説明

金属濃度検出装置及び方法

【課題】空気中の金属濃度を検出する装置及び方法を提供する。
【解決手段】ガス溶解容器からの金属が溶解された溶液と、試薬保存容器に保存されていた試薬とが、混合ユニットで混合される。測定ユニットは、この混合された混合液に光を照射し、混合液の吸光度を測定して、金属の濃度を検出する。ガス流入管は空気をガス溶解容器内に供給し、溶液供給管はガス溶解容器内の溶液を、試薬供給管は試薬保存容器内の試薬を、それぞれ混合ユニットに供給する。測定ユニットは、混合ユニットで混合された混合液が流れる混合液供給管に設けられる。金属が銅、溶媒が脱イオン水、試薬が4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシン[C54N−N=C63(OH)2]である場合、検出ユニットは、520ナノメートルの波長で混合液の吸光度に基づき銅の濃度を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染物質の濃度を検出する装置及び方法に関し、特に、空気中の銅等の金属の濃度を検出する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体素子のパターンの微細化につれ、半導体加工工程が行われる設備が備わったクリーンルーム内は、汚染度を非常に低い水準に維持しなければならない。特に、クリーンルーム内の空気中における銅等の金属汚染物質は、半導体素子の品質低下に大きい影響を及ぼす。クリーンルーム内の金属汚染物質は、主に、半導体ウェハ上に金属膜を蒸着する過程で発生する。
一般に、クリーンルーム内で非金属汚染物質の濃度を測定する方法は多数知られているが、銅のような金属汚染物質を検出する方法は知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、空気中に含まれる金属汚染物質の濃度を検出する装置及び検出方法を提供することにある。
本発明の目的はこれに限定されず、言及されない他の目的は、下記の記載から当業者に明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成すべく、本発明は、空間内の金属濃度を検出する方法を提供する。本発明によれば、金属の濃度は、金属濃度を検出しようとする空間から空気を抽出して溶媒に供給することで金属を溶媒に溶解し、この金属が溶解された溶液及び金属と化学的に結合する試薬(reagent)とを混合した混合液に光を照射した後、混合液の吸光度を利用して、検出される。
この方法は、既定の波長で、溶媒と試薬とが混合された混合液の吸光度と、金属が溶解された溶液と試薬とが混合された混合液の吸光度とを比較して行われる。
【0005】
上述の試薬は、金属と配位結合してキレート化合物を生成するキレート剤(chelating agent)であり得る。一例によれば、金属は銅であり、溶媒は脱イオン水または酸性液であり、キレート剤は、アクアイオン(aquaion)、4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシン[C54N−N=C63(OH)2](4−[2−Pyridylazo]resorcinol)、バソキュプロイン[(CH32(C6521242](Bathocuproine)、ビスシクロヘキサノンオキサルジヒドラゾン[C6102252610](Biscyclohexanon oxaldihydrazone)、ジエタノールアミン[(HOCH2CH22NH](Diethanolamine)またはリードジエチルジチオカルバメート[Pb(SCSN(C25OH)2−C25OH)](Lead diethyldithiocarbamate)のうち何れか一つを含む。
【0006】
金属は銅であり、溶媒は脱イオン水であり、試薬は4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシン[C54N−N=C63(OH)2](4−[2−Pyridylazo]resorcinol)である場合、既定の波長は、約520ナノメートル(nm)であり得る。
金属が溶解された溶液と試薬を混合する前に、溶液の一部をサンプル容器に保存し、金属濃度が設定値以上であれば、サンプル容器に保存された溶液内の金属濃度を再検出することができる。
【0007】
また、本発明は、空気中の金属濃度を検出する方法を提供する。溶媒に空気中の金属を溶解した溶液及びこの溶液に溶解された金属イオンと化学的に結合する試薬を混合し、溶媒と試薬との混合液の吸光度と、溶液と試薬の混合液との吸光度との差を用いて、金属濃度を検出する。上述した試薬は、キレート剤であり得る。
【0008】
また、本発明は、空間内で金属の濃度を検出する装置を提供する。この装置は、空間から抽出された空気中の金属を溶媒に溶解するガス溶解容器、及び、金属と化学的に結合する試薬が保存される試薬保存容器を含む。また、ガス溶解容器から金属が溶解された溶液を供給され、試薬保存容器から試薬を供給され、それらの溶液と試薬とを混合する混合ユニットを含む。本発明の装置はさらに、この混合ユニットで混合された混合液に光を照射し、混合液の吸光度を測定して、金属の濃度を検出する測定ユニットを含む。
