説明

金属屋根材及びその敷設構造

【課題】施工現場での廃材の発生を極力少なくすることができ、施工性を向上させることができる金属屋根材を提供する。
【解決手段】隣接する略平板状の屋根材本体1、1を側部2で重ね合わせて屋根下地6に敷設される金属屋根材Aである。屋根材本体1の両方の側端部に断面略波状の接続部3を形成することにより、重ね合わせ寸法が調節自在で軒棟方向と直交する方向の何れの方向からでも敷設できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属横葺き屋根材などの金属屋根材及びこれを用いた敷設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数枚の金属屋根材を屋根下地に縦横に敷設することにより屋根を形成することが行われているが、この場合、横方向(屋根の勾配方向と直交する方向)で隣接する金属屋根材を接続するにあたっては、金属屋根材の側端部同士を上下に重ね合わせるようにして防水性を確保しようとしている。例えば、特許文献1に記載の金属屋根材Aでは、図11に示すように、一方の側端部に略平板状の第1の係合部20を形成すると共に、他方の側端部に断面略波状の第2の係合部21を形成したものであり、屋根下地6の上に敷設した金属屋根材Aの第2の係合部21の上に、他の金属屋根材Aの第1の係合部20を被せるようにして、二枚の金属屋根材A、Aを横方向に隣接させて敷設するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−277606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来例の金属屋根材では、防水上の観点から第1の係合部20と第2の係合部21とを一定の長さに形成し、この第1の係合部20と第2の係合部21とを重ね合わせて金属屋根材Aを接続しているため、屋根下地6のけらば部分や降り棟部あるいは屋根下地と二階部分の壁との境界部分(壁立上がり部)において、寸法調整のために金属屋根材を切断しなければならず、施工現場で金属屋根材の廃材が生じるおそれがあった。また、第1の係合部20を必ず第2の係合部21の上に被せるので、金属屋根材の敷設していく方向が屋根下地6の左から右あるいは右から左のいずれか一方向に限定されてしまい、施工性が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、施工現場での廃材の発生を極力少なくすることができ、施工性を向上させることができる金属屋根材及びその敷設構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る金属屋根材Aは、隣接する略平板状の屋根材本体1、1を側部2で重ね合わせて屋根下地6に敷設される金属屋根材Aにおいて、屋根材本体1の両方の側端部に断面略波状の接続部3を形成することにより、重ね合わせ寸法が調節自在で軒棟方向と直交する方向の何れの方向からでも敷設できることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る金属屋根材Aは、請求項1において、接続部3は隣接する屋根材本体1、1を側部2で重ね合わせて排水用の空間を設けることができるように形成されて成ることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る金属屋根材Aは、請求項2において、排水用の空間は、接続部3、3どうしを互いに対向させて重ね合わせて形成されて成ることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項4に係る金属屋根材Aは、請求項2において、排水用の空間は、接続部3と屋根材本体1の平板部とを互いに対向させて重ね合わせて形成されて成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項5に係る金属屋根材Aは、請求項1乃至4のいずれかにおいて、左右対称に形成され、一方の屋根材本体1の側部2に他方の屋根材本体1の側部2を上下に重ね合わせて敷設させるにあたって、他方の屋根材本体1の側部2は一方の屋根材本体1の側部2の上面及び下面のいずれにも敷設可能であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項6に係る金属屋根材Aは、請求項1乃至5のいずれかにおいて、接続部3を、凸部3aと凹部3bとを交互に繰り返して形成して成ることