金属基材を表面処理するための化成処理剤及びそれを用いた金属基材の表面処理方法

【課題】十分に高度な水準の塗膜密着性を付与することが可能な金属基材を表面処理するための化成処理剤および金属基材の表面処理方法を提供すること。
【解決手段】金属基材を表面処理するための化成処理剤であって、ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素と、フッ素元素と、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物とを含有し、前記シランカップリング剤(A)がトリ又はジアルコキシシラン基とアミノ基とを有するシランカップリング剤であり、前記シランカップリング剤(B)が特定構造を有するものであることを特徴とする化成処理剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属基材を表面処理するための化成処理剤及びそれを用いた金属基材の表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属基材等の被処理物に塗装を施す際に、金属基材の表面に化成皮膜を形成して塗膜の密着性や耐食性を確保するために、金属基材の表面に様々な化成処理剤を用いて化成処理が施されてきた。このような化成処理の一例としては、クロムを含む化成処理剤(クロム酸塩等)によるクロメート化成処理が知られてきた。しかしながら、クロメート化成処理は、クロムによる有害性が指摘されている。また、このような化成処理の他の例としては、いわゆるリン酸亜鉛を含む化成処理剤を用いた化成処理が知られている。しかしながら、このようなリン酸亜鉛を含む化成処理剤を用いた化成処理においては、リン酸亜鉛を含む化成処理剤が一般的に金属イオン及び酸濃度が高く非常に反応性の高い処理剤であることから、排水処理が必要となるという問題があった。また、このようなリン酸亜鉛を含む化成処理剤を用いた化成処理においては、水に不溶な塩類が生成されてスラッジと呼ばれる沈殿物が発生し、スラッジの除去、廃棄が必要となるという問題もあった。このように、リン酸亜鉛を含む化成処理剤を用いた化成処理においては経済性や作業性の点で問題があった。そのため、近年では、クロムを含む化成処理剤やリン酸亜鉛を含む化成処理剤以外の他の化成処理剤を用いる化成処理の検討が進められている。
【0003】
例えば、特開2007−262577号公報(特許文献1)においては、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物と、オルガノシロキサンとを含有する化成処理剤が開示されている。また、このような特許文献1においては、前記オルガノシロキサンとして、3−アミノプロピルトリエトキシシランと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共縮合物(特許文献1の実施例6に記載)や、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共縮合物(特許文献1の実施例17に記載)が例示されている。しかしながら、特許文献1に記載のような従来の化成処理剤は、塗膜密着性の点で必ずしも十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−262577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に高度な水準の塗膜密着性を付与することが可能な金属基材を表面処理するための化成処理剤及びそれを用いた金属基材の表面処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素と、フッ素元素と、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物とを含有し、前記シランカップリング剤(A)がトリ又はジアルコキシシラン基とアミノ基とを有するシランカップリング剤であり、且つ、前記シランカップリング剤(B)が下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤である金属基材表面の化成処理剤により、十分に高度な水準の塗膜密着性を付与することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の化成処理剤は、金属基材を表面処理するための化成処理剤であって、ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素と、フッ素元素と、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物とを含有し、
前記シランカップリング剤(A)がトリ又はジアルコキシシラン基とアミノ基とを有するシランカップリング剤であり、
前記シランカップリング剤(B)が下記一般式(1):
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、Rは、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数1〜5のアルキレンオキシ基及び酸素原子からなる群より選択される1種を示し、
Zは、エポキシ基及び/又はアミノ基を置換基として有していてもよいシクロヘキシル基、並びに、ビニル基、エポキシ基及びアミノ基のうちの少なくとも1種を置換基として有していてもよい芳香環基からなる群より選択される1種を示し、
a、b、cは、それぞれ0〜3のうちのいずれかの整数であって、aとbとcとの和が3であり且つaとbの和は2〜3であるという条件を満たす整数を示し、
xは1〜3の整数を示す。]
で表されるシランカップリング剤であること、
を特徴とするものである。
【0010】
上記本発明の化成処理剤においては、前記シランカップリング剤(A)が3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0011】
また、上記本発明の化成処理剤においては、前記一般式(1)中のZが、3,4−エポキシシクロヘキシル基、フェニル基、シクロヘキシル基及びスチリル基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0012】
また、上記本発明の化成処理剤においては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、インジウム、スズ、銅及び銀からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有することが好ましい。
【0013】
さらに、上記本発明の化成処理剤においては、前記シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物が、質量比((A):(B))が1:9〜18:1の範囲にあるシランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との混合物を重合して得られたものであることが好ましい。
【0014】
また、上記本発明の化成処理剤においては、前記金属元素の含有量(総量)が元素換算で50〜1000ppmであることが好ましい。
【0015】
また、上記本発明の化成処理剤においては、前記シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)(前記共縮合物を含む)の合計の含有量は、固形分濃度で200ppm以上であることが好ましい。
【0016】
さらに、上記本発明の化成処理剤においては、前記フッ素元素の一部が前記化成処理剤中において遊離したフッ素イオンとして存在し且つ前記化成処理剤中の前記遊離したフッ素イオンの含有量が0.01〜100ppmであることが好ましい。
【0017】
また、本発明の金属基材の表面処理方法は、上記本発明の化成処理剤を金属基材の表面に接触せしめ、該金属基材の表面に化成皮膜を形成することを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、十分に高度な水準の塗膜密着性を付与することが可能な金属基材を表面処理するための化成処理剤及びそれを用いた金属基材の表面処理方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0020】
先ず、本発明の化成処理剤について説明する。すなわち、本発明の化成処理剤は、金属基材を表面処理するための化成処理剤であって、
ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素と、フッ素元素と、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物とを含有し、
前記シランカップリング剤(A)がトリ又はジアルコキシシラン基とアミノ基とを有するシランカップリング剤であり、
前記シランカップリング剤(B)が下記一般式(1):
【0021】
【化2】

【0022】
[式中、Rは、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数1〜5のアルキレンオキシ基及び酸素原子からなる群より選択される1種を示し、
Zは、エポキシ基及び/又はアミノ基を置換基として有していてもよいシクロヘキシル基、並びに、ビニル基、エポキシ基及びアミノ基のうちの少なくとも1種を置換基として有していてもよい芳香環基からなる群より選択される1種を示し、
a、b、cは、それぞれ0〜3のうちのいずれかの整数であって、aとbとcとの和が3であり且つaとbの和は2〜3であるという条件を満たす整数を示し、
xは1〜3の整数を示す。]
で表されるシランカップリング剤であること、
を特徴とするものである。
【0023】
