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金属薄膜用塗料組成物、および金属薄膜用塗料組成物を用いた光輝性樹脂製品
説明

金属薄膜用塗料組成物、および金属薄膜用塗料組成物を用いた光輝性樹脂製品

【課題】付着性、耐熱性、耐水性に優れた被覆膜を生産性よく形成できる金属薄膜用塗料組成物、および金属薄膜用塗料組成物を用いた光輝性樹脂製品の実現。
【解決手段】基材表面に設けられた不連続構造の金属薄膜を被覆する金属薄膜用塗料組成物(以下、塗料組成物)であって、1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性モノマーまたはオリゴマーを含む単量体化合物を10〜95質量%、塩素含有率が50質量%以下の塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂を4.5〜29.5質量%、光重合開始剤を0.5〜15質量%含有することを特徴とする塗料組成物、および該塗料組成物を基材11表面に設けられた不連続構造の金属薄膜12に塗布して形成された被覆膜13上に、樹脂背後材14が形成されたことを特徴とする光輝性樹脂製品10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄膜用塗料組成物、および金属薄膜用塗料組成物を用いた光輝性樹脂製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車が周囲の対象物に接近したことを運転者に警告するミリ波レーダ装置が、自動車の各部、例えばラジエータグリル、サイドモール、バックパネル等の背後に設けられている。
しかし、これら自動車の各部の基材には、意匠性や高級感などを付与させるために金属薄膜が形成される場合が多く、ミリ波レーダ装置から出射されるミリ波が金属薄膜によって遮断されたり減衰されたりするといった問題があった。
【0003】
この問題を解決し、かつ高級感などを維持するために、自動車の各部の一部、具体的にはミリ波の経路部分を光輝性およびミリ波透過性のレーダ装置カバーで覆う方法が提案されている。レーダ装置カバーは、通常、ポリカーボネート等からなる樹脂製の基材と、該基材上に形成された金属薄膜と、該金属薄膜上に形成された被覆膜と、該被覆膜上に射出成形された樹脂背後材とを含む。なお、基材の下面がカバー表面であり、樹脂背後材の背後にミリ波レーダ装置が配置される。
【0004】
レーダ装置カバーがミリ波透過性を有するには、金属薄膜が不連続構造、すなわち金属薄膜が連続せずに多数の微細な金属粒子が島状に離間した状態、または金属粒子の一部が接触した状態で敷き詰められた構造(海島構造)となっていればよい。このような不連続構造の金属薄膜は、蒸着法やスパッタリング法などの公知の方法で形成される。
一方、金属薄膜を被覆する被覆膜には、金属薄膜の耐食性や基材に対する密着性を向上させたり、樹脂背後材の形成時に発生する応力等から金属薄膜を保護したりすることが求められる。
【0005】
しかし、不連続構造の金属薄膜は基材や被覆膜との付着性に乏しく、また、レーダ装置カバーは長期に渡って寒暖差の激しい環境下や雨水などに晒されるため、金属薄膜や被覆膜が剥離しやすかった。特に、被覆膜が紫外線硬化型塗料から形成される場合、架橋密度が高いので硬化する際に被覆膜が収縮しやすく、金属薄膜から被覆膜が剥離しやすかった。
また、不連続構造の金属薄膜上に形成された被覆膜は、連続構造の金属薄膜上に形成された場合に比べて樹脂背後材の形成時の応力に影響を受けやすく、剥離したり白濁したりすることがあった。
そのため、不連続構造の金属薄膜は、自動車部品、特に外装部品の用途には必ずしも適するものではなかった。
【0006】
そこで、付着性、耐熱性、耐水性に優れた被覆膜を形成する塗料として、主剤および硬化剤を含む二液型のアクリルウレタン樹脂を希釈剤で希釈した塗料が提案されている(例えば特許文献1参照。)。このような二液型の塗料は金属薄膜上に塗布された後、塗膜中の希釈剤が蒸発し、樹脂の反応成分が架橋硬化するまで熱乾燥されて被覆膜を形成する。
【特許文献1】特開2007−93241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のような二液型の塗料の場合、塗膜中の樹脂の反応成分を架橋硬化させるためには、例えば100℃以上の高温で長時間熱乾燥する必要があり、生産性が低下し、その結果、製造コストが上昇しやすかった。
【0008】
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、付着性、耐熱性、耐水性に優れた被覆膜を生産性よく形成できる金属薄膜用塗料組成物、および金属薄膜用塗料組成物を用いた光輝性樹脂製品の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の金属薄膜用塗料組成物は、基材表面に設けられた不連続構造の金属薄膜を被覆する金属薄膜用塗料組成物であって、1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性モノマーまたはオリゴマーを含む単量体化合物を10〜95質量%、塩素含有率が50質量%以下の塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂を4.5〜29.5質量%、光重合開始剤を0.5〜15質量%含有することを特徴とする。
ここで、前記単量体化合物と、前記塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂と、前記光重合開始剤との合計100質量部に対して、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、(メタ)アクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を5〜50質量部含有することが好ましい。
