説明

金属表面の被覆方法

【解決手段】 本発明は、金属表面での酸化皮膜発生に対して保護層を作製する剤において、該剤がバインダーとして少なくとも1種類のシランの加水分解生成物/縮合体又はシリコーン樹脂バインダー並びに更に少なくとも1種類の金属充填剤を含有することを特徴とする、上記剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類のシランの加水分解物/縮合体またはシリコーン樹脂バインダーおよび場合によっては適当な溶剤を含みそして追加的に少なくとも1種類の金属製フィラーを含有する組成物の少なくとも1つの層を表面に塗布する、金属表面を被覆する方法に関する。
【0002】
自動車構造物における今日の高度な安全要求を考慮して、運搬用車体部材および安全関連部材、例えば衝突吸収サイドビーム(Seitenaufpralltrager)および補強材に選択される高強度の種類の鋼鉄が使用されている。
【0003】
自動車構造物においては特定の自動車のために今日、若干の構造部材は例えばマンガン−硼素鋼(22MnB5)で製作されている。この種類の鋼材では、通常、冷間加工の場合に1100MPaまでの普通の強度が達成されるのに対して、熱間加工硬化によって1650MPaまでの強度が達成できる。熱間加工の場合には、保護ガス(窒素)雰囲気で950℃に加熱することによって鋼がオーステナイト域に至り、次いで加工装置に移されそして加工される。炉から取り出してから加工する間の数秒間だけ経過する過程で、鋼材部材は100〜200℃の温度へ冷却される。その際に比較的に高い強度を有するマルテンサイト組織構造が生じる。
【0004】
この方法の場合の問題は、950℃に加熱された構造部材を保護ガス雰囲気の炉から取り出されそして空気中の酸素と接触するやいなやただちに酸化皮膜が構造部材に発生することである。その際に生じる酸化皮膜層は不均一で脆く、土くれ状で剥げ落ちそして溶接、KTL−塗装等の後続の工程のためのべースを提供せず、それ故に構造部材を更に加工する前にサンドブラストによって除かれる。一部は手で実施されるこのサンドブラストは時間および費用の掛かる方法であり、かつ、汚れおよび埃を著しく発生させる。それに加えて、そのスケール層の破片が加工装置中に残留し、規則的に多大な作業費用および時間をかけて除かなければならず、このことがライン生産での所望の製品数の生産を極めて困難にする。それ故に熱間加工工程での酸化皮膜の形成を始めから阻止する方法が極めて強く求められている。
【0005】
従来技術はいわゆるアルミメッキである。この表面保護処理方法の場合には、アルミニウムが鋼表面に入り込む。950℃まで良好な酸化被膜形成に対する保護を実現するアルミニウム-鉄-混合結晶が生じる。噴霧または浸漬によって液状で塗布されるアルミニウムは、続く焼き鈍しの際に表面に侵入する。噴霧アルミメッキは、鋼鉄製日用品が高い運転温度により熱間酸化皮膜形成する所であって、かつ、耐熱性特殊材料での製造を経済的に適切に行えないと思われるあらゆる所で使用されている。噴霧アルミメッキによる酸化皮膜形成に対する保護は、アルミニウムが800℃を超える温度で鋼鉄中に侵入拡散して鉄−アルミニウム合金を生じることに基づいている。表面のアルミニウムと鋼鉄基体との間にアルミニウムが暫減する層も生じる。この様に形成された鉄-アルミニウム合金は鋼鉄自体よりも酸化安定性があり、そのうえ、使用時に表面の所に同様に高い耐熱性のAl2O3-皮膜を非常に速やかにもたらす。この皮膜は鋼鉄に酸素が速やかに侵入するのを防止する。この様に処理した部材は自動車製造において熱間加工の際に使用され、その際にアルミニウムメッキによって酸化皮膜に対しての有効な保護が達成される。しかしながら若干の用途の場合には、加工が二段階で実施される比較的に高い加工度の沢山の構造部材も使用される。これらは第一段階で冷間予備加工されそして後続の熱間加工段階で最終形状にされ、かつ、同時に硬化される。上記のアルミニウムメッキされた構造部材は、既に冷間加工の場合には例えば約25〜28μmの厚さの層でも損傷がもたらされるので、この場合には使用できない。このことは、後続の熱間加工の際にその損傷場所での酸化皮膜形成あるいは剥落をもたらす。
【0006】
