説明

金属芯入半導体プラスチックパッケージ用多層プリント配線板

【課題】 内層金属芯と外層金属箔との接続性、放熱性、吸湿後の耐熱性等に優れた半導体プラスチックパッケージ用多層プリント配線板を得る。
【解決手段】 表裏面に複数個の円錐台形状金属突起lを有する金属芯を用いたボールグリッドアレイのキャビティ型半導体プラスチックパッケージにおいて、金属芯の両面に、突起部をくりぬいたプリプレグなどを配置し、加熱、加圧下に積層成形し、表面だけ回路を形成し、化学処理した後、再び表面に半導体チップ搭載部をくりぬいたプリプレグgなどを配置し、積層成形してからスルーホール貫通孔i、ブラインド孔を形成し、デスミア処理後に半導体搭載金属箔真上を切除し、サンドブラスト法にて流れ出した樹脂を除去した後、表裏に回路形成を行い、メッキレジストで被覆し、貴金属メッキを施す。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体チップを少なくとも1個小型プリント配線板に搭載した形の、新規な金属芯入り半導体プラスチックパッケージ用多層プリント配線板に関する。得られたプリント配線板は、マイクロプロセッサー、マイクロコントローラー、ASIC、グラフィック等の比較的高ワットで、多端子高密度の半導体プラスチックパッケージに用いる。本半導体プラスチックパッケージは、ハンダボールを用いてマザーボードプリント配線板に実装して電子機器として使用される。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体プラスチックパッケージとして、プラスチックボールグリッドアレイ(P-BGA)やプラスチックランドグリッドアレイ(P-LGA)等、プラスチックプリント配線板の上面に半導体チップを固定し、このチップを、プリント配線板上面に形成された導体回路にワイヤボンディングで結合し、プリント配線板の下面にはハンダボールを用いて、マザーボードプリント配線板と接続するための導体パッドを形成し、表裏回路導体がメッキされたスルーホールで接続されて、半導体チップが樹脂封止されている構造の半導体プラスチックパッケージが公知である。本公知構造において、半導体から発生する熱をマザーボードプリント配線板に拡散させるため、半導体チップを固定するための上面の金属箔から下面に接続するメッキされた熱拡散スルーホールが形成されている。該スルーホールの孔を通して、水分が半導体固定に使われている銀粉入り樹脂接着剤に吸湿され、マザーボードへの実装時の加熱により、また、半導体部品をマザーボードから取り外す際の加熱により、層間フクレを生じる危険性があり、これはポップコーン現象と呼ばれている。このポップコーン現象が発生した場合、パッケージは使用不能となることが多く、この現象を大幅に改善する必要がある。また、半導体の高機能化、高密度化は、ますます発熱量の増大を意味し、熱放散用に設けられる半導体チップ直下のスルーホールのみでは熱の放散は不十分となってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題点を改善した金属芯入り半導プラスチッパッケージ用多層プリント配線板を提供する。
【0004】
【発明が解決するための手段】すなわち、本発明は、プリント配線板の厚さ方向の一部に、プリント配線板とほぼ同じ大きさの金属板を配置し、プリント配線板の片面に少なくとも1個の半導体チップを熱伝導性接着剤で固定し、該金属板とプリント配線板表面の信号伝播回路導体とを熱硬化性樹脂組成物で絶縁し、該回路導体と半導体チップとをワイヤボンディングで接続し、少なくともプリント配線板表面上の該回路導体と、プリント配線板反対面に形成された回路導体もしくは該パッケージを外部とハンダボールで接続するために形成された回路導体パッドとを、金属板と熱硬化性樹脂組成物組成物で絶縁されたスルーホール導体で結線し、少なくとも半導体チップ、半導体チップ、ワイヤ、ボンディングパッドを樹脂封止している構造の半導体プラスチックパッケージ用プリント配線板において、表裏に複数の円錐台形の金属突起、または熱伝導性接着剤或いはハンダが付着した該金属突起部と、表裏導通孔形成のためのクリアランスホールまたはスリット孔が形成されている金属板を化学処理し、表裏面の該金属突起部に半導体チップを搭載する面積よりやや大きめに切削した半硬化状態の熱硬化性樹脂組成物のプリプレグ、樹脂シート、或いは塗布による塗布樹脂層を配置し、その外側に金属箔を配置し、加熱、加圧下に、好ましくは真空下に、積層成形して一体化した後、表面に回路を形成し、金属箔表面を化学処理してから、その外側に半導体チップ面積よりやや大きめに切除したプリプレグ、樹脂シート、塗布樹脂層を配置し、その外側には金属箔、片面金属箔張積層板、または片面に回路を形成して、化学処理を施した両面板或いは多層板を、回路が樹脂側を向くように置き、加熱、加圧下に、好ましくは真空下に、積層成形して得られる金属芯入り多層両面板に、スルホール用貫通孔、ブラインド孔をあけ、デスミア処理後に金属メッキを施し、表裏に回路を形成してから、表面の半導体チップ搭載部金属箔上の部分を切除し、少なくとも表面の半導体チップ搭載用金属箔上、ボンディングパッド、裏面のボールパッド上を除いてメッキレジストで被覆し、ニッケルメッキ、金メッキを施して得られる金属芯入半導体プラスチックパッケージ用多層プリント配線板に関する。