説明

金属帯材を被覆するための方法

本発明は、金属帯材を被覆するための、ポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールの使用、金属帯材を被覆するための方法並びにそれにより得られた被覆された金属帯材に関する。前記被覆はアルコール成分に対して10〜25モル%の三官能性分枝化剤含分を有する分枝鎖ポリエステルを含有し、前記ポリエステルの分子量は2500〜4500g/モルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属帯材を被覆するための、ポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールの使用、金属帯材を被覆するための方法並びにそれにより得られた被覆された金属帯材に関する。
【0002】
背景技術
金属帯材の被覆系は、例えばアルミニウム又は鋼からなる巻き取られた金属薄板に、極めて短時間に、即ち経済的に、高価値の被覆を設けるために使用される。他の被覆法、例えば噴霧と比較して、前記方法は顕著な利点を示す。例えば、ここでは品質的に高価値の均一の被覆が高収率でかつわずかな排出物で達成される。
【0003】
金属帯材の被覆は、連続法である。金属帯材の端部で被覆プロセスの更なる進行を保証するためにいわゆる蓄電池が使用され、それによって、次の金属帯材を投入する時点で、帯材を限定された期間内に更に送ることができる。金属帯材は一般に予め清浄化され、前処理され、かつ両面にプライマーが施与される。金属帯材を被覆するためには、例えば、有機溶剤中の、ヒドロキシル基含有バインダー、例えばポリエステル及びブロックトポリイソシアネート及び/又はメラミン樹脂及びその誘導体の溶液からなる、液体の熱硬化性被覆剤が使用される。他の成分として、顔料及び他の添加剤が挙げられる。
【0004】
金属帯材の被覆系に関する重要な特性は、例えば耐候性、耐加水分解性、耐化学薬品性及び耐引掻性、高い光沢、硬度及び可撓性である。支持体が、塗布プロセス後に、1以上の成形工程、例えば多くの部材のために必要であるような深絞り加工に供される場合、可撓性は、被覆の付着特性に強度に影響を及ぼす。
【0005】
耐候性は特に、表面が直接太陽光及びその他の気候の影響に曝される部材(これにはとりわけ交通標識、ファサード部材、ガレージ扉、雨受け及び車両部材等が含まれる)にとって重要である。
【0006】
原則的に、支持体付着は、比較的軟質の、及び比較的可撓性の高いバインダーの場合により良好であり、別の面では、耐候性及び耐久性は比較的硬質のバインダーの場合により良好である。
【0007】
前記の全ての特性の他に、金属帯材の被覆の際に、経済性というファクターは極めて重要である。単位時間当たりに可能な限り長い金属帯材の区間を被覆することを目指すべきである。この場合、制限されるパラメータは、炉内での金属帯材の滞留時間ないし必要な炉温度であり、それによって塗料の完全な架橋が達成される。このように被覆された薄板の炉内滞留時間が短縮されること、即ち、使用されるポリマーの分子量が小さいほど、即ち、架橋性基、例えばヒドロキシル基の密度が高い程、使用されるバインダーの架橋反応性が向上することは一般的な知識水準である。しかしながら、特にメラミン化合物を架橋剤として使用する場合には、分子量のアトランダムな低下及びこれに伴う高い架橋密度と、金属帯材の被覆にとって認容不可能な完成塗料の脆化とが相対している。
【0008】
比較的短い焼付時間を、同様に高められた炉温度により達成することができる。これに伴う望ましくないより高いエネルギーコストに加えて、任意の高い温度は、多くの支持体では実現不可能である。いわゆるBH鋼("bake hardening":焼付硬化)は、例えばより高い温度で硬化するため、この理由から更に成形工程に供することができない。
【0009】
経済性及び塗料品質に関する特性要求を保証するために、従来技術(WO 2004/039902)では、分枝鎖の比較的低分子のバインダーと高分子の主に直鎖のバインダーとの混合物が、可撓性付与のために、架橋剤と共に金属帯材の被覆において使用されている。この種の配合物を用いて、塗料が炉内で十分に高い架橋反応性を有することを保証することができる。
【0010】
2種の異なるバインダーを製造しなければならず、かつ最終的に、好適な比で塗料の配合物に混合しなければならないことは、単一のバインダーをベースとする塗料配合物に対して著しい経済的な欠点と同じ意味をもつ。この理由から、本発明の課題は、上記の塗料特性をもたらし、それと同時に高い架橋反応性をももたらし、その結果、中程度の架橋剤量で可能な限り低い炉内滞留時間を可能にする金属帯材を被覆するための方法を開発することであった。OH末端ポリエステルの架橋反応性がOH価の増加に伴って向上することは一般に公知である。しかしながら、高いOH価、即ち低い分子量を有するポリエステルは、可撓性の不足に基づき金属帯材の被覆に使用不可能な脆い塗料を招く。
【0011】
意想外にも、アルコール成分に対して10〜25モル%の三官能性分枝化剤含分を有し、かつ分子量が2500〜4500g/モルである分枝鎖ポリエステルが、金属薄板の被覆に十分な、高い架橋反応性と可撓性との均衡を示すことが判明した。この種の分枝鎖ポリエステルはEP 1479709に記載されている。
【0012】
これに応じて、本発明の対象は、金属帯材を被覆するための、カルボン酸成分、及び、アルコール成分に対して少なくとも三官能性のアルコール10〜25モル%と少なくとも1の他のアルコール75〜90モル%とからの少なくとも1のアルコール成分を、架橋試薬の存在下に反応させることにより得られたポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールの使用であって、その際、ポリエステルは、以下
・2500〜4500g/モルのMn
・0〜200mgKOH/gのOH価、及び
・0〜10mgKOH/gの酸価
を有するものとする、使用である。
【0013】
