説明

金属結晶領域、特に集積回路における金属結晶領域を生成する方法

本方法は、例えば相互接続ラインを形成するために、薄い結晶(8)のシートを、基板(1)のトレンチに堆積される、このシートと同一のタイプであるが、アモルファスであるか小さな粒径である金属(6)に固定することを含む。焼鈍しは、このラインにシートの結晶構造を徐々に与える。結晶(8)が除去されると、高度の導電結晶ラインが得られる。それは、その粒径が非常に拡大されているからである。金属は、銅、銀及びアルミニウムから選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属結晶領域、特に集積回路における金属結晶領域を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属の導電性は、その結晶構造に依存する。このようなことから、材料が基板のトレンチに堆積されている回路の相互接続ラインにおいて、その形成を制御することが求められる:単結晶ライン又は少なくとも大きな粒子の結晶ラインの形成は、特に、低温加熱によって実現される良好な導電性及び改善された電気伝導を与えるであろう。電子伝導の欠陥は、特に粒界に集中し、またこれらの欠陥は、次第に小さくなる相互接続に対する大きくなる要求につれて次第により明らかになるだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/035936
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Cu grain growth in interconnects trenches ‐ Experimental characterization of the overburden effect, by Carreau et al (Microelectronic Engineering Number 85 (2008), page 2133-2136)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、前記単結晶構造体、又は粒界が除去される大きな粒子の構造体を得るために、集積回路の相互接続ラインなどの要素の結晶学的構造を制御することである。典型的に製造において得られる粒子は、金属構造がアモルファスではない場合、1から100nmのオーダーの大きさを有する。本発明は、相互接続ラインの長さ(1から10μm又はそれ以上)に対して1つの粒子又は数個の粒子のみを有するように、100倍大きなオーダーの粒子を有する結晶構造体を得ようとするものである。粒子の大きさは、それらの平均寸法として規定され得る。
【0006】
従来文献の記述は、基板のトレンチに形成される相互接続ライン、及び、基板の表面全体に広がるラインを覆い、ラインと同一の堆積段階中に形成される上部(ビルドアップ)層から構成される、連続金属媒体の結晶構造体が、設定される金属媒体の連続性によって下層のラインに達する前に、焼き鈍し等の加熱処理が行われる際に初めにこの上部層で修正されるという知見を含む。焼き鈍し処理は、堆積によって得られる非常に小さい粒子から作られるラインの粒径を増加させるために一般的に使用される。Carreau等による文献(Microelectronic Engineering Number 85 (2008), page 2133-2136に記載された)「相互接続トレンチの銅粒子成長−重荷効果の実験的同定」には、この現象が記載されている。
【0007】
文献US−A−2009/035936には、金属層の粒子の配向が、その上に、所望の粒子配向を有する他の層を堆積し、焼き鈍しすることによって修正されることが述べられている。この堆積された層の粒子は、それが覆う層の粒子より大きいものであり得るが、この層の粒径における効果は言及されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、金属領域を生成する方法であって、基板に少なくとも1つの空洞化領域を形成する段階と、その空洞化領域に金属を堆積し、その結果、第1粒径を有する連続するビルドアップ層を形成する段階と、その金属の自由表面を研磨する段階と、その金属の自由表面に、その第1径より大きな第2粒径を有する同一の金属の結晶の下部表面を接触させる段階であって、その結晶の下部表面が研磨に曝されているものである段階と、その金属及びその結晶を焼き鈍しする段階と、その結晶を除去する段階とによって特徴付けられる、そのビルドアップ層を完全に又は部分的に除去する段階と、を含む方法に関する。
【0009】
第2粒径(例えば、平均粒径を考慮して見なされる)は、本発明の完全な利益を享受するために、第1径より少なくとも100倍の大きさであり得る。
【0010】
先行技術と比較して、その必須の段階は、構造体の修正が最新の技術に従って生じる、ビルドアップ層を除去する段階と、基板に固定することによって、別個に製造され、トレンチに堆積される金属に接続される全ての金属に対して所望の構造を有する結晶によって同一物が置換される段階と、を含む。本発明者は、その結晶構造体が、トレンチ金属との結晶学的な連続性の欠如にもかかわらず、トレンチを満たす金属上でそれ自体を押し付けることを確認しており、要求される全ては、研磨によって容易にされる、それらの間に密接な接触を起こすことである。
【0011】
このように変形された相互接続金属は、銅、銀及びアルミニウムから選択され、基板は、シリコン、ゲルマニウム及びSiC(炭化ケイ素)から選択され得る。
【0012】
追加された結晶は、その影響がラインの深さ全体にわたって与えられ得るように、一般的に十分な厚さを有しなければならない。
【0013】
密接接触は、機械的な加圧、分子結合又は半田付けを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本方法の連続的な段階を示す図である。
【図2】本方法の連続的な段階を示す図である。
【図3】本方法の連続的な段階を示す図である。
【図4】本方法の連続的な段階を示す図である。
【図5】本方法の連続的な段階を示す図である。
【図6】本方法の連続的な段階を示す図である。
【図7】本方法の連続的な段階を示す図である。
【図8】本方法の連続的な段階を示す図である。
【図9】本方法の連続的な段階を示す図である。
【図10】本方法の連続的な段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、本方法の連続的な段階を示す図1から図10に関連して以下に記載される。