得られた半導体プラスチックパッケージは、電気、熱伝導性に優れ、ハンダボールの基板への密着性に優れ、半導体チップの下面からの吸湿がなく、吸湿後の耐熱性すなわちポップコーン現象が大幅に改善できるとともに、熱硬化性樹脂として多官能性シアン酸エステル組成物を用いることにより、プレッシャークッカー後の電気絶縁性、耐マイグレーション性等に優れ、加えて大量生産性にも適しており、経済性の改善された、新規な構造の半導体プラスチックパッケージを得ることができ、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で製造された両面多層金属箔張板を用いて作成された半導体プラスチックパッケージは、厚み方向の一部に、プリント配線板とほぼ同じ大きさの金属板が配置されており、プリント配線板の片面に少なくとも1個以上の半導体チップを熱伝導性接着剤で固定し、該金属板とプリント配線板表面の信号伝播回路導体とを熱硬化性樹脂組成物で絶縁し、該回路導体と半導体チップとをワイヤボンディングで接続し、少なくともプリント配線板表面上の該回路導体と、プリント配線板反対面に形成された回路導体もしくは該パッケージを外部とハンダボールで接続するために形成された回路導体パッドとを、金属板と樹脂組成物で絶縁されたスルーホール導体で結線し、少なくとも半導体チップ、ワイヤ、ボンディングパッドを樹脂封止している構造の半導体プラスチックパッケージにおいて、表裏に複数の円錐台形状金属突起を有する金属芯、またはその上に熱伝導性接着剤或いはハンダを付着させた金属芯の、突起以外の箇所にクリアランスホール、またはスリット孔を形成し、この金属芯の円錐台形状金属突起が存在する表裏面に、半導体チップを搭載する面積よりやや大きめにその部分を切除した半硬化状態のプリプレグ、樹脂シート、或いは塗布樹脂層を配置し、その外側に金属箔を置き、加熱、加圧下、好ましくは真空下に積層成形して一体化した後、表面に回路を形成し、金属箔表面を化学処理してから、その外側に、半導体チップを搭載する箇所の面積よりやや大きめにくりぬいた半硬化状態のプリプレグ、樹脂シート、或いは塗布樹脂層を配置し、その上に金属箔、片面金属箔張積層板、または片面に回路を形成し、金属箔表面を化学処理した両面板或いは多層板を、回路側が内側を向くように置き、積層成形して両面金属箔張多層板を作成する。この後、メカニカルドリル、レーザーなどにてスルーホール用貫通孔を、内層の金属板に接触しないようにあけ、さらにはブラインド孔をあけ、デスミア処理後に金属メッキを施し、回路を定法にて形成し、表面の半導体チップを搭載する金属箔上の部分を、公知の方法にて切除し、少なくとも表面の半導体チップ、ワイヤボンディングパッド、裏面のボールパッド以外をメッキレジストで被覆し、ニッケルメッキ、金メッキを施してプリント配線板が作成される。表面の円錐台形状金属突起に接触した金属箔上には半導体チップを熱伝導性接着剤で固定し、ワイヤボンディングで周囲の回路導体と接続し、少なくとも半導体チップ、ボンディングワイヤ、ボンディングパッドを樹脂封止し、裏面の円錐台形突起上の、貴金属メッキされた金属箔と接続したハンダボールパッドにハンダボールを溶融させてマザーボードプリント配線板と接合した形態とし、表裏の回路導体及び導通用のメッキされたスルーホールは、熱硬化性樹脂組成物で絶縁された構造となっている。
【0006】公知のスルーホールを有する金属芯プリント配線板の上面に半導体チップを固定する方法においては、従来のP-BGAパッケージと同様に半導体チップからの熱は直下の熱放散用スルーホールに落として熱放散せざるを得ず、ポップコーン現象は改善できない。本発明は、金属芯とする金属平板の両面に、あらかじめ公知のエッチング等の方法で、表裏面に円錐台形状金属突起を形成し、クリアランスホール又はスリット孔をあけ、両面に半導体チップの面積よりやや大きめに孔をあけた半硬化状態のプリプレグ、樹脂シート或いは塗布樹脂層を積層成形後に金属突起の高さよりやや低めになるようにして配置し、その外側には金属箔を置いて、加熱、加圧、好ましくは真空下に、積層成形して、外層金属箔部と円錐台形状突起部先端が接続するようにして一体化し、内層金属芯入り両面金属箔張板を製造する。これを用い、その片面に回路を形成し、化学処理を施した後、その上に半導体チップよりやや大きめに孔を形成した半硬化状態のプリプレグ、樹脂シート、或いは樹脂層を、好適にはローフロー或いはノーフローとなるようにして配置し、その上に金属箔、片面金属箔張積層板、または片面に回路を形成し、化学処理を施した両面板或いは両面金属箔張多層板を、回路側が内側を向くように配置し、同様に積層成形して多層板とする。両面に回路を形成した後、この板の半導体チップを搭載するための、円錐台形状突起先端が接触した金属箔の真上の金属箔、及び/又は基材をルーター、サンドブラストなど、一般に公知の方法で切除し、その後、必要により、半導体チップを搭載する金属箔面上に流れ出した樹脂を、少なくとも半導体チップが搭載できる程度、好ましくは半導体チップの面積以上に金属箔面が露出するように、好ましくはサンドブラスト法で加工し、通常の方法にて回路を形成して、キャビティ型の多層プリント配線板とする。
【0007】金属芯の形成方法としては、特に限定しないが、例えば、まず金属平板の、金属突起部を形成する範囲を残して、金属板の約1/2の厚みを両側からエッチング除去し、エッチングレジストを除去後、再び全面を液状のエッチングレジストで覆い、表裏面の円錐台形状金属突起部を形成する箇所にエッチングレジストを円形で残し、同時にクリアランスホール又はスリット孔を形成する箇所のエッチングレジストを除去し、両側からエッチング液にてエッチングして表裏面に円錐台形突起を形成すると同時に、クリアランスホール又はスリット孔を形成する方法等で金属芯を作成する。