【0010】
また、前記単量体化合物と、前記塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂と、前記光重合開始剤との合計100質量部に対して、シラン系カップリング剤を0.5〜25質量部含有することが好ましい。
さらに、前記シラン系カップリング剤が、1分子中に少なくとも1個のグリシジル基またはメルカプト基を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の光輝性樹脂製品は、前記金属薄膜用塗料組成物を基材表面に設けられた不連続構造の金属薄膜に塗布して形成された被覆膜上に、樹脂背後材が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の金属薄膜用塗料組成物によれば、付着性、耐熱性、耐水性に優れた被覆膜を生産性よく形成できる。
また、本発明によれば、基材および不連続構造の金属薄膜と、被覆膜との付着性が良好で、耐熱性、耐水性に優れた光輝性樹脂製品を生産性よく製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
[金属薄膜用塗料組成物]
本発明の金属薄膜用塗料組成物(以下、「塗料組成物」という場合がある。)は、基材表面に設けられた不連続構造の金属薄膜を被覆する被覆膜を形成する。本発明の塗料組成物は、以下に示す成分を含有する。
【0014】
<単量体化合物>
単量体化合物は、1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性モノマーまたはオリゴマーを含む。このような多官能性モノマーまたはオリゴマーを含有することによって、耐熱性や耐水性に優れる被覆膜を形成できる。また、多官能性モノマーまたはオリゴマーは、後述の光重合開始剤から発生したラジカルによって重合し、硬化するので、熱乾燥に比べて短時間で被覆膜を形成できる。特に、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性モノマーまたはオリゴマーを使用すれば架橋密度が高くなる傾向にあるので、より耐熱性や耐水性に優れた被覆膜を形成できる。
【0015】
分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する2官能性モノマーまたはオリゴマーとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、1,3ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性モノマーまたはオリゴマーとしては、例えばトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
また、1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性モノマーまたはオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート化合物と、ポリオールと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応物である。
ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等の多価アルコール、多価アルコールとアジピン酸等の多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリルレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
単量体化合物は、上述した多官能性モノマーまたはオリゴマー以外の他の化合物を含有してもよい。
他の化合物としては、例えばベンジル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルペンタニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能モノマーなどが挙げられる。
【0019】
単量体化合物の含有量は、塗料組成物100質量%中、10〜95質量%であり、20〜80質量%が好ましい。含有量が10質量%以上であれば、十分な架橋密度が得られ、良好な耐熱性や耐水性を維持できる。一方、含有量が95質量%以下であれば、塗料組成物より形成される被覆膜が剥離しにくくなると共に、耐水性が良好になる。
なお、架橋密度が高くなると、耐熱性や耐水性がより良好になる傾向にあるが、架橋密度が必要以上に高くなると、塗料組成物が硬化する際に被覆膜が収縮してクラック等が発生し、基材および金属薄膜に対する被覆膜の付着性が低下する場合がある。しかし、単量体化合物の含有量が上記範囲内であれば、架橋密度が必要以上に高くなるのを抑制できるので、耐水性を低下させることなく、耐熱性や耐水性を良好に維持できる。
【0020】
<塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂>
本発明に用いる塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂は、塩素含有率が50質量%以下であり、好ましくは10〜45質量%である。塩素含有率が50質量%以下であれば、基材および金属薄膜に対する被覆膜の付着性が良好となる。
このような塩素化ポリオレフィン樹脂としては、例えば塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン−エチレン共重合樹脂等が挙げられる。中でも塩素化ポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0021】
一方、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂としては、例えば塩素化ポリエチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン−(メタ)アクリル共重合樹脂等が挙げられる。中でも塩素化ポリプロピレン−(メタ)アクリル共重合樹脂が好ましい。
