説明

金属蒸着多層ハイバリアフィルム

【課題】ラミネート回数や使用する基材を低減することを可能とし、更に、優れたガスバリア性及び耐ピンホール性を兼ね備え、かつコスト低減を可能とする金属蒸着多層ハイバリアフィルム及び該多層ハイバリアフィルムを用いて得られ、高い真空度を保持しうる真空断熱材を提供すること。
【解決手段】内層としてガスバリア層、及び該ガスバリア層の両側に設けられる表面層として熱可塑性樹脂層を有する共押出複合延伸フィルムを有し、該共押出複合延伸フィルムの上記表面層の少なくとも一方の側に表面処理が施され、かつ金属が真空蒸着されていることを特徴とする金属蒸着多層ハイバリアフィルム、及び該金属蒸着多層ハイバリアフィルムを用いた真空断熱材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性および耐ピンホール性に優れ、コスト低減を可能とする金属蒸着多層ハイバリアフィルムに関し、特に、高い真空度を保持しうる真空断熱材などに好適に用いられる多層ハイバリアフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫、冷凍庫、炊飯器、卓上ポット、クーラーボックス、住宅建材、自動車、鉄道車輌などの断熱構造体に用いる真空断熱材などにおいて、より高い真空度を保持するために、従来、バリア材として、ポリエチレンテレフタレートのフィルムに無機物であるシリカを蒸着させた透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやエチレン−ビニルアルコール樹脂フィルム(EVOHフィルム)、アルミニウムを蒸着させたEVOHフィルム、アルミ箔などのバリア性のあるフィルム等が使用されていた。これらのバリア材は、通常単層で使用されることはなく、それぞれ足りない特性を補うような基材をラミネートしてその品質を高めて活用されていた。補足する特性としては、ガスバリア性、耐ピンホール性、シール性等が挙げられ、例えば、特許文献1には、ONY//アルミ蒸着EVOH//LLDPEの構成が例示され、ONYにより耐ピンホール性を付与し、LLDPEによりシール性を付与している。
一方、前記シリカを蒸着させた透明蒸着PETフィルムの一例であるONY//シリカ蒸着PET//LLDPEの構成においては、ONY、LLDPEは同様の機能を有するが、このようなフィルムを屈曲等させた場合、蒸着層にクラックが入り、要求されるバリア性能を満たすことができないなど優れたバリア材として使用することが難しい場合がある。従って、屈曲等が起こらない状況下では要求されるバリア性を満たすことができ使用可能である。
【0003】
このように、ハイバリアフィルムにはガスバリア性が求められると共に、更に耐ピンホール性も求められるが、通常、耐ピンホール性を付与するために、ONYフィルムをラミネートして、使用することが一般的な構成となっている。
ONYフィルムを使用しない場合として、特許文献2には、ナイロン系樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体とナイロン系樹脂とがこの順で積層された共押出延伸フィルムからなる保護層、ガスバリア層及び熱融着層を有する場合が記載されている。この場合は、ONYフィルムが使用されていないが、バリア層としてアルミ箔が使用されていることから、ラミネート回数が増えてしまい、アルミ箔のコストも問題視されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4642265号公報
【特許文献2】国際公開2011-068148号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の通り、従来技術においては、ガスバリア性を保持するために耐ピンホール性が求められ、そのためにONYフィルム(二軸延伸フィルム)が必要となり、これがラミネートされて使用されることが殆どであった。このようなバリアフィルムの場合、ラミネート回数が増大したり、ONYフィルムを別に購入しなければならない等、工程が煩雑になり、コスト的にも逼迫させていた。
また、ナイロン/EVOH/ナイロンの共押出延伸フィルムを使用する場合でも、バリア性を向上させるためにアルミ箔を使用すれば、ONYフィルムを使用しなくてよいが、アルミ箔を使用する場合、同様に、ラミネート回数が増え、アルミ箔の購入費用が嵩むなどの問題がある。また、アルミ箔やアルミ箔を積層したフィルムは、フレキシブルであるが故に屈曲等を受けたときの耐ピンホール性が必ずしも充分とは言えず、アルミ箔の厚みを大きくする必要があり、経済的に不利な面があった。
【0006】
そこで本発明は、従来の欠点を解消させるべく創案されたものであり、ラミネート回数や使用する基材を低減することを可能とし、更に、優れたガスバリア性及び耐ピンホール性を兼ね備え、かつコスト低減を可能とする金属蒸着多層ハイバリアフィルム、及び該金属蒸着多層ハイバリアフィルムを用いて得られ、高い真空度を保持しうる真空断熱材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内層としてガスバリア層、及び該ガスバリア層の両側に設けられる表面層として熱可塑性樹脂層を有する共押出複合延伸フィルムを有し、該共押出複合延伸フィルムの上記表面層の少なくとも一方の側に金属が真空蒸着されていることを特徴とする金属蒸着多層ハイバリアフィルム、及び該金属蒸着多層ハイバリアフィルムを用いて得られる真空断熱材に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れたガスバリア性及び耐ピンホール性を有し、コスト低減を可能とする金属蒸着多層ハイバリアフィルム、及び高い真空度を保持しうる真空断熱材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0010】