【0008】該円錐台形状突起とクリアランスホール又はスリット孔が形成された金属板の表面を公知の方法で酸化処理、微細凹凸形成、皮膜形成等の接着性や電気絶縁性向上のための表面処理を必要に応じて施す。該円錐台形状突起上には、熱伝導性接着剤、又はハンダを付着させておくことも可能である。該表面処理された表裏面の円錐台形状突起の部分には、その形状の面積よりやや大きめのプリプレグ、樹脂シート、或いは塗布樹脂層を、積層成形後に台形状の突起の高さよりやや低めになるように配置し、その外側に金属箔を置き、加熱、加圧、好ましくは真空下に積層成形し、クリアランスホール又はスリット孔に熱硬化性樹脂を充填するとともに、円錐台形金属突起部先端を表層の金属箔に食い込ませて接合させる。この半導体チップを搭載する側に回路を形成し、金属表面処理を行い、この上に、半導体チップ面積よりやや大きめとなるように切除したプリプレグ、樹脂シート、或いは塗布樹脂層を配置し、その上に金属箔、片面金属箔張積層板、又は片面に回路を形成して化学処理を施した両面金属箔張板或いは両面金属箔張多層板を、回路側が内側を向くようにして置き、同様に積層成形して多層板とした。スルーホール用貫通孔を形成し、さらにはブラインド孔をあけ、デスミア処理し、金属メッキし、回路形成後、この表面に半導体チップを搭載する、円錐台形状金属突起先端が接触する金属箔の真上の金属箔及び/又は基材をルーターなどにて切除し、樹脂が流れ出して、半導体チップを搭載する金属箔上に樹脂が残存する場合には、好ましくはサンドブラスト法にて該樹脂を削除する。
【0009】得られた両面金属箔張多層板の、クリアランスホールまたはスリット孔が形成された箇所に、スルーホールをメカニカルドリル或いはレーザー等、公知の方法で金属芯と接触しないようにあけ、全体を金属メッキする。表面の円錐台形突起先端部が表層金属箔と接触している箇所を半導体チップ搭載部として残す。裏面は金属突起部と接触する箇所或いはその箇所を避けてボールパッドを形成する。この場合、このボールパッドを金属突起上の金属箔と回路で接続するようにして全体に公知の方法で回路を形成するようにする。少なくとも表層の半導体チップ搭載部、ボンディングパッド部、及び裏面のハンダボールパッド部をメッキレジストで被覆し、ニッケル、金メッキを施し、プリント配線板を作成する。その後、表面の半導体チップ搭載部に熱伝導性接着剤で半導体チップを接着固定し、ワイヤボンディングし、樹脂封止して半導体プラスチックパッケージとする。裏面のハンダボールパッドは、円錐台形突起上に形成しても良いが、ボールの接着力を向上させるためには円錐台形突起上に回路を形成し、この回路と接続させて、突起部上部以外に作成するのが好ましい。そしてこの裏面のハンダボールパッド部をハンダボールを溶融してマザーボードプリント配線板に接合する。半導体チップから発生した熱は、半導体チップ搭載部分から熱伝導して金属芯の円錐台形突起部を通り、金属芯に伝達し、反対面の金属円錐台形突起を通ってハンダボール用パッドに伝導し、ハンダボールで接合したマザーボードプリント配線板に拡散する。
【0010】金属板の側面については、熱硬化性樹脂組成物で被覆している形、露出している形、いずれの形でも良いが、錆発生を防ぐ等の点から熱硬化性樹脂組成物で被覆されている方が好ましい。
【0011】表裏信号回路用のスルーホール用孔は、樹脂の埋め込まれた金属板クリアランスホール又はスリット孔のほぼ中央に、金属板と接触しないように形成する。次いで無電解メッキや電解メッキによりスルーホール内部の金属層を形成して、メッキされたスルーホールを形成する。
【0012】表裏の回路を形成後、貴金属メッキを、少なくともワイヤボンディングパッド表面に形成してプリント配線板を完成させる。この場合、貴金属メッキの必要のない箇所は、事前にメッキレジストで被覆しておく。または、メッキ後に、必要により公知の熱硬化性樹脂組成物、或いは光選択熱硬化性樹脂組成物で、少なくとも半導体チップ搭載部、ボンディングパッド、反対面のハンダボール接着用パッド以外の表面に皮膜を形成する。
【0013】該プリント配線板の、内層円錐台形金属芯上に接触した表層の金属箔上に半導体チップを、熱伝導性接着剤を用いて固定し、さらに半導体チップとプリント配線板回路のボンディングパッドとをワイヤボンディング法で接続し、少なくとも、半導体チップ、ボンディングワイヤ、及びボンディングパッドを公知の封止樹脂で封止する。
【0014】半導体チップと反対面のハンダボール接続用導体パッドに、ハンダボールを接続してP-BGAを作り、マザーボードプリント配線板上の回路にハンダボールを重ね、熱によってボールを熔融接続するか、またはパッケージにハンダボールをつけずにP-LGAを作り、マザーボードプリント配線板に実装する時に、マザーボードプリント配線板面に形成されたハンダボール接続用導体パッドとP-LGA用のハンダボール用導体パッドとを、ハンダボールを加熱溶融することにより接続する。
【0015】本発明に用いる金属板は、特に限定しないが、高弾性率、高熱伝導性で、厚さ150〜500μmのものが好適である。具体的には、純銅、無酸素銅、その他、銅が95重量%以上のFe、Sn、P、Cr、Zr、.Zn等との合金が好適に使用される。また、合金の表面を銅メッキした金属板等も使用され得る。