このような化成処理剤は、ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素(以下、場合により「金属元素(A)」という。)を含有する。このようなジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素(A)は、化成処理後に化成皮膜を形成させるために用いられる成分のうちの一つである。前記化成処理剤を用いて前記金属元素(A)を含む化成皮膜を形成させることにより、金属基材の耐食性や耐磨耗性を向上させることが可能となる。また、このような金属元素(A)としては、化成皮膜形成能の観点から、ジルコニウム、チタンがより好ましく、ジルコニウムが更に好ましい。
【0024】
このようなジルコニウム元素は、化成処理剤中にジルコニウム化合物として含有させることが好ましい。このようなジルコニウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、KZrF等のアルカリ金属フルオロジルコネート、(NHZrF等のフルオロジルコネート、HZrF等の可溶性フルオロジルコネート、フッ化ジルコニウム(ジルコンフッ化水素酸)、酸化ジルコニウム、硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニウム等が挙げられる。また、このようなジルコニウム化合物としては、入手の容易性や化成皮膜形成能がより高いものとなるという観点から、フッ化ジルコニウム(ジルコンフッ化水素酸)を用いることがより好ましい。
【0025】
また、前記チタン元素は、化成処理剤中にチタン化合物として含有させることが好ましい。このようなチタン化合物としては特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属フルオロチタネート、(NHTiF等のフルオロチタネート、HTiF等のフルオロチタネート酸等の可溶性フルオロチタネート等、フッ化チタン、酸化チタン等が挙げられる。このようなチタン化合物としては、入手の容易性や化成皮膜形成能がより高いという観点から、フッ化チタン(特に好ましくはチタンフッ化水素酸)を用いることがより好ましい。
【0026】
また、前記ハフニウム元素は、化成処理剤中にハフニウム化合物として含有させることが好ましい。このようなハフニウム化合物としては、HHfF等のフルオロハフネート酸、フッ化ハフニウム等が挙げられる。このようなハフニウム化合物としては、入手の容易性や化成皮膜形成能がより高いという観点から、フッ化ハフニウムを用いることがより好ましい。
【0027】
このようなジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素(A)の含有量としては、元素換算で50〜1000ppmであることが好ましい。このような金属元素(A)の含有量が前記下限未満であると、金属基材上に十分な皮膜量の化成皮膜を形成することができずに塗膜の密着性を十分に向上させることが困難となる場合があり、他方、前記上限を超えると、皮膜量の増加傾向が見られにくくなる傾向がある。上記理由により、当該金属元素(A)の含有量の合計量は、より好ましくは50〜800ppmであり、更に好ましくは100〜500ppmである。なお、本発明の化成処理剤は溶媒として水を用い、濃度の単位「ppm」は化成処理剤1Lあたりの濃度(mg/L)を示す。
【0028】
また、本発明の化成処理剤は、フッ素元素を含有する。本発明においてフッ素元素は、金属基材の表面のエッチング剤や前記金属元素(A)の錯化剤として利用され得る成分である。フッ素元素は、前述のジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物及び/又はハフニウム化合物(前記金属元素(A)の化合物:前記金属元素(A)の供給源)としてフッ化物(例えばフッ化ジルコニウム)を用いることにより、化成処理剤中に含有させてもよく、前記金属元素(A)の化合物以外の化合物(他のフッ素化合物)によって化成処理剤中に供給してもよい。このような他のフッ素化合物としては、例えば、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化ホウ素酸、フッ化水素アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素ナトリウム等が挙げられる。また、このような他のフッ素化合物としては、例えば、ヘキサフルオロケイ酸塩、具体的には、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸亜鉛、ケイフッ化水素酸マンガン、ケイフッ化水素酸マグネシウム、ケイフッ化水素酸ニッケル、ケイフッ化水素酸鉄、ケイフッ化水素酸カルシウム等の錯フッ化物を利用してもよい。
【0029】
また、本発明の化成処理剤においては、前記金属元素(A)に対するフッ素元素の元素数比率([フッ素元素]/[前記金属元素(A)])が5以上であることが好ましい。当該元素数比率が5未満では、沈殿が生じて貯蔵安定性が低下したり、金属基材表面に対するエッチング力が低下して十分に化成皮膜を形成することができなくなる傾向がある。前記金属元素に対するフッ素元素の元素数比率は、5〜6であることがより好ましい。当該フッ素元素の含有量が6を超えると、化成処理時に金属基材表面へのエッチングが必要以上に進み過ぎて、前記金属元素を含む化成皮膜の形成が十分に行われなくなる傾向にある。
【0030】
本発明の化成処理剤においては、前記フッ素元素の一部が前記化成処理剤中に遊離したフッ素イオンとして存在することが好ましく、その遊離したフッ素イオンの含有量が、元素換算で0.01〜100ppmであることが好ましい。ここで、「遊離したフッ素イオンの含有量」とは、化成処理剤中で遊離した状態にあるフッ素イオンの濃度を意味し、フッ素イオン電極を有するメーター(例えば東亜ディーディーケー社製の商品名「ION METER IM−55G」)を利用して測定される値を採用する。このような化成処理剤中の遊離したフッ素イオンの含有量が前記下限未満では、沈殿が生じて貯蔵安定性が低下したり、金属基材表面に対するエッチング力が低下して十分に化成皮膜を形成することができなくなる場合が生じ得る。他方、前記遊離したフッ素イオンの含有量が前記上限を超えると、化成処理時に金属基材表面へのエッチングが必要以上に進み、前記金属元素を含む化成皮膜の形成が十分に行われなくなる傾向にある。また、このような化成処理剤中における遊離したフッ素イオンの含有量が前記範囲内にある場合には、防錆性及び塗膜の密着性がより向上する傾向にある。また、同様の観点から、当該遊離したフッ素イオンの含有量は、より好ましくは1〜50ppm、更に好ましくは5〜30ppmである。
【0031】
また、本発明の化成処理剤は、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物を含有する。このようなシランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物は、これを化成処理剤中に含有させることで、当該共縮合物は化成皮膜に取り込まれ、シランカップリング剤(A)由来の官能基により金属基材との密着性を向上させることができ、かつ、シランカップリング剤(B)由来の官能基により化成処理時に形成される化成皮膜の疎水性を向上させることができるため、十分に高度な水準の塗膜密着性を化成皮膜に付与することが可能となる。
【0032】
このようなシランカップリング剤(A)は、トリ又はジアルコキシシラン基とアミノ基とを有するシランカップリング剤である。このようなシランカップリング剤(A)としては、トリ又はジアルコキシシラン基とアミノ基とを有するものであればよく、特に制限されず、例えば、下記一般式(2):
(RO)3−mSi−R−NH (2)
[式中、mは0又は1であり、Rは、ヒドロキシ基(−OH)及び炭素数1〜6のアルキル基のうちのいずれか1種の基を示し、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜5(より好ましくは1〜3)のアルキル基を示し、Rは、炭素数1〜6(より好ましくは2〜4)のアルキレン基、式:−CNHC−NHC−で表される基のうちのいずれか1種の基を示す。]
で表されるシランカップリング剤を適宜利用することができる。
【0033】
このようなシランカップリング剤(A)としては、特に限定されず、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジエトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランがより好ましい。なお、このようなシランカップリング剤(A)は、1種を単独で用いてもよく、或いは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このようなシランカップリング剤(A)は、市販のもの(例えば信越化学工業社製の商品名「KBM603」や「KBM903」等)を用いてもよい。
【0034】
また、前記シランカップリング剤(B)は、下記一般式(1):
【0035】
【化3】

【0036】
で表されるシランカップリング剤である。
【0037】
このような一般式(1)中のRは、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数1〜5のアルキレンオキシ基及び酸素原子からなる群より選択される1種の基又は原子である。このようなアルキレン基及び前記アルキレンオキシ基の炭素数が前記上限を超えると溶解性が低下し、反応性が低下する。また、このようなRとして選択され得るアルキレン基、アルキレンオキシ基としては、それぞれ炭素数が1〜3であることが好ましい。また、一般式(1)中のRとしては、炭素数1〜3のアルキレン基又は酸素原子であることがより好ましい。
【0038】
