Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
金属多孔質体の製造方法
説明

金属多孔質体の製造方法

【課題】有機溶媒などを用いることなく簡易な方法で、所望の微細孔、特にナノメータオーダの微細孔を有する金属多孔質体を提供する。
【解決手段】平均粒子径が5nm以上量子効果による融点降下の開始点における粒径以下である第1の金属粒子を準備する。次いで、前記第1の金属粒子を、前記第1の金属粒子の第1の融点よりも低い第2の融点の第2の金属で被覆し、前記第1の金属粒子の表面に前記第2の金属からなる被膜を形成する。次いで、前記被膜を含む前記第1の金属粒子を加熱して前記被膜を溶解させ、得られた溶解物を介して前記第1の金属粒子を結合し、金属多孔質体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にエネルギーデバイスへの応用が可能な金属多孔質体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
比表面積の大きな金属多孔質体は、触媒やガス吸蔵材、ガスセンサ、キャパシタ、選択透過膜等として使用されている。これらの用途においては、比表面積が高いほど各用途における機能性が向上する。
【0003】
従来、金属多孔質体を製造するに際しては、高温焼成時に金属粒子が相互に凝集しやすくなるので、多孔質化に制約が加わり、特にナノメータオーダの微細孔を有する金属多孔質体を製造するのは困難であった。
【0004】
このような状況に鑑みて、特許文献1には、ポリビニルアルコールのフィルムにニッケル化合物を分散吸着させた後、還元性又は非酸化性雰囲気中で加熱することによりポリビニルアルコールフィルムを消失させると共にニッケル化合物を金属Niに還元することにより、ニッケル多孔質体を製造する技術が開示されている。また、特許文献2には、金属ベース化合物及びポリマーを含む粒子を溶媒中に分散させた後、得られた分散液を基材上に塗布した後、溶媒を除去して多孔性の金属含有材料を提供することが開示されている。
【0005】
特許文献3には、予め所定の大きさの多孔質基体を準備し、この多孔質基体に対してナノ粒子を含むスラリー及びエアロゾルを供給し、多孔質基体に対して多孔質焼結ナノ粒子の層を形成する方法が開示されている。また、特許文献4には、カップリング剤又は該カップリング剤の反応物を含む下地層を備える基材の、当該下地層上に、結合剤を含まない金属ナノ粒子コロイド溶液からなる塗膜を形成し、この塗膜を焼結することによって多孔質膜を形成することが開示されている。
【0006】
特許文献5には、多孔質基体上に、焼結可能粒子の懸濁物を塗布した後、この焼結可能粒子を焼結することによって、多孔質基体上に多孔質膜を形成することが開示されている。また、特許文献6には、異なる粒径のものを含む金属粉体(大粒径金属粉体及び小粒径金属粉体)を焼結し、金属粉体の間に空気室を形成することにより多孔質材料を形成することが開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、多孔質体を製造するに際し、母材となる金属粒子のサイズの制御に何ら注意が払われておらず、加熱による有機フィルム消失の過程で金属粒子の溶融も生じる可能性があるので、母材の焼結制御が困難になることや、金属粒子によって形成される微細孔のサイズにも制限があった。また、特許文献2に記載の方法においても、金属含有ポリマー粒子の熱処理により、ポリマーの分解及び除去を行い、母材となる金属粒子を焼結するので、細孔サイズを制御するためには、分散液の濃度や温度制御などを厳密に行う必要があり、製造方法が煩雑になるという問題があった。
【0008】
特許文献3に記載の方法では、多孔質基体に対してナノ粒子を含むスラリーを供給して表層のみに多孔質体を製造するものであるため、全体としてナノメータオーダの微細孔を有する金属多孔質体を製造することは困難である。また、特許文献4に記載の方法においても、下地層によって多孔質膜の固定化と細孔の形成を行っているので、3次元的な構造を有する多孔質体の製造には不向きである。特許文献5に記載の方法においては、粒子の懸濁物を用いる製造方法であるため、多孔質体を所定の厚みにするためには、被覆と焼結を数回繰り返す必要があり、形成する細孔サイズの制御は、分散液の濃度や温度制御などを厳密に行う必要があり、製造方法が煩雑になるという問題があった。
【0009】
