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金属薄膜層を有する偽造防止媒体及び偽造防止用紙
説明

金属薄膜層を有する偽造防止媒体及び偽造防止用紙

【課題】一目で簡単に真偽判定をする事が出来る金属薄膜層を有する偽造防止媒体及び偽造防止用紙を提供する。
【解決手段】偽造防止媒体11は、透明な基材1の片面に金属薄膜層2を設けて文字形成部2a及び偽造判別部2bを形成する。文字形成部2aには、金属薄膜層2を所定の文字形状に同じ膜厚で設け、偽造判別部2bには金属薄膜層2の膜厚を連続的に変化して設ける。偽造防止媒体11は、順光環境下では文字形成部2aに所定の文字形状が、偽造判別部2bに反射光23による金属光沢を観察する事ができる。また、偽造防止媒体11は、逆光環境下では、文字形成部2aに金属薄膜層2により濃い灰色で所定の文字が透けて見える。偽造判別部2bでは、金属薄膜層2の厚みの変化によって光の透過量に差が生じ、透過光24に階調が発現して予め設定した絵柄を観察する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造もしくは改竄を困難とするための偽造防止機能を有する金属薄膜層を有する偽造防止媒体及び偽造防止用紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば紙幣や株券などの偽造を防止する手段は、物品そのものを模倣する事が困難な物とするか、或いは、模倣する事が困難な物を本物の証明として物品に取り付ける事によって、真贋を判定出来るようにしているものがある。例えば前者は紙幣や株券などの有価証券のように、そのもの自体に微細な印刷加工や透かし加工を施したり色再現が困難な色調の彩色を使用したり、素材自体にも特殊なものとする事により、印刷技術による偽造や、複写機やスキャナーによる偽造を困難なものとしていた。
【0003】
ところが、デジタル技術の進歩により、上記のように従来偽造が困難であった微細な印刷加工や色彩までもが容易にカラーコピーやスキャナー等で再現出来るようになった。その結果、偽造防止策としての印刷加工も更に高微細化し、より複製や偽造を困難なものとしているが、このように高微細化が進んでくると一目で真偽判定を行う事ができず、それらの真贋の判定が容易ではないものとなる。
【0004】
そこで、物品(偽造防止対象物)に取り付ける事により一目で容易に真贋を判定する事が可能であり、取り扱いも容易である事から回折格子パターンが記録された回折構造物が偽造防止手段として広く使われる事となった。このような偽造防止手段として採用される回折構造物としては、例えば、基材上に剥離性を持つ剥離層、回折格子が形成された回折構造形成層、金属光沢を持つ反射層、接着層を順次積層して回折構造物を転写箔化したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、基材上に直接回折構造形成層を設け、反射層、粘着加工層が順次積層されてステッカー化したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
このような回折構造物では、回折の光学効果を視認しやすくするために通常回折構造に接するようにして反射層が設けられている。これは、回折構造部分に光が入射して発生した回折光を反射する事で観察者が回折光を視認出来るようにするためである。
【0007】
一般的に回折構造に用いられる反射層には金属の薄い膜や金属光沢を持ったインキによる印刷層、または透明性と反射性を両立させた透明金属の薄膜や無機化合物の薄膜を形成したものが用いられている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
また、最近では、前記反射層の一部を除去したり、金属薄膜層や無機化合物からなる薄膜層を複数設けたりするなど、反射層の構成や製造方法を複雑化して、視覚的な変化を大きくしつつ、より一層偽造が困難な偽造防止媒体としたものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
これら従来の反射層では、材料の種類や設けられる形状に関わらず、偽造防止媒体の光学効果を安定化させるため、その膜厚はほぼ一定であり、膜厚の差による濃淡は、金属薄膜層や無機化合物や金属光沢を持ったインキ層の有無だけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第1615000号公報
【特許文献2】特開平4−149585号公報
【特許文献3】特開平11−91297号公報
【特許文献4】特開平7−199781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記のような偽造防止策としての回折構造物であっても、回折構造物の製造方法の簡易化や低コスト化が進んだ事により、一目では簡単に真偽判定をする事が出来ない回折構造物の偽造が増加しており、最近では、その偽造防止効果が薄れつつあるという問題がある。
【0012】
また、有価証券や紙幣の偽造防止策として、UVやIVといった波長の光を利用して真贋判定を行う特殊発光(もしくは吸収)インキなども使用されているが、その確認には専用の光源が必要であり、一目で真贋判定ができないという問題がある。
【0013】
現在でも一般大衆が有価証券や紙幣の真贋判定を行う際には、用紙の透かしが有効であり、実際に用いられているが、日本国内においては、民間企業が製造する透かし用紙は2階調のみに限定されており、複数の階調を持った透かし用紙は紙幣だけに用いられている。
【0014】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点を解決するものであり、その課題は、複数の階調を持った透かしの効果を紙の透かし技術ではなく金属薄膜層の厚さの制御によって達成する事であり、金属薄膜を複数の階調を持つように任意の厚さに連続的に変化させる事により、正反射ではキラキラした金属光沢を発現しつつ、逆光環境下で光を透過させた時にはその膜厚の変化によって光透過度が連続的に変化する事により、透過光が文字や絵柄のように観察出来るというユニークな偽造防止媒体や偽造防止用紙を提供する事にある。
