説明

金属微粒子分散物及びその製造方法、並びに着色組成物、感光性転写材料、遮光画像付き基板、カラーフィルター、液晶表示装置

【課題】凝集が少なく分散安定性及び経時安定性が高い金属微粒子分散物を提供する。
【解決手段】硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマー存在下で、金属イオンを還元して得られた金属微粒子を含有する金属微粒子含有液を凍結乾燥法により乾燥してなることを特徴とする金属微粒子分散物である。前記金属微粒子のアスペクト比としては2.0以上であることが好ましい。また、前記アルカリ溶解性ポリマーが酸性基を有することが好ましく、該酸性基としてはカルボキシル基であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属微粒子分散物及びその製造方法、並びに着色組成物、感光性転写材料、遮光画像付き基板、カラーフィルター、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属微粒子を用いた着色組成物は、印刷インク、インクジェットインク、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、プラズマデイスプレイパネル(PDP)の隔壁、誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、導電ペースト、導電フイルム、ブラックマトリックス等の遮光画像等に広く用いられている。前記着色組成物の中で黒色材料用着色組成物は液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の画素間の格子状やストライプ状の黒色の部、さらにTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等、いわゆるブラックマトリックス(以下、「BM」ともいう。)の他に各種遮光画像に用いられていることが期待されている。
BMは表示コントラストを向上させるため、また薄膜トランジスター(TFT)を用いたアクティブマトリックス駆動方式の液晶表示装置の場合には光による電流リークによる画質低下を防止するために用いられており、高い遮光性(光学濃度ODで3以上)が必要である。
【0003】
一方で、近年は液晶表示装置がTVへ応用されるようになってきたが、TVでは、透過率が低くかつ高い色純度のカラーフィルタを使用して高輝度を得るため、バックライトの輝度が高くなる傾向にあり、コントラストの低下や、周辺額縁部分の透けを防止するため、BMに高い遮光性が要求される。
【0004】
更にTVは、太陽光が入射する部屋に長期間設置されることから、太陽光によるTFTの劣化が懸念され、また、(1)ODが高いことで画像の引締まり感がでること、つまりコントラストが高いこと、及び(2)外光での液晶の白さが目立たなくなることの意味でもBMに高い遮光性が要求される。
【0005】
クロム等の金属膜を遮光層とするBMの形成方法としては、例えば、金属薄膜を蒸着法やスパッタリング法により作製し、該金属薄膜の上にフォトレジストを塗布し、次いでBM用パターンをもつフォトマスクを用いてフォトレジスト層を露光現像し、その後露出した金属薄膜をエッチングし、最後に金属薄膜上のレジスト層を剥離することによりBMを形成する方法がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
この方法は金属薄膜を用いるため、膜厚が小さくても高い遮光効果が得られるという利点がある。しかし、蒸着法やスパッタリング法という真空成膜工程やエッチング工程が必要となり、コストが高くなるとともに環境に対する負荷も無視できないという問題がある。また、金属膜であるため反射率が高く、強い外光の下では表示コントラストが低いという問題もある。これに対して、上記金属薄膜として、低反射クロム膜(金属クロムと酸化クロムとの2層からなるもの等)を用いるという手段があるが、更にコストアップとなることは否めない。そしてエッチング工程では金属イオンを含有した廃液が排出されるため、環境負荷が大きいという大きな欠点も有している。特に最もよく用いられるクロムは、有害で環境負荷が非常に大きい。昨今、EUのELV指令、RoHS指令に代表されるように環境負荷低減への社会的な関心が高まっており、クロムを代替した材料の提案が行われている。
【0007】
また、他のBM形成方法としては、遮光性顔料、例えばカーボンブラックを含有する感光性樹脂組成物を用いる方法も知られている。該方法としては、例えば、透明基板にR、G、B画素を形成した後、この画素の上にカーボンブラック含有感光性樹脂組成物を塗布し、透明基板のR、G、B画素非形成面側から全面に露光する、セルフアライメント方式のBM形成方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
上記方法は、上記金属膜のエッチングによる方法に比較して製造コストは低くなるものの、十分な遮光性を得るためには膜厚が厚くなるという問題がある。その結果、BMとR、G、B画素との重なり(段差)が生じ、カラーフィルターの平坦性が悪くなって液晶表示素子のセルギャップムラが発生し、表示ムラ等の表示不良につながることになる。
【0008】
表示ムラとは、ブラックマトリックス基板表面が平滑でない場合に、液晶の配向が乱れ、液晶表示装置にグレイのテスト信号を入力させた時に観察される淡いムラである。比較的くっきりした筋状に見える「スジムラ」は感光性樹脂層の形成時に生じた厚みムラ、露光のムラ、現像処理のムラ、熱処理のムラなど、配向制御用突起の形成時に発生しているものと、液晶表示装置として機能する際に、配向制御用突起と液晶の間のインターラクションにより発生するムラとが考えられるが、機構は定かではない。
【0009】
一方、透明基板上に親水性樹脂を含有する感光性レジスト層を形成し、BM用パターンを有するフォトマスクを介して露光・現像して透明基板上にレリーフを形成し、この透明基板を無電解メッキの触媒となる金属化合物の水溶液に接触させ、金属化合物をレリーフ中に含有させ乾燥した後、熱処理を施し、その後、上記透明基板上のレリーフを無電解メッキ液に接触させることにより、粒径0.01〜0.05μmの遮光用の金属粒子がその内部に均一に分散されたBMを作製する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。上記金属粒子としてはニッケル、コバルト、鉄、銅、クロムが記載され、具体例としては唯一ニッケルが示されている。
しかしながら、この方法は、露光現像工程を含むレリーフ形成−無電解メッキ触媒の付与−熱処理−無電解メッキという、水を扱う煩瑣な処理工程が多い。そのため、低コストでのBM製造を大きくは期待できない。
【0010】
また、以下の特許文献3には黒色パターンを作製する着色組成物に磁性フィラーを使った例があるが、これらの例は10μm以上の厚膜であり、単位膜厚辺りの濃度が低く、薄膜で遮光性能が高い遮光画像を低コストで作製することができない。
【0011】
上記以外に、環境負荷が小さく薄膜で光学濃度の高いブラックマトリックスを得る方法として、特許文献4,5記載の金属微粒子を用いる方法が知られている。この方法によると、環境負荷が小さく、薄膜で光学濃度の高いブラックマトリックスを得ることができるとされている。
【0012】
上記金属粒子は水溶媒を用いた溶液法により作製することができる。この方法で作製された金属微粒子溶液は溶媒置換した後ブラックマトリックスとして用いられる。そして、この溶媒置換の際に十分な乾燥と凝集のない再分散が必要である。凍結乾燥法は溶媒の昇華を用いるため、金属微粒子分散物に圧力を加えることなく効果的に乾燥を行うことが可能な手法である。一方、乾燥により粒子間距離が近づいてしまうため、粒子表面積の大きいアスペクト比の高い粒子では凝集のない再分散が困難であり、表示ムラが発生してしまうという問題を抱えていた。
【特許文献1】特開昭62−9301号公報
【特許文献2】特許第3318353号公報
【特許文献3】特開2001−13678号公報
【特許文献4】特開2004−334180号公報
【特許文献5】特開2005−17322号公報
【非特許文献1】共立出版(株)発行「カラーTFT液晶ディスプレイ」第218〜220頁(1997年4月10日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明の目的は、凝集が少なく分散安定性及び経時安定性が高い金属微粒子分散物及びその製造方法、該金属微粒子分散物を用いて作製されてなる着色組成物、感光性転写材料、遮光画像付き基板、カラーフィルター、並びに表示ムラが少ない液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。すなわち、
<1> 硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマー存在下で、金属イオンを還元して得られた金属微粒子を含有する金属微粒子含有液を凍結乾燥法により乾燥してなることを特徴とする金属微粒子分散物である。
【0015】
<2> 前記金属微粒子のアスペクト比が2.0以上であることを特徴とする前記<1>に記載の金属微粒子分散物である。
【0016】
<3> 前記アルカリ溶解性ポリマーが酸性基を有することを特徴する前記<1>または<2>に記載の金属微粒子分散物である。
【0017】
<4> 前記アルカリ溶解性ポリマーの酸性基がカルボキシル基であることを特徴とする前記<3>に記載の金属微粒子分散物である。
【0018】
<5> 金属固形分質量が、全固形分に対して70質量%以上であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属微粒子分散物である。
【0019】
<6> 前記金属微粒子が、周期律表の第2族〜第14族から選ばれる1種または2種以上の金属を含有することを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の金属微粒子分散物である。
【0020】
<7> 硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマー存在下で、金属イオンを還元して得られた金属微粒子含有液を凍結乾燥法により乾燥する工程を含むことを特徴とする金属微粒子分散物の製造方法である。
【0021】
<8> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の金属微粒子分散物を含有することを特徴とする着色組成物である。
【0022】
<9> 黒色であることを特徴とする前記<8>に記載の着色組成物である。
【0023】
<10> 支持体上に少なくとも一層の感光性遮光層を設けた感光性転写材料であって、前記感光性遮光層が前記<1>から<6>のいずれかに記載の金属微粒子分散物を用いて形成されてなることを特徴とする感光性転写材料である。
【0024】
<11> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の金属微粒子分散物を用いて形成される遮光画像を有することを特徴とする遮光画像付き基板である。
【0025】
<12> 前記<10>記載の感光性転写材料を用いて作製される遮光画像を有することを特徴とする遮光画像付き基板である。
【0026】
<13> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の金属微粒子分散物を用いて形成されることを特徴とするカラーフィルターである。
【0027】
<14> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の金属微粒子分散物を用いて形成されることを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、凝集が少なく分散安定性及び経時安定性が高い金属微粒子分散物及びその製造方法、該金属微粒子分散物を用いて作製されてなる着色組成物、感光性転写材料、遮光画像付き基板、カラーフィルター、並びに表示ムラが少ない液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の金属微粒子分散物は、硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマー(以下、「本発明におけるアルカリ溶解性ポリマー」という場合がある。)存在下で、金属イオンを還元して得られた金属微粒子を含有する金属微粒子含有液を凍結乾燥法により乾燥してなることを特徴としている。
また、本発明の着色組成物は、本発明の金属微粒子分散物を含有することを特徴とし、必要に応じて、本発明の着色組成物は、樹脂またはその前駆体の少なくとも1種、顔料微粒子、バインダーとなるポリマー、モノマー、開始剤、溶媒等を含有してもよい。
【0030】
本発明の金属微粒子分散物は、凍結乾燥法により乾燥を行うことで、分散物の分散安定性を向上させることができ、金属粒子分散物の長期安定性を向上させることができる。また、本発明の効果は、特に金属微粒子を多く含み金属固形分がアスペクト比が2.0以上と大きい場合に顕著に奏する。更に、例えば、前記金属微粒子分散物を再分散するときにも容易に金属微粒子を分散させることができる。更に、本発明の金属微粒子分散物および着色組成物によれば、分散安定性の高い濃厚な金属微粒子を含む着色組成物を調製することができ、塗布液経時安定性が高く凝集が少ないことから、薄膜で黒色濃度(遮光性能)が高い黒色の膜またはブラックマトリックスを初めとする遮光画像、あるいは、薄膜で濃度の高い着色膜をはじめとする画像を、安定に作製することができる。更に、本発明の微粒子分散物および着色組成物は凍結乾燥工程を加えることにより、分散物の長期安定性が向上し、製造安定性向上、有機溶剤分散物の廃液ロスが減るため環境性が高い。
【0031】
本発明の金属微粒子分散物および着色組成物は、印刷インク、インクジェットインク、フォトマスク作製材料、印刷用プルーフ作製用材料、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、プラズマデイスプレイパネル(PDP)の隔壁、誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、導電ペースト、導電フィルム、ブラックマトリックス等の遮光画像等に用いることができる。例えば、カラー液晶表示装置等に用いるカラーフィルターの表示特性向上のために、着色パターンの間隔部、周辺部分、およびTFTの外光側等に遮光画像を設けるために好適に用いることが好ましい。また、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の画素間の格子状やストライプ状の黒色の部分、更に好ましくはTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等のブラックマトリックスとして特に好適に用いられる。
