Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
金属層を有する積層体の製造方法
説明

金属層を有する積層体の製造方法

【課題】高温環境下に曝されても基板との優れた密着性を示す金属層を有する積層体の製造方法を提供すること。
【解決手段】基板上に下地層を形成する下地層形成工程と、下地層上に、重合性基、および、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を有するポリマーと、反応性基を有するシランカップリング剤とを含む被めっき層形成用組成物を用いて、被めっき層を形成する被めっき層形成工程と、被めっき層に、めっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、めっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対してめっきを行い、被めっき層上に金属層を形成するめっき工程と、を備え、下地層形成用組成物および/または被めっき層形成用組成物が、P=O基含有重合性化合物を含み、被めっき層のヤング率が1200MPa以下である、金属層を有する積層体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属層を有する積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属層上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属層をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
【0003】
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と金属パターン(金属層)との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンを金属配線として使用する際、金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの腐食性の酸で基板表面を処理する必要があるため、基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
特に、ガラス基板やセラミックス基板などに対しては、表面を粗面化するうまい方法がなく、ガラスフリットに金属粉を混合して焼結するというような方法や、蒸着やスパッタといった真空法を用いることがあった。しかしながら、焼結は非常に高温が必要であり設備や生産性、有機物質とのマッチングの点で問題があり、真空法においても装置や生産性に問題がある上に金属層の密着が弱いという問題があった。
【0004】
この問題を解決する手段として、密着補助層(下地層)を備える基板上に該基板と直接結合したグラフトポリマーを生成させて被めっき層(ポリマー層)を形成し、この被めっき層に対してめっきを施すことで、金属層を有する積層体を得る方法が知られている(例えば、特許文献1)。該方法によれば、基板表面を粗面化することなく、基板と金属層との密着性を改良することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−248464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年、金属配線基板を備えた半導体素子は、より過酷な高温環境下で使用されることが想定され、具体的には200℃以上の高温環境下に曝されても充分な密着性を示す金属層の開発が望まれていた。
本発明者らは、特許文献1に開示されている発明を参照し、基板に形成した被めっき層に対してめっきを施すことで、金属層を有する積層体を製造した。そして、昨今要求されるようなより過酷な高温環境下(具体的には200℃以上)に曝し、金属層の密着性を評価した。その結果、高温環境下に曝した後の金属層の密着性は、必ずしも要求レベルを満たすものではないことを見出した。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、高温環境下に曝されても基板との優れた密着性を示す金属層を有する積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、下地層用組成物および/または被めっき層用組成物にP=O基含有重合性化合物を配合し、かつ、特定の範囲のヤング率を有する被めっき層(ポリマー層)を用いることで、上記課題を解決できることを見出した。
つまり、本発明者らは、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
【0009】
(1) 基板上に、反応性基を有するシランカップリング剤を含む下地層形成用組成物を用いて、下地層を形成する下地層形成工程と、
上記下地層上に、重合性基、および、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を有するポリマーと、反応性基を有するシランカップリング剤とを含む被めっき層形成用組成物を用いて、組成物層を形成し、その後、上記組成物層に対してエネルギーを付与して、被めっき層を形成する被めっき層形成工程と、
上記被めっき層に、めっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
上記めっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対してめっきを行い、上記被めっき層上に金属層を形成するめっき工程と、を備え、
上記下地層形成用組成物および/または上記被めっき層形成用組成物が、P=O基含有重合性化合物を含み、
上記被めっき層のヤング率が1200MPa以下である、金属層を有する積層体の製造方法。
【0010】
(2) 上記被めっき層のヤング率の値をX(MPa)、上記被めっき層の200℃における熱収縮率をYとしたとき、XとYとの積〔X(MPa)×Y〕が50.0以下である、上記(1)に記載の積層体の製造方法。
【0011】
(3) 上記被めっき層形成用組成物が、さらに光重合開始剤を含む、上記(1)または(2)に記載の積層体の製造方法。
【0012】
(4) 上記P=O基含有重合性化合物が、後述する一般式(1)で表される化合物である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0013】
(5) 上記被めっき層形成用組成物にP=O基含有重合性化合物が含まれ、P=O基含有重合性化合物の含有量が、上記ポリマーの含有量に対して30.0質量%未満である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0014】
(6) 上記被めっき層形成用組成物が、さらにスルホン酸基含有モノマーを含む、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0015】
(7) 上記スルホン酸基含有モノマーが、後述する一般式(4)で表される化合物である、上記(6)に記載の積層体の製造方法。
【0016】
(8) 上記被めっき層形成用組成物が、さらに可塑剤を含む、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0017】
(9) 上記可塑剤が、シリコーン化合物である、上記(8)に記載の積層体の製造方法。
【0018】
(10) 重合性基、および、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を有するポリマーと、
反応性基を有するシランカップリング剤と、
P=O基含有重合性化合物と、
光重合開始剤と、
スルホン酸基含有モノマーおよび/またはシリコーン化合物とを含む被めっき層形成用組成物。
【0019】
(11) 基板上に、下地層と、被めっき層と、金属層とをこの順で積層してなり、
上記下地層が、加水分解性基を介して上記基板上に結合したシランカップリング剤を含む層であり、
上記被めっき層のヤング率が1200MPa以下であり、
上記下地層および/または被めっき層が、P=O基を含む、金属層を有する積層体。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高温環境下に曝されても基板との優れた密着性を示す金属層を有する積層体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)〜(E)は、それぞれ本発明の積層体の製造方法における各製造工程を順に示す基板からパターン状金属層を有する積層体までの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の金属層を有する積層体の製造方法について説明する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
本発明の第一の特徴は、反応性を有するシランカップリング剤およびP=O基含有重合性化合物を使用している点である。具体的には、反応性基を有するシランカップリング剤を下地層形成用組成物および被めっき層形成用組成物に配合する点、および、下地層形成用組成物および/または被めっき層形成用組成物にP=O基含有重合性化合物を配合する点である。このような構成をとることにより、基板と下地層との間の密着性、および、下地層と被めっき層との間の密着性がより向上する。また、本発明の第二の特徴は、特定の範囲に属するヤング率を有する被めっき層を用いる点である。このような構成をとることにより、高温環境下に曝されることで被めっき層が熱収縮したとしても、金属層との間の応力の発生が抑制され、基板と金属層との間の密着性が維持される。本発明は上記二つの特徴を有するため、高温条件下に曝しても基板と金属層との間で優れた密着性を示す積層体を提供することができる。
【0023】
本発明の積層体の製造方法は、以下の4つの工程を備える。
(1) 基板上に、反応性基を有するシランカップリング剤を含む下地層形成用組成物を用いて、下地層を形成する下地層形成工程
(2) 上記下地層上に、重合性基、および、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を有するポリマーと、反応性基を有するシランカップリング剤とを含む被めっき層形成用組成物を用いて、組成物層を形成し、その後、上記組成物層に対してエネルギーを付与して、被めっき層を形成する被めっき層形成工程
(3) 上記被めっき層に、めっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程
(4) 上記めっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対してめっきを行い、上記被めっき層上に金属層を形成するめっき工程
ここで、下地層形成用組成物および/または被めっき層形成用組成物には、P=O基含有重合性化合物が含まれる。また、形成される被めっき層のヤング率は1200MPa以下である。
以下に、各工程で使用する材料、および、その操作方法について詳述する。
【0024】
<工程(1):下地層形成工程>
工程(1)は、基板上に、反応性基を有するシランカップリング剤を含む下地層形成用組成物を用いて、下地層を形成する工程である。該工程によって、シランカップリング剤の加水分解性基を介して、基板表面上と化学結合した下地層を形成することができ、該層は後述する被めっき層の下地層として機能する。尚、該下地層は、後述する被めっき層との間でも反応性基を介して化学結合を形成することができ、結果として、被めっき層の表面に形成される金属層と、基板との間に優れた密着性が発現する。
より具体的には、該工程によって、図1(A)に示されるように基板10上に下地層12が形成される。
まず、本工程で使用される材料(シランカップリング剤、P=O基含有重合性化合物、下地層形成用組成物、基板など)について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
【0025】
(シランカップリング剤)
本工程で使用されるシランカップリング剤は、反応性基を有する。該反応性基は後述するポリマーと反応し、被めっき層と下地層との間で共有結合を形成することが好ましい。
反応性基の種類としては後述するポリマーと反応すれば特に制限されないが、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、グリシジル基、アミノ基、カルボキシル基、ビニル基、メルカプト基、スチリル基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基などが挙げられる。なかでも、被めっき層との反応性がよく、金属層の密着性がより優れる点で、メタクリロイル基、アクリロイル基、グリシジル基、アミノ基、スチリル基、イソシアネート基などが好ましく挙げられる。
反応性基は、シランカップリング剤中に2個以上含まれていてもよい。
【0026】
本工程で使用されるシランカップリング剤の好適態様として、一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0027】
【化1】