【0015】
また本発明による金属薄膜層を回折構造物の反射層として使用する事により、光源が観察者の背後にある順光環境下の状態で回折構造物を観察した場合には、回折構造物による回折光を観察する事ができるだけでなく、回折構造物を逆光環境下で観察した場合には、透過光の透過濃度の変化によって文字や絵柄が紙の透かしのように観察する事が可能となり、従来にはない真偽判定が可能な偽造防止媒体や偽造防止用紙とする事が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明において、上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、基材が透明な材料からなり、基材の少なくとも片面の全面もしくはその一部分に、厚さ約0nm〜100nmの金属薄膜層を形成し、更にこの金属薄膜層の厚さが一定ではなく連続的に変化する事によって、金属薄膜の透過光が連続的な階調を持って文字や絵柄のように観察できる事を特徴とする偽造防止媒体としたものである。
【0017】
次に、請求項2の発明では、前記基材と金属薄膜層の間の全面もしくは一部分に、文字や絵柄からなる着色層を有する事で、逆光以外の通常の順光環境下において意匠性を持たせた事を特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0018】
また、請求項3の発明では、前記基材の金属薄膜層を有する面側に別の基材を積層し、金属薄膜層を基材で挟み込み、金属薄膜層の改竄を困難にしつつ耐性を向上させた事を特徴とする請求項1又は2に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0019】
また、請求項4の発明では、前記何れかの層間に密着補助層を設け、層間密着性を向上させた事を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0020】
また、請求項5の発明は、基材が不透明な材料からなり、基材の片面における全面もしくはその一部分に、厚さ約0nm〜100nmの金属薄膜層で形成され、且つ金属薄膜層の厚みが一定ではなく連続的に変化し、基材単体または基材を貼り合わせした後の偽造防止媒体の状態における可視光透過率が5%以上である事から、逆光環境下で透過光を観察すると、金属薄膜層の膜厚の変化による文字や絵柄などを観察できる事を特徴とする偽造防止媒体としたものである。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、前記不透明な基材が樹脂からなり、表面に印刷層を設けてカード化した事を特徴とする請求項5に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0022】
次に、請求項7の発明では、前記基材の一部が任意の形状で窓開き状になっており、窓開き部分から金属薄膜の一部が露出している事を特徴とする請求項5又は6に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0023】
また、請求項8の発明では、前記透明な基材に、ある一定の範囲の角度にて色彩や画像を観察する事が可能な、もしくは観察する角度に応じて複数の異なる色彩や画像パターンを観察する事が可能な回折構造が形成されている回折構造形成層が積層され、回折構造形成層に接するように前記金属薄膜層が積層されて回折構造の反射層とした事を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0024】
また、請求項9の発明では、前記透明な基材に、ある一定の範囲の角度にて色彩や画像を観察する事が可能な、もしくは観察する角度に応じて複数の異なる色彩や画像パターンを観察する事が可能な回折構造が形成されている回折構造形成層が積層され、回折構造形成層に接するように前記金属薄膜層が積層されて回折構造の反射層とし、更に透明もしくは不透明な基材を積層した事を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0025】
また、請求項10の発明では、前記何れかの層間に、密着補助層を設けた事を特徴とする、請求項8又は9に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0026】
次に、請求項11の発明では、前記不透明な基材が樹脂である合成紙からなり、表面に印刷層を設けた事を特徴とする請求項5又は6に記載の偽造防止用紙としたものである。
【0027】
また、請求項12の発明では、前記基材の一部が任意の形状で窓開き状になっており、窓開き部分から金属薄膜の一部が露出している事を特徴とする請求項11に記載の偽造防止用紙としたものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、以上の構成とすることにより、下記に示す効果が得られる。
【0029】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、基材が透明な材料からなり、基材の少なくとも片面の全面もしくはその一部分に金属薄膜層を設け、この金属薄膜層の厚さを約0nm〜100nmの範囲内で連続的に変化させる事により、金属薄膜を透過した光が連続的な階調を持って文字や絵柄のように観察する事が可能な偽造防止媒体とする事ができる。
【0030】
また、上記請求項2に係る発明によれば、前記基材と金属薄膜層の間の全面もしくは一部分に、文字や絵柄からなる着色層を有する事で、逆光以外の通常の順光環境下において意匠性を持った偽造防止媒体とする事ができる。
【0031】