【0032】
≪金属微粒子分散物≫
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まず本発明の金属微粒子分散物について詳述する。本発明の金属微粒子分散物は、硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマー存在下で、金属イオンを還元して得られた金属微粒子を含有する金属微粒子含有液を凍結乾燥法により乾燥してなることを特徴とする。
【0033】
(金属微粒子の組成)
本発明における金属微粒子の金属としては、特に限定されず、いかなる金属であってもよい。また、本発明における金属微粒子としては、2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金として用いることも可能である。更に、本発明における金属微粒子は金属化合物でもよいし、金属化合物と金属との複合微粒子でもよい。
その中でも、本発明における金属微粒子としては、金属および/または金属化合物から形成されるものが好ましく、金属から形成されるものが特に好ましい。
特に本発明においては、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、および第6周期からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことが好ましい。また、本発明における金属微粒子は、第2〜14族からなる群から選ばれる金属を含有することが好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、および第14族からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことがより好ましい。
【0034】
前記金属微粒子として分散金属微粒子の好ましい例は、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、またはこれらの合金、から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。更に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウムまたはこれらの合金、より好ましい金属は、銅、銀、金、白金、錫またはこれらの合金から選ばれる少なくとも1種である。
【0035】
本発明における金属微粒子は、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーの存在下で、金属イオンを還元することによって得られる。具体的には、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーの存在下に金属塩を含む溶液と還元剤とを添加し、混合して、金属イオンを還元することによって得られる。前記金属塩は、特に制限無く用いることができ、例えば、塩化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、酢酸塩等の金属塩が挙げられる。
【0036】
また、前記還元剤としては、通常使用されるものであれば特に限定されず、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムなどの水素化ホウ素金属塩;水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムセシウム、水素化アルミニウムベリリウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウム等の水素化アルミニウム塩;、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、クエン酸およびその塩、コハク酸およびその塩、アスコルビン酸およびその塩等;ジエチルアミノエタノール、エタノールアミン、プロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノールなどのアルカノールアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジプロピレンアミン、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン、ピペリジン、ピロリジン、Nメチルピロリジン、モルホリンなどのような脂環式アミン、アニリン、N−メチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジンのような芳香族アミン、ベンジルアミン、キシレンジアミン、N−メチルベンジルアミンのようなアラルキルアミン等が挙げられる。
【0037】
本発明の金属微粒子分散物の製造方法において、金属塩および還元剤の添加方法や反応温度等は特に制限はなく、調製する目的の金属微粒子生成条件に合わせて、適宜調整することが出来る。
【0038】
−金属化合物−
本発明でいう「金属化合物」とは上述のごとき金属と金属以外の元素との化合物である。
金属と他の元素との化合物としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられる。このうち硫化物が色調や微粒子形成のしやすさから特に好ましい。これら金属化合物の例としては、例えば、酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどが挙げられるが、色調や微粒子形成のしやすさや安定性の観点から、硫化銀が特に好ましい。
【0039】
−複合微粒子−
本発明でいう「金属化合物と金属との複合微粒子」とは、金属と金属化合物が結合して1つの粒子になったものをいう。例えば、このような複合微粒子としては、粒子の内部と表面とで組成の異なるもの、2種類の粒子が合一したもの等を挙げることができる。また、複合微粒子を構成する金属化合物および金属は、それぞれ1種あってもよいし、2種以上であってもよい。前記金属化合物と金属との複合微粒子の具体例としては、銀と硫化銀との複合微粒子、銀と酸化銅(II)との複合微粒子などが挙げられる。
【0040】
−コア・シェル−
更に、本発明における金属微粒子は、コア・シェル型の複合粒子であってもよい。コア・シェル型の複合粒子とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものである。コア・シェル型の複合粒子に用いられるシェル材料としては、例えば、Si、Ge、AlSb、InP、Ga、As、GaP、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、PbTe、Se、Te、CuCl、CuBr、CuI、TlCl、TlBr、TlIや、これらの固溶体およびこれらを90mol%以上含む固溶体から選ばれる少なくとも1種の半導体、或いは、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、またはこれらの合金、から選ばれる少なくとも1種の金属が挙げられる。
前記コア材料の好ましい例としては、例えば、銅、銀、金、パラジウム、ニッケル、錫、ビスマス、アンモチン、鉛、またはこれらの合金から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
前記シェル材料は、反射率を低下させる目的で屈折率の調整剤としても好適に用いられる。
【0041】
コア・シェル構造を有する複合微粒子の作製方法に特に制限はなく、例えば、金属微粒子を作製する過程で連続的に表面に金属化合物のシェルを形成する方法等を用いることができる。このような方法としては、例えば、金属塩溶液に還元剤を添加して、金属イオンの一部を還元して金属微粒子を作製し、次いで硫化ナトリウムや硫化アンモニウム等の硫化物を添加して、作製した金属微粒子の周囲に金属硫化物を形成する方法がある。
【0042】
−金属微粒子の形状−
Advanced Materials 2002,14,80−82やJ.Phys.Chem.B.2003.107,2466−2470等に記載されているように、金属粒子は粒子形状によって色味が変化することが知られている。本発明における金属微粒子の形状は、特に制限はなく、いかなる形状の物であってもよいが、可視光全域の波長の光を吸収するために、アスペクト比が2.0以上の粒子を含むことが好ましく、2.5以上の粒子を含むことがより好ましく、3.0〜4.0を含むことがさらに好ましい。また、アスペクト比の異なる金属微粒子を含むことが好ましい。本発明における金属微粒子の主な形状は、アンパン状、ジャガイモ状、棒状(針状、円柱状、直方体等の角柱形、ラグビーボール形等)、平板状(鱗片状、楕円板状、板状)、繊維状、金平糖状、コイル状等であってもよく、好ましくは、板状粒子、棒状(ロッド)である。
【0043】
本発明において、金属微粒子の「アスペクト比」とは、後述のごとく定義した金属微粒子の長軸長を短軸長で割った値を意味し、100個の金属微粒子について測定した値の平均値と定義する。
尚、粒子の投影面積は電子顕微鏡写真上での面積を測定し、撮影倍率を補正することにより得られる。
【0044】
前記金属微粒子における径(長軸長、短軸長)とは、金属微粒子を三軸径として、1個の金属微粒子がちょうど(きっちりと)収まるような箱(直方体)を考え、この箱の長さL、幅b、高さまたは厚みをもってこの金属微粒子の寸法と定義する。
【0045】
本発明における金属微粒子の数平均粒径は、形成する膜厚を超えない限り特に制限はないが、該金属微粒子の数平均粒径は、10nm〜1000nmの範囲が好ましく、10nm〜500nmの範囲がより好ましく、10nm〜200nmの範囲が更に好ましい。
本発明における金属微粒子の数平均粒径が10nm未満であると、生成が難しく、該数平均粒径の金属微粒子を用いて作製されたカラーフィルターは、その特性上、目視で茶褐色(黒色にはならない)に見える点で、好ましくない場合がある。また、本発明における金属微粒子の数平均粒径が1000nmを超えると、粒子を分散した分散物の安定性が低下して、遮光性が悪化する場合がある。
尚、ここでいう「粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について前記の粒径を求め、この100個平均値をいう。また、本発明における金属微粒子は、粒径分布についても特に制約はない。
【0046】
≪金属微粒子分散物の製造方法≫
以下に本発明の金属微粒子分散物の製造方法について説明する。
本発明の金属微粒子分散物は、硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマーの存在下で金属イオンを還元して得られた金属微粒子を含有する金属微粒子含有液を凍結乾燥法により乾燥する工程を含むことを特徴としている。
本発明の金属微粒子分散液の製造方法によると、金属微粒子の分散安定性を改良することができる。ここで、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーの「存在下」とは、通常、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーを、予め溶解した容器中に、金属を含む塩と還元剤とを添加することを示すが、それぞれを別の容器に溶解させ、別途用意した反応容器にそれぞれを同時に添加してもよい。本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーは金属微粒子の分散安定性を向上させる効果があるので、金属微粒子が形成される前または直後に反応容器中に存在することが好ましい。
【0047】
(凍結乾燥法)
本発明においては、金属イオンを還元して得られた金属微粒子を含有する金属微粒子含有液を調製後、凍結乾燥法による乾燥を行う。この凍結乾燥処理は常法に準じて行うことができ、特に限定するものではない。たとえば凍結条件は−40℃から−20℃、5分以上が好ましく、減圧乾燥直前の凍結は試料の中心部まで完全に凍結していることが好ましい。また、その後の乾燥条件は133.5Pa(1Torr)以下のチャンバー内で金属微粒子分散物を0℃から50℃の温度で10時間から25時間乾燥することが好ましい。
【0048】
既述のように、従来においては、金属微粒子溶液の溶媒置換の際に凍結乾燥法を採用した場合、溶媒置換後の溶媒下では分散安定性が低く、凝集が発生するという問題があったが、本発明においては、アルカリ溶解性ポリマーの存在下で金属微粒子を生成するため、溶媒置換前後で共に良好な分散安定性を示すため、凍結乾燥法を採用しても凝集を防ぐことができる。そのため、凍結乾燥法の利点を犠牲にすることなく乾燥を行うことができる。
【0049】
−金属微粒子の分散−
本発明における金属微粒子は、本発明の金属微粒子分散物中において分散されている。分散時における金属微粒子の存在状態は特に限定されないが、金属微粒子が安定な分散状態で存在していることが好ましく、例えば、コロイド状態であることがより好ましい。
【0050】
前記溶媒置換の際に用いる溶媒は特に制限なく用いられるが、中でもSP値が9.0以上のものが好ましい。「SP値」は溶解性パラメーターともいわれるもので、凝集エネルギー密度の平方根で表される。本発明においては、SP値とは、「接着ハンドブック」(日本接着学会編、日刊工業新聞社発行、1971年初版発行)の838頁記載のものを意味する。
例えば、n−ヘキサン/7.3、トルエン/8.9、酢酸エチル/9.1、メチルエチルケトン/9.3、アセトン/10.0、エチルアルコール/12.7、メチルアルコール/14.5、水/23.4等である。ここで前記SP値の単位は「(cal/cm31/2」である。
溶剤再分散の際にSP値が9.0以上のものを用いると、分散性が特に良好となり、メチルエチルケトン、2−プロパノール、1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、シクロヘキサノン、アセトン、N−メチルピロリドン、あるいはそれらの混合物などが好適に挙げられる。
【0051】
本発明の金属微粒子分散物中におけるにおける金属微粒子の含有量は、本発明の効果をより効果的に発揮させる観点から、分散物中の金属固形分質量が全固形分に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
【0052】
(硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマー)
次に、本発明における硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマーについて説明する。本発明の金属微粒子分散物の製造方法によれば、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーの存在下で金属微粒子を調製することにより、金属微粒子の分散安定性を更に改良することができる。
【0053】
本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーには、硫黄原子、窒素原子の両方を含むポリマーであってもよいし、硫黄原子または窒素原子のいずれか一方を有するポリマーであってよく、両者ともに本発明の効果を得ることができる。
硫黄原子をもつポリマーとしては、チオエーテル基、メルカプト基、スルフィド基、チオキソ基を有するものが好ましく、また、窒素原子をもつポリマーとしては、アミノ基、イミノ基を有するものや含窒素複素環化合物が好ましい。
【0054】
前記含窒素複素環としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、ピロール、ピロリジン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、ベンズイミダゾールが挙げられ、これらの基は未置換でもよいし、置換された形でもよい。
【0055】
本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーは、上述した硫黄原子または窒素原子を含む基を後述する重合体(共重合体を含む。)或いは重合性化合物の側鎖末端基として有するものでも、また、その側鎖末端以外に有していてもよいが、側鎖末端基として有するものが好ましい。以下、重合体(共重合体を含む。)または重合性化合物を単に重合体ともいう。
【0056】
本発明において「アルカリ溶解性」とは、蒸留水(H2O)に不溶であり、且つ、pH10〜13のアルカリ水溶液に溶解しうるものを意味する。例えば、水溶性高分子化合物はアルカリ水溶液に対して可溶性を示すが、蒸留水に対しても同様に可溶性を示すので、本発明におけるポリマーからは除外される。
【0057】
本発明における「アルカリ溶解性」の判定は、例えば、以下の評価法で決定することができる。
まず、pH12.0に調整したNaOH水溶液20mlに評価対象の化合物0.2gを添加し、激しく攪拌する。25℃の恒温層中に6時間放置し溶解性を確認する。同時に蒸留水20mlに評価対象の化合物0.2gを添加し、激しく攪拌する。25℃の恒温層中に6時間放置後に溶解性を確認する。この際、白濁、沈降物が確認されれば不溶、白濁、沈降物が確認されなければ可溶と判定する。このような評価法によって、pH12.0に調整したNaOH水溶液に可溶で、蒸留水に不溶の物を選択することにより、本発明における「アルカリ溶解性」を確認することができる。
【0058】
本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーとしては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられる。前記酸性基としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができる。前記酸性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸、フェノール類、スルホアミドなどが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基が好ましい。また、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマー中の前記アルカリ可溶性基を有する構造単位の導入量は、該アルカリ可溶性基の存在によって、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーがpH10〜13のアルカリ水溶液に溶解しうるものであれば特に限定はされない。
【0059】
本発明におけるアルカリポリマーの酸価としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、70〜300(mgKOH/g)が好ましく、90〜250(mgKOH/g)がより好ましく、100〜200(mgKOH/g)が分散安定性の観点から特に好ましい。
【0060】
前記酸性基としてカルボキシル基を有する重合体としては、例えば、カルボキシル基を有するビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド酸樹脂、変性エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中でも、塗布溶媒への溶解性、アルカリ現像液への溶解性、合成適性、膜物性の調整の容易さ等の観点からカルボキシル基を有するビニル共重合体が好ましい。また、スチレンおよびスチレン誘導体の少なくともいずれかの共重合体も好ましい。
【0061】
前記カルボキシル基を有するビニル共重合体は、少なくとも(1)カルボキシル基を有するビニルモノマーと、(2)前記(1)のビニルモノマーと共重合可能なモノマーとの共重合により得ることができる。
前記カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)と環状無水物(例えば、無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物)との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、共重合性、コストおよび溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。尚、本願明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸を総称し、その誘導体の場合も同様である。
また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の無水物を有するモノマーを用いてもよい。
【0062】
前記(1)のビニルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、特に制限は無く目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類(例えば、スチレン、スチレン誘導体等)、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−アクリロイルオキシエチルエステル)、官能基(例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、フェノール基、イミド基)を有するビニルモノマーなどが挙げられ、これらの中でもスチレン類が好ましい。
【0063】
前記(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、β−フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、パーフロロクチルエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0064】
前記クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
前記マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
前記フマル酸ジエステル類としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
前記イタコン酸ジエステル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0065】
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0066】
前記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
前記ビニルアルコールのエステル類としては、ベルサト酸ビニル、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどが挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、tert−ブチルオキシカルボニル基等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0067】
本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーの分子量としては、特に制限は無く目的に応じて適宜選択することができるが、金属微粒子の分散安定性の観点から、例えば、重量平均分子量として、2,000〜300,000が好ましく、4,000〜150,000がより好ましく、6000〜100,000が特に好ましい。
【0068】
また、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーの有機性/無機性比(I/O値)は0.44以上1.65以下が好ましく、0.5以上0.6以下が更に好ましい。前記I/O値が低すぎると水に可溶となってしまい、また、前記I/O値が高くなると、アルカリ水溶液にも不溶となってしまう。上記の有機性/無機性比(I/O値)は三共出版 (株) 発行 「有機概念図」を参照することにより求めることができる。
本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーが硫黄原子を有する場合、ポリマー中の硫黄原子の含有量は、金属微粒子の分散安定性の観点から、0.5質量%〜20質量%が好ましく、1.0質量%〜10.0質量%が更に好ましい。また、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーが窒素原子を有する場合、ポリマー中の窒素原子の含有量は、金属微粒子の分散安定性の観点から、0.5質量%〜20質量%が好ましく、1.0質量%〜10.0質量%が更に好ましい。更に、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーが硫黄原子および窒素原子の両者を有する場合、硫黄原子(s)と窒素原子(n)との重量比(s/n)は、金属微粒子の分散安定性の観点から、0.01〜200好ましく、0.1〜20が更に好ましい。
【0069】
本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーが硫黄原子を含有する場合の具体例としては、例えば、下記一般式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する高分子化合物が挙げられる。
【0070】
【化1】

【0071】
前記一般式(1)において、R1は、水素原子、または総炭素数1〜4のアルキル基を表す。総炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、secブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。
【0072】
前記一般式(1)において、R2は、水素原子、総炭素数1〜18のアルキル基、総炭素数6〜14のアリール基、または総炭素数7〜16のアラルキル基を表し、このアルキル基、アリール基、およびアラルキル基は各々独立に、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和または不飽和の環状構造を形成していてもよい。
【0073】
前記R2で表される総炭素数1〜18のアルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、secブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基等のアルキル基が挙げられる。置換基を有する場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、エステル基、スルホニル基等が好適である。
【0074】
上記のうち、総炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基ノルマルブチル基、tert−ブチル基は特に好ましい。
【0075】
前記R2で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル等のアリール基が挙げられる。置換基を有する場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、エステル基、スルホニル基等が好適である。
【0076】
上記のうち、総炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基は特に好ましい。
【0077】
前記R2で表されるアラルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数7〜16のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等のアラルキル基が挙げられる。置換基を有する場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、エステル基、スルホニル基等が好適である。
上記のうち、総炭素数7〜11のアラルキル基が好ましく、ベンジル基は特に好ましい。
【0078】
前記一般式(1)において、Zは、−O−またはNH−を表す。また、Yは、総炭素数1〜8の2価の連結基を表す。
Yで表される総炭素数1〜8の2価の連結基は、アルキレン基(例、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アルケニレン基(例、エテニレン、プロぺニレン)、アルキニレン基(例、エチニレン、プロピニレン)、アリーレン基(例、フェニレン)、二価のヘテロ環基(例、6−クロロー1、3、5−トリアジン−2、4ージイル基、ピリミジン2、4−ジイル基、キノキサリン−2、3−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル)、−O−、−CO−、−NR−(Rは水素原子、アルキル基またはアリール基)、またはこれらの組み合わせ(例えば−NHCH2CH2NH−、−NHCONH−等)であることが好ましい。
