説明

金属積載ナノ粒子を含む複合材

【課題】銀は、抗菌作用があるが、市販のコロイド銀溶液は、不安定であり、貯蔵寿命が短く、銀粒子が凝集し、クラスターを形成する。また、銀イオンは、塩化物と結合し、不溶性の白色沈殿という医療応用に重大問題を引き起こす。
【解決手段】金属によって機能化されたナノ粒子を含む複合材を開示する。前記複合材は、コーティング組成物、化粧品および医薬品組成物、吸収材などを含めて、様々な用途に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願のクロスレファレンス〕
本出願は、2003年10月30日提出の米国暫定出願S/N 60/515,758の優先権を主張するものである。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、機能化ナノ粒子および、特に、金属積載ナノクレーである複合材に関する。さらに、本発明は、当該複合材の形成法に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
銀金属は、何百年も前から、様々な菌種を殺傷できる物質として知られてきた。当該金属は、飲料水の浄化に、あるいは、現代の抗生物質が到来するまでの病人への投与に共通して使用された。ペニシリンおよびその派生物質の発見後でさえ、厄介な細菌が抗生物質に耐性を示すようになった場合に、コロイド銀溶液がしばしば使用された。
【0004】
コロイド銀溶液は、今日、市販されている。しかし、当該溶液は、しばしば、不安定であり、貯蔵寿命が短い。これは、銀粒子が凝集し、溶液にそれ以上懸濁されない大きさのクラスターを形成するためである。このため、望ましくないゲル化剤が溶液に添加され、粒子の凝集を防止することによって、銀粒子の懸濁を保つ。市販溶液の別の問題は、銀含量の大半が、通常、銀イオンとして存在することである。これは、銀イオンを遍在する塩化物と急速に結合させ、不溶性の白色沈殿を形成するという、医療応用に重大問題を引き起こす。
【0005】
ナノ粒子は、米国特許第6,492,453号に開示されているようなフィラーとして、米国特許出願第2003/0185964号に開示されているようなコーティング剤として、また、米国特許第6,518,324号に開示されているようなフォーム構成成分として使用されることが周知であった。
【0006】
ナノ粒子系は、軟質および硬質表面に表面改質効果を付与する組成物および方法に使用されることが米国特許出願2002/0150678に開示されている。特に、この出願は、織物および衣服などの用品のための軟質表面コーティング剤を開示している。
【0007】
クレー、ケイ酸塩およびアルミナなどの無機微粒子は、ある種の静電気防止および/または繊維柔軟効果を付与するために、補助洗剤、洗濯用化合物と配合して汎用されている。
【0008】
本発明は、剥脱ナノ粒子上に積載した金属を含む金属複合物に関する。当該機能化ナノ粒子は、固形物質および液状物質に取り込み、バルクの物理的特性および性能特性を増強または改質することができる。ある実施態様では、金属は銀であり、ナノ粒子は、ナノクレーを含む。銀イオンは、中性金属状態(Ag0)に還元され、ナノクレー上に積載される。銀コートナノクレーは、特に、優れた抗菌性を有し、比較的安価なコロイド銀溶液代用物である。本発明に従って製造される当該ナノ粒子は、安定で、少なめの銀金属を使って、固体銀粒子と同じ表面積を成し、費用効率を高める。
【0009】
〔発明の概要〕
本発明は、(a)表面を有する剥脱ナノ粒子、および、(b)第3〜12群、アルミニウムおよびマグネシウムから選択される金属で、当該金属が当該ナノ粒子の表面に積載される金属
を含む複合材を提供する。
【0010】
本発明は、金属コーティングを有する剥脱ナノ粒子を含む複合材の形成法であって、当該方法が、(a)金属イオンを金属に還元すること、(b)出発材料を剥脱し、ナノ粒子を形成すること、および、(c)当該金属を当該剥脱ナノ粒子と接触させることを含み、段階(a)および(b)が、いずれかの順序で連続して、あるいは、同時に実施することができ、当該金属を剥脱ナノ粒子の表面に積載する方法も提供する。
【0011】
本発明は、さらに、前記複合材を含む溶液、固体、ゲル、コーティング組成物、化粧品組成物および医薬品組成物、および、前記複合材を含む製造用品を提供する。
【0012】
本明細書全体に示されるどの制限も、あらゆる低めまたは高めの限度を含み、場合によっては、あたかも前記の低めまたは高めの限度が、本明細書に明示的に記載されているかのようである。本明細書に示されるどの範囲も、いずれも、広い範囲内に入る狭い範囲を含み、場合によっては、あたかも前記の狭い範囲がすべて、本明細書に明示的に記載されているかのようである。
【0013】
本明細書で使用する場合のナノ粒子は、粒子(棒状粒子、円板状粒子、小板状粒子、四面体状粒子を含むが、それらに制約されない)、繊維、ナノチューブ、もしくは、ナノ単位の寸法を有するいずれかの他の材料を意味する。ある実施態様では、ナノ粒子は、約1〜約1000ナノメートル、好ましくは2〜約750ナノメートルの平均粒度を有する。即ち、ナノ粒子は、約1〜1000nmの最大寸法(例、直径または長さ)を有する。ナノチューブは、1センチメートルまでの長さ、あるいは、約2〜約50ナノメートルまでの粒度の構造を含むことができる。ナノ粒子は、非常に高い表面積対体積比を有する。ナノ粒子は、結晶性または非晶質であることができる。単一タイプのナノ粒子を使用でき、あるいは、異なるタイプのナノ粒子の混合物を使用できる。ナノ粒子混合物を使用する場合、複合材中、または、当該複合材を含有する系または組成物中に均質に、あるいは、非均質に分布できる。
【0014】
ナノ粒子の適切な粒度分布の無制約な例は、約2 nm〜約750 nm未満、あるいは、約2 nm〜約200 nm未満、あるいは、約2 nm〜約150 nm未満の範囲内のものである。一定の粒度分布が一定の利点を提供するのに有用であり、他の粒度分布範囲は、他の利点を提供するのに有用であることができるとも理解する必要がある(例えば、色の増強は、他の性質とは異なる粒度範囲を必要とする)。あるバッチのナノ粒子の平均粒度は、それらのナノ粒子の粒度分布と異なることができる。例えば、層化合成ケイ酸塩は、約25ナノメートルの平均粒度を有することができるが、その粒度分布は、一般に、約10 nm〜約40 nmの間で変動することができる。本明細書に記述される粒度分布は、水性分散媒に分散し、平均粒度が粒度分布の平均値に基づく場合のナノ粒子に対するものであることを理解する必要がある。
【0015】
本発明に従って、ナノ粒子は、剥脱される。特に、出発材料は、剥脱され、または、与えられ(disbursed)、ナノ粒子を形成する。当該出発材料は、約50ミクロン(50,000ナノメートル)までの平均粒度を有することができる。
【0016】
ナノ粒子は、例えば、非晶質または構造化クレーから成るものを含む天然または合成ナノクレーを含むことができる。
【0017】
