説明

金属基材用塗料組成物

【課題】可動性BPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を含まない缶の提供。
【解決手段】胴部分及び蓋部分を含む缶において、これらの胴部分及び蓋部分の少なくとも一方は、アルミニウムであり且つ少なくとも一方の主表面に関して塗料組成物で塗装されており、該塗料組成物は、2種又はそれ以上のポリエステル樹脂の配合物を含み、そのポリエステル樹脂の各々は1種又はそれ以上の多酸分子と1種又はそれ以上のポリオール分子の反応により形成されていて、しかも該配合物は、(i)60と90重量パーセントの間の25℃未満のTgを有するポリエステル樹脂及び(ii)10と40重量パーセントの間の50℃より大のTgを有するポリエステル樹脂、及び架橋剤を含み、前記塗料組成物が、固形分含有量を基準として2から10重量パーセントのアクリレートコポリマーを更に含む、しかも該塗料組成物は、可動性のビスフェノールA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を実質的に含まない缶。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2002年8月1日に出願された米国仮特許出願第60/400,091号の利益を主張し、しかしてその出願明細書は、参照することにより本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
広く様々な塗料が、ツーピース型食品及び飲料缶の表面を塗装するために用いられてきた。これらの缶は、一般に、「コイルコーティング」操作を用いて塗装され、すなわち、適当な基材(たとえば、鋼又はアルミニウム金属)の平板が適当な組成物で塗装されそして硬化され、そしてこの塗装基材は次いで缶の蓋又は胴に成形される。塗料は、基材への高速施用が可能であるべきであり、また硬化された時、その基材の厳しい最終使用において果たすべき必要な性質をもたらすべきである。たとえば、塗料は食品の接触について安全であるべきであり、基材への優秀な付着性を有すべきであり、成形工程中引き伸ばされることが及び蓋が開かれる時にきれいな縁をもたらす(蓋用塗料として用いられる場合)ことが可能であるべきである。以前の塗料は、1つ又はそれ以上の欠点の難点があった。たとえば、現在の塗料の多くは、可動性の又は結合されたビスフェノールA(「BPA」)若しくは芳香族グリシジルエーテル化合物又はPVC化合物を含有する。これらの化合物は、人間の健康に潜在的に有害であると認められる。従って、これらの化合物を食品接触向け(たとえば、飲料用)の塗料から排除すべき強い要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上のことから、当該技術において必要とされるものは、かかる化合物の抽出可能な量を含有しない組成物で塗装されている包装容器(たとえば、飲料缶)である、ということが理解される。かかるパッケージ、それらを製造するための組成物及び方法が、本願において開示されそして特許請求される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの具体的態様において、本発明は、新規の包装物品たとえば食品及び飲料缶に関する。本発明の好ましいパッケージは、少なくとも部分的にアルミニウム基材を用いて形成された「ツーピース」缶を含む。これらの好ましい缶は、典型的には、胴部分及び蓋部分を含み、しかもこれらの胴部分及び蓋部分の少なくとも一方は、アルミニウムであり且つ少なくとも一方の主表面に関して本発明の塗料組成物で塗装されている。本発明の適当な塗料組成物は、1種又はそれ以上のポリエステル樹脂(これらのポリエステル樹脂の少なくとも一つは約50℃未満のガラス転移温度(「Tg」)を有し、しかもポリエステル樹脂は1種又はそれ以上の多酸分子と1種又はそれ以上のポリオール分子の反応により形成される)、及び架橋剤を含む。好ましい組成物は、可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物たとえばBADGE、BFDGE及びエポキシノボラック(たとえば、NOGE)を実質的に含まず、そして一層好ましい組成物は結合されたBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物も実質的に含まない。一層好ましい具体的態様(たとえば、アルコール飲料缶)において、ポリエステル樹脂を作るために用いられたポリオール分子は、NPGを実質的に含まない。
【0005】
本発明はまた、缶を製造する方法であって、胴を形成する工程、蓋を形成する工程、該蓋及び該胴の少なくとも一方を少なくとも片面に関して本発明の塗料組成物で塗装する工程、該胴に液体を充填する工程、並びに該蓋を該胴に取り付ける工程を含む方法を提供する。とりわけ、この方法は、好ましくは、コイルコーティング法を利用して成し遂げられる。この方法において、適当な基材(たとえば、アルミニウム又は鋼の板金)のコイルが最初に本発明の塗料組成物で塗装され(片面又は両面に関して)、硬化され(たとえば、焼付け法を用いて)、そしてこの硬化された基材は次いで缶蓋若しくは缶胴又は両方に成形される(たとえば、打抜き又は絞りにより)。次いで、缶蓋及び缶胴は、その中に入れられる食品又は飲料と共に、一緒にシールされる。
【0006】
本発明はまた、新規の塗料組成物を提供する。塗料組成物はアルミニウム基材に対してよく適合するけれども、それらは同様に他の基材と共に用いられ得る。好ましい塗料組成物は、1種又はそれ以上のポリエステル樹脂(これらのポリエステル樹脂の少なくとも一つは約50℃未満のガラス転移温度(「Tg」)を有する)及び架橋剤を含む。塗料組成物は、好ましくは、可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を実質的に含まず、そして一層好ましい組成物は結合されたBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物も実質的に含まない。一層好ましい具体的態様において、ポリエステル樹脂を作るために用いられたポリオール分子は、NPGを実質的に含まない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
【0008】
特定の可動性化合物を「実質的に含まない」という用語は、本発明の組成物が100万部当たり1000部(ppm)未満の該可動性化合物を含有することを意味する。
【0009】
特定の可動性化合物を「本質的に含まない」という用語は、本発明の組成物が100万部当たり100部(ppm)未満の該可動性化合物を含有することを意味する。
【0010】
特定の可動性化合物を「本質的に全く含まない」という用語は、本発明の組成物が100万部当たり5部(ppm)未満の該可動性化合物を含有することを意味する。
【0011】
特定の可動性化合物を「全く含まない」という用語は、本発明の組成物が10億部当たり20部(ppb)未満の該可動性化合物を含有することを意味する。
【0012】
上記の句が用語「可動性」を伴わないで用いられる場合は(たとえば、「XYZ化合物を実質的に含まない」)、本発明の組成物は、該化合物が塗料中で可動性であろうと又は塗料の成分に結合されていようと、上記の量未満の該化合物を含有する。
【0013】
用語「可動性」は、当該化合物が硬化塗膜から、塗膜(典型的には、約1mg/cm2(6.5mg/in2)の厚さである)が10重量パーセントエタノール溶液に121℃にて2時間暴露されそして次いで該溶液中で49℃にて10日間暴露される場合に抽出され得ることを意味する。
【0014】
用語「有機基」は、脂肪族基、環式基、又は脂肪族基と環式基の組合わせ(たとえば、アルカリール及びアラルキル基)として分類されるところの、鎖中に炭素及び水素以外の随意元素(酸素、窒素、硫黄及びケイ素のような)を有する炭化水素(すなわちヒドロカルビル)基を意味する。用語「脂肪族基」は、飽和又は不飽和の線状又は分枝状炭化水素基を意味する。この用語は、たとえばアルキル、アルケニル及びアルキニル基を包含するように用いられる。用語「アルキル基」は、たとえばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシル、等を含めて、飽和の線状又は分枝状炭化水素基を意味する。用語「アルケニル基」は、ビニル基のような、1個又はそれ以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和の線状又は分枝状炭化水素基を意味する。用語「アルキニル基」は、1個又はそれ以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和の線状又は分枝状炭化水素基を意味する。用語「環式基」は、脂環式基、芳香族基又は複素環式基として分類される閉環炭化水素基を意味する。用語「脂環式基」は、脂肪族基の性質に類似する性質を有する環式炭化水素基を意味する。用語「芳香族基」又は「アリール基」は、単核又は多核芳香族炭化水素基を意味する。用語「複素環式基」は、環中の原子の一つ又はそれ以上が炭素以外の元素(たとえば、窒素、酸素、硫黄、等)である閉環炭化水素を意味する。