【0009】
上述した装置には、空気をガス溶解容器内に供給するガス流入管と、ガス溶解容器内から金属が溶解された溶液を混合ユニットに供給する溶液供給管と、試薬保存容器内の試薬を混合ユニットに供給する試薬供給管とを含み得る。この装置はさらに、測定ユニットが設けられ、混合ユニットで混合された混合液が流れる混合液供給管を含み得る。
【0010】
装置はさらに、溶液供給管から分岐するサンプリング管から溶液の一部を供給され、保存するサンプリング容器を含み得る。
試薬保存容器は、金属と配位結合してキレート化合物を生成するキレート剤(chelating agent)を保存する容器を含み、ガス溶解容器は、脱イオン水または酸性液を内部に満たす容器を含み得る。
【0011】
一例によれば、金属は銅であり、溶媒は脱イオン水であり、試薬は4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシン[C54N−N=C63(OH)2](4−[2−Pyridylazo]resorcinol)である。この場合、検出ユニットは、520ナノメートル(nm)の波長で混合液の吸光度に基づき銅の濃度を検出することができる。
【0012】
(発明の効果)
本発明によれば、クリーンルームのように汚染管理が厳しい空間で、空気中の金属の濃度を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、添付の図1〜図5を参照して、より詳細に説明する。本発明の実施形態は、様々な形態に変形でき、本発明の範囲が下記の実施形態に限定されると解釈されてはならない。本実施形態は、当業界における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面における要素の形状は、より明確な説明を強調するために誇張されている。
本実施形態では、金属汚染物質として銅を例に挙げて説明する。しかし、本発明の技術的思想はこれに限定されず、銅の他の種類の金属の濃度を検出する場合にも適用可能である。
【0014】
図1は、本発明の好ましい一実施形態による金属濃度検出装置の構成の概要を示す図である。
図1を参照すれば、金属濃度検出装置は、ガス溶解容器100、試薬保存容器200、混合ユニット300、及び測定ユニット400を含む。ガス溶解容器100は、空気中の金属の濃度を検出しようとする空間(以下、検出空間12)から抽出された一定量の空気を溶媒に溶解して溶液を生成する。ガス溶解容器100は、空間を密閉する筒形状からなる。
【0015】
ガス溶解容器100内には、空気中の金属が溶媒にうまく溶解されるように図示しないミキサーが設けられる。ガス溶解容器100にはガス流入管120が連結される。ガス流入管120は、ガス溶解容器100の下壁を通して挿入される。ガス流入管120は、検出空間12と連通して検出空間12内の空気をガス溶解容器100に供給する通路を有する。
【0016】
本実施形態において、検出空間12は半導体加工工程を行うクリーンルーム10である。クリーンルーム10内には、互いに異なる種類の工程を行う図示しない半導体加工設備が配置される。ガス流入管120の端部は、検出しようとする金属を使用する半導体加工設備が配置された領域に設けられる。例えば、検出しようとする金属が銅である場合、ガス流入管120は、半導体基板上に銅膜を蒸着する工程を行う設備が配置された領域に設けられる。
【0017】
ガス流入管120には、ポンプ124及びフィルタ126が設けられる。ポンプ124は、検出空間12内の一定量の空気がガス溶解容器100に強制的に流されるよう、流動圧を提供する。フィルタ126は、ガス溶解容器100に流入する空気から、望ましくない異物を除去する。例えば、フィルタ126として、空気内の一定の大きさ以上の異物を除去する種類のフィルタを使用する。
【0018】
ガス溶解容器100内は、空気中から検出しようとする金属を溶解させるための溶媒によって、一定水位まで満たされる。空気中に含まれる金属は溶媒に溶解され、金属の除去された空気は、ガス溶解容器100内で溶媒より上部の空間に残留する。ガス溶解容器100の上壁には、脱気管162が結合される。ガス溶解容器100内の上部に残留する空気は、脱気管162を通してガス溶解容器100から排気される。
【0019】
ガス溶解容器100には、開閉バルブ181が設けられた溶液供給管180が連結される。溶液供給管180は、ガス溶解容器100で溶媒に金属が溶解されて得られた溶液を、混合ユニット300に供給する。溶液供給管180には、ポンプ184とフィルタ186が設けられる。ポンプ184は、ガス溶解容器100から一定量の溶液が混合ユニット300に流れるよう、流動圧を提供する。ポンプ184としては、ピストンポンプ(piston pump)を使用する。フィルタ186は、溶液から望ましくない異物を除去する。例えば、フィルタ186は、溶液内の一定の大きさ以上の異物を除去するフィルタである。
【0020】