上記請求項3に係る発明によれば、前記基材の金属薄膜層を有する面側に別の基材を積層し、金属薄膜層を基材で挟み込み、金属薄膜層の改竄を困難にしつつ耐性を向上させた偽造防止媒体とする事ができる。
【0032】
上記請求項4に係る発明によれば、前記何れかの層間に密着補助層を設け、層間密着性を向上させ、より耐久性が向上した事を特徴とする偽造防止媒体とする事ができる。
【0033】
上記請求項5に係る発明によれば、基材が不透明な材料からなり、基材の片面における全面もしくはその一部分に厚さが約0nm〜100nmの金属薄膜層が形成され、且つ金属薄膜層の厚みが一定ではなく連続的に変化しており、基材単体または基材を貼り合わせた後の偽造防止媒体の状態における可視光透過率が5%以上である事から、逆光環境下で透過光を観察すると、金属薄膜層の膜厚の変化によって透過光が連続的な階調を持った文字や絵柄の様に観察できる事を特徴とする、偽造防止媒体とする事ができる。
【0034】
上記請求項6に係る発明によれば、前記不透明な基材が樹脂からなり、表面に印刷層を設けてカード化した事を特徴とする偽造防止媒体とする事ができる。
【0035】
上記請求項7に係る発明によれば、前記不透明な基材の一部が任意の形状で窓開き状になっており、窓開き部分から金属薄膜の一部が露出している事から、逆光環境下での透かし効果に加え、コピー機やスキャナー機による画像コピーを行っても、窓開き部から露出した金属薄膜層による金属光沢は再現する事ができないため、より偽造防止効果を高めた偽造防止媒体とする事ができる。
【0036】
また、上記請求項8に係る発明によれば、前記基材と金属薄膜層の間で金属薄膜と接する層が、ある一定の範囲の角度にて色彩や画像を観察する事が可能な、もしくは観察する角度に応じて複数の異なる色彩や画像パターンを観察する事が可能な回折構造が形成されている回折構造形成層からなり、前記金属薄膜層を回折構造の反射層とした事で、順光環境下では回折光を観察でき、更に逆光環境下で光を透過させると、連続的な階調を持った透かしのように光の濃淡による文字や絵柄が観察出来る事を特徴とする偽造防止媒体とする事ができる。
【0037】
上記請求項9に係る発明によれば、前記透明な基材と金属薄膜層の間で金属薄膜と接する層が、ある一定の範囲の角度にて色彩や画像を観察する事が可能な、もしくは観察する角度に応じて複数の異なる色彩や画像パターンを観察する事が可能な回折構造が形成されている回折構造形成層からなり、前記金属薄膜層を回折構造の反射層とし、更に反射層側から透明もしくは不透明な基材を積層した事を特徴とする偽造防止媒体とする事ができる。
【0038】
上記請求項10に係る発明によれば、前記何れかの層間に密着補助層を設けた事により、層間密着性や堅牢性を向上させた事を特徴とする偽造防止媒体とする事ができる。
【0039】
上記請求項11に係る発明によれば、前記不透明な基材が樹脂である合成紙である事から、その表面に紙と同様の印刷表現が可能であり、合成紙の耐久性や印刷適性を持ちつつも透かしの効果を持つ事を特徴とする偽造防止用紙とする事ができる。
【0040】
また、上記請求項12に係る発明によれば、前記不透明な基材の一部が任意の形状で窓開き状になっており、窓開き部分から金属薄膜の一部が露出している事から、逆光環境下での透かし効果に加え、コピー機やスキャナー機による画像コピーを行っても、窓開き部から露出した金属薄膜層による金属光沢は再現する事ができないため、より偽造防止効果を高めた偽造防止用紙とする事ができる。
【0041】
このように本発明は、従来は唯一紙だけが持つ偽造防止策であった透かしの機能を、紙基材以外の高分子樹脂からなるフィルムや合成紙、更には回折構造を持った偽造防止媒体にも有する事が可能となり、紙の透かしと同様の方法で誰でも簡単に真贋判定できるものとなっている。
【0042】
従って、本発明の厚みを連続的に変化させた金属薄膜を持つ偽造防止媒体は、基材にプラスチックを用いたクレジットカードや磁気カード、回折構造を持った偽造防止媒体であるホログラム等に用いる事で偽造防止効果を高めつつ、確実に真贋判定が可能な偽造防止媒体とする事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の事例に係る偽造防止媒体の順光環境下で観察される画像例を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の事例に係る偽造防止媒体の逆光環境下で観察される画像を示す平面図である。
【図3】図2に示す偽造防止媒体のA−A断面図である。
【図4】図1の偽造防止媒体の順光環境下における光路図である。
【図5】図2の偽造防止媒体の逆光環境下における光路図である。
【図6】本発明の第2の事例に係る偽造防止媒体の断面図である。
【図7】図6の偽造防止媒体の順光環境下における光路図である。
【図8】図6の偽造防止媒体の逆光環境下における光路図である。
【図9】本発明の第3の事例に係る偽造防止媒体の断面図、及び順光環境下と逆光環境下の光路図である。
【図10】本発明の第4の事例に係る偽造防止媒体の断面図である。
【図11】図10の偽造防止媒体が順光環境下において、回折光を発生させる時の光路図である。
【図12】図10の偽造防止媒体が逆光環境下において、光が透過している時の光路図である。
【図13】図11において観察される回折光画像例と金属光沢による数字例を示す図である。
【図14】図12において観察される透過光による画像例と数字例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下本発明に係る偽造防止媒体と偽造防止用紙の構造等について、その実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0045】
(第1の事例)
図1は、本発明の第1の事例を示す偽造防止媒体11の平面図で、順光環境下で観察される画像を示している。
【0046】
図2は、図1に示した偽造防止媒体11を逆光環境下で観察した状態を示している。