本発明により使用されるポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールは、出発酸成分として、少なくとも1の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、脂環式1,2−ジカルボン酸、例えば1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又はメチルテトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及び/又はメチルヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、イソノナン酸及び/又は二量体脂肪酸を含有する。イソフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸及びアジピン酸が有利である。
【0014】
各酸成分は、部分的にか又は完全に、無水物及び/又は低分子アルキルエステル、有利にメチルエステル及び/又はエチルエステルからなることができる。
【0015】
少なくとも三官能性のアルコール成分として、例えばトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−トリヒドロキシヘキサエリトリット、グリセリン、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリトリット、ソルビット、キシリット及び/又はマンニットを、アルコール成分に対して10〜25モル%の量で使用することができる。
【0016】
それに加えて、アルコール成分は、他の直鎖及び/又は分枝鎖、脂肪族及び/又は脂環式及び/又は芳香族ジオール及び/又はポリオールを含有することができる。有利に、付加的なアルコールとして、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール及び/又は1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−ブタンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールF、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール及び1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジシドール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールが、アルコール成分に対して75〜90モル%の量で使用される。
【0017】
有利な酸は、例えば特に以下の組成での1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸及び/又はアジピン酸である:
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸92〜100モル%及びフタル酸及び/又はアジピン酸0〜8モル%、又は
フタル酸60〜70モル%及びアジピン酸30〜40モル%。
【0018】
有利なジオールは、例えばエチレングリコール(0〜40モル%)、2,2’−ジメチルプロパン−1,3−ジオール(35〜80モル%)、1,6−ヘキサンジオール(0〜15モル%)、トリメチロールプロパン(10〜25モル%)である。
【0019】
分枝鎖非晶質マクロポリオールは、15.0mgKOH/g未満、有利に10.0mgKOH/g未満、特に有利に0〜5mgKOH/gの酸価、並びに、0〜200mgKOH/g、有利に10〜150mgKOH/g、特に有利に30〜100mgKOH/gのヒドロキシル価を有することができる。
【0020】
得られる数平均分子量Mnは、2500〜4500g/モル、有利に3000〜4000g/モルである。
【0021】
酸価はDIN EN ISO 2114により測定される。
【0022】
酸価(SZ)とは、物質1g中に含まれる酸の中和に必要な水酸化カリウムの量をmgで示したものと解釈される。試験すべき試料はジクロロメタン中に溶解され、0.1Nメタノール性苛性カリ液でフェノールフタレインに対して滴定される。
【0023】
ヒドロキシル価はDIN 53240−2により測定される。
【0024】
この方法の場合、試料と無水酢酸とを触媒としての4−ジメチルアミノピリジンの存在下に反応させ、その際、ヒドロキシル基をアセチル化させる。ここで、ヒドロキシル基1つにつき1分子の酢酸が生じ、引き続く過剰の無水酢酸の加水分解の間に酢酸が2分子生じる。酢酸の消費量を、滴定により、主要な値と、並行して実施すべきブラインド値との相違から測定する。
【0025】
分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定する。
【0026】
試料の特性決定を、溶離液としてのテトラヒドロフラン中でDIN 55672−1に従って測定する。
【0027】
n(UV)=数平均分子量(GPC、UV検出)、g/モルでの表記
w(UV)=質量平均分子量(GPC、UV検出)、g/モルでの表記
本発明により得られた被覆された金属帯材は、有利な特性を示し、特に被覆系はT折り曲げ試験(T−ベンド)で2.0以下の値を示す。
【0028】
本発明の要約
本発明の対象は、金属帯材を被覆するための、ポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールの使用である。使用される被覆材料は、以下の通り特徴付けられる:
芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、脂環式ジカルボン酸、例えば1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又はメチルテトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及び/又はメチルヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、イソノナン酸及び/又は二量体脂肪酸、有利にイソフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸及び/又はアジピン酸の群からの少なくとも1のカルボン酸成分、
及び、
以下
1)少なくとも三官能性のアルコール10〜25モル%