上記一般式(1)中のZは、エポキシ基及び/又はアミノ基を置換基として有していてもよいシクロヘキシル基、並びに、ビニル基、エポキシ基及びアミノ基のうちの少なくとも1種を置換基として有していてもよい芳香環基からなる群より選択される1種である。上記一般式(1)中のZが、エポキシ基及び/又はアミノ基を置換基として有していてもよいシクロヘキシル基、並びに、ビニル基、エポキシ基及びアミノ基のうちの少なくとも1種を置換基として有していてもよい芳香環基からなる群より選択される1種であることにより、得られる共縮合物の疎水性が高くなり、本発明の化成処理剤により形成される化成皮膜中に前記共縮合物が取り込まれた際に、化成皮膜の表面の疎水性を向上させることが可能となり、塗料の焼付け後の塗膜と化成皮膜との密着性が十分に向上する。
【0039】
また、このようなZとしては、3,4−エポキシシクロヘキシル基、フェニル基、シクロヘキシル基、スチリル基がより好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシル基、フェニル基が特に好ましい。
【0040】
また、上記一般式(1)中のa、b、cは、それぞれ0〜3のうちのいずれかの整数であり、aとbとcとの和が3であり且つaとbの和は2〜3であるという条件を満たす整数である。このようなaとbの和が1となる場合、すなわちcが2となる場合にはシランカップリング剤(B)の反応性が低くなってしまい、前記シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を得ることが困難となる。そのため、cは0及び1のうちのいずれかの整数であり、反応性の観点からはcが0であることがより好ましい。また、前記aとbの和は、シランカップリング剤(B)の反応性の観点からは、3であることが好ましい。また、調製の容易性等の観点からは、a及びbのうちのどちらか一方が3(特に好ましくはaが3)であるか、あるいは、a及びbのうちのどちらか一方が2(特に好ましくはaが2)であることがより好ましい。
【0041】
また、上記一般式(1)中のxは1〜3の整数である。このようなxが前記上限を超えると溶解性が低下する傾向にある。また、このようなxの値としては、溶解性の観点から、1〜2であることが好ましい。
【0042】
また、このような一般式(1)で表されるシランカップリング剤(B)としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フェノキシトリメトキシシランが好ましく、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フェノキシトリメトキシシランが特に好ましい。なお、このようなシランカップリング剤(B)は1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このようなシランカップリング剤(B)としては、市販のもの(例えば信越化学工業社製の商品名「KBM303」や「KBM103」等)を用いてもよい。
【0043】
また、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物は、前記シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)を重合せしめて得られるものであればよく、特に制限されないが、質量比((A):(B))が1:9〜18:1(より好ましくは1:1〜18:1、更に好ましくは7:3〜9:1)の範囲にあるシランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との混合物を重合して得られたものであることがより好ましい。このような混合物中のシランカップリング剤(A)の質量比が前記下限未満では化成皮膜と基板との密着性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると疎水性が低下して化成皮膜により得られる効果が低下する傾向にある。
【0044】
また、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)を重合させる方法としては特に制限されず、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)を重合させることが可能な公知の方法を適宜利用することができ、例えば、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の混合物を、水系溶媒(好ましくは水)中に投入し、得られた反応液を必要に応じて加熱、撹拌して、加水分解縮合する方法を採用してもよい。
【0045】
また、このようなシランカップリング剤(A)及び(B)を加水分解縮合する方法を採用する場合においては、加水分解時の前記反応液のpHの値は13以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。このようなpHの値が前記上限を超えると化成処理剤の安定性が低下し、沈殿を生じる傾向にある。
【0046】
また、本発明の化成処理剤においては、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物とともに、未反応のシランカップリング剤(A)及び/又はシランカップリング剤(B)が存在していてもよい。すなわち、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)を混合してこれらを共縮合させた際の反応液には、共縮合物とともに、未反応物として残ったシランカップリング剤(A)及び/又はシランカップリング剤(B)が含有されるが、当該反応液等をそのまま利用することができる。なお、ここにいう未反応のシランカップリング剤とは、重合していないシランカップリング剤をいい、重合により一旦重合物となった後に加水分解されて生じたものも含むものである。
【0047】
シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の当該反応液におけるシランカップリング剤(A)及び/又はシランカップリング剤(B)の縮合率は、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。当該反応液における縮合率が低すぎると、化成処理剤に配合した後のシランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物の量が不十分となる場合がある。
【0048】
ここでいう縮合率とは、原料として用いるシランカップリング剤がR11−Si(OR12(R12は、アルキル基)である場合に、R11−Si(OR12(OH)3−n(n=0、1、2、又は3)をモノマー、それ以外を縮合物として、下記数式(1)により求められるものをいう。
下記数式(1):
[縮合率(%)]=[縮合物の総質量]×100/([縮合物の総質量]+[未反応のモノマーの総質量])・・・数式(1)
【0049】
また、本発明の化成処理剤においては、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)(前記共縮合物を含む)の合計の含有量は、固形分の質量を基準として(固形分濃度で)200ppm以上であることが好ましい。このような含有量が前記下限未満では塗膜の密着性を十分に高度なものとすることが困難となる傾向にあり、他方、1000ppmを超えても、それ以上に密着性は向上しないことから、上限は1000ppmとすることが適当である。また、同様の観点から、当該シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)(前記共縮合物を含む)の合計の含有量は、300ppm〜1000ppmであることがより好ましく、500〜1000ppmであることが更に好ましい。
【0050】
また、本発明の化成処理剤中に含有されているシランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)(前記共縮合物を含む)の合計の含有量(固形分量)と、化成処理剤中の前記金属元素(A)の総量の質量比([前記金属元素(A)の総量]/[シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)(前記共縮合物を含む)の合計の含有量])は、0.1〜10であることが好ましい。このような質量比が前記下限未満では、前記金属元素(A)の化成皮膜の形成が阻害されるとともに前記共縮合物による化成皮膜の形成も阻害されるため、塗膜の密着性及び耐食性を十分に向上させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記共縮合物が化成皮膜中に十分に取り込まれないため、密着性を十分に向上させることが困難となる傾向にある。また、同様の観点から、当該質量比は、より好ましくは1〜5である。
【0051】
さらに、本発明の化成処理剤においては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、インジウム、スズ、銅及び銀からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、場合により「金属元素(B)」という。)を更に含有することが好ましい。このような金属元素(B)を更に含有させることにより、化成処理後の塗膜密着性をより向上させることが可能となる傾向にある。また、このような金属元素(B)は、金属元素(B)の化合物(例えば、金属元素(B)の硫酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物(例えばフッ化物)、硝酸塩等)として含有させてもよい。また、このような金属元素(B)としては、より高度な密着性や耐食性を付与することが可能であることから、アルミニウムがより好ましい。なお、このような金属元素(B)は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
本発明の化成処理剤中に前記金属元素(B)を含有させる場合には、前記金属元素(B)の総量(含有量)が、前記化成処理剤中の全元素に対して、元素換算で10〜1000ppmであることが好ましい。このような総量が前記下限未満では化成処理後の塗膜密着性が得られ難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると化成処理後の塗膜密着性の効果が頭打ちとなる傾向にある。