【0047】
図3は、図2における偽造防止媒体11のA−A断面図である。
【0048】
図1〜図3に示すように、偽造防止媒体11は、透明な基材1の片面に厚さが約0nm〜100nmの金属薄膜層2が設けられており、この金属薄膜層2により例えば左側に文字形成部2aが形成され、右側に略四角形状の偽造判別部2bが形成される。
【0049】
上記文字形成部2aには、基材1の片面に金属薄膜層2が所定の文字、例えば“10000”の形状で同じ膜厚にて設けられる。また、偽造判別部2bには、金属薄膜層2の膜厚が約0nm〜100nmの範囲で連続的に変化して設けられ、図2に示すように逆光環境下において予め設定した絵柄例えば桜の絵柄を観察できるようにしている。
【0050】
上記のように構成された偽造防止媒体11は、順光環境下では図1に示すように文字形成部2aに“10000”の文字形状が、また偽造判別部2bに反射光23による金属光沢を観察する事ができる。
【0051】
また、上記偽造防止媒体11は、逆光環境下では、図2に示すように左側部分の文字形成部2aに、金属薄膜層2により濃い灰色で“10000”の文字が透けて見える。一方、右側部分に設けられた偽造判別部2bの部分では、金属薄膜層2の厚みの変化によって光の透過量に差が生じるため、透過光24には階調が発現して予め設定した絵柄、例えば桜の絵柄を観察する事ができる。
【0052】
図4は、図3の偽造防止媒体11を、順光環境下で観察した時の光路を示した図である。光源21から出た光は入射光22として基材1を通過し、金属薄膜層2で反射した後、反射光23として観察者に観察される。
【0053】
一方、図5は、図3の偽造防止媒体11を、逆光環境下で観察した時の光路を示した図である。光源21は、観察者から見て偽造防止媒体11の向こう側に位置し、光源21から出た光は入射光22として偽造防止媒体11の金属薄膜層2側から入射し、金属薄膜層2と基材1とを透過して透過光24として観察者に観察される。
【0054】
このように、順光環境下では文字形成部2aと偽造判別部2bでは反射光23による金属光沢が観察される一方、逆光環境下では、文字形成部2aにおいて同じ透過濃度による“10000”の文字と、偽造判別部2bにおいて透過濃度の変化に応じた濃淡による透過光24による桜の絵柄が観察される。すなわち、偽造判別部2bにおいては、反射光23と透過光24とで異なる見え方となる。
【0055】
(第2の事例)
図6は本発明の第2の事例を示す偽造防止媒体12の断面図である。基材1の片面に金属薄膜層2と密着補助層3を積層した後、更に基材1を積層し、結果、金属薄膜層2が密着補助層3と基材1に挟まれた状態となり、全ての層が強固に密着するとともに、表裏の基材1が金属薄膜層2を外部の脅威から保護する構造となるため、本構成の偽造防止媒体12は耐性面で強固な構造となる。
【0056】
図7は、図6の偽造防止媒体12を順光環境下で観察した時の光路を示した図である。光源21から出た光は入射光22として基材1を通過し、金属薄膜層2で反射した後、反射光23として観察者に観察される。
【0057】
図8は、図6の偽造防止媒体12を、逆光環境下で観察した時の光路を示した図である。光源21は、観察者から見て偽造防止媒体12の向こう側に位置し、光源21から出た光は入射光22として偽造防止媒体12に入射し、基材1、密着補助層3、金属薄膜層2、基材1の順に透過して透過光24として観察者に観察される。
【0058】
よって、順光環境下では文字形成部2aと偽造判別部2bでは反射光23による金属光沢が観察される一方、逆光環境下では、文字形成部2aにおいて同じ透過濃度による“10000”文字と、偽造判別部2bにおいて透過濃度の変化に応じた濃淡による透過光24による桜の絵柄が観察され、反射光23と透過光24とでは、偽造判別部2bにおいては異なる見え方となる。
【0059】
(第3の事例)
図9は本発明の第3の事例を示す偽造防止媒体13の断面図である。不透明な基材1の片面に厚さが約0nm〜100nmの金属薄膜層2を設けてから密着補助層3を積層し、更に不透明な基材1を積層している。尚、本発明では、光源21から出た光が偽造防止媒体13の金属薄膜層2が無い部分に入射する入射光22が透過した光である透過光26の可視光における光透過率は5%以上である。
【0060】
図9の偽造防止媒体13は、表裏の最表面を不透明な基材1で挟まれている事から、順光環境下では目視で金属薄膜層2の金属光沢を見る事はできないが、逆光環境下おいては、光源21から出た光が入射光22となって偽造防止媒体13に入射し、偽造防止媒体13を透過した光である透過光24となり、文字形成部2aは同じ透過濃度による“10000”文字が、偽造判別部2bは透過濃度の変化に応じた濃淡による絵柄が観察される。
【0061】
(第4の事例)
尚、ここでは図に示さないが、偽造防止媒体13の不透明な基材1にカード用の高分子樹脂からなる基材を用いる事により、本発明の第4の事例である偽造防止策が施されたカードとする事ができる。
【0062】
(第5の事例)
また、不透明な基材1に紙に良く似た特性を持つ合成紙を用いた場合、本発明の第5の事例である偽造防止用紙とする事ができる。
【0063】
(第6の事例)
更に不透明な基材1の合成紙の少なくとも片面に窓開き部を設け、窓開き部から金属薄膜層2が露出した構成とした場合、本発明の第6の事例である偽造防止用紙とする事ができる。
【0064】
(第7の事例)
図10は本発明の第7の事例を示す偽造防止媒体14の断面図である。基材1の片面に回折構造形成層4が積層されており、回折構造形成層4には微細な凹凸からなる回折構造5が形成されている。回折構造形成層4に接する一部分には金属薄膜層2が設けられ、更に全体を覆うように密着補助層3及び基材1が順次積層され、偽造防止媒体14となる。
【0065】