ある実施態様では、剥脱されたナノ粒子は、ナノクレーである。さらなる実施態様では、ナノ粒子は、膨潤性ナノクレーまたはその付加物である。膨潤性ナノクレーは、水和することができ、あるいは、有機溶媒を吸収することができる中間層位置で弱く結合したイオンを有する。これらの膨潤性ナノクレーは、一般に、低陽イオンまたは陰イオン電荷、即ち、単位セル当たり約0.9単位未満の電荷、を有する。
【0018】
本明細書で使用する場合、「付加物」は、油膨潤性ナノクレー、即ち、極性および非極性溶媒などの有機、非水性溶媒中で膨潤するものを意味する。それらは、水膨潤性ナノクレーを膨潤性ナノクレーに結合する有機材料と反応させることによって調製できる。当該結合有機材料の例は、次の構造を有する四級アンモニウム化合物を含むが、それに制約されず、
R1R2R3R4N+X-
式中、
R1、R2、R3、R4は、それぞれ、H、C1〜C22アルキル、C1〜C22アルケニルおよびC1〜C22アラルキルから単独で選択され、R基の少なくとも1つがアルキル、アルケニルまたはアラルキルなどであるという条件付きであり、
【0019】
Xは、水膨潤性ナノクレーである。
【0020】
膨潤性ナノクレーは、非晶質であるまたは構造化されていることができ、即ち、シートまたは層を含み、当該層の組み合わせは、格子構造と呼ばれる。格子構造を有する適切なナノクレーの例は、ピロフィライト(pyrophillite )(2八面体dioctahedral))タイプ、タルク(3八面体)タイプまたはそれらの混合物を含む。適切な構造化膨潤性ナノクレーのクラスは、スメクタイトナノクレー、セピオライトナノクレー(sepiolite nanoclays)、ゼオライトナノクレー、パリゴースカイトナノクレー(palygorskite nanoclays)またはそれらの混合物を含むが、それらに制約されない。
【0021】
非晶質膨潤性ナノクレーの例は、アロフォン(allophone)およびイモゴライトを含む。
【0022】
ある実施態様では、ナノ粒子は、10〜18ミクロン(10000〜18000ナノメートル)の粒度を有するNanomer 1.34TCN (Nanocorから販売)などの出発材料から形成される。別の実施態様では、ナノ粒子は、20〜25ミクロンの粒度を有するPGV(同じく、Nanocorから販売)から形成される。別の実施態様では、1〜3ナノメートルの粒度範囲を有する剥脱PGVが使用される。他の実施態様では、1〜9ナノメートルの粒度範囲を有するNanomer 1.34TCNおよびNanomer 1.30Eが使用される。
【0023】
ベーマイトアルミナは、2〜750 nmの平均粒度分布を有することができる。
【0024】
剥脱性ナノ粒子には、出発材料として、層状クレー鉱物を使用できる。本発明での使用に適した層状クレー鉱物は、スメクタイト、カオリン、イルライト(illites)、クロライト、アタプルガイト(attapulgites)および混合層クレーの地質クラスのものを含む。これらのクラスに属する具体的クレーの典型例は、スメクティス、カオリン、イルライト、クロライト、アタプルガイトおよび混合層クレーを含む。スメクタスは、例えば、モントモリロナイト(montmorillonite)、ベントナイト、ピロフィライト、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト、サウコナイト(sauconite)、ノントロナイト、タルク、ベイデルライト(beidellite)、ボルコンスコイト(volchonskoite)、ステベンサイト(stevensite)およびベルミクライト(vermiculite)を含む。ある実施態様では、モントモリロナイトナノクレーが好ましい。米国特許第5,869,033号を参照されたい。当該特許は、参照することによって、本明細書に組み入れられている。カオリンは、カオリナイト、ディカイト(dickite)、ナクライト(nacrite)、アンチゴライト、アナウキサイト(anauxite)、ハロイサイト、インデルライト(indellite)およびクリソタイルを含む。イルライトは、ブラバイサイト(bravaisite)、ムスコバイト(muscovite)、パラゴナイト、フロゴパイト(phlogopite)およびビオタイト(biotite)を含む。クロライトは、コレンサイト(corrensite)、ペンニナイト(penninite)、ドンバサイト(donbassite)、スドイト(sudoite)、ペンナイン(pennine)およびクリノクロア(clinochlore)を含む。アタプルガイトは、セピオライト(sepiolite)およびポリゴルスカイト(polygorskyte)を含む。混合層クレーは、アレバルダイド(allevardite)およびバーミクライトビオタイト(vermiculitebiotite)を含む。これら層状クレー鉱物の変形物および同形代用物は、独特な用途を提供する。
【0025】
層状クレー鉱物は、天然産または合成品であることができる。例えば、天然または合成のヘクトライト、モントモリロナイトおよびベントナイトを、ナノ粒子の出発材料として使用できる。
【0026】
天然クレー鉱物は、典型的には、層状ケイ酸塩鉱物として、また、まれに非晶質鉱物として存在する。層状ケイ酸塩鉱物は、二次元ネットワーク構造内に配置されたSiO4四面体シートを有する。2:1タイプ層状ケイ酸塩鉱物は、マグネシウム八面体シートまたはアルミニウム八面体シートが2枚の珪素四面体シートの間にサンドイッチ状態になった三層構造を有する数枚〜数十枚のケイ酸塩シートの積層構造を有する。
【0027】
膨張可能な層状ケイ酸塩シートは、負に荷電し、アルカリ金属陽イオンおよび/またはアルカリ土類金属陽イオンの存在によって電荷が中和される。スメクタイトまたは膨張性雲母を水に分散させ、チキソトロープ性を有するゾルを形成できる。さらに、各種陽イオン有機または無機化合物との反応によって、スメクタイトタイプクレーの錯体変形物を形成できる。当該有機錯体の一例は、陽イオン交換によってジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン(四級アンモニウムイオン)が導入された親有機性クレーである。これは、工業的に生産され、コーティング剤のゲル化剤として使用されている。
【0028】
本発明において合成ナノクレーを用いることができる。合成ナノクレーの生産工程は、適正な工程管理によって、実際、ナノ単位の一次粒子を生じる。しかし、当該粒子は、通常、離散粒子状態で存在せず、代わりに、主として、一次粒子の圧密によって凝集塊状態になる。当該凝集塊は、数千ナノメートルの直径に達するので、当該粒子のナノ単位の性質に伴う所望の特性を得ることができない。当該粒子は、例えば、EP-A 637,616に記述されているように、粉砕することによって、あるいは、水または水/アルコールおよびそれらの混合液などの適切な分散媒に分散させることによって、解凝集することができる。
【0029】