【0022】
塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂の含有量は、塗料組成物100質量%中、4.5〜29.5質量%であり、8〜25質量%が好ましい。含有量が4.5質量%以上であれば、塗料組成物より形成される被覆膜の基材および金属薄膜に対する付着性が高まる。一方、含有量が29.5質量%以下であれば、他成分との相溶性が良好となるので、被覆膜が白化しにくくなり、透明性を維持できる。
【0023】
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線の照射により前記単量体化合物の重合を開始できるものであれば、特に制限されない。例えば商品名として、イルガキュア184、イルガキュア149、イルガキュア651、イルガキュア907、イルガキュア754、イルガキュア819、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア1800、イルガキュア754(以上、チバスペシャリティ・ケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、カヤキュアDETX−S、カヤキュアEPA、カヤキュアDMBI(以上、日本化薬社製)、バイキュア55(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。これら光重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、光重合開始剤と共に、光増感剤や光促進剤を使用してもよい。
【0024】
光重合開始剤の含有量は、塗料組成物100質量%中、0.5〜15質量%であり、1〜10質量%が好ましい。含有量が上記範囲内であれば、効率よく光重合して十分な架橋密度が得られ、良好な耐熱性を維持できる。なお、含有量が15質量%を越えると、分子鎖が短くなり被覆膜がもろくなる傾向にある。従って、光重合開始剤の含有量の上限は15質量%が好ましい。
光増感剤や光促進剤を併用する場合は、これらと光重合開始剤との合計の含有量が上記範囲内となるように調整するのが好ましい。
【0025】
<その他成分>
(樹脂成分)
また、本発明の塗料組成物は、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、(メタ)アクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有してもよい。このような樹脂を含有することで、被覆膜の基材および金属薄膜に対する付着性がより向上する傾向にある。また、塗料組成物に含まれる各成分の相溶性がより良好になったり、被覆膜の収縮が軽減されたりする傾向にもある。
ポリエステル樹脂としては、例えば飽和ポリエステル、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。また、ポリエステル樹脂に(メタ)アクリル変性やエポキシ変性、ウレタン変性、無水マレイン酸変性、ロジン変性、脂肪酸等の変性品も挙げられる。
【0026】
アルキド樹脂としては、純アルキッド樹脂や、長油変性、中油変性、単油変性、シリコーン変性、アクリル変性、エポキシ変性、ウレタン変性、メラミン変性などの変性品などが挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合したものが例示でき、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。また、これらのアクリルモノマーと共重合可能なモノマーを共重合させてもよい。共重合可能なモノマーとしては、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
【0027】
これら樹脂の含有量は、前記単量体化合物と、前記塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂と、前記光重合開始剤との合計100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、10〜45質量部がより好ましい。含有量が5質量部以上であれば、被覆膜の基材および金属薄膜に対する付着性がより向上する。一方、含有量が50質量部以下であれば、十分な架橋密度が得られ、良好な耐熱性や耐水性を維持できる。
【0028】
(カップリング剤)
また、本発明の塗料組成物は、シラン系カップリング剤を含有してもよい。シラン系カップリング剤を含有することで、塗料組成物より形成される被覆膜の基材および金属薄膜に対する付着性をより向上できる。
シラン系カップリング剤としては、1分子中に少なくとも1個のグリシジル基またはメルカプト基を有するものを用いるのが好ましい。
【0029】
グリシジル基を有するシラン系カップリング剤としては、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基を有するシラン系カップリング剤としては、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0030】
また、シラン系カップリング剤としては、1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するものを用いてもよい。
アミノ基を有するシラン系カップリング剤としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0031】