2)少なくとも1の他のジオール75〜90モル%
とからの少なくとも1のアルコール成分を、
架橋試薬の存在下に反応させることにより得ることができ、以下
・2500〜4500g/モルのMn
・0〜200mgKOH/g、有利に20〜150mgKOH/g、特に有利に30〜100mgKOH/gのOH価、
・0〜10mgKOH/g、有利に0〜15mgKOH/g、特に有利に0〜5mgKOH/gの酸価
を特徴とするポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールが含有されている。
【0029】
架橋試薬は、例えばポリイソシアネート及び/又はメラミン樹脂及び/又はその誘導体である。
【0030】
付加的に、ポリエステルベースの非晶質マクロポリオールを、被覆の際に、全組成物に対して0〜70質量%の助剤及び添加剤、特に、阻害剤、水及び/又は有機溶剤、中和剤、界面活性物質、酸素捕捉剤及び/又はラジカル捕捉剤、触媒、光安定剤、カラーブライトナー、光増感剤、チキソトロープ剤、皮張り防止剤、消泡剤、帯電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加剤、染料、顔料、難燃剤、内部離型剤、充填剤及び/又は噴射剤と一緒に使用することができる。
【0031】
被覆すべき金属に関しては何ら制限はなく、特に、金属帯材の金属はアルミニウム、鋼及び亜鉛を含む群から選択されている。
【0032】
同様に、本発明の対象は、金属帯材を被覆するための方法において、被覆材料が、少なくとも1のカルボン酸成分、及び、アルコール成分に対して少なくとも三官能性のアルコール10〜25モル%と少なくとも1の他のアルコール75〜90モル%とからの少なくとも1のアルコール成分を、架橋試薬の存在下に反応させることにより得られたポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールからなり、その際、前記ポリエステルは、以下
・2500〜4500g/モルのMn
・0〜200mgKOH/gのOH価、及び
・0〜10mgKOH/gの酸価
を有し、その際、被覆材料を金属帯材に220℃未満の焼付温度( Peak Metal Temperature = PMT )で焼付ける方法である。
【0033】
得られた金属帯材の被覆はT折り曲げ試験(T−ベンド)で2.0以下の値を示す。
【0034】
本発明により使用されるポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールは、公知の方法で(Dr. P. Oldring著, Resins for Surface Coatings, 第III巻, Sita Technology出版, 203 Gardiness House, Bromhill Road, London SW 184JQ, England 1987を参照のこと)、出発酸及び出発アルコールの(半)連続的又は非連続的なエステル化により単段又は多段の運転方式で製造される。
【0035】
本発明により使用されるポリエステルベースの非晶質マクロポリオールの製造は、有利に不活性ガス雰囲気中で、150〜270℃、有利に180〜260℃、特に有利に200〜250℃で実施される。不活性ガスとして、窒素又は希ガス、特に窒素を使用することができる。不活性ガスは50ppm未満、特に20ppm未満の酸素含分を有する。理論的に算出された水量の大部分の分解後、真空で作業することができる。選択的に、(重)縮合反応の促進のための触媒及び/又は反応水を分離するための共沸添加剤の添加下に作業することもできる。典型的な触媒は、有機チタン化合物又は有機錫化合物、例えばチタン酸テトラブチル又は酸化ジブチル錫である。触媒は、選択的に、反応の開始時に他の出発材料と一緒に装入されてもよいし、又は後で反応の間に初めて装入されてもよい。共沸添加剤として、例えばトルエン又は種々のSolventNaphtha(R)品質を使用することができる。
【0036】
本発明により被覆された金属帯材は、同様に本発明の対象であり、かつ当業界の様式で任意に、特に、構造物において、及び建築物(例えば内部用途、屋根、壁)において、輸送物において、家庭用機器において、及び更なる加工において、例えば打抜き又は穿孔において使用することができる。
【0037】
たとえ他の実施態様が記載されていなくとも、当業者は上記記載を極めて広範囲で利用することができることが前提となっている。従って、有利な実施態様及び実施例は、単に記載されたものとして、また何らかの様式で限定された開示と理解されるべきではない。
【0038】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳説する。本発明の他の実施態様は同様に得ることができる。
【実施例】
【0039】
実施例1
【表1】