適切なナノクレーの製造用合成材料は、層状含水ケイ酸塩、層状含水ケイ酸アルミニウム、フルオロケイ酸塩、雲母-モントモリロナイト、ヒドロタルカイト、ケイ酸マグネシウムリチウムおよびフルオロケイ酸マグネシウムリチウムを含む。ケイ酸マグネシウムリチウムの置換変形物の一例は、ヒドロキシル基がフッ素で部分置換されている場合である。リチウムおよびマグネシウムは、アルミニウムによっても部分置換できる。ケイ酸マグネシウムリチウムは、マグネシウム、アルミニウム、リチウム、鉄、クロム、亜鉛およびそれらの混合物から成る群から選択されるいずれかで同形置換できる。
【0030】
例えば、LAPONITE(登録商標)の商品名でSouthern Clay Products, Inc.から市販されている合成ヘクトライトを、ナノ粒子用出発材料として使用できる。販売されているLAPONITE(登録商標)には、多数の等級または変形物および同形置換物がある。市販のヘクトライトの例は、LAPONITE B(登録商標)、LAPONITE S(登録商標)、LAPONITE XLS(登録商標)、LAPONITE RD(登録商標)、LAPONITE XLG(登録商標)およびLAPONITE RDS(登録商標)である。
【0031】
合成ヘクトライトは、フッ素をまったく含有しない。フッ素によるヒドロキシル基の同形置換は、フルオロケイ酸リチウムマグネシウムナトリウムと呼ばれる合成クレーを生じ、当該クレーは、出発材料としても使用できる。これらのフルオロケイ酸リチウムマグネシウムナトリウムは、LAPONITE(登録商標)およびLAPONITE S(登録商標)として販売されており、約10重量%までのフッ化物イオンを含有できる。本明細書で述べる組成物に有用なフッ化物イオンは、約10%以上までである。フルオロケイ酸リチウムマグネシウムナトリウムのLAPONITE B(登録商標)は、平坦な円形、板状形で、フッ化物イオン含量に応じて、約25〜100ナノメートルの平均粒度を有する。例えば、ある無制約の実施態様では、直径約25〜40 nm、厚さ約1 nmを有するLAPONITE B(登録商標)を使用できる。LAPONITE S(登録商標)と呼ばれる別の変形物は、添加剤として、約6%のピロリン酸四ナトリウムを含有する。
【0032】
ある実施態様では、Laponite XLS(登録商標)は、ナノ粒子用出発材料として使用され、金属として、そこに銀が積載される。Laponite XLSは、八面体マグネシウムおよびリチウムヒドロキシル架橋が結合した四面体ケイ酸塩層を有する。この構造は、ナノクレー表面への金属のインターカレーションまたは吸着による剥脱および改質を可能にする。インターカレーションの場合、金属は、ナノクレーの層間に挿入される。表面吸着の場合、金属は、ナノクレーの表面に結合する。Laponite XLSは、一貫合成され、純粋であり、剥脱して、最少の労力でナノ粒子を形成するので、有利である。ナノ粒子の表面は、ナトリウムイオンで覆われ、多数のケイ酸塩基の負の電荷を相殺する。
【0033】
ある場合、剥脱ナノ粒子のアスペクト比は、所望の特性を有する複合体を含むフィルム形成には興味深いものである。分散液のアスペクト比は、TEM(透過電子顕微鏡検査)によって適切に特徴付けることができる。
【0034】
ある実施態様の名の粒子のアスペクト比は、100〜250の範囲であることができる。別の実施態様では、ナノ粒子のアスペクト比は、200〜350である。
【0035】
例えば、LAPONITE B(登録商標)の個々の粒子の平均アスペクト比は、約20〜40であり、LAPONITE RD(登録商標)の個々の粒子の平均アスペクト比は、約10〜15である。LAPONITE B(登録商標)は、分散液中に基本的に単一のクレー粒子として、もしくは、 2個のクレー粒子の積重ねとして発生する。LAPONITE RD(登録商標)は、基本的に2個以上の単一クレー粒子の積重ねとして発生する。
【0036】
一部の実施態様では、フィルム形成には、高アスペクト比が望ましいと思われる。水などの適切な分散媒中に分散される剥脱ナノ粒子のアスペクト比も興味深い。分散媒中のナノ粒子のアスペクト比は、数個の粒子が凝集している場合、低めである。
【0037】
特定の実施態様では、少なくとも数個の個々の(非凝集)小板および円板状ナノ粒子が、約0.5 nm以上、約15以上のアスペクト比である少なくとも1種類の寸法を有するのが望ましいと思われる。小板および円板上ナノ粒子にとって、アスペクト比が棒状ナノ粒子よりも高いほうが、より望ましいと思われる。
【0038】
棒状ナノ粒子のアスペクト比は、適切なフィルム形成性を維持しながら、円板状または小板状ナノ粒子のアスペクト比よりも低いことが可能である。特定の無制約の実施態様では、個々の棒状ナノ粒子の少なくとも数個が約0.5 nm以上、約3以上のアスペクト比である少なくとも1種類の寸法を有するのが望ましいと思われる。
【0039】
球状ナノ粒子のアスペクト比は、一般に、約5以下である。本明細書に示す実施態様に好ましいナノ粒子は、約250以下のアスペクト比を有する。他の無制約の実施態様では、ナノ粒子が約10未満のアスペクト比を有するのが望ましいと思われる。
【0040】
本発明に従って、ナノ粒子を機能化するために、1個以上の金属を使用する。特に、インターカレーション、吸着またはイオン交換を含む多様な方法の1種類によって、剥脱ナノ粒子に当該金属を積載する。有利な点として、当該金属は、貴重な性質、例えば銀の場合、ナノ粒子上にありながら、抗菌性を保持する。積載という用語は、本明細書で使用する場合、ナノ粒子の表面の完全カバー、または、別法として、その一部のみのカバーを含む。
【0041】
ある実施態様では、金属は、元素周期律表の第3〜12群、アルミニウムおよびマグネシウムから選択される。好ましくは、金属は、銀、銅、亜鉛、マンガン、プラチナ、パラジウム、金、カルシウム、バリウム、アルミニウム、鉄およびそれらの混合物から選択される。特に好ましい実施態様では、当該金属は銀である。
【0042】
金属は、複合材の使用によって達成される望ましい効果に基づいて選択することができる。例えば、銀は、その既知の抗菌性について選択できる。
【0043】
金属は、インターカレーションによってナノ粒子上に積載できる。例えば、銀イオンは、特に、「ホール」内に配置することによって、層状ナノクレーの各種層間に挿入し、正荷電銀イオンとケイ酸塩構造中の各種タイプ酸素の間に好ましい相互作用を最大限に活かすことができる。銀イオンは、抗菌性を有することが立証されており、挿入イオン化銀を含有するLaponiteは、これらの性質を保持する。インターカレーションは、銅、亜鉛、マンガンなどの他の金属でも可能である。
【0044】
当該金属は、イオン交換によってナノ粒子上に積載することもできる。例えば、Laponite小板の表面は、主に、ナトリウムイオンから成り、当該イオンが存在することによって、下層のケイ酸塩構造が供与する負に荷電した酸素と相殺する。正に荷電した金属イオンを剥脱Laponite溶液に添加すると、表面ナトリウムイオンの一部が、添加された金属イオンと置換される。