図11は、上記偽造防止媒体14を順光環境下で観察した場合に、回折光が発現する時の光路を示している。光源21から発生した光は入射光22となって偽造防止媒体14に入射して基材1を透過し、回折構造形成層4の金属薄膜層2側に形成された回折構造5によって入射光22は回折光25となり、ここで回折光25は回折構造形成層4に接している金属薄膜層2によって反射され、回折光25は進む方向を変化させ、再び回折構造形成層4と基材1を透過し、観察者に到達する。図13は、上記図11の順光環境下において観察される文字形成部2aにおける金属光沢による数字例と、偽造判別部2bにおける回折光画像例を示している。
【0066】
図12は、上記偽造防止媒体14を逆光環境下で観察した場合に、透過光24が発生する時の光路を示している。
【0067】
図12に示すように逆光環境下では、光源21は偽造防止媒体14の向こう側に位置する事により、入射光22は、基材1、密着補助層3、金属薄膜層2、回折構造形成層4、基材1の順に透過して透過光24となり、逆光環境下では回折光25は発生せず、観察者はこの透過光24だけを観察する事ができる。図14は、図12の逆光環境下において観察される文字形成部2aにおける数字例と、偽造判別部2bにおける透過光による画像例を示している。
【0068】
以下に、本発明に係る偽造防止媒体及び偽造防止用紙を構成する各層の材質と形成方法などについて説明する。
【0069】
(基材)
まず、基材1としては樹脂フィルムが使用できる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、耐熱塩化ビニルフィルム等が使用できる。これらの樹脂の中で、耐熱性が高く厚みが安定している事から、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムが好ましく使用できる。
【0070】
また、これら樹脂フィルムには、帯電防止処理、マット加工、エンボス処理、文字や絵柄の印刷、レーザーマーキング等の加工を施したフィルムも使用する事ができ、透明ではなく不透明な場合には、樹脂中に顔料や染料、その他無機材料などを混入させる事で任意の光透過率を得る事が可能である。但し、本発明では樹脂を不透明にするための材料や方法については、特にこれらに限定するものではない。
【0071】
(金属薄膜層)
金属薄膜層2として、反射輝度が高いのと、その製膜厚さが制御しやすく、除去もし易い点で金属薄膜が好ましく利用できる。このような金属としては、例えば、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、真鍮等が挙げられる。そして、真空製膜法を利用してこの金属薄膜を形成する事ができる。真空製膜法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等が適用でき、厚みが1nm〜100nmの間で制御できれば良い。
【0072】
そして、この金属薄膜層2は、次のような方法で、一定の膜厚のまま金属薄膜層2をパターン状に形成するか、または連続的に変化して漉かした時にパターン状となるように加工する事ができる。
【0073】
すなわち、金属薄膜層2を一定の膜厚のままパターン状に形成するための第1の方法は、回折構造形成層4にパターン状の開口部を有するマスクを重ねて真空製膜する事により、金属薄膜層2をパターン状に製膜する方法である。
【0074】
その第2の方法は、まず、溶剤溶解性の樹脂層をネガパターン状に設け、この溶剤溶解性樹脂層を被覆して全面一様に金属薄膜層2を形成した後、溶剤で前記の溶剤溶解性樹脂層を溶解して除去すると同時に、この溶剤溶解性樹脂層上に重ねられた金属薄膜層2を除去する事によって、残存する金属薄膜層2がパターン状に形成される方法がある。
【0075】
また、金属薄膜層2の膜厚を連続的に変化させながらパターン状に形成する方法としては、全面一様に金属薄膜層2を形成し、この金属薄膜層2上に耐薬品性の樹脂層をパターン状に設け、アルカリ性または酸性のエッチング液を適用して露出している金属薄膜層2を溶解して除去する方法である。但し、この場合の樹脂層の耐薬品性は、アルカリ性または酸性のエッチング液に浸漬されている間に、徐々に金属薄膜層2から剥離する程度の耐薬品性であり、前記エッチング液に浸漬しても金属薄膜層2から全く剥離しない樹脂層は使用できない。
【0076】
また、金属薄膜層2の膜厚を連続的に変化させながらパターン状に形成する第2の方法は、基材1上に形成した回折構造形成層4の回折構造5の構造深さや構造幅を任意に変化させて形成した後に金属薄膜層2を真空製膜法で形成すると、回折構造5の構造深さや構造幅に準じて金属薄膜層2の膜厚が変化する方法がある。
【0077】
尚、本発明では、金属薄膜層2をパターン状に形成したり、その厚みを連続的に変化させたりする方法については、前記方法に限定するものではなく、これらのパターンとしては、明確な意味を持たないランダムなパターンでも良いが、絵柄、図形、模様、文字、数字、記号等のパターンとして、観察者に認知可能な情報を付与させる事も可能である。
【0078】
(密着補助層)
密着補助層3は、基材1同士や、基材1と金属薄膜層2や回折構造形成層4など、各層間同士の密着を向上させるものであれば特に限定されるものではないが、一般的には、密着性が良い塩酢ビ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂材料をベースとした接着材料や粘着材料、熱もしくは光硬化性樹脂材料などを用いる事ができ、透明度や不透明度は樹脂材料の他、添加する材料によって任意に調整する事が可能である。
【0079】
(回折構造形成層)
回折構造形成層4は、レリーフ型回折格子や体積型回折格子等の回折構造体が利用できる。
【0080】
前記レリーフ型回折格子は、その表面に微細な凹凸パターンの形態で回折格子を記録したものである。
【0081】