【0016】本発明の金属円錐台形突起部の高さは、特に限定はないが、50〜150μmが好適である。又、プリプレグ、樹脂シート等の絶縁層の厚さは、積層成形後に、金属円錐台形突起の高さよりやや低め、好ましくは5〜10μm低めとなるようにし、積層成形後に、円錐台形突起の間、及びクリアランスホール又はスリット孔に樹脂を充填し、円錐台形突起の先端部は、少なくとも表層金属箔の一部と圧力で接触、接合させる。又、この場合、円錐台形状の突起上には、一般に公知の鉛フリーハンダ、銀ペースト、銅ペーストなどの熱伝導性接着剤等を付着させ、外側の金属箔と接着接続することもできる。円錐台形突起円錐台形の大きさは、特に限定しないが、一般には、底部の径が0.5〜5mm、上部の径が0〜1mmとする。
【0017】サンドブラスト法とは、湿式或いは乾式で微粒子の砂を高速で吹き付け、表面の樹脂等を削って除去する方法である。粒子としては、例えば20〜40μm位のガラスビーズ、炭化ケイ素等、一般に公知の粉体が使用される。
【0018】金属円錐台形突起部形成範囲は、半導体チップ面積前後であり、一般的には5〜20mm角以内とし、半導体チップ固定箇所及びその反対面に存在するようにする。好ましくは、裏面の金属突起部と接触した金属箔の箇所を避けてボールパッドを形成し、このボールパッドと回路で突起上の金属箔と接続するようにして、ボールパッド部と基板との接着強度を保持し、ボールに横から圧力がかかった場合の剥離強度(ボールシェア強度)が保持できるようにする。
【0019】本発明で使用される熱硬化性樹脂組成物の樹脂としては、一般に公知の熱硬化性樹脂が使用される。具体的には、エポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、 多官能性マレイミドーシアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、1種或いは2種類以上が組み合わせて使用される。耐熱性、耐湿性、耐マイグレーション性、吸湿後の電気的特性等の点から多官能性シアン酸エステル樹脂組成物が好適である。
【0020】本発明の好適な熱硬化性樹脂分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス(4-ジシアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。
【0021】これらのほかに特公昭41-1928、同43-18468、同44-4791、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149号公報等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類も用いられ得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0022】エポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、液状或いは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエポハロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物類等が挙げられる。これらは1種或いは2種類以上が組み合わせて使用され得る。
【0023】ポリイミド樹脂としては、一般に公知のものが使用され得る。具体的には、多官能性マレイミド類とポリアミン類との反応物、特公昭57-005406 に記載の末端三重結合のポリイミドが挙げられる。
【0024】これらの熱硬化性樹脂は、単独でも使用されるが、特性のバランスを考え、適宜組み合わせて使用するのが良い。
【0025】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、エポキシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量のelasticなゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、スチレン-イソプレンゴム、ポリエチレン-プロピレン共重合体、4-フッ化エチレン-6-フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー;ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。また、その他、公知の無機或いは有機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0026】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0027】プリプレグの補強基材として使用するものは、一般に公知の無機或いは有機の織布、不織布が使用される。具体的には、Eガラス、Sガラス、Dガラス等の公知のガラス繊維布、全芳香族ポリアミド繊維布、液晶ポリエステル繊維布等が挙げられる。これらは、混抄でも良い。 また、ポリイミドフィルム等のフィルムの表裏に熱硬化性樹脂組成物を塗布、加熱して半硬化状態にしたものも使用できる。
【0028】最外層の金属箔は、一般に公知のものが使用できる。好適には厚さ3〜18μmの銅箔、ニッケル箔等が使用される。内層の銅箔は、好適には厚さ18〜70μmを使用する。