[金属蒸着多層ハイバリアフィルム]
<表面層としての熱可塑性樹脂層>
本発明の金属蒸着多層ハイバリアフィルムは、内層であるガスバリア層の両側に表面層を有し、該表面層の各々として熱可塑性樹脂層を用いる。
表面層である熱可塑性樹脂層は、耐ピンホール性の観点から、ポリアミド系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂層であることが好ましく、ポリアミド系樹脂を含む樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でポリアミド系樹脂以外の樹脂や添加剤等を含んでも良く、ポリアミド系樹脂以外の樹脂からなる熱可塑性樹脂層を積層してなる多層体であっても良い。
【0011】
ポリアミド系樹脂としては、特に限定されないが、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、ジアミンとジカルボン酸を主成分(50モル%以上)とするものを用いることが好ましい。また、ポリアミド系樹脂が共重合体である場合、ポリアミド成分は好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含まれている。
【0012】
前記ポリアミド系樹脂は特に限定されないが、3員環以上のラクタム類の重合体、ω−アミノ酸類の重合体、及び、ジカルボン酸類とジアミン類との重縮合体等のいずれであってもよく、具体的には、例えば、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウリルラクタム等のラクタム類の重合体、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノ酸類の重合体、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン類と、グルタル酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸類との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられるが、十分な強度を有しかつ安価であることから、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、またはその混合物であることが好ましい。
【0013】
前記脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン6からなるものが好ましく、芳香族ポリアミドとしてはポリメタキシリレンアジパミドからなるものが好ましく、ε−カプロラクタムの開環重合等により得られる、融点220〜225℃程度のポリアミド6を主成分とすることが特に好ましい。これらのポリアミド系樹脂は、ホモポリマーであってもよく、また共重合体やこれらの混合物であっても良い。
【0014】
本発明において、ポリアミド系樹脂は、表面層を構成する熱可塑性樹脂層中に70質量%以上含有されることが好ましく、より好ましくは75質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上である。
尚、ポリアミド系樹脂層には、延伸性改良のためにポリメタキシリレンアジパミドを5〜40質量%混合することができる。但し、ポリアミド系樹脂層にポリアミド系樹脂以外のポリアミドを含有する場合、該ポリアミドの融点は250℃以下であることが好ましい。
【0015】
また、前記表面層には、柔軟性、耐衝撃性等を付与する目的で、ポリオレフィン類、ポリアミドエラストマー類、ポリエステルエラストマー類などの樹脂を添加することができる。
本発明においては、表面層は2層以上から構成されていてもよい。上記各々の表面層の厚みについては、特に制限はないが、柔軟性、耐衝撃性等の観点から、各々1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは、3〜7μmである。
【0016】
<内層としてのガスバリア層>
本発明の金属蒸着多層ハイバリアフィルムは、内層としてガスバリア層を有する。本発明においては、ガスバリア層として、共押出加工性やガスバリア性の観点から、好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、芳香族ポリアミド等からなるものが使用される。