【0045】
金属は、吸着によっても、ナノ粒子上に積載できる。例えば、アミン、アンモニウムおよびカルボキシル基などの一定の官能基は、Laponite小板の面または辺縁への強力な結合剤である。金属イオンは、Laponite表面に強く結合できるように、これらのリガンドの添加によって修飾できる。反応順序の一例を以下に示す。
2AgNO3 + 2NaOH → Ag2O + 2NaNO3 + H2O
Ag2O + 4NH3 + H2O → 2(AgNH3)2OH
最終生成物(AgNH3)2OHは、Laponiteと接触し、それによって、(AgNH3)2OHがLaponiteの面に結合する。
【0046】
本発明のある実施態様では、出発材料の存在下で、金属イオンを金属(0)に還元し、これが剥脱し、ナノ粒子を形成する。還元および剥脱は、金属の出発材料/剥脱ナノ粒子との接触時に、連続して(どちらかの段階が最初に起こる)、または、同時に起こることができる。それによって、当該金属は、剥脱ナノ粒子表面に積載される。
【0047】
本発明のある実施態様では、当該金属は銀であり、Tollen試薬を使ったインターカレーションによってナノ粒子上に積載される。Tollen試薬は、アルデヒドまたはケトンによって還元され、銀金属(0)を形成できる既知の銀種である。
+Ag(NH3)2OH + グルコース → Ag0
【0048】
複合材は、液体、固体、ゲル、コーティング組成物、化粧品および医薬品組成物などを含めた、多様な系、材料および組成物に組み入れることができる。複合材は、吸収用品、創傷手当て用品、軟質表面または硬質表面などの構造または製造品に組み入れることができる。当該複合材を含有する組成物は、以下に詳述するコート、塗布、押出、噴霧などを行う溶液または乾燥材料であることができる。当該組成物は、製造、商業、産業、個人、または、家庭での利用において、最終使用することができる。
【0049】
当該複合材を含む系の使用によって、一定の所望の効果を得る、例えば、液体吸収性、湿潤性、滲み通り、快適性、防臭、潤滑性、抗炎症性、抗菌性、抗真菌性、表面摩擦の軽減、柔軟性、透明性、弾性率、引張強さ、色の増強、粘性、滑らかさ、または、ゲル強度、を向上させることができる。
【0050】
特定の実施態様では、前記組成物中の当該複合材の存在は、当該組成物の望ましい性質、例えば、透明性、に影響しない。当該複合材の液体組成物への添加は、例えば、当該複合材を含有しない元の液体材料に比較して、生じる組成物の透明性または色を変化させない。さらに、ナノ粒子は、広い表面積を有するので、当該複合材は、感染症の治療の場合のような総合配合剤に高めの濃度の金属を含むことができる。
【0051】
本発明の組成物は、複合材、および、当該組成物の使用目的に適したいずれかの他の成分を含むことができる。本発明の一部の組成物は、(a)有効量の複合材であることができる複合材、(b)適切な分散媒、および、(c)任意に1つ以上の補助成分を含むことができる。当該補助成分は、例えば、当該複合材の少なくとも一部に伴う親水性、疎水性またはその混合性質から成る群から選択される性質を発揮する界面活性剤または荷電機能化分子または両方であることができる。
【0052】
別法として、処理を必要とする様々な軟質表面のコーティングに有用な組成物中に、上述の複合材の有効量を含むことができる。本明細書で使用する場合、複合材の有効量は、軟質表面に所望の効果を付与するのに必要な複合材の量を指す。当該有効量は、普通の技術の熟練者が容易に確認でき、多くの要因に基づくもので、当該要因は、必要とされるのが液体組成物であっても、乾燥(例、顆粒、粉末)組成物であっても、使用される特定複合材、軟質表面の性質などである。
【0053】
前記組成物は、コーティング剤、特に、表面の少なくとも約0.5%、または、表面のさらに高い割合(表面の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約80%および少なくとも約100%を含むが、それらに制約されない)をカバーする透明コーティング剤を送達するために、洗浄、スプレー、ディップ(浸漬)、ペイント、すり込み(ワイプ)、または、他の方法によって、表面に塗布できる。従って、当該コーティング剤は、連続または不連続であることができる。
【0054】
コーティング組成物を表面にスプレーすることが必要な場合、当該コーティング組成物の粘度は、スプレー器具のノズルを通過できるようなものでなければならない。当該粘度は、周知であり、参照することによって、本明細書に組み入れられている。当該組成物は、スプレーできるように、剪断減粘性を受けることができる。
【0055】
前記複合材を含有する組成物用の適切な分散媒は、液体、固体および気体を含む。ある適切な分散媒は水で、蒸留水、脱イオン水、水道水であることができる。水は、低コスト、利用可能性、安全性および相溶性の点から重要である。液体、特に水のpHは、酸または塩基の添加によって調整できる。水性分散媒も、基質への塗布およびその後の乾燥が容易である。水性溶媒は、乾燥非水性分散媒よりも一般的であるが、前記組成物は、乾燥粉末、顆粒または錠剤またはカプセル封入錯体状として存在することができる。
【0056】
前記分散媒は、任意に、水の他に、または、水の代わりに、低分子量有機溶媒を含むことができる。好ましくは、当該溶媒は、水に易溶性で、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、アセトンなど、および、それらの混合液である。当該溶媒は、適切なレベルで使用できる。いくつかの無制約の例は、総組成物の約50重量%以上まで、約0.1重量%〜約25重量%、約2重量%〜約15重量%、および、約5重量%〜約10重量%までのレベルを含む。当該組成物に高レベル溶媒を使用する際に考慮すべき要因は、臭い、引火性、ナノ粒子の分散性および環境への影響である。
【0057】
前記分散媒は、乾燥時に連続フィルムを形成するフィルム形成剤も含むことができる。フィルム形成剤の例は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、アクリルエマルジョン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0058】
前記複合材を含有する組成物に使用できる補助成分は、基質に当該複合材を固定する働きをする官能基を含む少なくとも1つのセグメントまたは基団を有するポリマーおよびコポリマーを含む。これらのポリマーは、親水性または疎水性など、当該ポリマーに追加特性を提供する少なくとも1つのセグメントまたは基団を含むこともできる。
【0059】
固定セグメントまたは基団の例は、ポリアミン、四級化ポリアミン、アミノ基、四級化アミノ基、および、対応するアミン酸化物;両性イオンポリマー;ポリカルボキシレート;ポリエーテル;ポリヒドロキシル化ポリマー;ポリフォスフォン酸塩およびポリリン酸塩;およびポリマーキレート化剤を含む。
【0060】