これらシラン系カップリング剤の含有量は、前記単量体化合物と、前記塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂と、前記光重合開始剤との合計100質量部に対して、0.5〜25質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。含有量が0.5質量部以上であれば、塗料組成物より形成される被覆膜が剥離しにくくなる。一方、含有量が25質量部以下であれば、十分な架橋密度が得られ、良好な耐熱性や耐水性を維持できる。
【0032】
(溶剤、添加剤)
本発明の塗料組成物は、必要に応じて各種溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤などが挙げられる。これら溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、塗料組成物は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、ラジカル補足剤、表面調整剤、可塑剤、顔料、染料、顔料沈降防止剤等、通常の塗料に用いられる添加剤を適量含んでいてもよい。
【0033】
塗料組成物は、上述した単量体化合物と、塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂と、光重合開始剤の他、必要に応じて他の成分を混合することにより調製できる。
【0034】
[光輝性樹脂製品]
本発明の塗料組成物は、不連続構造の金属薄膜の被覆用として好適である。
具体的には、基材表面に設けられた不連続構造の金属薄膜に、本発明の塗料組成物を塗布して形成された被覆膜上に、樹脂背後材を形成することで、基材および金属薄膜と、被覆膜との付着性が良好で、耐熱性、耐水性に優れた光輝性樹脂製品を生産性よく製造できる。
ここで、図面を用いて、本発明の光輝性樹脂製品について説明する。
【0035】
図1は、本発明の光輝性樹脂製品の一例を示す断面図である。この例の光輝性樹脂製品10は、基材11と、該基材11上に形成された金属薄膜12と、該金属薄膜12上に形成された被覆膜13と、該被覆膜13上に射出成形された樹脂背後材14より構成されている。
基材11は、樹脂製であることが好ましく、特に、金属薄膜の光輝性を活かすためには、透明であることが好ましい。このような基材11としては、熱可塑性樹脂が好ましく、具体的には、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエチレン等が挙げられる。
基材11の形状としては、板状、シート状、フィルム状など、いずれの形状であってもよい。また、基材11は、無色透明であってもよく、有色透明であってもよい。
【0036】
金属薄膜12は、不連続構造である。金属薄膜12が不連続構造であることにより、ミリ波レーダ装置から出射されるミリ波を透過できるようになる。不連続構造の金属薄膜の成膜方法としては、例えば真空蒸着、分子線蒸着、イオンプレーティング、イオンビーム蒸着、スパッタリング等の物理的蒸着などが好適である。
金属薄膜12の材質としては、例えばインジウム(In)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)や、これらの合金などが挙げられる。また、金属薄膜12は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。
基材11上に設けられた金属薄膜12の厚さは、10〜150nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。厚さが10nm以上であれば、十分な光輝性が得られる。一方、厚さが150nm以下であれば、不連続構造を容易に形成できる。
【0037】
被覆膜13は、本発明の塗料組成物をエアースプレー塗装法、刷毛塗り法、ローラ塗装法、カーテンコート法、フローコート法、浸漬塗り法等で金属薄膜12に塗布した後、例えば100〜3000mJ/cm程度(日本電池(株)製「UVR−N1」による測定値)の紫外線をフュージョンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を用いて1〜10分間程度照射することにより形成される。活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、ガンマ線等も使用できる。
被覆膜13の厚さは5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。厚さが5μm以上であれば、後述する樹脂背後材14を形成する際に発生する応力等から金属薄膜12を十分に保護できる。一方、厚さが50μmを超えても、金属薄膜12の保護効果が頭打ちとなるので、被覆膜13の厚さの上限は50μmが好ましい。
【0038】
樹脂背後材14の材質としては、熱可塑性樹脂が好ましく、具体的には、PC、アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体(AES)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリル樹脂、PS、ポリウレタン等が挙げられる。
樹脂背後材14の形成方法としては、例えば射出成形やインサート成形などが挙げられる。
【0039】
なお、光輝性樹脂製品10には、基材11と金属薄膜12との間、または金属薄膜12と被覆膜13との間に、金属薄膜12の耐食性を向上させること目的として、耐食保護膜(図示略)が設けられていてもよい。
耐食保護膜を構成する成分としては、酸化アルミニウム(Al)、酸窒化ケイ素(SiO)、酸窒化アルミニウム(AlO)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン等の無機化合物などが挙げられる。
【0040】
光輝性樹脂製品の用途としては、特に制限されないが、ミリ波レーダ装置用のレーダ装置カバーや、通信機の筐体など、光輝性を有しつつ、電波透過性を兼ね備えることが求められる部材に適している。特に、レーダ装置カバーに好適であり、自動車の各部、例えばラジエータグリルの一部、具体的にはミリ波の経路部分を本発明の光輝性樹脂製品で置き換えたり、覆ったりすることで、光輝性(すなわち、意匠性や高級感)などを保持しつつ、ミリ波を透過できる。
