説明

金属板に圧嵌可能なねじれおよび抜け防止ボルト

本発明は、ヘッド(12)を具え、ねじれ防止および抜け防止するよう金属板に圧嵌可能なボルト(10)を開示する。ヘッド(12)の挿入後金属板に対向する側面には、金属板に挿入する際に押込まれる半径方向に延在するウェブ(22)を設ける。ヘッド(12)の中央には円筒状のねじ支持部(14)を配置する。このねじ支持部(14)は金属板を貫通して反対側に突出し、且つヘッド(12)の据え付け時金属板に対向する側面の近傍に周方向に延在する環状の溝(20)を設ける。据え付けの過程で押しのけられた金属板材料が、環状溝(20)に圧嵌できる。ヘッド(12)の金属板に対向する側面の全部又は一部には、ゴム弾性封止材料(110)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独国実用新案第20012097号に係る、金属板に押込み可能なねじれ防止および抜け防止ボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
上記参考文献記載のボルトを据え付ける際、一方では、金属板の材料のフロー(流動)が生じるが、他方では、封止は、スチール−スチール材料の対だけで構成されるため、この従来技術によるボルトと金属板との間における結合箇所は、確実な液密性もしくは気密性でさえもが十分ではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、この種のボルトを改良して、ボルト据え付け後に液密性及び気密性を実現することにある。
【0004】
このように、本発明によって初めて、据え付け後に絶対的な液密性及び気密性となることが要求される場合に、圧嵌ボルトが使用できるようになる。
【0005】
この目的のため、従来は市販のねじしか使用できなかったが、これは個別に溶接しなければならないためコストがかかり、また、溶接が確実に気密であるかの点検に関する多大な費用が必要だった。そのためこの方法は非常に複雑かつコストがかかるものであった。本発明によれば、本発明に係るボルトの圧嵌によって、極めて簡単にこの方法を行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題は、本発明の特許請求の範囲請求項1の前半部分に記載のボルトにおいて、ボルトヘッドの金属板に対向する側面を、全体的もしくは部分的にゴム弾性封止材料を設けることにより解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
望ましい実施の形態を従属請求項に開示するが、封止材料の被覆によるボルトのねじれ防止および抜け防止に関する安全性の低下という問題を回避するため、とくにウェブ自体には封止材料を設けないことが望ましい。
【0008】
同様にして上述の問題は、もっぱらヘッドの金属板に対向する側の外周縁領域にのみ、封止材料を設けることにより回避できる。
【0009】
同様に、上述の問題は、ヘッドの金属板に対向する側において、ウェブの半径方向外側且つヘッドの外周縁内側に環状溝を設け、この環状溝のみに封止材料を設けることによっても回避できる。
【0010】
以下、図面に示す実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に示すように、本発明によるボルト10は、円盤状のヘッド12と、このヘッドに連結して雄ねじ山を有する円筒状のねじ支持部14により構成する。
【0012】
ねじ山とヘッド12との間には、較正用カラー16、環状凸部18、およびほぼ半円形断面を有する環状溝20をこの順序で設ける。この締め付け具の据え付け時に金属板に対向するヘッド12の底面には、半径方向に延在するウェブ22をけ、これらウェブは、ほぼ一定の高さを有して半径方向に延びており、半径方向外側領域21でのみ低くする。
ヘッド12は、部分的に断面を示し、右側には対応するウェブ22の断面を、左側には対応するウェブ22の側面を示す。
【0013】
本発明によれば、このようなボルトは、ヘッドをゴム弾性封止材料で被覆することにより、液密・気密状態で金属板に据え付けることができる。この被覆は、最も簡単な方法としては、浸漬により行なうことができ、このとき、被覆は較正用カラー16にまで及ぶようにすることができる。この場合、封止材料として、エポキシ樹脂、例えば英国アノクロームグループ(ANOCHROME-Group)の製品であるリムレックス(登録商標)をを使用するとよく、この樹脂は液相状態で塗布し、その後固相弾性封止材料をなす。しかし、この場合、ボルトのねじれ及び抜けに関する安全性は、僅かに損なわれる恐れがある。したがって、図1に示す被覆110は、ヘッド12自体にのみ施し、ウェブ22は被覆しないでおく。これは、本発明による上述の簡単な方法と比較すると製造がいくらか困難であるが、据え付けたボルトの機械的負荷値は高くなる。
【0014】
図2は、図1のボルトにおけるヘッド12を下側から見た図である。点線のクロスハッチングにより、下側から視認できるヘッド12において封止材料を設けた領域が、はっきりと分かる。同様に、面取り部21を含むウェブ22にはゴム弾性封止材料でカバーしていないことがわかる。
【実施例2】
【0015】
図3は本発明によるボルトの他の実施例を示す。図1及び図2と同一構成部分には同一の参照符号を付して示し、対応する説明は繰り返さない。
【0016】
本発明による図3に示すボルトでは、ヘッド12の金属板に対向する側の外周縁の領域における周縁窪みを設け、この周縁窪みにゴム弾性封止材料120を充填する。代案として、ポリウレタン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン又はポリオレフィン類による対応の封止リングを周縁窪みにはめ込むことができる。この解決手法は、据え付けるボルトの機械的特性が、封止材料によって一切影響を受けないという利点を有する。
【0017】
図4は、図3のボルトにおいてヘッドを下側から見た図であり、この図からゴム弾性封止材料からなるリング120の位置がよくわかるであろう。
