金属用保護被覆物
改良された性質を有する金属製品及び金属製品の調製方法が提供される。実施態様において、本開示は金属表面、酸化物層及びガラス層を含む金属製品を提供する。ガラス層は安定なケイ酸塩又はホウケイ酸塩水溶液を金属表面に被覆し、その水溶液を硬化してガラス層を生成することにより提供される。金属製品は現在の陽極酸化された金属表面より性能が優れている表面特性を有する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
陽極酸化は変換被覆物として知られている被覆物の一般クラスの例であり、金属表面が化学方法又は電気化学方法により被覆物に変換される。変換被覆物のその他の例として、クロメート変換被覆物、ホスフェート変換被覆物、ブルーイング、及び鋼上の酸化物被覆物が挙げられる。それらは腐食保護、増大された表面硬度のため、装飾色を加えるため、また塗料プライマーとして使用される。変換被覆物は0.0001インチ(約2.5μm)のオーダで、非常に薄いことがある。0.002インチ(約50μm)までの、より厚い被覆物は通常陽極酸化又はクロメート変換により、アルミニウム合金上に構築される。本開示は陽極酸化された変換被覆物と連係して使用されるように設計される。
陽極酸化は金属部分の表面上の天然酸化物層の厚さ及び密度を増大するのに使用される電気分解不動態化方法である。天然酸化物は典型的には粗く、不規則、かつ不連続であり、一方、陽極酸化された酸化物層はより均一である。その方法は処理すべき部分がこの電気分解方法で電気回路の陽極部分を形成するという事実からその名称を由来している。陽極酸化方法は炭素鋼に殆ど使用されていない。何とならば、その方法により形成された鉄酸化物(錆)がふくれ、はがれ落ち、新しい金属を腐食に絶えず暴露するからである。しかし多くのその他の金属上で、その酸化物がしっかりと付着する層として生成し、その結果、陽極酸化が耐食性及び耐摩耗性を増大し、裸の金属よりも二次層、例えば、塗料、プライマー、及び接着剤の接着により良好な支持体を与える。
【0002】
陽極フィルムがアルミニウム合金を保護するのに最も一般に形成されるが、これらのプロセスがまたチタン、亜鉛、マグネシウム、ニオブ及びその他の金属並びに合金について存在する。全てのこれらの金属上で、陽極フィルムは一般に殆どの塗料及びメッキよりも極めて強くかつ接着性であり、これによりそれらが亀裂したり剥離したりし辛くする。陽極酸化は表面の顕微鏡的組織を変化し、表面付近の金属の結晶構造を変化し得る。陽極被覆物はしばしば多孔性であり、厚いものは不可避的にそうである。例えば、型I及びIIIと普通称される、クロム酸陽極酸化方法及び硫酸陽極酸化方法は、陽極酸化された被覆物中に孔を生じる。厚い多孔性陽極被覆物は化粧効果を生じるのに有益であり得る。何とならば、それらが染料を吸収し得るからである。一方で、被覆物の多孔性の性質は耐食性を制限し、従って、孔を充填するシーリングが耐食性を改良し、かつ汚れの傾向を軽減するのにしばしば使用される。しかしながら、そのシーリング方法は一般に高価であり、しかも時間を浪費する。沸騰している脱イオン水中の長い浸漬が最も簡単なシーリング方法であるが、それは完全には有効ではなく、しかも耐摩耗性を約20%低下する。テフロン(登録商標)、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、熱い二クロム酸ナトリウム又はカリウム溶液がまたシーラントとして普通に使用される。最良のシーラントは非常に毒性であり、しかも環境上有害であるクロム酸塩をベースとする薬品である。更に、多くの適用について、陽極酸化及びシーリングは腐食に対して有効な保護を与えない。非常に薄い陽極酸化層が金属支持体の明るい研磨された外観を保持する目的のために使用される場合に、これが特に当てはまる。このような研磨された外観は装飾仕上げとして望ましく、また光反射器の如き多くの適用に必要とされる。
再検討すると、陽極酸化は金属、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、マグネシウム、及びニオブ上に薄い、硬質の、保護被覆物を生成するための、広く使用され、かつ有効な方法である。得られる被覆物は全て或る程度多孔性であり、これが塗料の如き二次被覆物の接着を改良し、かつこれが表面を着色するのに使用される染料を保持するのに有益である。しかしながら、陽極酸化被覆物の多孔性の性質がそれらの腐食保護を制限し、従って、それらは孔を閉じるためにしばしばシールされる。現在利用できるシーリング処理は腐食を防止する際の有効性、コスト、汚れ耐性、耐熱性、耐UV、及び環境上の影響に関して全く満足なものではない。従って、シーリング又は陽極酸化被覆物の耐食性及びその他の特性を改良するその他の別の手段についての要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は金属用保護被覆物、更に特別には、自然に、又は陽極酸化の如き酸化プロセスにより生成し得るような一般に薄い酸化物層を有する金属及びそれらの合金に関する。実施態様において、本開示は金属又は金属合金、その金属又は金属合金の表面上の酸化物層、及びその酸化物層上のケイ酸塩ガラス層(そのケイ酸塩ガラス層は約2000nm未満の厚さを有する)を含む金属製品を提供する。
実施態様において、本開示は金属製品の調製方法を提供する。その方法は酸化物層を有する金属又は金属合金を選び、安定なケイ酸塩水溶液の被覆物を金属又は金属合金に適用し、ケイ酸アルカリ塩被覆物を乾燥させ、金属又は金属合金上の被覆物を少なくとも約200℃の温度で硬化することを含む。
実施態様において、本開示はアルミニウム又はアルミニウム合金表面、酸化物層、及びホウケイ酸塩ガラス(そのホウケイ酸塩ガラスは約1000nm未満の厚さである)の被覆物を含む被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金を提供する。
実施態様において、本開示はホウケイ酸塩ガラス層を陽極酸化アルミニウムコイル上に調製する連続方法を提供する。その方法は陽極酸化酸化アルミニウム層を含むアルミニウムコイルを調製し、アルミニウムコイルをロールコートラインに供給し、アルミニウムコイルの表面をアルカリ溶液又は水で洗浄し、ケイ酸アルカリ金属塩溶液をアルミニウムコイルの表面に適用し、金属温度が少なくとも約15秒にわたって200-300℃に達するようにアルミニウムコイルの表面を熱で処理することを含む。
実施態様において、本開示はLi、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属対イオンを有するケイ酸金属塩並びにLi、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属対イオンを有するホウ酸金属塩を含む安定な水溶液(その溶液は約1.05から約1.30までの範囲の比重を有し、かつそのホウ酸金属塩は溶液の約5質量%までの範囲の量で存在する)を提供する。
実施態様において、本開示はホウ酸塩を約35℃から約45℃までの範囲の温度で水に溶解し、ケイ酸アルカリ金属塩を水に溶解し、そのホウ酸塩溶液をそのアルカリ金属溶液に添加し、1.2μm以下のフィルターにより濾過することを含む安定な水溶液の調製方法を提供する。
追加の特徴及び利点が本明細書に記載され、下記の詳細な説明及び図面から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本開示の金属製品の一連のSEM顕微鏡写真である。
【図2】本開示の金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図3】本開示の金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図4】図3に示された金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図5】本開示の金属製品の一連のSEM顕微鏡写真である。
【図6】図5に示された金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図7】本開示の金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図8】図7に示された金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図9】フォード・フィリフォーム耐食試験にかけられた二つの金属プレートの写真である。
【図10】本開示の被覆溶液についての溶解パラメーターを示す一対のグラフである。
【図11】本開示の被覆溶液についての溶解パラメーターを示す一対のグラフである。
【図12】本開示の被覆溶液についての溶解パラメーターを示す一対のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は優れた耐久性及び調製の容易さを示す金属製品に関する。一般の実施態様において、金属製品は金属又は金属合金、その金属又は金属合金の表面上の酸化物層、及びケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩ガラスであるその酸化物層の上のガラス層を含む。
金属製品中の金属又は金属合金はしっかりと接着している酸化物層を示すあらゆる金属であってもよい。しっかりと接着している酸化物層は下にある金属から容易にはがれ落ち又は剥離しない酸化物層である。しっかりと接着している酸化物層を示す金属の例として、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、ニオブ、クロム、マンガン、ニッケル、又は鉛及びこれらの金属の合金が挙げられるが、これらに限定されない。比較のために、鉄及び炭素鋼はしっかりと接着している酸化物層を示さない。錆と普通称される、これらの金属上の酸化物層は、はがれ落ちてそれにより新しい金属を酸化に暴露する。比較するに、ステンレス鋼は鉄又は炭素鋼と同じ制限を示さず、しかもしっかりと接着している酸化物層を有することに注目されたい。金属又は金属合金がアルミニウム、チタン、ニッケル、マンガン又はクロム及びこれらの金属を含む合金であることが好ましい。金属がアルミニウム又はアルミニウムの合金であることが最も好ましい。
金属製品は金属又は金属合金の表面上に酸化物層を有し得る。酸化物層のない裸の金属層は不十分に機能するであろう。しかしながら、酸化物層の厚さに制限はない。優れた耐食性が本開示において非常に薄い酸化物層で得られる。この酸化物層は腐食に対する一次バリヤーを与えないので、例えば、陽極酸化に関する低減されたエネルギーコストによる実質的な経済上の利益又は有害な薬品の減少された利用による環境上の利益を含む幾つかの重大な利点が利用できるようになる。更に、酸化物層の厚さの減少が金属系において改良された性質(例えば、改良された延性を含む)を可能にする。加えて、より厚い酸化物層は下にある金属層の反射率を低下し、こうしてより薄い酸化物層は金属に普通所望される形質である、改良された反射率をもたらす。それ故、酸化物の厚さは依然として高度の耐食性を与えつつ最終製品に所望される性能特性を与えるように選ばれる。
酸化物層は約10μmまでを含む、或る範囲の厚さを有し得る。酸化物層は約5μm未満の厚さ、約3μm未満の厚さ、約2μm未満の厚さ、約1μm未満の厚さ、約0.5μm未満の厚さ又は約0.25μm未満の厚さであってもよい。しかしながら、酸化物層は金属製品に必要とされ、こうしてそれが少なくとも10ナノメーターより大きい厚さ、好ましくは少なくとも20ナノメーターより大きい厚さ、更に好ましくは少なくとも50ナノメーターより大きい厚さであってもよい。一つの好ましい実施態様において、酸化物層が約50ナノメーター〜約500ナノメーターの厚さである。別の好ましい実施態様において、酸化物層が約1μmから約2μmまで、更に好ましくは約1.3μmから1.8μmまでの厚さの範囲であり得る。
【0006】
酸化物層は酸化物表面を調製するためのあらゆる方法により生成し得る。一実施態様において、酸化物層は制御された様式で陽極酸化により調製し得る。また、酸化物層は金属又は金属合金の自然酸化から存在し得る。しかしながら、自然酸化物層は、表面の酸化に影響する現実の条件のために、典型的には一様ではなく、また厚さが一貫しない。自然酸化物層はまた典型的な陽極酸化された酸化物層よりも極めて薄く、例えば、アルミニウム上の自然酸化物層について約2〜15ナノメーターである。酸化物層は陽極酸化により生成し得ることが好ましい。金属支持体を陽極酸化することにより酸化物層を調製することは或る種の所望の性質(例えば、酸化物層の厚さ及び酸化物層の密度を含む)の調節を可能にする。陽極酸化はシーリング工程で起こることができ、又はシーリング工程なしに起こり得る。あらゆる先の、又は自然の酸化物層がブライトニング(brightening)と普通称されるプロセスで、制御された酸化の前に除去し得る。また、自然又は先の酸化物層が陽極酸化の前に金属又は金属表面に残し得る。陽極酸化は金属上に存在する自然酸化物層よりも利点を有する酸化物層を生成するのに数十年にわたって使用されてきた。この利点は、一部、陽極酸化中に生成され、より稠密な、又は多孔性ではない酸化物被覆物をもたらすより組織化された酸化物結晶構造のためであり得る。陽極酸化された被覆物は自然酸化層よりも極めて耐食性であろう。このような陽極酸化された酸化物被覆物が従来これらの理由のために自然被覆物よりも好まれていた。
【0007】
酸化物層は染料、塗料又はその他の添加剤でガラス層の適用の前に処理し得る。陽極酸化方法は酸化物層中に孔を生じ得るので、これらの孔が色を加え、光を吸収、屈折もしくは反射し、又はその他の望ましい性質を与える付加的な望ましい化合物、例えば、染料のために使用し得る。更に、ガラス層の性質のために、酸化物層をシールするのに使用されるより普通の方法とは対照的に、染料が適所にシールされて残り、酸化物層から浸出又はウォッシュアウトしないであろう。