【0028】
一般式(3)中、Zaは反応性基を表す。反応性基の定義は、上述の通りである。
Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基など。炭素数1〜12が好ましい。)、または芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)が挙げられる。なかでも、炭化水素基としては、メチル基、エチル基が好ましい。
Rが複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。
【0029】
は、加水分解性基を表す。具体的には、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜8のアルコキシ基。例えば、メトキシ基、エトキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基など)などが挙げられ、なかでも反応性が良好な点で、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子が好ましい。
【0030】
cは、単結合、または、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基。好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(例えば、アリーレン基。好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
なかでも、アルキレン基、−O−、またはこれらを組み合わせた基が化合物作製の点で好ましい。
単結合の場合、一般式(3)のZaがSiと直接連結することをさす。
【0031】
mは0〜2の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、n+m=3の関係を満たす。なかでも、mは0〜1が好ましい。nは、2〜3が好ましい。
【0032】
使用されるシランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、メタクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシランなどが挙げられる。
【0033】
(下地層形成用組成物)
下地層形成用組成物には、上述したシランカップリング剤が含有される。
下地層形成用組成物中におけるシランカップリング剤の含有量は特に制限されないが、取扱い性、下地層の層厚制御の容易性、および、生成した金属層の密着強度などにより優れる点から、組成物全量に対して、0.1〜100質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
【0034】
(P=O基含有重合性化合物)
下地層形成用組成物および/または後述する被めっき層形成用組成物には、P=O基含有重合性化合物が含まれる。
P=O基含有重合性化合物は、P=O基(ホスフィンオキシド基)と重合性基とを有する化合物である。該化合物が下地層形成用組成物に含まれる場合、P=O基を介してシランカップリング剤との間で強固な相互作用が形成される共に、該化合物はシランカップリング剤中で均一に分散する。また、重合性基を有することにより、後述する被めっき層との間で強固な共有結合を形成することができる。結果として、密着性に優れた金属層を備える積層体を得ることができる。
【0035】
P=O基含有重合性化合物には、P=O基と重合性基とが含有されていればよい。
重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられる。なかでも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基などが挙げられる。なかでも、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基が特に好ましい。
【0036】
P=O基含有重合性化合物の好適態様としては、以下の一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0037】
【化2】

【0038】
一般式(1)中、Xaは、重合性基を表す。重合性基の定義は、上述の通りである。
aは、単結合、または、2価の有機基を表す。有機基の定義は、上述したLcで表される有機基と同義である。
【0039】
aは、水素原子、または、重合性基を有しない置換基を表す。
重合性基を有しない置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、芳香族炭化水素基(例えば、アリール基)またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。尚、該置換基中には、−O−、−CO−、−NH−、またはこれらを組み合わせた基などの2価の有機基が含まれていてもよい。
アルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜9がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状であっても分枝状であっても環状であっても構わないが、好ましいのは直鎖アルキル基である。アルキル基は、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基などで置換されていてもよい。
アリール基の炭素数は、6〜14が好ましく、6〜10がより好ましい。アリール基の具体例として、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられる。アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基などで置換されていてもよい。
【0040】
pは1〜3の整数を表し、qは0〜2の整数を表し、pおよびqは、p+q=3の関係式を満たす。なかでも、pは1または2が好ましく、qは1または2が好ましい。
【0041】
一般式(1)で表される化合物の好適態様としては、一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化3】

【0043】
一般式(2)中、Ya、pおよびqの定義は、一般式(1)中の各基と同義である。
一般式(2)中、Xbは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。
一般式(2)中、Lbは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基、またはこれらの組み合わせた基を表す。
アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基のアルキレン部分の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられる。アルキレン基は、直鎖状であっても分枝状であっても構わないが、好ましいのは直鎖アルキレン基である。
なかでも、金属層の密着性がより優れるという点で、アルキレン部分の炭素数が2個以上である、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、またはアルキレンカルボニルオキシ基がLbに含まれることが好ましく、その炭素数は3〜12個であることがより好ましく、5〜8個であることが特に好ましい。
【0044】
P=O基含有重合性化合物としては、例えば、日本化薬(株)製のKAYAMERシリーズ、ユニケミカル(株)製のPhosmerシリーズ等、市販されている化合物をそのまま用いてもよく、新たに合成された化合物を用いてもよい。
以下において、P=O基含有重合性化合物の具体例を示すが、本発明で用いることができるモノマーはこれらに限定されない。
【0045】
【化4】