このような凹凸パターンは、例えば、二光束干渉法を使用して感光性樹脂の表面に互いに可干渉の2本の光線を照射してこの感光性樹脂表面に干渉縞を生成させ、この干渉縞を凹凸の形態で感光性樹脂に記録する事で形成できる。尚、この二光束性干渉法によって形成された干渉縞も回折格子であり、前記2本の光線の選択によって任意の立体画像を回折格子パターンとして記録する事が可能である。また、観察する角度に応じて異なる画像(以下チェンジング画像と言う)が見られるように記録する事も可能である。
【0082】
本発明に用いられる折格子構造物となる画像パターンを記録する方法については、前記二光束干渉法の他にもイメージホログラムやリップマンホログラム、レインボーホログラム、インテグラルホログラムなど、従来から知られているホログラムの製造方法により作製が可能である。
【0083】
また、レリーフ型回折格子の凹凸パターンは、電子線硬化型樹脂の表面に電子線を照射して、回折格子となる縞状パターンに露光する事によって回折構造物を形成する事も可能である。この場合には、その干渉縞を1本ごとに制御する事ができるため、ホログラムと同様に任意の立体画像やチェンジング画像を記録する事ができる。また、画像をドット状の画素領域に分割し、この画素領域ごとに異なる回折格子を記録し、これら画祖の集合で全体の画像を表現する事も可能である。画素は円形のドットの他、星形のドットでも良い。
【0084】
また、誘起表面レリーフ形成法によって、前記凹凸パターンを形成する事も可能である。すなわち、アゾベンゼンを鎖側に持つポリマーのアモルファス薄膜に対して、青色〜緑色に渡る範囲の或る波長を有した数十mW/cm程度の比較的弱い光を照射する事によって、数μmスケールでポリマー分子の移動を起こし、結果、薄膜表面に凹凸によるレリーフを形成する事ができる。
【0085】
そして、このように形成された凹凸パターンを有するレリーフ型のマスター版の表面に電気メッキ法で金属膜を形成する事によって、レリーフ型マスター版の凹凸パターンを複製し、これをプレス版とする。そして、基材1上に塗布された樹脂層や金属薄膜層2が表面に形成されている樹脂層にこのプレス版を熱圧着し、この樹脂層の表面に微細な凹凸パターンを転写することにより、回折構造形成層4とする事ができる。
【0086】
前記レリーフ型回折格子による回折構造形成層4に適用される樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂等が使用できる。例えば、熱可塑性樹脂では、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられる。また、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加して架橋させたウレタン樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等が使用できる。また、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂としては、エポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0087】
また、回折構造形成層4として、多層薄膜である光学多層干渉膜も利用可能である。
【0088】
前記光学多層干渉膜は、金属薄膜、セラミックス薄膜、又は、それらを併設してなる複合薄膜として、各層の光学特性と層の組み合わせの関係による適当な数の層が積層されていれば良い。例えば、屈折率の異なる薄膜を積層する場合、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜とを組み合わせても良く、また特定の組み合わせを交互に積層するようにしても、いずれでもよい。それらの層による光学的条件を満たす適当な組み合わせにより、所望の光学的効果(ここでは構造色)を発現する光学多層干渉薄膜を得ることができる。
【0089】
このような光学多層干渉膜に用いられる材料の例を以下に挙げる。尚、化学式の後ろに続くカッコ内の数値は、それぞれの屈折率nを示す。
【0090】
まず、セラミックスとしては、Sb23(3.0)、Fe23(2.7)、TiO2(2.6)、CdS(2.6)、CeO2(2.3)、ZnS(2.3)、PbCl2(2.3)、CdO(2.2)、Sb23(2.0)、WO3(2.0)、SiO(2.0)、Si23(2.5)、In23(2.0)、PbO(2.6)、Ta23(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2(2.0)、MgO(1.6)、Si22(1.5)、MgF2(1.4)、CeF3(1.6)、CaF2(1.3〜1.4)、AlF3(1.6)、Al23(1.6)、GaO(1.7)、等があり、また、金属系の材料としては、Al、Fe、Mg、Zn、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Si、等の金属単体もしくは合金が挙げられる。
【0091】
また、低屈折率の材料としては、例えば有機ポリマーのうち、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフロロエチレン(1.35)、ポリメチルメタアクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)等がある。但し、ここでカッコ内の数値はそれぞれの屈折率nを示す。
【0092】
これらの高屈折率材料もしくは20〜70%の光透過率とした金属薄膜より少なくとも一種、低屈折率材料より少なくとも一種をそれぞれ選択し、所定の厚さで交互に積層させる事により、可視光における特定の波長だけを吸収あるいは反射するようになる。
【0093】
前記の各材料から屈折率、反射率、透過率等の光学特性や耐候性、層間密着性などに基づき適宜選択され、薄膜として積層される事によって光学的な波長干渉を発生させる多層薄膜を形成する。形成方法は、膜厚、成膜速度、積層数、あるいは光学膜厚等の制御が可能な公知の方法が使用できる。例えば真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法等である。尚、前記光学膜厚とはn・dで与えられる量であり、nは屈折率、またdは膜厚である。