さらに、特許文献6に記載の方法では、目的とする多孔質体を得るための原料となる金属粉体が、数10nm〜1μm程度の粒子径のものになると、焼結過程での金属粒子の溶融が生じやすいため、その制御が困難であり、所望する微細孔を有する金属多孔質体を製造することは困難であった。
【0010】
また、数十ナノメートルオーダの粒子サイズの金属粒子を製造する方法として、液相反応を利用した技術が報告されている(例えば、特許文献7〜9参照)。特許文献7では、ポリオール溶液に、還元剤、分散剤、およびニッケル塩を添加して混合溶液を製造する工程と、混合溶液を撹拌および加熱する工程と、混合溶液を反応させてニッケルナノ粒子を生成する工程と、を含むニッケルナノ粒子の製造方法が開示されている。特許文献8では、ニッケル前駆物質、有機アミンおよび還元剤を混合した後、加熱することでニッケルナノ粒子を得る技術が開示されている。特許文献9では、金属塩の還元をマイクロ波照射によって行っている。これらの従来技術は、金属多孔質体の製造方法については何ら教えるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−239028号公報
【特許文献2】特表2008−532913号公報
【特許文献3】特表2006−509918号公報
【特許文献4】特開2010−37464号公報
【特許文献5】特表2010−505043号公報
【特許文献6】特開2010−53414号公報
【特許文献7】特開2009−024254号公報
【特許文献8】特開2010−037647号公報
【特許文献9】特開2000−256707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、有機溶媒などを用いることなく簡易な方法で、所望の微細孔、特にナノメータオーダの微細孔を有する金属多孔質体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、本発明は、第1の金属材料を含有する金属粒子であって、該金属粒子の平均粒子径が10nm〜500nmの範囲内にある第1の金属粒子を準備する第1の工程と、
前記第1の金属粒子を、前記第1の金属材料の融点よりも低い融点の第2の金属材料で被覆する第2の工程と、
前記第2の金属材料で被覆された前記第1の金属粒子を加熱して前記第2の金属材料を溶融させ、得られた溶融物によって前記第1の金属粒子を結合し、金属多孔質体を得る第3の工程と、
を具えることを特徴とする、金属多孔質体の製造方法に関する。
【0014】
本発明においては、前記第3の工程を、前記第1の金属粒子及び前記第2の金属材料で被覆された前記第1の金属粒子を混合して混合物を得た後に行うことができる。この場合、前記第2の金属材料で被覆された前記第1の金属粒子の、前記混合物に対する割合が、10質量%以上〜100質量%未満の範囲内とすることができる。
【0015】
さらに、本発明において、前記被覆は、電解メッキ又は無電解メッキで行うことができる。
【0016】
また、本発明において、前記第1の金属材料の融点と前記第2の金属材料の融点との差が、300℃以上であることが好ましい。
【0017】
さらに、前記第2の金属材料で被覆された前記第1の金属粒子における前記第2の金属材料の、前記第1の金属粒子に対する割合が、5質量%〜50質量%の範囲であることが好ましい。
【0018】
また、本発明において、前記第1の金属粒子は、ニッケル、コバルト及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一つとし、前記第2の金属粒子は、ビスマス、錫、亜鉛、インジウム、ガリウム及びアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも一つとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1の金属粒子の原形を留めたまま、第1の金属粒子同士を繋ぐことが可能となる。例えば、金属多孔質体の母材となる金属粒子が、その表層部のみならず、金属粒子の内部まで溶融が進行しやすい場合であっても、第2の金属材料によって、特段の加熱制御を行うことなく、簡便に所望の金属多孔質体を提供することができる。また、高融点の金属粒子を用いて金属多孔質体の母材を形成する場合であっても、第2の金属材料を介在させることにより、比較的低温での金属多孔質体の形成が可能となる。このように、本発明に係る金属多孔質体の製造方法は、簡易な方法で、所望の微細孔、特にナノメータオーダの微細孔を有する金属多孔質体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、実施の形態に基づいて説明する。