なお、図1に示すような光輝性樹脂製品10を用いる場合、基材11側がカバー表面であり、樹脂背後材14側に(樹脂背後材14の背後に)ミリ波レーダ装置が配置される。
【0041】
以上説明した本発明の塗料組成物は、付着性、耐熱性、耐水性に優れた被覆膜を形成できる。また、本発明の塗料組成物は、活性エネルギー線硬化性であるので、熱乾燥によって塗膜を形成する塗料(熱硬化性の塗料など)に比べて硬化に要する時間が短時間で済み、生産性も良好である。
また、本発明によれば、基材および金属薄膜と、被覆膜との付着性が良好で、耐熱性、耐水性に優れた光輝性樹脂製品を生産性よく製造できる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
ここで、実施例および比較例で用いた各成分の内容を以下に示す。
(1)3官能アクリレートモノマー(TMPTA、トリメチロールプロパントリアクリレート):東亞合成社製、「アロニックスM−309」。
(2)6官能アクリレートモノマー(DPHA、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート):日本化薬社製、「カヤラッドDPHA」。
(3)6官能ウレタンアクリレート・オリゴマー:ダイセルサイテック社製、「エベクリル1290K」。
(4)(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂:塩素含有率15質量%の塩素化ポリプロピレン樹脂と、アクリル酸メチルとからなる共重合体。
(5)光重合開始剤:チバスペシャリティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア184」。
(6)ポリエステル樹脂:ハリマ化成社製、「M−130A」。
(7)アクリル樹脂:藤倉化成社製、「アクリルベースLH−101」。
(8)グリシジル基含有シラン系カップリング剤:東レ・ダウコーニング社製、「Z−6040」。
(9)メルカプト基含有シラン系カップリング剤:東レ・ダウコーニング社製、「Z−6062」。
(10)アミノ基含有シラン系カップリング剤:東レ・ダウコーニング社製、「Z−6020」。
【0043】
[実施例1]
表1に示す固形分比率(質量部)で各成分を混合して塗料組成物を調製し、さらに溶剤としてトルエン/酢酸ブチル=50/50の混合溶剤を用いて固形分(有効成分)が40%になるように希釈した。
別途、ポリカーボネートからなる基材をイソプロピルアルコールにて洗浄し、これを乾燥した後、インジウム(In)が仕込まれた真空蒸着機にセットし、厚さが50nmになるようにInからなる金属薄膜を基材上に蒸着した。
ついで、乾燥後の被覆膜の厚さが10〜15μmになるように、希釈した塗料組成物を金属薄膜上にエアースプレー塗装した。その後、60℃×5分の条件でプレヒートして溶剤を除去した後、80W/cmの高圧水銀灯により2000mJ/cm(日本電池社製UVR−N1による測定値、強度:150mW/cm)の紫外線を照射して塗膜を硬化させ、被覆膜を形成し、これを試験片とした。
ついで、インサート成形により、試験片の被覆膜上にAES樹脂を樹脂温度200℃で流し込み、冷却して樹脂背後材を射出成形し、光輝性樹脂製品を作製した。
このようにして得られた試験片、および光輝性樹脂製品について、以下に示す塗膜外観の評価、および付着性、耐熱性、耐水性の性能試験を行った。結果を表1に示す。
【0044】
<評価>
(塗膜外観の評価)
光輝性樹脂製品の外観を目視にて観察し、虹、白化、クラック、フクレなどの欠陥の有無について、以下の評価基準にて評価した。
○:欠陥が全く認められない。
△:僅かに欠陥が認められる。
×:欠陥が認められた。
【0045】
(付着性の評価)
試験片の被覆膜上に、2mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分に粘着テープを貼着した後、急速に剥がす操作を行い、碁盤目剥離試験を実施した。剥離した碁盤目の数を数え、以下の評価基準にて評価した。
○:被覆膜が全く剥がれない。
△:1〜10個の被覆膜が剥がれた。
×:11個以上の被覆膜が剥がれた。
【0046】
(耐熱性試験)
試験片を200℃の熱風循環式乾燥機炉内に5分間放置した後、取り出して室温まで冷却し、サンプルを得た。該サンプルについて、付着性の評価と同様にして碁盤目剥離試験を行った。なお、室温とは15〜30℃を指す。
別途、インサート成形により、サンプルの被覆膜上にAES樹脂を樹脂温度200℃で流し込み、冷却して樹脂背後材を射出成形して作製した光輝性樹脂製品について、塗膜外観の評価と同様にして光輝性樹脂製品の外観を目視にて観察した。
【0047】
(耐水性試験)
試験片を40℃の湯浴中に24時間浸漬した後、取り出して室温まで冷却し、サンプルを得た。該サンプルについて、付着性の評価と同様にして碁盤目剥離試験を行った。
別途、インサート成形により、サンプルの被覆膜上にAES樹脂を樹脂温度200℃で流し込み、冷却して樹脂背後材を射出成形して作製した光輝性樹脂製品について、塗膜外観の評価と同様にして光輝性樹脂製品の外観を目視にて観察した。
【0048】
[実施例2〜6、比較例1〜6]
表1、2に示す固形分比率(質量部)で各成分を混合して、塗料組成物を調製した。こうして得られた塗料組成物を使用した以外は実施例1と同様にして、試験片、および光輝性樹脂製品を作製し、評価した。結果を表1、2に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
表1から明らかなように、各実施例によれば、金属薄膜と被覆膜との付着性が良好で、耐熱性、耐水性に優れ、塗膜外観が良好な光輝性樹脂製品が得られた。また、被覆膜は60℃×5分の条件で溶剤を除去した後に紫外線を照射するといった、容易、かつ低温・短時間の条件で形成できたことから、実施例であれば、生産性よく光輝性樹脂製品を製造できることが示唆された。