【実施例3】
【0018】
図5は、本発明によるボルトのさらに他の実施例を示す。この例では、ヘッド12はいくぶん大きな直径を有し、ウェブ22の半径方向外側においてヘッド12に環状溝134を設け、この環状溝134は、ヘッド12の金属板に対向する側の外周縁132よりも内側に位置する。この環状溝134には、封止材料130、又は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレンもしくはポリオレフィン類で形成した対応のシールリングを充填する。
【0019】
図6は、図5のボルトのヘッドを下側から見た図である。ここでも、環状溝134の範囲を明らかに見て取ることができる。
【0020】
ゴム弾性封止材料110、120、130としては、ヘッドを被覆するにはエポキシ樹脂を使用するのが好ましいが、図3〜図5の解決方法においては、ポリウレタン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、又はポリオレフィン類から成る混合物を使用するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ウェブを除いてヘッド全体を被覆した本発明に係るボルトの一部断面とする側面図である。
【図2】図1に係るボルトのヘッドを下側から見た図である。
【図3】ヘッドの外周縁の領域に封止材料を設けた本発明に係るボルトの一部断面とする側面図である。
【図4】図3に係るボルトのヘッドを下側から見た図である。
【図5】本発明に係るさらに他のボルトの一部断面とする側面図である。
【図6】図5に係るボルトのヘッドを下側から見た図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ボルト
12 ヘッド
14 ねじ山
16 較正用カラー
18 凸部
20 溝
21 面取り部
22 ウェブ
110、120、130 封止材料
132 外周縁
134 環状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド(12)を有してねじれ防止および抜け防止可能に金属板に圧嵌できるボルト(10)であって、据え付け状態で金属板に対向する前記ヘッドの側面に半径方向に延在するウェブ(22)を設け、前記ウェブは据え付け中に金属板に押し込まれるようにし、前記ヘッドの中心には円筒状のねじ支持部(14)を配置し、このねじ支持部は金属板を貫通して金属板の反対側へ突出し、また前記ねじ支持部における前記金属板に対向する側の前記ヘッド(12)の近傍に周方向に延在する環状溝(20)を設け、この環状溝(20)内に、据え付け過程中に押しのけられた金属板材料が圧嵌できるようにした該ねじれおよび抜け防止ボルトにおいて、前記ヘッド(12)の金属板に対向する側面に、全体的に又は部分的にゴム弾性の封止材料(110、120、130)を設けることを特徴とするねじれおよび抜け防止ボルト。
【請求項2】
請求項1に記載のボルトにおいて、ウェブ(22)はほぼ矩形断面を有し、且つこのウェブの側壁(24)は前記ヘッド(12)の金属板に対向する側面に対し直交するものとしたことを特徴とするボルト。
【請求項3】
請求項1または2に記載のボルトにおいて、ウェブ(22)は、半径方向外側領域(21)で徐々に低くなるようテーパを付けたことを特徴とするボルト。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のボルトにおいて、ウェブ(22)は、半径方向外側領域(21)で側方に丸みのあるテーパを付けたことを特徴とするボルト。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のボルトにおいて、該ボルトは、カラーなど特別の追加的形状を設けることなく、孔を有する金属板に圧嵌可能としたことを特徴とするボルト。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のボルトにおいて、ウェブ(22)の外側領域のみにゴム弾性封止材料(110)を設け、ウェブ(22)自体には封止材料(110)を設けないようにしたことを特徴とするボルト。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のボルトにおいて、封止材料(120)を、ヘッド(12)の金属板に対向する側の外周縁領域にのみ設けたことを特徴とするボルト。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のボルトにおいて、封止材料(130)を、ヘッド(12)のうち、ウェブ(22)の半径方向外側に位置するが、ヘッド(12)の金属板に対向する側の外周縁(132)の内側に形成した環状溝(134)にのみ設けたことを特徴とするボルト。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のボルトにおいて、封止材料(110、120、130)を、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン類、ポリテトラフルオロエチレン、又はエポキシ樹脂により形成したことを特徴とするボルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−518030(P2007−518030A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548104(P2006−548104)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000032
【国際公開番号】WO2005/068855
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504387724)テクストロン フェアビンドゥングステヒニク ゲーエムベーハー ウント コンパニー オーハーゲー (4)
【Fターム(参考)】