【0021】
[第1の金属粒子を準備する第1の工程]
本実施形態においては、最初に、第1の金属材料を含有する金属粒子であって、該金属粒子の平均粒子径が10nm〜500nmの範囲内にある第1の金属粒子を準備する。
【0022】
(第1の金属粒子)
第1の金属粒子は、目的とする金属多孔質体の母材を構成するものであって、金属多孔質体の形成後も、その原形が判別できる状態となっていることが望ましい。第1の金属粒子の平均粒子径の下限値を10nmとすることによって、第1の金属粒子の、金属多孔質体内部での溶融の進行を抑制することができ、母材を構成する第1の金属粒子の原形が完全に消失することを防ぐことができる。
【0023】
本発明に係る金属多孔質体において、ナノメートルオーダの微細孔を有する金属多孔質体の形成を容易にするためには、その上限値が500nmであることが必要であり、さらには400nmであることが好ましく、特には200nmであることが好ましい。上限値が500nmを超えると、ナノメータオーダの微細孔を有する金属多孔質体を形成することが困難となる。ここで、平均粒子径は、SEM(走査電子顕微鏡)により粉末の写真を撮影して、そのなかから無作為に200個を抽出したものの面積平均粒子径である。また、金属粒子の粒子径は、一次粒子径(凝集せずに完全に独立した1個の金属粒子の粒子径)のみならず、凝集粒子の粒子径(複数の金属粒子が凝集して1個の金属粒子と見做したときの粒子径)を意味する。
【0024】
上記第1の金属材料は、1気圧(101,325Pa)での融点が1000℃以上の金属元素を主成分として含有していることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは95質量%以上含有することがよい。このような金属元素として、例えばニッケル(融点;1455℃)、コバルト(融点;1495℃)、鉄(融点;1535℃)、銅(融点;1083℃)、金(融点;1063℃)、白金(融点;1770℃)、パラジウム(融点;1550℃)、ロジウム(融点;1966℃)、イリジウム(融点;2454℃)、ルテニウム(融点;2500℃)、タングステン(融点;3390℃)、モリブデン(融点;2619℃)、バナジウム(融点;1730℃)、ニオブ(融点;2437℃)等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を含有していてもよい。これらの中でも、入手が容易であって安価なニッケル、コバルト及び銅が好ましい。
【0025】
その他の金属元素として、例えば亜鉛、錫、銀等を含有してもよく、また水素元素、炭素元素、酸素元素、窒素元素、硫黄元素等の金属元素以外の元素を含有してもよいし、これらの合金であってもよい。さらに、第1の金属粒子は、単一の金属粒子で構成されていてもよく、2種以上の金属粒子の混合物であってもよい。
【0026】
なお、本発明が定義する融点は、金属材料(バルク材)の固有値(例えば、文献値)から確認することができる。ここに、上記に例示した金属元素の1気圧での融点の数値は、化学便覧 基礎編II(改訂3版 丸善出版)より引用した。
【0027】
第1の金属粒子は、2種類以上の化学種によって構成されるコア−シェル構造(Core−shell)や、2種類以上の化学種同士が互いに結合して複合化した構造であってもよく、例えば2種の化学種によって構成されるコア−シェル構造では、上記の第1の金属材料が任意の化学種の周囲を取り囲んだシェルを形成していることが好ましい態様である。
【0028】
また、第1の金属粒子は、多孔質に起因した特性と相伴って、金属多孔質体の特性に影響を与える。従って、特に、最終的に得る金属多孔質体を触媒やガス吸蔵材、ガスセンサ、キャパシタ等の用途に用いる場合、第1の金属材料は、ニッケル、コバルト等とすることが好ましい。
【0029】
<第1の金属粒子の製造方法>
上記第1の金属粒子は、気相法や液相法などの方法により製造することもでき、その方法については特に限定されない。気相法では、例えば、気化部、反応部、冷却部を有する反応装置を用いるとともに、原料として金属塩化物を用い、この金属塩化物を気化部で加熱気化した後にキャリアガスで反応部に移送し、ここで水素と接触させることによって粒子状に金属を析出させ、その後、得られた金属粒子を冷却部で冷却するようにして得ることができる。例えば、ニッケルの金属粒子を製造する場合は、反応温度を950℃〜1100℃程度に制御する。