【0040】
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物59.9部を、ネオペンチルグリコール7.5部、モノエチレングリコール10.3部、1,6−ヘキサンジオール13.2部及びトリメチロールプロパン9.1部と一緒に、最高250℃で窒素雰囲気中で、酸価1mgKOH/g未満及びヒドロキシル価55KOH/gが達成されるまで反応させる。ポリエステルを冷却後にSolvesso(R) 150/ブチルグリコール(3:1)中で65%溶解させる。
【0041】
分析指標:
OHZ=55mgKOH・g-1、SZ=0.4mgKOH・g-1、Mn=3600g・mol-1
実施例2
【表2】

【0042】
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物55.2部を、ネオペンチルグリコール32.6部及びトリメチロールプロパン12.2部と一緒に、最高250℃で窒素雰囲気中で、酸価5mgKOH/gが達成されるまで反応させる。ポリエステルを冷却後にSolvesso(R) 150/ブチルグリコール(3:1)中で65%溶解させる。
【0043】
分析指標:
OHZ=95mgKOH・g-1、SZ=5mgKOH・g-1、Mn=2500g・mol-1
実施例3
【表3】

【0044】
フタル酸34.6部及びアジピン酸15.1部を、ネオペンチルグリコール30.2部、モノエチレングリコール12.5部及びトリメチロールプロパン7.6部と一緒に、最高250℃で窒素雰囲気中で、酸価1mgKOH/g未満及びヒドロキシル価35KOH/gが達成されるまで反応させる。ポリエステルを冷却後にSolvesso(R) 150/ブチルグリコール(3:1)中で65%溶解させる。
【0045】
分析指標:
OHZ=35mgKOH・g-1、SZ=0.6mgKOH・g-1、Mn=4100g・mol-1
比較例A
【表4】

【0046】
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物50部を、ネオペンチルグリコール48.8部及びトリメチロールプロパン1.2部と一緒に、最高250℃で窒素雰囲気中で、酸価5mgKOH/g未満及びヒドロキシル価47mgKOH/gが達成されるまで反応させる。ポリエステルを冷却後にSolvesso(R) 100中で65%溶解させる。
【0047】
分析指標:
OHZ=47mgKOH・g-1、SZ=4.0mgKOH・g-1、Mn=2100g・mol-1
比較例B
【表5】