また、溶液供給管180には、溶液内に残留する気泡(bubble)を除去する気泡除去器182が設けられる。気泡除去器182によって溶液から除去された気泡は、脱気管164を通して排出される。上述の気泡除去器182、ポンプ184、及びフィルタ186は、この順番で、ガス溶解容器100から近い順に配置される。
【0021】
溶液供給管180にはサンプリング管(sampling pipe)520が連結される。サンプリング管520は、溶液供給管180を流れる溶液の一部がサンプリング容器500に流れるように分岐する。サンプリング管520は、ガス溶解容器100と気泡除去器182との間の位置で、溶液供給管180から分岐する。サンプリング容器500には、後の必要に応じて溶液内の金属濃度を再検査するために、溶液の一部を保存する。
【0022】
溶液がガス溶解容器100から排出されるにつれて、ガス溶解容器100内の溶媒の水位は次第に低くなる。ガス溶解容器100の上壁には、溶媒補充管140が結合される。溶媒補充管140には、その内部通路を開閉する開閉バルブ142が設けられる。ガス溶解容器100内の溶媒の水位が設定値より低くなると、溶媒は、溶媒補充管140を通じて溶媒保存容器144からガス溶解容器100に供給される。ガス溶解容器100内に水位を検出する図示しないセンサを装着し、センサから信号を受信した図示しない制御機が開閉バルブ142の動作を制御することにより、溶媒が補充される。
【0023】
試薬保存容器200には、検出しようとする金属をキレート化する試薬を保存する。試薬保存容器200には、開閉バルブ222が設けられた試薬供給管220が連結される。試薬供給管220は、試薬保存容器200内の試薬を混合ユニット300に供給する。試薬供給管220にはポンプ224及びフィルタ228が設けられる。
【0024】
ポンプ224は、試薬保存容器200から一定量の試薬が混合ユニット300に流れるよう、流動圧を提供する。ポンプ224としては、ピストンポンプ(piston pump)を使用する。フィルタ228は、試薬から望ましくない異物を除去する。例えば、フィルタ228は、試薬内の一定の大きさ以上の異物を除去するフィルタである。
【0025】
また、混合ユニット300に安定的に試薬を供給できるように、試薬供給管220には、試薬が一時的に保存されるバッファ容器226が設けられる。上述のポンプ224、バッファ容器226、フィルタ228は、この順番で、試薬保存容器200から近い順に配置される。
【0026】
混合ユニット300は、ガス溶解容器100で生成された溶液を供給され、試薬保存容器200から試薬を供給され、溶液と試薬とを混合して混合液を生成する。一例によれば、混合ユニット300は、一次混合器320及び二次混合器340を有する。一次混合器320と二次混合器340とは、連結管360により結合される。
【0027】
一次混合器320は、T字型の形状であり、二つの流入ポート322、324および一つの流出ポート326を有する。一方の流入ポート322は溶液供給管180と連結され、他方の流入ポート324は試薬供給管220と連結され、流出ポート326は連結管360と連結される。
【0028】
流入ポート322、324は、一直線上に互いに対向するように配置され、流出ポート326は流入ポート322、324の中間地点で流入ポート322と324とを結ぶ直線と垂直な方向に配置される。上述の構造により、溶液と試薬とは互いに対向する方向から一次混合器320に流入して衝突した後、流出ポート326を通して排出される。二次混合器340は筒形状を有し、連結管360を通して二次混合器340に流入した混合液は、二次混合器340内でまた混合される。
【0029】
二次混合器340には混合液供給管380が連結される。二次混合器340での混合が完了した混合液は、混合液供給管380を通して流れる。
混合液供給管380には測定ユニット400が設けられる。測定ユニット400は、混合液に光を照射し、既定の波長で混合液の吸光度を測定する。測定ユニット400としては、フローセル(Flow Cell)方式の分光分析法を利用する分光器(Spectrometer)を使用する。
【0030】
図2は、測定ユニット400の構成の概略を示す図である。図2を参照すれば、測定ユニット400は、セル(cell)420、光源(light source)440、検知器(detector)460、A/D変換器(analogue-to-digital converter)480、及び信号処理器490を有する。セル420は、混合液供給管380に挿入され、内部に混合液が流れる通路を有する。通路を基準としてセル420の片側には、光を照射する光源440が配置される。
【0031】
光源440とセル420の間には、レンズ442が配置される。検知器460は、セル420を通過した光を受光する。検知器460により受光された光は、A/D変換器480を介してデジタルまたはアナログ信号に変換される。変換された信号は、信号処理器490に伝送される。信号処理器490は、セル420内の混合液による吸光度を把握して、混合液内の金属濃度を検出する。