EVOH中のエチレン含有率は、特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から、好ましくは5モル%以上、より好ましくは23モル%以上、更に好ましくは27モル%以上であり、ガスバリア性の観点から、好ましくは60モル%以下、より好ましくは38モル% 以下、更に好ましくは32モル%以下である。また、EVOHのケン化度は、90%以上であることが好ましく、より好ましくは96%以上、更に好ましくは99モル%以上である。本発明においては、EVOH中のエチレン含有量およびケン化度を上記範囲に保つことにより、良好な酸素バリア性を維持できると共に、共押出性とフィルムの強度とを良好なものにすることが出来る。
【0017】
また、前記EVOHは、エチレンと酢酸ビニル二元共重合体のケン化物の他に、共重合成分として少量のプロピレン、イソブテン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のα-オレフィン;不飽和カルボン酸、またはその塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド、無水物、不飽和スルホン酸、その塩等を含むものであってもよく、また、他の樹脂、具体的にはポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を混合したものであっても良い。
【0018】
本発明において、ガスバリア層に用いられる芳香族ポリアミドとしては、前述の表面層に用いられるものと同様のものが使用でき、共押出加工性やガスバリア性の点から、ポリメタキシリレンアジパミドが好ましい。また、ガスバリア層には、柔軟性、耐衝撃性等を目的として、ポリオレフィン類、ポリアミドエラストマー類、ポリエステルエラストマー類等の添加剤を配合することができる。
本発明においては、上記EVOHあるいは芳香族ポリアミドは、ガスバリア層中に好ましくは90質量%以上、より好ましくは93〜98質量%含有される。
内層としてのガスバリア層の厚みは、共押出加工性やガスバリア性の観点から、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは、3〜7μmである。
【0019】
<共押出複合延伸フィルム>
本発明においては、共押出複合延伸フィルムは前記表面層及び内層を有する。
本発明における共押出複合延伸フィルムは、従来公知の方法により製造することが出来る。先ず、原料として、表面層用のポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂、ガスバリア層用のEVOH等を使用し、通常、共押出法により、実質的に無定型で配向していない積層フィルム(以下「積層未延伸フィルム」ということがある)を製造する。この積層未延伸フィルムの製造は、例えば、2〜5台の押出機により上記の原料を溶融し、フラットダイ又は環状ダイから押出した後、急冷することによりフラット状または環状の積層未延伸フィルムとする共押出法を採用するのが好ましい。
【0020】
次に、上記の積層未延伸フィルムを、フィルムの流れ方向(縦方向)及びこれと直角な方向(横方向)において、少なくとも一方向に通常2倍以上、好ましくは2.0〜5.0倍、より好ましくは縦横二軸方向に各々2.5〜4.5倍、更に好ましくは2.5〜4.0倍の範囲で延伸する。縦方向および横方向の二軸延伸方向の延伸倍率が各々2.0倍以上であれば、延伸の効果が十分であり、フィルムの強度が優れたものとなり、また、二軸延伸方向の延伸倍率が各々5.0倍以下であれば、延伸時に積層フィルムが裂けたり破断したりすることがない。
二軸延伸の方法としては、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸など、本発明の趣旨を超えない限り従来公知の延伸方法を採用できる。
【0021】
例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、積層未延伸フィルムを、50〜110℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に2.0〜5.0倍に延伸し、続いて、テンター式横延伸機によって60〜140℃の温度範囲内で横方向に2.0〜5.0倍に延伸する。
また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、60〜130℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に2.0〜5.0倍に延伸することにより製造することが出来る。
【0022】
延伸された積層二軸延伸フィルムは引き続き熱固定(熱処理)することが好ましい。これにより常温における寸法安定性を付与することが出来る。この場合の熱処理温度は、110℃ を下限として各ポリアミドの融点より2℃低い温度を上限とする範囲を選択するのがよい。これにより、常温寸法安定性に優れ、任意の熱収縮率を持った延伸フィルムを得ることが出来る。熱処理操作により、充分に熱固定された積層二軸延伸フィルムは、常法により冷却し巻き取ることが出来る。
【0023】
熱処理によって得られる共押出複合延伸フィルムは、95℃、5分間での熱水収縮率が縦・横方向ともに0.5〜5.0%であることが好ましい。熱水収縮率が0.5%以上であれば、熱処理温度が適切であり、共押出複合延伸フィルムの機械強度が維持される。また、熱水収縮率が5.0% 以下であれば、熱処理温度が十分であり、金属蒸着加工などの後加工で施される熱によっても収縮を起こすことなく、ラミネートシワ、製袋品の歪みを引き起こさない。熱水収縮率は、好ましくは0.8〜4.5%、更に好ましくは1.0〜4.0%である。