金属製品は酸化物層の上にガラス層を有し得る。そのガラス層はケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩ガラスであってもよい。この開示の目的のために、ケイ酸塩ガラスはケイ酸塩を含む溶液の縮合重合から生じる重合されたケイ酸塩であり、またホウケイ酸塩ガラスはホウケイ酸塩を含む溶液の縮合重合から生じるホウ素源を含む重合されたケイ酸塩である。このガラス層のない酸化物層は本発明に起因する利益を与えないことに注目されたい。ガラス層は必要によりホウ酸塩化合物を含んでもよいアルカリ金属ケイ酸塩化合物の水溶液から誘導される。広く言えば、水溶液が金属表面に付着され、金属酸化物層を覆い、加熱されてケイ酸塩含有層を乾燥、硬化、重合し、それにより酸化物の上にケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩ガラス層を形成する。実施態様において、遷移界面層が酸化物とガラス層の間に見られ、化学的に結合された混合酸化物-ケイ酸塩複合体を含む。実施態様において、ガラス層は約50ナノメーターから約2000ナノメーターの範囲で、約1000nm未満、約750nm未満、約500nm未満、約250nm未満、又は約100nm未満を含み、非常に薄くてもよい。ガラス層は好ましくは約1000nm未満、更に好ましくは、約750nm未満である。
金属又は金属合金表面、酸化物層、及びケイ酸塩又はホウケイ酸塩ガラス層の間の関係の性質のために、金属製品はまた酸化物-ガラス層の組み合わせの厚さに基づいて特徴づけ得る。例えば、酸化物層、ガラス層及び介在層の組み合わせの厚さは約0.1μmから約10μmまで、又は約0.1μmから約5μmまでの範囲であり得る。酸化物層、ガラス層及び介在層の組み合わせの厚さは約0.1μmから約3μmまで、又は約0.1μmから約2μmまでの範囲であり得ることが好ましい。酸化物層、ガラス層及び介在層の組み合わせの厚さはまた約0.1μmから約1.0μmまでの範囲であり得る。
【0008】
ガラス層は金属ケイ酸塩を含む水溶液の被覆物を適用し、次いで被覆物を加熱して水を除去し、被覆物を硬化してケイ酸塩ガラス層を生成することにより調製し得る。同様に、ホウケイ酸塩ガラス層は金属ケイ酸塩及び金属ホウ酸塩を含む水溶液の被覆物を適用し、次いで被覆物を加熱して水を除去し、被覆物を硬化してホウケイ酸塩ガラス層を生成することにより調製し得る。金属ケイ酸塩は広く入手でき、また商業上の製造業者から濃縮された液体形態のアルカリ金属ケイ酸塩として普通に購入し得る。次いでこの物質に必要によりホウ酸塩そしておそらくその他の種々の薬品が添加し得る。
金属ケイ酸塩は高度に可溶性であるが、ホウ酸塩化合物はそれ程ではない。特別な努力がホウ酸塩化合物を被覆溶液に充分に溶解するのに必要とされる。特に、被覆溶液のゲル化がホウ酸塩及びケイ酸塩を溶液中で合わせることと関連する普通の問題である。現在まで、ホウ酸塩及びケイ酸塩、特にケイ酸リチウムナトリウムを含む安定な溶液が、文献に開示されていなかった。この開示が金属材料を被覆する際の使用のためのホウ酸塩及びケイ酸塩を含む安定な水溶液を提供する。
【0009】
金属ケイ酸塩はリチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの混合物である金属対イオンを有することができ、こうして金属ケイ酸塩はアルカリケイ酸塩、又はアルカリ金属ケイ酸塩と称し得る。同様に、ホウ酸塩はリチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの混合物である金属対イオンを有し得る。ホウ酸塩の金属対イオンはアルカリ金属、即ち、リチウム、ナトリウム又はカリウム、及びこれらの混合物であることが好ましい。
ケイ酸ナトリウムを含む溶液はシリカ対ナトリウム質量比により記載することができ、約1.5から3.6まで、更に好ましくは約2.5から約3.3までの範囲のシリカ対ナトリウム質量比を有し得る。ケイ酸カリウム溶液は約1.6から約2.5までの範囲の、シリカ対カリウム質量比を有し得る。ケイ酸リチウム溶液は約7から約10までの範囲、好ましくは約7.5のシリカ対リチウム質量比を有し得る。本開示に適用し得るケイ酸ナトリウムの一銘柄はPQ社により販売されるケイ酸塩である。例えば、PQ型ETMケイ酸ナトリウムは典型的には約3.2のSiO2:Na2O質量比を有する。別の例は約2.5のSiO2:Na2O質量比を有する、PQスターTMケイ酸ナトリウムであろう。ケイ酸リチウムの例は約7.63のSiO2:Li2O比を有するPQリチシル25TMであろう。
金属ケイ酸塩及び金属ホウケイ酸塩を含む安定な水溶液はまた溶液中に存在するSiO2対M2O(この場合、Mはアルカリ金属対イオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムを表す)のモル比により記載し得る。実施態様において、SiO2:M2Oモル比は約2.3から約3.8まで、好ましくは2.3より大きく約3.6までの範囲であり得る。一つの好ましい実施態様において、SiO2:M2Oモル比は約3.0から約3.3までの範囲であり得る。
【0010】
ホウ酸塩は水に可溶性かつ安定なあらゆる可溶性のホウ酸塩化合物であってもよい。ホウ酸塩は、典型的には10の溶媒和分子を含む(即ち、デカ水和物)、ホウ酸ナトリウム、又は四ホウ酸ナトリウムとしてまた知られている、ボラックスであることが好ましい。その他の四ホウ酸ナトリウム水和物だけでなく、水中でホウ酸塩を生成するホウ素のその他の源が同様に容認される。ボラックスが最も普通に使用されるホウ酸塩であるが、ケイ酸塩と組み合わせてホウケイ酸塩ガラスを生成するあらゆるホウ酸塩化合物が容認され、但し、安定な水溶液が生成し得ることを条件とする。実施態様において、ホウ酸塩は全体の希釈された溶液質量に対し約5質量%までの量(約1質量%〜約5質量%、好ましくは約1質量%〜約4質量%、更に好ましくは約2質量%〜約3質量%を含む)で存在し得る。この開示の目的のために、示される質量%はボラックスを基準とする質量%計算であると理解される。使用し得る別のホウ酸塩化合物は異なる分子量ひいては均等モル数のホウ酸塩についての溶液に対し異なる質量%を有するであろう。当業者は本開示においてボラックス質量%に基づいてケイ酸塩対ホウ酸塩の比を決めることができ、その比から別のホウ酸塩化合物について相当する質量%を決めることができる。
ナトリウムはガラスポリマーの生成のための成分として重要であるが、それは曇りをガラス表面に形成させる(普通、風解と称される)のでしばしば問題がある。この層は無害であるが、ガラス表面の外観に影響する。しかしながら、ナトリウムの不在下で、ケイ酸塩ガラスが焼成中に普通亀裂するが、典型的なガラス生成(即ち、キルン)における焼成は現在の方法と較べて極めて高い温度で行なわれる。ナトリウム及び別の金属対イオンを含む混合物は風解を制限しつつ、ナトリウムがガラス生成に与える利益を依然として維持し得る。それ故、一実施態様において、水溶液のナトリウム含量が溶液中に存在する全金属対イオンの少なくとも約10原子%、好ましくは約30原子%であってもよい。別の実施態様において、その溶液が全金属対イオンに対して少なくとも約30原子%のナトリウム及び少なくとも一種のその他の金属対イオン(これはリチウム又はカリウムであってもよい)を含む。当業者は存在するナトリウムの量がナトリウム対イオンのあらゆるその他の源に加えて、ケイ酸ナトリウムだけでなく、その溶液に添加されたホウ酸ナトリウムに由来し得ることを認めるであろう。ナトリウムの量はまたその他の金属イオンに対する比として記載でき、例えば、リチウム及びナトリウムを含む溶液は約1:9〜約9:1、好ましくは1:2.3〜約2.5:1、又は更に好ましくは約1:1.5から約1.5:1までのNa:Liの比を有し得る。また、ガラス層、例えば、ケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩ガラスを生成するための重合が水の放出をもたらすので、金属製品に存在するガラス層の金属イオン含量はそれを調製するのに使用された水溶液の金属イオン含量に等しくあり得る。
【0011】
安定な水溶液はその溶液の比重により記載し得る。実施態様において、比重が約1.05から約1.3まで、好ましくは約1.10から約1.20まで、更に好ましくは約1.12から約1.18まで、更に好ましくは約1.13から約1.17まで、最も好ましくは約1.14から約1.16までであってもよい。安定な水溶液の比重はSiO2及びM2Oの相対量を変えないで水を添加又は除去することにより変化し得る。
安定な水溶液はまたその他の添加剤を含み得る。例えば、C1-C6アルコールが典型的には湿潤効果により、金属表面への水溶液の適用を改良し得る。アルコールは好ましくはC3-C5アルコール、更に好ましくはC4アルコール、例えば、ブタノールであってもよい。アルコールは約3質量%まで、好ましくは約0.5質量%から約2質量%までの濃度で存在し得る。少量のその他の添加剤はその溶液が利用し得る方法に基づいて使用し得る。このような添加剤は約0.001容積%から約0.005容積%までの量で存在し得る。例えば、消泡剤は被覆物が噴霧又は混合される場合に利用し得る。消泡剤の一例はUltra Additives製の市販の添加剤である、DeeFo#916であろうが、当業界で知られているその他の消泡剤及びその他の添加剤が溶液取扱特性を改良するのに使用し得る。
別の実施態様において、金属表面を被覆するための安定な水溶液は実質的にアルカリ金属ケイ酸塩、約1質量%〜約5質量%のボラックス、水、及びC1-C6アルコール、好ましくはブタノールからなり得る。
ケイ酸塩を含む溶液はケイ酸塩及び水を50-100℃の温度に加熱し、次いでその他の成分を添加し、撹拌して添加剤を可溶化することによりつくり得る。充分な混合後、その溶液が冷却され、濾過されて(1.2μmのフィルター)粒状物を除去し、室温で安定である透明な溶液を生じ得る。その溶液はまたホウ酸塩を温水(好ましくは約35℃〜約45℃)に溶解し、アルカリ金属ケイ酸塩又はケイ酸塩の混合物を水に別々に溶解し、そのホウ酸塩溶液をアルカリケイ酸塩溶液に添加することにより調製し得る。冷却及び濾過後、これらの水溶液は室温で安定のままであろう。
【0012】
ケイ酸塩又はホウケイ酸塩水溶液を金属酸化物表面に適用するための方法は溶液を金属表面に適用するために当業界で知られているあらゆる方法であってもよい。例えば、その溶液が噴霧又はブラシ掛けし得る。金属酸化物表面はロールでロール被覆でき、又はそれは溶液に浸漬され、排水し得る。スピン被覆及び当業界で知られているような金属を溶液で被覆するその他の方法が同様に有効である。どんな被覆の方法においても、溶液が一般に約20μm未満の被覆物を金属又は金属合金に残す。被覆物の厚さは溶液の比重を調節することにより調節でき、例えば、比重を増大するとより厚い被覆物を与えることができ、一方、比重を減少するとより薄い被覆物を与えることができる。
注目するに、実施態様において、金属に存在する溶液被覆物は約20μm未満であるべきである。あまりにも厚い被覆層は乾燥プロセス中に泡になり、泡立ち、平滑かつ一様ではなく、しかも金属表面を保護せず、又は開示された被覆物の性質を与えないガラス層をもたらすであろう。金属表面の被覆物は乾燥されて水を除去し、その後に高温で重合されてポリマーガラスを生成し得る。その重合は水を生成する縮合重合であり、水蒸気の発生が被覆層の厚さにより制限される。泡立ち及び泡形成は平滑かつ一様ではない最終のポリマーガラス表面を残す。それ故、開示の一局面は約15μm未満、好ましくは約10μm未満、更に好ましくは約5μm未満の溶液層を金属酸化物表面に被覆することであり得る。約2μm未満の被覆層がまた有効なガラス層を与え得る。
【0013】
被覆物が金属酸化物に適用された後に、金属製品が数秒〜1時間又はそれ以上にわたって約200℃〜約500℃の範囲の温度に加熱されて水を除去し、ケイ酸塩又はホウケイ酸塩被覆物からガラス層への化学変換を促進し得る。必要により、低温乾燥が200℃より高い温度における加熱の前に行ない得る。被覆物は少なくとも約200℃の温度、少なくとも約220℃の温度、又は少なくとも約250℃の温度で硬化し得る。また、被覆物は約200℃〜約500℃、約200℃〜約400℃、又は約250℃〜約350℃で硬化し得る。被覆物は少なくとも約15秒にわたって硬化し得る。加熱時間及び温度は、例えば、被覆溶液及び被覆される物品を含む、幾つかの因子に応じて変化し得る。例えば、その表面に被覆溶液を有する薄いアルミニウムシートは非常に素早く加熱され、被覆物が約290℃で15秒間でガラス層に変換し得る。対照的に、厚い金属物体、例えば、金属バーは、より長い加熱時間を要するであろう。何とならば、バーそれ自体の熱量が或る温度に達する必要があり、その後にその外表面の被覆物がガラス層に変換するからであろう。理論により束縛されないが、温度及び加熱時間は、例えば、金属が妥当な温度でオーブン中で費やす時間の量ではなく、金属が妥当な温度で費やす時間に基づいて定性的に評価し得る。当業者はまたより高い硬化温度が短い硬化時間を必要とし得ることを認めるであろう。逆に、より低い硬化時間が或る種の被覆溶液に有益であるかもしれない。
溶液は容易に適用され、或る場合には素早く硬化し得るので、金属製品はバッチ加工ではなく、連続様式で調製され、製造上の利点を与え得る。実施態様において、金属のコイルが金属の表面を陽極酸化することにより調製される。コイルがロール被覆ラインに供給され、金属の表面が洗浄される。表面が水、アルカリ性溶液、又は洗浄溶液で洗浄し得る。次いでアルカリケイ酸塩溶液が製造方法中に進行するにつれて、それが金属コイルの表面に適用され、その表面が続いて加熱されてケイ酸塩被覆物を硬化する。金属温度が少なくとも15秒にわたって約200℃〜約300℃に達する。コイルが夫々の側で別々に、一側のみに、又は同じ製造運転で両側で被覆され、加熱し得る。被覆及び硬化後に、金属製品が水で冷却され、コイルに巻き返し得る。
【0014】
この開示の金属製品は従来技術の陽極酸化された製品よりも多くの利点を有する。例えば、ガラス層-酸化物組み合わせにより形成された透明な被覆物は金属表面が通して見えることを可能にし、下にある金属シートの固有の測光特性に影響しない。その表面の固有の測光特性として、例えば、反射率、明るさ、透明性、色、ブラシ掛けされたニッケルに存在するような表面組織、等を含むが、これらに限定されない表面に所望されるあらゆる測光特性が挙げられる。一実施態様において、全反射率は75%より大きく、好ましくは80%より大きく、更に好ましくは85%より大きい。また、下にある金属と金属-金属酸化物-ガラス層を含む開示された金属製品との間の反射率の損失は約2%未満、好ましくは約1%未満、更に好ましくは約0.5%未満であってもよい。金属製品が光を反射する能力は主として金属の表面に存在する酸化物の量に制限される。何とならば、その酸化物層の上のガラス層が殆ど透明であるからである。