【0030】
この方法における粒径制御は、例えばキャリアガスの流速を制御することによって実施できる。一般に、キャリアガスの流速を上昇させれば、得られる金属粒子の粒径は小さくなる傾向がある。
【0031】
また、気相法は液相法に比べて製造コストが高価になりがちであるので、液相法を適用することは有利である。液相法のなかでも、金属多孔質体の空隙率を向上させるために、好ましくは第1の金属粒子の粒子径分布が狭いもの、より好ましくは第1の金属粒子の粒子径分布が狭いもの及び第2の金属粒子の粒子径分布が狭いものを選択することがよい。このような粒子径分布が狭い金属粒子を短時間で容易に製造する方法として、下記の工程A〜C;
A)第1の金属材料の前駆体である金属塩を有機溶媒に溶解して、金属錯体を生成させた錯化反応液を得る工程、
B)前記錯化反応液を、マイクロ波照射によって加熱して、前記第1の金属粒子のスラリーを得る工程、
C)前記第1の金属粒子のスラリーから前記第1の金属粒子を単離する工程、
を具えることが好ましい。
【0032】
工程A)錯化反応液生成工程:
(金属塩)
金属塩の種類は特に限定されず、得られる金属粒子の金属材料の種類に応じて選定することができる。金属塩として、例えば水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、β−ジケトナト塩等が挙げられる。この中でも、還元過程での解離温度(分解温度)が比較的低いカルボン酸塩を用いることが好ましい。
【0033】
(有機溶媒)
有機溶媒は、金属塩を溶解できるものであれば、特に限定されず、例えばエチレングリコール、アルコール類、有機アミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられるが、金属塩に対して還元作用があるエチレングリコール、アルコール類、有機アミン類等の有機溶媒が好ましい。このなかでも特に、1級の有機アミン(以下、「1級アミン」と略称する。)は、金属塩との混合物を溶解することにより、金属イオンとの錯体を形成することができ、金属錯体(又は金属イオン)に対する還元能を効果的に発揮すしやすく、加熱による還元温度が高温の金属塩に対して有利に使用できる。1級アミンは、金属イオンとの錯体を形成できるものであれば、特に限定するものではなく、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで、常温とは、20℃±15℃をいう。
【0034】
常温で液体の1級アミンは、金属錯体を形成する際の有機溶媒としても機能する。なお、常温で固体の1級の有機アミンであっても、加熱によって液体であるか、又は有機溶媒を用いて溶解するものであれば、特に問題はない。
【0035】
1級アミンは、芳香族1級アミンであってもよいが、反応液における金属錯体形成の容易性の観点からは脂肪族1級アミンが好適である。脂肪族1級アミンは、例えばその炭素鎖の長さを調整することによって生成する金属粒子の粒径を制御することができる。金属粒子の粒径を制御する観点から、脂肪族1級アミンは、その炭素数が6〜20程度のものから選択して用いることが好適である。炭素数が多いほど得られる金属粒子の粒径が小さくなる。このようなアミンとして、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン等を挙げることができる。
【0036】
1級アミンは、還元反応後の生成したナノ粒子の固体成分と溶剤または未反応の1級アミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点からは室温で液体のものが好ましい。さらに、1級アミンは、金属錯体を還元して金属粒子を得るときの反応制御の容易性の観点からは還元温度より沸点が高いものが好ましい。1級アミンの量は、金属塩1molに対して2mol以上用いることが好ましく、2.2mol以上用いることがより好ましい。1級アミンの量が2mol未満では、得られる金属粒子の粒子径の制御が困難となり、粒子径がばらつきやすくなる。また、1級アミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは20mol以下とすることが好ましい。
【0037】