【0048】
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物53.5部を、ネオペンチルグリコール33.8部及びトリメチロールプロパン12.7部と一緒に、最高250℃で窒素雰囲気中で、酸価5mgKOH/g及びヒドロキシル価128mgKOH/gが達成されるまで反応させる。ポリエステルを冷却後にSolvesso(R) 150/ブチルグリコール(3:1)中で65%溶解させる。
【0049】
分析指標:
OHZ=128mgKOH・g-1、SZ=5mgKOH・g-1、Mn=2400g・mol-1
比較例C
【表6】

【0050】
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物50部を、ネオペンチルグリコール36.8部及びトリメチロールプロパン13.2部と一緒に、最高250℃で窒素雰囲気中で、酸価5mgKOH/g及びヒドロキシル価110mgKOH/gが達成されるまで反応させる。ポリエステルを冷却後にSolvesso(R) 100中で65%溶解させる。
【0051】
分析指標:
OHZ=110mgKOH・g-1、SZ=5.1mgKOH・g-1、Mn=2200g・mol-1
塗料配合物
【表7】

【0052】
1 例えばCytec Industries Inc.社製のCymel 303;前記架橋剤は、その反応性NH2基がメチロール基によりブロックされていることが特徴的であり、該基はコイルコーティング法において通常の高められた温度で分解され、かつポリエステルと反応し得る。
【0053】
2 例えばKing Industries, Inc.社製のNacure 2500;前記酸性触媒(化学的にブロックされている)は、メラミン成分とポリエステル成分との反応を可能にするために必要である。
【0054】
3 Byk-Chemie社製のByk 350;レベリングの改善及び光沢の向上のためのアクリレート添加剤。該添加剤は塗膜にロングウェーブを付与しハジキを防止する。表面張力はわずかに低下するに過ぎない;リコート性及び層間密着性に悪影響はない。
【0055】
塗膜技術試験
【表8】