【0046】
下地層形成用組成物中にP=O基含有重合性化合物が含まれる場合、下地層と基板との密着性および下地層と被めっき層との密着性がより優れる点から、下地層形成用組成物中におけるP=O基含有重合性化合物とシランカップリング剤との質量比(P=O基含有重合性化合物/シランカップリング剤)は、1/1000〜1/2が好ましく、1/10〜1/3がより好ましい。
【0047】
(溶媒)
下地層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。
溶媒としては使用されるシランカップリング剤を溶解または分散させることができる溶媒であれば特に制限されないが、例えば、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなど)、アミド系溶媒(例えば、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、エステル系溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、カーボネート系溶媒(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、エーテル系溶媒(例えば、エチレングリコール、グリセリンなど)、ハロゲン系溶媒(例えば、クロロホルムなど)などが挙げられる。
下地層形成用組成物中における溶媒の含有量は特に制限されないが、取扱い性、下地層の層厚制御、および、安定性の点から、下地層形成用組成物中のシランカップリング剤およびP=O基含有重合性化合物の総濃度が、0.1〜50質量%となるように溶媒量を調整することが好ましい。
【0048】
下地層形成用組成物には、必要に応じて、その他添加剤(例えば、酸、塩基等のpH調整剤(例えば、酢酸、りん酸、塩酸、硝酸、硫酸、炭酸、シュウ酸、ギ酸などの酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水などの塩基))などが含まれていてもよい。
【0049】
(基板)
本発明に用いる基板としては、従来知られているいずれの基板も使用することができ、後述する処理条件に耐えることのできるものが好ましい。例えば、プラスチック基板、ガラス基板、セラミック基板、金属基板などが挙げられる。なかでも、上記シランカップリング剤との反応性が優れる点で、ガラス基板、セラミック基板が好ましく、ガラス基板がより好ましい。
プラスチック基板の材料としては、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂など)または熱可塑性樹脂(例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォンなど)が挙げられる。
セラミック基板の材料としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、シリコン、窒化シリコン、シリコンカーバイドなどが挙げられる。
ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダガラス、カリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、アルミケイ酸ガラス、鉛ガラスなどが挙げられる。
金属基板の材料としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅などが挙げられる。
【0050】
また、基板は、本発明で形成される金属層とは別に、その片面または両面に金属配線を有していてもよい。金属配線は、基板の表面に対してパターン状に形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。代表的には、エッチング処理を利用したサブトラクティブ法で形成されたものや、電気めっきを利用したセミアディティブ法で形成したものが挙げられ、いずれの工法で形成されたものを用いてもよい。
金属配線を構成する材料としては、例えば、銅、銀、錫、パラジウム、金、ニッケル、クロム、タングステン、インジウム、亜鉛、またはガリウムなどが挙げられる。
【0051】
(工程(1)の手順)
基板上に、反応性基を有するシランカップリング剤を含む下地層形成用組成物を用いて、下地層を形成する方法は特に限定されず、下地層形成用組成物中に基板を浸漬する方法や、下地層形成用組成物を基板上に塗布する方法などが挙げられる。得られる下地層の厚みを制御しやすい点から、組成物を基板上に塗布する方法が好ましい。
塗布の方法は特に制限されず、具体的な方法としては、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコーチィング、ブレードコータ、ドクターコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファーロールコータ、エクストロージョンコータ、カーテンコータ、ディップコーター、ダイコータ、グラビアロールによる塗工法、押し出し塗布法、ロール塗布法等の公知の方法を用いることができる。
【0052】
下地層形成用組成物を基板上に塗布する場合、下地層と被めっき層との密着性、および、形成される金属層の密着性がより向上する点から、基板への塗布量は、シランカップリング剤量換算で、0.001〜0.1g/m2が好ましく、0.0015〜0.05g/m2がより好ましい。
【0053】
下地層形成用組成物を浸漬や塗布などによって基板と接触させた後、必要に応じて、溶媒を除去するために基板を加熱処理してもよい。
加熱条件は組成物中に含有される溶媒により適宜最適な温度が選択されるが、生産性がより優れる点から、加熱温度は30〜200℃が好ましく、加熱時間は1分〜1時間が好ましい。
【0054】
さらに、下地層形成用組成物を基板と接触させた後(または、上記加熱処理を行った後)、溶媒を用いて基板を洗浄することが好ましい。溶媒による洗浄を行うことにより、基板上に堆積した未反応のシランカップリング剤を除去することができ、結果として形成される金属層の密着性がより向上する。
使用される溶媒は、シランカップリング剤の種類に応じて適宜選択され、例えば、上記下地層形成用組成物中に含有されてもよい溶媒が挙げられる。なかでも、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく挙げられ、特に、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノンがよく用いられる。
【0055】
尚、下地層形成用組成物を基板と接触させた後(または、溶媒による洗浄の後)、必要に応じて、基板を乾燥してもよい。乾燥条件は特に制限されないが、温度:20〜100℃で、時間:1分〜1時間乾燥することが好ましい。
【0056】
(下地層)
上記手順により形成される下地層は、主に、上述したシランカップリング剤により形成され、後述する被めっき層の下地層としての役割を果たす。該下地層が基板と被めっき層との間にあることにより、両者の密着性がより向上し、結果として金属層の密着性も向上する。
下地層の厚みは特に制限されないが、使用されるシランカップリング剤の一分子膜から数分子程度の厚みであることが好ましい。
【0057】
下地層の水に対する接触角は、使用するシランカップリング剤などにより制御することができる。下地層形成用組成物を使用したシランカップリング処理を行い、基板表面の接触角の値が変化することを観察することにより、基板表面に下地層が形成されたかどうか調べることができる。尚、下地層の構成成分と、被めっき層を構成するポリマー成分との組み合わせによって、基板表面の好ましい接触角は変化する。
尚、接触角は静的な接触角をいい、液滴法による接触角測定装置を使用して27℃において測定した。ここで「静的な接触角」とは、流動等による時間に伴う状態変化が生じない条件における接触角をいう。
【0058】
下地層には上記シランカップリング剤が主成分として含有されることが好ましい。主成分とは、シランカップリング剤の含有量が、下地層全量に対して、50質量%以上であることを指し、70質量%以上であることが好ましい。最大値は100質量%である。
尚、下地層形成用組成物中にP=O基含有重合性化合物が含まれる場合、下地層にはP=O基含有重合性化合物も含まれる。
【0059】
<工程(2):被めっき層形成工程>
工程(2)は、工程(1)で得られた下地層上に、重合性基、および、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を有するポリマーと、反応性基を有するシランカップリング剤とを含む被めっき層形成用組成物を用いて、組成物層を形成し、その後、上記組成物層に対してエネルギーを付与して、被めっき層を形成する工程である。該工程では、下地層および被めっき層形成用組成物を有する基板に対して、エネルギーを付与することにより、シランカップリング剤の反応性基、ポリマー中の重合性基、およびP=O基含有重合性化合物中の重合性基が活性化され、ポリマー間の架橋や、下地層と被めっき層との間で共有結合などが形成される。結果として、被めっき層と下地層間とがより強固に密着する。
より具体的には、図1(B)に示されるように、下地層12上に被めっき層14aが形成される。
まず、本工程で使用される材料(ポリマー、被めっき層形成用組成物など)について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
【0060】
(ポリマー)
本工程で使用されるポリマーは、重合性基と、相互作用性基とを有する。
【0061】
重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、または、ポリマーと下地層との間に化学結合を形成しうる官能基であり、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられる。なかでも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、アクリル酸エステル基(アクリロイルオキシ基)、メタクリル酸エステル基(メタクリロイルオキシ基)、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基などの不飽和カルボン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基などが挙げられる。なかでも、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、スチリル基が特に好ましい。
【0062】
相互作用性基は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基であり、めっき触媒またはその前駆体と静電相互作用を形成可能な官能基、あるいは、めっき触媒またはその前駆体と配位形成可能な含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などを使用することができる。
相互作用性基としては、例えば、非解離性官能基(解離によりプロトンを生成しない官能基)なども挙げられる。
【0063】
相互作用性基としてより具体的には、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用することができる。
なかでも、極性が高く、めっき触媒またはその前駆体などへの吸着能が高いことから、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、およびボロン酸基などのイオン性極性基や、エーテル基、またはシアノ基が特に好ましく、カルボキシル基またはシアノ基がさらに好ましい。
相互作用性基としてのこれら官能基は、ポリマー中に2種以上が含まれていてもよい。
【0064】
ポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、20000以上であることが好ましい。
また、ポリマーの重合度は特に制限されないが、10量体以上が好ましく、20量体以上がさらに好ましい。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
【0065】
(ポリマーの好適態様1)
ポリマーの第1の好ましい態様として、下記式(a)で表される重合性基を有するユニット(以下、適宜重合性基ユニットとも称する)、および、下記式(b)で表される相互作用性基を有するユニット(以下、適宜相互作用性基ユニットとも称する)を含む共重合体が挙げられる。尚、ユニットとは繰り返し単位を意味する。
【0066】
【化5】

【0067】
上記式(a)および式(b)中、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)を表す。尚、置換基は特に制限されないが、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、またはフッ素原子などが挙げられる。
尚、R1としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R2としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R3としては、水素原子が好ましい。R4としては、水素原子が好ましい。R5としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
【0068】
上記式(a)および式(b)中、X、Y、およびZは、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基としては、置換若しくは無置換の二価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換若しくは無置換の二価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
【0069】
X、Y、およびZとしては、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の二価の芳香族炭化水素基などが好ましく挙げられ、より好ましくは単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)である。
【0070】
上記式(a)および式(b)中、L1およびL2は、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義としては、上述したX、Y、およびZで述べた二価の有機基と同義である。
1としては、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、脂肪族炭化水素基、または、ウレタン結合若しくはウレア結合を有する二価の有機基(例えば、脂肪族炭化水素基)が好ましく、なかでも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。尚、ここで、L1の総炭素数とは、L1で表される置換または無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
【0071】
また、L2は、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、単結合、または、二価の脂肪族炭化水素基、二価の芳香族炭化水素基、もしくはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。なかでも、L2は、単結合、または、総炭素数が1〜15の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。尚、ここで、L2の総炭素数とは、L2で表される置換または無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
【0072】
上記式(b)中、Wは、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を表す。該官能基の定義は、上述の相互作用性基の定義と同じである。
【0073】
上記重合性基ユニットは、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜50モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40モル%である。5モル%未満では反応性(硬化性、重合性)が落ちる場合があり、50モル%超では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、上記相互作用性基ユニットは、めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜95モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95モル%である。
【0074】
(ポリマーの好適態様2)
ポリマーの第2の好ましい態様としては、下記式(A)、式(B)、および式(C)で表されるユニットを含む共重合体が挙げられる。
【0075】
【化6】