上記のうち、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、二価のヘテロ環基、Rのアルキル基またはアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、アリール基の置換基と同じである。Rのアルキル基およびアリール基は前述と同義である。
【0079】
Yで表される総炭素数1〜8の2価の連結基のうち、総炭素数1〜6の2価の連結基が好ましく、中でも、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、−CH2−CH(OH)−CH2−、−C24−O−C24−は特に好ましい。
【0080】
本発明に係る高分子分散剤は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種のみならず、2種以上を共重合して硫黄原子を2以上含む高分子化合物であってもよい。また、側鎖を構成するチオエーテル構造は、硫黄原子を1つのみならず、前記Z、R2を、硫黄原子を有する基で構成することにより、2つ以上の硫黄原子を有する側鎖とすることができる。
【0081】
本発明に係る高分子分散剤は、所望の高分子化合物に(好ましくは側鎖として)チオエーテル構造を導入する、あるいはチオエーテル基を(好ましくは側鎖に)持つ単量体の単独重合、またはチオエーテル基を(好ましくは側鎖に)持つ単量体と他の単量体との共重合により得ることができる。好ましくは、エチレン性不飽和単量体の側鎖にチオエーテル構造を導入する、あるいはチオエーテル構造を側鎖に含むエチレン性不飽和単量体の単独重合、またはチオエーテル構造を側鎖に含むエチレン性不飽和単量体と他の共重合成分との共重合により得ることができる。
【0082】
以下、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の具体例を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0083】
【化2】

【0084】
上述の中でも、特にR1が水素原子あるいはメチル基であって、R2がメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、tert−ブチル基、フェニル基であって、Zが−O−であって、Yがエチレン基、である化合物が好ましい。
【0085】
本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーが窒素原子を含有する場合の具体例としては、例えば、下記で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する高分子化合物が挙げられる。
【0086】
【化3】

【0087】
以下に本発明における硫黄原子あるいは窒素原子を含有するアルカリ可溶解性ポリマーの具体例をあげるが、これらに限定される物ではない。下記化合物PO−1〜PO34はA、B、Cで表される繰り返し単位を有した共重合体である。またa、b、c、は繰り返し単位A,B,Cそれぞれの質量%の比を表す。
【0088】
【化4】

【0089】
【化5】

【0090】
また、本発明の金属微粒子分散物には、界面活性剤、防腐剤、または分散安定化剤などを適宜配合してもよい。
【0091】
前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用でき、アニオン系およびノニオン系界面活性剤が特に好ましい。界面活性剤のHLB値は塗布液の溶媒が非極性溶剤であるため、3〜6程度のものが好ましい。
【0092】
尚、前記HLB値については、例えば「界面活性剤ハンドブック」(吉田時行、進藤信一、山中樹好編、工学図書(株)発行昭和62年)に記載されている。前記界面活性剤の具体例としては、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノラウリル酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリル酸エステルなどがある。界面活性剤の例についても前述の「界面活性剤ハンドブック」に記載されている。
【0093】
分散安定剤については、例えば「顔料分散技術(技術情報協会(株)1999年発行)」に記載されているものを用いることができる。
【0094】
《着色組成物》
本発明の着色組成物は、少なくとも上述の本発明の金属微粒子分散物を含有し、また樹脂またはその前駆体の少なくとも1種、光重合開始剤、溶媒等を含有する。必要に応じて、顔料微粒子を含有してもよい。
また、本発明の金属微粒子分散物および本発明の着色組成物は、黒色の黒色組成物であることが好ましい。ここで、「黒色」とは、無彩色点(x=0.333,y=0.333,Y=0)からの色度のズレがΔEで100以内である色をいう。また、「黒色組成物」とは、本発明の金属微粒子分散物に含まれる全金属原子濃度を4.0×10−4モル/Lの分散溶液とした場合に、波長450nmと550nmでの吸収の比、すなわち黒色度
k=Abs(450nm)/Abs(550nm)が0.5〜2.0の範囲である組成物を意味する。前記黒色組成物の吸収は、日立社製 U−3410形自記分光光度形を用いて測定することができる。
【0095】
(樹脂またはその前駆体)
本発明の着色組成物に添加することのできる樹脂としては、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、および特開昭59−71048号公報に記載されているメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体が挙げられる。更に、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。特に、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体やベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を好適に挙げることができる。
【0096】
前記樹脂としては、30〜400mgKOH/gの範囲の酸価と1000〜300000の範囲の重量平均分子量を有するものを選択して使用するのが好ましい。その他、種々の性能、例えば、硬化膜の強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、アルカリ可溶性ポリマーを添加してもよい。これらのアルカリ可溶性ポリマーとしては、本発明におけるアルカリ溶解性ポリマーを用いてもよいし、その他アルコール可溶性ナイロンやエポキシ樹脂を挙げることができる。
前記樹脂の前駆体としてはエチレン性不飽和二重結合を有し、光照射によって付加重合(以下「光重合性モノマー」という場合がある)し、硬化することで樹脂となる光重合性モノマー等が挙げられる。これらについては後述する。
【0097】
(開始剤)
本発明の着色組成物に添加する開始剤は、光照射によってラジカルが発生する光重合開始剤等が挙げられる。これについては後述する。
【0098】
(溶媒)
本発明の着色組成物に添加することのできる溶剤としては、特に制限なく用いられるが、前記金属微粒子溶媒置換の際に用いた溶媒と同様な物が、金属微粒子分散安定性の観点からも好ましく、中でもSP値が9.0以上のものが好ましい。
例えば、メチルエチルケトン、2−プロパノール、1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、シクロヘキサノン、アセトン、N−メチルピロリドン、あるいはそれらの混合物などが好適に上げられる。
【0099】
(顔料微粒子)
本発明の着色組成物には、金属微粒子分散物の他に、顔料微粒子を含有せしめることにより、色相を黒色に近づけることも可能となる。
本発明の着色組成物に含有させることのできる顔料微粒子としては、カーボンブラック、チタンブラック、または黒鉛が好適なものとして挙げられる。
前記カーボンブラックの例としては、Pigment Black(ピグメント・ブラック) 7(カーボンブラック C.I.No.77266)が好ましい。市販品としては、「三菱カーボンブラックMA100」(三菱化学(株)製)、「三菱カーボンブラック#5」(三菱化学(株)製)が挙げられる。
【0100】
前記チタンブラックの例としては、TiO2、TiO、TiNやこれらの混合物が好ましい。市販品として、三菱マテリアルズ(株)製の商品名「12S」や「13M」が挙げられる。また用いられるチタンブラックの粒子径は40〜100nmが好ましい。
【0101】
前記黒鉛の例としては、粒子径がストークス径として3μm以下のものが好ましい。3μmを超えた黒鉛を用いると、遮光パターンの輪郭形状が不均一になり、シャープネスが悪くなる場合がある。また、粒子径の大部分(好ましくは95%以上)が0.1μm以下であることが望ましい。
【0102】
本発明の着色組成物は、前記顔料微粒子の他に、他の公知の顔料微粒子を用いることもできる。顔料は一般に有機顔料と無機顔料とに大別されるが、本発明においては有機顔料が好ましい。好適に使用される有機顔料の例としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ニトロ系顔料を挙げることができる。前記有機顔料の色相は、例えば黄色顔料、オレンジ顔料、赤色顔料、バイオレット顔料、青色顔料、緑色顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等が好ましい。
【0103】
前記顔料微粒子としては、具体的には、特開2005−17716号公報[0038]〜[0040]に記載の色材や、特開2005−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0104】
また、前記着色剤の他、「顔料便覧、日本顔料技術協会編、誠文堂新光社、1989」、「COLOUR INDEX、THE SOCIETY OF DYES & COLOURIST、THIRD EDITION、1987」に記載のものを参照して適宜用いることもできる。
【0105】
また、前記顔料微粒子は、色相が上述の本発明における金属微粒子の色相と補色関係にあるものを用いることが望ましい。また、顔料微粒子は1種で用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。好ましい顔料の組み合わせとしては、赤色系および青色系の互いに補色関係にある顔料混合物と黄色系および紫色系の互いに補色関係にある顔料混合物との組み合せや、前記の混合物に更に黒色の顔料を加えた組み合わせや、青色系と紫色系と黒色系との顔料の組合せを挙げることができる。
【0106】
前記顔料微粒子は、組成物中に均一に分散されていることが好ましい。前記顔料微粒子の算術平均粒径は、5nm〜5μmが好ましく、特に10nm〜1μmが好ましい。本発明の着色組成物をカラーフィルター用途として用いる場合には、前記顔料微粒子の算術平均粒径は20nm〜0.5μmが好ましい。
【0107】
<遮光画像作製用着色組成物>
前記本発明の着色組成物を、特に遮光画像作製用の着色組成物(以下、「遮光用着色組成物」ともいう。)として用いる場合について以下に詳述する。
前記遮光用着色組成物を用いて遮光層(パターニングする前の層)を形成した場合、遮光層の膜厚1μmあたりの光学濃度は1以上となることが好ましい。例えば、カラーフィルターの作製時など、ポストベークの際、金属微粒子が融着するのを防止することを考慮すると、前記遮光用着色組成物における金属微粒子の含有量は、形成される遮光層の全固形分に対して10〜90質量%、好ましくは10〜80質量%程度になるように調節することが好ましい。また、前記含有量は、金属微粒子の平均粒径による光学濃度の変動を考慮して行うのが好ましい。
また、後述の感光性を有する遮光用着色組成物における金属微粒子の含有量も同様である。
【0108】
本発明でいう「遮光画像」とは、ブラックマトリックスを包含する意味で用いられる。「ブラックマトリックス」とは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の画素間の格子状やストライプ状の黒色の部分、更にTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等のことであり、このブラックマトリックスの定義は、例えば、菅野泰平著、「液晶ディスプレイ製造装置用語辞典」、第2版、日刊工業新聞社、1996年、p.64に記載されている。遮光画像の例としては、有機ELディスプレイ(例えば、特開2004−103507号公報)、PDPのフロントパネル(例えば、特開2003−51261号公報)、PALCではバックライトの遮光等が挙げられる。
ブラックマトリックスは表示コントラストを向上させるため、また薄膜トランジスター(TFT)を用いたアクティブマトリックス駆動方式の液晶表示装置の場合には光の電流リークによる画質低下を防止するため、高い遮光性(光学濃度ODで3以上)が必要である。
【0109】
<感光性遮光画像作製用着色組成物>
前記遮光画像作製用着色組成物は感光性を有することがより好ましい。具体的には、本発明の着色組成物に感光性樹脂組成物を添加することで感光性を付与することができる。前記感光性樹脂組成物は、バインダーとなるポリマー、光重合開始剤、光重合性モノマー等を含有してなる態様が好ましく挙げられる。
【0110】
前記感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液で現像可能なものと、有機溶剤で現像可能なものとがある。安全性と現像液のコストとの観点からは、アルカリ水溶液現像可能なものが好ましい。前記感光性樹脂組成物にアルカリ水溶液現像性を持たせるためにはバインダーのポリマーをアルカリ可溶性ポリマーにすることが好ましい。
前記感光性樹脂組成物は、上述のような光や電子線などの放射線を受容する部分が硬化するネガ型の組成物でもよいし、放射線未受容部が硬化するポジ型の組成物であってもよい。
【0111】
前記ポジ型の感光性樹脂組成物にはノボラック系の樹脂を用いたものが挙げられる。前記ノボラック系樹脂としては、例えば、特開平7−43899号公報記載のアルカリ可溶性ノボラック樹脂系を使用することができる。また、特開平6−148888号公報記載のポジ型感光材料、即ち、該公報記載のアルカリ可溶性樹脂と感光剤として1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルと該公報記載の熱硬化剤の混合物とを含むポジ型感光材料を用いることができる。更に、特開平5−262850号公報記載の組成物も活用可能である。