本発明の塗料組成物において用いられるポリエステルの有機基に関して、置換が予想される。本願を通して用いられる或る術語について論考及び詳述を簡単にする手段として、用語「基」及び「部」が、置換を許容するすなわち置換されていてもよい化学種と、置換を許容しないすなわちそのように置換されていてはならない化学種との間で識別するために用いられる。かくして、用語「基」が化学置換分を記述するために用いられる場合、記載された化学物質は、置換されていない基、及びたとえばカルボニル基又は他の慣用の置換分だけでなく鎖中に(アルコキシ基においてのように)O、N、Si又はS原子を有する基を包含する。用語「部」が化合物又は置換分を記述するために用いられる場合、置換されていない化学物質のみが包含されるよう意図されている。たとえば、句「アルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、等のような純粋の開鎖飽和炭化水素アルキル置換分のみならず、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシル、等のような当該技術において知られた更なる置換分を担持するアルキル置換分も包含するよう意図されている。かくして、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキル、等を包含する。一方、句「アルキル部」は、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、等のような純粋の開鎖飽和炭化水素アルキル置換分のみの包含に限定される。用語「ヒドロカルビル部」は、水素と炭素のみを含有する非置換有機部を指す。
【0015】
本発明は、新規の包装物品たとえば食品及び飲料缶を提供する。本発明の好ましいパッケージは、少なくとも部分的にアルミニウム基材を用いて形成された「ツーピース」缶を含む。これらの好ましい缶は、典型的には、胴部分及び蓋部分を含み、しかもこれらの胴部分及び蓋部分の少なくとも一方は、アルミニウムであり且つ少なくとも一方の主表面に関して本発明の塗料組成物で塗装されている。本発明はまた、新規の塗料組成物を提供する。塗料組成物はアルミニウム基材に対してよく適合するけれども、それらは同様に他の基材と共に用いられ得る。本発明はまた、缶を製造する方法であって、胴を形成する工程、蓋を形成する工程、該胴及び該蓋の少なくとも一方を少なくとも片面に関して本発明の塗料組成物で塗装する工程、該胴に液体を充填する工程、並びに該蓋を該胴に取り付ける工程を含む方法を提供する。
【0016】
本発明の適当な塗料組成物は、1種又はそれ以上のポリエステル樹脂、及び架橋剤を含む。好ましい具体的態様において、ポリエステル樹脂の少なくとも一つは、低Tgポリエステル樹脂、すなわち約50℃未満のTgを有する樹脂である。低Tgポリエステルと高Tgポリエステル(すなわち、約50℃より大のTgを有する樹脂)の配合物も、所望される場合に用いられ得る。
【0017】
好ましい組成物は、可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物(たとえば、BADGE、BFDGE及びエポキシノボラック)を実質的に含まず、一層好ましくは可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を本質的に含まず、更に一層好ましくは可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を本質的に全く含まず、そして最も好ましくは可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を全く含まない。塗料組成物はまた、一層好ましくは結合されたBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を実質的に含まず、最も好ましくは結合されたBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を本質的に含まず、そして最適には結合されたBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を本質的に含まない。
【0018】
本発明の塗料において用いるための適当なポリエステル樹脂は、1種又はそれ以上の多酸分子と1種又はそれ以上のポリオール分子の反応により形成された樹脂を含む。
【0019】
適当な多酸は、アジピン酸、アゼライン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、テレフタル酸並びにそれらの無水物及びエステル、並びにそれらの混合物を包含する。現時点で好ましい多酸は、イソフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸を包含する。
【0020】
適当なポリオール分子は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール(「NPG」,NPGは或る具体的態様においては好ましくはないけれども)、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、置換プロパンジオール(たとえば、2−メチル−1,3−プロパンジオール)、置換ブタンジオール、置換ペンタンジオール、置換ヘキサンジオール、ジエチレングリコール及びトリオール、並びにそれらの混合物を包含する。現時点で好ましいポリオールは、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを包含する。
【0021】
好ましい具体的態様(たとえば、アルコール飲料缶)において、ポリエステル樹脂を作るために用いられたポリオール分子は、NPGを実質的に含まず、一層好ましくはNPGを本質的に含まず、最も好ましくはNPGを本質的に全く含まず、そして最適にはNPGを全く含まない。
【0022】
好ましい低Tgポリエステル樹脂は、約50℃未満一層好ましくは25℃未満最も好ましくは15と25℃の間のガラス転移温度を有する。
【0023】
好ましい組成物は、約60と95重量パーセントの間一層好ましくは約65と85重量パーセントの間のポリエステル樹脂(組成物の固形分含有量を基準として、すなわち揮発性担体を含めないで)を含む。
【0024】
低Tgと高Tgのポリエステルの配合物は用いられ得る。一つの好ましい具体的態様において、配合物は、総ポリエステルの重量を基準として、約50と100重量パーセントの間の低Tgポリエステル及び約0と50重量パーセントの間の高Tgポリエステルを含む。一層好ましい具体的態様において、配合物は、ポリエステル成分の総重量を基準として、約60と90重量パーセントの間の低Tgポリエステル及び10と40重量パーセントの間の高Tgポリエステルを含む。最適には、配合物は、ポリエステル成分の総重量を基準として、約70と90重量パーセントの間の低Tgポリエステル及び10と30重量パーセントの間の高Tgポリエステルを含む。
【0025】
本発明において用いるための適当なポリエステルは、少なくとも4,000ダルトン一層好ましくは少なくとも5,000ダルトン最も好ましくは5,000と20,000ダルトンの間最適には約5,000と12,000ダルトンの間の数平均分子量(末端基分析に基づいて)を有する。ひび割れを避けるために、好ましいポリエステルは、典型的には、無定形である。
【0026】
本発明において用いるための好ましいポリエステルは、約5未満一層好ましくは約4.5未満最も好ましくは約4の酸価を有する。酸価(本組成物に関して用いられる場合)は、固体多酸ポリマーの1グラムを中和するのに必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数である。無水物含有ポリマーの酸価は、最初に無水物含有ポリマーを加水分解して対応する多酸ポリマーを得ることにより決定される。次いで、酸価は多酸ポリマーについてと同じ態様にて決定される。
【0027】
本発明において用いるための好ましいポリエステルは、約20未満一層好ましくは約15未満のヒドロキシル価(OH価)を有する。本発明のヒドロキシル含有ポリマーのヒドロキシル価は、(i)ポリマーを酢酸無水物及びピリジンでもってエステル化してエステル化ポリマー及び酢酸を得、そして(ii)次いでこの酢酸を水酸化カリウムで中和することにより決定される。単位は酸価と同様に表され、すなわち、ヒドロキシル含有ポリマーの1グラム当たり上記に記載されたようにして形成された酢酸を中和するのに必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数である。
【0028】
上記のポリエステル樹脂内に、2003年2月12日に出願された同時係属米国特許出願第10/365,064号(代理人参照番号061597 0101)の明細書に記載されたポリエステル−ポリウレタン樹脂が包含され、しかして該明細書の開示は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0029】