【0024】
本発明における共押出複合延伸フィルムの厚さは、好ましくは5〜40μmである。全体の厚さが5μm以上であれば、酸素ガスバリア性と耐屈曲ピンホール性のバランスに優れ、また、耐摩耗性も充分であり、包装用途に適切である。また、40μm以下であれば、フィルムの柔軟性が維持され、更に、シーラント層を張り合わせた場合にもフィルム全体が厚くなることもなく、軟包装用途に適切である。上記観点から、共押出複合延伸フィルムは、その厚みがフィルム加工性などの観点から、より好ましくは10〜30μmであり、更に好ましくは12〜27μmである。
【0025】
上記共押出複合延伸フィルムに金属蒸着を施す際には、フィルムへの金属密着強度を向上させるため、共押出複合延伸フィルムの金属蒸着を施す面にコロナ放電処理等の表面処理を施しておくことが好ましい。上記表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理やフレーム処理等が好ましく挙げられるが、上記観点から、コロナ処理が好ましい。処理程度としては、ぬれ張力試験方法(JIS K6768)にて測定されたぬれ張力指数が、好ましくは42mN/m以上であること、更に好ましくは、50mN/m以上のぬれ張力指数があれば、アルミニウム密着強度は150gf/15mm幅以上の密着強度を確保することが好ましい。
【0026】
前記共押出複合延伸フィルムに占める表面層以外の樹脂層(ガスバリア層を含む)の厚み比率としては、通常0%を越え、10%以上であることが好ましい。また、当該厚み比率は50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。前記表面層以外の樹脂層の厚みをかかる範囲とすることで、本発明の多層フィルムが有する透明性、防湿性を損なうことなく、さらに酸素バリア性、耐衝撃性等の特性を向上することができる。
【0027】
<金属蒸着層>
本発明においては、前記共押出複合延伸フィルムの表面層の少なくとも一方の側に、例えば真空蒸着装置を用いて、膜厚が好ましくは200〜1000Å、より好ましくは300から800Å、更に好ましくは400〜700Åの金属蒸着層を形成する。金属蒸着層の金属としては、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、プラチナ、 ニッケルなどの金属類等が用いられ、コスト、蒸着加工性の観点から、アルミニウムが好ましい。金属蒸着層の膜厚が上記範囲内であれば、ガスバリア性、水蒸気透過性が良好であり好ましい。
【0028】
<ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層>
本発明の金属蒸着多層ハイバリアフィルムは、前記共押出複合延伸フィルム及び金属蒸着層に加え、更に、その表面層の少なくとの一方の面、好ましくは内側にヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層(以下、「ヒートシール性樹脂層」ということがある)を有する。ヒートシール性樹脂層に用いられる樹脂は、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂であれば限定されることはなく、被着体の材質を考慮して適宜決定される。ヒートシール可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エステル系樹脂、エステル系樹脂との接着性を有するエチレン系樹脂、スチレン系樹脂、又はスチレン系樹脂との接着性を有するエチレン系樹脂などが挙げられ、シール強度など取り扱い易さ等の観点からオレフィン系樹脂が好適に使用される。
【0029】
オレフィン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレン系樹脂; エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA 、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン− エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体の金属中和物、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属中和物(例えば、そのカルボキシル基のうちの少なくとも10モル%、好ましくは10〜60モル%がナトリウム、亜鉛等の金属のイオンで中和されているもの);アイオノマー、ホモポリプロピレン、ブロック共重合又はランダム共重合タイプのポリプロピレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン− メタクリル酸エチル共重合体などが挙げられる。
【0030】
