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金属基材用ハードコート塗料組成物および成形体
説明

金属基材用ハードコート塗料組成物および成形体

【課題】金属基材との付着性(初期の付着性、耐水試験後の付着性(耐水付着性))に優れるハードコートを生産性よく形成できる金属基材用ハードコート塗料組成物と、該組成物からなるハードコートを備えた成形体の提供。
【解決手段】カルボキシル基を有し、固形分酸価が0.5〜2.0mgKOH/gであるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、カルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレート(B)と、カルボキシル基を有し、固形分酸価が1.0〜30mgKOH/gである熱可塑性樹脂(C)と、シランカップリング剤(D)とを少なくとも含有する塗膜形成成分を含む、金属基材用ハードコート塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属基材へのハードコートの形成に好適に使用される塗料組成物と、該塗料組成物からなるハードコートを金属基材上に備えた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
建材、車両部品などには、アルミニウムなどの金属基材を備えたものが広く使用されている。このような金属基材の表面には、通常、耐擦傷性や防錆性を付与するためのハードコートが形成されている。ハードコートの形成に使用される塗料としては、例えば特許文献1〜3に記載されているように熱硬化型のものが一般的である。
【0003】
ところが、このような熱硬化型の塗料は、硬化に長時間を要するために、生産性に劣るという問題があった。
これに対して、例えば特許文献4に記載されているような活性エネルギー線硬化性の塗料は、活性エネルギー線照射により硬化するため、生産性が優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−265858号公報
【特許文献2】特開2003−192980号公報
【特許文献3】特開2003−292881号公報
【特許文献4】国際公開第2007/116733号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献4に記載の塗料は、金属基材に対する付着性の点で、未だ改善の余地があるものであった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、金属基材との付着性、すなわち初期の付着性だけでなく耐水試験後の付着性(耐水付着性)にも優れるハードコートを生産性よく形成できる金属基材用ハードコート塗料組成物と、該組成物からなるハードコートを備えた成形体の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討した結果、特定の固形分酸価を有する成分をその他の成分と組み合わせて用いることにより、金属基材に対する付着性(初期付着性、耐水付着性)が良好なハードコートを金属基材上に形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の金属基材用ハードコート塗料組成物は、カルボキシル基を有し、固形分酸価が0.5〜2.0mgKOH/gであるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、カルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレート(B)と、カルボキシル基を有し、固形分酸価が1.0〜30mgKOH/gである熱可塑性樹脂(C)と、シランカップリング剤(D)とを少なくとも含有する塗膜形成成分を含むことを特徴とする。
前記塗膜形成成分100質量%中に、(A)成分が50〜90質量%、(B)成分が5.0〜20質量%、(C)成分が1.0〜10質量%、(D)成分が1.0〜10質量%含まれ、さらに、樹脂成分(E)として、前記(A)成分および前記(B)成分以外の活性エネルギー線硬化性成分と、前記(C)成分以外の熱可塑性樹脂とからなる群より選ばれる1種以上が30質量%以下の範囲で含まれることが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)とは、脂環構造を有することが好ましい。
前記熱可塑性樹脂(C)は、水酸基を有することが好ましい。
前記金属基材用ハードコート塗料組成物は、金属基材が、アルミニウム、鉄、クロムのうちのいずれかである場合に好適である。
本発明の成形体は、前記金属基材用ハードコート塗料組成物からなるハードコートが、金属基材上に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属基材との付着性(初期付着性、耐水付着性)に優れるハードコートを生産性よく形成できる金属基材用ハードコート塗料組成物と、該組成物からなるハードコートを備えた成形体とを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
<金属基材用ハードコート塗料組成物>
本発明の金属基材用ハードコート塗料組成物(以下、ハードコート塗料組成物という場合もある。)は、活性エネルギー線硬化性の塗料組成物であって、金属基材上にハードコートを形成する際に使用されるものである。
本発明のハードコート塗料組成物は、塗膜形成成分として、カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)と、カルボキシル基を有さないウレタン(メタ)アクリレート(B)と、カルボキシル基を有する熱可塑性樹脂(C)と、シランカップリング剤(D)とを少なくとも含有する。