均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、1級アミンとは別の有機溶媒を新たに添加してもよい。使用できる有機溶媒としては、1級アミンと金属イオンとの錯形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではなく、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数8〜18のアルコール系有機溶媒等を使用することができる。また、マイクロ波照射による加熱条件下でも使用を可能とする観点から、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましく、より好ましくは200〜300℃の範囲内にあるものを選択することがよい。このような有機溶媒の具体例としては、例えばテトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル等が挙げられる。
【0038】
錯形成反応は室温に於いても進行することができるが、十分且つ、より効率の良い錯形成反応を行うために、例えば50℃〜160℃の範囲内に加熱して反応を行う。この加熱は、後に続く金属錯体(又は金属イオン)のマイクロ波照射による加熱還元の過程と確実に分離し、前記の錯形成反応を完結させるという観点から、上記上限を適宜設定することができる。
【0039】
工程B)金属粒子スラリー生成工程:
本工程では、金属塩と有機溶媒との錯形成反応によって得られた錯化反応液を、マイクロ波照射によって加熱し、錯化反応液中の金属イオンを還元して金属粒子のスラリーを得る。マイクロ波照射によって加熱する温度は、得られるナノ粒子の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上とすることがよい。加熱温度の上限は特にないが、処理を能率的に行う観点からは例えば270℃以下とすることが好適である。なお、マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。
【0040】
本工程では、マイクロ波が反応液内に浸透するため、均一加熱が行われ、かつ、エネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行うことができる。これにより、反応液全体を所望の温度に均一にすることができ、金属錯体(又は金属イオン)の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、結果として粒径分布の狭い単分散な粒子を短時間で容易に製造することができる。
【0041】
均一な粒径を有する金属粒子を生成させるには、錯化反応液生成工程の加熱温度を特定の範囲内で調整し、金属粒子スラリー生成工程におけるマイクロ波による加熱温度よりも確実に低くしておくことで、粒径・形状の整った粒子が生成し易い。例えば、錯化反応液生成工程で加熱温度が高すぎると金属錯体の生成と金属(0価)への還元反応が同時に進行し異種の金属種が発生することで、金属粒子スラリー生成工程での粒子形状の整った粒子の生成が困難となるおそれがある。また、金属粒子スラリー生成工程の加熱温度が低すぎると金属(0価)への還元反応速度が遅くなり核の発生が少なくなるため粒子が大きくなるだけでなく、金属粒子の収率の点からも好ましくはない。
【0042】
金属粒子スラリー生成工程においては、必要に応じ、前述した有機溶媒を加えてもよい。なお、前記したように、錯形成反応に使用する1級アミンを有機溶媒としてそのまま用いることは、本発明の好適な実施の形態である。
【0043】
工程C)金属粒子単離工程:
本工程では、マイクロ波照射によって加熱して得られる金属粒子スラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで、金属粒子が得られる。
【0044】
以上のように、本実施の形態に係る第1の金属粒子の製造方法によれば、多量の還元剤を使用することなく、簡便な方法で、均一な粒子径を有する金属粒子を製造できるが、上述した製法によって得られたものに限定されるものではなく、適宜市販のものを用いることができる。
【0045】
[第2の金属材料で被覆する第2の工程]
本工程では、第1の金属粒子を第2の金属材料で被覆する。第2の金属材料は、金属多孔質体の母材となる第1の金属粒子に対する結合剤として機能するものであるので、以下に説明する加熱処理において、第2の金属材料のみが溶融し、第1の金属粒子の溶融を抑制するために、第2の金属材料の融点は、第1の金属粒子材料の融点よりも低いことが必要である。
【0046】