【0076】
式(A)で表されるユニットは上記式(a)で表されるユニットと同じであり、各基の説明も同じである。
式(B)で表されるユニット中のR5、XおよびL2は、上記式(b)で表されるユニット中のR5、XおよびL2と同じであり、各基の説明も同じである。
式(B)中のWaは、後述するVで表される親水性基またはその前駆体基を除くめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を表す。なかでも、シアノ基、エーテル基が好ましい。
【0077】
式(C)中、R6は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
式(C)中、Uは、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上述したX、YおよびZで表される二価の有機基と同義である。Uとしては、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の二価の芳香族炭化水素基が好ましい。
式(C)中、L3は、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上述したL1およびL2で表される二価の有機基と同義である。L3としては、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、単結合、または、二価の脂肪族炭化水素基、二価の芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
【0078】
式(C)中、Vは親水性基またはその前駆体基を表す。親水性基とは親水性を示す基であれば特に限定されず、例えば、水酸基、カルボン酸基などが挙げられる。また、親水性基の前駆体基とは、所定の処理(例えば、酸またはアルカリにより処理)により親水性基を生じる基を意味し、例えば、THP(2−テトラヒドロピラニル基)で保護したカルボキシ基などが挙げられる。
親水性基としては、被めっき層が各種水性処理液やめっき液と濡れ易くなる点から、イオン性極性基であることが好ましい。イオン性極性基としては、具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基が挙げられる。中でも、適度な酸性(他の官能基を分解しない)という点から、カルボン酸基が好ましい。
【0079】
上記ポリマーの第2の好ましい態様における各ユニットの好ましい含有量は、以下の通りである。
式(A)で表されるユニットは、反応性(硬化性、重合性)および合成の際のゲル化の抑制の点から、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜50モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜30モル%である。
式(B)で表されるユニットは、めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜75モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜70モル%である。
式(C)で表されるユニットは、水溶液による現像性と耐湿密着性の点から、ポリマー中の全ユニットに対して、10〜70モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは20〜60モル%であり、特に好ましくは30〜50モル%である。
【0080】
上記ポリマーの具体例としては、例えば、特開2009−007540号公報の段落[0106]〜[0112]に記載のポリマー、特開2006−135271号公報の段落[0065]〜[0070]に記載のポリマー、US2010−080964号の段落[0030]〜[0108]に記載のポリマーなどが挙げられる。
該ポリマーは、公知の方法(例えば、上記で列挙された文献中の方法)により製造することができる。
【0081】
(被めっき層形成用組成物)
被めっき層形成用組成物には上記ポリマーが含まれる。
被めっき層形成用組成物中のポリマーの含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、被めっき層の層厚の制御がしやすい。
【0082】
(シランカップリング剤)
被めっき層形成用組成物には、上述したシランカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が含まれることにより、下地層と被めっき層との密着性がより向上し、被めっき層の膜物性を制御しやすくなる。
使用されるシランカップリング剤の種類は、上述の通りであり、好適な態様も同じである。
【0083】
被めっき層形成用組成物中のシランカップリング剤の含有量は特に制限されないが、取扱い性、被めっき層の下地層との密着性がより優れる、および、金属層の密着性がより優れるなどの点から、被めっき層形成用組成物中におけるシランカップリング剤とポリマーとの質量比(シランカップリング剤/ポリマー)は、1/1000〜1/5が好ましく、1/100〜1/10がより好ましい。
【0084】
(P=O基含有重合性化合物)
上述したように、下地層形成用組成物および/または後述する被めっき層形成用組成物には、上記P=O基含有重合性化合物が含まれる。
該化合物が被めっき層形成用組成物に含まれる場合、P=O基を介して下地層との間で強固な相互作用が形成する。さらに、重合性基を介して上記ポリマーと強固な共有結合を形成し、下地層と被めっき層との間の密着性を向上させる役割を果たす。
【0085】
被めっき層形成用組成物中にP=O基含有重合性化合物が含まれる場合、被めっき層の下地層に対する密着性および金属層に対する密着性がより優れる理由から、被めっき層形成用組成物中のP=O基含有重合性化合物の含有量は、上記ポリマーの含有量に対して、30.0質量%未満であることが好ましく、0.1質量%以上30.0質量%未満であることがより好ましく、0.5質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0086】
(光重合開始剤)
本発明の被めっき層形成用組成物には、光重合開始剤が含まれることが好ましい。光重合開始剤が含まれることにより、ポリマーと下地層との間の結合がより形成され、結果として密着性により優れた金属層を得ることができる。
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、ベンゾイン類、ケトン類、チオキサントン類、ベンジル類、ベンジルケタール類、オキスムエステル類、アンソロン類、テトラメチルチウラムモノサルファイド類、ビスアシルフォスフィノキサイド類、アシルフォスフィンオキサイド類、アントラキノン類、アゾ化合物等及びその誘導体を挙げることができる。これらの詳細については「紫外線硬化システム」(1989年、総合技術センター)第63頁〜第147頁等に記載されている。また、開環重合用の重合開始剤として、カチオン重合開始剤も挙げることができる。カチオン重合開始剤の例としては、芳香族オニウム塩、周期表第VIa族元素のスルホニウム塩、およびその誘導体を挙げることができる。
【0087】
被めっき層形成用組成物には、溶媒が含まれることが好ましい。
使用できる溶媒は特に限定されず、例えば、下地層形成用組成物で使用される溶媒などが挙げられる。なかでも、水、アミド系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤、アルコール系溶剤が好ましく、具体的には、水、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、1−メトキシ−2−プロパノール等が好ましい。
【0088】
被めっき層形成用組成物中の溶媒の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、50〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、被めっき層の層厚の制御などがしやすい。
【0089】
(工程(2)の手順)
被めっき層形成用組成物を用いて、下地層上に組成物層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、被めっき層形成用組成物中に基板を浸漬する方法や、被めっき層形成用組成物を下地層上に塗布する方法などが挙げられる。得られる被めっき層の厚みを制御しやすい点から、組成物を基板上に塗布する方法が好ましい。
塗布の方法としては、上記工程(1)で述べた塗布方法を使用できる。
【0090】
被めっき層形成用組成物を下地層上に塗布する場合、その塗布量は、後述するめっき触媒またはその前駆体との充分な相互作用形成性の観点から、固形分換算で0.1〜10g/m2が好ましく、特に0.5〜5g/m2が好ましい。
尚、本工程において被めっき層を形成するに際しては、塗布と乾燥との間に、20〜40℃で0.5時間〜2時間放置させて、残存する溶媒を除去してもよい。
【0091】
本工程における下地層上の組成物層に対するエネルギー付与の方法としては、例えば、加熱処理や露光処理などが用いられることが好ましく、処理が短時間で終わる点から、露光処理が好ましい。
露光処理には、UVランプ、可視光線などによる光照射等が用いられる。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などもある。具体的な態様としては、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
露光時間としては、ポリマーの反応性および光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。露光エネルギーとしては、10〜10000mJ程度であればよく、好ましくは100〜8000mJの範囲である。
また、エネルギー付与として加熱処理を用いる場合、送風乾燥機、オーブン、赤外線乾燥機、加熱ドラムなどを用いることができる。
これらのエネルギー付与方法を組み合わせて付与してもよい。例えば、露光と加熱を組み合わせてもよい。
【0092】
さらに、エネルギー付与後に、適宜、エネルギー付与後の組成物から未反応のポリマーを除去してもよい。除去方法としては、溶媒を使用する方法が挙げられ、例えば、ポリマーを溶解する溶剤や、アルカリ可溶性のポリマーの場合はアルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)などで除去することができる。
【0093】
(被めっき層)
得られる被めっき層の厚みは特に制限されないが、金属層の基板への密着性の点から、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。
また、乾燥膜厚で0.05〜20g/m2が好ましく、特に0.1〜6g/m2が好ましい。
【0094】
(被めっき層のヤング率)
本発明の被めっき層のヤング率は1200MPa以下である。本発明の被めっき層はこのような特定の範囲に属するヤング率を有するため、過酷な高温環境下(具体的には200℃以上)に曝されることで被めっき層が熱収縮したとしても、金属層との間の応力の発生が抑制され、結果として、基板と金属層との間の密着性が維持される。
本発明の被めっき層のヤング率は、被めっき層の強度の観点から、10MPa以上であることが好ましく、より高温条件下に曝されたときでも基板と金属層との間の密着性が維持されるという理由から、1000MPa以下であることが好ましく、700MPa以下であることがより好ましく、300MPa以下であることがさらに好ましい。
なお、被めっき層のヤング率は、被めっき層のみのモデル膜を作製し、JIS K 7127:1999に基づいて測定する。被めっき層のみのモデル膜は、例えば、テフロンシャーレ上に被めっき層形成用組成物をキャストし、溶媒を乾燥除去した後、UV露光(波長:254nm、露光量:6000mJ/cm2)を施すことで作製することができる。
【0095】
被めっき層のヤング率を上記特定のヤング率に調整する方法は特に限定されないが、例えば、被めっき層中の架橋密度を変更する方法、被めっき層中に可塑剤を含有させる方法、被めっき層中に天然ゴムや合成ゴムなどのエラストマーを含有させる方法、被めっき層中にフィラーを含有させる方法などが挙げられる。なお、被めっき層中に可塑剤やエラストマーやフィラーを含有させるためには、上述した被めっき層形成用組成物に可塑剤やエラストマーやフィラーを含有させる方法が挙げられる。また、被めっき層中の架橋密度を変更する方法としては、例えば、上述したポリマー中の重合性基の含有量を低下させる方法や、被めっき層形成用組成物にモノマー(好ましくは単官能モノマー)を含有させる方法などが挙げられる。
なかでも、被めっき層のヤング率の制御が容易である点から、被めっき層形成用組成物に可塑剤を含有させる方法(以後、方法Aと称する)、被めっき層形成用組成物にモノマーを含有させる方法(以後、方法Bと称する)が好ましい。以下においては、この2つの態様について詳述する。
【0096】
(方法Aの態様について)
以下では、方法Aの態様について詳述する。まず、方法Aで使用される可塑剤について詳述する。
【0097】
(可塑剤)
上記可塑剤は、被めっき層の柔軟性を高める化合物であり、被めっき層形成用組成物中のポリマーおよびシランカップリング剤と相溶するものであることが好ましい。上記可塑剤としては、例えば、脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、グリコールエステル類、エポキシ化エステル類、クエン酸エステル類およびシリコーン化合物などが挙げられる。なかでも、より簡便に適正なヤング率に調整できる点、および、より相溶性が高い点から、シリコーン化合物が好ましく、アミン変性シリコーン化合物がより好ましい。
【0098】
上記アミン変性シリコーン化合物の好適な態様としては、例えば、一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0099】
【化7】