【0010】
[塗膜形成成分]
(カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A))
カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)((A)成分という場合もある。)は、ハードコート塗料組成物からなるハードコートの極性を高め、ハードコートと金属基材との密着性を向上させるために用いられる活性エネルギー線硬化性成分である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートとアクリレートとの両方を意味する。
【0011】
(A)成分であるカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートは、公知の製造法により製造できる。例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、ジヒドロキシカルボン酸を反応させてウレタンプレポリマーとし、該プレポリマーと水酸基含有の(メタ)アクリレートとを反応させる方法により得られる。反応には公知の反応触媒を用いることができる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオールなどの多価アルコール;多価アルコールとアジピン酸などの多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール、1,4−シクロヘキサンジオール、さらには、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられ、これらを単独又は2種以上組合せて使用できる。特に、形成されるハードコートの付着性の観点からは、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、及び、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンが好ましい。
【0012】
ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ハロゲン化フェニルジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、オクタデシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネト、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、3−フェニル−2−エチレンジイソシアネート、クメン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−エトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、5,6−ジメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、ベンジジンジイソシアネート、9,10−アンスラセンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジベンジル、3,3−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートジフェニル、2,6−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートジフェニル、3.3−ジメトキシ−4.4’−ジイソシアネートジフェニル、1,4−アンスラセンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,10−デカンメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート等のジイソシアネート類;これらジイソシアネート類のヌレート体、ビュレット体、アダクト体;2,4,6−トリレントリイソシアネート、2,4,4’−トリイソシアネートジフェニルエーテル等のトリイソシアネート類等が挙げられ、これらを単独又は2種以上組合せて使用できる。
これらの中でも、脂環構造を有するポリイソシアネートを用い、(A)成分に脂環構造を導入すると、金属基材に対する付着性がより優れたハードコートを形成できる点で好適である。脂環構造を有するポリイソシアネートとしては、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0013】
ジヒドロキシカルボン酸としては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸のようなジヒドロキシアルカン酸が挙げられ、これらを単独又は2種以上組合せて使用できる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリルレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらを単独又は2種以上組合せて使用できる。
【0014】
上述したポリオールとポリイソシアネートおよびジヒドロキシカルボン酸を反応させ、得られたウレタンプレポリマーに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させることによって、カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)が得られる。(A)成分としては、1種のウレタン(メタ)アクリレートを単独で使用してもよいし、2種以上組合せて使用してもよい。