また、金属製品は優れた耐食性及び耐候性を示す。実施態様において、金属製品がASTM B-117-37により測定して約350時間より大きく、好ましくは約600時間より大きく、更に好ましくは約1200時間より大きく、最も好ましくは約3000時間より大きい中性塩噴霧腐食試験下で腐食を示さない。実施態様において、金属製品がDIN 50021 ESSにより測定して約500時間で腐食なし、約800時間で約1%未満のわずかな腐食そして約1000時間で約7%未満のわずかな腐食という、酢酸塩噴霧試験についての改良された耐食性を示す。
開示された金属製品の耐熱性は優れている。金属製品の耐熱性は下にある金属の感受性により制限され、ガラス層により制限されない。金属製品は10時間以上にわたってオーブン中で350℃で保持し得る。金属層が融解し始め、透明なガラス層を残すまで、金属製品がプロパントーチで加熱し得る。それ故、実施態様において、金属製品は約350℃まで、約500℃まで、約700℃まで、又は金属支持体のほぼ融点までの拡大された耐熱性を有し得る。
【0015】
開示された金属製品の硬度及び耐引掻き性がまた優れている。実施態様において、金属製品は6より大きく、好ましくは7より大きく、更に好ましくは8より大きい鉛筆硬度を有し得る。例として、0.75μmの厚さのガラス層を有する金属製品は金属表面を陽極酸化し、シールすることにより調製された4μmの厚さの酸化物層と同じ耐引掻き性を有する。同時に、その開示の金属製品は5分後に70℃の8%の水酸化ナトリウム溶液による制限された侵食を示すが、4μmの厚さの陽極酸化された金属は1分で劣化そして2〜3分後に完全な溶解を示す。
本開示の金属製品はまた耐食性のほかに利点を与える。例えば、多くの金属、例えば、ステンレス鋼、チタンは固有の耐食性又は硬度を有する。これらの金属表面を被覆するとその他の改良された性質を生じる。例えば、金属表面の全体の外観は汚染物質、例えば、スス、汚れ、等が表面被覆物の孔に、又はその内部に蓄積する場合に通常の環境条件下で劣化するであろう。指紋からの残留油が同様に問題である。これらの汚染物質を洗浄により除去することは比較的平滑な酸化物表面についてさえもしばしば問題がある。何とならば、汚染物質が金属表面の顕微鏡的孔に蓄積するからである。これらの材料を本開示の製品で被覆することは、例えば、洗浄をより容易にすることによりこれらの表面の管理を改良する。何とならば、一部、ガラス層の表面が極めて平滑であるからである。金属酸化物はμmのサイズスケールで孔を有し、一方、ガラス層はナノメーターのオーダで、より小さい大きさの数オーダの孔を有する。このような被覆物は、例えば、建築デザインもしくは彫刻、又は反射表面、例えば、ソーラー反射体に適用し得る。
【0016】
加えて、本開示の金属製品は加工に関して多くのその他の利点を示す。一般に、陽極酸化はかなりの量のエネルギーを必要とし、より厚い酸化物層は一層の保護を与えるものの、より厚い酸化物層をつくることは極めて長い陽極酸化を必要とし、そしてまた灰色及び下にある金属表面の特性、例えば、高反射率の損失をもたらす。陽極酸化された酸化物層はまた多くのエネルギーを必要とするプロセス、例えば、沸騰水又は塩沈殿及び膨潤によりシールされる必要がある。最良の酸化物層は陽極酸化された層をクロム酸塩で処理することにより調製されるが、クロム塩の毒性が良く実証されており、このプロセスを高度に望ましくないようにする。また、或る種の酸化物層はエポキシで処理することにより保護し得るが、揮発性の有機炭素放出物がまた問題であり、エポキシ保護された製品は本開示のその他の改良された特性を示さないであろう。
対照的に、先の開示で示され、また更に下記の実施例で示されるように、酸化物被覆物を有する金属製品の開示されたガラス層はこれらの欠点を解消する。それは非常に薄い酸化物層のみを必要とすることによりコストを低減し、透明性及びその他の金属特性を維持し、より優れた耐食性、より速い加熱及び冷却サイクル中のより速い加工を与え、かつ重金属又はVOCと関連する環境コストを回避する。それはまた陽極酸化された酸化物層よりも平滑であり、陽極酸化された酸化物と較べてより小さい孔を有し、そしてまた陽極酸化された酸化物層よりも一様であり、かつ平らである表面を有する金属製品を提供する。
【実施例】
【0017】
例として、限定ではなく、下記の実施例が本開示の種々の実施態様の例示であり、行なわれた実験試験を更に説明する。
【0018】
(実施例1)
陽極酸化されたアルミニウム又はアルミニウム合金表面を硬質の、耐熱性かつ耐食性の透明な被覆物で処理又は被覆する典型的な方法を以下に記載する。
陽極酸化された金属パネルを最初に洗剤(即ち、シンプル・グリーン)で洗浄し、水ですすぎ、空気により、又は乾燥したきれいな布で乾燥し得る。パネルの表面をトーチにかけて(数秒にわたってブタントーチの開放火炎に暴露して)表面水分を除去し、水酸化物を脱水し、次いで30〜60℃の温度に冷却し得る。次いでパネルをケイ酸ナトリウム水溶液(例えば、3.22のSiO2:Na2O質量比)に浸漬し、1.02〜1.3の比重まで水で希釈する。外観及び耐食性の両方を改良するために、四ホウ酸ナトリウム10水和物(ボラックス)の水溶液を1〜5質量%の最終ボラックス濃度のためにそのケイ酸ナトリウム溶液にまた添加し得る。また、ボラックス粉末を希釈されたケイ酸ナトリウム溶液に撹拌しながら高温(50-100℃)で直接添加し得る。続いて補給物0.5-2質量%の1-ブタノール(n-ブチルアルコール)及び0.001-0.005容積%のDeeFo #916(ウルトラ・アディティブズ)を添加してそのケイ酸塩溶液の湿潤性を変化し得る。次いでその溶液を濾過して(即ち、1.2μmのフィルターにより)粒状物を除去し得る。その金属サンプルをケイ酸ナトリウム溶液に浸漬又は沈下し(即ち、1秒〜30分)、次いで慎重に引き出し得る。被覆物を室温で乾燥させ、又は加熱オーブン中に直ちに入れ得る。サンプルの温度を30秒〜1時間にわたって200-350℃の温度に到達させ得る。硬化された被覆サンプルを室温で冷却し、又は水溶液中で冷却し得る。
【0019】
(実施例2)
酸化物層を含むアルミニウムパネルを実施例1に従って調製されたケイ酸塩被覆物で被覆し得る(酸化物層を有するアルミニウムシートをホウケイ酸ナトリウム溶液の溶液でロール被覆することにより)。被覆溶液を1時間にわたって200-350℃に加熱し得る。
【0020】
(実施例3)
ケイ酸塩ガラス層を有するアルミニウム自動車ホイールリムを実施例1と同様の様式で調製した。ホイールリムをホウケイ酸ナトリウム溶液に浸漬し、過剰の溶液を排出するように回転させて均等な被覆を確実にし、オーブン中で20分間にわたって200-350℃に加熱した。
【0021】
(実施例4)
実施例1に従って調製された溶液を使用して酸化物被覆物を有するチタンパネルを被覆した。そのタイルをホウケイ酸ナトリウム溶液で浸漬により被覆し、オーブン中で1時間にわたって200-350℃で加熱した。
【0022】
(実施例5)
エアークラフトランディングギヤーに典型的に使用される組成の陽極酸化されたステンレス鋼バーを実施例1の溶液と同様のホウケイ酸ナトリウム溶液に浸漬することにより被覆した。バーを除去し、乾燥させ、オーブン中で1時間にわたって200-350℃で加熱した。
【0023】
(実施例6)
この実施例はケイ酸塩ガラスを有する被覆された金属物体を調製するのに有益な溶液を示す。
ナトリウム金属対イオン及びリチウム金属対イオンの混合物を含むアルカリホウケイ酸塩溶液を調製した。最初に、濃縮された市販液体ケイ酸ナトリウム溶液及びケイ酸リチウム溶液を合わせた。次いでボラックス(四ホウ酸ナトリウム10水和物)を温水に完全に溶解した。次いでそのボラックス溶液をそのアルカリケイ酸塩溶液に添加して被覆溶液をつくった。その被覆溶液中の最終ボラックス組成は1-5質量%であってもよい。一例において、その最終溶液組成は13.0質量%のSiO2、1.7質量%のNa2O、1.2質量%のLi2O、1.1質量%のB2O3、及び83.0質量%のH2Oであり、約3質量%のボラックスで約1.15の比重を有していた。その溶液を1.2mmのフィルターにより濾過した。パネルを実施例1に記載されたように浸漬被覆し、焼成した。
【0024】
(実施例7)
この実施例はケイ酸塩ガラス層を有する被覆された金属物体を調製するのに有益な溶液を示す。
約1.17の比重を有するケイ酸ナトリウム溶液を、ボラックス1.389kgを温水24.25Lに溶解し、1.4の比重を有するケイ酸ナトリウム15.75Lを水24.25Lに別々に希釈し、そのボラックス水溶液をその希釈されたケイ酸ナトリウム溶液に添加し、続いて濾過することにより調製した。
【0025】
(実施例8)
この実施例はケイ酸塩ガラス層を有する被覆された金属物体を調製するのに有益な溶液を示す。
約1.146の比重を有するケイ酸ナトリウムリチウム溶液を、水45.1Lを小さい黒色のドラム中で35-40℃に加熱し、ボラックス3400gをその加熱された水に溶解し、ケイ酸ナトリウム11.8L及びケイ酸リチウム43.1Lを中間アルミニウムドラム中で混合し、次いでそのボラックス水溶液をそのケイ酸ナトリウムリチウム溶液に添加することにより調製した。その溶液を濾過し、貯蔵した。
【0026】
(実施例9)
この実施例はケイ酸塩ガラス層を調製する別の操作を示す。
2工程焼成操作を使用してより厚い被覆物の被覆特性を改良し、又は亀裂を防止し得る。サンプルを被覆した後、それを加熱されたオーブンに入れ、15秒〜1時間にわたって100-200℃の温度に到達させる。続いて、それを高温のオーブンに直接入れ、1分〜1時間にわたって200-350℃で2回目に焼成した。
また、2回目の焼成の前に、サンプルを、例えば、その他の溶液、例えば、CaCl2溶液で被覆することにより、又は室温〜55℃の温度で1-15秒にわたって酸溶液(即ち、酢酸、pH2-3)に浸漬し、排水し、水ですすぐことにより更に処理し得る。次いでサンプルを上記されたように2回目に焼成し得る。
最終焼成後、重合プロセスを酸処理により改良し得る。また、被覆物の外観及び風解を焼成処理後に酸処理及び/又は洗浄工程で改良し得る。その処理はサンプルが依然として熱い間に、又はそれが硬化処理後に冷却された後にサンプルを1〜15秒にわたって20-60℃の温度で酸性溶液(即ち、酢酸又はリン酸、pH2-3)に浸漬することを伴なう。被覆された表面はまたそれが焼成工程から冷却された後に市販の塩基性クリーナー(即ち、シンプル・グリーン又はライム・アウェー)で洗浄でき、続いて水中で最後にすすがれる。
【0027】
(実施例10)
陽極酸化されたアルミニウムコイルをロールコート方法により大規模製造ラインで硬質、耐熱性かつ耐食性の透明な被覆物で被覆する方法は以下のとおりである。
アルミニウムコイルを80-150フィート(24-46m)/分の速度でロールコートラインに供給し、そこでそれを最初に熱水中ですすいだ(又はアルカリ性溶液中で洗浄した)。ピックアップロールを実施例1又は実施例6に従って調製された被覆溶液の溜め中に部分的に沈めた。ピックアップロールがその被覆溶液を被覆ロールに移した。洗浄した後、アルミニウムシートを被覆ロールの上に通し、溶液の薄い層で被覆されるようになった。一旦被覆されると、コイルが熱処理を受け、その結果、金属温度が15-60秒にわたって200-300℃に達した。被覆物を硬化した後、被覆物の表面を水で冷却し、金属を直ちにコイルに巻き戻した。
異なる製造運転では、アルミニウムシートを最初に一面をロール掛けし、次いで反対の面をロール掛けし、次いでコイルを熱処理する(その結果、金属温度が15-60秒にわたって200-300℃に達した)ことにより両面で被覆した。
コイルにされたアルミニウムのケイ酸塩被覆物の厚さを、ケイ酸塩溶液の比重及び/又はロール被覆操作のパラメーターを調節することにより変化し得る。更に、コイルがそのプロセスを通過する速度及び/又はオーブン温度を調節して被覆される金属コイルの型に特異的な最適の硬化温度を見つけることができる。
上記の場合の全てにおいて、被覆物が不十分に硬化される場合に、第二の加熱工程を行ない得ることに注意することが重要である。
【0028】
(実施例11)
走査電子顕微鏡画像
図1及び図2はロール被覆方法でアルミニウムに適用された被覆物のSEM画像である。被覆されたアルミニウムサンプルを液体窒素に浸漬し、分解した。図1中の夫々のSEM画像において、下にあるアルミニウム支持体は最も低い画像部分にある。多孔性の陽極酸化された酸化アルミニウム層はアルミニウム支持体をオーバーレイし、約0.17-0.19μmの範囲の厚さを有する。アルミナ-ケイ酸塩遷移領域及び外部のガラス層からなる約170-200nmの厚さの薄い上層が酸化物層を覆う。同様に、図2中、SEM画像はより厚いそれ程多孔性ではない酸化アルミニウム層、アルミナ-ケイ酸塩遷移層、及び界面に沿って現れる層によるケイ酸塩ガラス層の上部被覆物を示す。Al2O3を含む三つの複合層は1.69〜1.83μmの範囲の厚さを有し、遷移層及びケイ酸塩ガラス層がその厚さの5%〜10%のオーダを構成する。
図3-8はこの開示に従って調製された、アルミニウム上のケイ酸塩ガラス被覆物のSEM画像である。図3及び図4中で、凍結分解された材料の表面及び断面のSEM画像が見られる。ケイ酸塩ガラス層の平滑な表面が陽極の酸化物層の上に見られ、この場合、酸化物層は約3.5μmの厚さであり、またケイ酸塩ガラス層は約500nmの厚さである。ケイ酸塩層の厚さは若干変化し得ることに注目されたい。SEM画像において、測定された値は476〜535nmである。一部、これは装置誤差のためであるが、それはまた本開示についての利点を明らかにする。陽極の酸化物の表面は完全には平らではないが、実際に変化し、一方、酸化物の上のケイ酸塩被覆物は極めて平滑かつ平らである。その結果として、ケイ酸塩被覆層の厚さの変化が観察し得るが、平均厚さは殆ど一定に留まるであろう。
図5及び図6は断面を明らかにするために凍結分解された、別のサンプルのSEM写真を示す。金属表面の上の酸化物層が、1.4〜約1.6μmの厚さで見られる。加えて、酸化物層の上のケイ酸塩ガラス層がまた、約340〜480nmの酸化物厚さで明瞭に見られる。図7及び図8は断面を明らかにするために凍結分解されたサンプルについてのSEM写真の別の組を示し、570〜630nmの厚さのケイ酸塩ガラス層で被覆された1.85〜2.15μmの厚さの酸化物層を示す。