【0053】
このような金属元素(B)として好適なアルミニウムを含有する場合には、前記フッ素元素とアルミニウムの質量比([Fの質量]/[Alの質量])が1.9以上であることが好ましい。前記質量比が前記下限未満では化成処理剤中でアルミニウムの供給源である金属元素(B)の化合物が不安定となる傾向にある。
【0054】
また、本発明の化成処理剤においては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤のうちの少なくとも1種の界面活性剤を更に含有させてもよい。このような界面活性剤としては、公知のものを適宜利用することが可能である。このようにして界面活性剤を含有させた場合は、金属基材の表面を予め脱脂処理しなくても、十分に効率よく化成皮膜を形成させることができる傾向にある。
【0055】
さらに、本発明の化成処理剤においては、化成処理時に化成皮膜の形成反応をより促進させるという観点から、酸化剤を更に含有させてもよい。このような酸化剤としては、例えば、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、カルボン酸基含有化合物、スルホン酸基含有化合物、塩酸、臭素酸、塩素酸、過酸化水素、HMnO、HVO、HWO、及び、HMoO、並びに、これらの酸素酸の塩類が挙げられる。
【0056】
また、本発明の化成処理剤のpH値は、1.5〜6.5であることが好ましく、2.0〜5.0であることがより好ましく、2.5〜4.5であることが特に好ましい。このようなpH値が前記下限未満であると、金属基材の表面が化成処理剤により過剰にエッチングされてしまい、十分に化成皮膜を形成させることが困難となるとともに形成される化成皮膜が不均一なものとなり、塗膜の外観に悪影響を与えてしまう傾向にある。他方、前記pH値が前記上限を超えると、金属基材の表面を化成処理剤により十分にエッチングすることができなくなり、化成皮膜を十分に形成させることが困難となる傾向にある。なお、このようなpHの値は、硝酸、硫酸等の酸性化合物、及び、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基性化合物をpH調整剤として使用して適宜調整することができる。
【0057】
また、本発明の化成処理剤を使用して化成処理を施す場合に、用いる金属基材の種類は特に制限されず、化成処理を施す必要のある金属基材であれば適宜利用できる。このような金属基材については、後述の本発明の金属基材の表面処理方法においてより詳細に説明する。なお、本発明の化成処理剤を用いて、金属基材の表面処理を行った場合には、以下のような反応が進行して金属基材の表面に化成皮膜が形成されるものと推察される。すなわち、本発明の化成処理剤を金属基材に接触せしめると、金属基材の溶解反応が起こって金属基材から溶出した金属イオンがジルコニウム等のフッ化物イオン(ZrF2−及び/又はTiF2−及び/又はHfF2−)のフッ素を引き抜くとともに、金属基材の表面のpHが上昇することから、金属基材の表面にジルコニウム等の水酸化物(Zr−OH)又は酸化物(Zr−O−)が析出する。そして、このような金属元素の水酸化物又は酸化物が金属基材の表面に析出することで、前記金属元素を含有する化成皮膜が金属基材の表面上に形成される。また、このようにして形成された化成皮膜には、その化成皮膜の形成時にシランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物が共沈されて取り込まれ、無機−有機ハイブリッド化成皮膜となる。
【0058】
このようにして形成される化成皮膜が塗膜の下地層として塗膜の密着性を向上させる理由としては、シラノール基が金属基材表面に対して水素結合的に吸着すること、及び、シランカップリング剤(A)又はシランカップリング剤(B)に由来するアミノ基が塗膜との密着性を高めることによるものと推察される。さらに、このようなシランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物は、シランカップリング剤(B)に由来する構成部分の疎水性が十分に高いため、その共縮合物が取り込まれた化成皮膜は、表面の疎水性が十分に高くなるので、化成処理後の金属基材上に塗料を塗布した場合においては、塗料の焼付け時の塗料のフロー性が向上することから、金属基材と化成皮膜の上層として形成される塗膜との密着性がより一層向上するものと推察される。
【0059】
このような本発明の化成処理剤を製造するための方法としては、特に制限されないが、例えば、水浴中に、前記シランカップリング剤(A)と前記シランカップリング剤(B)との混合物を添加して、これらの共縮合物を形成させて、前記共縮合物を含有する混合液を得た後、その混合液中に、前記金属元素の供給源としての前記金属元素を含有する化合物(例えばジルコニウムのフッ化物等)と、フッ素元素の供給源としてのフッ素を含有する化合物(例えばフッ化ナトリウム)とを含有せしめ、また、必要に応じて前述の金属元素(B)の供給源(金属元素(B)の化合物)、界面活性剤、pH調整剤等を含有せしめ、これらを混合することにより製造する方法を採用してもよい。なお、このような金属元素の供給源、フッ素元素の供給源、金属元素(B)の供給源、界面活性剤、pH調整剤を投入する順序は特に制限されず、化成処理剤の設計等に応じて適宜その順序を変更してもよく、同時に投入してもよい。また、このような金属元素の供給源、フッ素元素の供給源等と前記混合液とを混合する時の温度条件や雰囲気の条件も特に制限されず、例えば、大気圧下、常温の条件を採用してもよい。
【0060】
以上、本発明の化成処理剤について説明したが、次に、本発明の金属基材の表面処理方法について説明する。
【0061】
本発明の金属基材の表面処理方法は、上記本発明の化成処理剤を金属基材の表面に接触せしめ、該金属基材の表面に化成皮膜を形成することを特徴とする方法である。
【0062】
このような化成処理剤を金属基材の表面に接触させる方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができ、例えば、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、流しかけ処理法等を利用してもよい。また、本発明の金属基材の表面処理方法においては、化成処理剤を金属基材の表面に接触させる方法として、前記金属基材を陰極として電解処理する方法を採用してもよい。このように電解処理する方法を採用する場合、陰極である前記金属基材の界面で水素の還元反応が起こり、pHが上昇し、pHの上昇に伴って、その金属基材の表面にジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素の酸化物又は水を含む水酸化物が析出して、化成皮膜として析出する。
【0063】
また、前記化成処理剤を金属基材の表面に接触させる際の温度条件としては、特に制限されないが、20℃〜70℃であることが好ましく、30℃〜50℃であることがより好ましい。このような温度条件が前記下限未満では、十分な化成皮膜形成が行われなくなる傾向にあるばかりか、夏場等において周囲の雰囲気温度が前記下限以上の場合に温度調整が必要になり、作業性及び経済性が低下する傾向にある。また、前記温度条件が前記上限を超えると、それ以上の効果が特に得られないため、経済性が低下する傾向にある。
【0064】
また、前記化成処理剤を金属基材の表面に接触させる時間(表面処理における処理時間)は、2〜1100秒であることが好ましく、3〜120秒であることがより好ましい。このような時間が前記下限未満では、十分な皮膜量の化成皮膜が形成されなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、それ以上の効果が得られ難いため、経済性が低下する傾向にある。
【0065】
さらに、前記金属基材としては、特に制限されず、公知の金属基材を適宜用いることができ、例えば、鉄系基材(鉄系金属材料の基材)、アルミニウム系基材(アルミニウム系金属材料の基材)、亜鉛系基材(亜鉛系金属材料の基材)、及び、マグネシウム系基材(マグネシウム系金属材料の基材)等が挙げられる。ここで、鉄系基材とは鉄及び/又はその合金からなる金属基材を意味し、アルミニウム系基材とはアルミニウム及び/又はその合金からなる金属基材、亜鉛系基材とは亜鉛及び/又はその合金からなる金属基材を意味し、マグネシウム系基材とはマグネシウム及び/又はその合金からなる金属基材を意味する。
【0066】
また、このような金属基材は、鉄系、アルミニウム系、及び、亜鉛系等の複数の金属材料からなる金属基材であってもよい。特に、自動車車体や自動車用部品等は鉄、亜鉛、アルミニウム等の種々の金属材料により構成されているが、このような複数の金属材料からなる金属基材に対しても、本発明の金属基材の表面処理方法によれば、十分な素地隠蔽性及び密着性を有する化成皮膜を形成することができるとともに、十分に高度な耐食性も付与することが可能である。
【0067】
また、このような金属基材として用いられる鉄系基材としては、特に限定されず、例えば、冷延鋼板、熱延鋼板、高張力鋼板等が挙げられる。また、前記金属基材として用いられるアルミニウム系基材としては、特に限定されず、例えば、5000番系アルミニウム合金、6000番系アルミニウム合金、アルミニウム系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき等のアルミニウムめっき鋼板等が挙げられる。また、前記金属基材として用いられる亜鉛系基材としては、特に限定されず、例えば、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板等の亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき鋼板等の亜鉛又は亜鉛系合金めっき鋼板等が挙げられる。更に、前記高張力鋼板としては、強度や製法により多種多様なグレードが存在し、特に制限されないが、例えば、JSC440J、440P、440W、590R、590T、590Y、780T、780Y、980Y、1180Y等が挙げられる。