【0029】金属板に形成するクリアランスホール径又はスリット孔幅は、表裏導通用スルーホール径よりやや大きめに形成する。具体的には、該スルーホール壁と金属板クリアランスホール又はスリット孔壁とは50μm以上の距離が、熱硬化性樹脂組成物で絶縁されていることが好ましい。表裏導通用スルーホール径については、特に限定はないが、50〜300μmが好適である。
【0030】本発明のプリント配線板用プリプレグを作成する場合、基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸、乾燥し、半硬化状態の積層材料とする。また基材を使用しない半硬化状態とした樹脂シートが使用できる。また塗料も使用できる。プリプレグ等の半硬化の樹脂層を作成する温度は一般的には100〜180℃である。時間は5〜60分であり、目的とするフローの程度により、適宜選択する。
【0031】本発明の金属芯の入った半導体プラスチックパッケージ用プリント配線板を作成する方法は特に限定しないが、例えば以下(図1、2)の方法による。
(1)金属芯となる金属板全面を液状エッチングレジストで被覆し、加熱して溶剤を除去した後、半導体チップを固定する箇所、反対面の金属円錐台形突起を形成する範囲のレジストを全面残し、その他を約厚みの1/2エッチングする。
(2)エッチングレジストを除去した後、(3)再び液状エッチングレジストで全面を被覆し、表面の凸台形状部分の円錐台形状突起として残す部分に円形状にレジストを残し、加えてクリアランスホール部以外のレジスト全部を残し、(4)エッチングにて上下からエッチング液でエッチングして、表裏面に円錐台形の突起を形成すると同時にクリアランスホールを形成する。
(5)表裏に、金属突起部面積よりやや大きめの孔をあけたプリプレグ(図1−c)を配置し、その外側に銅箔(図1−a)を配置する。この場合、孔は必ずしも大きめとしなくても、図1−(2)のように、端部の円錐台形突起に一部重なる形態でも差し支えないが、大きめの方が好ましい。
(6)加熱、加圧、真空下に積層成形して、金属円錐台形突起間、及びクリアランスホール内に樹脂を流入、充填し、一体化する(図1−(4))。
(7)表面に回路を形成し、化学処理を施した後、この上に再び、半導体チップを搭載する箇所に、その面積よりやや大きめに孔をあけた半硬化状態のプリプレグ、樹脂シート或いは塗布樹脂層を配置し、その上に金属箔、片面金属箔張積層板、または片面に回路を形成して化学処理を施した両面板或いは多層板を、回路側が内側を向くように配置し(図2−(5))、同様に積層成形する(図2−(6))。
(8)クリアランスホール部に、金属芯と接触しないようにメカニカルドリルにて孔をあけ、(9)デスミア処理後に全体を銅メッキし、(10)表面に回路を形成し、半導体チップを搭載する金属箔真上の金属箔及び/又は基材をルーターにて切削除去し、(11)積層成形時に樹脂が半導体チップ搭載箇所の金属箔上に流れ出している(図2−j)場合には、サンドブラスト法等にて金属箔面上の樹脂を除去し、(12)半導体チップ搭載部となる表面の金属箔部、ボンディングパッド、及び裏面のハンダボールパッド部を除いてメッキレジストで覆い、ニッケルメッキ、金メッキを施してプリント配線板を作成する。
(13)表面には半導体チップを銀ペーストで接着固定し、ワイヤボンディング後、少なくとも半導体チップ、ワイヤ、ワイヤボンディングパッドを樹脂封止する。裏面には、ハンダボールをパッドに溶融接合して半導体プラスチックパッケージとする。
【0032】
【実施例】以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
実施例12,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン900部、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン100部を150℃に熔融させ、撹拌しながら4時間反応させ、プレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解した。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、油化シェルエポキシ<株>製)400部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN-220F、住友化学工業<株>製)600部を加え、均一に溶解混合した。更に触媒としてオクチル酸亜鉛0.4部を加え、溶解混合し、これに無機充填剤(商品名:焼成タルクBST#200、日本タルク<株>製)500部を加え、均一撹拌混合してワニスAを得た。このワニスを厚さ100μmのガラス織布に含浸、乾燥して、ゲル化時間(at170℃)50秒、170℃、20kgf/cm2、5分間での樹脂流れ10mmとなるように作成した、絶縁層の厚さ144μmの半硬化状態のプリプレグB、樹脂流れ0.5mm、ゲル化時間13秒、厚さ145μmのプリプレグCを得た。一方、内層金属板となる厚さ490μmのCu:99.9%,Fe:0.07%,P:0.03%の合金板を用意し、大きさ50mm角のパッケージの半導体チップ搭載部及びその反対面の範囲をエッチングレジストを残し、両側から140μmエッチングして中央部表裏が凸の金属板とした。エッチングレジストを除去し、再びこの全面に液状エッチングレジストを25μm付着させ、中央部の半導体チップ搭載部及び裏面に形成する円錐台形突起部となる箇所に、径300μmの円形のエッチングレジストを残し、クリアランスホール部のエッチングレジストを除いて、上下からエッチングにて金属板を溶解し。