また、スチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレンの他、スチレンモノマーに対して少量のゴム分や他のビニル系単量体が共重合されているスチレン系共重合体等が挙げられる。他のビニル系単量体としては、例えば、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン系モノマーや、アクリルニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。また、ゴム分の使用割合は、スチレン系共重合体に対して通常0.1〜20質量%、他のビニル系単量体の使用割合は通常0.1〜30質量%である。スチレン系樹脂として好ましいものとしては、ポリスチレンや、ジエン系ゴムとスチレンの共重合体であるハイインパクトポリスチレン(HIPS)が挙げられる。
なお、これらの樹脂は、単独で又は混合して使用することができる。また、ヒートシール性樹脂層は、必要に応じて異なる樹脂からなる2層以上で構成されていてもよい。
【0031】
ヒートシール性樹脂層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm 以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。ヒートシール性樹脂層の厚みが10μm以上であれば、シール強度の低下を抑えることができ好ましい。
【0032】
<金属蒸着多層ハイバリアフィルム>
本発明の金属蒸着多層ハイバリアフィルムは、前記表面層及び前記内層を有する前記共押出複合延伸フィルムを有し、該共押出複合延伸フィルムの上記表面層の少なくとも一方の側に金属が真空蒸着されているものである。
本発明の金属蒸着多層ハイバリアフィルムは、上記構成を有するものであれば、その層構成に特に制限はないが、具体的には、以下の構成を挙げることができる。
(1)金属蒸着層/表面処理表面層/内層/表面層//ヒートシール樹脂層
(2)表面層/内層/表面処理表面層/金属蒸着層//ヒートシール樹脂層
(3)金属蒸着層/表面処理表面層/内層/表面処理表面層/金属蒸着層//ヒートシール樹脂層
(4)表面処理表面層/内層/表面処理表面層/金属蒸着層//ヒートシール樹脂層
本発明の金属蒸着多層ハイバリアフィルムは、その全体厚みが、5〜40μmであることが好ましく、より好ましくは、10〜30μmであり、更に好ましくは12〜27μmである。
【0033】
本発明の金属蒸着多層ハイバリアフィルムは、その酸素透過度が2ml/m2・day・MPa[25℃×80%RH]以下であることが好ましい。特に、真空断熱材の熱伝導性等を考慮すると、その値は1.5ml/m2・day・MPa[25℃×80%RH]以下であることがより好ましく、1.0ml/m2・day・MPa[25℃×80%RH]以下であることが更に好ましい。また、水蒸気透過度は、0.3g/(m2・d)[40℃×90%RH]以下であることが好ましく。特に、真空断熱材の熱伝導性等を考慮すると、その値は0.25g/(m2・d)[40℃×90%RH]以下であることが好ましい。
【0034】
[真空断熱材]
本発明の金属蒸着多層ハイバリアフィルムは、十分なガスバリア性、耐ピンホール性を有し、コスト低減を可能とする点から、真空断熱材に好ましく使用される。
真空断熱材は、具体的には、本発明の金属蒸着多層ハイバリアフィルムを用いて得られるものであり、例えば、ヒートシール性樹脂層を有する上記金属蒸着多層ハイバリアフィルム2枚を用い、互いのヒートシール層を合わせて3方をヒートシールにて製袋し、得られた袋に断熱効果を発現しうる材料を内容物として入れた後、内部を好ましくは100Pa以下の真空度として、ヒートシールしてなるものが好ましく挙げられる。
断熱効果を発現しうる材料としては、例えば、シリカ、珪酸カルシウム等の微粉末やグラスウール、ロックウール、スチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等の成形体等が挙げられ、内部の真空度は、断熱性能を更に引き出すため、50Pa以下であることがより好ましく、更に好適な真空度は1〜3Paである。
【0035】
本発明の真空断熱材は、上記十分なガスバリア性、耐ピンホール性を有し、コスト低減を可能とする点から、冷蔵庫、冷凍庫、炊飯器、卓上ポット、クーラーボックス、住宅建材、自動車、及び鉄道車輌から選ばれる断熱構造体に用いられることが好ましい。上記観点から、特に、断熱性に効果を大きく期待されるアイテムに用いられることが更に好ましい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の内容および効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の例に限定されるものではない。なお、以下の例において、得られたフィルムの評価は次の方法によって行った。
【0037】
(1)AL蒸着層密着強度
下記の各実施例等に記載の方法によって得られた金属蒸着多層ハイバリアフィルムに、ウレタン系二液型接着剤(東洋モートン(株)製、AD900/RT5)を用いて、無延伸ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ(株)製、FCS、厚み50μm)をドライラミネートして、積層フィルムを調製した。次に、この積層フィルムを、40℃×3日間のエージングした後、引張試験機〔(株)島津製作所製、オートグラフAG−I〕にてAL蒸着多層ハイバリアフィルムと無延伸ポリエチレンフィルムのラミネート強度を測定した。測定条件は、ラミネートフィルム15mm幅のものを使用し、AL蒸着面から剥離して、T型剥離、剥離速度20mm/分で流れ方向と垂直(TD)方向のAL密着強度の測定を実施した。