【0068】
さらに、本発明の金属基材の表面処理方法においては、前処理工程として、前記金属基材に対して予め脱脂処理を施す工程を含むことが好ましく、前記金属基材に対して予め脱脂処理を施した後に更に水洗処理を施す工程を含むことが好ましい。このような脱脂処理や水洗処理は、前記金属基材の表面に付着している油分や汚れを除去するために行われるものである。このような脱脂処理としては、公知の方法を適宜採用でき、例えば、無リン、30℃〜55℃程度の温度条件下において無窒素脱脂洗浄液等の脱脂剤に数分間程度浸漬処理する方法等を採用してもよい。また、所望により、脱脂処理工程の前に、更に、予備脱脂処理工程を行ってもよい。また、脱脂処理後の水洗処理は、脱脂剤を水洗するために行われるものである。そのため、前記水洗処理としては大量の水洗水によって少なくとも1回以上洗浄する方法を採用することが好ましく、水洗水の供給方法としてはスプレー処理により行う方法を採用してもよい。なお、上記本発明の化成処理剤が前述のような界面活性剤を含有する場合は、化成処理剤の接触時に界面活性剤による金属基材の脱脂処理が皮膜形成と同時に行われるため、金属基材を予め脱脂処理し、清浄化しなくても、十分に効率よく化成皮膜を形成させることができる傾向にある。
【0069】
また、このようにして金属基材の表面に形成される化成皮膜としては、前記金属基材が冷延鋼板、熱延鋼板、鋳鉄、焼結材等の鉄系金属材料の金属基材の場合、あるいは、前記金属基材が亜鉛又は亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板等の亜鉛系金属材料の金属基材の場合には、より十分に耐食性を高め、より均一な表面処理皮膜を形成し、良好な密着性を得るという観点から、ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を金属元素換算で10mg/m以上(より好ましくは20mg/m以上、更に好ましくは30mg/m以上)含有し且つケイ素元素を金属元素換算で0.5mg/m以上(より好ましくは1mg/m以上、更に好ましくは1.5mg/m以上)含有する化成皮膜であることが好ましい。また、前記金属基材がアルミニウム鋳物、アルミニウム合金板等のアルミニウム系金属材料の金属基材の場合、あるいは、前記金属基材がマグネシウム合金板、マグネシウム鋳物等のマグネシウム系金属材料の金属基材の場合には、同様の観点から、前記化成処理の化成皮膜としては、ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を金属元素換算で5mg/m以上(より好ましくは10mg/m以上)含有し且つケイ素元素を金属元素換算で0.5mg/m以上(より好ましくは1mg/m以上)含有する化成皮膜であることが好ましい。
【0070】
また、前記金属基材がいずれの金属材料の金属基材である場合においても、前記化成処理により形成される化成皮膜中の各元素の含有量(皮膜量)の上限は特に制限されないが、化成皮膜量が多すぎると、表面処理皮膜層にクラックが発生し易くなり、良好な化成皮膜を得ることが困難となる場合がある。このような観点から、前記化成皮膜中の、ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素の含有量は、金属元素換算で1g/m以下であることが好ましく、800mg/m以下であることがより好ましい。
【0071】
さらに、前記金属基材がいずれの金属材料の金属基材である場合においても、化成皮膜中のケイ素元素に対するジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素の元素換算による質量比([金属元素の質量]/[ケイ素の質量])は、0.5〜100であることが好ましい。このような質量比が0.5未満では、耐食性、密着性を得ることができない傾向にあり、他方、100を超えると、表面処理により形成された化成皮膜にクラックが発生し易くなる。なお、このような化成皮膜中のケイ素元素の質量比は、蛍光X線分析装置(例えば、島津製作所製の商品名「XRF1700」等)を用いて化成皮膜中の各元素の含有割合を測定することにより求めることができる。
【0072】
また、本発明においては、上記本発明の化成処理剤を金属基材の表面に接触せしめて、前記金属基材の表面に化成皮膜を形成せしめた後に、その化成皮膜を水洗する処理(以下、場合により「皮膜水洗処理」という。)を施すことが好ましい。このようにして、塗膜を形成させる前に、化成皮膜の水洗処理を行うことにより、前記化成皮膜の表面に残存した化成処理剤が除去され、塗装塗膜との密着性がより向上し、十分に高度な耐食性を付与できる傾向にある。また、このようにして金属基材の表面上に形成された化成皮膜には、前述のとおり、前記シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物が取り込まれており、かかる共縮合物と化成皮膜を形成する前記金属元素(A)の水酸化物又は酸化物とが強固に相互作用するため、塗膜形成前に皮膜水洗処理を行っても、当該化成皮膜は除去されず、塗膜密着性が損なわれることがない。そのため、本発明においては、塗膜の形成前に、金属基材の表面上に形成された化成皮膜を水洗する皮膜水洗処理を好適に採用できる。当該化成皮膜の水洗処理を行なうことで、当該化成皮膜に取り込まれずに化成皮膜の表面に付着している化成処理剤由来の成分を除去でき、次工程の塗装工程に当該成分の持ち込みを防止できる。このように化成反応によって金属基材表面に化成皮膜を形成できるため、金属基材が曲面や袋部を有する複雑形状物(例えば、自動車車体や部品)である場合にも、全体として膜厚や成分において均等な化成皮膜を金属基材の表面に形成することができ、全体として良好な塗膜密着性を得ることができる。
【0073】
このような皮膜水洗処理において、最終の水洗は純水で実施されることが好ましい。この化成皮膜の水洗処理の方法は、特に制限されず、スプレー水洗又は浸漬水洗のいずれであってもよく、これらの方法を組み合わせてもよい。また、このような化成皮膜の水洗処理を実施した後には、必要に応じて、公知の方法に従って乾燥処理を施してもよい。
【0074】
また、本発明の表面処理方法により金属基材の表面に化成皮膜を形成する場合には、皮膜水洗処理後の金属基材に対して乾燥処理を行わずに、そのまま塗装処理を施してもよい。すなわち、本発明の表面処理方法により金属基材の表面に化成皮膜を形成する場合には、その金属基材に対する塗料の塗布方法として、ウェットオンウェット塗装方法を採用することが可能である。そのため、ウェットプロセスである電着塗装により塗膜を形成する際の前処理として、本発明の金属基材の表面処理方法を利用すれば、化成皮膜を形成した後、或いはさらに水洗した後のウェットな状態で、電着塗装に導入でき、塗装前に乾燥工程を省略することが可能である。本発明の表面処理方法は、自動車車体、二輪車車体等の乗物外板、各種部品等に適用することができる。
【0075】
さらに、本発明においては、上記本発明の化成処理剤を金属基材の表面に接触せしめて、前記金属基材の表面に化成皮膜を形成せしめた後に、前記皮膜の形成された金属基材を、コバルト、ニッケル、スズ、銅、チタニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する酸性水溶液と接触させてもよい。このような酸性水溶液との接触工程は、前述の化成皮膜の水洗処理後に実施することが好ましい。このような酸性水溶液との接触工程により耐食性をさらに向上させることが可能となる。
【0076】
このような酸性水溶液中に含有させるコバルト、ニッケル、スズ、銅、チタニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の供給源としては、特に限定されないが、入手が容易である、これらの元素の酸化物、水酸化物、塩化物、硝酸塩、オキシ硝酸塩、硫酸塩、オキシ硫酸塩、炭酸塩、オキシ炭酸塩、リン酸塩、オキシリン酸塩、シュウ酸塩、オキシシュウ酸塩、有機金属化合物等を好適に用いることができる。
【0077】
また、このような酸性水溶液のpH値は、2〜6とすることが好ましい。酸性水溶液のpH値は、リン酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、塩酸、有機酸等の酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アルカリ金属塩、アンモニア、アンモニウム塩、アミン類等のアルカリで調整することができる。
【0078】
また、本発明においては、上記本発明の化成処理剤を金属基材の表面に接触せしめて、前記金属基材の表面に化成皮膜を形成せしめた後に、前記化成皮膜の形成された金属基材を、水溶性高分子化合物及び水分散性高分子化合物のうち少なくとも一方を含有する高分子含有液と接触させてもよい。このような高分子含有液との接触工程は、前述の化成皮膜の水洗処理後に実施することが好ましい。このような酸性水溶液との接触工程により耐食性を更に向上させることが可能となる。このような水溶性高分子化合物及び水分散性高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルレート等のアクリル系単量体との共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、ポリウレタン、アミノ変性フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、タンニン、タンニン酸及びその塩、フィチン酸が挙げられる。
【0079】