金属板表面の中央13mm角内に、表面は高さ140μm、底部径655μm、上部径199μmの円錐台形の突起を256個、裏面は64個作成すると同時に、この円錐台形状突起部の周囲に孔径0.6mmφのクリアランスホールをあけた(図1-f)。金属板全面に黒色酸化銅処理を施し、この表裏面に上記プリプレグBの半導体チップ搭載部を面積15mm角打ち抜いたもの(f)を置き、その上下に12μmの電解銅箔(a)を配置して、200℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形し、一体化した。その後、表面の銅箔に回路を形成し、黒色酸化銅処理を施した後、表面に上記プリプレグCの半導体チップ搭載部を面積14mm角打ち抜いたもの(g)を配置し、その上下に12μmの電解銅箔を置き、同様な条件で積層成形し、多層板とした。クリアランスホール部に孔径0.25mmのスルーホールをメカニカルドリルにてあけ、デスミア処理後に全体に無電解、電解メッキにて15μm銅メッキを施し(k)、表裏面に回路を形成した。裏面のハンダボールパッドは、円錐台形上を避けて作成した。中央の半導体チップ搭載金属箔真上の銅箔をルーターで切除し、半導体チップ搭載部、ワイヤボンディング部、及び裏面のボールパッド部以外にメッキレジストを形成し、ニッケル、金メッキを施してプリント配線板を完成した。表面の半導体チップ搭載部である円錐台形状突起部先端と接触して熱伝導性のある銅箔表面に、大きさ13mm角の半導体チップ(n)を銀ペースト(o)で接着固定した後、ワイヤボンディングを行い、次いでシリカ入りエポキシ封止用コンパウンド樹脂(q)を用い、半導体チップ(n)、ワイヤ(p)及びボンディングパッドを樹脂封止し、裏面にハンダボール(r)を接合して半導体パッケージを作成した。この半導体プラスチックパッケージをエポキシ樹脂マザーボードプリント配線板にハンダボールを溶融接合した。評価結果を表1に示す。
【0033】実施例2実施例1において、円錐台形突起上に銀ペーストを5μmとなるように付着させ、2回目の積層成形時に使用した表面の銅箔の代わりに、プリプレグBを1枚使用し、この両面に12μmの電解銅箔を置き、同様に積層成形した両面銅張積層板の片面に回路を形成して黒色酸化銅処理を施した板を、プリプレグCの代わりにプリプレグBを打ち抜いたものを配置し、両面板の回路側がプリプレグ側を向くように置き、同様に積層成形して多層板を得た。このクリアランスホールの箇所にスルーホール用貫通孔をあけ、表面には孔径100μmのブラインド孔を炭酸ガスレーザーであけ、デスミア処理後、無電解、電解銅メッキにて厚さ17μm付着させた。表裏に回路を形成後、表面の半導体チップを搭載する金属箔の真上の基材をルーターにて切削除去した後、表側からサンドブラスト法にて砂を吹き付け、半導体チップ搭載銅箔上に流れ出した樹脂を除去した後、半導体チップ搭載部である銅箔部、ボンディングパッド部、及び裏面のボールパッド部以外をメッキレジストで覆い、ニッケルメッキ、金メッキを施してキャビティ型多層プリント配線板を作成した。同様に半導体チップを搭載し、ワイヤボンディング、樹脂封止を行い、ハンダボールを接続し、マザーボードプリント配線板に接合した。評価結果を表1に示す。
【0034】比較例1実施例2において、裏面のハンダボールパッドを円錐台形状突起の上に形成し、サンドブラスト法にて半導体チップ搭載銅箔部表面の樹脂を除去せずに半導体チップを搭載し、プリント配線板を同様に作成し、マザーボードプリント配線板にハンダボールで接合した。評価結果を表1に示す。
【0035】比較例2実施例1のプリプレグBを2枚使用し、上下に12μmの電解銅箔を配置し、200℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下に2時間積層成形し、両面銅張積層板を得た。所定の位置に孔径0.25mmφのスルーホールをドリルであけ、デスミア処理後に銅メッキを施した。この板の上下に公知の方法で回路を形成し、メッキレジストで被覆後、ニッケル、金メッキを施した。これは半導体チップを搭載する箇所に放熱用のスルーホールが形成されており、この上に銀ペーストで半導体チツプを接着し、ワイヤボンディング後、エポキシ封止用コンパウンドで実施例1と同様に樹脂封止し、ハンダボールを接合した(図3)。同様にマザーボードに接合した。評価結果を表1に示す。
【0036】比較例3エポキシ樹脂(商品名:エピコート5045、油化シェルエポキシ<株>製)300部、及びエポキシ樹脂(商品名:ESCN220F、住友化学工業<株>製)700部、ジシアンジアミド35部、2-エチル-4-メチルイミダゾール1部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドとの混合溶剤に溶解し、これを厚さ100μmのガラス織布に含浸、乾燥させて、ゲル化時間10秒、樹脂流れ98μmのノーフロープリプレグ(プリプレグD)、及びゲル化時間150秒、樹脂流れ18mmのハイフロープリプレグ(プリプレグE)を作成した。このプリプレグEを2枚使用し、190℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形し、両面銅張積層板を作成した。後は比較例1と同様にしてプリント配線板を作成し、半導体チップ搭載部分をザグリマシーンにてくりぬき、裏面に厚さ200μmの銅板を、上記ノーフロープリプレグDを打ち抜いたものを使用して、加熱、加圧下に同様に接着させ、放熱板付きプリント配線板を作成した。これはややソリが発生した。この放熱板に直接銀ペーストで半導体チップを接着させ、ワイヤボンディングで接続後、液状エポキシ樹脂で封止した(図4)。同様にマザーボードプリント配線板に接合した。評価結果を表1に示す。