親水化セグメントまたは基団の例は、エトキシル化またはアルコキシル化ポリアミン;ポリアミン;ポリカルボキシル化ポリアミン;水溶性ポリエーテル;水溶性ポリヒドロキシル化基団またはポリマー(サッカライドおよびポリサッカライドを含む);水溶性カルボン酸塩およびポリカルボン酸塩;水溶性陰イオン基(カルボン酸塩、スルフォン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、フォスフォン酸塩、および、それらのポリマーなど);水溶性アミン、四級化合物、アミン酸化物、および、それらのポリマー;水溶性両性イオン基およびそれらのポリマー;水溶性アミドおよびポリアミド;および、ビニルイミダゾールおよびビニルピロリドンの水溶性ポリマーおよびコポリマーを含む。
【0061】
疎水化セグメントまたは基団の例は、アルキル、アルキレン、および、アリール基、および、ポリマー脂肪族または芳香族炭化水素;フルオロカーボンおよびフルオロカーボンを含むポリマー;シリコーン;疎水性ポリエーテル(ポリ(スチレンオキサイド)、ポリ(プロピレンオキサイド)、ポリ(ブチレンオキサイド)、ポリ(テトラメチレンオキサイド)、および、ポリ(ドデシルグリシジルエーテル)など);および、疎水性ポリエステル(ポリカプロラクトンおよびポリ(3-ヒドロキシカルボン酸)など)を含む。
【0062】
本発明の組成物に取り込むことができる親水性表面ポリマーの例は、以下のものを含むが、それらに制約されない。即ち、エトキシル化またはアルコキシル化ポリアミン;ポリカルボキシル化ポリアミン;ポリアクリル酸塩を含むがそれに制約されないポリカルボン酸塩;ポリエーテル;ポリヒドロキシル材料;ポリリン酸塩およびフォスフォン酸塩である。
【0063】
本発明の組成物に取り込むことができる疎水性表面ポリマーは、次のものを含むが、それらに制約されない。即ち、アルキル化ポリアミン、脂肪族アルキル化剤(臭化ドデシル、臭化オクタデシル、塩化オレイル、ドデシルグリシジルエーテルおよび塩化ベンジルまたはそれらの混合物など)でアルキル化されたポリエチレンイミン、および、脂肪アシル化剤(ドデカン酸メチルおよび塩化オレオイルなど)でアシル化されたポリエチレンイミン、シリコーン(ペンダントのアミノプロピルまたはアミノエチルアミノプロピル基を有するポリジメチルシロキサンを含むが、それらに制約されない)、および、フッ素化ポリマー(モノマーとして、過フッ素化または高次フッ素化アルキル基の (メト)アクリレートエステルを含むポリマーを含むがそれらに制約されない)である。
【0064】
補助成分として使用できる非ポリマー表面改質材は、脂肪アミンおよび四級化アミン(塩化ジタロウジメチルアンモニウム;臭化オクタデシルトリメチルアンモニウム;ジオレイルアミン;および、塩化ベンジルテトラデシルジメチルアンモニウムを含む)を含む。シリコーン系界面活性剤、脂肪両性イオン界面活性剤および脂肪アミンオキサイドも、コーティング組成物中に取り込むことができる。
【0065】
界面活性剤は、任意の補助成分でもある。界面活性剤は、分散を促進する湿潤材として、前記組成物で特に有用である。
【0066】
適切な界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性(amphoteric)界面活性剤、両性(ampholytic)界面活性剤、両性イオン界面活性剤およびそれらの混合物を含む群から選択できる。適切な、非イオン、陰イオン、陽イオン、両性、両性イオン、および半極性非イオン界面活性剤は、米国特許第5,707,950号および第5,576,282号に開示されている。非イオン界面活性剤は、5〜20、あるいは、6〜15のHLB(親水-親油性バランス)を特徴とすることができる。
【0067】
陰イオンおよび非イオン界面活性剤の混合物は、特に有用である。他の普通の有用な界面活性剤は、標準テキストにリストされている。
【0068】
有用と思われる別のクラスの補助成分は、シリコーン界面活性剤および/またはシリコーンである。それらは、単独で、および/または、あるいは、本明細書の上記の他の界面活性剤と配合して使用できる。無制約のシリコーン界面活性剤の例は、ジメチルポリシロキサン疎水性部分および1つ以上の親水性ポリアルキレン側鎖を有するポリアルキレンオキサイドポリシロキサンである。
【0069】
使用する場合、界面活性剤は、複合材、分散媒、および、当該組成物中に存在する他の補助成分と相溶性を示すように配合すべきである。
【0070】
組成物は、アルカリ源、抗酸化剤、静電気防止剤、キレート化剤、アミノカルボン酸塩キレート化剤、金属塩、光活性無機金属酸化物、防臭剤、香料、光活性化剤、ポリマー、防腐剤、加工助剤、色素およびpH調整剤、可溶化剤、ゼオライト、および、それらの混合物を含むが、それらに制約されない他の補助成分を含有できる。これらの任意成分は、どの所望レベルでも含むことができる。
【0071】
前記複合材を含むコーティング組成物は、全タイプの軟質表面上に使用でき、織布、不織布、レザー、プラスチック(例えば、歯ブラシの柄、合成フィルム、フィラメント、歯ブラシの毛)、および、それらの混合物を含むが、それらに制約されない。本明細書で興味深い軟質表面は、使い捨て吸収用品(カバーまたはトップシート、吸収コア、移行層、吸収性挿入物、通気性および非通気性フィルムから成る外層を含むバックシートを含むが、それらに制約されない)に関連するものを含むが、それらに制約されないいずれかの既知タイプの軟質表面を含む。
【0072】
特定の実施態様において、前記コーティング組成物は、硬質表面に塗布し、当該表面に効果を提供することを理解すべきである。
【0073】
特定の実施態様では、前記軟質表面は、1種類以上の繊維を含むことができる。繊維は、微細毛髪様構造の、植物由来、鉱物由来または合成品であると定義される。市販繊維は、約0.01 mm(約0.00004インチ)未満〜約0.2 mm(約0.008インチ)以上の範囲の直径を有し、数種類の形態を取り、短繊維(ステープルまたは短(chopped)繊維として既知)、連続単繊維(フィラメントまたはモノフィラメント)、連続フィラメントの非ツイスト束(トウ)、および、連続フィラメントのツイスト束(ヤーン)である。繊維は、その入手源、化学構造、またはその両方に従って分類される。それらは、ロープ、コードに編み上げ、フェルト(不織布とも呼ばれる)を形成し、織物に織るまたは編むことができ、あるいは、高強力繊維の場合、複合材中の補強物として、即ち、2種類以上の異なる材料から成る製品として使用できる。
【0074】