したがって、上記要件を満足すれば、第2の金属材料は如何なる金属から構成することもできる。しかしながら、第1の金属粒子はナノ粒子化しており、そのため、その融点もバルク状態のときに比べて大幅に減少している。このため、第2の金属材料は、バルク状態において融点が低く、第1の金属粒子がナノ粒子化した際においても、その第1の融点よりも低い第2の融点を有するような金属であることが好ましい。このような観点から、第2の金属材料の融点は、第1の金属材料の融点との差が、好ましくは300℃以上であることがよい。具体的には、第2の金属材料は、1気圧(101,325Pa)での融点が700℃以下の金属元素を主成分として含有していることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは95質量%以上含有することがよい。このような金属材料として、ビスマス(融点;271℃)、錫(融点;232℃)、亜鉛(融点;420℃)、インジウム(融点;157℃)、ガリウム(融点;37℃)及びアンチモン(融点;631℃)からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0047】
また、第2の金属材料で被覆された前記第1の金属粒子における第2の金属材料の、第1の金属粒子に対する割合が、5質量%〜50質量%の範囲であることが好ましい。5質量%よりも小さいと、第2の金属の絶対量が少なくなって、第1の金属粒子を結合させることができなくなる。また、50質量%よりも大きくなると、第2の金属の絶対量が多くなりすぎ、形成した金属多孔質体の細孔を塞いでしまい、ナノメートルオーダの微細孔を有する金属多孔質体を得るのが困難になる場合がある。
【0048】
第1の金属粒子に対する第2の金属材料の被覆方法は、特に限定されるものではない。例えば、第2の金属材料を溶融し、得られた溶融金属中に第1の金属粒子を浸漬して形成することもできるが、第1の金属粒子がナノ粒子であるため分散性が極めて悪く、当該方法では均一な被膜を形成できない場合がある。このような観点から、上記被覆は電解メッキあるいは浸漬メッキ又は化学メッキ等のいわゆる無電解メッキを用いて行うことが好ましい。
【0049】
浸漬メッキ法は、種金属のイオン化傾向の相違を利用するもので、電気化学的に貴な金属イオンを含む溶液中に、卑な金属を挿入する時、その卑な金属の溶解によって放出される電子が溶液中の貴な金属イオンヘ転移し、卑な金属表面上に貴な金属が被覆される。化学メッキ法は、還元剤の酸化によって放たれる電子が金属イオンに転移し、金属が被覆される。なお、本発明が定義する被覆とは、第1の金属粒子の全体又は部分的な被覆、並びに一次粒子(凝集せずに完全に独立した1個の金属粒子)及び凝集粒子(複数の金属粒子が凝集して1個の金属粒子と見做したときの粒子)に対しての被覆など、あらゆる被覆状態のものを包含する。
【0050】
[金属多孔質体を得る第3の工程]
本工程では、第2の金属材料で被覆された第1の金属粒子を加熱して、第2の金属材料を溶融させ、得られた溶融物によって第1の金属粒子を結合し、金属多孔質体を得る。
【0051】
第2の金属材料で被覆された第1の金属粒子は、粉末、スラリー、ペースト等が可能であり、所定の容器に入れられるか、あるいは所定の基材上に堆積又は塗布し、必要に応じ、乾燥させる。乾燥方法は、特に制限されず、例えば30〜150℃の範囲内の温度で乾燥を行うことが好ましい。
【0052】
本工程においては、第2の金属材料で被覆された第1の金属粒子を用いるが、当該被覆された第1の金属粒子を単独で用いてもよいし、当該被覆された第1の金属粒子及び第2の金属材料で被覆されない第1の金属粒子の混合物を用いてもよい。第2の金属材料で被覆された第1の金属粒子及び被覆されていない第1の金属粒子の混合物として用いる場合、混合物100質量部に対して、第2の金属材料で被覆された第1の金属粒子を10質量部以上〜100質量部未満の範囲内とすることが好ましい。
【0053】
加熱処理は、例えば150℃〜300℃の範囲内の温度にて行うことができる。この温度は、第1の金属粒子を完全には溶融させずに、第2の金属材料を溶融させることができる温度に適宜設定すればよい。
【0054】
なお、加熱処理は、例えば窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中、1〜5KPaの真空中、大気中又は水素ガス中で行うことができ、第1の金属粒子の種類や得られる金属多孔質体の使用目的によって適宜選択すればよい。また、必要に応じ、熱プレス又は高圧下での加熱を行ってもよい。
【0055】