【0037】
表1 項 目 実 施 例 比 較 例 1 2 1 2 3ボールシェア強度 1.6 1.5 1.2 ー ー (kgf)吸湿後の耐熱性A) 常 態 異常なし 異常なし ー 異常なし 異常なし 24hrs. 異常なし 異常なし ー 異常なし 異常なし 48hrs. 異常なし 異常なし ー 異常なし 異常なし 72hrs. 異常なし 異常なし ー 異常なし 異常なし 96hrs. 異常なし 異常なし ー 異常なし 一部剥離 120hrs. 異常なし 異常なし ー 一部剥離 一部剥離 144hrs. 異常なし 異常なし ー 一部剥離 一部剥離 168hrs. 異常なし 異常なし ー 一部剥離 一部剥離吸湿後の耐熱性B) 常 態 異常なし 異常なし ー 異常なし 異常なし 24hrs. 異常なし 異常なし ー 一部剥離 一部剥離 48hrs. 異常なし 異常なし ー 剥離大 剥離大 72hrs. 異常なし 異常なし ー ワイヤ切れ ワイヤ切れ 96hrs . 異常なし 異常なし ー ワイヤ切れ ワイヤ切れ 120hrs. 異常なし 異常なし ー ワイヤ切れ ワイヤ切れ 144hrs. 異常なし 異常なし ー − − 168hrs. 異常なし 異常なし ー − −
【0038】
表1 項 目 実 施 例 比 較 例 1 2 1 2 3プレッシャークッカー 処理後の絶縁抵抗値 (Ω)
常 態 5X1014 4X1014 ー 6X1014 6X1014 200hrs. 6X1012 5X1012 ー 5X1012 5X108 500hrs. 7X1011 7x1011 ー 4X1011 < 108 700hrs. 4X1010 6X1010 ー 5X1010 ー 1000hrs. 2X1010 3X1010 ー 2X1010 ー耐マイグレーション性(Ω)
常 態 5X1013 6X1013 ー 5X1013 4X1013 200hrs. 5X1011 5X1011 ー 4X1011 3X109 500hrs. 6X1011 4X1011 ー 5X1011 <108 700hrs. 3X1011 1X1011 ー 1X1011 ー 1000hrs. 9X1010 9X1010 ー 8X1010 ーガラス転移温度 (℃) 234 234 234 234 160 放熱性(℃) 35 36 59 56 48
【0039】<測定方法>1)ボールシェア強度径0.6mmのボールパッド部にハンダボールを付け、横から押して剥離する時の強度を測定した。
2)吸湿後の耐熱性A)JEDEC STANDARD TEST METHOD A113-A LEVEL3:30℃・60%RHで所定時間処理後、220℃リフローソルダー3サイクル後の基板の異常の有無について、断面観察及び電気的チェックによって確認した。
3)吸湿後の耐熱性B)JEDEC STANDARD TEST METHOD A113-A LEVEL2:85℃・60%RHで所定時間(Max.168hrs.)処理後、220℃リフローソルダー3サイクル後の基板の異常の有無を断面観察及び電気的チェックによって確認した。
4)プレッシャークッカー処理後の絶縁抵抗値端子間(ライン/スペース=70/70μm)の櫛形パターンを作成し、この上に、それぞれ使用したプリプレグを配置し、積層成形したものを、121℃・2気圧で所定時間処理した後、25℃・60%RHで2時間後処理を行い、500VDCを印加60秒後に、端子間の絶縁抵抗値を測定した。
5)耐マイグレーション性上記4)の試験片を85℃・85%RH、50VDC 印加して端子間の絶縁抵抗値を測定した。
6)ガラス転移温度DMA法にて測定した。
7)放熱性パッケージを同一マザーボードプリント配線板にハンダボールで接着させ、1000時間連続使用してから、パッケージの温度を測定した。
【0040】
【発明の効果】プリント配線板の厚さ方向のほぼ中央部に、プリント配線板とほぼ同じ大きさの金属板が配置されており、プリント配線板の片面に、少なくとも1個の半導体チップを熱伝導性接着剤で固定し、該回路導体と半導体チップとをワイヤボンディングで接続し、少なくともプリント配線板表面上の該回路導体と、プリント配線板反対面に形成された回路導体もしくは該半導体プラスチックパッケージを外部とハンダボール導体で結線し、少なくとも半導体チップ、ワイヤ、ボンディングパッドを樹脂封止している構造の半導体プラスチックパッケージ用プリント配線板において、表裏に複数の円錐台形状の金属突起、または熱伝導性接着剤またはハンダが付着した該金属突起部と、表裏導通孔形成のためのクリアランスホールまたはスリット孔が形成されている金属板の表裏面に、該金属突起部に半導体チップの面積よりやや大きめに孔をあけた半硬化状態の熱硬化性樹脂組成物のプリプレグ、樹脂シート或いは塗布樹脂層を配置し、その外側に金属箔を置き、加熱、加圧下に積層成形して一体化した後、表面に回路を形成し、金属箔表面を化学処理してから、その外側に半導体チップ面積よりやや大きめに切除した孔を有するプリプレグ、樹脂シート、或いは塗布樹脂層を配置し、その上に金属箔、片面金属箔張板、または片面に回路を形成し、化学処理を