【0032】
混合液供給管380には、その内部を流れる液体流量を測定する流量測定部材382が設けられる。一例によれば、流量測定部材382として流量計を使用する。流量測定部材382は、測定ユニット400の前方または後方に設置する。
混合液供給管380には、廃液容器(reservior)390が連結される。検出が完了した混合液は、廃液容器390に保存された後、排出管392を通して外部に排出される。また、ガス溶解容器100に連結された脱気管162及び気泡除去器182に連結された脱気管164は、廃液容器390に連結され、ガス溶解容器100及び気泡除去器182から除去された空気及び気泡は、廃液容器390に移動した後、排出管392を通して外部に排出される。
【0033】
以下、上述の装置に使用する溶媒及び試薬の一例を説明する。下記では、検出対象の金属が銅である場合を例に挙げて説明する。先ず、銅を溶解可能な溶媒が選択される。例えば、溶媒としては、酸性液または脱イオン水を使用する。しかし、酸性液を溶媒として使用する場合、溶液供給管180や混合液供給管380が腐食するなどの問題が発生し得るので、溶媒として脱イオン水を使用することが好ましい。
【0034】
また、試薬としては、金属と配位結合してキレート化合物を生成するキレート剤(chelating agent)を使用する。キレート剤としては、アクアイオン(aquaion)、4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシン[C54N−N=C63(OH)2](4−[2−Pyridylazo]resorcinol)、バソキュプロイン[(CH32(C6521242](Bathocuproine)、ビスシクロヘキサノンオキサルジヒドラゾン[C6102252610](Biscyclohexanon oxaldihydrazone)、ジエタノールアミン[(HOCH2CH22NH](Diethanolamine)またはリードジエチルジチオカルバメート[Pb(SCSN(C25OH)2−C25OH)](Lead diethyldithiocarbamate)のうち何れか一つを使用する。
【0035】
銅イオンが溶解された脱イオン水とキレート剤が混合される時、脱イオン水に溶解された銅イオンはキレート剤と配位結合して、キレート化合物が形成される。銅が溶解されていない脱イオン水とキレート剤の混合物(以下、基準混合物とする)に光を照射する時の基準混合物の吸光度は、銅と配位結合したキレート化合物と脱イオン水の混合物(以下、検出混合物とする)に光を照射する時の検出混合物の吸光度と相違する。したがって、基準混合物の吸光度と検出混合物の吸光度とを比べて、検出混合物の銅の濃度を検出することができる。検出は、特定の波長で基準混合物の吸光度と検出混合物の吸光度とを比べて行い、吸光度の差の大きい波長を選択することが好ましい。また、、波長による検出混合物の吸光度を示すグラフの類型から、銅の濃度を判断することもできる。キレート剤としては、特定の波長で基準混合物の吸光度と検出混合物の吸光度との差が大きくなる種類のものを使用する。
【0036】
図3は、キレート剤として4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシンを使用した時、基準混合物の吸光度と多量の銅が含有された検出混合物の吸光度とを示すグラフである。図3において、点線は基準混合物の吸光度を示し、実線は検出混合物の吸光度を示す。図3を参照すれば、約520ナノメートルの波長で、基準混合物の吸光度は非常に低い反面、検出混合物の吸光度は最大である。したがって、銅の濃度検出は、約520ナノメートルの波長での吸光度を基準に行うことが好ましいが、これ以外の波長で銅濃度の検出を行うこともできる。
【0037】
図4は、キレート剤として、4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシンを使用する時、約520ナノメートルの波長で銅の濃度による検出混合物の吸光度を示すグラフである。図4に示すように、銅濃度が増加するによって、吸光度は大体線形に増加することが分かる。例えば、銅濃度をXとし、吸光度をYとするとき、約520ナノメートルの波長で銅濃度と吸光度は、大体Y=1.12X+2.33の関係を有する。上述のグラフを利用して、約520ナノメートルの波長で吸光度を測定すれば、銅の濃度を容易に検出することができる。
【0038】
以下では、図1の装置を使用して銅の濃度を検出する方法を説明する。図5は、銅の濃度を検出する方法を順次に示すフローチャートである。図5を参照すれば、先ず、クリーンルーム10内の空間から空気の一部を強制吸入する。例えば、空気はウェハ上に銅膜を蒸着する設備が提供された領域から吸入される(S10)。
吸入された空気は、脱イオン水が保存されたガス溶解容器100に流入する。流入の途中、空気中の大きい粒子のような望ましくない異物は、フィルタにより除去される。空気中の銅粒子は、ガス溶解容器100内の脱イオン水に溶解され、空気は脱気管162を通してガス溶解容器100から排出される(S20)。