軟質表面は、自然界で作られる繊維(天然繊維)、人造の繊維(合成または人工)、または、それらの組み合わせを含むことができる。天然繊維の例は、ウール、絹、毛皮、毛髪などの動物繊維;セルロース、綿、亜麻、リネンおよび麻などの植物繊維;および、天然に産する鉱物繊維を含むが、それらに制約されない。合成繊維は、天然繊維から、または天然でない繊維から誘導できる。天然繊維から誘導される合成繊維の例は、レーヨンおよびリヨセルを含むが、それらに制約されず、これらは、ともに、天然ポリサッカライド繊維のセルロースから誘導される。天然繊維から誘導されない合成繊維は、他の天然資源または鉱物資源から誘導できる。天然資源から誘導される合成繊維の例は、デンプンなどのポリサッカライドを含むが、それに制約されない。鉱物資源由来の繊維の例は、石油から誘導されるポリプロピレンおよびポリエチレン繊維などのポリオレフィン繊維、ガラスおよびアスベストなどのケイ酸塩繊維を含むが、それらに制約されない。合成繊維は、一般に、可能な場合、流体ハンドリング法(fluid handling process)(例、樹脂または溶液などの流体の押出、圧伸または紡糸)によって形成される。合成繊維は、固体ハンドリング粉砕法(solid handling size reduction process)(例、モノリス、フィルムまたは織物などの大きめの物の機械細断または切断)によっても形成される。
【0075】
パンティーライナー、生理用ナプキン、陰唇間用品(interlabial device)、成人用オムツ、胸当て、靴の中敷、絆創膏、およびオムツなどの使い捨て吸収用品は、典型的には、吸収性不織布材料(繊維を含む)から成り、技術上周知である。これらの用品は、典型的には、液体(fluid、流体)透過性の身体側と液体(fluid)不透過性の衣服側を有する。さらに、当該用品は、間に液体を保持する吸収コアを含むことができる。使い捨て吸収用品の吸収コアなどの製造品への前記複合材の添加は、悪臭発生防止および吸収性増加に役立てることができる。
【0076】
前記複合材の他の用途は、歯磨きペースト用歯科研磨剤、臭い吸収剤および含嗽剤を含むが、それらに制約されない。当該複合材の他の用途は、眼科用液およびコンタクトレンズなどの用具を含む。
【0077】
本発明の別の実施態様は、前記複合材を含む化粧品および医薬品組成物に関する。これらは、皮膚、毛髪、爪、および、膣粘膜または口腔粘膜などの粘膜を含む組織への塗布用のクリーム、ローション、ゲル、フォーム、オイル、軟膏、または、粉末の形態であることができる。当該組成物は、リーブオン製品かリンスオフ製品として配合できる。別法として、当該組成物は、眼球に直接適用する眼科用液または軟膏の形態であることもできる。
【0078】
ある実施態様では、前記組成物は、サリチル酸または過酸化ベンゾイルなどのにきび抑制剤を含有する。
【0079】
別の実施態様では、前記組成物は、それぞれ2002年5月1日、2003年3月17日、2003年3月17日提出の米国特許出願番号第10/137,509号、第10/390,511号および第10/389,871号に開示されているものなどの個人用潤滑剤である。これらの出願は、非毒性および非刺激性であり、皮膚または粘膜に接触するようにデザインされた個人用潤滑剤として使用できる加温潤滑剤組成物について記述している。当該組成物は、水と混合すると、温度を上昇させ、あるいは、熱を発する。これは、これらの組成物を塗布する組織への鎮痛効果を有する。これらの組成物は、好ましくは、実質的に無水であり、好ましくは、少なくとも1つの多価アルコールを含有する。得られる組成物は、前記複合材をこれらの個人用潤滑剤に取り込むことによって、より滑らかな特性を有し、透明溶液となる。当該複合材が当該組成物の透明性を損なわないからである。
【0080】
化粧品および医薬品組成物は、皮膚美白剤、皮膚色素沈着褐色化剤、にきび抑制剤、皮脂調整剤、てかり抑制剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤、抗かび剤、駆虫剤、外用鎮痛剤、サンスクリーン、光防護剤、抗酸化剤、角質溶解剤、洗浄剤、界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギー増強剤、制汗剤、収斂剤、防臭剤、脱毛剤、引締め剤、たこ除去剤、毛髪および爪および皮膚コンディショニング用剤など、様々な、技術上周知の活性剤を含有できる。
【0081】
局所または綿膜塗布用配合物は、技術上周知である。当該配合物中に当業者が使用する賦形剤を、相溶性があるという条件付きで、複合材とともに使用できる。
【0082】
本発明の組成物は、表面に塗布することができ、任意に表面上で乾燥させ、必要に応じて、塗布および乾燥段階を反復することができる。1種類以上のコーティング剤を塗布する場合を含むが、それに制約されない本明細書で述べる方法の一部の実施態様では、必ずしも塗布の合間に当該コーティング剤を乾燥させる必要がない。
【0083】
〔実施例1〕
ナノクレー上に銀金属を沈着させるために、Tollen試薬を使って、Laponiteの存在下で銀イオンを還元した。Tollen試薬は、アルデヒドまたはケトンによって還元され、以下の反応を経て銀金属を形成する:
Ag(NH3)2OH + グルコース → Ag0
【0084】
Tollen試薬は、2 滴の10%NaOHを5 mLの5%AgNO3に添加し、灰〜褐色の沈殿を形成することによって調製した。次に、2%NH4OHの滴下によってこの沈殿を溶解し、30 mLのTollen試薬総量を生じた。
【0085】
600 mgのLaponite XLSを蒸留水50 mLに添加し、電磁攪拌棒を使って、20分間剥脱することによって、銀コートLaponite XLS溶液を調製した。この溶液に、グルコース800 mgを添加し、攪拌を10分間継続し、グルコースを確実に完全溶解した。これに、上記調製のTollen試薬10 mLを添加した。2時間の連続攪拌後、当該溶液は、明るい黄色を発色した。さらに反応時間が経過すると、濃いコハク〜褐色の溶液を得た。粒度分析およびTEM分析用に調製したサンプルを、10倍希釈し、粒子の凝集を防いだ。ナノ粒子の粒度は、表面プラズモン共鳴現象によって惹起される溶液の色を示す。銀粒子に関して、黄色は、可能な限り最小の粒度を有すると確認されている。得られるナノ粒子の粒度分布を図1に示す。
【0086】
〔実施例2〕
銀イオンからの銀金属の形成は、NaBH4も使って検討した。
4AgNO3 + NaBH4 →4Ag0
【0087】
5 mLのH2Oに溶解した32 mgのAgNO3を、500 mgの剥脱Laponite XLSおよび4 mgのNaBH4を含有する溶液に滴加し、明るい黄色の溶液を得た。この特殊反応の添加順序は、最小粒度を得るように決定した。
【0088】
〔実施例3〕
銀-ラポナイトナノ粒子を、クエン酸ナトリウムによる還元によって調製したが、この方法による還元は、コントロールがさらに難しかった。剥脱Laponite XLS溶液にクエン酸を添加した後、硝酸銀を添加した。溶液が淡黄色を呈するまで、10%NaOHを滴加し、クエン酸のナトリウム塩を形成した。多くの場合、水酸化ナトリウムの過剰添加は、銀粒子の溶液からの沈殿を引き起こした。
AgNO3 + クエン酸ナトリウム → Ag0
【0089】
〔実施例4〕