施した両面金属箔張板或いは両面金属箔張多層板を、回路側が内側を向くように配置し、加熱、加圧下、好ましくは真空下、に積層成形して多層板を作成し、スルーホール用貫通孔、ブラインド孔をあけ、デスミア処理後に金属メッキを施し、表裏に回路を形成後、好適には裏面のハンダボールパッドを円錐台形突起部上を避けて表裏に回路を形成し、表面の半導体チップ搭載部分の真上の金属箔及び/又は基材を切除してから、少なくとも表裏の半導体チップ搭載用金属箔上、ボンディングパッド、裏面のボールパッド以外をメッキレジストで被覆し、ニッケルメッキ、金メッキを施して得られる金属芯入りプリント配線板とすることにより、これを用いて得られた半導体プラスチックパッケージでは、ハンダボールとの接着強度にも優れ、半導体チップの下面からの吸湿がなく、吸湿後の耐熱性、すなわちポップコーン現象が大幅に改善でき、樹脂として多官能性シアン酸エステル樹脂組成物を用いることにより、プレッシャークッカー処理後の絶縁性、耐マイグレーション性に優れ、加えて大量生産性にも適しており、経済性の改善された、新規な構造の半導体プラスチックパッケージに用いる多層プリント配線板を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の金属芯入り半導体プラスチックパッケージ製造工程図である。
【図2】実施例1の金属芯入り半導体プラスチックパッケージ製造工程図である。
【図3】比較例1の半導体プラスチックパッケージ製造工程図である。
【図4】比較例2の半導体プラスチックパッケージ製造工程図である。
【符号の説明】
a 銅箔
b プリプレグB
c 半導体チップ搭載部分のプリプレグを切除した部分
d 金属芯
e 円錐台形状突起
f クリアランスホール
g プリプレグC
h 化学処理された回路導体
i 表裏回路導通用スルーホール部
j プリプレグCから流れ出した樹脂
k 銅メッキ部分
l メッキレジスト
m 半導体チップ搭載用金属箔
n 半導体チップ
0 銀ペースト
p ボンディングワイヤ
q 封止樹脂
r ハンダボール
s 熱放散用スルーホール
t プリプレグD

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プリント配線板の厚さ方向の一部に、プリント配線板とほぼ同じ大きさの金属板を配置し、プリント配線板の片面に少なくとも1個の半導体チップを熱伝導性接着剤で固定し、該金属板とプリント配線板表面の信号伝播回路導体とを熱硬化性樹脂組成物で絶縁し、該回路導体と半導体チップとをワイヤボンディングで接続し、少なくともプリント配線板表面上の該回路導体と、プリント配線板反対面に形成された回路導体もしくは該パッケージを外部とハンダボールで接続するために形成された回路導体パッドとを、金属板と樹脂組成物で絶縁されたスルーホール導体で結線し、少なくとも半導体チップ、ワイヤ、ボンディングパッドを樹脂封止している構造の半導体プラスチックパッケージ用プリント配線板において、表裏に複数の円錐台形の金属突起、または熱伝導性接着剤或いはハンダが付着した該金属突起部と、表裏導通孔形成のためのクリアランスホールまたはスリット孔が形成されている金属板の表裏面に、該金属突起部の箇所を、半導体チップを搭載する面積よりやや大きめに切除した半硬化状態の熱硬化性樹脂組成物のプリプレグ、樹脂シート、或いは塗布樹脂層を配置し、その外側に金属箔を置き、加熱、加圧下に積層成形して一体化した後、表面に回路を形成し、金属箔表面を化学処理してから、その外側に半導体チップの面積よりやや大きめに切除したプリプレグ、樹脂シート、或いは塗布樹脂層を配置し、その上に金属箔、片面金属箔張積層板、または両面銅張板或いは多層板の片面に回路を形成してから表面処理を施したものを、回路側が内側を向くように配置し、加熱、加圧下に積層成形して多層板を作成し、スルーホール用貫通孔、ブラインド孔をあけ、デスミア処理後に金属メッキを施し、表裏に回路を形成し、表面の半導体チップ搭載部金属箔上の部分を切除してから、少なくとも表面の半導体チップ搭載用金属箔上、ボンディングパッド、裏面のボールパッド以外をメッキレジストで被覆し、ニッケルメッキ、金メッキを施して得られることを特徴とする金属芯入半導体プラスチックパッケージ用多層プリント配線板。
【請求項2】 該半導体チップ搭載部金属箔上に流れ出した樹脂を、サンドブラスト法で、少なくとも半導体チップを搭載する面積の金属面が露出するように処理して得られる両面金属箔張多層板を用いることを特徴とする請求項1記載の半導体プラスチックパッケージ用プリント配線板。
【請求項3】 該金属板が、銅95重量%以上の銅合金、或いは純銅である請求項1または2記載の半導体プラスチックパッケージ用プリント配線板。
【請求項4】 該熱硬化性樹脂が、多官能性シアン酸エステル、該シアン酸エステルプレポリマーを必須成分とする熱硬化性樹脂組成物である請求項1、2または3記載の半導体プラスチックパッケージ用プリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2000−260901(P2000−260901A)
【公開日】平成12年9月22日(2000.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−57585
【出願日】平成11年3月4日(1999.3.4)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】