【0015】
(A)成分の固形分酸価は、0.5〜2.0mgKOH/gである必要があり、好ましくは0.7〜1.5mgKOH/gである。(A)成分の固形分酸価がこの範囲を超えると、形成されたハードコートの極性が高くなりすぎ、初期付着性が良好であったとしても、耐水付着性が劣る。一方、この範囲未満では、ハードコートの極性が低すぎ、金属基材との付着性が低下する。
なお、固形分酸価とは、固形分1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。
【0016】
(A)成分の固形分酸価をこのような範囲とするためには、(A)成分を製造する際のポリオールと、ポリイソシアネートと、ジヒドロキシカルボン酸と、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの当量比を化学量論的に決定すればよい。例えば、当量比について、ポリオール:ポリイソシアネート:ジヒドロキシカルボン酸:水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー=1:0.67〜2.7:2:2とすると、上記範囲の固形分酸価を有する(A)成分を得ることができる。
【0017】
塗膜形成成分100質量%中における(A)成分の含有量は、50〜95質量%が好ましい。(A)成分の含有量が上記範囲未満では、ハードコートの極性が低くなり、金属基材との付着性が低下する傾向にある。一方、(A)成分の含有量が上記範囲を超えると、ハードコートの極性が高くなりすぎ、初期付着性が良好であったとしても、耐水付着性が劣る傾向にある。(A)成分をこのような範囲で用いることにより、金属基材との初期付着性はもちろん、耐水付着性にも優れるハードコートを形成できる。
【0018】
(カルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレート(B))
カルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレート(B)((B)成分という場合もある。)は、ハードコートの架橋密度を最適化し、ハードコートの各種特性のバランスを調整するために用いられる活性エネルギー線硬化性成分である。(B)成分は、安価で入手が容易である点でも好適に用いられる。
(B)成分は、ジヒドロキシカルボン酸を用いない以外は、上述した(A)成分の製造方法と同様の方法で製造できる。ポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有の(メタ)アクリレートとしては、先に(A)成分の製造において例示したものなどの中から、適宜選択して使用することができる。また、(B)成分としては、市販のものを用いてもよく、例えばダイセルサイテック社製のウレタンオリゴマー「エベクリル1290」、日本合成化学工業社製のウレタンオリゴマー「紫光UV−3200B」、DIC社製のウレタンアクリレート「UNIDIC V4001EA」などが挙げられる。(B)成分としては、1種のウレタン(メタ)アクリレートを単独で使用してもよいし、2種以上組合せて使用してもよい。
ハードコートの金属基材に対する耐水付着性の観点からは、(B)成分としては脂環構造を含むものがより好ましい。脂環構造を含む(B)成分は、ポリイソシアネートとして、脂環構造を有する化合物を用いることにより製造できる。なお、上記市販品は、いずれも脂環構造を有しない。
【0019】
塗膜形成成分100質量%中における(B)成分の含有量は5.0〜20質量%が好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲未満では、金属基材に対する初期付着性が良好であったとしても、耐水付着性が劣る傾向にある。一方、(B)成分の含有量が上記範囲を超えると、(A)成分の相対的な含有量が減少する結果、ハードコートの極性が低下し、金属基材との付着性が低下する傾向にある。
【0020】
(カルボキシル基を有する熱可塑性樹脂(C))
カルボキシル基を有する熱可塑性樹脂(C)((C)成分という場合もある。)は、ハードコートに極性を付与し、金属基材との付着性を向上させるために使用される。(C)成分としては、1種の熱可塑性樹脂を単独で使用してもよいし、2種以上組合せて使用してもよい。
【0021】
カルボキシル基を有する熱可塑性樹脂は、公知の製造方法により得ることができ、例えば、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合により得ることができる。このような共重合体の他、耐水付着性に優れたハードコートを形成できる点から、水酸基を有するアクリルポリオール、ポリエステルポリオールを(C)成分として使用することが好ましい。また、これらの化合物は、安価であることからも好適である。
【0022】
(C)成分の固形分酸価は、1〜30mgKOH/gである必要がある。(C)成分の固形分酸価が上記範囲を超えると、ハードコートの極性が高くなり、初期付着性が良好であったとしても、耐水付着性が劣る。一方、上記範囲未満では、ハードコートの極性が低くなり、金属基材との付着性が低下する。
塗膜形成成分100質量%中の(C)成分の含有量は、好ましくは1.0〜10質量%であり、より好ましくは3.0〜8.0質量%である。(C)成分の含有量が上記範囲を超えると、ハードコートの極性が高くなりすぎ、初期付着性が良好であったとしても、耐水付着性が劣る傾向がある。一方、上記範囲未満では、ハードコートの極性が低くなり、金属基材との付着性が低下する場合がある。
【0023】
(シランカップリング剤(D))
シランカップリング剤(D)((D)成分という場合もある。)は、金属基材との付着性の観点から用いられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