さらに、本発明の金属基材の表面処理方法によれば、金属基材の表面に上層として形成される塗膜との密着性が十分に高い化成皮膜を形成することができる。そのため、かかる化成皮膜を形成した後においては、塗膜を形成せしめることが好ましい。このような塗膜としては特に制限されないが、例えば、電着塗料、溶剤塗料、水性塗料、粉体塗料等の従来公知の塗料により形成される塗膜が挙げられる。また、このような塗膜の形成工程は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。このように、本発明の金属基材の表面処理方法は、金属基材の表面に塗膜を形成させる際の化成処理として好適に利用できる。
【0080】
また、このように塗膜を形成する場合には、前記塗料のうち、電着塗料、特にカチオン電着塗料を用いて塗膜を形成することが好ましい。このようなカチオン電着塗料は、通常、アミノ基との反応性又は相溶性を示す官能基を有する樹脂からなるため、本発明の化成処理剤により形成される化成皮膜に含まれるシランカップリング剤(A)又はシランカップリング剤(B)に由来するアミノ基と、上層の塗膜との相互作用により、電着塗膜と化成皮膜の密着性をより高めることができるからである。カチオン電着塗料としては、特に限定されず、例えば、アミノ化エポキシ樹脂、アミノ化アクリル樹脂、スルホニウム化エポキシ樹脂等からなる公知のカチオン電着塗料が挙げられる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
<シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物の調製>
シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物を調製するために、先ず、シランカップリング剤(A)としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM603」、有効濃度100%)を準備し、シランカップリング剤(B)として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM303」、有効濃度100%)をそれぞれ準備した。そして、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との質量比((A):(B))が8:2となるようにして、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)とを混合して混合物を得た。次いで、かかる混合物5質量部を滴下漏斗から、脱イオン水95質量部(温度25℃)に60分かけて均一に滴下して反応液を得た(pH:10.5)。その後、前記反応液を、窒素雰囲気、25℃の条件下、24時間攪拌し、前記反応液中においてシランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)とを重合させて、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との共縮合物を含む有効成分5質量%の混合液を得た。ここで、有効成分とは不揮発成分をいう。シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との共縮合物を含む当該混合液について、FT−NMR(AVANCE400(400MHz)、ブルカー社製)を用いて、29Si−NMRの測定を行い、縮合率を求めたところ、縮合率は90%であった。
【0083】
<化成処理剤の製造>
上述のようにして得られた共縮合物を含んだ混合液と、ジルコンフッ化水素酸と、酸性フッ化ナトリウムと、硝酸アルミニウムとを、ジルコニウム元素の含有量が元素換算で250ppmとなり、前記シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)(前記共縮合物を含む)の合計の含有量が固形成分量を基準として500ppmとなり、フッ素元素の含有量が元素換算で522.5ppmとなり、遊離したフッ素イオンの濃度がフッ素イオン電極を有するメーターにより測定した際に10ppmとなり且つアルミニウムの含有量が元素換算で100ppmとなるようにして混合した後、水酸化ナトリウム水溶液を更に添加してpH値を4として化成処理剤を得た。このような化成処理剤中の各元素の濃度及び化成処理剤のpH等を表1に示す。
【0084】
<金属基材の表面処理>
先ず、金属基材として、市販の冷延鋼板(SPC、日本テストパネル社製、縦70mm、横150mm、厚み0.8mm)を準備した。なお、このような金属基材に対しては、予め脱脂処理及び水洗処理を施した。このような脱脂処理としては、アルカリ脱脂処理剤として「サーフクリーナーEC92」(日本ペイント社製)を使用して、前記金属基材の表面を40℃で2分間処理する方法を採用した。また、前記水洗処理としては、水洗槽で浸漬洗浄した後に水道水で約30秒間スプレー洗浄する方法を採用した。
【0085】
次に、上述のようにして得られた化成処理剤を用い、表1に示した化成処理条件、すなわち化成処理剤の温度を42℃に調整し、その化成処理剤中に前記金属基材を90秒間浸漬処理することで、前記金属基材の表面に化成処理を施して、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表1に示す。
【0086】
(実施例2〜5)
シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を調製する際の前記反応液のpH値が、それぞれ、7(実施例2)、5(実施例3)、3(実施例4)、1(実施例5)となるようにした以外は実施例1と同様にして、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を含有する混合液並びに化成処理剤をそれぞれ製造した。当該混合物の縮合率はすべて60%以上であった。各化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表1に示す。
【0087】
また、このようにして得られた各化成処理剤を、実施例1で使用された化成処理剤の代わりにそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対してそれぞれ表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表1に示す。
【0088】
(実施例6〜8)
シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を調製する際のシランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との質量比((A):(B))が、それぞれ、5:5(実施例6)、7:3(実施例7)、9:1(実施例8)となるようにし、且つ、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を調製する際の前記反応液のpH値がそれぞれ3となるようにした以外は、実施例1と同様にして、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を含有する混合液並びに化成処理剤をそれぞれ製造した。当該混合液の縮合率はすべて60%以上であった。各化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表1に示す。
【0089】
また、このようにして得られた各化成処理剤を、実施例1で使用された化成処理剤の代わりに、それぞれ用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対してそれぞれ表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表1に示す。
【0090】
(実施例9)
シランカップリング剤(B)として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM303」)の代わりに、フェノキシトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM103」、有効濃度100%)を用い、且つ、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を調製する際の前記反応液のpH値が3となるようにした以外は、実施例1と同様にして、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を含有する混合液並びに化成処理剤を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表1に示す。
【0091】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表1に示す。
【0092】
(実施例10)
シランカップリング剤(A)として、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM603」)の代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM903」、有効濃度100%)を用い、シランカップリング剤(B)として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM303」)の代わりに、フェノキシトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM103」、有効濃度100%)を用い、且つ、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を調製する際の前記反応液のpH値がそれぞれ3となるようにした以外は、実施例1と同様にして、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を含有する混合液並びに化成処理剤を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表1に示す。