【0029】
(実施例12)
図9は陽極酸化され、シールされたアルミニウムシートと比較された開示の被覆物の比較例である。図9の右手側のアルミニウムのシートを陽極酸化し、沸騰している熱水への挿入によりシールした。次いでその標本をサンプルの表面の引掻き及び288時間にわたる塩噴霧への表面の暴露を含むフォードモーター社のフィリフォーム試験にかけた。左のサンプルを右のサンプルと同じ陽極酸化工程で処理したが、シールせず、ケイ酸塩被覆物を実施例1に従って適用した。同じフォードフィリフォーム試験を行なったが、被覆されたサンプルを800時間にわたって処理した。右のサンプルは288時間における引掻きでくぼみマーク及び若干の表面移動を発生した。左のサンプルは腐食環境により影響されない連続の保護被覆物を与えた。
【0030】
(実施例13)
開示の被覆されたアルミニウム金属製品について行なわれた種々の試験の結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
(実施例14)
性能結果を本開示のロール被覆されたアルミニウムシートと陽極酸化及びシーリング(即ち、酢酸ニッケル)の現在の技術水準の方法により調製されたアルミニウムシートの間で比較する。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
(実施例15)
この実施例は金属ケイ酸塩被覆溶液及び本開示で有益なこれらの溶液のパラメーターを示す。
図10中で、一連の金属ケイ酸塩被覆溶液を、液体ケイ酸ナトリウム及び液体ケイ酸リチウムを使用して調製でき、容積%及び比重を或る範囲の溶液について測定する。上のグラフはケイ酸ナトリウムとしてのPQスターTM及びケイ酸リチウムとしてのPQリチシル25TMを含むシリーズを示す。下のグラフはPQ型Eケイ酸ナトリウムを使用することによるシリーズを示す。ケイ酸ナトリウム及びケイ酸リチウムの相対量を凡例に示す。
図11中で、一連のケイ酸ホウ酸ナトリウム被覆溶液を、PQスターTM(上のグラフ)又はPQ型ETM(下のグラフ)ケイ酸ナトリウム及びボラックスを使用して調製した。20容積%のケイ酸ナトリウム、50容積%のケイ酸ナトリウム、及び80容積%のケイ酸ナトリウムを含む希釈された溶液を、凡例に示したように調製した。ケイ酸塩対金属対イオンのモル比及び溶液容積を溶液中のボラックスの量を基準として示す。
図12中で、一連の金属ケイ酸塩ホウ酸塩被覆溶液を、ケイ酸ナトリウムとしてのPQスターTM(上のグラフ)又はPQ型ETM(下のグラフ)、ケイ酸リチウムとしてのPQリチシル25TM、及び金属ホウ酸塩の源としてのボラックスを使用して調製した。溶液に溶解されたボラックス(四ホウ酸ナトリウム10水和物)の量の関数としての液体アルカリケイ酸塩でつくられた希釈された水溶液のモル比(SiO2/A2O(アルカリ))を示す。この場合、A2OはNa2OとLi2Oの合計を意味する。ボラックスの量を希釈された溶液の質量当りのボラックスの質量と定義する。溶液は水中50容積%のケイ酸塩溶液である。
本明細書に記載された現在好ましい実施態様についての種々の変化及び改良が当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変化及び改良が本主題の精神及び範囲から逸脱しないで、またその意図される利点を減少しないでなし得る。それ故、このような変化及び改良が特許請求の範囲により含まれることが意図されている。
【背景技術】
【0001】
陽極酸化は変換被覆物として知られている被覆物の一般クラスの例であり、金属表面が化学方法又は電気化学方法により被覆物に変換される。変換被覆物のその他の例として、クロメート変換被覆物、ホスフェート変換被覆物、ブルーイング、及び鋼上の酸化物被覆物が挙げられる。それらは腐食保護、増大された表面硬度のため、装飾色を加えるため、また塗料プライマーとして使用される。変換被覆物は0.0001インチ(約2.5μm)のオーダで、非常に薄いことがある。0.002インチ(約50μm)までの、より厚い被覆物は通常陽極酸化又はクロメート変換により、アルミニウム合金上に構築される。本開示は陽極酸化された変換被覆物と連係して使用されるように設計される。
陽極酸化は金属部分の表面上の天然酸化物層の厚さ及び密度を増大するのに使用される電気分解不動態化方法である。天然酸化物は典型的には粗く、不規則、かつ不連続であり、一方、陽極酸化された酸化物層はより均一である。その方法は処理すべき部分がこの電気分解方法で電気回路の陽極部分を形成するという事実からその名称を由来している。陽極酸化方法は炭素鋼に殆ど使用されていない。何とならば、その方法により形成された鉄酸化物(錆)がふくれ、はがれ落ち、新しい金属を腐食に絶えず暴露するからである。しかし多くのその他の金属上で、その酸化物がしっかりと付着する層として生成し、その結果、陽極酸化が耐食性及び耐摩耗性を増大し、裸の金属よりも二次層、例えば、塗料、プライマー、及び接着剤の接着により良好な支持体を与える。
【0002】
陽極フィルムがアルミニウム合金を保護するのに最も一般に形成されるが、これらのプロセスがまたチタン、亜鉛、マグネシウム、ニオブ及びその他の金属並びに合金について存在する。全てのこれらの金属上で、陽極フィルムは一般に殆どの塗料及びメッキよりも極めて強くかつ接着性であり、これによりそれらが亀裂したり剥離したりし辛くする。陽極酸化は表面の顕微鏡的組織を変化し、表面付近の金属の結晶構造を変化し得る。陽極被覆物はしばしば多孔性であり、厚いものは不可避的にそうである。例えば、型I及びIIIと普通称される、クロム酸陽極酸化方法及び硫酸陽極酸化方法は、陽極酸化された被覆物中に孔を生じる。厚い多孔性陽極被覆物は化粧効果を生じるのに有益であり得る。何とならば、それらが染料を吸収し得るからである。一方で、被覆物の多孔性の性質は耐食性を制限し、従って、孔を充填するシーリングが耐食性を改良し、かつ汚れの傾向を軽減するのにしばしば使用される。しかしながら、そのシーリング方法は一般に高価であり、しかも時間を浪費する。沸騰している脱イオン水中の長い浸漬が最も簡単なシーリング方法であるが、それは完全には有効ではなく、しかも耐摩耗性を約20%低下する。テフロン(登録商標)、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、熱い二クロム酸ナトリウム又はカリウム溶液がまたシーラントとして普通に使用される。最良のシーラントは非常に毒性であり、しかも環境上有害であるクロム酸塩をベースとする薬品である。更に、多くの適用について、陽極酸化及びシーリングは腐食に対して有効な保護を与えない。非常に薄い陽極酸化層が金属支持体の明るい研磨された外観を保持する目的のために使用される場合に、これが特に当てはまる。このような研磨された外観は装飾仕上げとして望ましく、また光反射器の如き多くの適用に必要とされる。
再検討すると、陽極酸化は金属、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、マグネシウム、及びニオブ上に薄い、硬質の、保護被覆物を生成するための、広く使用され、かつ有効な方法である。得られる被覆物は全て或る程度多孔性であり、これが塗料の如き二次被覆物の接着を改良し、かつこれが表面を着色するのに使用される染料を保持するのに有益である。しかしながら、陽極酸化被覆物の多孔性の性質がそれらの腐食保護を制限し、従って、それらは孔を閉じるためにしばしばシールされる。現在利用できるシーリング処理は腐食を防止する際の有効性、コスト、汚れ耐性、耐熱性、耐UV、及び環境上の影響に関して全く満足なものではない。従って、シーリング又は陽極酸化被覆物の耐食性及びその他の特性を改良するその他の別の手段についての要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は金属用保護被覆物、更に特別には、自然に、又は陽極酸化の如き酸化プロセスにより生成し得るような一般に薄い酸化物層を有する金属及びそれらの合金に関する。実施態様において、本開示は金属又は金属合金、その金属又は金属合金の表面上の酸化物層、及びその酸化物層上のケイ酸塩ガラス層(そのケイ酸塩ガラス層は約2000nm未満の厚さを有する)を含む金属製品を提供する。
実施態様において、本開示は金属製品の調製方法を提供する。その方法は酸化物層を有する金属又は金属合金を選び、安定なケイ酸塩水溶液の被覆物を金属又は金属合金に適用し、ケイ酸アルカリ塩被覆物を乾燥させ、金属又は金属合金上の被覆物を少なくとも約200℃の温度で硬化することを含む。
実施態様において、本開示はアルミニウム又はアルミニウム合金表面、酸化物層、及びホウケイ酸塩ガラス(そのホウケイ酸塩ガラスは約1000nm未満の厚さである)の被覆物を含む被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金を提供する。
実施態様において、本開示はホウケイ酸塩ガラス層を陽極酸化アルミニウムコイル上に調製する連続方法を提供する。その方法は陽極酸化酸化アルミニウム層を含むアルミニウムコイルを調製し、アルミニウムコイルをロールコートラインに供給し、アルミニウムコイルの表面をアルカリ溶液又は水で洗浄し、ケイ酸アルカリ金属塩溶液をアルミニウムコイルの表面に適用し、金属温度が少なくとも約15秒にわたって200-300℃に達するようにアルミニウムコイルの表面を熱で処理することを含む。
実施態様において、本開示はLi、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属対イオンを有するケイ酸金属塩並びにLi、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属対イオンを有するホウ酸金属塩を含む安定な水溶液(その溶液は約1.05から約1.30までの範囲の比重を有し、かつそのホウ酸金属塩は溶液の約5質量%までの範囲の量で存在する)を提供する。
実施態様において、本開示はホウ酸塩を約35℃から約45℃までの範囲の温度で水に溶解し、ケイ酸アルカリ金属塩を水に溶解し、そのホウ酸塩溶液をそのアルカリ金属溶液に添加し、1.2μm以下のフィルターにより濾過することを含む安定な水溶液の調製方法を提供する。
追加の特徴及び利点が本明細書に記載され、下記の詳細な説明及び図面から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本開示の金属製品の一連のSEM顕微鏡写真である。
【図2】本開示の金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図3】本開示の金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図4】図3に示された金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図5】本開示の金属製品の一連のSEM顕微鏡写真である。
【図6】図5に示された金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図7】本開示の金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図8】図7に示された金属製品の一対のSEM顕微鏡写真である。
【図9】フォード・フィリフォーム耐食試験にかけられた二つの金属プレートの写真である。
【図10】本開示の被覆溶液についての溶解パラメーターを示す一対のグラフである。
【図11】本開示の被覆溶液についての溶解パラメーターを示す一対のグラフである。
【図12】本開示の被覆溶液についての溶解パラメーターを示す一対のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は優れた耐久性及び調製の容易さを示す金属製品に関する。一般の実施態様において、金属製品は金属又は金属合金、その金属又は金属合金の表面上の酸化物層、及びケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩ガラスであるその酸化物層の上のガラス層を含む。
金属製品中の金属又は金属合金はしっかりと接着している酸化物層を示すあらゆる金属であってもよい。しっかりと接着している酸化物層は下にある金属から容易にはがれ落ち又は剥離しない酸化物層である。しっかりと接着している酸化物層を示す金属の例として、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、ニオブ、クロム、マンガン、ニッケル、又は鉛及びこれらの金属の合金が挙げられるが、これらに限定されない。比較のために、鉄及び炭素鋼はしっかりと接着している酸化物層を示さない。錆と普通称される、これらの金属上の酸化物層は、はがれ落ちてそれにより新しい金属を酸化に暴露する。比較するに、ステンレス鋼は鉄又は炭素鋼と同じ制限を示さず、しかもしっかりと接着している酸化物層を有することに注目されたい。金属又は金属合金がアルミニウム、チタン、ニッケル、マンガン又はクロム及びこれらの金属を含む合金であることが好ましい。金属がアルミニウム又はアルミニウムの合金であることが最も好ましい。
金属製品は金属又は金属合金の表面上に酸化物層を有し得る。酸化物層のない裸の金属層は不十分に機能するであろう。しかしながら、酸化物層の厚さに制限はない。優れた耐食性が本開示において非常に薄い酸化物層で得られる。この酸化物層は腐食に対する一次バリヤーを与えないので、例えば、陽極酸化に関する低減されたエネルギーコストによる実質的な経済上の利益又は有害な薬品の減少された利用による環境上の利益を含む幾つかの重大な利点が利用できるようになる。更に、酸化物層の厚さの減少が金属系において改良された性質(例えば、改良された延性を含む)を可能にする。加えて、より厚い酸化物層は下にある金属層の反射率を低下し、こうしてより薄い酸化物層は金属に普通所望される形質である、改良された反射率をもたらす。それ故、酸化物の厚さは依然として高度の耐食性を与えつつ最終製品に所望される性能特性を与えるように選ばれる。