【0039】
銅が溶解された脱イオン水の一部は、サンプリング容器500に保存される(S30)。
次に、銅が溶解された脱イオン水とキレート剤が混合される。銅が溶解された脱イオン水とキレート剤は、一次混合器320及び二次混合器340を通して流れながら混合される。混合により、キレート剤は脱イオン水に溶解された銅イオンと配位結合し、キレート化合物を形成する(S40)。
【0040】
キレート化合物が含まれた脱イオン水は、セル(cell)内の通路を通過するように流れる。セル内通路を透過するように光が照射され、特定の波長(例えば、約520ナノメートル)で吸光度が測定される(S50)。
測定された吸光度から、図4のグラフを利用して、銅の濃度を検出する(S60)。
【0041】
検出の途中、混合液供給管380内の流量が継続的に測定される。混合液供給管380内の流量が基準値から外れると、混合液供給管380が詰まるなどの問題が発生したと判断され、警告音またはランプなどによって作業者に知らされる。
測定ユニット400により検出された銅の濃度が設定値から外れた場合、作業者はサンプリング容器500に保存された溶液を使用して、銅の濃度を再検出する。銅濃度の再検出は、作業者によりさらに精密に行われる(S70)。
【0042】
以上説明した本実施形態では、ガス溶解容器内の溶媒の補充はセンサと制御機により開閉バルブの動作を自動で制御して行われるが、本発明では、作業者が補充時期を判断して手動で開閉バルブを調節することで溶媒を補充してもよい。
また、本実施形態では、混合ユニットが一次混合器と二次混合器とを含む構成を例に説明したが、本発明では、混合ユニットが一次混合器または二次混合器のいずれか一つのみを有する構成、あるいは、混合ユニットが一次混合器や二次混合器とは相異する構造の混合器を含む構成とすることができる。
【0043】
さらに、上述した一実施形態では流量測定部材として流量計を採用したが、本発明ではこれに代えて、流量を間接的に測定する圧力センサを用いることができる。
また、本発明では、上述した一実施形態に試薬として挙げたキレート剤に代えて、金属が溶解された溶媒と混合する時に金属と化学的に結合可能な、他の種類の物質を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の金属濃度検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の測定ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】照射光の波長に対し、銅を含有しない脱イオン水とキレート剤との混合物の吸光度、および銅を含有する脱イオン水とキレート剤との混合物の吸光度を示すグラフである。
【図4】銅の濃度に対し、銅を含有する脱イオン水とキレート剤との混合物の吸光度を示すグラフである。
【図5】本発明の金属濃度検出方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
100:ガス溶解容器、120:ガス流入管、180:溶液供給管、200:試薬保存容器、220:試薬供給管、300:混合ユニット、320:一次混合器、340:二次混合器、380:混合液供給管、382:流量測定部材、400:測定ユニット、500:サンプリング容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内の金属濃度を検出する方法であって、
前記空間から空気を抽出して溶媒に供給することで前記金属を前記溶媒に溶解し、前記金属が溶解された溶液及び前記金属と化学的に結合する試薬とを混合した混合液に光を照射した後、前記混合液の吸光度を利用して、前記金属の濃度を検出することを特徴とする金属濃度検出方法。
【請求項2】
既定の波長で、前記溶媒と前記試薬とが混合された混合液の吸光度と、前記金属が溶解された溶液と前記試薬とが混合された混合液の吸光度とを比較することを特徴とする請求項1に記載の金属濃度検出方法。
【請求項3】
前記試薬は、前記金属と配位結合してキレート化合物を生成するキレート剤であることを特徴とする請求項2に記載の金属濃度検出方法。
【請求項4】
前記金属は銅であり、
前記溶媒は脱イオン水または酸性液であり、
前記キレート剤は、アクアイオン(aquaion)、
4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシン[C54N−N=C63(OH)2](4−[2−Pyridylazo]resorcinol)、
バソキュプロイン[(CH32(C6521242](Bathocuproine)、
ビスシクロヘキサノンオキサルジヒドラゾン[C6102252610](Biscyclohexanon oxaldihydrazone)、
ジエタノールアミン[(HOCH2CH22NH](Diethanolamine)
またはリードジエチルジチオカルバメート[Pb(SCSN(C25OH)2−C25OH)](Lead diethyldithiocarbamate)のうち何れか一つを含むことを特徴とする請求項3に記載の金属濃度検出方法。