AL密着強度は150gf/15mm幅以上を良好とし、150gf/15mm幅より低い強度を不十分とした。
【0038】
(2)耐屈曲ピンホール性[ピンホール数/497cm2(=77inch2)]
20.3m×27.9cmの大きさに切断したバリアフィルムを、23℃で50%RH雰囲気下に24時間以上放置してコンディショニングし、ゲルボフレックステスター( 理学工業社製「No.901型」(MIL−B−131Cの規格に準拠))を使用し、次のように屈曲テストを繰り返し、ピンホール数を計測する。
上記の長方形テストフィルムを長さ20.3cmの円筒状にし、当該巻架した円筒状フィルムの一端を上記のテスターの円盤状固定ヘッドの外周に、他端を上記のテスター円盤状可動ヘッドの外周に夫々固定する。上記可動ヘッドを、上記の固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッド( 固定ヘッドと可動ヘッドとは17.8cm隔てて対向している)の軸に沿って8.9cm接近させる間に440゜回転させる。続いて、回転させることなしに6.4cm直進させ、その後、これらの動作を逆に行わせ、上記可動ヘッドを最初の位置に戻すまでの行程を1サイクルとする屈曲テストを行う。1分当り40サイクルの速度で連続して3000サイクル行う。その後に、テストしたフィルムの固定ヘッド、可動ヘッドの外周に固定した部分を除いた17.8cm×27.9cm(7inch×11inch=77inch2=496cm2)内の部分に生じたピンホール数を、ピンホールテスター(サンコー電子研究所製「TRD型」)により1KVの電圧を印加して計測する。
ピンホール数20ヶ以下を良好とし、20ヶを越えるものを不十分とした。
【0039】
(3)酸素透過度
モダンコントロール社製のOXY−TRAN100型酸素透過率測定装置を使用し、バリアフィルムを23℃×50%RHで測定し、酸素透過度とした。
酸素透過度2.0[ml/m2・day・MPa]以下を良好とした。また、2.0[ml/m2・day・MPa]を超えるもの不十分とした。
【0040】
(4)水蒸気透過度
JIS K7129Bに基づき、MOCON社製PERMATRAN W 3/31を用いて、40℃、90%RHの雰囲気下においてバリアフィルムの水蒸気透過率を測定した。水蒸気透過度が0.3g/(m2・24時間・MPa)以下であるものを合格とした。
【0041】
(5)コスト
製造コストを示し、○:安い(良好)、△:普通、×:高い(不十分)を表す。
【0042】
<使用した材料>
[ポリアミド系樹脂]
ポリアミド−1:ディーエスエムジャパンエンジニアプラスチックス(株)製商品名ノバミッド1022C6(ポリアミド6)
ポリアミド−2:三菱ガス化学(株)商品名 MXナイロンS6007(ポリアミドMXD6、メタキシレンジアミン/アジピン酸=50.5/49.5モル%)
【0043】
[エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物]
日本合成化学工業(株)製商品名ソアノールDC3203(EVOH、エチレン含有率:32モル%)
[アルミニウム箔]
日本製箔 1N30材 7μm、12μm
[LLDPEフィルム]
三井化学東セロ株式会社製 トーセロT.U.X.FCS50μm
[EVOHアルミ蒸着フィルム]
株式会社クラレ製 エバールフィルム VM−XL 15μm
[ONYフィルム]
三菱樹脂株式会社製 二軸延伸ナイロンフィルム サントニールSNR15μm
[シリカ蒸着PET]
三菱樹脂株式会社製 透明ハイガスバリアフィルム テックバリアHX12μm
【0044】
実施例1
層(A)の原料としてポリアミド-1にシリカAB剤マスターバッチ2%を混合したもの、層(B)の原料としてEVOH〔日本合成化学工業(株)製「ソアノールDC3203」、エチレン含有率32モル%〕、層(C)の原料としてポリアミド-1を使用した。そして、φ65mm押出機3台を使用し、別々に原料溶融させ、更に、層(A)のポリアミド-1および層(C)のポリアミド-1については、夫々分配ブロックで略半々に分割し、共押出Tダイ内で積層させ、5層構造の積層フィルムとして押出し、層(A)/層(C)/層(B)/層(C)/層(A)構成で各層厚みが夫々35μm/20μm/40μm/20μm/35μmから成る溶融状フィルムを得て、引き続き、30℃の冷却ロール上で急冷し、厚み150μmの未延伸積層フィルムとした。
【0045】
次いで、この未延伸積層フィルムを50℃に加熱昇温した後、この温度条件でロール式縦延伸機により縦方向に3倍延伸し、更に、120℃ に加熱昇温した後、テンター式横延伸機により横方向に3.3倍延伸した。引き続き、得られた二軸延伸フィルムを215℃の条件で6秒間熱処理することにより、総厚み15μmの延伸積層フィルムを得た。さらに、インラインのコロナ処理装置により、AL蒸着面側とその反対側の両面に50mN/m以上のコロナ処理を施した。その後工程として、真空蒸着装置を用いて、ALを330Åの膜厚で蒸着し、更に、そのフィルムのAL蒸着面の反対側に接着剤として主剤に東洋モートン(株)製の商品名TM−329、硬化剤に東洋モートン(株)製の商品名CAT−8B、及び、希釈溶剤として酢酸エチルを用い、TM−329、CAT−8B、及び、酢酸エチルを混合質量比13.8/13.8/72.4の割合で混合し、グラビアコート塗布後、70℃で乾燥して酢酸エチルを除去して接着剤塗布厚みを0.005mmとして、LLDPE50μmをラミネートし、40℃で48時間エージングして、実施例1の多層バリアフィルムを得た。
