能したことを示している。BWI試験において、Carboset(登録商標)CR760単独の性能に悪影響はなかった。NSS試験とは対照的に、BWI試験においては、Carboset(登録商標)CR760をPVDCおよびカルナバワックスと組み合わせたものが最良に機能した。また、NSS試験結果において見られるように、Carboset(登録商標)CR760とPVDCを混ぜ合わせる場合、カルナバワックスを含むことに利益がある。また、HDGパネルの結果も、本発明に従って調製されたコーティングの全てが表6のG342よりも良好に機能したことを示している。カルナバワックス、PVDC、または、カルナバワックスおよびPVDCの添加と比べて、Carboset(登録商標)CR760単独で著しく良好な性能が得られた。
【0024】
【表10】

USSガルバリウム(登録商標)およびHDGの両方の結果は、クリーブランド湿度試験において、本発明のコーティングの全てが、基体に関係なく、等しく良好に機能したこと、および、全てが、表5の対照G342で見られる結果よりも良好に機能したことを示している。
【0025】
【表11】

USSガルバリウム(登録商標)の結果は、積み重ね試験において、本発明のコーティングの全てが等しく良好に機能したこと、および、それらは表4の対照G342よりも良好に機能したことを示している。HDGの結果は異なり、Carboset(登録商標)CR760単独が最も良好に機能し、他のコーティングの性能はそれより悪いようであった。表4のG342よりも非常に良好に機能するようなコーティングはなかった。
【0026】
別の一連の試験において、コーティング中の炭酸ジルコニルアンモニウムの量を変化させて、コーティング溶液中のZrOの量を変化させ、腐食保護に対する効果を決定した。コーティング配合物は下記の表12に記載されている。加えて、上記の通り、G342で対照パネルをコーティングした。上記の通り、1平方フィート当たり、ほぼ200ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり200ミリグラム)のコーティング重量で、コーティングをUSSガルバリウム(登録商標)パネルに塗工し、その場で210°F(98℃)のPMTまで乾燥した。次いで、NSS、バトラー浸水試験、および、積み重ね試験において、パネルを試験し、結果を、それぞれ下記の表13、14および15に示す。
【0027】
【表12】

【0028】
【表13】

結果は、本発明のコーティングの全てが少なくともG342と同程度効果的であり、多くが非常により効果的であったことを示している。また、結果は、ZrOのレベルを1.20%から3.2%に増加すると、本発明に従って調製されたコーティングの効果が劇的に増加したことも示している。
【0029】
【表14】

結果は、これも、本発明のコーティングの全てがG342よりも非常に良好に機能することを示している。加えて、NSS試験ほど劇的ではないが、ZrOの量を増加すると、腐食保護に対するコーティングの効果が増加することを結果は示している。
【0030】
【表15】