銀積載Laponite XLS粒子は、次のように、ヒドラジン還元によって調製できる。即ち、5 gのLaponite XLSを脱イオン水995 gに添加し、20分間攪拌し、Laponite XLSを剥脱させる。20 mgの55%ヒドラジン水和物を、Laponite XLS分散液に添加し、当該溶液を1分間攪拌する。77 mgのAgNO3を脱イオン水に溶解させる。AgNO3溶液をLaponite-ヒドラジン溶液に滴加し、0.005%銀積載Laponite XLSを含有する明るい黄色の溶液を形成する。
【0090】
〔実施例5〕
別の銀積載Laponite XLS溶液を実施例1と同様に調製したが、成分の順序を変更した。グルコースとTollen試薬を別の容器で混合し、当該溶液の色が、いったん、淡灰色になると、この混合液を剥脱Laponite XLSに添加した。短時間の攪拌後、当該溶液は、コハク色〜黄色になった。粒度分析のために、この溶液を10倍希釈した。得られた材料の粒度分布を図2に示す。
【0091】
〔実施例6〕
200mgのLaponite XLSを水100 mLに添加、攪拌して剥脱させることによって、サンプルを調製した。粒度について、当該サンプルを分析した。結果を図3に示す。
【0092】
〔実施例7〕
実施例6のサンプルを50倍希釈した。粒度について、当該希釈サンプルを分析した。結果を図4に示す。
【0093】
実施例1〜7の結果は、水中Laponite XLS溶液を希釈するにつれ、粒度分布が変化することを示している。銀積載Laponite XLSの粒度は、平均して、Laponite XLS単独よりも小さく、当該溶液への銀の添加がLaponite XLS剥脱プロセスに役立つことを指摘している。
【0094】
実施例1のデータは、単一粒度分布を示し、サイズは、平均4.1 nmである。他方、実施例5は、二峰性粒度分布を示し、平均4.1 nmと11 nmが中心であった。これは、2つの異なるタイプの粒子の形成を表していた。この溶液は銀積載Laponite XLSとLaponite コアを持たないコロイド銀を含有したと考えられる。
【0095】
〔実施例8〕
Laponite XLSが銀でコートされていることを立証するため、TEM(透過電子顕微鏡)画像およびEDX(エネルギー分散型X線)分析を実施例1および6について実施した。実施例1の複合材は、コロイド銀とLaponite XLSの混合物とは対照的に、銀積載Laponite XLS粒子を含有することが、データによって確認された。元素分析は、Na、Mg、SiおよびAgの存在を示した(Cuは、TEMグリッド中に存在した)。データは、非コートLaponite XLSで測定すると、非常に小さなサイズ(=1nm)も存在することも示した。
【0096】
〔実施例9〕
銀積載Laponite XLS粒子を含有する溶液を次のように調製した。即ち、4.51 gのLaponite XLSを脱イオン水900 mLに添加した。当該溶液を1時間攪拌し、溶液Aと表示した。400 mLの溶液Aに、15 mgのNaBH4を添加した。この溶液を溶液Bと表示した。124 mgのAgNO3を脱イオン水5 mLに溶解し、これを溶液Bに滴加し、Laponite XLS上に積載された0.02%銀のコハク褐色溶液を生じた。上記の処置後、0.01%、0.005%および0.0025%銀積載Laponite XLS溶液を調製した。細菌Staphylococcus aureus( 黄色ブドウ球菌)およびEscherichia coli(大腸菌)に対する殺菌活性について、これらの溶液を次のように分析した。銀積載Laponite XLS溶液を前記細菌とともに接種し、1.5%を含有するLetheen Brothで中和し、適当な時間後の活性を中和した。小分けした溶液をLatheen Agarを使って、平板に流し込んだ。細菌の対数減少を下表に示す。
【表1】

【0097】
〔実施の態様〕
(1) 複合材において、
(a)表面を有する剥脱ナノ粒子と、
(b)第3〜12群、アルミニウムおよびマグネシウムから選択される金属と、
を含み、
前記金属は、前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
複合材。
(2) 実施態様1に記載の複合材において、
前記金属がインターカレーションによって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
複合材。
(3) 実施態様1に記載の複合材において、
前記金属が吸着によって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
複合材。
(4) 実施態様1に記載の複合材において、
前記金属がイオン交換によって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
複合材。
(5) 実施態様1に記載の複合材において、
前記金属が、銀、銅、亜鉛、マンガン、プラチナ、パラジウム、金、カルシウム、バリウム、アルミニウム、鉄、およびそれらの混合物から成る群から選択される、
複合材。
(6) 実施態様1に記載の複合材において、
前記ナノ粒子がナノクレーを含む、
複合材。
(7) 実施態様1に記載の複合材において、
前記ナノ粒子が剥脱Laponiteを含む、
複合材。
(8) 実施態様1に記載の複合材を含む、
溶液。
(9) 実施態様1に記載の複合材を含む、
固体。
(10) 実施態様1に記載の複合材を含む、
ゲル。
(11) 実施態様1に記載の複合材を含む、
組成物。
(12) 実施態様11に記載の組成物において、
さらに、1種類以上の補助成分および分散媒を含む、
組成物。
(13) 実施態様12に記載の組成物において、
前記補助成分が界面活性剤および荷電機能化分子から選択される、
組成物。
(14) 実施態様12に記載の組成物において、
前記分散媒が水性分散媒である、
組成物。
(15) 実施態様1に記載の複合材を含む、
化粧品または医薬品組成物。
(16) 実施態様15に記載の組成物において、
皮膚美白剤、皮膚色素沈着褐色化剤、にきび抑制剤、皮脂調整剤、てかり抑制剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤、抗かび剤、駆虫剤、外用鎮痛剤、サンスクリーン、光防護剤、抗酸化剤、角質溶解剤、洗浄剤、界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギー増強剤、制汗剤、収斂剤、防臭剤、脱毛剤、引締め剤、たこ除去剤、毛髪および爪および皮膚コンディショニング用剤から選択される活性剤をさらに含む、
組成物。
(17) 金属コーティング剤を有する剥脱ナノ粒子を含む複合材の形成方法において、
(a)金属イオンを金属に還元する段階と、
(b)出発材料を剥脱し、剥脱ナノ粒子を形成する段階と、
(c)前記金属を前記剥脱ナノ粒子と接触させる段階と、
を含み、
段階(a)および(b)が、いずれかの順序で連続して、あるいは、同時に実施することができ、前記金属が前記剥脱ナノ粒子の前記表面に積載される、
方法。
(18) 実施態様17に記載の方法において、