【0016】
トレンチ2が基板1に切断され、ついで、金属材料3が基板1に堆積され、トレンチを満たし、ビルドアップ層4(図1)を形成する。予備段階は、全体的に又は部分的にビルドアップ層4を除去するための研磨である。堆積物3はしばしば電気化学的であるが、本発明は、他の堆積段階、及び下部障壁層及び第1導電層が物理又は化学気層堆積若しくは電気化学によって堆積される複合堆積を伴って機能する。しかしながら、自由な連続表面5が金属に存在するようにビルドアップ層の残部を残すことによって、本発明を実施することも可能である(図2)。残部は、存在する場合、約10nm未満の薄い厚さである。トレンチ内の金属は、電導ライン6を形成する。
【0017】
堆積物3の同一タイプの金属の単結晶7が用意され(図3)、その厚さは、他の部品の自由表面5上における精密な用途における非常に薄い層を得るための研磨によって低減される(図4)。上述のように、本発明は、堆積物3よりも非常に大きな粒子を有する多結晶を用いて作用するだろう。低減した単結晶は、参照符号8を持つ。しかしながら、その厚さは、以下に記載される再結晶化を誘導し、より現実的なその取り扱いのためにも十分に維持されなければならない。例えば、50nmの厚さは、幅100nm、高さ180nmの銅ラインのために必要であるように思われ、100nmを超える、場合によっては数ミクロンである、これらの値より大きな値が銅層において望まれ得る。ビルドアップ層4及び単結晶7上で行われる研磨動作は、CMPプロセス(化学機械的研磨)又は振動台を用いた高度の仕上げを含み得、研磨された表面は、最終的に脱酸される。
【0018】
図5に示される以下の段階は、研磨され、脱酸された表面を介して自由表面5に単結晶8を固定することを含む。表面間の緊密な接触は、維持されなければならない。僅かな分子結合がこのような接触を得るために十分であることが予想されるけれども、適切な加圧9及び半田付け10の装置を用いた、拡散接合、高温一軸圧縮結合(図6)、分子結合又は超音波接合(図7)などの加圧工程より強い工程に頼ることも考慮される。超音波接合は、特に相応しいと思われる。図8に示される以下の段階は、寸法に応じて200℃から600℃の温度で、1分から数時間行われる、銅の相互接続ライン用の組立体の焼鈍しである。焼鈍しの温度及び時間は、修正される材料によって実験的に決定される。加えられる圧力は、様々な条件、特に用途のモードに依存し、数メガパスカル(5MPaまたは場合によっては例えば10MPa)の圧力が、一軸圧力を介した結合に対しては推奨され、数十メガパスカル(例えば、30MPa)の圧力が摩擦接合には推奨され得るが、それは、分子結合に対しては非常に低いものであり得る。最初に層8に限定される単結晶は、頂点から下方に向かって伝搬することによって徐々にライン6まで延長する。図9に示される状態が最終的に得られ、金属の全ては、単結晶になっている。
【0019】
結合に必要な温度が金属を再結晶化するために十分に高い場合、結合及び焼鈍し段階は、同時に行われ得る。
【0020】
最後の段階は、単結晶8から得られ、新規なビルドアップ層を形成する、基板1上に連続する上部金属層11を除去し、互いにライン6を完全に分離するための研磨である。研磨は、粗研磨、続いて本方法の予備段階のように、次第に、より微細になる。図10に示される研磨が完成すると、ラインは単結晶であり、全てが同一の配向を有し、回路は使用又は他の材料層の堆積に対して準備できている状態である。
【符号の説明】
【0021】
1 基板
2 空洞化領域
3 金属材料、堆積物
4 ビルドアップ層
5 自由表面
6 金属
7 単結晶
8 結晶
9 加圧
10 半田付け
11 結晶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶金属領域を生成する方法であって、
基板(1)に少なくとも1つの空洞化領域(2)を形成する段階と、
前記空洞化領域に金属(6)を堆積し、その結果、第1粒径を有する連続するビルドアップ層(4)を形成する段階と、
前記金属の自由表面を研磨する段階と、前記金属の自由表面(5)に、前記第1径より大きな第2粒径を有する同一の金属の結晶(8)の下部表面を接触させる段階であって、前記結晶(8)の下部表面が研磨に曝されているものである段階と、前記金属及び前記結晶を焼き鈍しする段階と、前記結晶(11)を除去する段階とによって特徴付けられる、前記ビルドアップ層(4)を部分的に又は完全に除去する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記金属が、銅、銀及びアルミニウムから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板が、シリコン、ゲルマニウム及び炭化ケイ素から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記結晶が、少なくとも50nmの厚さを有することを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記接触させる段階が、押圧することを含むことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接触させる段階が、結合することを含むことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記結合が、超音波接合であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接触させる段階が、分子結合することを含むことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2粒径が、前記第1径より少なくとも100倍の大きさである、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−531732(P2012−531732A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516795(P2012−516795)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059388
【国際公開番号】WO2011/000923
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】