【0112】
ネガ型の感光性樹脂組成物としては、ネガ型ジアゾ樹脂とバインダーとからなる感光性樹脂、光重合性組成物、アジド化合物とバインダーとからなる感光性樹脂組成物、桂皮酸型感光性樹脂組成物等が挙げられる。その中でも、光重合開始剤、光重合性モノマーおよびバインダーを基本構成要素として含む光重合性組成物が特に好ましい。該光重合性組成物には、特開平11−133600号公報記載の「重合性化合物B」「重合開始剤C」「界面活性剤」「接着助剤」や、その他の組成物が利用できる。
例えば、ネガ型の感光性樹脂組成物であってアルカリ水溶液現像可能な感光性樹脂組成物としては、主成分としてカルボン酸基含有バインダー(アルカリ可溶性バインダー)と、光重合開始剤と、光重合性モノマーと、を含んでなる感光性樹脂組成物が挙げられる。尚、前記アルカリ可溶性バインダーとしては、前述の樹脂またはその前駆体として例示した樹脂を好適なものとして使用できる。
【0113】
前記アルカリ可溶性バインダーは、感光性の遮光用着色組成物の全固形分に対して通常、10〜95質量%含有され、更に20〜90質量%含有されることが好ましい。含有量が10〜95質量%の範囲では、感光性樹脂層の粘着性が高すぎることもなく、形成される層の強度および光感度が劣ることもない。
【0114】
前記光重合開始剤としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号および同第2951758号の各明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等が挙げられる。特に好ましくはトリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール、トリアリールイミダゾール二量体である。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとして挙げることができる。
これらの光重合開始剤または光重合開始剤系は、単独でも、二種類以上を混合して用いてもよく、特に二種類以上を用いることが好ましい。また、感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
【0115】
黄ばみなどの着色がなく、且つ露光感度を高くすることが可能であり優れた表示特性を発揮することができる光重合開始剤の組み合わせの例としては、ジアゾール系光重合開始剤と、トリアジン系光重合開始剤との組み合わせが挙げられる。中でも、2−トリクロロメチル5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールと、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキンカルボニルメチル)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジンとの組み合わせが最も好ましい。
これらの光重合開始剤の比率は、ジアゾール系/トリアジン系の質量比率で、95/5〜20/80が好ましく、より好ましくは90/10〜30/70であり、特に好ましくは80/20〜60/40である。これらの光重合開始剤は、特開平1−152449号公報、特開平1−254918号公報、特開平2−153353号公報に記載されている。
更に、前記光重合開始時亜の好適な例としてはベンゾフェノン系も挙げられる。
【0116】
また、感光性の遮光用着色組成物の固形分全体に占める顔料の割合が15〜25質量%付近の場合、前記光重合開始剤に、クマリン系化合物を混合することによっても、黄ばみなどの着色を抑制し、且つ高感度化することができる。
前記クマリン系化合物としては、7−[2−[4−(3−ヒドロキシメチルビペリジノ)−6−ジエチルアミノ]トリアジニルアミノ]−3−フェニルクマリンが最も好ましい。これらの光重合開始剤とクマリン系化合物との比率は、光重合開始剤/クマリン系化合物の質量比率で、20/80〜80/20が好ましく、より好ましくは30/70〜70/30であり、最も好ましくは40/60〜60/40である。
ただし、本発明に使用できる光重合性組成物はこれらに限定されるものではなく、公知のものの中から適宜選択することできる。
【0117】
前記光重合開始剤は、感光性の遮光用着色組成物の全固形分に対して、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。前記含有量が前記範囲内であると、光感度や画像強度の低下を防止でき、十分に性能を向上させることができる。
【0118】
前記光重合性モノマーとしては、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン若しくはグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応させた後で(メタ)アクリレート化したもの等の多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0119】
更に、特公昭48−41708号、同50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に開示されているウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、同52−30490号の各公報に開示されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートを挙げることができる。これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。前記光重合性モノマーは、単独でも2種類以上を混合して用いてもよい。前記光重合性モノマーの感光性の遮光用着色組成物の全固形分に対する含有量は、5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。前記含有量が前記範囲内にあると光感度や画像の強度も低下せず、感光性遮光層の粘着性が過剰になることもない。
【0120】
感光性の遮光用着色組成物としては、前記成分の他に更に熱重合防止剤を添加することが好ましい。前記熱重合防止剤の例としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール、ピロガロール等の芳香族ヒドロキシ化合物、ベンゾキノン、p−トルキノン等のキノン類、ナフチルアミン、ピリジン、p−トルイジン、フェノチアジン等のアミン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩またはアンモニウム塩、クロラニール、ニトロベンゼン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0121】
感光性の遮光用着色組成物は、更に必要に応じて公知の添加剤、例えば、可塑剤、界面活性剤、密着促進剤、分散剤、垂れ防止剤、レベリング剤、消泡剤、難燃化剤、光沢剤、溶剤等を添加することができる。
【0122】
前記密着促進剤としては、例えばアルキルフェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、アクリル樹脂系粘着剤、芳香族系、脂肪族系または脂環族系の石油樹脂、シランカップリング剤等が挙げられる。
【0123】
本発明の遮光用着色組成物(感光性のものを含む)を用いてブラックマトリックスを形成することで、薄膜で且つ光学濃度が高いブラックマトリックスを作製することができる。
【0124】
≪感光性転写材料≫
(感光性遮光層)
本発明においては、本発明の金属微粒子分散物を用いて支持体上に感光性遮光層を形成し、本発明の感光性転写材料とすることができる。本発明の感光性転写材料を用いることで、ブラックマトリックス等の遮光画像を作製することができる。
前記感光性転写材料は、支持体上に、上述の感光性を有する遮光用着色組成物等を用い形成された感光性遮光層を少なくとも1層有し、必要に応じて熱可塑性樹脂層、中間層、または保護層等を設けることができる。
前記感光性遮光層の膜厚は0.1〜4μmの範囲が好ましく、特に0.1〜2.0μmの範囲が好ましく更に0.2〜1.0μmが好ましい。
【0125】
(支持体)
前記感光性転写材料における支持体としては、ポリエステル、ポリスチレン等の公知の支持体を用いることができる。中でも2軸延伸したポリエチレンテレフタレートはコスト、耐熱性、寸法安定性の観点から好ましい。前記支持体の厚みは15〜200μm程度、より好ましくは30〜150μm程度が好ましい。前記支持体の厚みが前記範囲内にあると、ラミネーション工程時に熱によりトタン板状のしわが発生するのを効果的に抑制することができ、コスト上も有利である。
また前記支持体には必要に応じて特開平11−149008号公報に記載されている導電性層を設けてもよい。
【0126】
(熱可塑性樹脂層)
また、支持体と感光性遮光層との間、または支持体と中間層との間に、アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層を設けることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂層は、下地表面の凹凸(既に形成されている画像などによる凹凸等も含む)を吸収することができるようにクッション材としての役割を担うものであるため、当該凹凸に応じて変形しうる性質を有していることが好ましい。
【0127】
アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層に含まれる樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、等より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。更に「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することもできる。また、これらの熱可塑性樹脂のうち、軟化点が80℃以下のものが好ましい。
【0128】
前記熱可塑性樹脂層に含まれる樹脂としては、上述のアルカリ可溶な熱可塑性樹脂層に含まれる樹脂の中でも、重量平均分子量3千〜50万(Tg=0〜170℃)の範囲で選択して使用することが好ましく、更には重量平均分子量4千〜20万(Tg=30〜140℃)の範囲がより好ましい。これらの樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59−44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64−55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特開平5−241340号の各公報に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。
【0129】
また、これらの中でも特に好ましいものとしては、特開昭63−147159号明細書に記載されたメタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、特公昭55−38961号、特開平5−241340号の各公報に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0130】
さらに、前記熱可塑性樹脂層には、熱可塑性樹脂層と支持体との接着力を調節するために、各種可塑剤、各種ポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、または離型剤等を加えることが可能である。好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物等を挙げることができる。
前記熱可塑性樹脂層中の可塑剤の含有量は、可塑性樹脂層の全固形分に対して、200質量%以下が一般的であり、好ましくは20〜100質量%である。
【0131】
また、前記熱可塑性樹脂層の厚みは6μm以上が好ましい。熱可塑性樹脂の厚みが6μm以上であれば、下地表面の凹凸を完全に吸収することができる。また、上限については、現像性、製造適性から約100μm以下が一般的であり、好ましくは約50μm以下である。
【0132】
本発明において、熱可塑性樹脂層を形成する際に用いる塗布液の溶媒としてはこの層を構成する樹脂を溶解するものであれば特に制限なく使用できる。前記溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n−プロパノール、i−プロパノール等が挙げられる。
【0133】
(中間層)
本発明の感光性転写材料は、仮支持体と感光性遮光層との間に中間層を設けてもよい。
中間層を構成する樹脂としてはアルカリ可溶であれば特に制限はない。該樹脂の例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、およびこれらの共重合体を挙げることができる。またポリエステルのように通常はアルカリ可溶性でない樹脂にカルボキシル基やスルホン酸性基を持つモノマーを共重合した樹脂も用いることができる。
これらの中で好ましいものはポリビニルアルコールである。前記ポリビニルアルコールとしては鹸化度が80%以上のものが好ましく、83〜98%のものがより好ましい。
【0134】
中間層を構成する樹脂は2種類以上を混合して使用することが好ましく、特にポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを混合して用いることが特に好ましい。両者の質量比はポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール=1/99〜75/25の範囲が好ましく、更には10/90〜50/50の範囲がより好ましい。前記質量比が前記の範囲内にあると中間層の面状が良好であり、その上に塗設した感光性遮光層との密着性がよく、更に、酸素遮断性が低下して感度が低下するのを防止することができる。
尚、前記中間層には必要に応じて界面活性剤などの添加剤を添加することができる。
【0135】
前記中間層の厚みは0.1〜5μm、更に0.5〜3μmの範囲が好ましい。中間層の厚みが前記範囲内にあると、酸素遮断性を低下させることなく、また、現像時の中間層除去時間が増大するのを防止することができる。