酸化物層は約10μmまでを含む、或る範囲の厚さを有し得る。酸化物層は約5μm未満の厚さ、約3μm未満の厚さ、約2μm未満の厚さ、約1μm未満の厚さ、約0.5μm未満の厚さ又は約0.25μm未満の厚さであってもよい。しかしながら、酸化物層は金属製品に必要とされ、こうしてそれが少なくとも10ナノメーターより大きい厚さ、好ましくは少なくとも20ナノメーターより大きい厚さ、更に好ましくは少なくとも50ナノメーターより大きい厚さであってもよい。一つの好ましい実施態様において、酸化物層が約50ナノメーター〜約500ナノメーターの厚さである。別の好ましい実施態様において、酸化物層が約1μmから約2μmまで、更に好ましくは約1.3μmから1.8μmまでの厚さの範囲であり得る。
【0006】
酸化物層は酸化物表面を調製するためのあらゆる方法により生成し得る。一実施態様において、酸化物層は制御された様式で陽極酸化により調製し得る。また、酸化物層は金属又は金属合金の自然酸化から存在し得る。しかしながら、自然酸化物層は、表面の酸化に影響する現実の条件のために、典型的には一様ではなく、また厚さが一貫しない。自然酸化物層はまた典型的な陽極酸化された酸化物層よりも極めて薄く、例えば、アルミニウム上の自然酸化物層について約2〜15ナノメーターである。酸化物層は陽極酸化により生成し得ることが好ましい。金属支持体を陽極酸化することにより酸化物層を調製することは或る種の所望の性質(例えば、酸化物層の厚さ及び酸化物層の密度を含む)の調節を可能にする。陽極酸化はシーリング工程で起こることができ、又はシーリング工程なしに起こり得る。あらゆる先の、又は自然の酸化物層がブライトニング(brightening)と普通称されるプロセスで、制御された酸化の前に除去し得る。また、自然又は先の酸化物層が陽極酸化の前に金属又は金属表面に残し得る。陽極酸化は金属上に存在する自然酸化物層よりも利点を有する酸化物層を生成するのに数十年にわたって使用されてきた。この利点は、一部、陽極酸化中に生成され、より稠密な、又は多孔性ではない酸化物被覆物をもたらすより組織化された酸化物結晶構造のためであり得る。陽極酸化された被覆物は自然酸化層よりも極めて耐食性であろう。このような陽極酸化された酸化物被覆物が従来これらの理由のために自然被覆物よりも好まれていた。
【0007】
酸化物層は染料、塗料又はその他の添加剤でガラス層の適用の前に処理し得る。陽極酸化方法は酸化物層中に孔を生じ得るので、これらの孔が色を加え、光を吸収、屈折もしくは反射し、又はその他の望ましい性質を与える付加的な望ましい化合物、例えば、染料のために使用し得る。更に、ガラス層の性質のために、酸化物層をシールするのに使用されるより普通の方法とは対照的に、染料が適所にシールされて残り、酸化物層から浸出又はウォッシュアウトしないであろう。
金属製品は酸化物層の上にガラス層を有し得る。そのガラス層はケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩ガラスであってもよい。この開示の目的のために、ケイ酸塩ガラスはケイ酸塩を含む溶液の縮合重合から生じる重合されたケイ酸塩であり、またホウケイ酸塩ガラスはホウケイ酸塩を含む溶液の縮合重合から生じるホウ素源を含む重合されたケイ酸塩である。このガラス層のない酸化物層は本発明に起因する利益を与えないことに注目されたい。ガラス層は必要によりホウ酸塩化合物を含んでもよいアルカリ金属ケイ酸塩化合物の水溶液から誘導される。広く言えば、水溶液が金属表面に付着され、金属酸化物層を覆い、加熱されてケイ酸塩含有層を乾燥、硬化、重合し、それにより酸化物の上にケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩ガラス層を形成する。実施態様において、遷移界面層が酸化物とガラス層の間に見られ、化学的に結合された混合酸化物-ケイ酸塩複合体を含む。実施態様において、ガラス層は約50ナノメーターから約2000ナノメーターの範囲で、約1000nm未満、約750nm未満、約500nm未満、約250nm未満、又は約100nm未満を含み、非常に薄くてもよい。ガラス層は好ましくは約1000nm未満、更に好ましくは、約750nm未満である。
金属又は金属合金表面、酸化物層、及びケイ酸塩又はホウケイ酸塩ガラス層の間の関係の性質のために、金属製品はまた酸化物-ガラス層の組み合わせの厚さに基づいて特徴づけ得る。例えば、酸化物層、ガラス層及び介在層の組み合わせの厚さは約0.1μmから約10μmまで、又は約0.1μmから約5μmまでの範囲であり得る。酸化物層、ガラス層及び介在層の組み合わせの厚さは約0.1μmから約3μmまで、又は約0.1μmから約2μmまでの範囲であり得ることが好ましい。酸化物層、ガラス層及び介在層の組み合わせの厚さはまた約0.1μmから約1.0μmまでの範囲であり得る。
【0008】
ガラス層は金属ケイ酸塩を含む水溶液の被覆物を適用し、次いで被覆物を加熱して水を除去し、被覆物を硬化してケイ酸塩ガラス層を生成することにより調製し得る。同様に、ホウケイ酸塩ガラス層は金属ケイ酸塩及び金属ホウ酸塩を含む水溶液の被覆物を適用し、次いで被覆物を加熱して水を除去し、被覆物を硬化してホウケイ酸塩ガラス層を生成することにより調製し得る。金属ケイ酸塩は広く入手でき、また商業上の製造業者から濃縮された液体形態のアルカリ金属ケイ酸塩として普通に購入し得る。次いでこの物質に必要によりホウ酸塩そしておそらくその他の種々の薬品が添加し得る。
金属ケイ酸塩は高度に可溶性であるが、ホウ酸塩化合物はそれ程ではない。特別な努力がホウ酸塩化合物を被覆溶液に充分に溶解するのに必要とされる。特に、被覆溶液のゲル化がホウ酸塩及びケイ酸塩を溶液中で合わせることと関連する普通の問題である。現在まで、ホウ酸塩及びケイ酸塩、特にケイ酸リチウムナトリウムを含む安定な溶液が、文献に開示されていなかった。この開示が金属材料を被覆する際の使用のためのホウ酸塩及びケイ酸塩を含む安定な水溶液を提供する。
【0009】
金属ケイ酸塩はリチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの混合物である金属対イオンを有することができ、こうして金属ケイ酸塩はアルカリケイ酸塩、又はアルカリ金属ケイ酸塩と称し得る。同様に、ホウ酸塩はリチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの混合物である金属対イオンを有し得る。ホウ酸塩の金属対イオンはアルカリ金属、即ち、リチウム、ナトリウム又はカリウム、及びこれらの混合物であることが好ましい。
ケイ酸ナトリウムを含む溶液はシリカ対ナトリウム質量比により記載することができ、約1.5から3.6まで、更に好ましくは約2.5から約3.3までの範囲のシリカ対ナトリウム質量比を有し得る。ケイ酸カリウム溶液は約1.6から約2.5までの範囲の、シリカ対カリウム質量比を有し得る。ケイ酸リチウム溶液は約7から約10までの範囲、好ましくは約7.5のシリカ対リチウム質量比を有し得る。本開示に適用し得るケイ酸ナトリウムの一銘柄はPQ社により販売されるケイ酸塩である。例えば、PQ型ETMケイ酸ナトリウムは典型的には約3.2のSiO2:Na2O質量比を有する。別の例は約2.5のSiO2:Na2O質量比を有する、PQスターTMケイ酸ナトリウムであろう。ケイ酸リチウムの例は約7.63のSiO2:Li2O比を有するPQリチシル25TMであろう。
金属ケイ酸塩及び金属ホウケイ酸塩を含む安定な水溶液はまた溶液中に存在するSiO2対M2O(この場合、Mはアルカリ金属対イオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムを表す)のモル比により記載し得る。実施態様において、SiO2:M2Oモル比は約2.3から約3.8まで、好ましくは2.3より大きく約3.6までの範囲であり得る。一つの好ましい実施態様において、SiO2:M2Oモル比は約3.0から約3.3までの範囲であり得る。
【0010】
ホウ酸塩は水に可溶性かつ安定なあらゆる可溶性のホウ酸塩化合物であってもよい。ホウ酸塩は、典型的には10の溶媒和分子を含む(即ち、デカ水和物)、ホウ酸ナトリウム、又は四ホウ酸ナトリウムとしてまた知られている、ボラックスであることが好ましい。その他の四ホウ酸ナトリウム水和物だけでなく、水中でホウ酸塩を生成するホウ素のその他の源が同様に容認される。ボラックスが最も普通に使用されるホウ酸塩であるが、ケイ酸塩と組み合わせてホウケイ酸塩ガラスを生成するあらゆるホウ酸塩化合物が容認され、但し、安定な水溶液が生成し得ることを条件とする。実施態様において、ホウ酸塩は全体の希釈された溶液質量に対し約5質量%までの量(約1質量%〜約5質量%、好ましくは約1質量%〜約4質量%、更に好ましくは約2質量%〜約3質量%を含む)で存在し得る。この開示の目的のために、示される質量%はボラックスを基準とする質量%計算であると理解される。使用し得る別のホウ酸塩化合物は異なる分子量ひいては均等モル数のホウ酸塩についての溶液に対し異なる質量%を有するであろう。当業者は本開示においてボラックス質量%に基づいてケイ酸塩対ホウ酸塩の比を決めることができ、その比から別のホウ酸塩化合物について相当する質量%を決めることができる。
ナトリウムはガラスポリマーの生成のための成分として重要であるが、それは曇りをガラス表面に形成させる(普通、風解と称される)のでしばしば問題がある。この層は無害であるが、ガラス表面の外観に影響する。しかしながら、ナトリウムの不在下で、ケイ酸塩ガラスが焼成中に普通亀裂するが、典型的なガラス生成(即ち、キルン)における焼成は現在の方法と較べて極めて高い温度で行なわれる。ナトリウム及び別の金属対イオンを含む混合物は風解を制限しつつ、ナトリウムがガラス生成に与える利益を依然として維持し得る。それ故、一実施態様において、水溶液のナトリウム含量が溶液中に存在する全金属対イオンの少なくとも約10原子%、好ましくは約30原子%であってもよい。別の実施態様において、その溶液が全金属対イオンに対して少なくとも約30原子%のナトリウム及び少なくとも一種のその他の金属対イオン(これはリチウム又はカリウムであってもよい)を含む。当業者は存在するナトリウムの量がナトリウム対イオンのあらゆるその他の源に加えて、ケイ酸ナトリウムだけでなく、その溶液に添加されたホウ酸ナトリウムに由来し得ることを認めるであろう。ナトリウムの量はまたその他の金属イオンに対する比として記載でき、例えば、リチウム及びナトリウムを含む溶液は約1:9〜約9:1、好ましくは1:2.3〜約2.5:1、又は更に好ましくは約1:1.5から約1.5:1までのNa:Liの比を有し得る。また、ガラス層、例えば、ケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩ガラスを生成するための重合が水の放出をもたらすので、金属製品に存在するガラス層の金属イオン含量はそれを調製するのに使用された水溶液の金属イオン含量に等しくあり得る。
【0011】
安定な水溶液はその溶液の比重により記載し得る。実施態様において、比重が約1.05から約1.3まで、好ましくは約1.10から約1.20まで、更に好ましくは約1.12から約1.18まで、更に好ましくは約1.13から約1.17まで、最も好ましくは約1.14から約1.16までであってもよい。安定な水溶液の比重はSiO2及びM2Oの相対量を変えないで水を添加又は除去することにより変化し得る。
安定な水溶液はまたその他の添加剤を含み得る。例えば、C1-C6アルコールが典型的には湿潤効果により、金属表面への水溶液の適用を改良し得る。アルコールは好ましくはC3-C5アルコール、更に好ましくはC4アルコール、例えば、ブタノールであってもよい。アルコールは約3質量%まで、好ましくは約0.5質量%から約2質量%までの濃度で存在し得る。少量のその他の添加剤はその溶液が利用し得る方法に基づいて使用し得る。このような添加剤は約0.001容積%から約0.005容積%までの量で存在し得る。例えば、消泡剤は被覆物が噴霧又は混合される場合に利用し得る。消泡剤の一例はUltra Additives製の市販の添加剤である、DeeFo#916であろうが、当業界で知られているその他の消泡剤及びその他の添加剤が溶液取扱特性を改良するのに使用し得る。
別の実施態様において、金属表面を被覆するための安定な水溶液は実質的にアルカリ金属ケイ酸塩、約1質量%〜約5質量%のボラックス、水、及びC1-C6アルコール、好ましくはブタノールからなり得る。
ケイ酸塩を含む溶液はケイ酸塩及び水を50-100℃の温度に加熱し、次いでその他の成分を添加し、撹拌して添加剤を可溶化することによりつくり得る。充分な混合後、その溶液が冷却され、濾過されて(1.2μmのフィルター)粒状物を除去し、室温で安定である透明な溶液を生じ得る。その溶液はまたホウ酸塩を温水(好ましくは約35℃〜約45℃)に溶解し、アルカリ金属ケイ酸塩又はケイ酸塩の混合物を水に別々に溶解し、そのホウ酸塩溶液をアルカリケイ酸塩溶液に添加することにより調製し得る。冷却及び濾過後、これらの水溶液は室温で安定のままであろう。
【0012】
ケイ酸塩又はホウケイ酸塩水溶液を金属酸化物表面に適用するための方法は溶液を金属表面に適用するために当業界で知られているあらゆる方法であってもよい。例えば、その溶液が噴霧又はブラシ掛けし得る。金属酸化物表面はロールでロール被覆でき、又はそれは溶液に浸漬され、排水し得る。スピン被覆及び当業界で知られているような金属を溶液で被覆するその他の方法が同様に有効である。どんな被覆の方法においても、溶液が一般に約20μm未満の被覆物を金属又は金属合金に残す。被覆物の厚さは溶液の比重を調節することにより調節でき、例えば、比重を増大するとより厚い被覆物を与えることができ、一方、比重を減少するとより薄い被覆物を与えることができる。
注目するに、実施態様において、金属に存在する溶液被覆物は約20μm未満であるべきである。あまりにも厚い被覆層は乾燥プロセス中に泡になり、泡立ち、平滑かつ一様ではなく、しかも金属表面を保護せず、又は開示された被覆物の性質を与えないガラス層をもたらすであろう。金属表面の被覆物は乾燥されて水を除去し、その後に高温で重合されてポリマーガラスを生成し得る。その重合は水を生成する縮合重合であり、水蒸気の発生が被覆層の厚さにより制限される。泡立ち及び泡形成は平滑かつ一様ではない最終のポリマーガラス表面を残す。それ故、開示の一局面は約15μm未満、好ましくは約10μm未満、更に好ましくは約5μm未満の溶液層を金属酸化物表面に被覆することであり得る。約2μm未満の被覆層がまた有効なガラス層を与え得る。
【0013】