本発明に従って、塗料組成物は、更に架橋用樹脂を含む。周知のヒドロキシル反応性の硬化用樹脂のいずれも用いられ得る。フェノプラスト及びアミノプラスト硬化剤が好ましい。典型的には、架橋剤は、アミノプラスト樹脂である。アミノプラスト樹脂は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド及びベンズアルデヒドのようなアルデヒドと、尿素、メラミン及びベンゾグアナミンのようなアミノ又はアミド基含有物質との縮合生成物である。有用なアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール及びエトキシエタノールのような一価アルコールを包含する。
【0030】
適当な架橋用樹脂の例は、制限なしに、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂を包含する。好ましくは、本発明を実施する場合に用いられる架橋剤は、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む。特に有用な架橋剤の一つの特定例は、シメル(CYMEL)1123の商品名下でCytec Industries, Inc.から商業的に入手できるところの、完全にアルキル化されたベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0031】
尿素−ホルムアルデヒド及びエステル化メラミン−ホルムアルデヒド硬化剤は用いられ得る。フェノプラスト樹脂は、アルデヒドとフェノールの縮合生成物を包含する。ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドが、好ましいアルデヒドである。フェノール、クレゾール、p−フェニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール及びシクロペンチルフェノールのような、様々なフェノールが用いられ得る。
【0032】
他の一般的に適当な硬化剤の例として、ブロックされた又はブロックされていない脂肪族、脂環式又は芳香族二価、三価又は多価イソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、等のような)がある。
【0033】
必要とされる硬化剤のレベルは、硬化剤のタイプ、焼付けの時間及び温度、並びにポリマーの分子量に依存する。架橋剤は、典型的には、約5から40重量%の間の範囲の量にて存在する。架橋剤は、好ましくは10から30重量%の間一層好ましくは15から25重量%の間の範囲の量にて存在する。これらの重量百分率は、塗料組成物中の樹脂固形分の総重量を基準とする。
【0034】
所望される場合、塗料組成物は、随意に、ペンダントグリシジル基を有する1種又はそれ以上のアクリレートコポリマーを含み得る。適当なかかるアクリルコポリマーは、米国特許第6,235,102号明細書に記載されており、しかして該明細書は参照することにより本明細書に組み込まれる。随意アクリル樹脂は、典型的には、約0から20重量%の間の範囲の量にて存在する。アクリル樹脂は、好ましくは0から15重量%の間一層好ましくは2から10重量%の間最適には6から10重量%の間の範囲の量にて存在する。これらの重量百分率は、塗料組成物中の樹脂固形分の総重量を基準とする。
【0035】
本発明において有用であるところのペンダントグリシジル基を有する適当なアクリレートコポリマーは、好ましくは約30から80重量%一層好ましくは約40から70重量%最も好ましくは約50から70重量%のグリシジル基含有モノマーたとえばグリシジルメタクリレートを含有する。
【0036】
グリシジル基を含有する適当なモノマーは、炭素−炭素二重結合及びグリシジル基を有するいかなるモノマーをも包含する。典型的には、モノマーは、アルファ,ベータ−不飽和酸又はその無水物のグリシジルエステルである。適当なアルファ,ベータ−不飽和酸は、モノカルボン酸又はジカルボン酸を包含する。かかるカルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、アルファ−クロロアクリル酸、アルファ−シアノアクリル酸、ベータ−メチルアクリル酸(クロトン酸)、アルファ−フェニルアクリル酸、ベータ−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アルファ−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、ベータ−ステアリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、マレイン酸無水物及びそれらの混合物を包含するが、しかしそれらに限定されない。グリシジル基を含有するモノマーの特定例は、グリシジル(メト)アクリレート(すなわち、グリシジルメタクリレート及びグリシジルアクリレート)、モノ及びジグリシジルイタコネート、モノ及びジグリシジルマレエート並びにモノ及びジグリシジルホルメートである。アリルグリシジルエーテル及びビニルグリシジルエーテルがモノマーとして用いられ得る、ということも想定される。
【0037】
アクリレートコポリマーは最初にアルファ,ベータ−不飽和酸とアルキル(メト)アクリレートのコポリマーであり得、そして次いでグリシジルハライド又はトシレートたとえばグリシジルクロライドと反応されて、ペンダントグリシジル基がアクリレートコポリマー上に置かれる、ということも指摘されるべきである。アルファ,ベータ−不飽和カルボン酸は、たとえば、上記に列挙された酸であり得る。
【0038】
代替の具体的態様において、ペンダントヒドロキシル基を有するアクリレートコポリマーが最初に形成される。ペンダントヒドロキシル基を有するアクリレートコポリマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート又は3−ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなモノマーをアクリレートコポリマー中に組み込むことにより製造され得る。次いで、このコポリマーが反応されて、ペンダントグリシジル基がアクリレートコポリマー上に置かれる。
【0039】
グリシジル基を含有する好ましいモノマーは、グリシジル(メト)アクリレートである。
【0040】
アクリルコポリマーは、随意に、構造CH2=C(R1)−CO−OR2(ここで、R1は水素又はメチルであり、そしてR2は1から16個の炭素原子を含有するアルキル基である)を有するアルキル(メト)アクリレートを含み得る。R2基は、1個又はそれ以上典型的には1から3個の、たとえばヒドロキシ、ハロ、アミノ、フェニル及びアルコキシのような部で置換され得る。それ故、コポリマーにおいて用いるための適当なアルキル(メト)アクリレートは、ヒドロキシアルキル(メト)アクリレート及びアミノアルキル(メト)アクリレートを包含する。アルキル(メト)アクリレートは、典型的には、アクリル又はメタクリル酸のエステルである。好ましくは、R1はメチルであり、そしてR2は2から8個の炭素原子を有するアルキル基である。最も好ましくは、R1はメチルであり、そしてR2は2から4個の炭素原子を有するアルキル基である。アルキル(メト)アクリレートの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、2−アミノエチル、2−ヒドロキシエチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、デシル、イソデシル、ベンジル、2−ヒドロキシプロピル、ラウリル、イソボルニル、オクチル及びノニル(メト)アクリレートを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0041】
アクリルコポリマーは、好ましくは、スチレン、ハロスチレン、イソプレン、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、共役ブタジエン、アルファ−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン及びそれらの混合物のようなビニルモノマーから成る群から選択されたものを含む。他の適当な重合性ビニルモノマーは、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルステアレート、イソブトキシメチルアクリルアミド、等を包含する。
【0042】
上記のモノマーは、標準的なフリーラジカル重合技法により、たとえば過酸化物又はペルオキシエステルのような開始剤を用いて重合されて、約2,000から15,000好ましくは約2,500から10,000最も好ましくは約3,000から8,000の数平均分子量(Mn)を有するコポリマーをもたらし得る。
【0043】
本発明の塗料組成物はまた、塗料組成物又はそれから生じる硬化塗膜組成物に悪影響を及ぼさない他の随意成分を含み得る。かかる随意成分は、典型的には、組成物の審美性を高めるために、組成物の製造、加工、取扱い及び施用を容易にするために、並びに塗料組成物又はそれから生じる硬化塗膜組成物の特定の機能的性質を更に改善するために、塗料組成物中に含められる。
【0044】
かかる随意成分は、たとえば、触媒、染料、顔料、トナー、エキステンダー、充填剤、滑剤、腐食防止剤、流れ調整剤、チキソトロープ剤、分散剤、酸化防止剤、付着促進剤、光安定剤及びそれらの混合物を包含する。各随意成分は、その所期目的にかなうのに十分な量にて、しかし塗料組成物又はそれから生じる硬化塗膜組成物に悪影響を及ぼすような量でない量にて含められる。