【0100】
一般式(6)中、R21は、水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基など。炭素数1〜12が好ましい。)、または芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)が挙げられる。なかでも、炭化水素基としては、メチル基、エチル基が好ましい。R21は、同一であっても異なっていてもよい。
一般式(6)中、XおよびYは、水素原子、炭化水素基(炭化水素基の例および好適な態様は、上記R21と同じである。)またはアミノ基を表し、XおよびYのうち少なくとも一方はアミノ基である。
【0101】
上記可塑剤を使用する場合、被めっき層形成用組成物中における可塑剤の含有量は、得られる被めっき層が上記ヤング率の範囲となるように適宜調整される。なかでも、金属層の密着性がより優れる点で、被めっき層形成用組成物中における可塑剤の使用量は、上記ポリマー100質量部に対して、1〜60質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。
【0102】
なお、被めっき層を形成する手順は、上述した方法と同じである。
【0103】
(方法Bの態様について)
以下では、方法Bの態様について詳述する。まず、方法Bで使用されるモノマーについて詳述する。
【0104】
(モノマー)
被めっき層を調整するために添加するモノマーは、上記ポリマーの重合性基と反応するものであれば特に限定されないが、より簡便に適正なヤング率に調整できる点、および、より相溶性が高い点から、重合性基およびスルホン酸基を有するスルホン酸基含有モノマーであることが好ましく、また単官能であることがより好ましい。重合性基の種類と好適な態様は、上記ポリマーの重合性基と同じである。
【0105】
上記スルホン酸基含有モノマーの好適態様としては、以下の一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0106】
【化8】

【0107】
一般式(4)中、R10は、水素原子、金属カチオン、または第四級アンモニウムカチオンを表す。金属カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン(ナトリウムイオン、カルシウムイオン)、銅イオン、パラジウムイオン、銀イオンなどが挙げられる。尚、金属カチオンとしては、主に1価または2価のものが使用され、2価のもの(例えば、パラジウムイオン)が使用される場合、後述するnは2を表す。
第四級アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
なかでも、無電解めっき触媒金属の付着、および、パターニング後の金属残渣の点から、水素原子であることが好ましい。
【0108】
10は、単結合、または、二価の有機基を表す。二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
置換または無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、若しくはブチレン基、または、これらの基が、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換または無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニレン基、または、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたフェニレン基が好ましい。
【0109】
11〜R13は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基が挙げられる。また、置換アルキル基としては、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、またはフッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
尚、R11としては、水素原子、またはメチル基が好ましい。
12としては、水素原子が好ましい。
13としては、水素原子が好ましい。
【0110】
nは、1または2の整数を表す。なかでも、化合物の入手性の観点から、nは1であることが好ましい。
【0111】
(好適態様)
一般式(4)で表される化合物の好適態様として、一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0112】
【化9】