中間層の塗布溶媒としては前記の樹脂が溶解すれば、特にその他の制限はないが、中でも水が好ましく、また水に前述の水混和性有機溶剤を混合した混合溶媒も好ましい。好ましい塗布溶媒の具体例としては、例えば、水、水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/メタノール=55/45、水/エタノール=70/30、水/1−プロパノール=70/30、水/アセトン=90/10、水/メチルエチルケトン=95/5(ただし比は質量比を表す)等が挙げられる。
【0136】
(感光性転写材料の作製)
本発明の感光性転写材料は、支持体に、本発明の感光性を有する遮光用着色組成物の溶液を、例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて塗布・乾燥させることにより感光性遮光層を形成することにより作製することができる。また、アルカリ可溶性熱可塑性樹脂の層を設ける場合にも同様にして形成することができる。
【0137】
本発明の感光性転写材料は、上述のごとき本発明の遮光用着色組成物を用いて感光性遮光層を設けているため、薄膜で且つ光学濃度が高い遮光層を作製することができる。
【0138】
≪遮光画像の作製方法≫
(遮光層の形成方法)
本発明において、遮光画像は、本発明の金属微粒子分散物、これを含有する着色組成物または感光性転写材料を用いて形成した遮光層をパターニングすることにより作製される。この際、前記遮光層の膜厚は0.2〜2.0μm程度、更には0.9μm以下であることが好ましい。前記遮光層は本発明における金属微粒子を分散させたものであるため、前記のごとき薄膜でも十分な光学濃度(O.D3.5以上)を発揮することができる。
【0139】
また、本発明の金属微粒子分散物、これを含有する着色組成物または感光性転写材料を用いて遮光画像を作製する(パターニングする)方法は特に限定はされない。以下にブラックマトリックスのパターン形成方法の一例を挙げる。
【0140】
第1の方法は、まず本発明における金属微粒子と本発明におけるアルカリ可溶性ポリマーとを含有し、感光性を有する本発明の遮光用着色組成物を基板に塗布し、金属微粒子および本発明におけるアルカリ可溶性ポリマーを含有した感光性遮光層を形成する。第1の方法は、その後、露光現像によりパターン以外の部分の遮光層を除却することによりパターン形成を行い、遮光画像を得る方法である。また、上述の中間層と同組成の層を前記感光性遮光層上に形成して保護層とすることもできる。この場合、塗布液の塗布は、上述の塗布機を用いて塗布することができ、中でもスピンコート法によって行うのが好ましい。
【0141】
第2の方法は、まず、まず本発明における金属微粒子と本発明におけるアルカリ可溶性ポリマーとを含有し、非感光性の本発明の着色組成物を基板に塗布して、金属微粒子および本発明におけるアルカリ可溶性ポリマーを含有した遮光層を形成する。その後、該遮光層上に感光性レジスト液を塗布してレジスト層を形成する。第2の方法は、次いで露光によりレジスト層を露光現像してレジスト層にパターンを形成した後、このパターンに応じて遮光層の非パターン部を溶解し、遮光層にパターンを形成する。最後にレジスト層を除却して、遮光画像を作製する方法である。
【0142】
第3の方法は、予め基板上のパターン以外の部分に塗布層を形成しておき、この上に金属微粒子および本発明におけるアルカリ可溶性ポリマーを含有した、非感光性の本発明の遮光用着色組成物を塗布して微粒子含有層を含む遮光層を形成する。次いで、初めに形成した塗布層を上の遮光層とともに除却し、遮光画像が作製される。
【0143】
前記感光性転写材料を用いる遮光画像の作製方法としては、光透過性基板の上に、前記感光性転写材料を、感光性転写材料の感光性遮光層が接触するように配置して積層する。次に、感光性転写材料と光透過性基板との積層体から支持体を剥離し、その後、前記層を露光した後現像して遮光画像を形成する方法である。
この遮光画像の製造方法は、煩瑣な工程を行うことを必要とせず、低コストである。
【0144】
(露光および現像)
次に、前記露光および現像工程について述べる。
前記基板上に形成された遮光層の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスク上方から露光し、次いで現像液による現像を行い、パターニング画像を得、引き続き必要に応じて、水洗処理を行う、という工程により、本発明の遮光画像を得ることができる。露光は上述のようなマスクを配置する方法以外に、マスクを介さずに直接に画像データに基づいて露光光を相対走査することでパターン画像を得てもよい。
ここで、前記露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LD、超高圧水銀灯、YAG−SHG固体レーザー、KrFレーザー、固体レーザー等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度である。
この際に使用する露光機は、特に限定されるわけではないが、前記マスクを介して露光するプロキシミティ露光機の他、散乱光線露光機、平行光線露光機、ステッパー、およびレーザー露光などを用いることができる。
【0145】
また、前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができ、本発明ではアルカリ性物質の希薄水溶液が好ましく用いられる。詳しくは、現像液は感光性樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましい。尚、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
また、前記現像の前には、純水をシャワーノズル等にて噴霧して、該感光性遮光層の表面を均一に湿らせることが好ましい。
【0146】
前記遮光画像の塗布による形成方法および感光性転写材料を用いる形成方法における、前記アルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、燐酸三ナトリウム、等が挙げられる。アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、pHは8〜14が好ましい。
【0147】
前記「水と混和性の有機溶剤」としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が好適に挙げられる。水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。更に、公知の界面活性剤を添加することもでき、該界面活性剤の濃度としては0.01〜10質量%が好ましい。
【0148】
前記現像液は、浴液としても、或いは噴霧液としても用いることができる。遮光層の未硬化部分を除去する場合、現像液中で回転ブラシや湿潤スポンジで擦るなどの方法を組み合わせることができる。現像液の液温度は、通常室温付近から40℃が好ましい。現像時間は、遮光層の組成、現像液のアルカリ性や温度、有機溶剤を添加する場合にはその種類と濃度、等に依るが、通常10秒〜2分程度である。短すぎると非露光部の現像が不充分となると同時に紫外線の吸光度も不充分となることがあり、長すぎると露光部もエッチングされることがある。いずれの場合にも、遮光画像形状を好適なものとすることが困難となる。この現像工程にて、遮光画像が形成される。
【0149】
≪遮光画像付き基板≫
本発明の遮光画像付き基板は、光透過性基板の上に本発明の金属微粒子分散物またはこれを含む本発明の着色組成物、或いは、本発明の感光性転写材料を用いて形成された遮光層を前記のようにしてパターニングすることにより作製される。
この遮光画像付き基板(好ましくは、ブラックマトリックス基板)における遮光画像の膜厚は0.2〜2.0μmが好ましく、特に0.2〜0.9μmが好ましい。前記ブラックマトリックス基板における遮光層は本発明における金属微粒子を分散させたものであるため、前記のごとき薄膜でも十分な光学濃度を有する。
【0150】
本発明の遮光画像付き基板は、テレビ、パーソナルコンピュータ、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に特に制限なく適用できる。また、下記カラーフィルターの作製においても好適に用いることができる。
【0151】
≪カラーフィルター≫
本発明のカラーフィルターは、光透過性基板の上に、着色層からなり、互いに異なる色を呈する2以上の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素は互いに遮光画像(ブラックマトリックス)により離画されている構成を有する。前記ブラックマトリックスは、本発明の金属微粒子分散物、またはこれを用いた本発明の着色組成物若しくは感光性転写材料を用いて作製される。前記画素群は2つでも、3つでも4つ以上でもよい。例えば3つの場合は赤(R)、緑(G)および青(B)の3つの色相が好適に用いられる。赤、緑、青の3種の画素群を配置する場合は、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4種以上の画素群を配置する場合ではどのような配置であってもよい。
【0152】
前記光透過性基板としては、表面に酸化珪素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス板、ノンアルカリガラス板、石英ガラス板等の公知のガラス板或いはプラスチックフィルム等が用いられる。
本発明のカラーフィルターを作製するには、光透過性の基板に常法により2以上の画素群を形成した後、前記のようにしてブラックマトリックスを形成してもよいし、或いは、最初にブラックマトリックスを形成し、その後2以上の画素群を形成してもよい。
本発明のカラーフィルターは上述のごとき薄膜で高濃度であるブラックマトリックスを備えているため、表示コントラストが高くまた平坦性に優れている。
【0153】
≪表示素子≫
本発明の金属微粒子分散物は、表示素子に好適に用いることができる。前記表示素子としてはプラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置、液晶表示装置等が挙げられ、中でも液晶表示装置に用いた場合に本発明の本発明の金属微粒子分散物の効果が顕著に発揮される。表示素子の定義や各表示装置の説明は、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、隅工業調査会 1990毎発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順幸著、産業図書側 平成元年発行)」などに記載されている。
【0154】
本発明の液晶表示装置は、前記カラーフィルター以外に電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ.視野角補償フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、防眩フィルムなどさまざまな部材から一般的に構成される。本発明における遮光画像はこれらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉(株)富士キメラ総研 2003等発行)」に記載されており、LCDの種類としては、STN、TN、VA、IPS、OCS、およびR−OCB等が挙げられる。
【0155】
液晶表示装置の一つとしては、少なくとも一方が光透過性の1対の基板の間に、カラーフィルター、液晶層および液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式およびアクティブマトリックス駆動方式を含む)を少なくとも備えたものが挙げられる。
前記カラーフィルターとしては、前記のごとき複数の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素が、互いに本発明による遮光画像により離画されているカラーフィルターが好適に用いることができる。前記カラーフィルターは平坦性が高いため、このカラーフィルターを備える液晶表示装置は、カラーフィルターと基板との間にセルギャップムラが発生せず、色ムラ等の表示不良の発生が改善される。
【0156】
また、前記液晶表示装置の別の態様としては、少なくとも一方が光透過性の1対の基板の間に、カラーフィルター、液晶層および液晶駆動手段を少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、且つ各アクティブ素子の間に本発明の金属微粒子分散物、または、これを用いた着色組成物若しくは感光性転写材料を用いて作製されるブラックマトリックスが形成されているものである。
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、側工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明の表示装置(液晶表示装置)には特に制限はなく、例えば前記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。本発明はこれらの中でも、特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。
【0157】
また、カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
【0158】
前記液晶表示装置に用いることのできる液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶等が挙げられる。
【実施例】
【0159】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、特に限定のない限り、「部」は「質量部」を意味する。
【0160】
[実施例1]
(1)アルカリ可溶性ポリマー試験
pH12.0に調整したNaOH水溶液20mlに下記高分子化合物PO−33を0.2g添加して、激しく攪拌し、25℃の恒温層中に6時間放置し溶解性を確認した。同時に蒸留水20mlに同高分子化合物PO−33を0.2g添加して、激しく攪拌し、25℃の恒温層中に6時間放置後に溶解性を確認した。この際、蒸留水に不溶(白濁、沈降物が確認されれば)、pH12.0のNaOH水溶液に不溶であれば不溶(××)、蒸留水に可溶(白濁、沈降物が確認されず)、pH12.0のNaOH水溶液に可溶であればアルカリ可溶性無し(×)、蒸留水に不溶、pH12.0のNaOH水溶液に可溶であばアルカリ可溶性有り(○)と判定した。
結果、下記高分子化合物PO−33はpH12.0のNaOH水溶液に可溶であり、蒸留水に不溶であり○と判定した。