【0045】
一つの随意成分は、硬化速度を増加するべき触媒である。触媒は、非揮発性物質の好ましくは0から約1重量%一層好ましくは約0.05から約1重量%最も好ましくは約0.1から0.5重量%の量にて存在する。触媒の例は、強酸(たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸(ddbsa,サイキャット(CYCAT)600として入手できる)、msa、ptsa、dnndsa及びトリフル酸(triflic acid)(トリフルオロメタンスルホン酸))、第4級アンモニウム化合物、リン化合物並びにスズ及び亜鉛化合物(テトラアルキルアンモニウムハライド、テトラアルキル又はテトラアリールホスホニウムヨーダイド又はアセテート、オクタン酸スズ、オクタン酸亜鉛、トリフェニルホスフィンのような)、並びに当業者に知られた同様な触媒を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0046】
別の有用な随意成分は、塗装金属基材の板に滑性を付与することにより金属クロージャーの製造を容易にするところの、ロウのような滑剤である。滑剤は、好ましくは、塗料組成物中に非揮発性物質の0から約2重量%好ましくは約0.1から約2重量%の量にて存在する。好ましい滑剤は、たとえば、カルナウバロウ及びポリエチレンタイプの滑剤を包含する。
【0047】
別の有用な随意成分は、二酸化チタンのような顔料である。二酸化チタンのような顔料は、随意に、塗料組成物中に0から約50%の量にて存在する。
【0048】
一つの具体的態様において、塗料組成物は、樹脂、架橋剤及び他の随意成分が担体好ましくは非水性担体中に分散されている液状組成物である。一般に、担体は、約220から260℃にて約10から30秒間の加熱中においてのような硬化過程中において、塗料組成物から本質的に完全に蒸発するのに十分な揮発性を有する。
【0049】
適当な非水性担体は、塗料組成物の技術において知られており、そしてたとえばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル;シクロヘキサノン、エチルアリールケトン、メチルアリールケトン及びメチルイソアミルケトンのようなケトン;アロマチック(Aromatic)100、ブチルセロソルブ、トルエン、ベンゼン及びキシレンのような芳香族炭化水素;ミネラルスピリット、ケロシン及びナフサのような脂肪族炭化水素;イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール及びエチルアルコールのようなアルコール;並びにテトラヒドロフランのような非プロトン性溶媒;塩素化溶媒;エステル(たとえば、二塩基性エステル);プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル;並びにそれらの混合物を包含するが、しかしそれらに限定されない。本塗料組成物は、水を含み得(これは好ましくはないけれども)、好ましくは多くて比較的低量の水(組成物の総重量の約5%までのような)を含み得る、ということが理解されるべきである。水は組成物に意図的に添加され得、あるいは組成物中に偶然に(塗料組成物中に含められる特定の成分中に水が存在する場合のように)存在し得る。
【0050】
組成物中に含められる担体の量は、組成物の所望される又は必要なレオロジー的性質のみにより制限される。通常、容易に加工され得る及び金属基材に容易に且つ均一に施用され得る組成物をもたらすのに十分な且つ所望の硬化時間内で硬化中に塗料組成物から十分に除去されるのに十分な量の担体が、塗料組成物中に含められる。好ましい塗料組成物は、10と50%の間の固形分一層好ましくは20と40%の間の固形分を有する。
【0051】
上記の塗料組成物は、ツーピース缶用塗料として用いるのに特によく適応する。ツーピース缶は、缶胴(典型的には、絞り金属胴)を缶蓋(典型的には、絞り金属蓋)と接合することにより製造される。本発明の塗料は、食品接触状況で用いるのに適しており、またかかる缶の内面にて用いられ得る。塗料はまた、缶の外面にて用いるのに適する。とりわけ、本塗料は、コイルコーティング操作にて用いるのによく適応する。この操作において、適当な基材(たとえば、アルミニウム又は鋼の板金)のコイルが最初に本発明の塗料組成物で塗装され(片面又は両面に関して)、硬化され(たとえば、焼付け法を用いて)、そしてこの硬化された基材は次いで缶蓋若しくは缶胴又は両方に成形される(たとえば、打抜き又は絞りにより)。次いで、缶蓋及び缶胴は、その中に入れられる食品又は飲料と共に、一緒にシールされる。
【0052】
次の例は、本発明の理解を助けるために呈され、そして本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。別段指摘されていなければ、部及び百分率はすべて重合による。
【0053】
記載された構築物は、次のような試験により評価された。
付着性
塗膜が塗装基材に付着するかどうかを査定するために、付着性試験を行った。ミネソタ州セイントポールの3M Companyから入手できるスコッチ(SCOTCH)610テープを用いて、ASTM D 3359−試験方法Bに従って、付着性試験を行った。付着性は、一般に、0〜10の尺度にて等級付けされ、しかして「10」の等級は付着破壊がないことを指摘し、「9」の等級は塗膜の90%が付着されたままであったことを指摘し、「8」の等級は塗膜の80%が付着されたままであったことを指摘し、等。
【0054】
耐溶媒性
塗膜の硬化を、メチルエチルケトン(MEK)又はアセトンのような溶媒に対する耐性として測定する。ASTM D 5402−93に記載されているように、この試験を行った。二重擦り(すなわち、1回の前後運動)の数を報告する。
【0055】
カブリ抵抗性
カブリ抵抗性は、様々な溶液による攻撃に抵抗するべき塗膜の能力を測定する。典型的には、カブリは、塗装膜中に吸収される水の量により測定される。該膜が水を吸収する時、それは一般に曇ったようになり又は白く見える。カブリは、一般に、0から10の尺度を用いて目視測定され、しかして「10」の等級はカブリがないことを指摘し、そして「0」の等級は膜の完全な白化を指摘する。
【0056】
滅菌又は低温殺菌
滅菌又は低温殺菌試験は、容器中に包装される種々のタイプの食品についての加工条件を塗膜がいかに耐えるかを決定する。典型的には、塗装基材を水浴中に浸漬し、そして65から100℃の範囲の温度にて5〜60分間加熱する。本評価のために、塗装基材を脱イオン水浴中に85℃にて45分間浸漬した。次いで、塗装基材を水浴から取り出し、そして上記に記載されたように塗膜の付着性及びカブリについて試験した。
【0057】
耐加工性又は耐レトルト性
これは、熱及び圧力への暴露後の塗装基材の分解の尺度である。手順は、滅菌又は低温殺菌試験と同様である。試験は、基材を105から130℃の範囲の熱及び0.7から1.05kg/cm2の範囲の圧力に15から90分の期間付すことにより成し遂げられる。本評価のために、塗装基材を脱イオン水中に浸漬し、そして121℃の熱及び1.05kg/cm2の圧力に90分の期間付した。次いで、塗装基材を、上記に記載されたように付着性及びカブリについて試験した。
【0058】
二次加工
この試験は、飲料缶蓋を作るのに必要な成形過程を受けるときに完全性を保持するべき塗装基材の能力を測定する。それは、成形蓋における亀裂又は破損の有無の尺度である。典型的には、電解質溶液で満たされたカップ上に蓋を置く。カップを反転して、蓋の表面を電解質溶液に暴露する。次いで、蓋を通る電流の量を測定する。二次加工後に塗膜が無傷のままである(亀裂又は破損がない)ならば、最小電流が蓋を通る。
【0059】
本評価のために、202標準規格の最初の部分を完全に変えて、脱イオン水中1重量%NaClで構成された電解質溶液に、飲料蓋を4秒の期間暴露した。イリノイ州シカゴのWikens-Anderson Companyから入手できるWACOエナメルレーター(WACO Enamel Rater)IIを用いて、6.3ボルトの出力電圧でもって、金属露出を測定した。ミリアンペアにての測定電流を報告する。
【0060】
上記に記載されたように試験される場合、本発明の好ましい塗膜は、10ミリアンペア未満一層好ましくは5ma未満最も好ましくは1ma未満最適には0.5ma未満通す。
【0061】
塩化銅抵抗性
この試験もまた、飲料缶蓋を作るのに必要な成形過程を受けるときに完全性を保持するべき塗装基材の能力を測定するために用いられる。この試験において、二次加工された缶蓋を、塩化銅溶液に24時間の期間暴露する。銅は、蓋中に存在し得るいずれの亀裂又は破損中にも沈着する。この試験は、上記に記載された二次加工試験より識別力がある。
【0062】
二次加工後、缶蓋を平坦表面上に、蓋の塗装面を上に向けて置く。次いで、脱イオン水中のCuCl(II)・2H2Oの2%(重量により)溶液で、蓋を満たす。24時間後、溶液を蓋から除去し、そして銅沈着について蓋を目視的に等級付けする。
【0063】
ひび割れ−耐裏面衝撃性