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項7に係る金属屋根材Aの敷設構造は、請求項1乃至6のいずれかに記載の金属屋根材Aを用いた敷設構造であって、屋根下地6に金属屋根材Aを敷設した後、この金属屋根材Aの側部2に他の金属屋根材Aを重ね合わせて成り、上下に重ね合わされた金属屋根材Aの間には排水用の空間を形成して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の金属屋根材Aでは、屋根材本体1の両方の側端部に断面略波状の接続部3を形成することにより、防水性を損なうことなく隣接する金属屋根材A、Aの側部2、2同士の重ね合わせにより接続することができ、隣接する金属屋根材A、Aの重ね合わせの寸法を調整することにより金属屋根材Aを切断するのを少なくして施工現場での廃材の発生を極力少なくすることができるものである。また、隣接する金属屋根材A、Aのどちらの側部2を上に重ね合わせても敷設することができるので、金属屋根材Aは屋根下地6の横方向の左右いずれの方向からでも施工することができ、施工性を向上させることができるものである。また、略波状の接続部3により、上下に重なった金属屋根材A、Aの側部2、2の間に空間(隙間)を設けることができ、雨水の排水や毛細管現象を防ぐことができるものである。
【0014】
本発明の金属屋根材Aの敷設構造では、屋根材本体1の両方の側端部に断面略波状の接続部3を形成することにより、防水性を損なうことなく隣接する金属屋根材A、Aの側部2、2同士を重ね合わせにより接続することができ、隣接する金属屋根材A、Aの重ね合わせの寸法を調整することにより金属屋根材Aを切断するのを少なくして施工現場での廃材の発生を極力少なくすることができるものである。また、隣接する金属屋根材A、Aのどちらを上に重ね合わせても敷設することができるので、金属屋根材Aは屋根下地6の横方向の左右いずれの方向からでも施工することができ、施工性を向上させることができるものである。また、上下に重なった金属屋根材A、Aの側部2、2の間に空間(隙間)を形成することで、雨水の排水や毛細管現象を防ぐことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の金属屋根材の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の(a)は横方向の断面を示す一部の断面図、(b)(c)は縦方向の断面を示す断面図である。
【図3】同上の接続状態を示す斜視図である。
【図4】同上の接続状態を示し、(a)〜(c)は一部の断面図である。
【図5】同上の施工手順を示し、(a)〜(f)は一部の断面図である。
【図6】同上の接続状態を示す斜視図である。
【図7】同上の施工手順を示し、(a)〜(c)は概略の斜視図である。
【図8】同上の(a)は一部の断面図、(b)(c)は概略の斜視図である。
【図9】同上の他の実施の形態を示す一部の断面図である。
【図10】同上の施工手順を示し、(a)〜(f)は概略の正面図である。
【図11】従来例を示す一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0017】
本発明の金属屋根材Aは、金属板をロール成形加工などで加工して所望の形状に形成されている。金属板としては、厚み0.3〜0.5mmのものを好適に用いることができ、また、金属板の種類としては、塗装鋼板や亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)などの各種のものを用いることができる。尚、製造については、従来ではロール成形機で対応するしかなかったが、本発明の金属屋根材AはR加工(曲面加工)がほとんどないためベンダー加工機でも対応でき、また、端部加工はヘミング曲げ加工及びプレス加工で対応できる。
【0018】
本発明の金属屋根材Aは、図1に示すように、略平板状に形成される屋根材本体1と、屋根材本体1の両方の側部2の側端部に形成される接続部3と、屋根材本体1の軒側端部に形成される嵌合部4と、屋根材本体1の棟側端部に形成される被嵌合部5と、被嵌合部5の棟側端部に突設される固定片10とを備えて形成されている。
【0019】
