説明

金属微粒子発生装置

【課題】より好適に白金微粒子と亜鉛微粒子とを同時に発生させることができる金属微粒子発生装置を提供する。
【解決手段】放電電極11は、亜鉛を含む被覆部材11bにて白金を含む芯材11aが被覆されて構成される。放電電極11の対向位置には対向電極12が配置され、放電電極11及び対向電極12間に高電圧が印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電によって金属微粒子を発生させる金属微粒子発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、白金を含む芯材から構成された放電電極に高電圧を印加することで白金微粒子を発生させる金属微粒子発生装置が知られている。
例えば、特許文献1には、毛髪の乾燥や髪型をセットするヘアードライヤにその金属微粒子発生装置が備えられており、この装置によって例えば毛髪の乾燥と同時に毛髪に対して白金微粒子を供給することで、紫外線により生じた活性酸素にてダメージを受けた(例えば、キューティクルの剥がれ)その毛髪が白金微粒子の持つ抗酸化作用により、回復されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−23063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の金属微粒子発生装置では、白金微粒子を毛髪等に供給することで毛髪に抗酸化作用を付与してダメージの回復を図るようになっているが、その他金属として亜鉛微粒子を毛髪等に供給するとダメージを効果的に回復できることがわかった。
【0005】
しかしながら、放電電極を白金及び亜鉛で構成してその放電電極に高電圧を印加するだけでは、各金属のスパッタ効率の違いから白金微粒子と亜鉛微粒子とを好適に同時に発生させることは難しく、この問題の改善が望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、より好適に白金微粒子と亜鉛微粒子とを同時に発生させることができる金属微粒子発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、白金を含む芯材を有する放電電極と、該放電電極に高電圧を印加する高電圧印加手段とを備え、前記高電圧印加手段による高電圧の印加によって白金微粒子を発生させる制御手段とを備えた金属微粒子発生装置であって、前記放電電極は、亜鉛を含む被覆部材にて白金を含む前記芯材が被覆されて構成されたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、放電電極は、亜鉛を含む被覆部材にて白金を含む芯材が被覆されて構成される。つまり、高電圧印加中の放電電極において、電界強度の高くなる芯材を比較的スパッタ効率の悪い白金にて構成し、その外側の被覆部材を比較的スパッタ効率の良い亜鉛で構成することで、白金微粒子及び亜鉛微粒子をより好適に同時に発生させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属微粒子発生装置において、前記放電電極と対向する対向電極を設けたことをその要旨とする。
この発明では、放電電極と対向する対向電極が設けられたことで、放電電極と対向電極間に電圧を印加してより確実に放電を行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の金属微粒子発生装置において、前記芯材は白金のみで構成され、前記被覆部材は亜鉛のみで構成されたことをその要旨とする。
【0011】
この発明では、芯材は白金のみで構成され、被覆部材は亜鉛のみで構成されることで、一度に発生する白金微粒子及び亜鉛微粒子の量を増やすことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より好適に白金微粒子と亜鉛微粒子とを同時に発生させることができる金属微粒子発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態における金属微粒子発生装置の斜視図である。
【図2】放電電極及び対向電極の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態における金属微粒子発生装置の斜視図である。金属微粒子発生装置10は、放電電極11と、対向電極12と、各電極11,12を所定位置に固定するハウジング13と、放電電極11及び対向電極12間に高電圧を印加する高電圧印加手段としての高電圧印加部14とを備えている。
【0015】
放電電極11は、図2に示すように、略円柱状の芯材11aと、この芯材11aの径方向外側を被覆する被覆部材11bとで構成されており、その基端がハウジング13(図1参照)に固定されている。芯材11aは白金(Pt)にて構成され、被覆部材11bは亜鉛(Zn)にて構成されている。また、放電電極11は、軸方向に沿ってその断面が一定(円形状)とされた略円柱状に形成されている。このため、放電電極11の先端は先鋭形状や球状でなく円形状の平坦面11cとなるように形成されており、この平坦面11cは放電電極の軸方向と直交若しくは略直交するように形成されている。
【0016】
放電電極11と対向する対向電極12は、略平板状の電極であり、放電電極11の先端(平坦面11c)に対して、この放電電極11の軸方向に所定距離(例えば1.5mm)隔てた箇所に配置されている。また、対向電極12には、放電電極11の軸方向に沿って放出口12aが貫設されている。放出口12aは、その開口周縁と放電電極11との距離が全周に亘って略一定となるように設けられている。
【0017】