【0046】
実施例2〜4
実施例1において、真空蒸着装置によるAL蒸着層の膜厚330Åを、それぞれ500Å、650Å、800Åに変更した以外は同様にして実施例2-4の多層バリアフィルムをそれぞれ得た。
【0047】
実施例5
実施例1において、真空蒸着装置によるAL蒸着層の膜厚330Åを500Åに変更し、かつ、真空蒸着装置を2回使用し、延伸積層フィルムの両面に膜厚500ÅのAL蒸着層を設けた以外は同様にして実施例5の多層バリアフィルムを得た。
【0048】
実施例6
層(A)の原料としてポリアミド-1にシリカAB剤マスターバッチ2%を混合したもの、層(B)の原料としてポリアミド-2、層(C)の原料としてポリアミド-1を使用した。そして、φ65mm押出機3台を使用し、別々に原料溶融させ、更に、シリカAB剤含有層(A)のポリアミド-1および層(C)のポリアミド-1については、夫々分配ブロックで略半々に分割し、共押出Tダイ内で積層させ、5層構造の積層フィルムとして押出し、層(A)/層(C)/層(B)/層(C)/層(A)構成で各層厚みが夫々35μm/20μm/40μm/20μm/35μmから成る溶融状フィルムを得た、引き続き、30 ℃の冷却ロール上で急冷し、厚み150μmの未延伸積層フィルムとした。
【0049】
次いで、この未延伸積層フィルムを50 ℃ に加熱昇温した後、この温度条件でロール式縦延伸機により縦方向に3倍延伸し、更に、120℃に加熱昇温した後、テンター式横延伸機により横方向に3.3倍延伸した。引き続き、得られた二軸延伸フィルムを215℃の条件で6秒間熱処理することにより、総厚み15μmの延伸積層フィルムを得た。以下の後工程を実施例1と同様にして実施例6の多層バリアフィルムを得た。
【0050】
比較例1
実施例3において、インラインのコロナ処理装置にて、総厚み15μmの延伸積層フィルムのAL蒸着面にコロナ処理を施さないこと以外は同様にして比較例1の多層バリアフィルムを得た。
【0051】
比較例2
ONy(15μm)とEVOHアルミ蒸着フィルム(クラレVM−XL)15μmとLLDPE50μmフィルムの3種をこの順番で主剤に東洋モートン(株)製の商品名TM−329、硬化剤に東洋モートン(株)製の商品名CAT−8B、及び、希釈溶剤として酢酸エチルを用い、TM−329、CAT−8B、及び、酢酸エチルを混合質量比13.8/13.8/72.4の割合で混合し、グラビアコート塗布後、70℃で乾燥して酢酸エチルを除去して接着剤塗布厚みを0.005mmとして、それぞれラミネートし、40℃で48時間エージングして、比較例2の多層バリアフィルムを得た。
【0052】
比較例3
ONYフィルム(15μm)とシリカ蒸着PET(テックバリアHX)12μmとLLDPEフィルム50μmの3種をこの順番で比較例2と同様にしてドライラミネートして比較例3の多層バリアフィルム成を得た。
【0053】
比較例4
実施例1で得られた総厚み15μmの延伸積層フィルムとAL箔7μmとLLDPE50μmフィルムの3種をこの順番で比較例2と同様にしてドライラミネートして比較例4の多層バリアフィルムを得た。
【0054】
比較例5
比較例4のAL箔の厚みを7μmから12μmへ変更した以外は、比較例4と同様にして比較例5の多層バリアフィルムを得た。
【0055】
以下に実施例1〜5及び比較例1〜5の各々で得られたフィルム構成を示す。
実施例1 [AL蒸着330Å][コロナ処理ありNy/EVOH/Nyコロナ処理あり]//LLDPE50μm
実施例2 [AL蒸着500Å][コロナ処理ありNy/EVOH/Nyコロナ処理あり]//LLDPE50μm
実施例3 [AL蒸着650Å][コロナ処理ありNy/EVOH/Nyコロナ処理あり]//LLDPE50μm
実施例4 [AL蒸着800Å][コロナ処理ありNy/EVOH/Nyコロナ処理あり]//LLDPE50μm
実施例5 [AL蒸着500Å][コロナ処理ありNy/EVOH/Nyコロナ処理あり][AL蒸着500Å]//LLDPE50μm
実施例6 [AL蒸着330Å][コロナ処理ありNy/MXD6/Nyコロナ処理あり]//LLDPE50μm
比較例1 [AL蒸着650Å][コロナ処理なしNy/EVOH/Nyコロナ処理あり]//LLDPE50μm
比較例2 ONy(15μm)//[AL蒸着]EVOH15μm(クラレVM−XL)//LLDPE50μm
比較例3 ONY(15μm)//シリカ蒸着PET12μm//LLDPE50μm
比較例4 Ny/EVOH/Ny//AL箔 7μm//LLDPE50μm
比較例5 Ny/EVOH/Ny//AL箔12μm//LLDPE50μm

各実施例、比較例で得られたフィルムの物性を測定した結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