【0093】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表1に示す。
【0094】
(実施例11)
シランカップリング剤(A)として、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM603」)の代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM903」、有効濃度100%)を用い、且つ、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を調製する際の前記反応液のpH値が3となるようにした以外は、実施例1と同様にして、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を含有する混合液並びに化成処理剤を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表1に示す。
【0095】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表1に示す。
【0096】
(実施例12)
シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を調製する際の前記反応液のpH値がそれぞれ3となるようにし、且つ、化成処理剤の製造時に、スズ元素の含有量が20ppmとなるようにして硫酸錫を更に添加して混合した以外は、実施例1と同様にして、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を含有する混合液並びに化成処理剤を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表1に示す。
【0097】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表1に示す。
【0098】
(実施例13)
シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を調製する際の前記反応液のpH値が3となるようにし、且つ、化成処理剤の製造時に、スズ元素の含有量が20ppmとなり且つマグネシウム元素の含有量が1000ppmとなるようにして硫酸錫と硝酸マグネシウムとを更に添加して混合した以外は、実施例1と同様にして、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を含有する混合液並びに化成処理剤を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表1に示す。
【0099】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表1に示す。
【0100】
(実施例14)
実施例4で得られた化成処理剤を5時間放置したものを化成処理剤とし、且つ、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件等を表1に示す。
【0101】
(実施例15)
実施例4で得られた化成処理剤を3ヶ月保存したものを化成処理剤とし、且つ、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件等を表1に示す。
【0102】
(実施例16)〜(実施例21)
化成処理剤の各元素の含有量を表1のとおりにしたこと以外は、実施例4と同様に化成処理剤を作成し、且つ、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例4と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表1に示す。
【0103】
【表1】

【0104】
(比較例1)
先ず、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物の調製時に、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)とを混合した混合物を用いる代わりに、シランカップリング剤(A)のみを用いた以外は実施例1と同様にして、シランカップリング剤(A)の縮合物を含有する混合液を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。次に、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物を含有する混合液の代わりに、前記シランカップリング剤(A)の縮合物を含有する混合液を用いた以外は実施例1と同様にして、化成処理剤を製造した。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表2に示す。
【0105】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表2に示す。
【0106】
(比較例2)
化成処理剤の製造時に、スズ元素の含有量が20ppmとなるようにして硫酸錫を更に添加して混合した以外は比較例1と同様にして化成処理剤を製造した。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表2に示す。
【0107】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表2に示す。
【0108】
(比較例3)
化成処理剤の製造時に、スズ元素の含有量が20ppmとなり且つマグネシウム元素の含有量が1000ppmとなるようにして硫酸錫と硝酸マグネシウムとを更に添加して混合した以外は比較例1と同様にして化成処理剤を製造した。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表2に示す。
【0109】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表2に示す。
【0110】
(比較例4)
先ず、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物の調製時に、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)とを混合した混合物を用いる代わりに、シランカップリング剤(B)のみを用いた以外は実施例4と同様にして、シランカップリング剤(B)の縮合物を含有する混合液を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。次に、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物を含有する混合液の代わりに、前記シランカップリング剤(B)の縮合物を含有する混合液を用いた以外は実施例1と同様にして、化成処理剤を製造した。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表2に示す。
【0111】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表2に示す。
【0112】
(比較例5)
シランカップリング剤(B)として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM303」)の代わりに、フェノキシトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM103」、有効濃度100%)を用いた以外は、比較例4と同様にして、シランカップリング剤(B)の縮合物を含有する混合液及び化成処理剤を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表2に示す。
【0113】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表2に示す。
【0114】
(比較例6)
シランカップリング剤(B)として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM303」)の代わりに、3グリシドキシプロピルメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM403」、有効濃度100%)を用いた以外は、実施例4と同様にして、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を含有する混合液並びに化成処理剤を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表2に示す。
【0115】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表2に示す。
【0116】
(比較例7)
シランカップリング剤(B)として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM303」)の代わりに、テトラエトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBE04」、有効濃度100%)を用い、更に、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を調製する際のシランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との質量比((A):(B))が5:5となるようにした以外は、実施例4と同様にして、シランカップリング剤(A)及び(B)の共縮合物を含有する混合液並びに化成処理剤を製造した。当該混合液の縮合率は60%以上であった。このようにして得られた化成処理剤中の各元素の濃度や化成処理剤のpH等を表2に示す。
【0117】
また、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件を表2に示す。