【0113】
一般式(5)中、R10、R11およびnは、上記の定義と同じである。
11は、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、またはフェニレン基を表す。なかでも、L11がアミド基であると、得られる被めっき層の重合性、および、耐溶剤性(例えば、アルカリ溶剤耐性)が向上する。
12は、単結合、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数3〜5)、または2価の芳香族炭化水素基を表す。脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状であってもよい。
尚、L12が単結合の場合、L11はフェニレン基を表す。
【0114】
一般式(4)で表される化合物の分子量は特に制限されないが、揮発性、溶剤への溶解性、成膜性、および、取扱い性などの観点から、100〜1000が好ましく、100〜300がより好ましい。
【0115】
上記モノマーを使用する場合、被めっき層形成用組成物中におけるモノマーの含有量は、得られる被めっき層が上記ヤング率の範囲となるように適宜調整される。なかでも、金属層の密着性がより優れる点で、被めっき層形成用組成物中におけるモノマーの使用量は、上記ポリマー100質量部に対して、1〜60質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。
【0116】
なお、被めっき層を形成する手順は、上述した方法と同じである。
【0117】
(被めっき層の熱収縮率)
被めっき層の熱収縮率は、より高温環境下に曝されたときでも基板と金属層との密着性が維持されるという理由から、0.100以下であることが好ましく、0.050以下であることがより好ましく、0.035以下であることがさらに好ましい。
ここで、被めっき層の熱収縮率は次のようにして測定した。すなわち、まず、テフロンシャーレ上に被めっき層形成用組成物をキャストし、溶媒を乾燥除去した後、UV露光(波長:254nm、露光量:6000mJ/cm2)を施し、長さA:75mm、幅B:5mmに切り出す事で、厚みC:200μmの被めっき層のモデル膜を作製した。その後、該モデル膜に200℃1時間の加熱処理を施し、そのときのモデル膜の長さAの変化を下記式に従って算出することで求めた。
(熱収縮率)=((熱処理前のモデル膜の寸法)−(熱処理後のモデル膜の寸法))/(熱処理前のモデル膜の寸法)
【0118】
被めっき層の熱収縮率は、被めっき層形成用組成物を上述した好適な態様とすることにより、上記特定の範囲に属するものとすることができる。
【0119】
(ヤング率と熱収縮率との積)
本発明の被めっき層は、被めっき層のヤング率の値をX(MPa)、被めっき層の200℃における熱収縮率をYとしたとき、XとYとの積が50.0以下であることが好ましく、30.0以下であることがより好ましい。
ここで、XとYとの積の具体的な計算方法は次のとおりである。すなわち、例えば、ヤング率が200MPa、熱収縮率が0.030の場合、Xは200、Yは0.03であり、XとYとの積は6.0(=200×0.03)となる。
XとYとの積が上記範囲にあるような被めっき層を用いて積層体を製造した場合、該積層体は、高温環境下に曝されても、金属層と基板との間に発生する応力がより低いレベルに抑えられるため、金属層と基板との間でより優れた密着性を示す。具体的には、200℃の高温環境下に1h曝しても、0.2kN以上の密着力を示す。
被めっき層のヤング率および熱収縮率は上述した方法と同じ方法で求めたものである。 また、密着力は、次のようにして求めた。すなわち、積層体を200℃で1時間保持した後、金属層に5mmの間隔を開けて、平行に130mmの切り込みを入れ、その端部をカッターにより切り込みを入れて10mm立ち上げた。引張試験機((株)エー・アンド・ディー製、RTM−100)を用いて、剥がした金属層の端部をつかんで90°ピール強度を測定した(引張速度10mm/min)。
【0120】
上記XとYとの積は、被めっき層形成用組成物を上述した好適な態様とすることにより、上記特定の範囲に属するものとすることができる。
尚、ヤング率Xと熱収縮率Yとの積は、熱収縮時に発生する応力の大きさを簡易的に表している。該値が小さければ、被めっき層が加熱処理を受けた際の発生する応力が小さい傾向があり、結果として金属層の密着性がより優れることと相関関係がある。
【0121】
<工程(3):触媒付与工程>
工程(3)は、工程(2)で得られた被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程である。本工程においては、被めっき層中の相互作用性基が、その機能に応じて、付与されためっき触媒またはその前駆体を付着(吸着)する。より具体的には、図1(C)に示されるように、めっき触媒またはその前駆体を付与された被めっき層14bが形成される。
ここで、めっき触媒またはその前駆体としては、後述する工程(4)における、めっき処理の触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒またはその前駆体は、工程(4)におけるめっき処理の種類により決定されるが、無電解めっき触媒またはその前駆体であることが好ましい。
まず、本工程で使用される材料(無電解めっき触媒またはその前駆体など)について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
【0122】
(無電解めっき触媒)
本工程において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられる。具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Pt、Au、Coなどが挙げられる。中でも、触媒能の高さから、Ag、Pd、Pt、Cuが特に好ましい。
この無電解めっき触媒としては、金属コロイドを用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤または荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤または保護剤により調節することができる。
【0123】
(無電解めっき触媒前駆体)
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは被めっき層へ付与された後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよい。また、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
【0124】
無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、金属塩を用いて被めっき層に付与することが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。例えば、Agイオン、Cuイオン、Niイオン、Coイオン、Ptイオン、Pdイオンが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Agイオン、Pdイオン、Cuイオンが好ましい。
【0125】
本発明で用いられる無電解めっき触媒またはその前駆体の好ましい例の一つとして、パラジウム化合物が挙げられる。このパラジウム化合物は、めっき処理時に活性核となり金属を析出させる役割を果たす、めっき触媒(パラジウム)またはその前駆体(パラジウムイオン)として作用する。パラジウム化合物としては、パラジウムを含み、めっき処理の際に核として作用すれば、特に限定されないが、例えば、パラジウム(II)塩、パラジウム(0)錯体、パラジウムコロイドなどが挙げられる。
【0126】
また、無電解めっき触媒またはその前駆体としては、銀、または銀イオンが好ましい別の例として挙げられる。
銀イオンを用いる場合、以下に示すような銀化合物が解離したものを好適に用いることができる。銀化合物の具体例としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。この中でも、水溶性の観点から硝酸銀が好ましい。
【0127】
(その他の触媒)
本工程において、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒として、上述した以外の0価金属を使用することもできる。
【0128】
上記めっき触媒またはその前駆体は、これらを溶媒に分散または溶解させた分散液または溶液(以後、適宜めっき触媒液とも称する)の形態で使用されることが好ましい。
めっき触媒液で使用される溶媒は、有機溶剤および/または水が用いられる。めっき触媒液が有機溶剤を含有することで、被めっき層に対するめっき触媒液の浸透性が向上し、相互作用性基に効率よくめっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
【0129】
めっき触媒液に用いられる有機溶剤としては、被めっき層に浸透しうる溶剤であれば特に制限は無いが、具体的には、アセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールジアセテート、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブなどを用いることができる。
【0130】
更に、分散液や溶液には、目的に応じて他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、例えば、膨潤剤や、界面活性剤などが挙げられる。
【0131】
(工程(3)の手順)
めっき触媒またはその前駆体を被めっき層に付与する方法は、特に制限されない。
例えば、上記めっき触媒液(金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液)を調製し、を被めっき層上に塗布する方法、または、めっき触媒液中に被めっき層が形成された基板を浸漬する方法などが挙げられる。
被めっき層とめっき触媒液の接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
接触時のめっき触媒液の温度は、5〜80℃程度であることが好ましく、15〜60℃程度であることがより好ましい。
【0132】
上記のようにめっき触媒またはその前駆体を接触させることで、被めっき層中の相互作用性基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、イオン結合のような静電的相互作用、または、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、めっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、めっき触媒液中の金属濃度または金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
【0133】
<工程(4):めっき工程>
工程(4)は、工程(3)でめっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対してめっきを行い、被めっき層上に金属層を形成する工程である。該工程により形成された金属層は、優れた導電性、密着性を有する。より具体的には、図1(D)に示すように、被めっき層14b上に金属層16が形成され、積層体18が得られる。
本工程において行われるめっき処理の種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、上記工程(3)において、被めっき層との間に相互作用を形成しためっき触媒またはその前駆体の機能によって、選択することができる。
中でも、被めっき層中に発現するハイブリッド構造の形成性および密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚の金属層16を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっきについて説明する。
【0134】
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体が被めっき層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬させる。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
【0135】
尚、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、液全体に対する該還元剤の濃度が0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
浸漬の際には、無電解めっき触媒またはその前駆体が接触する被めっき層表面付近の無電解めっき触媒またはその前駆体の濃度を一定に保つ上で、攪拌または揺動を加えながら浸漬することが好ましい。
【0136】
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤(例えば、水)の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
【0137】
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
【0138】
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物が選択される。
【0139】
このようにして形成される無電解めっきによる金属層の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、または、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.1μm以上であることが好ましく、0.2〜2μmであることがより好ましい。
ただし、無電解めっきによる金属層を導通層として、後述する電気めっきを行う場合は、少なくとも0.1μm以上の膜が均一に付与されていることが好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
【0140】
(電気めっき)
本工程おいては、上記工程(3)において付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成された金属層を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属層を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属層を目的に応じた厚みに形成しうるため、金属層を種々の応用に適用するのに好適である。
【0141】
電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。尚、電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
【0142】
また、電気めっきにより得られる金属層の膜厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、または、電流密度などを調整することで制御することができる。
尚、一般的な電気配線などに適用する場合、金属層の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
尚、電気配線の厚みは、電気配線の線幅が狭くなる、すなわち微細化するほどアスペクト比を維持するために薄くなる。従って、電気めっきによって形成される金属層の層厚は、上記に限定されず、任意に設定できる。
【0143】
<積層体>
上記工程(1)〜(4)を経ることにより、図1(D)に示すように、基板10と、下地層12と、被めっき層14bと、金属層16とをこの順で備える積層体18(金属層付き積層体)を得ることができる。
得られた積層体18は、例えば、金属配線基板用に使用され、より具体的には、プリント配線板、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL(Copper Clad Laminate)材料、電気配線用材料等の種々の電子デバイス用途に適用することができる。
【0144】
<任意工程:加熱工程>
上記めっき工程後に、必要に応じて、金属層を有する積層体に対して加熱処理を行ってもよい(加熱工程)。めっき処理後に加熱処理を行うことにより、めっき工程で形成された金属層(めっき膜)の密着性がより向上する場合がある。
尚、めっき工程で無電解めっき処理と電気めっき処理とを実施する場合、無電解めっき処理の後に該加熱工程を実施し、電気めっき処理の後に該加熱処理を行ってもよい。
【0145】
加熱工程における加熱条件は使用されるポリマーや金属層の材料により異なるが、金属層の密着性をより向上させる点で、加熱温度は80〜200℃が好ましく、100〜140℃がより好ましい。
また、加熱時間は、生産性および密着性向上の点から、5分〜2時間が好ましく、30分〜1時間がより好ましい。
尚、本加熱工程においては、条件の異なる加熱処理を2回以上連続して行ってもよい。
【0146】
<金属パターン材料、およびその製造方法>
上記積層体中における金属層を、パターン状にエッチングする工程を行うことで、パターン状の金属層を表面に備える積層体(金属パターン材料)を製造することができる。
このエッチング工程(工程(5))について以下に詳述する。
【0147】
[工程(5):エッチング工程]
エッチング工程は、上記で形成された金属層(めっき膜)をパターン状にエッチングする工程である。即ち、本工程では、形成された金属層の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。より具体的には、図1(E)に示すように、本工程において、パターン状の金属層20が形成される。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
【0148】
サブトラクティブ法とは、形成された金属層上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液で金属層を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが装置などの簡便性の点で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
【0149】
また、セミアディティブ法とは、形成された金属層上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとして電気めっきを行い、ドライフィルムレジストパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、金属層をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジスト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気めっき手法としては上記記載の手法が使用できる。
【0150】
なお、工程(2)の代わりに、以下の工程(6)を実施することにより、パターン状の被めっき層を得ることができる。工程(6)における現像除去は、ポリマーを含む層を溶解除去することができる現像液が適宜使用される。
工程(6):下地層上に上記組成物層を形成し、該組成物層にパターン状のエネルギー付与を行い、エネルギー付与領域の組成物層を硬化させ、その後エネルギー未付与領域を現像除去し、パターン状の被めっき層を形成する工程
工程(6)で得られたパターン状の被めっき層に対し工程(3)および(4)を行うことで、パターン状の金属層を備える金属パターン材料を製造することもできる(フルアディティブ工法)。
【0151】
[用途]
得られたパターン状の金属層を有する積層体は、例えば、半導体チップ、各種電気配線板(例えば、プリント配線基板)、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の種々の用途に適用することができる。なかでも、配線基板として用いる用途が好ましい。
【実施例】
【0152】
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、実施例で使用されるポリマーの合成方法について詳述する。
【0153】
<合成例1:ポリマーA>
2Lの三口フラスコに、酢酸エチル(1L)および2−アミノエタノール(159g)を入れ、氷浴にて冷却した。そこへ、2−ブロモイソ酪酸ブロミド(150g)を内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、内温を室温(25℃)まで上昇させて2時間反応させた。反応終了後、蒸留水(300mL)を追加して反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水(300mL)で4回洗浄し、その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去することで原料A(80g)を得た。
【0154】
次に、500mLの三口フラスコに、上記原料A(47.4g)、ピリジン(22g)および酢酸エチル(150mL)を入れて氷浴にて冷却した。そこへ、アクリル酸クロライド(25g)を内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、室温に上げて3時間反応させた。反応終了後、蒸留水(300mL)を追加し、反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水(300mL)で4回洗浄し、その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去した。その後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、以下のモノマーM(20g)を得た。
【0155】
【化10】