被覆物が金属酸化物に適用された後に、金属製品が数秒〜1時間又はそれ以上にわたって約200℃〜約500℃の範囲の温度に加熱されて水を除去し、ケイ酸塩又はホウケイ酸塩被覆物からガラス層への化学変換を促進し得る。必要により、低温乾燥が200℃より高い温度における加熱の前に行ない得る。被覆物は少なくとも約200℃の温度、少なくとも約220℃の温度、又は少なくとも約250℃の温度で硬化し得る。また、被覆物は約200℃〜約500℃、約200℃〜約400℃、又は約250℃〜約350℃で硬化し得る。被覆物は少なくとも約15秒にわたって硬化し得る。加熱時間及び温度は、例えば、被覆溶液及び被覆される物品を含む、幾つかの因子に応じて変化し得る。例えば、その表面に被覆溶液を有する薄いアルミニウムシートは非常に素早く加熱され、被覆物が約290℃で15秒間でガラス層に変換し得る。対照的に、厚い金属物体、例えば、金属バーは、より長い加熱時間を要するであろう。何とならば、バーそれ自体の熱量が或る温度に達する必要があり、その後にその外表面の被覆物がガラス層に変換するからであろう。理論により束縛されないが、温度及び加熱時間は、例えば、金属が妥当な温度でオーブン中で費やす時間の量ではなく、金属が妥当な温度で費やす時間に基づいて定性的に評価し得る。当業者はまたより高い硬化温度が短い硬化時間を必要とし得ることを認めるであろう。逆に、より低い硬化時間が或る種の被覆溶液に有益であるかもしれない。
溶液は容易に適用され、或る場合には素早く硬化し得るので、金属製品はバッチ加工ではなく、連続様式で調製され、製造上の利点を与え得る。実施態様において、金属のコイルが金属の表面を陽極酸化することにより調製される。コイルがロール被覆ラインに供給され、金属の表面が洗浄される。表面が水、アルカリ性溶液、又は洗浄溶液で洗浄し得る。次いでアルカリケイ酸塩溶液が製造方法中に進行するにつれて、それが金属コイルの表面に適用され、その表面が続いて加熱されてケイ酸塩被覆物を硬化する。金属温度が少なくとも15秒にわたって約200℃〜約300℃に達する。コイルが夫々の側で別々に、一側のみに、又は同じ製造運転で両側で被覆され、加熱し得る。被覆及び硬化後に、金属製品が水で冷却され、コイルに巻き返し得る。
【0014】
この開示の金属製品は従来技術の陽極酸化された製品よりも多くの利点を有する。例えば、ガラス層-酸化物組み合わせにより形成された透明な被覆物は金属表面が通して見えることを可能にし、下にある金属シートの固有の測光特性に影響しない。その表面の固有の測光特性として、例えば、反射率、明るさ、透明性、色、ブラシ掛けされたニッケルに存在するような表面組織、等を含むが、これらに限定されない表面に所望されるあらゆる測光特性が挙げられる。一実施態様において、全反射率は75%より大きく、好ましくは80%より大きく、更に好ましくは85%より大きい。また、下にある金属と金属-金属酸化物-ガラス層を含む開示された金属製品との間の反射率の損失は約2%未満、好ましくは約1%未満、更に好ましくは約0.5%未満であってもよい。金属製品が光を反射する能力は主として金属の表面に存在する酸化物の量に制限される。何とならば、その酸化物層の上のガラス層が殆ど透明であるからである。
また、金属製品は優れた耐食性及び耐候性を示す。実施態様において、金属製品がASTM B-117-37により測定して約350時間より大きく、好ましくは約600時間より大きく、更に好ましくは約1200時間より大きく、最も好ましくは約3000時間より大きい中性塩噴霧腐食試験下で腐食を示さない。実施態様において、金属製品がDIN 50021 ESSにより測定して約500時間で腐食なし、約800時間で約1%未満のわずかな腐食そして約1000時間で約7%未満のわずかな腐食という、酢酸塩噴霧試験についての改良された耐食性を示す。
開示された金属製品の耐熱性は優れている。金属製品の耐熱性は下にある金属の感受性により制限され、ガラス層により制限されない。金属製品は10時間以上にわたってオーブン中で350℃で保持し得る。金属層が融解し始め、透明なガラス層を残すまで、金属製品がプロパントーチで加熱し得る。それ故、実施態様において、金属製品は約350℃まで、約500℃まで、約700℃まで、又は金属支持体のほぼ融点までの拡大された耐熱性を有し得る。
【0015】
開示された金属製品の硬度及び耐引掻き性がまた優れている。実施態様において、金属製品は6より大きく、好ましくは7より大きく、更に好ましくは8より大きい鉛筆硬度を有し得る。例として、0.75μmの厚さのガラス層を有する金属製品は金属表面を陽極酸化し、シールすることにより調製された4μmの厚さの酸化物層と同じ耐引掻き性を有する。同時に、その開示の金属製品は5分後に70℃の8%の水酸化ナトリウム溶液による制限された侵食を示すが、4μmの厚さの陽極酸化された金属は1分で劣化そして2〜3分後に完全な溶解を示す。
本開示の金属製品はまた耐食性のほかに利点を与える。例えば、多くの金属、例えば、ステンレス鋼、チタンは固有の耐食性又は硬度を有する。これらの金属表面を被覆するとその他の改良された性質を生じる。例えば、金属表面の全体の外観は汚染物質、例えば、スス、汚れ、等が表面被覆物の孔に、又はその内部に蓄積する場合に通常の環境条件下で劣化するであろう。指紋からの残留油が同様に問題である。これらの汚染物質を洗浄により除去することは比較的平滑な酸化物表面についてさえもしばしば問題がある。何とならば、汚染物質が金属表面の顕微鏡的孔に蓄積するからである。これらの材料を本開示の製品で被覆することは、例えば、洗浄をより容易にすることによりこれらの表面の管理を改良する。何とならば、一部、ガラス層の表面が極めて平滑であるからである。金属酸化物はμmのサイズスケールで孔を有し、一方、ガラス層はナノメーターのオーダで、より小さい大きさの数オーダの孔を有する。このような被覆物は、例えば、建築デザインもしくは彫刻、又は反射表面、例えば、ソーラー反射体に適用し得る。
【0016】
加えて、本開示の金属製品は加工に関して多くのその他の利点を示す。一般に、陽極酸化はかなりの量のエネルギーを必要とし、より厚い酸化物層は一層の保護を与えるものの、より厚い酸化物層をつくることは極めて長い陽極酸化を必要とし、そしてまた灰色及び下にある金属表面の特性、例えば、高反射率の損失をもたらす。陽極酸化された酸化物層はまた多くのエネルギーを必要とするプロセス、例えば、沸騰水又は塩沈殿及び膨潤によりシールされる必要がある。最良の酸化物層は陽極酸化された層をクロム酸塩で処理することにより調製されるが、クロム塩の毒性が良く実証されており、このプロセスを高度に望ましくないようにする。また、或る種の酸化物層はエポキシで処理することにより保護し得るが、揮発性の有機炭素放出物がまた問題であり、エポキシ保護された製品は本開示のその他の改良された特性を示さないであろう。
対照的に、先の開示で示され、また更に下記の実施例で示されるように、酸化物被覆物を有する金属製品の開示されたガラス層はこれらの欠点を解消する。それは非常に薄い酸化物層のみを必要とすることによりコストを低減し、透明性及びその他の金属特性を維持し、より優れた耐食性、より速い加熱及び冷却サイクル中のより速い加工を与え、かつ重金属又はVOCと関連する環境コストを回避する。それはまた陽極酸化された酸化物層よりも平滑であり、陽極酸化された酸化物と較べてより小さい孔を有し、そしてまた陽極酸化された酸化物層よりも一様であり、かつ平らである表面を有する金属製品を提供する。
【実施例】
【0017】
例として、限定ではなく、下記の実施例が本開示の種々の実施態様の例示であり、行なわれた実験試験を更に説明する。
【0018】
(実施例1)
陽極酸化されたアルミニウム又はアルミニウム合金表面を硬質の、耐熱性かつ耐食性の透明な被覆物で処理又は被覆する典型的な方法を以下に記載する。
陽極酸化された金属パネルを最初に洗剤(即ち、シンプル・グリーン)で洗浄し、水ですすぎ、空気により、又は乾燥したきれいな布で乾燥し得る。パネルの表面をトーチにかけて(数秒にわたってブタントーチの開放火炎に暴露して)表面水分を除去し、水酸化物を脱水し、次いで30〜60℃の温度に冷却し得る。次いでパネルをケイ酸ナトリウム水溶液(例えば、3.22のSiO2:Na2O質量比)に浸漬し、1.02〜1.3の比重まで水で希釈する。外観及び耐食性の両方を改良するために、四ホウ酸ナトリウム10水和物(ボラックス)の水溶液を1〜5質量%の最終ボラックス濃度のためにそのケイ酸ナトリウム溶液にまた添加し得る。また、ボラックス粉末を希釈されたケイ酸ナトリウム溶液に撹拌しながら高温(50-100℃)で直接添加し得る。続いて補給物0.5-2質量%の1-ブタノール(n-ブチルアルコール)及び0.001-0.005容積%のDeeFo #916(ウルトラ・アディティブズ)を添加してそのケイ酸塩溶液の湿潤性を変化し得る。次いでその溶液を濾過して(即ち、1.2μmのフィルターにより)粒状物を除去し得る。その金属サンプルをケイ酸ナトリウム溶液に浸漬又は沈下し(即ち、1秒〜30分)、次いで慎重に引き出し得る。被覆物を室温で乾燥させ、又は加熱オーブン中に直ちに入れ得る。サンプルの温度を30秒〜1時間にわたって200-350℃の温度に到達させ得る。硬化された被覆サンプルを室温で冷却し、又は水溶液中で冷却し得る。
【0019】
(実施例2)
酸化物層を含むアルミニウムパネルを実施例1に従って調製されたケイ酸塩被覆物で被覆し得る(酸化物層を有するアルミニウムシートをホウケイ酸ナトリウム溶液の溶液でロール被覆することにより)。被覆溶液を1時間にわたって200-350℃に加熱し得る。
【0020】
(実施例3)
ケイ酸塩ガラス層を有するアルミニウム自動車ホイールリムを実施例1と同様の様式で調製した。ホイールリムをホウケイ酸ナトリウム溶液に浸漬し、過剰の溶液を排出するように回転させて均等な被覆を確実にし、オーブン中で20分間にわたって200-350℃に加熱した。
【0021】
(実施例4)
実施例1に従って調製された溶液を使用して酸化物被覆物を有するチタンパネルを被覆した。そのタイルをホウケイ酸ナトリウム溶液で浸漬により被覆し、オーブン中で1時間にわたって200-350℃で加熱した。
【0022】
(実施例5)
エアークラフトランディングギヤーに典型的に使用される組成の陽極酸化されたステンレス鋼バーを実施例1の溶液と同様のホウケイ酸ナトリウム溶液に浸漬することにより被覆した。バーを除去し、乾燥させ、オーブン中で1時間にわたって200-350℃で加熱した。
【0023】
(実施例6)
この実施例はケイ酸塩ガラスを有する被覆された金属物体を調製するのに有益な溶液を示す。
ナトリウム金属対イオン及びリチウム金属対イオンの混合物を含むアルカリホウケイ酸塩溶液を調製した。最初に、濃縮された市販液体ケイ酸ナトリウム溶液及びケイ酸リチウム溶液を合わせた。次いでボラックス(四ホウ酸ナトリウム10水和物)を温水に完全に溶解した。次いでそのボラックス溶液をそのアルカリケイ酸塩溶液に添加して被覆溶液をつくった。その被覆溶液中の最終ボラックス組成は1-5質量%であってもよい。一例において、その最終溶液組成は13.0質量%のSiO2、1.7質量%のNa2O、1.2質量%のLi2O、1.1質量%のB2O3、及び83.0質量%のH2Oであり、約3質量%のボラックスで約1.15の比重を有していた。その溶液を1.2mmのフィルターにより濾過した。パネルを実施例1に記載されたように浸漬被覆し、焼成した。
【0024】
(実施例7)
この実施例はケイ酸塩ガラス層を有する被覆された金属物体を調製するのに有益な溶液を示す。
約1.17の比重を有するケイ酸ナトリウム溶液を、ボラックス1.389kgを温水24.25Lに溶解し、1.4の比重を有するケイ酸ナトリウム15.75Lを水24.25Lに別々に希釈し、そのボラックス水溶液をその希釈されたケイ酸ナトリウム溶液に添加し、続いて濾過することにより調製した。
【0025】
(実施例8)
この実施例はケイ酸塩ガラス層を有する被覆された金属物体を調製するのに有益な溶液を示す。
約1.146の比重を有するケイ酸ナトリウムリチウム溶液を、水45.1Lを小さい黒色のドラム中で35-40℃に加熱し、ボラックス3400gをその加熱された水に溶解し、ケイ酸ナトリウム11.8L及びケイ酸リチウム43.1Lを中間アルミニウムドラム中で混合し、次いでそのボラックス水溶液をそのケイ酸ナトリウムリチウム溶液に添加することにより調製した。その溶液を濾過し、貯蔵した。
【0026】
(実施例9)
この実施例はケイ酸塩ガラス層を調製する別の操作を示す。
2工程焼成操作を使用してより厚い被覆物の被覆特性を改良し、又は亀裂を防止し得る。サンプルを被覆した後、それを加熱されたオーブンに入れ、15秒〜1時間にわたって100-200℃の温度に到達させる。続いて、それを高温のオーブンに直接入れ、1分〜1時間にわたって200-350℃で2回目に焼成した。
また、2回目の焼成の前に、サンプルを、例えば、その他の溶液、例えば、CaCl2溶液で被覆することにより、又は室温〜55℃の温度で1-15秒にわたって酸溶液(即ち、酢酸、pH2-3)に浸漬し、排水し、水ですすぐことにより更に処理し得る。次いでサンプルを上記されたように2回目に焼成し得る。
最終焼成後、重合プロセスを酸処理により改良し得る。また、被覆物の外観及び風解を焼成処理後に酸処理及び/又は洗浄工程で改良し得る。その処理はサンプルが依然として熱い間に、又はそれが硬化処理後に冷却された後にサンプルを1〜15秒にわたって20-60℃の温度で酸性溶液(即ち、酢酸又はリン酸、pH2-3)に浸漬することを伴なう。被覆された表面はまたそれが焼成工程から冷却された後に市販の塩基性クリーナー(即ち、シンプル・グリーン又はライム・アウェー)で洗浄でき、続いて水中で最後にすすがれる。
【0027】
(実施例10)
陽極酸化されたアルミニウムコイルをロールコート方法により大規模製造ラインで硬質、耐熱性かつ耐食性の透明な被覆物で被覆する方法は以下のとおりである。
アルミニウムコイルを80-150フィート(24-46m)/分の速度でロールコートラインに供給し、そこでそれを最初に熱水中ですすいだ(又はアルカリ性溶液中で洗浄した)。ピックアップロールを実施例1又は実施例6に従って調製された被覆溶液の溜め中に部分的に沈めた。ピックアップロールがその被覆溶液を被覆ロールに移した。洗浄した後、アルミニウムシートを被覆ロールの上に通し、溶液の薄い層で被覆されるようになった。一旦被覆されると、コイルが熱処理を受け、その結果、金属温度が15-60秒にわたって200-300℃に達した。被覆物を硬化した後、被覆物の表面を水で冷却し、金属を直ちにコイルに巻き戻した。