表1によれば、本発明の構成を有する実施例1から6はいずれも、密着強度、ガスバリア性、耐ピンホール性に優れ、コスト低減を可能とするものであった。一方、延伸積層フィルムにコロナ処理を施さなかった比較例1は、密着強度、ガスバリア性、耐ピンホール性に劣り、本発明の層構成を有しない比較例2〜5はいずれもピンホール性に劣り、またコスト面でも劣ることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層としてガスバリア層、及び該ガスバリア層の両側に設けられる表面層として熱可塑性樹脂層を有する共押出複合延伸フィルムを有し、該共押出複合延伸フィルムの上記表面層の少なくとも一方の側に表面処理が施され、かつ金属が真空蒸着されていることを特徴とする金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項2】
前記金属がアルミニウムである請求項1に記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項3】
金属蒸着層の厚みが200〜1000Åである請求項1または2に記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項4】
前記共押出複合延伸フィルムに施された表面処理がコロナ処理であり、該表面処理が施された表面のぬれ張力試験方法(JIS K6768)にて測定されたぬれ指数が42.0mN/m以上である請求項1〜3のいずれかに記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項5】
前記表面層の各々を構成する熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂からなる請求項1〜4に記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項6】
前記ポリアミド系樹脂が、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、またはその混合物である請求項5に記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項7】
前記芳香族ポリアミドがポリメタキシリレンアジパミドからなる請求項6に記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項8】
前記脂肪族ポリアミドがナイロン6からなる請求項6に記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項9】
前記ガスバリア層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系樹脂または芳香族ポリアミドからなる請求項1〜8のいずれかに記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項10】
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系樹脂のエチレン含有量が5〜60モル%、及びケン化度が90%以上である請求項9に記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項11】
前記共押出複合延伸フィルムが、少なくとも一軸方向に2倍以上延伸された延伸フィルムである請求項1〜10のいずれかに記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項12】
更に、表面層の少なくとの一方の面に、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層を有する請求項1〜11のいずれかに記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項13】
酸素透過度が2ml/m2・day・MPa[25℃×80%RH]以下である請求項1〜12のいずれかに記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項14】
水蒸気透過度が0.3g/(m2・d)[40℃×90%RH]以下である請求項1〜13のいずれかに記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルム。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルムを用いた真空断熱材。
【請求項16】
請求項12〜14のいずれかに記載の金属蒸着多層ハイバリアフィルムを用いて袋を形成し、これに断熱効果を発現する材料を入れた後、100Pa以下の真空度下でヒートシールしてなる請求項15に記載の真空断熱材。
【請求項17】
冷蔵庫、冷凍庫、炊飯器、卓上ポット、クーラーボックス、住宅建材、自動車、及び鉄道車輌から選ばれる製品の断熱構造体に用いる請求項15または16に記載の真空断熱材。

【公開番号】特開2013−75442(P2013−75442A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216971(P2011−216971)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】