【0156】
さらに、500mLの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド(8g)を入れ、窒素気流下、65℃まで加熱した。そこへ、上記モノマーM(14.3g)、アクリロニトリル(東京化成工業(株)製)(3.0g)、アクリル酸(東京化成製)(6.5g)およびV−65(和光純薬製)(0.4g)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(8g)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド(41g)を足し、室温まで反応溶液を冷却した。上記反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)(0.09g)およびDBU(54.8g)を加え、室温で12時間反応を行った。その後、反応溶液に70質量%メタンスルホン酸水溶液(54g)を加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、重合性基および相互作用性基を有するポリマーA(重量平均分子量5.3万)(12g)を得た。
【0157】
得られたポリマーAの酸価を、電位差自動滴定装置(京都電子工業(株)製)、および滴定液として0.1M水酸化ナトリウム水溶液を用いて測定したところ、3.9mmol/gであった。
【0158】
(ポリマーAの構造の同定)
得られたポリマーAの同定をIR測定機((株)堀場製作所製)を用いて行った。測定はポリマーをアセトンに溶解させKBr結晶を用いて行った。IR測定の結果、2240cm-1付近にピークが観測され、シアノユニットであるアクリロニトリルがポリマーに導入されている事が分かった。また、酸価測定によりカルボン酸ユニットとしてアクリル酸が導入されていることが分かった。また、重DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させ、ブルカー製300MHzのNMR(AV−300)にて測定を行った。シアノ基含有ユニットに相当するピークが2.5−0.7ppm(5H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが7.8−8.1ppm(1H分)、5.8−5.6ppm(1H分)、5.4−5.2ppm(1H分)、4.2−3.9ppm(2H分)、3.3−3.5ppm(2H分)、2.5−0.7ppm(6H分)にブロードに観察され、カルボン酸含有ユニットに相当するピークが2.5−0.7ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:シアノ基含有ユニット:カルボン酸基ユニット=29:30:41(mol%)であることが分かった。
【0159】
【化11】

【0160】
<合成例2:ポリマーB>
1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド(35g)を入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(市販品、東京化成製)(6.60g)、2−シアノエチルアクリレート(28.4g)およびV−601(和光純薬製)(0.65g)のN,N−ジメチルアセトアミド35g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン(0.29g)、ジブチルチンジラウレート(0.29g)、カレンズAOI(昭和電工(株)製)(18.56g)およびN,N−ジメチルアセトアミド(19g)を加え、55℃で4時間反応を行った。その後、反応溶液にメタノール(3.6g)を加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル:ヘキサン=1:1で再沈を行い、固形物を取り出し、重合性基および相互作用性基を有するポリマーB(重量平均分子量6.2万)(32g)を得た。
【0161】
(ポリマーBの構造の同定)
ポリマーBの構造を同定するために、ポリマーBを重DMSOに溶解させ、ブルカー製300MHzのNMR(AV−300)にて測定を行った。シアノ基含有ユニットに相当するピークが4.3−4.05ppm(2H分)、2.9−2.8ppm(2H分)、2.5−1.3ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが7.2−7.3ppm(1H分)、6.4−6.3ppm(1H分)、6.2−6.1ppm(1H分)、6.0−5.9ppm(1H分)、4.3−4.05ppm(6H分)、3.3−3.2ppm(2H分)、2.5−1.3ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:シアノ基含有ユニット=20:80(mol%)であることが分かった。
【0162】
ポリマーBを、THFに溶解させ、東ソー製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。その結果、23.75分にピークが現れ、ポリスチレン換算でMw=60000(Mw/Mn=1.9)であることが分かった。
尚、以下のポリマーBの化学式中の数値は、各ユニットのモル%を表す。
【0163】
【化12】

【0164】
<実施例1>
(下地層の形成)
ガラス基板(コーニング社イーグル2000)上に、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(KBM−5103(信越シリコーン社製))とKAYAMER PM−21(日本化薬社製)とを含む下地層形成用組成物X1をスピンコート法により塗布し、110℃で5分間乾燥した。その後、ガラス基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、さらに水で洗浄し、エアー乾燥し、下地層を形成したガラス基板を得た。
下地層形成用組成物X1において、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシランとKAYAMER PM−21との質量比は1:0.25であった。また、下地層形成用組成物X1には溶媒としてシクロペンタノンが含まれ、その含有量は組成物全量に対して94質量%であった。
【0165】
ガラス基板の表面水接触角と、上記処理後のガラス基板の表面水接触角とを測定した所、それぞれ3°、25°と測定され、上記処理によりガラス基板上に下地層が形成されたことが確認された。
【0166】
(被めっき層の形成)
上記下地層を形成した基板に、下記被めっき層形成用組成物Y1をスピンコート法により塗布し、80℃で5分間乾燥した。その後、UV露光(波長:254nm、露光量:6000mJ/cm2)を基板全面に行い、1%重曹水で洗浄した。
これにより、基板上の下地層と直接結合した被めっき層(厚み:0.6μm)を得た。
【0167】
(被めっき層形成用組成物Y1)
被めっき層形成用組成物Y1の組成は、ポリマーAが5.38質量%、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシランが0.27質量%、KAYAMER PM−21が0.07質量%、Irgacure 2959(チバスペシャリティケミカルズ社製)が0.27質量%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が1.08質量%、BY−16−871(東レダウコーニング社製)が0.54質量%で、残りが水と1−メトキシ−2−プロパノールの混合物(混合質量比率(水/1−メトキシ−2−プロパノール)=2/8)であった。
【0168】
(触媒の付与)
1質量%硝酸銀水溶液を用意し、これをめっき触媒液とした。
該めっき触媒液に、被めっき層を有する基板を10分間浸漬した後、純水で洗浄した。
【0169】
(無電解めっき)
めっき触媒が付与された被めっき層を有する基板を下記組成の無電解めっき浴に26℃で60分間浸漬し、無電解めっきを行った。得られた金属層(めっき層)の厚さは、約0.5μmであった。
【0170】
(無電解めっき液の組成)
蒸留水:770.88g
スルカップPGT−A(上村工業製):97.24g
スルカップPGT−B(上村工業製):66.58g
スルカップPGT−C(上村工業製):43.26g
ホルマリン:22.39g
【0171】
(電解めっき)
続いて、上記で得られた無電解めっき膜(無電解銅めっき膜)を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dm2の条件で、電気めっきを20分間行い、金属層を有する積層体を製造した。得られた電気銅めっき膜の厚みは15μmであった。
【0172】
(電気めっき浴の組成)
硫酸銅:38g
硫酸:95g
塩酸:1mL
カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製):3mL
水:500g
【0173】
<実施例2>
被めっき層形成用組成物Y1の代わりに、下記組成の被めっき層形成用組成物Y2を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を得た。
【0174】
(被めっき層形成用組成物Y2)
被めっき層形成用組成物Y2の組成は、ポリマーAが5.41質量%、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシランが0.27質量%、KAYAMER PM−21が0.07質量%、Irgacure 2959が0.27質量%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が1.08質量%で、残りが水と1−メトキシ−2−プロパノールの混合物(混合質量比率(水/1−メトキシ−2−プロパノール)=2/8)であった。
【0175】
<実施例3>
被めっき層形成用組成物Y1の代わりに、下記組成の被めっき層形成用組成物Y3を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を得た。
【0176】
(被めっき層形成用組成物Y3)
被めっき層形成用組成物Y3の組成は、ポリマーBが5.38質量%、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシランが0.27質量%、KAYAMER PM−21が0.07質量%、Irgacure 2959が0.27質量%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が1.08質量%、BY−16−871が0.54質量%で、残りが水とアセトニトリルの混合物(混合質量比率(水/アセトニトリル)=2/8)であった。
【0177】
<実施例4>
被めっき層形成用組成物Y1の代わりに、下記組成の被めっき層形成用組成物Y4を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を得た。
【0178】
(被めっき層形成用組成物Y4)
被めっき層形成用組成物Y4の組成は、ポリマーAが5.38質量%、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシランが0.27質量%、KAYAMER PM−21が0.07質量%、Irgacure 2959が0.54質量%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が0.54質量%、BY−16−871が0.54質量%で、残りが水と1−メトキシ−2−プロパノールの混合物(混合質量比率(水/1−メトキシ−2−プロパノール)=2/8)であった。
【0179】
<実施例5>
被めっき層形成用組成物Y1の代わりに、下記組成の被めっき層形成用組成物Y5を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を得た。
【0180】
(被めっき層形成用組成物Y5)
被めっき層形成用組成物Y5の組成は、ポリマーAが5.38質量%、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシランが0.27質量%、KAYAMER PM−21が1.62質量%、Irgacure 2959(チバスペシャリティケミカルズ社製)が0.27質量%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が0.54質量%、BY−16−871(東レダウコーニング社製)が0.54質量%で、残りが水と1−メトキシ−2−プロパノールの混合物(混合質量比率(水/1−メトキシ−2−プロパノール)=2/8)であった。
【0181】
<実施例6>
ガラス基板(コーニング社イーグル2000)の代わりにガラス基板(松浪硝子工業株式会社製、石英)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を得た。
【0182】
<実施例7>
ガラス基板(コーニング社イーグル2000)の代わりにセラミック基板(京セラ株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を得た。
【0183】
<実施例8>
ガラス基板(コーニング社イーグル2000)の代わりにガラス基板(松浪硝子工業株式会社製、0050)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を得た。
【0184】
<比較例1>
下地層形成用組成物X1の代わりに以下の下地層形成用組成物X2を使用し、被めっき層形成用組成物Y1の代わりに以下の被めっき層形成用組成物Y10を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を得た。
なお、該比較例1においては、下地層形成用組成物および被めっき層形成用組成物中のいずれにもP=O基含有重合性化合物が含まれていない。
【0185】
(下地層形成用組成物X2)
・3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン 4.8質量%
・シクロペンタノン 95.2質量%
(被めっき層形成用組成物Y10)
被めっき層形成用組成物Y10には、ポリマーAと3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシランとが含まれる。3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシランの含有割合は、ポリマーAの全質量に対して、5.7質量%であった。また、被めっき層形成用組成物Y10には、溶媒として、水と1−メトキシ−2−プロパノールの混合物(混合質量比率(水/1−メトキシ−2−プロパノール)=2/8)が含まれ、その含有量は組成物全量に対して92.6質量%であった。
【0186】
<比較例2>
下地層形成用組成物X1の代わりに、上述した下地層形成用組成物X2を使用し、被めっき層形成用組成物Y1の代わりに、以下の被めっき層形成用組成物Y11を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を得た。
なお、該比較例2においては、下地層形成用組成物および被めっき層形成用組成物中のいずれにもP=O基含有重合性化合物が含まれておらず、かつ、被めっき層形成用組成物中にはシランカップリング剤も含まれていない。
【0187】
(被めっき層形成用組成物Y11)
・ポリマーA 7質量%
・水と1−メトキシ−2−プロパノールの混合物(混合質量比率(水/1−メトキシ−2−プロパノール)=2/8) 93.0質量%
【0188】
<比較例3>
下地層形成用組成物X1中で使用されるKAYAMER PM−21(日本化薬社製)代わりに、トリエチルホスフェート(大八化学社製)を使用し、被めっき層形成用組成物Y1の代わりに、以下の被めっき層形成用組成物Y10を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体の製造を行った。
しかし、上記めっき工程の時点で金属層が剥がれてしまい、後述する密着力の評価をすることができなかった。
【0189】
(密着力の評価)
得られた積層体を200℃で1時間保持した後、金属層に5mmの間隔を開けて、平行に130mmの切り込みを入れ、その端部をカッターにより切り込みを入れて10mm立ち上げた。引張試験機((株)エー・アンド・ディー製、RTM−100)を用いて、剥がした金属層の端部をつかんで90°ピール強度を測定した(引張速度10mm/min)。結果を表1に示す。
【0190】
(モデル膜の作製)
被めっき層のヤング率、熱収縮率を測定するため、被めっき層のみからなるモデル膜を作製した。
具体的には、被めっき層形成用組成物をテフロンシャーレ上にキャストし、その後風乾し、さらにオーブン(180℃1h)で完全に溶媒を除去した後、UV露光(波長:254nm、露光量:6000mJ/cm2)を施すことで被めっき層のみからなるモデル膜を作製した。
【0191】
(モデル膜のヤング率の評価)
JIS K 7127:1999に準じ、引張試験機((株)エー・アンド・ディー製、RTM−100)を用いて、上記モデル膜のヤング率を測定した(引張速度100mm/min)。結果を表1に示す。
【0192】
(モデル膜の熱収縮率の評価)
上記被めっき層のみからなるモデル膜を切り出し、長さA:75mm、幅B:5mmのモデル膜を得た(厚みC:200μm)。その後、該モデル膜に200℃1時間の加熱処理を施し、そのときのモデル膜の長さAの変化を下記式に従って算出することで求めた。
(熱収縮率)=((熱処理前のモデル膜の寸法)−(熱処理後のモデル膜の寸法))/(熱処理前のモデル膜の寸法)
【0193】
(ヤング率と熱収縮率との積)
得られたヤング率の値X(MPa)と、被めっき層の200℃における熱収縮率Yを用いて、XとYとの積を求めた。結果を表1に示す。
【0194】
なお、以下の表1中、下地層欄および被めっき層欄中の数値は、それぞれ質量%を表す。
【0195】
【表1】