屋根材本体1は横方向(屋根勾配と直交する方向)に長く形成されており、図2(a)に示すように、横方向の長さ寸法L1は、例えば、2000mm程度の定尺とすることができ、また、屋根材本体1の縦方向(屋根勾配方向)の働き幅L2は、図2(b)に示すように、例えば、200mm程度とすることができる。接続部3は屋根材本体1の縦方向の略全長にわたって形成されており、接続部3の横方向の断面形状は、凸部3aと凹部3bとが交互に繰り返すような略波形(数段リブ形状)に形成されている。接続部3の幅寸法L3は屋根材本体1の側端から100〜200mmとするのが好ましい。屋根材本体1の横方向の側端部は折り曲げ加工し、防錆・剛性を向上させるためにエッジを外部から見えにくくするようにしている。また、接続部3を屋根材本体1の両方の側端部に設けることにより金属屋根材Aは左右対称となっている。
【0020】
嵌合部4は屋根材本体1の横方向の略全長にわたって形成されており、縦方向の断面形状が略倒U字状に形成されており、その厚みTは、例えば、5mm程度とすることができる。被嵌合部5は屋根材本体1の横方向の略全長にわたって形成されており、上片5aと下片5bとを軒側端部で接続することにより縦方向の断面形状が略倒V字状に形成されている。また、図2(b)(c)に示すように、被嵌合部5は上片5aと下片5bとを上下方向で近接離間自在に形成することにより、被嵌合部5は上下に伸縮自在に形成されている。固定片10は屋根材本体1の横方向の略全長にわたって形成されており、縦方向の断面形状が略逆へ字状に形成されており、被嵌合部5の上片5aから後方に向かって突設されている。
【0021】
上記のように、本発明の金属屋根材Aは、嵌合部4の曲げR加工を極力なくし、重ねやすい直線形状の部位を組合せて形成している。また、嵌合部(前はぜ部)4は外観上見えるため、R曲げ仕上げをするが、被嵌合部(後ろはぜ部)5は加工しやすいよう倒V型形状とし、曲げR加工を無くしている。
【0022】
そして、本発明の金属屋根材Aはその複数枚を野地板などの屋根下地6の上に縦横に敷設するものであり、これにより、金属屋根を形成することができる。この場合、隣接して敷設されて金属屋根材A、Aは取り付け強度の確保や防水性の向上のために接続されている。
【0023】
図3に示すように、横方向で隣接する金属屋根材A、Aは側部2、2同士を上下に重ね合わせることにより接続する。ここで、金属屋根材Aの縦方向の断面形状は横方向の全長にわたって略一定であるため、重ね合わせ寸法は任意に設定可能であり、防水性能を確保するために、屋根材本体1の側端から100mm以上重ね合わせることが好ましいが、屋根の各部分の納めの寸法調整に応じて重ね合わせ寸法を変えることができる。尚、重ね合わせる寸法の上限は特に設定されないが、あまりに大きいと金属屋根材1に無駄な部分が増加してしまうので、重ね合わせる寸法は屋根材本体1の側端から横寸法の半分以下とするのが好ましく、より好ましくは200mm以下にするのがよく、この重ね合わせる部分を屋根材本体1の側部2とすることができる。また、金属屋根材Aは左右対称であるために、図4(a)(b)のように、横方向で隣接する金属屋根材A、Aの左右のどちらも上に重ねることが可能であり、屋根下地6の横方向の左右何れの方向からでも順次敷設していくことができる。そして、略波状の接続部3により、上下に重なった金属屋根材A、Aの側部2、2の間に空間(隙間)を設けることができ、雨水の排水や毛細管現象を防ぐことができるものである。このとき、図4(c)に示すように、上下の金属屋根材A、Aの凸部3a、3a同士や凹部3b、3b同士が合致しなくても同様の効果を得ることができる。縦方向で隣接する金属屋根材A、Aはその一部を上下に重ね合わせることにより接続する。この場合、軒側に敷設された金属屋根材Aの被嵌合部5に棟側に敷設された金属屋根材Aの嵌合部4を嵌合する。
【0024】
ここで、横方向及び縦方向の金属屋根材A、Aの接続について詳述する。まず、図5(a)に示すように、被嵌合部5を上方に伸長した状態で金属屋根材Aを屋根下地6に載置し、図5(b)に示すように、ビスなどの固定具11を固定片10及び屋根下地6に打ち込んで固定片10を固定する。このように固定片10を固定することにより、被嵌合部5を上下に収縮して上下寸法(厚み)を小さくした状態で形状を固定(確定)することができる。次に、固定した金属屋根材Aに別の金属屋根材Aを横方向に並べて載置する。このとき、上記のように、隣接する金属屋根材A、Aは側部2、2を上下に重ね合わせることにより接続する。また、図5(c)に示すように、固定した金属屋根材Aの被嵌合部5の軒側及び上側に、新たに配置する方の金属屋根材Aの被嵌合部5を被せるようにし、また、固定した金属屋根材Aの固定片10の上側に新たに配置する方の金属屋根材Aの固定片10を被せるようにする。次に、図5(d)に示すように、固定具11を新たに配置した金属屋根材Aの固定片10と、固定した金属屋根材Aの固定片10と、屋根下地6に打ち込んで新たに配置した金属屋根材Aの固定片10を固定する。