この結果も、本発明のコーティングが対照G342よりも良好に機能することを示しているが、他の試験で見られたように、ZrOの増加に伴って効果が増加することはなかった。
【0031】
次の一連の実験において、2種類の追加の樹脂3272−096および3272−103を下記の通り調製し、次いで、これらの樹脂を使用して、下記の表16に示す通りの本発明のコーティングを作製した。
【0032】
<樹脂3272−096>
樹脂3272−096は、モノマーとして、アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)、n−ブチルメタクリレート、スチレン、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、および、ADD APT PolySurf HP(これは、メタクリレート化されたモノおよびジ−リン酸エステルの混合物である。)を含むものであった。樹脂における全モノマーの分布は以下の通りであった:20.00% AAEM、12.50% n−ブチルメタクリレート、15.00% スチレン、27.50% メチルメタクリレート、20.00% 2−エチルヘキシルアクリレート、および、5.00% ADD APT PolySurf HP。80℃の設定温度で加熱し、撹拌しながらN下において樹脂重合反応を行った。反応容器への最初の充填物は、241.10グラムのDI水、2.62グラムのラウリル硫酸アンモニウム(Rhodapon L−22 EP)、および、2.39グラムの硫酸第一鉄 0.5%FeSO・7HO(3ppm)であった。この最初の充填物を時間ゼロの時点で反応容器に入れ、設定温度への加熱を開始した。30分後、5.73グラムのDI水、0.90グラムのノニオン性界面活性剤(Tergitol 15−S−20)、0.13グラムのラウリル硫酸アンモニウム(Rhodapon L−22 EP)、2.15グラムのn−ブチルメタクリレート、2.57グラムのスチレン、4.74グラムのメチルメタクリレート、3.48グラムの2−エチルヘキシルアクリレート、3.41グラムのアセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)、および0.85グラムのADD APT PolySurf HPの組合せを含む反応体種を反応容器に加え、設定温度への加熱を更に15分続けた。次いで、0.32グラムのHOCHSONa、4.68グラムのDI水、0.45グラムのtert−ブチルヒドロペルオキシド、および、追加の4.54グラムのDI水を含む最初の開始剤充填物を容器に加え、更に30分、温度を設定温度で維持した。次いで、温度を設定温度で維持しながら3時間にわたって、モノマーおよび開始剤の共供給物を容器に加えた。モノマー共供給物は、106.92グラムのDI水、17.10グラムのTergitol 15−S−20、2.49グラムのRhodapon L−22 EP、40.89グラムのn−ブチルメタクリレート、48.83グラムのスチレン、89.97グラムのメチルメタクリレート、66.10グラムの2−エチルヘキシルアクリレート、64.77グラムのAAEM、および、16.19グラムのADD APT PolySurf HPであった。開始剤共供給物は、0.97グラムのHOCHSONa、14.03グラムのDI水、1.39グラムのtert−ブチルヒドロペルオキシド、および、追加の13.61グラムのDI水であった。3時間後、追加充填物を30分間にわたって容器に加えた。追加充填物は、0.32グラムのHOCHSONa、4.88グラムのDI水、0.46グラムのtert−ブチルヒドロペルオキシド、および、追加の4.54グラムのDI水であった。次いで、1時間30分、設定温度で容器を保持した。次いで、設定温度からの冷却を開始し、温度が38℃となるまで2時間、継続した。次いで、バッファー共供給物を容器に加えた。バッファー共供給物は、5.19グラムの水酸化アンモニウム(28%)および18.48グラムのDI水であった。この樹脂配合物、および後述する3272−103のための樹脂配合物において、ADD APT PolySurf HPの代わりに使用することのできる、別の可能性のあるリン酸エステル含有モノマーは、Radcure社製のEbecryl 168である。Tergitol 15−S−20(これは、2級アルコールエトキシレートである。)の代わりに使用することのできる追加のノニオン性界面活性剤安定剤は、15〜18の親水性親油性バランスを有する他のノニオン性安定剤である。これらの安定剤の例としては、Tergitol 15−S−15などの他の2級アルコールエトキシレート;Abex 2515などのエトキシレートの配合物;Emulsogen LCN 118または258などのアルキルポリグリコールエーテル;Genapol T 200およびT 250などの獣脂脂肪族アルコールエトキシレート;Genapol X 158およびX 250などのイソトリデシルアルコールエトキシレート;Rhodasurf BC−840などのトリデシルアルコールエトキシレート;およびRhoadsurf ON−877などのオレイルアルコールエトキシレートが挙げられる。
【0033】
<樹脂3272−103>
有機コーティング樹脂3272−103を下記の通り調製した。樹脂は、モノマーとして、アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)、n−ブチルメタクリレート、スチレン、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、および、ADD APT PolySurf HP(これは、メタクリレート化されたモノおよびジ−リン酸エステルの混合物である。)を含む。樹脂における全モノマーの分布は以下の通りであった:20.00% AAEM、12.50% n−ブチルメタクリレート、15.00% スチレン、27.50% メチルメタクリレート、20.00% 2−エチルヘキシルアクリレート、および、5.00% ADD APT PolySurf HP。80℃の設定温度で加熱し、撹拌しながらN下において樹脂重合反応を行った。反応容器への最初の充填物は、286.10グラムのDI水、2.47グラムのRhodapon L−22 EPであった。この最初の充填物を時間ゼロの時点で反応容器に入れ、設定温度への加熱を開始した。30分後、5.44グラムのDI水、0.85グラムのTergitol 15−S−20、0.12グラムのRhodapon L−22 EP、2.04グラムのn−ブチルメタクリレート、2.44グラムのスチレン、4.49グラムのメチルメタクリレート、3.30グラムの2−エチルヘキシルアクリレート、3.24グラムのアセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)、および0.81グラムのADD APT PolySurf HPの組合せを含む反応体種を反応容器に加え、設定温度への加熱を更に15分続けた。次いで、4.79グラムのDI水および0.21グラムの(NHを含む最初の開始剤充填物を容器に加え、更に30分、温度を80℃で維持した。次いで、温度を設定温度で維持しながら3時間にわたって、モノマーおよび開始剤の共供給物を容器に加えた。モノマー共供給物は、103.36グラムのDI水、16.15グラムのTergitol 15−S−20、2.35グラムのRhodapon L−22 EP、38.81グラムのn−ブチルメタクリレート、46.34グラムのスチレン、85.38グラムのメチルメタクリレート、62.73グラムの2−エチルヘキシルアクリレート、61.47グラムのAAEM、および、15.37グラムのADD APT PolySurf HPであった。開始剤共供給物は、14.36グラムのDI水および0.64グラムの(NHであった。3時間後、追加充填物を30分間にわたって容器に加えた。追加充填物は、0.35グラムのアスコルビン酸、4.65グラムのDI水、0.44グラムのtert−ブチルヒドロペルオキシド、追加の4.56グラムのDI水、および、2.39グラムの硫酸第一鉄 0.5%FeSO・7HO(3ppm)であった。次いで、1時間30分、設定温度で容器を保持した。次いで、冷却を開始し、温度が38℃となるまで2時間、継続した。次いで、バッファー共供給物を容器に加えた。バッファー共供給物は、5.88グラムの水酸化アンモニウム(28%)および18.48グラムのDI水であった。
【0034】
上記の樹脂を使用して一連のコーティングを作製し、コーティングにおけるアルカリ処理の影響と、コーティングにおいてVに加え還元剤であるシステインを含むことの利益とを検討した。V+5のための他の還元剤としては、Sn+2、アスコルビン酸、またはチオコハク酸を挙げることができ、または、硫酸バナジル、またはアセチルアセトン酸バナジルからのV+4で開始することができる。次いで、それぞれのパネルに、1平方フィート当たり略200ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり200ミリグラム)のコーティング重量で、表16のコーティングをHDGパネルに塗工し、次いで、200°Fまたは300°F(93℃または149℃)のいずれかのPMTまで乾燥し、NSS試験に直接入れるか、または、最初にアルカリ性洗浄剤PCl 338で洗浄し、次いでNSS試験に入れるかのいずれかとした。PCl 338での事前処理後に腐食保護が低下することは、コーティングがアルカリ耐性でなかったことを示す。NSS試験の結果を下記の表17に示す。
【0035】
【表16】