【0094】
(偽造防止用紙)
また、本発明の偽造防止媒体において、基材1を公知の材料からなる薄い樹脂フィルム、または樹脂材料を原料として製造された合成紙を用いる事により、偽造防止用紙とする事が出来る。
【実施例】
【0095】
次に、実施例によって本発明を説明する。
【0096】
(実施例1)
まず、前述第1の例である連続的に厚みが変化する金属薄膜層2を有する偽造防止媒体11について説明する。基材1として、厚さ250μmの透明なポリエチレンテレフタレート(通称PET)フィルムを使用した。
【0097】
次に、この基材1の片面に真空蒸着法にてアルミニウム蒸着膜を膜厚70nmにて均一に形成した後、下記組成物からなるパターンレジストインキを、スピンコーター法を用いて塗布し、温度100℃の乾燥炉で5分乾燥させて厚さ15μmのレジストインキ膜を形成した。
【0098】
「パターンレジストインキ」
フォトレジスト 30.0重量部
トルエン 10.0重量部
メチルエチルケトン 10.0重量部
シリカフィラー 1.5重量部
次に、任意の濃度のネガ文字やネガ画像、及びネガタイプの階調を持った画像からなる露光マスクを、前記レジストインキ膜上に密着させ、露光量100mJ/cmの紫外照射装置を用いて露光処理を行い、温度35℃、濃度3%の水酸化ナトリウム水溶液にて現像処理を行いつつ、そのまま浸漬してレジストインキの剥離も同時に行った。更に常温の濃度0.1%塩酸水溶液で中和処理を行った後に水洗いし、その後自然乾燥させ、アルミ蒸着膜が0〜70nmの間で連続的に変化する金属薄膜層2となり、所望の偽造防止媒体11を作製した。
【0099】
こうして作製された偽造防止媒体11は、通常の順光環境下では金属薄膜層2は、アルミ金属の光沢が観察され、金属薄膜層2の膜厚差による画像は、全く観察されないか、観察出来たとしてもうっすらとした画像であったが、逆光環境下で金属薄膜層2を観察すると、金属薄膜層2の膜厚差によって透過濃度のコントラストによる画像をハッキリと観察する事ができた。
【0100】
(実施例2)
前述第5の事例である基材1が不透明な合成紙からなる偽造防止用紙について説明する。基材1の合成紙として、厚さ80μmのユポ(株式会社ユポ・コーポレーション社製)を使用した。
【0101】
次に、この基材1の片面に下記組成物からなる密着補助層3をグラビア印刷法にて均一に塗布・乾燥させ、厚さ3.0μmで形成した。
【0102】
「密着補助層3」
アクリル樹脂 20.0重量部
トルエン 40.0重量部
メチルエチルケトン 60.0重量部
次に、真空蒸着法にてアルミニウム蒸着膜を膜厚70nmにて均一に形成した後、下記組成物からなるパターンレジストインキを、スピンコーター法を用いて塗布し、温度100℃の乾燥炉で5分乾燥させて厚さ15μmのレジストインキ膜を形成した。
【0103】
「パターンレジストインキ」
フォトレジスト 30.0重量部
トルエン 10.0重量部
メチルエチルケトン 10.0重量部
シリカフィラー 1.5重量部
次に、任意の濃度のネガ文字やネガ画像、及びネガタイプの階調を持った画像からなる露光マスクを、前記レジストインキ膜上に密着させ、露光量100mJ/cmの紫外照射装置を用いて露光処理を行い、温度35℃、濃度3%の水酸化ナトリウム水溶液にて現像処理を行いつつ、そのまま浸漬してレジストインキの剥離も同時に行った。更に常温の濃度0.1%塩酸水溶液で中和処理を行った後に水洗いし、その後自然乾燥させ、アルミ蒸着膜が0〜70nmの間で連続的に変化する金属薄膜層2を形成した。
【0104】
次に、前記密着補助層3を、同じ組成のインキと形成方法で形成した後、更に基材1と同じ80μmの合成紙を熱ロールプレスにより積層して偽造防止用紙を作製した。更にこの偽造防止用紙は、グラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法など公知の印刷法による印刷が可能であり、任意の印刷を施す事で、所望の偽造防止用紙を作製する事ができた。
【0105】
(実施例3)
前述の第7の事例である、回折構造を有し、回折構造の反射層として連続的に厚みが変化する金属薄膜層2を有する偽造防止媒体14について説明する。基材1として、厚さ250μmの透明なポリエチレンテレフタレート(通称PET)フィルムを使用した。
【0106】
まず、下記組成物からなるインキをグラビア印刷法にて塗布・乾燥して膜厚1μmの層を形成した後、ロールエンボス法により回折格子形成用のプレス版を熱圧してその表面に回折格子を発生させるための凹凸を形成し、回折構造形成層4とした。
【0107】
「回折構造形成層インキ組成物」
ウレタン樹脂 20.0重量部
シリコン添加剤 0.2重量部
メチルエチルケトン 50.0重量部
酢酸エチル 30.0重量部
次に、この基材1の片面に真空蒸着法にてアルミニウム蒸着膜を膜厚70nmにて均一に形成した後、下記組成物からなるパターンレジストインキを、スピンコーター法を用いて塗布し、温度100℃の乾燥炉で5分乾燥させて厚さ15μmのレジストインキ膜を形成した。
【0108】
「パターンレジストインキ」
フォトレジスト 30.0重量部
トルエン 10.0重量部
メチルエチルケトン 10.0重量部
シリカフィラー 1.5重量部
次に、任意の濃度のネガ文字やネガ画像、及びネガタイプの階調を持った画像からなる露光マスクを、前記レジストインキ膜上に密着させ、露光量100mJ/cmの紫外照射装置を用いて露光処理を行い、温度35℃、濃度3%の水酸化ナトリウム水溶液にて現像処理を行いつつ、そのまま浸漬してレジストインキの剥離も同時に行った。更に常温の濃度0.1%塩酸水溶液で中和処理を行った後に水洗いし、その後自然乾燥させ、アルミ蒸着膜が0〜70nmの間で連続的に変化する金属薄膜層2を形成した。
【0109】
次に、下記組成物からなる密着補助層3をグラビア印刷法にて均一に塗布・乾燥させ、厚さ4.0μmで形成した。