このようにして横一列に複数枚の金属屋根材A、A…を敷設した後、これら敷設した金属屋根材Aの棟側に他の複数枚の金属屋根材A、A…を横一列に順次敷設していく。このとき、図5(e)に示すように、棟側の金属屋根材Aの嵌合部4を軒側の重なった被嵌合部5、5に嵌合し、この後、図5(f)に示すように、さらに他の棟側の金属屋根材Aの嵌合部4を上記の棟側の金属屋根材Aの嵌合部4と軒側の金属屋根材Aの被嵌合部5、5とに嵌合する。このように、最終的には、二つの嵌合部4、4と二つの被嵌合部5、5とが嵌合して重なった状態となるが、被嵌合部5は略倒V字状で重なり面が総て斜め形状(三角形状)となるため、嵌合部4をスムーズに嵌合することができる。
【0025】
また、本発明の金属屋根材Aは嵌合部4や被嵌合部5に屋根材本体1の表面に対して垂直となる部位がないため、図6に示すように、屋根材本体1をその側部2が上方に突出するように略直角に容易に折り曲げることができる。従って、屋根下地6と立ち上がり壁との境界部分の納め構造において、金属屋根材Aを切断することが無くなり、重ね合わせ寸法で調整することができ、施工現場での廃材の発生を極力少なくすることができる。
【0026】
また、本発明は上記のように折り曲げやすい形状であるので、切断することなく、屋根下地6の表面に沿わせて降り棟に敷設することができる。すなわち、屋根下地6の長面6aと短面6bとが降り棟6cを介して隣接する場合、まず、図7(a)に示すように、長面6aに複数枚の金属屋根材A、A…を横方向及び軒側から棟側に向かって敷設していくが、最も短面6bに近い部分に敷設した金属屋根材Aの短面6b側の側部2を折り曲げて短面6bの表面に沿わせて配置するようにする。次に、図7(b)に示すように、短面6bに複数枚の金属屋根材A、A…を横方向及び軒側から棟側に向かって敷設していくが、最も長面6aに近い部分に敷設した金属屋根材Aの長面6a側の側部2を折り曲げて、長面6aに敷設した金属屋根材Aの表面に沿わせて配置するようにする。この後、図7(c)及び図8に示すように、断面略へ字状のカバー材13を降り棟6c及び棟6dに取り付けることにより、金属屋根材Aを施工することができる。そして、図8(b)に示すように、屋根下地と立ち上がり壁との境界部分に施工する場合と同様に、金属屋根材Aを切断することなく、重ね合わせ寸法を調整して納めることができ、施工現場での廃材の発生を極力少なくすることができる。また、図8(c)に示すように、本発明の金属屋根材Aは短面6bに施工する場合、軒側から棟側に葺き上げていくにつれて、重ね合わせ部分K(点々模様で示す)の寸法が短くなっていくが、長面6aに施工する場合は重ね合わせ部分K(点々模様で示す)の寸法が一定で切断もすることなく納めることができる。
【0027】
また、本発明の金属屋根材Aは通し裏板工法により敷設することができる。図9に示すように、通し裏板15は基板16の両側に表面側に向かって斜めに突出する突出片17を設けて長尺に形成されるものである。突出片17の表面には防水用のパッキン18が設けられている。
【0028】
そして、通し裏板工法は次のようにして行う。まず、図10(a)に示すように、屋根下地6の軒側から棟側及び降り棟側にまで至る通り裏板15を横方向に並べて複数本配置する。ここで、従来の通し裏板では金属屋根材Aの縦方向(軒棟方向)と略同等の長さ寸法に形成されていたが、本発明の場合は屋根下地6の軒棟方向の全長にわたる一本の通り裏板15を用いることができ、大幅な作業時間が削減される上に、従来と同様の内部排水構造を形成することができる。次に、図10(b)に示すように、最も軒側の一段目に二列分の金属屋根材A、Aを配設する。次に、図10(c)に示すように、最も軒側の一段目に配設した二列分の金属屋根材A、Aの間を埋めるように、他の新たな二列分の金属屋根材A、Aを配設する。このとき、金属屋根材Aの側部2を隣接する他の金属屋根材Aの側部2に重ね合わせるようにする。この後、軒側から二段目以降も同様に、図10(d)に示すように、二列分の金属屋根材A、Aを配置した後、図10(e)に示すように、この金属屋根材A、Aの間を埋めるように、他の新たな二列分の金属屋根材A、Aを配設する。このようにして軒側から棟側に向かって順次複数枚の金属屋根材A、A…を敷設することによって、図10(f)に示すような屋根を形成することができる。この場合、各段において、隣接する金属屋根材A、Aの重ね合わせ部分をずらすことで、軒棟方向に目地が重ならないようにすることができ、外観を向上させることができる。
【0029】