【0118】
(比較例8)
比較例1で得られた化成処理剤を5時間放置したものを化成処理剤とし、且つ、このようにして得られた化成処理剤を用いた以外は実施例1と同様の方法を採用して、金属基材に対して表面処理を施し、金属基材の表面に化成皮膜を形成させた。このような化成処理時の条件等を表2に示す。
【0119】
(比較例9)
化成処理剤として、リン酸亜鉛を含有する化成処理剤(日本ペイント社製の商品名「サーフダイン SD−6350」)を用い、以下のようにして金属基材に対して表面処理を行った。すなわち、先ず、実施例1で用いた脱脂処理及び水洗処理後の金属基材を準備し、かかる金属基材に対して、0.3質量%の表面調整剤(日本ペイント社製の商品名「サーフファイン GL1」)中に、室温で30秒間浸漬して表面調整を行った。次いで、前記表面処理後の金属基材を、リン酸亜鉛を含有する化成処理剤(日本ペイント社製の商品名「サーフダイン SD−6350」)中に、42℃の温度条件下において2分間の浸漬処理し、金属基材の表面に化成皮膜を形成せしめた。
【0120】
【表2】

【0121】
[実施例1〜21及び比較例1〜9において金属基材上に形成された化成皮膜の特性の評価]
<化成皮膜中の各元素の含有量(皮膜量)の測定>
実施例1〜21及び比較例1〜8で得られた化成処理後の金属基材(化成皮膜の形成された金属基材)に対して、以下のような皮膜水洗処理及び乾燥処理をそれぞれ施した後に、各金属基材上に形成されている皮膜中のジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si)の各元素の含有量(mg/m)を、蛍光X線分析装置(島津製作所製の商品名「XRF1700」)を用いてそれぞれ測定した。なお、前記水洗処理の方法としては、水道水で30秒間スプレー処理して水洗した後、更に、イオン交換水で10秒間スプレー処理して水洗する処理方法を採用し、前記乾燥処理の方法としては、前記水洗処理後の金属基材を電気乾燥炉中に導入して80℃の温度条件で5分間乾燥させる方法を採用した。結果を表3に示す。
【0122】
<二次密着性試験(SDT)>
実施例1〜21及び比較例1〜9で得られた化成処理後の金属基材(化成皮膜の形成された金属基材)を用いて、以下のようにして各サンプル基板(I)及び各サンプル基板(II)をそれぞれ調整し、塗膜の二次密着性を測定した。すなわち、先ず、各サンプル基板に対して、サンプル基板の表面から金属基材の素地に達するようにして、X字状のカット(「X」の二本の線のなす角度:30°、一本の線の長さ:100mm)を入れた。次に、このようなカットを入れた後の各サンプル基板をそれぞれ5質量%のNaCl水溶液中に50℃の温度条件で480時間浸漬した。次いで、NaCl水溶液に浸漬した後の各サンプル基板を、それぞれ、水洗及び風乾し、カット部に接着テープ(ニチバン社製の商品名「エルパックLP−24」)を密着させ、その後、接着テープを急激に剥離した。そして、剥離した接着テープに付着した塗膜の最大幅の大きさをそれぞれ測定した。結果を表3に示す。
【0123】
〔サンプル基板(I)の製造〕
実施例1〜21及び比較例1〜9で得られた化成処理後の金属基材(化成皮膜の形成された金属基材)をそれぞれ用い、以下のようにして、前記金属基材の化成皮膜上に電着塗膜をそれぞれ形成せしめて、サンプル基板(I)をそれぞれ製造した。すなわち、先ず、前記化成処理後の金属基材を、水道水で30秒間スプレー処理して水洗し、次いで、イオン交換水で10秒間スプレー処理して水洗した。次に、水洗処理後のウェットな状態にある前記金属基材に対して、カチオン電着塗料(日本ペイント社製の商品名「パワーニクス110」)を用いて電着塗膜を形成した。なお、このようにして形成された電着塗膜の膜厚(電着塗装後の乾燥膜厚)は20μmであった。そして、このような電着塗膜の形成された金属基材を170℃で20分間加熱して焼付けることで、サンプル基板(I)を製造した。
【0124】
〔サンプル基板(II)の製造〕
電着塗膜の形成された金属基材の焼付け時の温度条件を170℃から160℃に変更し、更に、焼付け時間を20分間から10分間に変更した以外は、上記サンプル基板(I)の製造方法と同様にして、各実施例及び各比較例で得られた化成処理後の金属基材上にそれぞれ電着塗膜を焼きつけて、サンプル基板(II)をそれぞれ製造した。
【0125】
【表3】

【0126】
表3に示す結果からも明らかなように、本発明の化成処理剤を用いて金属基材表面に化成処理の化成皮膜が形成された場合(実施例1〜21)においては、十分な皮膜量で化成皮膜が形成されていることが分かる。また、本発明の化成処理剤を用いて金属基材表面に化成皮膜が形成された場合(実施例1〜21)においては、塗膜を170℃で焼き付けた場合(サンプル基板(I)の製造条件)と、塗膜を160℃で焼き付けた場合(サンプル基板(II)の製造条件)のいずれにおいても、剥離した接着テープに付着した塗料の最大幅が1.6以下となっており、形成された化成皮膜が非常に高度な水準の塗膜密着性を有するものとなっていることが確認された。また、実施例14及び実施例15で得られた化成処理剤を用いた場合においても、SDTの結果が十分に高度なものであることから、本発明の化成処理剤は貯蔵安定性にも優れたものであることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上説明したように、本発明によれば、十分に高度な水準の塗膜密着性を付与することが可能な金属基材を表面処理するための化成処理剤及びそれを用いた金属基材の表面処理方法を提供することが可能となる。したがって、本発明の化成処理剤は、塗装前の自動車車体、二輪車車体等の乗物外板、各種部品、容器外面、コイルコーティング等の塗装処理がその後に施される金属基材の表面を化成処理する際に用いる化成処理剤として特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材を表面処理するための化成処理剤であって、
ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素と、フッ素元素と、シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物とを含有し、
前記シランカップリング剤(A)がトリ又はジアルコキシシラン基とアミノ基とを有するシランカップリング剤であり、
前記シランカップリング剤(B)が下記一般式(1):
【化1】

[式中、Rは、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数1〜5のアルキレンオキシ基及び酸素原子からなる群より選択される1種を示し、
Zは、エポキシ基及び/又はアミノ基を置換基として有していてもよいシクロヘキシル基、並びに、ビニル基、エポキシ基及びアミノ基のうちの少なくとも1種を置換基として有していてもよい芳香環基からなる群より選択される1種を示し、
a、b、cは、それぞれ0〜3のうちのいずれかの整数であって、aとbとcとの和が3であり且つaとbの和は2〜3であるという条件を満たす整数を示し、
xは1〜3の整数を示す。]
で表されるシランカップリング剤であること、
を特徴とする化成処理剤。
【請求項2】
前記シランカップリング剤(A)が3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の化成処理剤。
【請求項3】
前記一般式(1)中のZが、3,4−エポキシシクロヘキシル基、フェニル基、シクロヘキシル基及びスチリル基からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化成処理剤。
【請求項4】
アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、インジウム、スズ、銅及び銀からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の化成処理剤。
【請求項5】
前記シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)の共縮合物が、質量比((A):(B))が1:9〜18:1の範囲にあるシランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との混合物を重合して得られたものであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の化成処理剤。
【請求項6】
前記金属元素の含有量が元素数を基準として50〜1000ppmであることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の化成処理剤。
【請求項7】
シランカップリング剤(A)及びシランカップリング剤(B)(前記共縮合物を含む)の合計の含有量が、固形分濃度で200ppm以上であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の化成処理剤。
【請求項8】
前記フッ素元素の一部が前記化成処理剤中において遊離したフッ素イオンとして存在し且つ前記化成処理剤中の前記遊離したフッ素イオンの含有量が0.01〜100ppmppmであることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の化成処理剤。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の化成処理剤を金属基材の表面に接触せしめ、該金属基材の表面に化成皮膜を形成することを特徴とする金属基材の表面処理方法。

【公開番号】特開2012−233243(P2012−233243A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104155(P2011−104155)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】