また、上記加熱処理は、加圧雰囲気で行うことが好ましい。上述したように、加熱処理によって第2の金属材料は溶融し、第1の金属粒子に対して結合剤として機能するようになるが、当該加熱処理を加圧雰囲気化で行うことによって、第2の金属材料による第1の金属粒子の結合をより強固に行うことができるとともに、第1の金属粒子同士も互いに加圧されて結合するようになる。すなわち、最終的に得る金属多孔質体の骨格強度が増大し、この結果、金属多孔質体の強度が増大するようになる。
【0056】
加圧力は、例えば0.1MPa〜10MPaとすることができる。上述した加圧雰囲気は、上記反応容器中に窒素ガスや水素ガスなどを加圧状態で充填することにより実現することができる。また、上記熱プレスによって必然的に行うことができる。
【0057】
なお、本実施形態では、上述した第2の金属材料を直接用いる代わりに、この第2の金属材料を構成することになる第2の金属材料を含む前駆体を用いることもできる。この場合は、上述した加熱処理によって、前駆体が熱分解して上記第2の金属材料が生成されるので、生成した第2の金属材料は、上述したように溶解して第1の金属粒子を接合し、上述した微細孔を有する金属多孔質体を得ることができるようになる。
【0058】
上記前駆体としては、例えば第2の金属材料を構成する金属の、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、β−ジケトナト塩等とすることができる。
【実施例】
【0059】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
【0060】
[金属粒子の平均粒子径]
金属粒子の平均粒子径は、SEM(走査電子顕微鏡)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの粒子径を求め、平均粒子径を算出した。
【0061】
[5%熱収縮温度]
5%熱収縮温度は、試料を5Φ×2mmの円柱状成型器に入れ、プレス成型して得られる成型体を作製し、これを窒素ガス(水素ガス3%含有)の雰囲気下で、熱機械分析装置(TMA)により測定される5%熱収率の温度とした。
【0062】
(合成例1)
125.9gのラウリルアミンに18.5gのギ酸ニッケル二水和物を加え、窒素フロー下、120℃で10分間加熱することによって、ギ酸ニッケルを溶解させて錯化反応液を得た。次いで、その錯化反応液に、さらに83.9gのラウリルアミンを加え、マイクロ波を用いて180℃で10分間加熱することによって、ニッケル粒子スラリー1aを得た。
【0063】
ニッケル粒子スラリー1aを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、ヘキサンとメタノールを用いて洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル粒子1(ニッケル含有率;98mass%、平均粒子径;100nm、CV値;0.17、5%熱収縮温度;295℃)を得た。元素分析の結果、C;0.5、N;0.026、O;2.2(単位は質量%)であった。
【0064】
(合成例2)
4280gのオレイルアミンに、310gのギ酸ニッケル2水和物、及び181gのギ酸銅4水和物を加え、窒素フロー下、120℃で40分間加熱することによって、Ni塩及びCu塩を溶解させて錯化反応液を得た。次いで、その錯化反応液に、さらに3230gの1−オクタノールを加え、マイクロ波を用いて190℃で5分間加熱することによって、ニッケル−銅粒子スラリー2aを得た。
【0065】
ニッケル−銅粒子スラリー2aを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、ヘキサンとメタノールを用いて洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル−銅粒子2(ニッケル含有率;67mass%、銅含有率;33mass%、平均粒子径;40nm、CV値;0.16、5%熱収縮温度;265℃)を得た。
【0066】
(実施例1)
最初に、合成例1で得られたニッケル粒子1(比表面積:8.9m/kg)を準備した。
【0067】
ニッケル粒子1を電解メッキにより錫で被覆して、錫被覆ニッケル粒子1’を得た。錫被覆ニッケル粒子1’における錫メッキ量は、ニッケル粒子1の錫メッキ前後の重量の増加から錫メッキ量を算出し、ニッケル粒子1に対して20質量%であった。
【0068】