そして、本発明の金属屋根材Aでは、隣接する金属屋根材A、Aの重ね合わせ寸法(葺き足)を自由自在に調整できるため、平面部からけらば部、降り棟部、壁立ち上げ部において、寸法調整のため屋根材本体1を切断することなく施工できる。従って、現場において、寸法合わせにこだわることなく端部曲げ加工した後、重ね合わせ寸法を調整することで、大幅な施工性向上が図れるものである。また、本発明では、切断作業がなくなるので、現場で廃材を極力出さない工法となるものである。短尺品の金属屋根材Aの場合、切断が必要となるが、これも工場で長さ調整しておけば現場では切断の必要がなくなり、廃材無しを可能とできるものである。また、けらば部、降り棟部、壁立ち上げ部で使用される金属屋根材Aは、事前に加工し現地納入することで現地作業の手間を省き、更に施工性向上を図ることができる。また、本発明の金属屋根材Aはシンプルでフラットに近い形状のため、棟部において、金属屋根材Aを棟ラインを支点に曲げることで、切断することなく施工できる。また、本発明の金属屋根材Aの形状はシンプルなので、板金作業(不要部切り落とし)後に加工する必要がなくなり作業性の向上を図ることができるものである。また、本発明の金属屋根材Aの長さを一定としても、現場採寸が必要なく屋根面積と重ね合わせ代分を考慮した数量を発注することで対応することができ、見積もり積算作業も容易となる。また、本発明の金属屋根材Aは左右対称であり、左右どちらからでも葺くことができ、しかも、半分に切断した場合でもけらば部や降り棟部に納めることで、切断面を表面に出すことなく納めることができ、重ね代を余分に取ることなく、効率よく葺くことができるものである。また、降り棟部や棟部の納め部材(カバー材)もへの字のシンプルな形状となり、交差部や継ぎ部の納めもそのまま重ね、金属屋根材Aと同じく長さ調整できるため、現場加工を極力少なくすることができるものである。
【符号の説明】
【0030】
A 金属屋根材
1 屋根材本体
2 側部
3 接続部
6 屋根下地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する略平板状の屋根材本体を側部で重ね合わせて屋根下地に敷設される金属屋根材において、屋根材本体の両方の側端部に断面略波状の接続部を形成することにより、重ね合わせ寸法が調節自在で軒棟方向と直交する方向の何れの方向からでも敷設できることを特徴とする金属屋根材。
【請求項2】
接続部は隣接する屋根材本体を側部で重ね合わせて排水用の空間を設けることができるように形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の金属屋根材。
【請求項3】
排水用の空間は、接続部どうしを互いに対向させて重ね合わせて形成されて成ることを特徴とする請求項2に記載の金属屋根材。
【請求項4】
排水用の空間は、接続部と屋根材本体の平板部とを互いに対向させて重ね合わせて形成されて成ることを特徴とする請求項2に記載の金属屋根材。
【請求項5】
左右対称に形成され、一方の屋根材本体の側部に他方の屋根材本体の側部を上下に重ね合わせて敷設させるにあたって、他方の屋根材本体の側部は一方の屋根材本体の側部の上面及び下面のいずれにも敷設可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の金属屋根材。
【請求項6】
接続部を、凸部と凹部とを交互に繰り返して形成して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の金属屋根材。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の金属屋根材を用いた敷設構造であって、屋根下地に金属屋根材を敷設した後、この金属屋根材の側部に他の金属屋根材を重ね合わせて成り、上下に重ね合わされた金属屋根材の間には排水用の空間を形成して成ることを特徴とする金属屋根材の敷設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−107508(P2012−107508A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53143(P2012−53143)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2009−3473(P2009−3473)の分割
【原出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】