【0052】
一方、表2から明らかなように、単量体化合物の配合量が多く、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂を配合しなかった比較例1、3〜5は、金属薄膜と被覆膜との付着性が低下した。これは、単量体化合物の配合量が多すぎたため、架橋密度が必要以上に高くなったことによるものと考えられる。特に、比較例1、4、5は、塗料組成物が硬化する際の架橋による被覆膜の収縮が強すぎたため、塗膜にクラックが発生し、光輝性樹脂製品に僅かに欠陥が認められた。このクラックの発生も付着性の低下の要因と考えられる。ただし、比較例3は、ポリエステル樹脂を含有していたので、被覆膜の収縮を抑制できた。そのため、塗膜外観は実施例と同程度であった。
また、比較例1、3〜5は、耐熱性試験において200℃の高温環境下に試験片を放置すると、被覆膜の付着性がさらに低下した。さらに、耐水性試験においても被覆膜の付着性がさらに低下した。
【0053】
(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂の配合量が多かった比較例2は、単量体化合物と(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂の配合バランスが適切ではなく、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂と、これ以外の成分との相溶性が低下したため、塗膜外観が白化した。さらに、被覆膜の架橋密度が不十分となり、耐熱性が低下した。その結果、樹脂背後材の射出成形時の熱によって被覆膜が軟化し、図2に示すように被覆膜13が変形した。これにより、被覆膜13において金属薄膜側と樹脂背後材側とで屈折率に差が生じ、光輝性樹脂製品20の塗膜外観が白化した。また、耐熱性試験および耐水性試験においても、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂の配合量が多かったことに起因して、光輝性樹脂製品の塗膜外観が白化した。
ここで、図2は比較例2で得られた光輝性樹脂製品20を示す断面図であり、図1と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂の配合量が多かった比較例6も、比較例2と同様の評価結果であった。ただし、比較例6は、ポリエステル樹脂を含有していたので、各成分の相溶性の低下を軽減できた。そのため、塗膜外観は実施例と同程度であったが、耐熱性試験および耐水性試験においては、比較例2と同様に光輝性樹脂製品の塗膜外観が白化した。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の光輝性樹脂製品の一例を示す断面図である。
【図2】比較例2で得られた光輝性樹脂製品を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10:光輝性樹脂製品、11:基材、12:金属薄膜、13:被覆膜、14:樹脂背後材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に設けられた不連続構造の金属薄膜を被覆する金属薄膜用塗料組成物であって、
1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性モノマーまたはオリゴマーを含む単量体化合物を10〜95質量%、塩素含有率が50質量%以下の塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂を4.5〜29.5質量%、光重合開始剤を0.5〜15質量%含有することを特徴とする金属薄膜用塗料組成物。
【請求項2】
前記単量体化合物と、前記塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂と、前記光重合開始剤との合計100質量部に対して、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、(メタ)アクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を5〜50質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の金属薄膜用塗料組成物。
【請求項3】
前記単量体化合物と、前記塩素化ポリオレフィン樹脂または(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂と、前記光重合開始剤との合計100質量部に対して、シラン系カップリング剤を0.5〜25質量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の金属薄膜用塗料組成物。
【請求項4】
前記シラン系カップリング剤が、1分子中に少なくとも1個のグリシジル基またはメルカプト基を有することを特徴とする請求項3に記載の金属薄膜用塗料組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の金属薄膜用塗料組成物を基材表面に設けられた不連続構造の金属薄膜に塗布して形成された被覆膜上に、樹脂背後材が形成されたことを特徴とする光輝性樹脂製品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−191097(P2009−191097A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30501(P2008−30501)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000224123)藤倉化成株式会社 (124)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】