【0036】
【表17】

どちらの樹脂にとっても、Vおよびシステインの存在は腐食保護能力に非常に有益であったことを結果は示している。本発明に従って調製されるコーティングは、ホスフェート、または洗浄以外の他の事前処理を一切必要とせず、露出した金属基体に直接塗工するように設計されている。状況に応じて要求される任意の所望のコーティング重量でコーティングを塗工することができ、好ましくは、1平方フィート当たり150〜400ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり150〜400ミリグラム)、より好ましくは、1平方フィート当たり175〜300ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり175〜300ミリグラム)、最も好ましくは、1平方フィート当たり175〜250ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり175〜250ミリグラム)のコーティング重量でコーティングを塗工する。当該技術分野において知られているように、本発明のコーティングは、その場で乾燥する化成コーティングであり、好ましくは、110〜350°F(43〜177℃)のピーク金属温度、より好ましくは、180〜350°F(82〜177℃)、最も好ましくは、200〜325°F(93〜163℃)のPMTまで乾燥される。
【0037】
別の一連のコーティング溶液を調製し、IVB族およびVB族の両方の元素の必要性を明らかにした。最初に、下記の表18の成分を使用し、樹脂3340−082を作製した。
【0038】
【表18】

撹拌機、凝縮器、熱電対および窒素注入口を備える四口の3リットルのフラスコに、構成要素Aを加えた。窒素雰囲気下において内容物を加熱し、80℃に保った。構成要素B1およびB2を別途に混合し、均一で透明な溶液を形成した。B1およびB2を混合し、プレ−エマルジョンBを形成した。5%の量のプレ−エマルジョンBおよび25%の量の構成要素Cをフラスコに入れ、80℃に保った。40分後、残りのプレ−エマルジョンBおよび構成要素Cを3時間にわたってフラスコに一定速度で加えた後に、構成要素Hを使用してプレ−エマルジョン追加ポンプを洗い流し、フラスコ内に加えた。フラスコの内容物を70℃まで冷却し、その時点で構成要素Fをフラスコに加えた。30分間にわたって構成要素DおよびEをフラスコに加えた後、1時間の間、70℃で混合物を保った。次いで、混合物を40℃まで冷却し、その時点で構成要素Gを加えた。得られたラテックスは、37.2%の固形分、6.9のpH、および、123nmの粒径を有していた。次いで、300重量部の樹脂3340−082を0.79重量部のプロピオンアルデヒドと混ぜ合わせることにより、ジヒドロピリジン官能基を樹脂に加えて、樹脂3340−83を形成した。混合物を容器内に密封し、24時間の間、40℃のオーブン中に置き、それにより樹脂3340−083を形成した。一連のコーティング溶液を下記の表19に記載される通り調製した。コーティング溶液164Qは、唯一、IVB族およびVB族の元素を含み、本発明に従って調製されたものである。コーティング溶液164Rおよび164Sは、それぞれ、IVB族およびVB族元素を含まない。次いで、HDGまたはガルバリウム(Gal)パネルのいずれかに、1平方フィート当たり略200ミリグラム(929.03平方センチメートル当たり200ミリグラム)のコーティング密度で、それぞれのコーティング溶液を塗工し、93℃のピーク金属温度まで乾燥した。次いで、上記のNSS試験で、それぞれの条件の複数のパネルを試験し、それぞれの時点および条件における複数についての平均結果を下記の表20に示す。
【0039】
【表19】