次いで、錫被覆ニッケル粒子1’を、5Φ×2mmの円柱状成型器に入れ、プレス機で1MPaの圧力下で成型体を作製し、その成型体を窒素ガス(水素ガス3%含有)の雰囲気下で、250℃、1時間加熱処理し、目的とする金属多孔質体1を得た。
【0069】
得られた金属多孔質体1の窒素吸収等温線からBET法によって比表面積を求めたところ、1.5m/gであることが判明した。さらに、DH法(Dollimore-Heal法)で求められたメソ細孔分布から、細孔径約21nmをピークとし、1〜50nm程度の細孔分布を有することが判明した。
【0070】
(実施例2)
最初に、合成例2で得られたニッケル−銅粒子2(比表面積;14.5m/g)を準備した。
【0071】
ニッケル−銅粒子2を無電解メッキにより錫で被覆して、錫被覆ニッケル−銅粒子2’を得た。錫被覆ニッケル−銅粒子2’における錫メッキ量は、ニッケル−銅粒子2の錫メッキ前後の重量の増加から錫メッキ量を算出し、ニッケル−銅粒子2に対して15質量%であった。
【0072】
次いで、錫被覆ニッケル−銅粒子2’の1重量部及び合成例1で得られたニッケル粒子1の3重量部を混合して混合物2を得た。
【0073】
混合物2を、5Φ×2mmの円柱状成型器に入れ、プレス機で1MPaの圧力下で成型体を作製し、その成型体を水素ガスの雰囲気下で、250℃、1時間加熱処理し、目的とする金属多孔質体2を得た。
【0074】
得られた金属多孔質体2の窒素吸収等温線からBET法によって比表面積を求めたところ、2.1m/gであることが判明した。さらに、DH法(Dollimore-Heal法)で求められたメソ細孔分布から、細孔径約30nmをピークとし、1〜46nm程度の細孔分布を有することが判明した。
【0075】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属材料を含有する金属粒子であって、該金属粒子の平均粒子径が10nm〜500nmの範囲内にある第1の金属粒子を準備する第1の工程と、
前記第1の金属粒子を、前記第1の金属材料の融点よりも低い融点の第2の金属材料で被覆する第2の工程と、
前記第2の金属材料で被覆された前記第1の金属粒子を加熱して前記第2の金属材料を溶融させ、得られた溶融物によって前記第1の金属粒子を結合し、金属多孔質体を得る第3の工程と、
を具えることを特徴とする、金属多孔質体の製造方法。
【請求項2】
前記第3の工程を、前記第1の金属粒子及び前記第2の金属材料で被覆された前記第1の金属粒子を混合して混合物を得た後に行うことを特徴とする、請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。
【請求項3】
前記第2の金属材料で被覆された前記第1の金属粒子の、前記混合物に対する割合が、10質量%以上〜100質量%未満の範囲内であることを特徴とする、請求項2に記載の金属多孔質体の製造方法。
【請求項4】
前記被覆は、電解メッキ又は無電解メッキで行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属多孔質体の製造方法。
【請求項5】
前記第1の金属材料の融点と前記第2の金属材料の融点との差が、300℃以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の金属多孔質体の製造方法。
【請求項6】
前記第2の金属材料で被覆された前記第1の金属粒子における前記第2の金属材料の、前記第1の金属粒子に対する割合が、5質量%〜50質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の金属多孔質体の製造方法。
【請求項7】
前記第1の金属粒子は、ニッケル、コバルト及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一つであり、前記第2の金属粒子は、ビスマス、錫、亜鉛、インジウム、ガリウム及びアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の金属多孔質体の製造方法。

【公開番号】特開2013−40358(P2013−40358A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176167(P2011−176167)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006644)新日鉄住金化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】