また、前記高分子化合物PO−33を下記記載の高分子化合物PO−25,7,11,20,23,19,32,S−1(ビックケミー社製のDisperbyk−161),S−2(ビックケミー社製のDisperbyk−190)、T−1〜4置き換えて同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0161】
【化6】

【0162】
【化7】

【0163】
【表1】

【0164】
(2)銀ナノ粒子分散液の調製:金属微粒子分散液A−1
1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを12.0に調整した水溶液2.5Lに、前記高分子化合物PO−33を6.5g加え、完全に溶解するまで45℃で30分攪拌した。
この溶液を45℃に温度制御し、アスコルビン酸12gを含む水溶液と、硝酸銀30gを含む水溶液を同時に温添加して、黒色の銀ナノ粒子含有液を調製した。
得られた銀微粒子は、算術平均粒径:52nm、算術標準偏差33nmを含む平均アスペクト比が2.5のジャガイモ状の粒子であった。
調製した銀ナノ粒子含有液に遠心分離処理(12000rpm・30min)を行い、上澄み液を捨てて、蒸留水を加え水洗を3度繰り返した。更に、前記銀ナノ粒子含有液に凍結乾燥処理を行った。凍結乾燥処理は、凍結乾燥機(RL-20MB、共和真空社製)を用い、-40℃で2時間凍結した後、1Torr、25℃の下、15時間乾燥することにより行った。
【0165】
その後、1−メトキシ−2−プロピルアセテートを加えて、ブランソン社製「ソニファー(Sonifier)II型」超音波ホモジナイザーを用いて20kHzの超音波を5分間照射した。その後、ブランソン社製「モデル(Model)200bdc−h 40:0.8型超音波ホモジナイザー」で40kHzの超音波を10分間照射した(再分散工程)。この再分散により得られた銀ナノ粒子分散液は、金属濃度0.74mol/Lで粒子形成後と同様の形状、色味を有していた。また得られた銀ナノ粒子分散液を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、Ag濃度8.0質量%であった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して75.3質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−33の溶剤分散物中の濃度は2.7質量%であった。この銀ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−1とする。
【0166】
得られた金属微粒子分散液A−1をAg濃度=4.0×10−4モル/Lとなるようにアセトン溶剤で適時に希釈して、日立社製 U−3410形自記分光光度形を用い、分光吸収を測定した。波長450nmと550nmでの吸収の比、すなわち、黒色度k=Abs(450nm)/Abs(550nm)は1.62であった。
【0167】
(3)銀ナノ粒子分散液の調製:金属微粒子分散液A−2
前記(2)において、凍結乾燥処理工程の代わりに遠心分離処理(12000rpm・30min)を行った以外はすべて同様にして、銀ナノ粒子分散液を調製した。
また、得られた銀ナノ粒子分散液を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して78.2質量%であった。また、TG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−33の溶剤分散物中の濃度は2.7質量%であった。この銀ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−2とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0168】
(4)銀ナノ粒子分散液の調製:金属微粒子分散液A−3
前記(2)において、高分子化合物PO−33の添加量を3gに変更し、溶液の反応温度を51℃に変更したこと以外はすべて同様にして、銀ナノ粒子分散液を調製した。得られた銀微粒子は、算術平均粒径:46nm、算術標準偏差:35nm、アスペクト比が3.0の不定形のジャガイモ状の粒子であった
また、得られた銀ナノ粒子分散液を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して85.2質量%であった。また、TG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−33の溶剤分散物中の濃度は1.1質量%であった。この銀ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−3とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0169】
(5)銀ナノ粒子分散液の調製:金属微粒子分散液A−4
前記(4)において、凍結乾燥処理工程の代わりに遠心分離処理(12000rpm・30min)を行った以外はすべて同様にして、銀ナノ粒子分散液を調製した。
また、得られた銀ナノ粒子分散液を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して87.1質量%であった。また、TG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−33の溶剤分散物中の濃度は1.1質量%であった。この銀ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−4とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0170】
(6)銀金合金ナノ粒子分散液の調製:金属微粒子分散液A−5
1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを12.2に調製した水溶液2.5Lに、前記高分子化合物PO−20を6.5g加え、完全に溶解するまで45℃で30分攪拌した。
この溶液を50℃(反応温度)に温度制御し、水素化ホウ素ナトリウム3gを含む水溶液と、硝酸銀24gを含む水溶液と塩化金酸24.2gを含む水溶液とを同時に添加して、黒褐色の銀金合金ナノ粒子含有液を調製した。
得られた銀金合金粒子は算術平均粒径26nm、算術標準偏差29nm、アスペクト比が2.8の不定形粒子であった。
調製した銀金合金ナノ粒子含有液に遠心分離処理(12000rpm・30min)を行い、上澄み液を捨てて、蒸留水を加え水洗を3度繰り返した。更に、前記銀ナノ粒子含有液に凍結乾燥処理を行った。その後、1−メトキシ−2−プロピルアセテートを加えて、ブランソン社製「ソニファー(Sonifier)II型」超音波ホモジナイザーを用いて20kHzの超音波を5分間照射した。その後、ブランソン社「モデル(Model)200bdc−h 40:0.8型超音波ホモジナイザー」で40kHzの超音波を10分間照射した(再分散工程)。この再分散により得られた銀金合金ナノ粒子分散液は、粒子形成後と同様の形状、色味を有していた。また得られた溶剤分散物を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して75.1質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−20の溶剤分散物中の濃度は2.7質量%であった。
この銀金合金ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−5とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0171】
(7)銀金合金ナノ粒子分散液の調製:金属微粒子分散液A−6
前記(6)において、凍結乾燥処理工程の代わりに遠心分離処理(12000rpm・30min)を行った以外はすべて同様にして、銀金合金ナノ粒子分散液を調製した。
また、得られた銀金合金ナノ粒子分散液を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して78.7質量%であった。また、TG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−20の溶剤分散物中の濃度は2.7質量%であった。この銀金合金ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−6とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0172】
(8)銀金合金ナノ粒子分散液の調製:金属微粒子分散液A−7
前記(7)において、高分子化合物PO−20の添加量を3gに変更、反応温度を51℃に変更したこと以外はすべて同様にして、銀金合金ナノ粒子含有液を調製した。得られた銀金合金微粒子は、算術平均粒径35nm、算術標準偏差25nm、アスペクト比が3.2の不定形粒子であった。
また得られた溶剤分散物を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して85.1質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−20の溶剤分散物中の濃度は1.1質量%であった。この銀金合金ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−7とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0173】
(9)銀金合金ナノ粒子の調製:金属微粒子分散液A−8>
前記(8)において、凍結乾燥処理工程の代わりに遠心分離処理(12000rpm・30min)を行った以外はすべて同様にして、銀金合金ナノ粒子分散液を調製した。
また、得られた銀金合金ナノ粒子分散液を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して89.2質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−20の溶剤分散物中の濃度は1.1質量%であった。この銀金合金ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−8とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0174】
(10)銀錫合金ナノ粒子分散液の調製:金属微粒子分散液A−9
1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを12.0に調製した水溶液2.5Lに、前記高分子化合物PO−20を5g加え、完全に溶解するまで45℃で30分攪拌した。
この溶液を50℃(反応温度)に温度制御し、水素化ホウ素ナトリウム3gを含む水溶液酢酸銀(I)23.6gと、塩化スズ(II)水和物13.3gを含む水溶液とを同時に添加して、黒褐色の銀錫合金ナノ粒子含有液を調製した。
得られた銀錫合金粒子は算術平均粒径35nm、算術標準偏差28nm、アスペクト比が2.8の不定形粒子であった。
調製した銀錫合金ナノ顔料含有液に遠心分離処理(12000rpm・30min)を行い、上澄み液を捨てて、蒸留水を加え水洗を3度繰り返した。更に、前記銀ナノ粒子含有液に凍結乾燥処理を行った。その後、1−メトキシ−2−プロピルアセテートを加えて、ブランソン社製「ソニファー(Sonifier)II型」超音波ホモジナイザーを用いて20kHzの超音波を5分間照射した。その後、ブランソン社「モデル(Model)200bdc−h 40:0.8型超音波ホモジナイザー」で40kHzの超音波を10分間照射した(再分散工程)。この再分散により得られた銀錫合金ナノ粒子分散液は、粒子形成後と同様の形状、色味を有していた。また得られた溶剤分散物を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して75.5質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−20の溶剤分散物中の濃度は2.7質量%であった。
この銀錫合金ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−9とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0175】
(11)銀錫合金ナノ粒子分散液の調製:A−10
前記(10)において、凍結乾燥処理工程の代わりに遠心分離処理(12000rpm・30min)を行った以外はすべて同様にして、銀錫合金ナノ粒子分散液を調製した。
また得られた銀錫合金ナノ粒子分散液を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して79.2質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−20の溶剤分散物中の濃度は2.7質量%であった。この銀錫合金ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−10とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0176】
(12)銀錫合金ナノ粒子分散液の調製:A−11
前記(10)において、高分子化合物PO−20の添加量を5gに変更し、反応温度を51℃に変更したこと以外はすべて同様にして、銀錫合金ナノ粒子含有液を調製した。得られた銀錫合金微粒子は、算術平均粒径20nm、算術標準偏差24nmの不定形粒子であった
また得られた溶剤分散物を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して85.3質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−20の溶剤分散物中の濃度は1.1質量%であった。この銀錫合金ナノ粒子含有液を金属微粒子分散液A−11とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0177】
(13)銀錫合金ナノ粒子含有液の調製:金属微粒子分散液A−12
前記(12)において、凍結乾燥処理工程の代わりに遠心分離処理(12000rpm・30min)を行った以外はすべて同様にして、銀錫合金ナノ粒子分散液を調製した。