【0040】
【表20】

表20に示される結果は、IVB族およびVB族元素の両方を組み合わせることの利益を明瞭に示している。一方のみの元素では、コーティング溶液は極めて低い腐食保護を示す。
【0041】
上記の発明は関連する法的基準に従って記載されており、よって、記載は、本質的に制限するのではなく例示である。開示される実施形態に対する変更および修正は当業者には明らかであり、本発明の範囲内である。従って、本発明に対して与えられる法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基体用の腐食保護コーティング組成物であって、
該コーティング組成物の総重量に対して1〜7重量%の周期表IVB族の元素の少なくとも1種類と、該コーティング組成物の総重量に対して0.2〜2.0重量%の周期表VB族の元素の少なくとも1種類とを含む水性化成コーティング組成物を含み、
前記化成コーティング組成物は約6〜11のpHを有する腐食保護コーティング組成物。
【請求項2】
前記IVB族元素は、チタン、ジルコニウム、または、それらの混合物を含む請求項1に記載の化成コーティング組成物。
【請求項3】
前記IVB元素は、IVB元素の水性アルカリ性組成物を含む請求項1に記載の化成コーティング組成物。
【請求項4】
前記VB族元素は、バナジウムを含む請求項1に記載の化成コーティング組成物。
【請求項5】
更に、バナジウムを還元するための還元剤を含む請求項4に記載の化成コーティング組成物。
【請求項6】
前記還元剤は、システイン、アスコルビン酸、Sn2+、チオコハク酸、または、それらの混合物を含む請求項5に記載の化成コーティング組成物。
【請求項7】
更に、前記コーティング組成物に溶解または分散でき、アルカリ性のpHにおいて安定である樹脂を含み、
前記樹脂は、エポキシ樹脂、ポリ二塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、メタクリレート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、および、それらの混合物から成る群より選択される請求項1に記載の化成コーティング組成物。
【請求項8】
前記樹脂はポリ二塩化ビニル樹脂を含み、前記IVB族元素はジルコニウムを含み、前記VB族元素はバナジウムを含む請求項7に記載の化成コーティング組成物。
【請求項9】
前記樹脂はスチレン系樹脂およびアクリル系樹脂の混合物を含み、前記IVB族元素はジルコニウムを含み、前記VB族元素はバナジウムを含む請求項7に記載の化成コーティング組成物。
【請求項10】
前記樹脂は、更に、ポリ二塩化ビニル樹脂を含む請求項9に記載の化成コーティング組成物。
【請求項11】
前記樹脂は、メタクリレート系樹脂、スチレン系樹脂、および、アクリレート系樹脂の混合物を含み、前記IVB族元素はジルコニウムを含み、前記VB族元素はバナジウムを含む請求項7に記載の化成コーティング組成物。
【請求項12】
更に、バナジウムを還元するための還元剤を含む請求項11に記載の化成コーティング組成物。
【請求項13】
前記コーティング組成物はアルカリ性pHを有する請求項1に記載の化成コーティング組成物。
【請求項14】
金属基体に腐食保護コーティングを施す方法であって、
a)金属基体を準備する工程と、
b)コーティング組成物の総重量に対して1〜7重量%の周期表IVB族の元素の少なくとも1種類と、コーティング組成物の総重量に対して0.2〜2.0重量%の周期表VB族の元素の少なくとも1種類とを含み、約6〜11のpHを有する水性化成コーティング組成物を準備する工程と、
c)前記化成コーティング組成物を前記金属基体に塗工し、その場で該コーティング組成物を乾燥し、それにより、該金属基体に腐食保護コーティングを施す工程と
を含む方法。
【請求項15】
コーティング組成物の総重量に対して1〜7重量%の周期表IVB族の元素の少なくとも1種類と、コーティング組成物の総重量に対して0.2〜2.0重量%の周期表VB族の元素の少なくとも1種類とを含む水性化成コーティング組成物を含み、前記化成コーティング組成物が約6〜11のpHを有するコーティング組成物でコーティングされた金属基体。

【公表番号】特表2011−521109(P2011−521109A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510644(P2011−510644)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/044504
【国際公開番号】WO2009/143144
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】