【0110】
「密着補助層3」
アクリル樹脂 20.0重量部
トルエン 40.0重量部
メチルエチルケトン 60.0重量部
最後に、基材1を熱ロールプレスで積層して偽造防止媒体14を作製した。
【0111】
(比較例1)
比較例1として、基材1の片面にアルミニウム蒸着膜を真空蒸着法により70nmの膜厚で形成した後、YAGレーザにより不要な部分のアルミニウム蒸着膜を消失させて任意の形状とする事で70nmの膜圧が一定な金属薄膜層を得て、従来技術の偽造防止媒体を作製した。
【0112】
(比較例2)
比較例2として、金属薄膜層を比較例1と同じ方法で形成した他は、全て実施例2と同様の材料と方法により、従来技術の偽造防止用紙を作製した。
【0113】
(比較例3)
比較例3として、金属薄膜層を比較例1や2と同じ方法で形成した他は、全て実施例3と同様の材料と方法により、回折構造を持つ従来技術の偽造防止媒体を作製した。
【0114】
実施例1と比較例1の偽造防止媒体を比較すると、順光環境下ではどちらも同じアルミニウムの金属光沢を持った偽造防止媒体に見える。しかし、逆光環境下では、比較例1の偽造防止媒体では金属薄膜層2が陰にしか見えないが、実施例1の偽造防止媒体を同じ様に逆光環境下で観察すると、金属薄膜層2が紙の透かしの様に階調を持った画像で観察する事ができた。
【0115】
以下、実施例2と比較例2の偽造防止用紙、及び実施例3と比較例3の偽造防止媒体を順光環境下、及び逆光環境下で観察したところ、順光環境下では何れの偽造防止用紙及び偽造防止媒体も同じ視覚効果だったが、本発明の実施例2の偽造防止用紙と実施例3の偽造防止媒体だけが、逆光環境下において金属薄膜層2に透かしのような階調を持った画像を観察できた。
【0116】
このように、本発明の偽造防止媒体及び偽造防止用紙は、透かし用紙だけが有していた偽造防止技術である“透かし”の効果を、紙以外の基材からなる偽造防止媒体や偽造防止用紙でも有している事が確認でき、更には、真贋判定が容易でありながらも、より偽造や改竄を困難なものとしている事が分かった。
【符号の説明】
【0117】
1…基材、2…金属薄膜層、2a…文字形成部、2b…偽造判別部、3…密着補助層、4…回折構造形成層、5…回折構造(凹凸部)、11…第1の事例に係る偽造防止媒体、12…第2の事例に係る偽造防止媒体、13…第3の事例に係る偽造防止媒体、14…第7の事例に係る偽造防止媒体、21…光源、22…入射光、23…反射光、24…透過光、25…回折光、26…金属薄膜層2が無い部分の透過光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材が透明な材料からなり、前記基材の少なくとも片面における全面もしくは一部分に厚さが約0nm〜100nmの金属薄膜層を形成し、且つ前記金属薄膜層の厚みを連続的に変化させた事を特徴とする偽造防止媒体。
【請求項2】
前記基材と金属薄膜層の間の全面もしくは一部分に、文字や絵柄からなる着色層を有した事を特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体。
【請求項3】
前記基材の金属薄膜層を有する面側に別の基材を積層し、前記金属薄膜層を基材で挟み込んだ事を特徴とする請求項1又は2に記載の偽造防止媒体。
【請求項4】
前記何れかの層間に密着補助層を設けた事を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項5】
基材が不透明な材料からなり、基材の片面における全面もしくは一部分に、厚さが約0nm〜100nmの金属薄膜層を形成し、且つ前記金属薄膜層の厚みを連続的に変化させ、基材単体または基材を貼り合わせてなる偽造防止媒体の可視光透過率が5%以上である事を特徴とする偽造防止媒体。
【請求項6】
前記不透明な基材が樹脂からなり、表面に印刷層を設けてカード化した事を特徴とする請求項5に記載の偽造防止媒体。
【請求項7】
前記基材の一部が任意の形状で窓開き状になっており、窓開き部分から金属薄膜の一部が露出している事を特徴とする請求項5又は6に記載の偽造防止媒体。
【請求項8】
前記透明な基材に、ある一定の範囲の角度にて色彩や画像を観察する事が可能な、もしくは観察する角度に応じて複数の異なる色彩や画像パターンを観察する事が可能な回折構造が形成されている回折構造形成層を積層し、前記回折構造形成層に接するように前記金属薄膜層を積層して回折構造の反射層とした事を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項9】
前記透明な基材に、ある一定の範囲の角度にて色彩や画像を観察する事が可能な、もしくは観察する角度に応じて複数の異なる色彩や画像パターンを観察する事が可能な回折構造が形成されている回折構造形成層を積層し、前記回折構造形成層に接するように前記金属薄膜層を積層して回折構造の反射層とし、更に透明もしくは不透明な基材を積層した事を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項10】
前記何れかの層間に、密着補助層を設けた事を特徴とする、請求項8又は9に記載の偽造防止媒体。
【請求項11】
請求項5に記載の偽造防止媒体において、前記不透明な基材が樹脂である合成紙からなり、表面に印刷層を設けた事を特徴とする偽造防止用紙。
【請求項12】
前記基材の一部が任意の形状で窓開き状になっており、窓開き部分から金属薄膜の一部が露出している事を特徴とする請求項11に記載の偽造防止用紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−152980(P2012−152980A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13112(P2011−13112)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】