また得られた銀錫合金ナノ粒子分散液を原子吸光法により金属含有量を測定した結果、金属濃度0.74mol/Lであった。また、金属固形分質量は、全固形分に対して88.2質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−20の溶剤分散物中の濃度は1.1質量%であった。この銀錫合金ナノ粒子分散液を金属微粒子分散液A−12とする。同様に黒色度=kを測定し、結果を表2に記載した。
【0178】
(14)金属微粒子分散液の評価(経時安定性の評価)
調製した金属微粒子分散液A−1〜12を、各々0.25μmlずつ25mlのメスフラスコ容器に取り、1−メトキシ−2−プロピルアセテートにてメスアップしてその溶液の濃度を日立製の「U−3410形自記分光光度形」を用い、435nmの濃度測定を行った。更に、金属微粒子分散液A−1〜12の調製の際、溶剤再分散工程において1−メトキシ−2−プロピルアセテートを入れた時点を経時評価開始時間として、それから25℃で一定に恒温された部屋に1週間放置したサンプルと、2週間放置したサンプルとをそれぞれ同様な方法で吸収を測定した。経時前と1週間後の溶液とのOD変化の絶対値を「Δ1W」とし、経時前と2週間後の溶液とのOD変化を「Δ2W」として、以下の基準に従って判断した。結果を表2に示した。
○ :OD変化の絶対値が0.8未満であった。
× :OD変化の絶対値が0.8以上1.5未満であった。
××:OD変化の絶対値が1.5以上であった。
【0179】
【表2】

【0180】
[実施例2]
(1)ブラックマトリックスの作製
<感光性遮光層用塗布液B−1(遮光画像形成用塗布液)の調製>
下記処方の成分を混合して黒色材料用微粒子含有組成物(感光性遮光層用塗布液B−1)を調製した。
〔組成〕
・金属微粒子分散液A−1 100.00部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25.0部
・メチルエチルケトン 14.0部
・フッ素系界面活性剤 0.1部
(商品名:F780F、大日本インキ化学工業(株)製
・ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.001部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 2.1部
(モル比=73/27、分子量30000)
・ビス[4−[N−[4−(4、6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン−2−イル)フェニル]カルバモイル]フェニル]セバケート 0.1部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPHA(日本化薬社製))
※尚、前記ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの添加量は、塗布液におけるベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体の量と高分子化合物PO−33の量との総質量を1としたときの質量比率で0.9となる量とした。
【0181】
<保護層用塗布液の調製>
下記組成を混合して、保護層用塗布液を調製した。
〔組成〕
・ポリビニルアルコール 3.0部
(商品名:PVA205、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン 1.3部
(商品名:PVP−K30、アイエスピー・ジャパン社製)
・蒸留水 50.7部
・メチルアルコール 45.0部
【0182】
<感光材料の作製>
ガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が1.0μmになるように前記感光性遮光層用塗布液B−1を塗布して100℃で5分間乾燥し感光性遮光層を形成した。次いで、感光性遮光層の上にスピンコーターを用いて前記保護層用塗布液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布して、100℃で5分間乾燥し保護層を形成し、感光材料P−1を作製した。
【0183】
<ブラックマトリックスの作製>
超高圧水銀灯を有するプロキシミティ型露光機(日立電子エンジニアリング(株)製)で、前記感光材料P−1とマスク(画像パターンを有する石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、露光マスク面と保護層塗布面との間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。次いで、現像処理液TCD(富士写真フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用いて現像処理(33℃・20秒)を行った。画面サイズ10インチで、画素数が480×640であり、また、ブラックマトリックス幅が24μmであり、画素部の開口が86μm×304μmであるブラックマトリックスP−1を得た。
【0184】
(2)ブラックマトリックスP−2〜P−12の作製
前記(1)において、金属微粒子分散液A−1の代わりに金属微粒子分散液A−2〜12の金属微粒子分散液を用いたこと以外は同様にして、ブラックマトリックスをP−2〜12を得た。
【0185】
(3)液晶表示装置の作製
前記で得られたブラックマトリックスP−1〜12を形成した基板を用いて、特開平11−242243号公報の第1実施例[0079]〜[0082]に記載の方法を用いて、液晶表示装置R−1〜R−12を作製したところ、誤作動なく表示することを確認した。
【0186】
《ムラ評価》
得られた液晶表示装置について、下記の評価を行った。結果を下記表3に示す。
−ムラの測定−
液晶表示装置にグレイのテスト信号を入力させた時に、表示部を目視およびルーペにて観察し、ムラの発生の有無を判断した。ムラがまったく観察されなかったものを「◎」、ムラがわずかに確認されたものを「○」、ムラが顕著に確認されたものを「×」とした。
【0187】
【表3】

【0188】
表3から、本発明の金属微粒子分散物を用いた液晶表示装置は、表示ムラがなく表示品質が良く、より表示品位の高い液晶表示装置を提供することができる。
【0189】
[実施例16]
(1)ブラックマトリックスの作製
《感光性転写材料の作製》
2軸延伸した75μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体表面に、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・ジャパン社製、商品名:MH−1600)を用いて、下記のように調製した熱可塑性樹脂層用塗布液を厚みが15μmになるように塗布して100℃で5分間乾燥し、熱可塑性樹脂層を形成した。次いで、この上に実施例2の(1)における保護層用塗布液と同組成の中間層用塗布液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布して、100℃で5分間乾燥し、中間層を形成した。更にこの上に、調液から3日経時した実施例2の(1)の感光性遮光層用塗布液B−1を、乾燥膜厚1.0μmになるよう塗布して100℃で5分間乾燥し、感光性遮光層を形成し、感光性転写材料を作製した。
【0190】
<熱可塑性樹脂層用塗布液の調製>
下記組成を混合して熱可塑性樹脂層用塗布液を調製した。
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(55/11.7/4.5/28.8)の共重合体
(分子量80000) 58部
・スチレン/アクリル酸=63/37の共重合体(分子量7000)
136部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン
(新中村化学工業(株)製、多官能アクリレート) 90部
・フッ素系界面活性剤 1部
(商品名:F780F、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 541部
・1−メトキシ−2−プロパノール 63部
・メチルアルコール 111部
【0191】
《感光材料の作製》
ガラス基板と前記より得られた感光性転写材料とを、感光性遮光層がガラス基板に接触するように重ね合わせ、ラミネーター((株)日立インダストリイズ社製(LamicII型))を用いて両者を貼り合わせた。ラミネーション条件は、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分であった。その後、感光性転写材料から支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を剥離し、感光材料G−1を作製した。
【0192】
《ブラックマトリックスの作製》
実施例2の(1)と同様の露光機、同様の露光条件にて露光を行った。次いで以下の3工程の現像処理を行い、ブラックマトリックスH−1を得た。
〔現像処理〕
第1工程:現像処理液(商品名:T−PD1、富士写真フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用い、温度30℃・40秒の条件で現像処理を行った。
第2工程:現像処理液(商品名:T−CD1、富士写真フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用い、温度33℃・20秒の条件で現像処理を行った。
第3工程:現像処理液(商品名:T−SD1、富士写真フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用い、温度33℃・20秒の条件で現像処理を行った。
【0193】
(2)ブラックマトリックスH−2〜H−12の作製
前記(1)感光性遮光層用塗布液B−1を感光性遮光層用塗布液B−2〜16に置き換えた以外は同様にして、ブラックマトリックスH−2〜H−12を得た。
【0194】
(3)カラーフィルターの作製および評価
本発明および比較例で得られた格子状遮光画像(ブラックマトリクス)に対し、特開2004−347831号公報の[0075]〜[0086]に記載の転写型の感光性樹脂フィルムを用いて赤色、緑色、青色の所定サイズ、形状の着色パターンを形成しカラーフィルターを作製した。
本発明において、比較例で作製したカラーフィルターと比較して、特に欠陥がないカラーフィルターが作製できた。
【0195】
<液晶表示素子の作製および評価>
前記で得られた本発明のカラーフィルター、および比較例のカラーフィルターを用いて液晶表示素子を形成した。
比較例のカラーフィルターを用いた液晶表示素子と比較して、本発明のカラーフィルターを用いた液晶表示素子が良好な表示特性を示すことを確認した。
【0196】
前記で得られた本発明のカラーフィルター、および比較例のカラーフィルターを用い、RGBのパターンに対応してガラス基板上に薄膜トランジスタ、画素電極を形成し、配向膜を設けたアクティブマトリックス基板を作製した。次いで、カラーフィルター上にITOと配向膜を形成し対向基板を作製した。このアクティブマトリクス基板と対向電極間にTN液晶を封入し、シール剤を介して貼り合わせ、各基板の両側に偏光板をクロスニコルにて配置し、アクティブマトリックス基板側にバックライトを配置して液晶表示装置とした。
比較例のカラーフィルターを用いた液晶表示装置と比較して、本発明のカラーフィルターを用いた液晶表示装置が良好な表示特性を示すことを確認した。
なお、別の比較例として、金属微粒子分散物の調製において、アルカリ可溶性ポリマーを存在させずに凍結乾燥を行う例が考えられるが、溶媒置換の前後で共に良好な分散性を得ることができないため系を確立できず、カラーフィルターを用いた良好な表示特性をもつ液晶表示装置を得ることができない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマー存在下で、金属イオンを還元して得られた金属微粒子を含有する金属微粒子含有液を凍結乾燥法により乾燥してなることを特徴とする金属微粒子分散物。
【請求項2】
前記金属微粒子のアスペクト比が2.0以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属微粒子分散物。
【請求項3】
前記アルカリ溶解性ポリマーが酸性基を有することを特徴する請求項1または2に記載の金属微粒子分散物。
【請求項4】
前記アルカリ溶解性ポリマーの酸性基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項3に記載の金属微粒子分散物。
【請求項5】
金属固形分質量が、全固形分に対して70質量%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の金属微粒子分散物。
【請求項6】
前記金属微粒子が、周期律表の第2族〜第14族から選ばれる1種または2種以上の金属を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の金属微粒子分散物。
【請求項7】
硫黄原子および/または窒素原子を1個以上有するアルカリ溶解性ポリマー存在下で、金属イオンを還元して得られた金属微粒子含有液を凍結乾燥法により乾燥する工程を含むことを特徴とする金属微粒子分散物の製造方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の金属微粒子分散物を含有することを特徴とする着色組成物。
【請求項9】
黒色であることを特徴とする請求項8に記載の着色組成物。
【請求項10】
支持体上に少なくとも一層の感光性遮光層を設けた感光性転写材料であって、前記感光性遮光層が請求項1から6のいずれか1項に記載の金属微粒子分散物を用いて形成されてなることを特徴とする感光性転写材料。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか1項に記載の金属微粒子分散物を用いて形成される遮光画像を有することを特徴とする遮光画像付き基板。
【請求項12】
請求項10記載の感光性転写材料を用いて作製される遮光画像を有することを特徴とする遮光画像付き基板。
【請求項13】
請求項1から6のいずれか1項に記載の金属微粒子分散物を用いて形成されることを特徴とするカラーフィルター。
【請求項14】
請求項1から6のいずれか1項に記載の金属微粒子分散物を用いて形成されることを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2007−186777(P2007−186777A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7711(P2006−7711)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】