異なる製造運転では、アルミニウムシートを最初に一面をロール掛けし、次いで反対の面をロール掛けし、次いでコイルを熱処理する(その結果、金属温度が15-60秒にわたって200-300℃に達した)ことにより両面で被覆した。
コイルにされたアルミニウムのケイ酸塩被覆物の厚さを、ケイ酸塩溶液の比重及び/又はロール被覆操作のパラメーターを調節することにより変化し得る。更に、コイルがそのプロセスを通過する速度及び/又はオーブン温度を調節して被覆される金属コイルの型に特異的な最適の硬化温度を見つけることができる。
上記の場合の全てにおいて、被覆物が不十分に硬化される場合に、第二の加熱工程を行ない得ることに注意することが重要である。
【0028】
(実施例11)
走査電子顕微鏡画像
図1及び図2はロール被覆方法でアルミニウムに適用された被覆物のSEM画像である。被覆されたアルミニウムサンプルを液体窒素に浸漬し、分解した。図1中の夫々のSEM画像において、下にあるアルミニウム支持体は最も低い画像部分にある。多孔性の陽極酸化された酸化アルミニウム層はアルミニウム支持体をオーバーレイし、約0.17-0.19μmの範囲の厚さを有する。アルミナ-ケイ酸塩遷移領域及び外部のガラス層からなる約170-200nmの厚さの薄い上層が酸化物層を覆う。同様に、図2中、SEM画像はより厚いそれ程多孔性ではない酸化アルミニウム層、アルミナ-ケイ酸塩遷移層、及び界面に沿って現れる層によるケイ酸塩ガラス層の上部被覆物を示す。Al2O3を含む三つの複合層は1.69〜1.83μmの範囲の厚さを有し、遷移層及びケイ酸塩ガラス層がその厚さの5%〜10%のオーダを構成する。
図3-8はこの開示に従って調製された、アルミニウム上のケイ酸塩ガラス被覆物のSEM画像である。図3及び図4中で、凍結分解された材料の表面及び断面のSEM画像が見られる。ケイ酸塩ガラス層の平滑な表面が陽極の酸化物層の上に見られ、この場合、酸化物層は約3.5μmの厚さであり、またケイ酸塩ガラス層は約500nmの厚さである。ケイ酸塩層の厚さは若干変化し得ることに注目されたい。SEM画像において、測定された値は476〜535nmである。一部、これは装置誤差のためであるが、それはまた本開示についての利点を明らかにする。陽極の酸化物の表面は完全には平らではないが、実際に変化し、一方、酸化物の上のケイ酸塩被覆物は極めて平滑かつ平らである。その結果として、ケイ酸塩被覆層の厚さの変化が観察し得るが、平均厚さは殆ど一定に留まるであろう。
図5及び図6は断面を明らかにするために凍結分解された、別のサンプルのSEM写真を示す。金属表面の上の酸化物層が、1.4〜約1.6μmの厚さで見られる。加えて、酸化物層の上のケイ酸塩ガラス層がまた、約340〜480nmの酸化物厚さで明瞭に見られる。図7及び図8は断面を明らかにするために凍結分解されたサンプルについてのSEM写真の別の組を示し、570〜630nmの厚さのケイ酸塩ガラス層で被覆された1.85〜2.15μmの厚さの酸化物層を示す。
【0029】
(実施例12)
図9は陽極酸化され、シールされたアルミニウムシートと比較された開示の被覆物の比較例である。図9の右手側のアルミニウムのシートを陽極酸化し、沸騰している熱水への挿入によりシールした。次いでその標本をサンプルの表面の引掻き及び288時間にわたる塩噴霧への表面の暴露を含むフォードモーター社のフィリフォーム試験にかけた。左のサンプルを右のサンプルと同じ陽極酸化工程で処理したが、シールせず、ケイ酸塩被覆物を実施例1に従って適用した。同じフォードフィリフォーム試験を行なったが、被覆されたサンプルを800時間にわたって処理した。右のサンプルは288時間における引掻きでくぼみマーク及び若干の表面移動を発生した。左のサンプルは腐食環境により影響されない連続の保護被覆物を与えた。
【0030】
(実施例13)
開示の被覆されたアルミニウム金属製品について行なわれた種々の試験の結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
(実施例14)
性能結果を本開示のロール被覆されたアルミニウムシートと陽極酸化及びシーリング(即ち、酢酸ニッケル)の現在の技術水準の方法により調製されたアルミニウムシートの間で比較する。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
(実施例15)
この実施例は金属ケイ酸塩被覆溶液及び本開示で有益なこれらの溶液のパラメーターを示す。
図10中で、一連の金属ケイ酸塩被覆溶液を、液体ケイ酸ナトリウム及び液体ケイ酸リチウムを使用して調製でき、容積%及び比重を或る範囲の溶液について測定する。上のグラフはケイ酸ナトリウムとしてのPQスターTM及びケイ酸リチウムとしてのPQリチシル25TMを含むシリーズを示す。下のグラフはPQ型Eケイ酸ナトリウムを使用することによるシリーズを示す。ケイ酸ナトリウム及びケイ酸リチウムの相対量を凡例に示す。
図11中で、一連のケイ酸ホウ酸ナトリウム被覆溶液を、PQスターTM(上のグラフ)又はPQ型ETM(下のグラフ)ケイ酸ナトリウム及びボラックスを使用して調製した。20容積%のケイ酸ナトリウム、50容積%のケイ酸ナトリウム、及び80容積%のケイ酸ナトリウムを含む希釈された溶液を、凡例に示したように調製した。ケイ酸塩対金属対イオンのモル比及び溶液容積を溶液中のボラックスの量を基準として示す。
図12中で、一連の金属ケイ酸塩ホウ酸塩被覆溶液を、ケイ酸ナトリウムとしてのPQスターTM(上のグラフ)又はPQ型ETM(下のグラフ)、ケイ酸リチウムとしてのPQリチシル25TM、及び金属ホウ酸塩の源としてのボラックスを使用して調製した。溶液に溶解されたボラックス(四ホウ酸ナトリウム10水和物)の量の関数としての液体アルカリケイ酸塩でつくられた希釈された水溶液のモル比(SiO2/A2O(アルカリ))を示す。この場合、A2OはNa2OとLi2Oの合計を意味する。ボラックスの量を希釈された溶液の質量当りのボラックスの質量と定義する。溶液は水中50容積%のケイ酸塩溶液である。
本明細書に記載された現在好ましい実施態様についての種々の変化及び改良が当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変化及び改良が本主題の精神及び範囲から逸脱しないで、またその意図される利点を減少しないでなし得る。それ故、このような変化及び改良が特許請求の範囲により含まれることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属又は金属合金、
その金属又は金属合金の表面上の酸化物層、及び
その酸化物層の上のケイ酸塩ガラス層
を含むことを特徴とする金属製品であって、ケイ酸塩ガラス層が約2000nm未満の厚さを有する、前記金属製品。
【請求項2】
金属又は金属合金がZn、Mn、Mg、Al、Ti、Fe、Cr、Ni、Pb及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1記載の金属製品。
【請求項3】
金属又は金属合金がAl、Ti、Cr、Mn、Ni及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1記載の金属製品。
【請求項4】
金属又は金属合金がAlである、請求項1記載の金属製品。
【請求項5】
ケイ酸塩ガラスがケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液から誘導される、請求項1記載の金属製品。
【請求項6】
水溶液中に存在するアルカリ金属が少なくとも約10原子%で存在するナトリウムである、請求項5記載の金属製品。
【請求項7】
ケイ酸塩ガラスがホウケイ酸塩ガラスである、請求項1記載の金属製品。
【請求項8】
ホウケイ酸塩ガラスがケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属ケイ酸塩、及びホウ酸塩化合物を含む水溶液から誘導される、請求項7記載の金属製品。
【請求項9】
水溶液中に存在するアルカリ金属が少なくとも10原子%で存在するナトリウムを含む、請求項8記載の金属製品。
【請求項10】
ガラス層が約1000nm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項11】
ガラス層が約750nm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項12】
ガラス層が約500nm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項13】
酸化物層が約5μm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項14】
酸化物層が約3μm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項15】
酸化物層が約1μm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項16】
酸化物層が約0.50μm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項17】
酸化物層が約0.02μmからの範囲の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項18】
アルミニウム又はアルミニウム金属合金表面、酸化物層、及びホウケイ酸塩ガラスの被覆物を含むことを特徴とする被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金であって、ホウケイ酸塩ガラスが約1000nm未満の厚さである、前記被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項19】
ホウケイ酸塩ガラスが約500nm未満の厚さである、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項20】
ホウケイ酸塩ガラスが約250nm未満の厚さである、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項21】
6より大きい鉛筆硬度を有する、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項22】
約350時間より大きい塩噴霧耐食性(ASTM B-117-37により測定される)を有する、
請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項23】
約75%より大きい全反射率を有する、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項24】
約2%より小さい反射率の変化を有する、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項25】
金属製品の調製方法であって、その方法が
酸化物層を有する金属又は金属合金を選び、
安定なケイ酸塩水溶液の被覆物を金属又は金属合金に適用し、そして
金属又は金属合金の上のケイ酸塩被覆物を少なくとも約200℃の温度で乾燥させ、硬化させることを特徴とする金属製品の調製方法。
【請求項26】
被覆物を適用する前に既存の酸化物層を金属又は金属合金から除去し、金属又は金属合金の表面を酸化して新たに酸化された層を金属又は金属合金の上につくり、そして
安定なケイ酸塩水溶液の被覆物を新たに酸化された金属又は金属合金に適用することを更に含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
金属又は金属合金がZn、Mn、Mg、Al、Ti、Fe、Cr、Ni、Pb及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項25記載の方法。
【請求項28】
金属又は金属合金がAl、Ti、Cr、Mn又はNi及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項25記載の方法。
【請求項29】
安定なケイ酸塩水溶液が金属ケイ酸塩を含むケイ酸塩溶液であり、かつその溶液の比重が約1.05から約1.30までの範囲である、請求項25記載の方法。
【請求項30】
その溶液の比重が約1.10から約1.20までの範囲である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
その溶液の比重が約1.13から約1.17までの範囲である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
金属対イオンがLi、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項29記載の方法。
【請求項33】
溶液中の金属対イオンの少なくとも一部がNaを含み、かつNaが金属対イオンの少なくとも約10原子%で存在する、請求項29記載の方法。
【請求項34】
安定なケイ酸塩水溶液が金属ホウ酸塩を更に含み、かつその金属ホウ酸塩がその溶液の約5質量%までの範囲の量で存在する、請求項29記載の方法。
【請求項35】
金属ホウ酸塩がボラックス又は四ホウ酸ナトリウムである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
金属ホウ酸塩が約1質量%から約4質量%までの範囲の量で存在する、請求項34記載の方法。
【請求項37】
被覆物を少なくとも約220℃の温度で硬化する、請求項25記載の方法。
【請求項38】
被覆物を少なくとも200℃から約500℃までの範囲の温度で硬化する、請求項25記載の方法。
【請求項39】
被覆物を約15秒から約1時間までにわたって硬化する、請求項25記載の方法。
【請求項40】
陽極酸化されたアルミニウムコイルの上にホウケイ酸塩ガラス層を調製するための連続方法であって、その方法が
陽極酸化された酸化アルミニウム層を含むアルミニウムコイルを調製し、
そのアルミニウムコイルをロールコートラインに供給し、
そのアルミニウムコイルの表面をアルカリ性溶液又は水で洗浄し、
アルカリ金属ケイ酸塩溶液をそのアルミニウムコイルの表面に適用し、そして