これらの中でも、金属との付着性の観点からエポキシ基(グリシジル基)を有するもの、すなわち、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが好ましく、なかでも3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。また、これらのシランカップリング剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
塗膜形成成分100質量%中における(D)成分含有量は、好ましくは1.0〜10質量%、より好ましくは3.0〜8.0質量%である。(D)成分の含有量が上記範囲未満では、ハードコートの金属基材への濡れが低下し、付着性が低下する傾向にある。一方、(D)成分の含有量が上記範囲を超えると、(D)成分が過剰となって余剰分が生じ、この余剰分によるハードコートの曇りが認められる場合がある。
【0025】
(その他の成分(E))
塗膜形成成分は、(A)、(B)、(C)、(D)の各成分以外に、その他の成分として、(A)成分および(B)成分以外の活性エネルギー線硬化性成分や、(C)以外の熱可塑性樹脂、すなわち、カルボキシル基を有しない熱可塑性樹脂の1種以上を(E)成分として含んでもよい。ただし、ハードコートの金属基材に対する付着性の観点から、その他の樹脂成分(E)は塗膜形成成分100質量%中30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。(E)成分として、(A)成分および(B)成分以外の活性エネルギー線硬化性成分、(C)以外の熱可塑性樹脂は、いずれか一方を用いても両者を併用してもよい。
【0026】
(A)成分および(B)成分以外の活性エネルギー線硬化性成分としては、例えば、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルペンタニルアクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート等が挙げられる。
分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、形成されるハードコートの硬度をさらに高めることができ、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらは、塗料の粘度や架橋密度を調整するためなどに適量で含むことができる。
【0027】
カルボキシル基を有しない熱可塑性樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシルなどのホモポリマーや、これらの共重合体などの(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
【0028】
[光重合開始剤、溶剤、添加剤など]
本発明のハードコート塗料組成物には、上述した塗膜形成成分の他、通常、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、例えば商品名として、イルガキュア184(BASFジャパン社製)、イルガキュア149(BASFジャパン社製)、イルガキュア651(BASFジャパン社製)、イルガキュア907(BASFジャパン社製)、イルガキュア754(BASFジャパン社製)、イルガキュア819(BASFジャパン社製)、イルガキュア500(BASFジャパン社製)、イルガキュア1000(BASFジャパン社製)、イルガキュア1800(BASFジャパン社製)、イルガキュア754(BASFジャパン社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、カヤキュアDETX−S(日本化薬製)、カヤキュアEPA(日本化薬製)、カヤキュアDMBI(日本化薬製)等が挙げられ、これらを単独又は2種以上組合せて使用することができる。このうち、イルガキュア184、イルガキュア819が好ましい。また、光重合開始剤とともに、光増感剤や光促進剤を使用してもよい。
光重合開始剤の使用量としては、通常用いられる量でよく、例えば活性エネルギー線硬化性成分の合計100質量部に対して、1〜30質量部である。
【0029】
ハードコート塗料組成物は、必要に応じて各種溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤が挙げられ、これらを単独又は2種以上組合せて使用することができる。溶剤の使用量は、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜調整されるものであるが、好ましくは、ハードコート塗料組成物100質量%中、40質量%以下の範囲である。
また、ハードコート塗料組成物は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤、可塑剤、顔料沈降防止剤など、通常の塗料に用いられる添加剤を本発明の効果が損なわれない程度に適量含んでもよい。
【0030】
本発明のハードコート塗料組成物は、少なくとも上述の(A)〜(D)成分と、光重合開始剤、必要に応じて使用される各種添加剤、溶剤などを混合することにより製造できる。
本発明のハードコート塗料組成物は、上述の(A)〜(D)成分を含む塗膜形成成分を含有する活性エネルギー線硬化性のものであるため、金属基材への付着性(初期付着性、耐水付着性)に優れるハードコートを生産性よく形成できる。
【0031】
<塗装方法>