前記金属がインターカレーションによって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
方法。
(19) 実施態様17に記載の方法において、
前記金属が吸着によって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
方法。
(20) 実施態様17に記載の方法において、
前記金属がイオン交換によって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
方法。
(21) 実施態様17に記載の方法において、
前記金属が、銀、銅、亜鉛、マンガン、プラチナ、パラジウム、金、カルシウム、バリウム、アルミニウム、鉄、およびそれらの混合物から成る群から選択される、
方法。
(22) 実施態様17に記載の方法において、
前記ナノ粒子がナノクレーを含む、
方法。
(23) 実施態様22に記載の方法において、
前記ナノ粒子が剥脱Laponiteを含む、
方法。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、実施例1の材料の粒度分布を示す。
【図2】図2は、実施例5の材料の粒度分布を示す。
【図3】図3は、実施例6の材料の粒度分布を示す。
【図4】図4は、実施例7の材料の粒度分布を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材において、
(a)表面を有する剥脱ナノ粒子と、
(b)第3〜12群、アルミニウムおよびマグネシウムから選択される金属と、
を含み、
前記金属は、前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
複合材。
【請求項2】
請求項1に記載の複合材において、
前記金属は、インターカレーションによって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
複合材。
【請求項3】
請求項1に記載の複合材において、
前記金属が吸着によって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
複合材。
【請求項4】
請求項1に記載の複合材において、
前記金属がイオン交換によって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
複合材。
【請求項5】
請求項1に記載の複合材において、
前記金属が、銀、銅、亜鉛、マンガン、プラチナ、パラジウム、金、カルシウム、バリウム、アルミニウム、鉄、およびそれらの混合物から成る群から選択される、
複合材。
【請求項6】
請求項1に記載の複合材において、
前記ナノ粒子がナノクレーを含む、
複合材。
【請求項7】
請求項1に記載の複合材において、
前記ナノ粒子が剥脱Laponiteを含む、
複合材。
【請求項8】
請求項1に記載の複合材を含む、
溶液。
【請求項9】
請求項1に記載の複合材を含む、
固体。
【請求項10】
請求項1に記載の複合材を含む、
ゲル。
【請求項11】
請求項1に記載の複合材を含む、
組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物において、
さらに、1種類以上の補助成分および分散媒を含む、
組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の組成物において、
前記補助成分が界面活性剤および荷電機能化分子から選択される、
組成物。
【請求項14】
請求項12に記載の組成物において、
前記分散媒が水性分散媒である、
組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の複合材を含む、
化粧品または医薬品組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の組成物において、
皮膚美白剤、皮膚色素沈着褐色化剤、にきび抑制剤、皮脂調整剤、てかり抑制剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤、抗かび剤、駆虫剤、外用鎮痛剤、サンスクリーン、光防護剤、抗酸化剤、角質溶解剤、洗浄剤、界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギー増強剤、制汗剤、収斂剤、防臭剤、脱毛剤、引締め剤、たこ除去剤、毛髪および爪および皮膚コンディショニング用剤から選択される活性剤をさらに含む、
組成物。
【請求項17】
金属コーティング剤を有する剥脱ナノ粒子を含む複合材の形成方法において、
(a)金属イオンを金属に還元する段階と、
(b)出発材料を剥脱し、剥脱ナノ粒子を形成する段階と、
(c)前記金属を前記剥脱ナノ粒子と接触させる段階と、
を含み、
段階(a)および(b)が、いずれかの順序で連続して、あるいは、同時に実施することができ、前記金属が前記剥脱ナノ粒子の前記表面に積載される、
方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記金属がインターカレーションによって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、
前記金属が吸着によって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、
前記金属がイオン交換によって前記ナノ粒子の前記表面に積載される、
方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法において、
前記金属が、銀、銅、亜鉛、マンガン、プラチナ、パラジウム、金、カルシウム、バリウム、アルミニウム、鉄、およびそれらの混合物から成る群から選択される、
方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法において、
前記ナノ粒子がナノクレーを含む、
方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記ナノ粒子が剥脱Laponiteを含む、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−519615(P2007−519615A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538421(P2006−538421)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/036373
【国際公開番号】WO2005/042041
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(591252839)マクニール−ピーピーシー・インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL−PPC,INCORPORATED
【Fターム(参考)】