金属温度が少なくとも約15秒にわたって約200℃から約300℃までの範囲であるようにアルミニウムコイルの表面を熱で処理することを特徴とする、前記連続方法。
【請求項41】
アルミニウム金属を水で冷却し、そして
アルミニウム金属をコイルに巻き直すことを更に含む、請求項40記載の連続方法。
【請求項42】
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせ、及びホウ酸塩化合物を含む、請求項40記載の連続方法。
【請求項43】
アルカリ金属ケイ酸塩溶液をアルミニウム表面上に約15μm以下の厚さを与える速度でアルミニウム表面に適用する、請求項40記載の連続方法。
【請求項44】
Li、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属対イオンを有する金属ケイ酸塩、及び
Li、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属対イオンを有する金属ホウ酸塩を含む安定な水溶液であって、その溶液が約1.05から約1.30までの範囲の比重を有し、かつその金属ホウ酸塩が約5質量%までの範囲の量で存在することを特徴とする、前記安定な水溶液。
【請求項45】
その溶液の比重が約1.10〜約1.20の範囲である、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項46】
その溶液の比重が約1.13〜約1.17の範囲である、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項47】
金属ホウ酸塩が約1質量%から約4質量%までの範囲の量で存在する、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項48】
金属ホウ酸塩が約2質量%から約3質量%までの範囲の量で存在する、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項49】
溶液中の金属対イオンの少なくとも一部がNaであり、かつNaが金属対イオンの少なくとも約30原子%で存在する、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項50】
アルカリ金属対イオンがナトリウム及びリチウムを含み、ナトリウムがアルカリ金属対イオンの約40原子%で存在し、金属ホウ酸塩が約3質量%の量で存在する四ホウ酸ナトリウム10水和物であり、かつその溶液の比重が約1.15である、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項51】
アルカリ金属ケイ酸塩溶液を約20μm以下の厚さの量で金属又は金属合金に適用する、請求項25記載の方法。
【請求項1】
金属又は金属合金、
その金属又は金属合金の表面上の酸化物層、及び
その酸化物層の上のケイ酸塩ガラス層
を含むことを特徴とする金属製品であって、ケイ酸塩ガラス層が約2000nm未満の厚さを有する、前記金属製品。
【請求項2】
金属又は金属合金がZn、Mn、Mg、Al、Ti、Fe、Cr、Ni、Pb及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1記載の金属製品。
【請求項3】
金属又は金属合金がAl、Ti、Cr、Mn、Ni及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1記載の金属製品。
【請求項4】
金属又は金属合金がAlである、請求項1記載の金属製品。
【請求項5】
ケイ酸塩ガラスがケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液から誘導される、請求項1記載の金属製品。
【請求項6】
水溶液中に存在するアルカリ金属が少なくとも約10原子%で存在するナトリウムである、請求項5記載の金属製品。
【請求項7】
ケイ酸塩ガラスがホウケイ酸塩ガラスである、請求項1記載の金属製品。
【請求項8】
ホウケイ酸塩ガラスがケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属ケイ酸塩、及びホウ酸塩化合物を含む水溶液から誘導される、請求項7記載の金属製品。
【請求項9】
水溶液中に存在するアルカリ金属が少なくとも10原子%で存在するナトリウムを含む、請求項8記載の金属製品。
【請求項10】
ガラス層が約1000nm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項11】
ガラス層が約750nm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項12】
ガラス層が約500nm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項13】
酸化物層が約5μm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項14】
酸化物層が約3μm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項15】
酸化物層が約1μm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項16】
酸化物層が約0.50μm未満の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項17】
酸化物層が約0.02μmからの範囲の厚さを有する、請求項1記載の金属製品。
【請求項18】
アルミニウム又はアルミニウム金属合金表面、酸化物層、及びホウケイ酸塩ガラスの被覆物を含むことを特徴とする被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金であって、ホウケイ酸塩ガラスが約1000nm未満の厚さである、前記被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項19】
ホウケイ酸塩ガラスが約500nm未満の厚さである、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項20】
ホウケイ酸塩ガラスが約250nm未満の厚さである、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項21】
6より大きい鉛筆硬度を有する、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項22】
約350時間より大きい塩噴霧耐食性(ASTM B-117-37により測定される)を有する、
請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項23】
約75%より大きい全反射率を有する、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項24】
約2%より小さい反射率の変化を有する、請求項18記載の被覆されたアルミニウム金属又は被覆されたアルミニウム金属合金。
【請求項25】
金属製品の調製方法であって、その方法が
酸化物層を有する金属又は金属合金を選び、
安定なケイ酸塩水溶液の被覆物を金属又は金属合金に適用し、そして
金属又は金属合金の上のケイ酸塩被覆物を少なくとも約200℃の温度で乾燥させ、硬化させることを特徴とする金属製品の調製方法。
【請求項26】
被覆物を適用する前に既存の酸化物層を金属又は金属合金から除去し、金属又は金属合金の表面を酸化して新たに酸化された層を金属又は金属合金の上につくり、そして
安定なケイ酸塩水溶液の被覆物を新たに酸化された金属又は金属合金に適用することを更に含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
金属又は金属合金がZn、Mn、Mg、Al、Ti、Fe、Cr、Ni、Pb及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項25記載の方法。
【請求項28】
金属又は金属合金がAl、Ti、Cr、Mn又はNi及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項25記載の方法。
【請求項29】
安定なケイ酸塩水溶液が金属ケイ酸塩を含むケイ酸塩溶液であり、かつその溶液の比重が約1.05から約1.30までの範囲である、請求項25記載の方法。
【請求項30】
その溶液の比重が約1.10から約1.20までの範囲である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
その溶液の比重が約1.13から約1.17までの範囲である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
金属対イオンがLi、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項29記載の方法。
【請求項33】
溶液中の金属対イオンの少なくとも一部がNaを含み、かつNaが金属対イオンの少なくとも約10原子%で存在する、請求項29記載の方法。
【請求項34】
安定なケイ酸塩水溶液が金属ホウ酸塩を更に含み、かつその金属ホウ酸塩がその溶液の約5質量%までの範囲の量で存在する、請求項29記載の方法。
【請求項35】
金属ホウ酸塩がボラックス又は四ホウ酸ナトリウムである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
金属ホウ酸塩が約1質量%から約4質量%までの範囲の量で存在する、請求項34記載の方法。
【請求項37】
被覆物を少なくとも約220℃の温度で硬化する、請求項25記載の方法。
【請求項38】
被覆物を少なくとも200℃から約500℃までの範囲の温度で硬化する、請求項25記載の方法。
【請求項39】
被覆物を約15秒から約1時間までにわたって硬化する、請求項25記載の方法。
【請求項40】
陽極酸化されたアルミニウムコイルの上にホウケイ酸塩ガラス層を調製するための連続方法であって、その方法が
陽極酸化された酸化アルミニウム層を含むアルミニウムコイルを調製し、
そのアルミニウムコイルをロールコートラインに供給し、
そのアルミニウムコイルの表面をアルカリ性溶液又は水で洗浄し、
アルカリ金属ケイ酸塩溶液をそのアルミニウムコイルの表面に適用し、そして
金属温度が少なくとも約15秒にわたって約200℃から約300℃までの範囲であるようにアルミニウムコイルの表面を熱で処理することを特徴とする、前記連続方法。
【請求項41】
アルミニウム金属を水で冷却し、そして
アルミニウム金属をコイルに巻き直すことを更に含む、請求項40記載の連続方法。
【請求項42】
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせ、及びホウ酸塩化合物を含む、請求項40記載の連続方法。
【請求項43】
アルカリ金属ケイ酸塩溶液をアルミニウム表面上に約15μm以下の厚さを与える速度でアルミニウム表面に適用する、請求項40記載の連続方法。
【請求項44】
Li、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属対イオンを有する金属ケイ酸塩、及び
Li、Na、K、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルカリ金属対イオンを有する金属ホウ酸塩を含む安定な水溶液であって、その溶液が約1.05から約1.30までの範囲の比重を有し、かつその金属ホウ酸塩が約5質量%までの範囲の量で存在することを特徴とする、前記安定な水溶液。
【請求項45】
その溶液の比重が約1.10〜約1.20の範囲である、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項46】
その溶液の比重が約1.13〜約1.17の範囲である、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項47】
金属ホウ酸塩が約1質量%から約4質量%までの範囲の量で存在する、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項48】
金属ホウ酸塩が約2質量%から約3質量%までの範囲の量で存在する、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項49】
溶液中の金属対イオンの少なくとも一部がNaであり、かつNaが金属対イオンの少なくとも約30原子%で存在する、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項50】
アルカリ金属対イオンがナトリウム及びリチウムを含み、ナトリウムがアルカリ金属対イオンの約40原子%で存在し、金属ホウ酸塩が約3質量%の量で存在する四ホウ酸ナトリウム10水和物であり、かつその溶液の比重が約1.15である、請求項44記載の安定な水溶液。
【請求項51】
アルカリ金属ケイ酸塩溶液を約20μm以下の厚さの量で金属又は金属合金に適用する、請求項25記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−517731(P2011−517731A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500888(P2011−500888)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/037342
【国際公開番号】WO2009/117379
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510251475)メタル コーティング テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/037342
【国際公開番号】WO2009/117379
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510251475)メタル コーティング テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]