裏面衝撃は、半球ヘッドを有する鋼製ポンチにより衝撃が与えられる時に遭遇される変形に耐えるべき塗装基材の能力を測定する。本評価のために、BYK−ガードナー(BYK-Gardner)「包括」型曲げ・衝撃試験機を用いて塗装基材を12in−lb(1.36N−m)の力に付し、そして微小亀裂又は微小破損(普通、ひび割れと称される)について目視的に等級付けした。塗装されていない面すなわち裏面において、試験片に衝撃を与えた。
【0064】
Tベンド試験
これは、塗膜の可撓性特性を測定するために用いられる別の方法である。この試験において、3mm直径の円筒形マンドレルを用いて、塗装基材の小さい試料(典型的には、5cm×5cm)を180度の角度にて曲げる。曲げ後、試験片の塗装面は、外側に向いている。
【0065】
試験片と同じタイプ及び厚さの未塗装基材を用いて、スペーサーを試験片の折り目中に置く。0Tベンドはスペーサーを有さず、1Tベンドは1枚のスペーサーを有し、2Tは2枚のスペーサーを有し、等。スペーサーを有する試験片を、2枚の7.5×12.5cmの鋼板の間に置く。次いで、これらの鋼板に衝撃を与えて、曲がり域を本質的に平坦にする。鋼板から試験片を取り出した後、二次加工下で上記に記載されたように、ベンドを電解質溶液に暴露しそして電流を測定することにより、ベンドにおける亀裂又は破損の度合いを決定する。
【0066】
本評価のために、1Tベンド試験を用いた。試験片を、40in−lbの力に付した。ベンドを通る測定電流を、ミリアンペアにて報告する。
【0067】
フェザリング
フェザリングは、飲料缶蓋のタブ上の塗膜の付着性損失を記述するために用いられる用語である。飲料缶が開けられる時、塗膜がタブにおける付着性を失うならば、缶の口を横切って膜が存在することになる。これがフェザリングである。
【0068】
フェザリングを試験するために、10cm×15cmの塗装パネルを用いる。パネルの塗装面を下に向けて、標準的な万能ナイフ又はカミソリ刃を用いて、逆Vを基材中にけがく。基材の列理に垂直な方向における試験パネルの縁の片方に沿った中点において、Vはけがかれる。Vの頂点は、試験片の縁から2.5cmである。Vの両辺は、試験片の縁まで延びる。Vの開きすなわち最上部は、この縁において4cmの幅がある。刻線の深さは、試験片の厚さの75%であるべきである。次いで、金属剪断機を用いて、試験パネルの該縁にて開始して、各けがき線に沿って10mmの切れ目を作る。次いで、上記の低温殺菌下で記載されたように、試験片を低温殺菌する。
【0069】
低温殺菌後、やっとこを用いて、切れ目「タブ」を90度の角度に曲げて、基材の塗装面から離す。次いで、塗装面を下にして、試験片を平坦表面上に置く。やっとこを用いて切れ目「タブ」を掴み、そして「タブ」を180度の角度にて試験パネルから引っ張って、それを完全に取り去る。「タブ」を取り去った後、試験パネル上の開口部中に延在する塗膜を測定する。最大進入(フェザリング)の距離を、ミリメートルにて報告する。
【実施例】
【0070】
例1
実験1:低Tgポリエステルの製造
撹拌機、温度計、充填カラム、水凝縮器、ディーン・スタークトラップ及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、127グラム(1.41モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオール、22.3グラム(0.36モル)のエチレングリコール、133.6グラム(0.804モル)のテレフタル酸及び0.45グラムの1−クロロ−3−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラブトキシジスタノキサン(CHTD)触媒を装填した。充填カラムの上の頭部温度を100℃未満に連続的に維持しながら、このバッチを220℃に加熱した。水凝縮物を、ディーン・スタークトラップ中に捕集した。バッチ中の液状内容物が清澄になった後、このバッチを180℃に冷却し、そして97.9グラム(0.486モル)のセバシン酸及び69.3グラム(0.417モル)のイソフタル酸を添加した。次いで、このバッチを220℃に加熱し、水凝縮物をディーン・スタークトラップ中に捕集した。このバッチに、25グラムのシクロヘキサノンを添加した。次いで、50グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加し、そして温度を234℃に加熱した。次いで、この反応物を冷却し、そして更に300グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加した。生じたポリエステルは、49.6%の非揮発物(NVM)、3.3の酸価、14のOH価、24,780のMw、8,740のMn、2.8のMw/Mn及び5.9℃のTgを有していた。
【0071】
実験2:低Tgポリエステルの製造
撹拌機、温度計、充填カラム、水凝縮器、ディーン・スタークトラップ及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、128.7グラム(1.43モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオール、22.3グラム(0.36モル)のエチレングリコール、148.5グラム(0.894モル)のテレフタル酸及び0.45グラムのCHTD触媒を装填した。充填カラムの上の頭部温度を100℃未満に連続的に維持しながら、このバッチを220℃に加熱した。水凝縮物を、ディーン・スタークトラップ中に捕集した。バッチ中の液状内容物が清澄になった後、このバッチを180℃に冷却し、そして75.2グラム(0.372モル)のセバシン酸及び76.8グラム(0.462モル)のイソフタル酸を添加した。次いで、このバッチを220℃に加熱し、水凝縮物をディーン・スタークトラップ中に捕集した。このバッチに、25グラムのシクロヘキサノンを添加した。次いで、50グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加し、そして温度を234℃に加熱した。次いで、この反応物を冷却し、そして更に300グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加した。生じたポリエステルは、52.6%のNVM、2.7の酸価、10のOH価、12,890のMw、4,780のMn、2.7のMw/Mn及び13.5℃のTgを有していた。
【0072】
実験3:低Tgポリエステルの製造
この実験は上記の例1の実験2と同様に製造されたが、但しテレフタル酸とイソフタル酸の組合わせの代わりに、225.3グラム(1.36モル)のテレフタル酸を用いた。生じたポリエステルは、52.7%のNVM、4.6の酸価、7のOH価、23,667のMw、5,797のMn、4.1のMw/Mn及び15.9℃のTgを有していた。
【0073】
実験4:低Tgポリエステルの製造
この実験は例1の実験2と同様であったが、但し用いられた触媒はCHTDの代わりに、スズ酸ブチル(Butyl Stannoic Acid)であった。生じたポリエステルは、52.6%のNVM、3.0の酸価、17のOH価、24,270のMw、7,032のMn、3.45のMw/Mn及び5.8℃のTgを有していた。
【0074】
実験5:低Tgポリエステルの製造
撹拌機、温度計、充填カラム、水凝縮器、ディーン・スタークトラップ及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、127グラム(1.41モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオール、22.3グラム(0.36モル)のエチレングリコール、262.5グラム(1.58モル)のテレフタル酸及び0.45グラムのスズ酸ブチル触媒を装填した。充填カラムの上の頭部温度を100℃未満に連続的に維持しながら、このバッチを220℃に加熱した。水凝縮物を、ディーン・スタークトラップ中に捕集した。バッチ中の液状内容物が清澄になった後、このバッチを180℃に冷却し、そして69.3グラム(0.12モル)の(ダイマー脂肪酸)エムポール(Empol)1008及び69.3グラム(0.417モル)のイソフタル酸を添加した。次いで、このバッチを220℃に加熱し、水凝縮物をディーン・スタークトラップ中に捕集した。このバッチに、25グラムのシクロヘキサノンを添加した。次いで、50グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加し、そして温度を234℃に加熱した。次いで、この反応物を冷却し、そして更に300グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加した。生じたポリエステルは、52.9%のNVM、2の酸価、7のOH価、21,770のMw、9,450のMn、2.3のMw/Mn及び26.6℃のTgを有していた。
【0075】
実験6:低Tgポリエステルの製造