ハウジング13は例えばポリカーボネート樹脂からなり、放電電極11や対向電極12を固定するほか、他の電子部品を配置するように構成してもよい。高電圧印加部14はイグナイタ方式の高電圧発生回路から構成されており、放電電極11及び対向電極12間に高電圧を印加することで放電が行われるようになっている。
【0018】
上記のように構成された本実施形態の金属微粒子発生装置10において、白金微粒子及び亜鉛微粒子を発生方法について説明する。
まず、高電圧印加部14は、例えば図示しない制御部にて制御され、放電電極11を負極、対向電極12を正極となるように高電圧を印加し、放電電極11先端の平坦面11cから放電を生じさせる。この放電により、放電電極11の平坦面11cにおいてはプラスイオンによってスパッタリング現象が生じ、微細な白金微粒子及び亜鉛微粒子が対向電極12側に向けて放出される。この時、放電電極11の内で径方向内側(中心側)ほど電界強度が高くなる。つまり、放電電極11における径方向内側の芯材11aをスパッタ効率の悪い白金にて構成することで、電界強度の高い状態にてスパッタリング現象を生じさせることができ、効率よく白金微粒子を発生させることができる。また、スパッタ効率の良い亜鉛を被覆部材11bとして採用することで、前述のように白金微粒子を発生させつつ亜鉛微粒子も同時に好適に発生させることができる。
【0019】
そして、放電電極11の平坦面11cから放出された白金微粒子及び亜鉛微粒子は、対向電極12の放出口12aを通って図1及び図2中矢印A方向へと放出される。
上述の放電時において、白金微粒子によって活性酸素を除去する抗酸化作用が働くため、本実施形態の金属微粒子発生装置10を例えばヘアードライヤに備えて用いることが好適である。つまり、白金微粒子を毛髪等に供給することで紫外線による活性酸素によるダメージ(キューティクルのはがれ)を回復させることができる。また、白金微粒子と同時に亜鉛微粒子を放出しているため、この亜鉛微粒子によっても毛髪のダメージ(キューティクルの剥がれ)を回復させることができる。
【0020】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)放電電極11は、亜鉛を含む被覆部材11bにて白金を含む芯材11aが被覆されて構成される。つまり、高電圧印加中の放電電極11において、電界強度の高くなる芯材11aを比較的スパッタ効率の悪い白金にて構成し、その外側の被覆部材11bを比較的スパッタ効率の良い亜鉛で構成することで、より好適に白金微粒子及び亜鉛微粒子を同時に発生させることができる。
【0021】
(2)放電電極11と対向する対向電極12が設けられたことで、放電電極11と対向電極12間に電圧を印加してより確実に放電を行うことができる。
(3)芯材11aは白金のみで構成され、被覆部材11bは亜鉛のみで構成されることで、一度に発生する白金及び亜鉛の量を増やすことが可能となる。
【0022】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、芯材11aを白金のみで構成し、被覆部材11bを亜鉛のみで構成したが、これに限らず、芯材11aを白金を含む部材で構成し、被覆部材11bを亜鉛を含む部材で構成してもよい。
【0023】
・上記実施形態では、放電電極11と対向する対向電極12を設けたが、その位置は対向位置でなくてもよい。要は、放電電極11が放電を行えればよい。また、対向電極12に相当する部分を帯電除去板や金属微粒子発生装置10のハウジング13で構成してもよい。さらに、対向電極12を当該金属微粒子発生装置10から取り除いた構成、即ち、高電圧印加部14が放電電極11に高電圧を印加する構成であってもよい。
【0024】
・上記実施形態では、金属微粒子発生装置10をヘアードライヤに備えて用いることとしたが、これに限らず、金属微粒子発生装置10をエアコン、空気清浄機、加湿器及び除湿器等の空気調和装置に備えて構成してもよい。このような構成としても白金微粒子及び亜鉛微粒子を同時に発生させることができ、毛髪へのダメージ(キューティクルの剥がれ)を回復させることができる。
【符号の説明】
【0025】
10…金属微粒子発生装置、11…放電電極、11a…芯材、11b…被覆部材、12…対向電極、13…高電圧印加手段としての高電圧印加部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金を含む芯材を有する放電電極と、該放電電極に高電圧を印加する高電圧印加手段とを備え、前記高電圧印加手段による高電圧の印加によって白金微粒子を発生させる金属微粒子発生装置であって、
前記放電電極は、亜鉛を含む被覆部材にて白金を含む前記芯材が被覆されて構成されたことを特徴とする金属微粒子発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金属微粒子発生装置において、
前記放電電極と対向する対向電極を設けたことを特徴とする金属微粒子発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金属微粒子発生装置において、
前記芯材は白金のみで構成され、前記被覆部材は亜鉛のみで構成されたことを特徴とする金属微粒子発生装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−273702(P2010−273702A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126270(P2009−126270)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】