本発明のハードコート塗料組成物は、硬化後の塗膜厚さが5〜100μm程度となるように、スプレー塗装法、刷毛塗り法、ローラ塗装法、カーテンコート法、フローコート法、浸漬塗り法などで金属基材に塗装される。ついで、例えば100〜3000mJ程度(日本電池社製UVR−N1による測定値)の紫外線をフュージョンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を用いて1〜10分間程度照射することにより、ハードコートを形成できる。活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、ガンマ線なども使用できる。
【0032】
<成形体>
(金属基材)
本発明の成形体は、金属基材上に、上述のハードコート塗料組成物から形成されたハードコートを備えるものである。
金属基材の材質には特に制限はないが、本発明のハードコート塗料組成物は、中でも鉄、アルミニウム、クロムスパッタ膜に対するハードコートとして好適である。金属基材の用途としても特に制限はなく、アルミサッシなどの建材や、自動車などの車両部品など、種々のものが例示できる。また、その形状も、板状であっても、各種立体形状であってもよい。
【0033】
(その他)
金属基材に形成されたハードコート上には、必要に応じてベースコート塗料や、さらにその上にメタリック調のトップコート塗料など、熱硬化型または活性エネルギー線硬化性の塗料が塗装されてもよい。また、トップコートの上には、さらに必要に応じて、アクリル系ラッカー塗料、アクリルメラミン硬化系クリヤー塗料、アルミキレート硬化型アクリル系塗料などの熱硬化型のトップクリヤー塗料からなるトップクリヤー層などが形成されてもよい。
また、ハードコートは、通常は、金属基材の表面に直接塗装されるが、場合によっては、塗装により形成された他の層の上に塗装されてもよい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(合成例1)カルボキシル基を有するウレタンアクリレート(A1)(酸価1.49mgKOH/g)の製造;
1,6−ヘキサンジオール(宇部興産社製)118.0g、ジメチロールプロピオン酸(東京化成工業社製)2.7g、1,3−(ビス)ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(三井武田ケミカル社製)388.0gを、攪拌機、温度計を備えた2.0Lのフラスコに仕込み、窒素気流下において70℃で4時間反応させた。ついで、このフラスコ中にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄化学社製)232.0g、ハイドロキノン0.6g、ジブチルスズジラウレート0.3gを加え、フラスコ内の内容物に空気をバブリングしながら、70℃でさらに5時間反応させ、酢酸ブチルを100.0g添加し、固形分88.5質量%、酸価1.49mgKOH/gのカルボキシル基を有するウレタンアクリレートA1を得た。
【0035】
(合成例2)カルボキシル基を有するウレタンアクリレート(A2)(酸価0.79mgKOH/g)の製造;
ジメチロールプロピオン酸を1.5g、酢酸ブチルを84gに変更した以外は、合成例1と同様にして、固形分87.5質量%、固形分酸価0.79mgKOH/gのカルボキシル基を有するウレタンアクリレートA2を得た。
【0036】
(合成例3)カルボキシル基を有するウレタンアクリレート(A3)(酸価2.0mgKOH/g)の製造;
ジメチロールプロピオン酸を4.0g、酢酸ブチルを97gに変更した以外は、合成例1と同様にして、固形分88.0質量%、固形分酸価2.0mgKOH/gのカルボキシル基を有するウレタンアクリレートA3を得た。
【0037】
(合成例4)カルボキシル基を有するウレタンアクリレート(A4)(酸価0.5mgKOH/g)の製造;
ジメチロールプロピオン酸を1.0g、酢酸ブチルを73g、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサンをヘキサメチレンジイソシアネートに変更した以外は、合成例1と同様にして、固形分87.5質量%、固形分酸価0.5mgKOH/gのカルボキシル基を有するウレタンアクリレートA4を得た。
【0038】
(合成例5)カルボキシル基を有しないウレタンアクリレート(B1)の製造;
ジメチロールプロピオン酸を添加しないこと以外は、合成例1と同様にしてカルボキシル基を有しないウレタンアクリレートB1(固形分84.9質量%)を得た。
【0039】
(合成例6)カルボキシル基を有しないウレタンアクリレート(B2)の製造;
1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサンを4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製)524gに変更した以外は、合成例5と同様にしてカルボキシル基を有しないウレタンアクリレートB2(固形分89.7質量%)を得た。
【0040】
(合成例7)
カルボキシル基を有するポリマー(C1)〜(C5)およびカルボキシル基を有さないポリマー(C6)の製造
(1)ポリマー(C1)の製造
冷却機、温度計および撹拌機を備えた1Lの4つ口フラスコに、表1に示す比率で重合性単量体を合計200g仕込み、さらに重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABN−E)2.0gと、溶剤として酢酸エチル100gを加え、フラスコ内の温度を80℃に昇温した。この温度を維持しながら、重合反応を4時間行った。その後、未反応の重合性単量体を処理するため、ABN−Eを1.0g投入し、80℃で2時間重合反応を行い、アクリルポリオール(C1)を得た。
得られたアクリルポリオール(C1)の酸価と水酸基価をJIS K 0070に準拠し中和滴定法により測定した。また、アクリルポリオール(C1)のガラス転移点(Tg)をFoxの式より求めた。