撹拌機、温度計、充填カラム、水凝縮器、ディーン・スタークトラップ及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、128.7グラム(1.43モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオール、21.1グラム(0.34モル)のエチレングリコール、225.3グラム(1.36モル)のテレフタル酸及び0.45グラムのCHTD触媒を装填した。充填カラムの上の頭部温度を100℃未満に連続的に維持しながら、このバッチを220℃に加熱した。水凝縮物を、ディーン・スタークトラップ中に捕集した。バッチ中の液状内容物が清澄になった後、このバッチを180℃に冷却し、そして75.3グラム(0.372モル)のセバシン酸及び76.8グラム(0.417モル)のイソフタル酸を添加した。次いで、このバッチを220℃に加熱し、水凝縮物をディーン・スタークトラップ中に捕集した。このバッチに、25グラムのシクロヘキサノンを添加した。次いで、50グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加し、そして温度を234℃に加熱した。次いで、この反応物を冷却し、そして更に300グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加した。生じたポリエステルは、53.2%のNVM、2.5の酸価、4のOH価、30,020のMw、11,670のMn及び2.6のMw/Mnを有していた。
【0076】
実験7:低Tgポリエステルの製造
この実験は例1の実験3と同様であったが、但し用いられた触媒はCHTDの代わりに、スズ酸ブチルであった。生じたポリエステルは、49.9%のNVM、3.6の酸価、16のOH価、30,550のMw、5,560のMn及び5.5のMw/Mnを有していた。
【0077】
実験8:低Tgポリエステルの製造
この実験は例1の実験3と同様であったが、但し生成物をアロマチック(Aromatic)150の代わりに、シクロヘキサノンを用いて希釈した。生じたポリエステルは、52.0%のNVM、5.6の酸価、11のOH価、19,720のMw、5,150のMn及び3.8のMw/Mnを有していた。
【0078】
実験9:低Tgポリエステルの製造
この実験は、次のこと以外は例1の実験3と同様であった。すなわち、180.2グラム(1.085モル)のテレフタル酸及び45.15グラム(0.27モル)のイソフタル酸、並びにCHTDの代わりに0.45グラムのスズ酸ブチル触媒を用いた。生じたポリエステルは、50.0%のNVM、1.7の酸価、18のOH価、18,070のMw、9,830のMn、1.8のMw/Mn及び13.4℃のTgを有していた。
【0079】
実験10:低Tgポリエステルの製造
この例は例1の実験3と同様であるが、但し10%のテレフタル酸をイソフタル酸で置き換えた。触媒は、スズ酸ブチルであった。バッチをキシレン/DBE=2/1で、50%固形分に希釈した。最終生成物組成物は、NVM=50.8%、酸価=2.2、OH価=12、Tg=15.3℃、Mw=20,290、Mn=4,900及びMw/Mn=4.14であった。
【0080】
例2
高Tgポリエステルの製造
撹拌機、温度計、充填カラム、ディーン・スタークトラップ、水凝縮器及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、203.8グラム(1.05モル)のジメチルテレフタレート、167.1グラム(0.86モル)のジメチルイソフタレート、67.8グラム(0.73モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオール、158.5グラム(2.55モル)のエチレングリコール、77.9グラム(0.54モル)の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び0.2グラムのCHTD触媒を装填した。充填カラムの上の頭部温度を65℃未満に連続的に維持しながら、このバッチを224℃に加熱し、そして122グラムのメタノールをディーン・スタークトラップ中に捕集した。次いで、このバッチに、48グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加した。
【0081】
充填カラムを取り去った後、このバッチを228℃に加熱して、グリコール(ほとんどエチレングリコール)とアロマチック(Aromatic)150の共沸混合物(頭部温度154℃)を捕集した。底部層(グリコール)を、ディーン・スタークトラップから集めた。6時間後、更に50グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加した。バッチ温度を238℃にゆっくり上げ、そして底部層を集めた。106グラムの底部層が集められた。更に100グラムのアロマチック(Aromatic)150の添加後、留出するグリコールが存在しなくなるまで、238℃への共沸過程を繰り返した。この段階におけるバッチ重量は638グラムであり、そしてNVMは約69%であった。100グラムのアロマチック(Aromatic)150の添加により、これを56%固形分に希釈して、NVMを56%に下げた。生じた樹脂は、非常に高い粘度を有していた。716グラムのこの樹脂を82グラムのシクロヘキサノンで希釈して、51%にした。
【0082】
生じたポリエステルは、51%のNVM、<1の酸価、23のOH価、22,770のMw、6,270のMn、3.6のMw/Mn及び61.6℃のTgを有していた。
【0083】
例3
高Tgポリエステルの製造
撹拌機、温度計、充填カラム、ディーン・スタークトラップ、水凝縮器及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、295.6グラム(3.28モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオール、186.2グラム(3モル)のエチレングリコール、346.54グラム(4.81モル)の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、636.3グラム(7.66モル)のテレフタル酸を装填した。このバッチを120℃に加熱し、そして2.2グラムのスズ酸ブチルを添加した。充填カラムの上の頭部温度を100℃未満に連続的に維持しながら、このバッチを224℃にゆっくり加熱し、そして形成水を留去した。このバッチが清澄に見えるようになった後、775.87グラム(4.7モル)のイソフタル酸を添加した。形成水を留去しながら、バッチの温度を220℃に維持した。次いで、このバッチを170℃に冷却し、そして100グラムのシクロヘキサノンを添加した。次いで、形成水を除去しながら、温度を220℃に上げた。次いで、充填カラムを取り去り、そして温度を232℃に上げた。次いで、800グラムのアロマチック(Aromatic)200を添加した。生じたポリエステルは、53%のNVM、2.7の酸価、2のOH価、30,590のMw、11,500のMn、2.7のMw/Mn及び66.2℃のTgを有していた。
【0084】
例4
低Tgポリエステル−ポリウレタンの製造
実験1:ポリエステル中間体の製造
撹拌機、温度計、充填カラム、ディーン・スタークトラップ、水凝縮器及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、135グラム(1.5モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオール、22.3グラム(0.36モル)のエチレングリコール、180.3グラム(1.086モル)のテレフタル酸を装填した。このバッチを120℃に加熱し、そして0.45グラムのスズ酸ブチルを添加した。充填カラムの上の頭部温度を100℃未満に連続的に維持しながら、このバッチを220℃にゆっくり加熱し、そして形成水を留去した。このバッチが清澄に見えるようになった後、45.2グラム(0.27モル)のイソフタル酸及び75.2グラム(0.37モル)のセバシン酸を添加した。形成水を留去しながら、バッチの温度を220℃に維持した。次いで、このバッチを170℃に冷却し、そして25グラムのシクロヘキサノンを添加した。次いで、形成水を除去しながら、温度を220℃に上げた。次いで、充填カラムを取り去り、そして温度を232℃に上げた。次いで、337グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加した。生じたポリエステルは、48.6%のNVM、2.0の酸価、37のOH価、9,790のMw、3,100のMn、3.2のMw/Mn及び10.6℃のTgを有していた。
【0085】
実験2:ポリエステル−ポリウレタンの製造
撹拌機、温度計、水凝縮器及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、200グラムの上記の実験1において製造されたポリエステル中間体、7.2グラムのイソホロンジイソシアネート及び0.2グラムのジブチルスズジラウレートを装填した。このバッチを窒素ブランケット下で、75℃に加熱しそして6時間維持した。次いで、55グラムのアロマチック(Aromatic)150を添加した。生じたポリエステル−ポリウレタンは、39.8%の固形分、59,460のMw、7,800のMn、7.6のMw/Mn及び28.3℃のTgを有する。
【0086】
例5
高Tgポリエステル−ポリウレタンの製造
実験1:ポリエステル中間体の製造