【請求項5】
前記金属は銅であり、前記溶媒は脱イオン水であり、前記試薬は4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシン[C54N−N=C63(OH)2](4−[2−Pyridylazo]resorcinol)を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属濃度検出方法。
【請求項6】
既定の波長で、脱イオン水と前記試薬との混合液の吸光度と、前記金属が溶解された脱イオン水と前記試薬との混合液の吸光度とを比較することを特徴とする請求項5に記載の金属濃度検出方法。
【請求項7】
前記既定の波長は、約520ナノメートル(nm)であることを特徴とする請求項6に記載の金属濃度検出方法。
【請求項8】
前記溶液と前記試薬を混合する前に、前記溶液の一部をサンプル容器に保存し、前記金属濃度が設定値以上であれば、前記サンプル容器に保存された溶液内の金属濃度を再検出することを特徴とする請求項1に記載の金属濃度検出方法。
【請求項9】
空気中の金属濃度を検出する方法であって、
溶媒に空気中の金属を溶解した溶液及び前記溶液に溶解された金属イオンと化学的に結合する試薬を混合し、前記溶媒と前記試薬との混合液の吸光度と、前記溶液と前記試薬との混合液の吸光度との差を用いて金属濃度を検出することを特徴とする金属濃度検出方法。
【請求項10】
前記試薬は、キレート剤であることを特徴とする請求項9に記載の金属濃度検出方法。
【請求項11】
空間内の金属濃度を検出する装置であって、
前記空間から抽出された空気中の金属を溶媒に溶解するガス溶解容器と、
前記金属と化学的に結合する試薬が保存される試薬保存容器と、
前記ガス溶解容器から前記金属が溶解された溶液を供給され、前記試薬保存容器から前記試薬を供給され、前記溶液と前記試薬とを混合する混合ユニットと、
前記混合ユニットで混合された混合液に光を照射し、前記混合液の吸光度を測定して、前記金属の濃度を検出する測定ユニットと、
を含むことを特徴とする金属濃度検出装置。
【請求項12】
前記ガス溶解容器で前記金属が溶解された溶液の一部を保存するサンプリング容器をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の金属濃度検出装置。
【請求項13】
前記空間から空気を強制吸入する吸入部材が設けられ、前記空気を前記ガス溶解容器内に供給するガス流入管と、
前記ガス溶解容器内から前記金属が溶解された溶液を前記混合ユニットに供給する溶液供給管と、
前記試薬保存容器内の試薬を前記混合ユニットに供給する試薬供給管と、
前記測定ユニットが設けられ、前記混合ユニットで混合された混合液が流れる混合液供給管と、
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の金属濃度検出装置。
【請求項14】
前記溶液供給管から分岐するサンプリング管から前記溶液の一部を供給され、保存するサンプリング容器をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の金属濃度検出装置。
【請求項15】
前記混合液供給管に設けられ、内部を流れる流体の量を測定する流量測定部材をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の金属濃度検出装置。
【請求項16】
前記ガス溶解容器からその内部気体を排出する脱気管をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の金属濃度検出装置。
【請求項17】
前記試薬供給管と前記溶液供給管の少なくとも何れか一方には、異物を除去するフィルタが設けられることを特徴とする請求項13に記載の金属濃度検出装置。
【請求項18】
前記試薬保存容器は、前記金属と配位結合してキレート化合物を生成するキレート剤(chelating agent)を保存する容器を含み、前記ガス溶解容器は、脱イオン水または酸性液が内部に満たされる容器を含むことを特徴とする請求項11に記載の金属濃度検出装置。
【請求項19】
前記金属は銅であり、前記溶媒は脱イオン水であり、前記試薬は4−[2−ピリジルアゾ]レゾルシン[C54N−N=C63(OH)2](4−[2−Pyridylazo]resorcinol)であることを特徴とする請求項11に記載の金属濃度検出装置。
【請求項20】
前記検出ユニットは、520ナノメートル(nm)の波長で前記混合液の吸光度に基づき前記銅の濃度を検出することを特徴とする請求項19に記載の金属濃度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−197103(P2008−197103A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30853(P2008−30853)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】