(2)ポリマー(C2)〜(C6)の製造
表1に示す比率で重合性単量体を用いた以外は、ポリマー(C1)と同様にして、ポリマー(C2)〜(C6)を製造した。ただし、ポリマー(C2)、(C3)、(C4)の製造においては、最初に仕込むABN−Eの量を2.0gとするかわりに、それぞれ、2.5g、1.2g、3.0gとした。
【0041】
[実施例1〜13、比較例1〜8]
塗膜形成成分として、表2〜4に示す配合部数(質量部数)で各成分を混合し、さらに、塗膜形成成分100質量部に対して、光重合開始剤(BASFジャパン社製「イルガキュア184」)3質量部と、溶剤(酢酸エチル)30質量部を添加し、液状のハードコート塗料組成物を調製した。なお、配合部数は、固形分としての配合部数である。
ついで、硬化後の塗膜厚さが20μmになるように、板状のアルミニウム基材(表中Alと表記。)、板状のSUS基材(表中SUSと表記。)、スパッタリングにより形成されたクロム薄膜を表面に備えた基材(表中Crと表記。)の各表面に、ハードコート塗料組成物をスプレーガンでスプレー塗装した。
ついで、80℃×3分間の条件で溶剤を乾燥させた後、高圧水銀灯により300mJ(日本電池社製UVR−N1による測定値)の紫外線を2〜3分間照射して、ハードコートを形成し、これを試験片とした。
このようにして得られた試験片について、付着性の評価として、以下に示すように、初期付着性、耐水試験後の付着性(耐水付着性)を評価した。結果を表に示す。
【0042】
(評価方法)
1.初期付着性
試験片の塗膜に1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分にセロハンテープを貼着し剥がす操作を実施した。
○:テープに塗膜(ハードコート)が全く付着しない場合。
△:碁盤目の角が僅かに欠けた場合。
×:碁盤目が1つでもテープに付着して剥離した場合。
【0043】
2.耐水試験後の付着性(耐水付着性)
40℃の温水に浸漬した後の試験片について、上記初期付着性の場合と同様の方法で付着性を評価し、同様の基準で評価した。浸漬時間は、24時間、240時間、480時間の3つに設定した。
【0044】
表中の略号は以下の内容を示す。また、酸価の単位は[mgKOH/g]である。
MMA:メチルメタクリレート
EMA:エチレンメチルアクリレート
n−BMA:ブチルメタクリレート
2−EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
BA:アクリル酸ブチル
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
エベクリル:ダイセルサイテック社製、ウレタンオリゴマー「エベクリル1290」
E1:ジエチレングリコールジアクリレート
E2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
D1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
D2:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基を有し、固形分酸価が0.5〜2.0mgKOH/gであるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、カルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレート(B)と、カルボキシル基を有し、固形分酸価が1.0〜30mgKOH/gである熱可塑性樹脂(C)と、シランカップリング剤(D)とを少なくとも含有する塗膜形成成分を含むことを特徴とする金属基材用ハードコート塗料組成物。
【請求項2】
前記塗膜形成成分100質量%中に、(A)成分が50〜90質量%、(B)成分が5.0〜20質量%、(C)成分が1.0〜10質量%、(D)成分が1.0〜10質量%含まれ、さらに、樹脂成分(E)として、前記(A)成分および前記(B)成分以外の活性エネルギー線硬化性成分と、前記(C)成分以外の熱可塑性樹脂とからなる群より選ばれる1種以上が30質量%以下の範囲で含まれることを特徴とする請求項1に記載の金属基材用ハードコート塗料組成物。
【請求項3】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)とが脂環構造を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属基材用ハードコート塗料組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂(C)が水酸基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属基材用ハードコート塗料組成物。
【請求項5】
金属基材が、アルミニウム、鉄、クロムのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属基材用ハードコート塗料組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属基材用ハードコート塗料組成物からなるハードコートが、金属基材上に形成されたことを特徴とする成形体。

【公開番号】特開2012−167204(P2012−167204A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29722(P2011−29722)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000224123)藤倉化成株式会社 (124)
【Fターム(参考)】