撹拌機、温度計、充填カラム、ディーン・スタークトラップ、水凝縮器及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、634.8グラム(3.27モル)のジメチルテレフタレート、520.6グラム(2.68モル)のジメチルイソフタレート、204.9グラム(2.27モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオール、493.7グラム(7.95モル)のエチレングリコール、242.6グラム(1.68モル)のシクロヘキサンジメタノール及び0.35グラムのタイゾール(Tyzor)TOT触媒を装填した。充填カラムの上の頭部温度を64℃未満に連続的に維持しながら、このバッチを窒素ブランケット下で220℃に加熱し、そして形成メタノールを留去した。352グラムのメタノールが捕集された後、このバッチを170℃に冷却した。次いで、充填カラムを取り去った。このバッチが清澄に見えるようになった後、45.2グラム(0.27モル)のイソフタル酸及び75.2グラム(0.37モル)のセバシン酸を添加した。形成水を留去しながら、バッチの温度を220℃に維持した。次いで、このバッチを170℃に冷却し、そして25グラムのシクロヘキサノンを添加した。次いで、形成水を除去しながら、温度を220℃に上げた。次いで、充填カラムを取り去り、そして温度を真空下で5mmの水銀柱にて232℃に上げた。次いで、370グラムのポリオール凝縮物を捕集した。次いで、このバッチを冷却し、そして100パーセント固形分として単離した。生じたポリエステルは、25のOH価、10,960のMw、4,140のMn、2.6のMw/Mn及び59.2℃のTgを有していた。
【0087】
実験2:ポリエステル−ポリウレタンの製造
撹拌機、温度計、水凝縮器及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、320グラムの上記の実験1において製造されたポリエステル中間体、96グラムのジブチルエステル(DBE)、96グラムのダウアノール(Dowanol)PMアセテート、96グラムのソルベッソ100、96グラムのソルベッソ150及び96グラムのブチルセロソルブアセテートを装填した。清澄な均質溶液が得られるまで、このバッチを100℃に加熱した。この清澄な溶液を70℃に冷却し、次いで15.8グラムのイソホロンジイソシアネート及び0.32グラムのジブチルスズジラウレート触媒を添加した。このバッチを窒素ブランケット下で70℃に6時間維持し、そしてこの期間後、FTIRを用いて−NCOの不存在を確認した。このバッチを冷却し、そしてフラスコから排出した。生じたポリエステル−ポリウレタンは、36.3%の固形分、31,050のMw、10,340のMn、3.0のMw/Mn、1のOH価及び72℃のTgを有する。
【0088】
例6
低Tg/高Tgポリエステル−ポリウレタンハイブリッドの製造
撹拌機、温度計、水凝縮器及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、97グラムの例4の実験1のポリエステル中間体(OH価=25)及び200グラムの例5の実験1のポリエステル中間体(OH価=37)を装填した。40%固形分が得られるまで、このポリエステル混合物をアロマチック(Aromatic)150でもって溶解した。このポリエステル混合物を75℃に加熱し、次いで12グラムのイソホロンジイソシアネート及び0.2グラムのジブチルスズジラウレート触媒を添加した。このバッチの温度を、75℃に6時間維持した。、次いで、アロマチック(Aromatic)150を添加して、生成物を35%固形分に希釈した。このバッチを冷却し、そしてフラスコから排出した。生じたポリエステル−ポリウレタンは、35%の固形分、156,960のMw、27,400のMn及び5.7のMw/Mnを有する。
【0089】
例7
低Tg/高Tgポリエステル−ポリウレタンハイブリッドの製造
撹拌機、温度計、水凝縮器、充填カラム、ディーン・スタークトラップ及び窒素導入口が適当に備えられた四口フラスコ中に、93.9グラムの2−メチル−1,3−プロパンジオール(MPジオール)、29.8グラムのエチレングリコール、34.7グラムのシクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び176.3グラムのテレフタル酸を装填した。このバッチを120℃に加熱し、そして0.45グラムのスズ酸ブチルを添加した。用いられたプロセスは、上記の例3のものと同様であった。このバッチが清澄になった後、77.6グラムのイソフタル酸及び38グラムのセバシン酸を添加した。この生成物を、シクロヘキサノンで希釈した。生じたポリエステル−ポリウレタンは、47.5%のNVM、2.2の酸価、20,950のMw、4,680のMn、4.5のMw/Mn、10のOH価及び38.7℃のTgを有する。
【0090】
例8
試料A〜K − 塗料組成物の調製
試料Aは、次のものを含む透明な内面飲料蓋用ライニングである。すなわち、50/30/20(重量により)のキシレン/二塩基性エステル/ブチルセロソルブ中に28.4%にて溶解されたトーヨーボー・バイロン(Toyobo Vylon)GK−330ポリエステル樹脂76.101%、40/30/30(重量により)の二塩基性エステル/キシレン/アロマチック(Aromatic)100中に26.5%にて溶解されたユニチカ・エリテル(Unitika Elitel)UE−9800ポリエステル樹脂13.634%、シメル(Cymel)5010ベンゾグアナミン7.607%、サントリンク(Santolink)EP−560フェノール樹脂0.777%、イソプロピルアルコール中に10%にて溶解されたサイキャット(CYCAT)600酸触媒0.342%、ランコグリッド(Lanco Glidd)LG 4832ポリエチレンロウ溶液1.014%及びスリップ−アイド(Slip-Ayd)SL−506カルナウバロウ溶液0.525%。
【0091】
試料BからIは、60/40(重量により)の二塩基性エステル/キシレンで28.4%に希釈されたポリエステル例1−実験1から8でバイロン(Vylon)GK−330を置き換え、そして60/40(重量により)の二塩基性エステル/キシレンで27.6%に希釈された例3のポリエステルでユニチカ(Unitika)UE−9800を置き換えて、試料Aについて記載されたように調製された透明な飲料蓋用ライニングである(試料Bはポリエステル例1−実験1を利用し、試料Cはポリエステル例1−実験2を利用し、試料Dはポリエステル例1−実験3を利用し、試料Eはポリエステル例1−実験4を利用し、試料Fはポリエステル例1−実験5を利用し、試料Gはポリエステル例1−実験6を利用し、試料Hはポリエステル例1−実験7を利用し、試料Iはポリエステル例1−実験8を利用した)。
【0092】
試料Jは、次の組成でもって調製された透明な飲料蓋用ライニングである。すなわち、60/40(重量により)の二塩基性エステル/キシレンで28.4%に希釈された例1−実験10のポリエステル57.700%、60/40(重量により)の二塩基性エステル/キシレンで27.6%に希釈された例3のポリエステル32.035%、シメル(Cymel)5010ベンゾグアナミン7.607%、サントリンク(Santolink)EP−560フェノール樹脂0.777%、イソプロピルアルコール中に10%にて溶解されたサイキャット(CYCAT)600酸触媒0.342%、ランコグリッド(Lanco Glidd)LG 4832ポリエチレンロウ溶液1.014%及びスリップ−アイド(Slip-Ayd)SL−506カルナウバロウ溶液0.525%。
【0093】
試料Kは、シメル(Cymel)325メラミンでシメル(Cymel)5010ベンゾグアナミンを置き換えて、試料Jについて記載されたように調製された透明な飲料蓋用ライニングである。
【0094】
例9
様々な塗料組成物の試験
化学的に清浄にされ且つ商業的にクロム処理されたアルミニウムパネルに対して、線巻きアプリケーターロッドを用いて塗料を施用して、約7.5mg/in2の乾燥膜厚を得た。ガス燃料型の高空気速度コイルオーブン中で、塗装パネルを249℃のピーク金属温度(PMT)に14秒間硬化した。パネルを空気冷却した。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
以上のように本発明の好ましい具体的態様を記載してきたが、本明細書において見出される教示は、本願に添付された請求項の範囲内で更に他の具体的態様に適用され得る、ということを当業者は容易に理解するであろう。すべての特許、特許文書及び刊行物の完全な開示が、参照することにより、個々に組み込まれているかのように本明細書に組み込まれる。
以下に本願発明に関連する発明に係る実施形態を列挙する。
[実施形態1]
胴部分及び蓋部分を含む缶において、
これらの胴部分及び蓋部分の少なくとも一方は、アルミニウムであり且つ少なくとも一方の主表面に関して塗料組成物で塗装されており、該塗料組成物は、1種又はそれ以上のポリエステル樹脂(これらのポリエステル樹脂の少なくとも一つは約50℃未満のTgを有し、しかもポリエステル樹脂は1種又はそれ以上の多酸分子と1種又はそれ以上のポリオール分子の反応により形成される)、及び架橋剤を含み、