【0056】
方法:
1 ECCA試験法T11:(前記試験法により、基礎となる焼付条件下での反応性塗料系の架橋を試験することができる。)
実施:
アルミニウム又は亜鉛めっきされた鋼等からなる被覆された「薄板」に、メチルエチルケトン(MEK)中に浸漬させた綿球で(1又は2kgの重り(MEKハンマー)で)化学的及び/又は機械的に負荷をかける。該負荷は直線的なダブルストロークであり、その際、被覆の化学的な攻撃が生じ得る。通常、完全に硬化した被覆は、100ダブルストローク(DH)に問題なく耐え得る。完全硬化が十分でない場合、第一のダブルストローク後に、場合によりそれより後で(<100DH)、塗膜の溶解が生じる。相応して達成されたダブルストロークの数を書き留める。これは、例えば塗膜系の完全硬化又は架橋密度又は反応性のための一つの指標である。
【0057】
Peak Metal Temperature(焼付工程の間に測定された薄板表面上の最高温度)
3 ECCA 試験法T5:前記作業指示の目的は、曲げ応力時の被覆の延性及び付着強度の評価である。試験体の亀裂のない曲げを許容する最小曲げ半径は、180°曲げでの抵抗を決定する。
【0058】
実施:
未負荷の試験体のT折り曲げの試験
試験板は平らでかつひずみ(例えば折れ曲がり)のないものでなければならない。
【0059】
試験薄板を被覆と共に外側へ手で折り曲げ台を用いて約180°予め曲げる。
【0060】
そのために、塗装面を有する幅最大10cmの薄板を、後方に、折り曲げ台の最も小さい間隙に挿入する。
【0061】
次いで、予め折られた薄板をバイスで締めて固定し、エアギャップのないようにする。
【0062】
曲げくびれ部を10倍拡大ルーペを用いて亀裂に関して試験する。
【0063】
その後、曲げくびれ部の全幅にわたってテサフィルム帯体を押し当て、急激に剥がし、付着した塗膜粒子を試験する。
【0064】
最小曲げ半径(0T−0.5T−1T等)を測定し、その際、塗膜は亀裂を有していない(T−折り曲げ−亀裂)か、もしくはテサフィルム上に塗膜の剥げ(T−折り曲げ−付着)が認められない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属帯材を被覆するための、少なくとも1のカルボン酸成分、及び、アルコール成分に対して少なくとも三官能性のアルコール10〜25モル%と少なくとも1の他のアルコール75〜90モル%とからの少なくとも1のアルコール成分を、架橋試薬の存在下に反応させることにより得られたポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールの使用であって、その際、ポリエステルは、以下
・2500〜4500g/モルのMn
・0〜200mgKOH/gのOH価、及び
・0〜10mgKOH/gの酸価
を有するものとする、使用。
【請求項2】
少なくとも1のカルボン酸成分が、芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸の群から選択されている、請求項1記載の使用。
【請求項3】
カルボン酸成分が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、脂環式ジカルボン酸、例えば1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又はメチルテトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及び/又はメチルヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、イソノナン酸及び/又は二量体脂肪酸、有利にイソフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸又はアジピン酸である、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
三官能性アルコール成分として、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−トリヒドロキシヘキサエリトリット、グリセリン、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリトリット、ソルビット、キシリット及び/又はマンニットを使用する、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
他のアルコール成分として、直鎖及び/又は分枝鎖、脂肪族及び/又は脂環式及び/又は芳香族ジオール及び/又はポリオールを使用する、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
他のアルコール成分が、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール及び/又は1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−ブタンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールF、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール及び1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジシドール、ヘキサンジオールから選択されている、請求項5記載の使用。
【請求項7】
架橋試薬として、ポリイソシアネート及び/又はメラミン樹脂及び/又はその誘導体を使用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
得られた金属帯材の被覆がT折り曲げ試験(T−ベンド)で2.0以下の値を示す、請求項1から7までのいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
ポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールを助剤及び添加剤と一緒に使用する、請求項1から8までのいずれか1項記載の使用。
【請求項10】
助剤及び添加剤が、阻害剤、水及び/又は有機溶剤、中和剤、界面活性物質、酸素捕捉剤及び/又はラジカル捕捉剤、触媒、光安定剤、カラーブライトナー、光増感剤、チキソトロープ剤、皮張り防止剤、消泡剤、帯電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加剤、染料、顔料、難燃剤、内部離型剤、充填剤及び/又は噴射剤を含む群から選択されている、請求項9記載の使用。
【請求項11】
金属帯材の金属が、アルミニウム、鋼及び亜鉛を含む群から選択されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
金属帯材を被覆するための方法において、被覆材料が、少なくとも1のカルボン酸成分、及び、アルコール成分に対して少なくとも三官能性のアルコール10〜25モル%と少なくとも1の他のアルコール75〜90モル%とからの少なくとも1のアルコール成分を、架橋試薬の存在下に反応させることにより得られたポリエステルベースの分枝鎖非晶質マクロポリオールからなり、その際、ポリエステルは、以下
・2500〜4500g/モルのMn
・0〜200mgKOH/gのOH価、及び
・0〜10mgKOH/gの酸価
を有し、その際、被覆材料を金属帯材に220℃未満の焼付温度(PMT)で焼付ける方法。
【請求項13】
得られた金属帯材の被覆がT折り曲げ試験(T−ベンド)で2.0以下の値を示す、請求項12記載の方法。
【請求項14】
他の助剤及び添加剤を70質量%まで使用する、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
助剤及び添加剤が、阻害剤、水及び/又は有機溶剤、中和剤、界面活性物質、酸素捕捉剤及び/又はラジカル捕捉剤、触媒、光安定剤、カラーブライトナー、光増感剤、チキソトロープ剤、皮張り防止剤、消泡剤、帯電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加剤、染料、顔料、難燃剤、内部離型剤、充填剤及び/又は噴射剤を含む群から選択されている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
請求項12から15までのいずれか1項記載の方法により得られた、被覆された金属帯材。

【公表番号】特表2010−514553(P2010−514553A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543402(P2009−543402)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059643
【国際公開番号】WO2008/080644
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】