【0196】
上記表1に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・基板1:ガラス基板(コーニング社イーグル2000)
・基板2:ガラス基板(松浪硝子工業株式会社製、石英)
・基板3:セラミック基板(京セラ株式会社製)
・基板4:ガラス基板(松浪硝子工業株式会社製、0050)
・シランカップリング剤1:3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(KBM−5103(信越シリコーン社製))
・P=O基含有重合性化合物1:KAYAMER PM−21(日本化薬社製)
・P=O基含有化合物1:トリエチルホスフェート
・溶媒1:シクロペンタノン
・溶媒2:水/1−メトキシ−2−プロパノール(=2/8(質量比))
・ポリマーA:上述のとおり合成されたポリマーA
・ポリマーB:上述のとおり合成されたポリマーB
・光重合開始剤1:Irgacure2959(チバスペシャリティケミカルズ社製)
・シリコーン化合物1:BY−16−871(東レダウコーニング社製)
・スルホン酸基含有モノマー1:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
【0197】
表1から分かるように、実施例1〜8は、高温環境下に曝された後の密着力に優れることが確認された。特に、同じ種類の基板を用いた実施例1〜5の中で比較した場合、被めっき層形成用組成物におけるP=O基含有重合性化合物の含有量がポリマーの含有量に対して30%未満である実施例1〜4は、より密着力が優れることが確認された。なかでも、被めっき層形成用組成物にシリコーン化合物とスルホン酸基含有モノマーの両方が含まれる実施例1、3および4は、さらに密着力が優れることが確認された。
一方、被めっき層のヤング率が所定の範囲外である比較例1および2は、高温環境下に曝された後の密着力に劣ることが確認された。また、被めっき層のヤング率が所定の範囲外である比較例3は、上述のとおり、めっき工程の時点で金属層が剥がれてしまった。
【符号の説明】
【0198】
10:基板
12:下地層
14a、14b:被めっき層
16:金属層
18:積層体
20:パターン状の金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、反応性基を有するシランカップリング剤を含む下地層形成用組成物を用いて、下地層を形成する下地層形成工程と、
重合性基、および、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を有するポリマーと、反応性基を有するシランカップリング剤とを含む被めっき層形成用組成物を用いて、前記下地層上に組成物層を形成し、その後、前記組成物層に対してエネルギーを付与して、被めっき層を形成する被めっき層形成工程と、
前記被めっき層に、めっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
前記めっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対してめっきを行い、前記被めっき層上に金属層を形成するめっき工程と、を備え、
前記下地層形成用組成物および/または前記被めっき層形成用組成物が、P=O基含有重合性化合物を含み、
前記被めっき層のヤング率が1200MPa以下である、金属層を有する積層体の製造方法。
【請求項2】
前記被めっき層のヤング率の値をX(MPa)、前記被めっき層の200℃における熱収縮率をYとしたとき、XとYとの積〔X(MPa)×Y〕が50.0以下である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記被めっき層形成用組成物が、さらに光重合開始剤を含む、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記P=O基含有重合性化合物が、一般式(1)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【化1】


(一般式(1)中、Xaは、重合性基を表す。Laは、単結合、または、2価の有機基を表す。Yaは、水素原子、または、重合性基を有しない置換基を表す。pは1〜3の整数を表し、qは0〜2の整数を表し、pおよびqはp+q=3の関係式を満たす。)
【請求項5】
前記被めっき層形成用組成物にP=O基含有重合性化合物が含まれ、P=O基含有重合性化合物の含有量が、前記ポリマーの含有量に対して30.0質量%未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記被めっき層形成用組成物が、さらにスルホン酸基含有モノマーを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
前記スルホン酸基含有モノマーが、一般式(4)で表される化合物である、請求項6に記載の積層体の製造方法。
【化2】


(一般式(4)中、R10は、水素原子、金属カチオン、または第四級アンモニウムカチオンを表す。L10は、単結合、または、二価の有機基を表す。R11〜R13は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。nは、1または2を表す。)
【請求項8】
前記被めっき層形成用組成物が、さらに可塑剤を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【請求項9】
前記可塑剤が、シリコーン化合物である、請求項8に記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
重合性基、および、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を有するポリマーと、
反応性基を有するシランカップリング剤と、
P=O基含有重合性化合物と、
光重合開始剤と、
スルホン酸基含有モノマーおよび/またはシリコーン化合物とを含む被めっき層形成用組成物。
【請求項11】
基板上に、下地層と、被めっき層と、金属層とをこの順で積層してなり、
前記下地層が、加水分解性基を介して前記基板上に結合したシランカップリング剤を含む層であり、
前記被めっき層のヤング率が1200MPa以下であり、
前記下地層および/または被めっき層が、P=O基を含む、金属層を有する積層体。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−95958(P2013−95958A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238922(P2011−238922)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】