しかも該塗料組成物は、可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を実質的に含まない
缶。
[実施形態2]
塗料組成物が、可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を本質的に含まない、実施形態1に記載の缶。
[実施形態3]
塗料組成物が、可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を本質的に全く含まない、実施形態1に記載の缶。
[実施形態4]
塗料組成物が、結合されたBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物も実質的に含まない、実施形態1に記載の缶。
[実施形態5]
塗料組成物が、可動性のBPA、BADGE、BFDGE及びNOGE化合物を本質的に含まない、実施形態1に記載の缶。
[実施形態6]
ポリエステル樹脂を作るために用いられたポリオール分子が、NPGを実質的に含まない、実施形態1に記載の缶。
[実施形態7]
ポリエステル樹脂の少なくとも一つが、約25℃未満のTgを有する、実施形態2に記載の缶。
[実施形態8]
塗料組成物が2種又はそれ以上のポリエステル樹脂の配合物を含み、しかも該配合物は、約60と90重量パーセントの間の約50℃未満のTgを有するポリエステル樹脂及び約10と40重量パーセントの間の約50℃より大のTgを有するポリエステル樹脂を有する、実施形態1に記載の缶。
[実施形態9]
塗料組成物が2種又はそれ以上のポリエステル樹脂の配合物を含み、しかも該配合物は、約70と90重量パーセントの間の約50℃未満のTgを有するポリエステル樹脂及び約10と30重量パーセントの間の約50℃より大のTgを有するポリエステル樹脂を有する、実施形態3に記載の缶。
[実施形態10]
ポリエステル樹脂が、約5,000と20,000ダルトンの間の数平均分子量を有する、実施形態1に記載の缶。
[実施形態11]
ポリエステル樹脂が、約5未満の酸価を有する、実施形態1に記載の缶。
[実施形態12]
ポリエステル樹脂が、約20未満のOH価を有する、実施形態1に記載の缶。
[実施形態13]
塗料組成物が、固形分含有量を基準として60と95重量パーセントの間のポリエステル樹脂を含む、実施形態1に記載の缶。
[実施形態14]
塗料組成物が、固形分含有量を基準として65と85重量パーセントの間のポリエステル樹脂を含む、実施形態1に記載の缶。
[実施形態15]
塗料組成物が、固形分含有量を基準として10と30重量パーセントの間の架橋剤を含む、実施形態1に記載の缶。
[実施形態16]
塗料組成物が、固形分含有量を基準として2から10重量パーセントのアクリレートコポリマーを更に含む、実施形態1に記載の缶。
[実施形態17]
アクリレートコポリマーが、1個又はそれ以上のグリシジル基を含む、実施形態16に記載の缶。
[実施形態18]
蓋部分がアルミニウムから作られおり、しかも蓋が二次加工される前に、塗料がアルミニウムに施用される、実施形態1に記載の缶。
[実施形態19]
蓋部分の両面が、塗料組成物で塗装されている、実施形態18に記載の缶。
[実施形態20]
缶を製造する方法であって、次の諸工程すなわち
缶胴を形成し、
缶蓋を形成し、
しかも該蓋及び該胴の少なくとも一方を、少なくとも片面に関して塗料組成物で塗装し、該塗料組成物は、1種又はそれ以上のポリエステル樹脂(これらのポリエステル樹脂の少なくとも一つは約50℃未満のTgを有し、しかもポリエステル樹脂は1種又はそれ以上の多酸分子と1種又はそれ以上のポリオール分子の反応により形成される)、及び架橋剤を含み、しかも該塗料組成物は、可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を実質的に含まず、
該胴に液体を充填し、そして
該蓋を該胴に取り付ける
工程を含む方法。
[実施形態21]
塗料組成物を金属板に施用しそして硬化し、次いでこの塗装板を蓋及び胴の少なくとも一方に成形する、実施形態20に記載の方法。
[実施形態22]
アルミニウム基材用の塗料組成物であって、
1種又はそれ以上のポリエステル樹脂(これらのポリエステル樹脂の少なくとも一つは約50℃未満のTgを有する)、及び
架橋剤
を含み、
しかも該塗料組成物は、可動性のBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を実質的に含まず、且つ
該組成物は、アルミニウム基材用の塗料として用いるのに適応し、しかも缶蓋に二次加工されそして本明細書に記載されたように試験される場合に10ミリアンペア未満の電流を通す
塗料組成物。
[実施形態23]
組成物が食品接触向けの包装用塗料の形態にあり、そしてポリエステル樹脂が1種又はそれ以上の多酸分子と1種又はそれ以上のポリオール分子の反応により形成され、しかも該ポリオール分子がNPGを実質的に含まない、実施形態22に記載の塗料組成物。
[実施形態24]
組成物が、缶蓋用の包装用塗料の形態にある、実施形態22に記載の塗料組成物。
[実施形態25]
組成物が、結合されたBPA及び芳香族グリシジルエーテル化合物も実質的に含まない、実施形態22に記載の塗料組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部分及び蓋部分を含む缶において、
これらの胴部分及び蓋部分の少なくとも一方は、アルミニウムであり且つ少なくとも一方の主表面に関して塗料組成物で塗装されており、該塗料組成物は、2種又はそれ以上のポリエステル樹脂の配合物を含み、そのポリエステル樹脂の各々は1種又はそれ以上の多酸分子と1種又はそれ以上のポリオール分子の反応により形成されていて、しかも該配合物は、(i)60と90重量パーセントの間の25℃未満のTgを有するポリエステル樹脂及び(ii)10と40重量パーセントの間の50℃より大のTgを有するポリエステル樹脂、及び架橋剤を含み、前記塗料組成物が、固形分含有量を基準として2から10重量パーセントのアクリレートコポリマーを更に含む、
しかも該塗料組成物は、可動性のビスフェノールA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を実質的に含まない
缶。
【請求項2】
アクリレートコポリマーが、1個又はそれ以上のグリシジル基を含む、請求項1に記載の缶。
【請求項3】
塗料組成物が、固形分含有量を基準として60と95重量パーセントの間のポリエステル樹脂を含む、請求項1又は2に記載の缶。
【請求項4】
塗料組成物が、固形分含有量を基準として10と30重量パーセントの間の架橋剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の缶。
【請求項5】
缶を製造する方法であって、次の諸工程すなわち
缶胴を形成し、
缶蓋を形成し、
しかも該蓋及び該胴の少なくとも一方を、少なくとも片面に関して塗料組成物で塗装し、該塗料組成物は、2種又はそれ以上のポリエステル樹脂の配合物を含み、そのポリエステル樹脂の各々は1種又はそれ以上の多酸分子と1種又はそれ以上のポリオール分子の反応により形成されていて、しかも該配合物は、(i)60と90重量パーセントの間の25℃未満のTgを有するポリエステル樹脂及び(ii)10と40重量パーセントの間の50℃より大のTgを有するポリエステル樹脂、及び架橋剤を含み、前記塗料組成物が、固形分含有量を基準として2から10重量パーセントのアクリレートコポリマーを更に含む、しかも該塗料組成物は、可動性のビスフェノールA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を実質的に含まず、
該胴に液体を充填し、そして
該蓋を該胴に取り付ける
工程を含む方法。
【請求項6】
アルミニウム基材用の塗料組成物であって、
そして1種又はそれ以上の多酸分子と1種又はそれ以上のポリオール分子の反応により形成されていて、しかも該配合物は、(i)60と90重量パーセントの間の25℃未満のTgを有するポリエステル樹脂及び(ii)10と40重量パーセントの間の50℃より大のTgを有するポリエステル樹脂、及び
架橋剤
を含み、前記塗料組成物が、固形分含有量を基準として2から10重量パーセントのアクリレートコポリマーを更に含む、
しかも該塗料組成物は、可動性のビスフェノールA及び芳香族グリシジルエーテル化合物を実質的に含まない
塗料組成物。
【請求項7】
組成物が、結合されたビスフェノールA及び芳香族グリシジルエーテル化合物も実質的に含まない、請求項6に記載の塗料組成物。
【請求項8】
前記架橋剤が、フェノプラスト樹脂である請求項1に記載の缶。

【公開番号】特開2011−16360(P2011−16360A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176380(P2010−176380)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【分割の表示】特願2004−526304(P2004−526304)の分割
【原出願日】平成15年8月1日(2003.8.1)
【出願人】(503302609)バルスパー ソーシング,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】