ヨーロッパ特許第0,839,895B1号明細書には熱間加工用の潤滑剤が開示されている。この場合には、アルカリ珪酸塩、他のアルカリ化合物、例えばアルカリ水酸化物、水および20重量%までの割合のシラン系接着剤よりなる混合物よりなる混合物が提案されている。この混合物はマンネスマン法(Mannesmann-Verfahren)に従ってシームレスパイプを製造する際に潤滑剤として使用される。中空体を製造する場合には、摩擦が大きいために約1000℃又はそれ以上の程度の温度が発生する。上記の潤滑剤混合物によって酸化鉄膜が発生し、それによって加工工程で生じる摩擦力に対して表面が保護されるはずである。
【0007】
日本特許第329135号明細書の要約書には、熱間圧延の際の金属表面を酸化に対して保護するという方法が開示されている。この場合には、金属表面にガラス成分含有の潤滑剤が適用される。この被覆材料は酸化アルミニウム、酸化珪素及び酸化ジルコニウムを含有しており、900〜1300℃の範囲内の融点を有しそして圧延後に例えばサンドブラストによって除去される酸化防止性の膜が金属表面上に生じる。
【0008】
ドイツ特許出願公開第10063519 A1号明細書には、水の添加下でシランをアルコキシドと加水分解又は縮合反応させそしてその縮合体相を分離することによって溶剤の少ないゾル−ゲル系を製造する方法を開示している。縮合体相にナノ粒子が添加されそしてこうして得られる分散物が湿式化学的適用法、例えば噴霧、浸漬又はロール塗装によって任意の基体に塗工される。基体としては特にガラス、セラミック、石、合成樹脂、繊維製品、紙が挙げられ、その際に金属も挙げられている。基体に分散物が塗工された後に、20〜約500℃の温度範囲内で乾燥することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記の従来技術から出発して、酸化膜形成に対して有効な保護層を造ることを可能とする金属表面の被覆方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題の解決は、請求項1の特徴的構成要件を持つ金属表面の被覆法によって達成される。
【0011】
本発明の方法は、特に表面の少なくとも一部が鋼よりなる基体の表面被覆に適している。本発明の方法は特に、高剛度鋼よりなる基体を表面を被覆するのに適し、表面被覆の後に好ましくは約800℃〜約1000℃、特に好ましくは880℃〜約970℃の温度での熱間加工に付する高剛度鋼よりなる基体を表面被覆するのに適している。
【0012】
本発明の対象は、鋼に塗料として塗布し、次いで室温で乾燥するか又は熱硬化させそして塗料塗装部分を例えば950℃での熱間加工の際に酸化皮膜の発生前に保護する特別な保護層を作製することである。
【0013】
本発明の被覆の塗布は、基体を後で熱間加工しない場合に、特に腐食保護層を作製するのに重要であり得る。
【0014】
驚くべきことに、バインダーと少なくとも1種類の金属製充填剤とを組合せることによって、特に湿式化学的に金属表面に塗布されそしてこれによって金属表面、特に鋼表面を熱間加工の際に発生する様な温度で、空気酸素との接触の際の酸化皮膜の発生前に保護することができる被覆組成物が得られることを見出した。本発明の長所は、酸化皮膜発生に対する保護を湿式化学的塗装及び乾燥あるいは塗料様被覆組成物の乾燥あるいは加熱硬化によって保証できることにある。
【0015】
それ故にこの方法は非常に柔軟に使用することができ、即ち、塗料が塗装の際に又は自動車製造業者の場合には直接的に噴霧塗装、ロール塗装、流動塗装、ドクターブレード塗装、プリント塗装又は浸漬によってほぼ任意の部分に塗装できる。更に塗料が優れた接着性、柔軟性及び好ましくはμm域未満の薄い層厚でも冷間及び熱間加工に耐えそしてそれ故にベルト型被覆装置での鋼巻き物(steel coil)の直接被覆に予定されている点で有利である。
【0016】
本発明の方法によれば、例えば約30μmより薄い、好ましくは約10μmより薄い層厚の塗料層が塗布される。本発明に従う表面被覆の後に、例えばKTL−塗装及び/又はリン酸塩処理を行うことができる。本発明の塗料層を作製するためには、例えば少なくとも1種類のアルコキシシラン、アリールシラン及び/又はアルキルシランから出発する。例えば本発明の塗料層を製造するために少なくとも1種類のアルキルアルコキシリラン及び少なくとも1種類のアルコキシシランを含む混合物を加水分解あるいは縮合する。上述の種類の少なくとも1種類のシランあるいはシラン混合物を例えば好ましくは弱酸性溶液中で加水分解し及び/又は縮合する。これらには例えば弱い有機酸、例えば蟻酸又はそれらの類似物を使用することができる。少なくとも1層の塗料層を作製するためには加水分解すべきシランあるいは加水分解すべき及び縮合すべきシラン類に少なくとも1種類の金属充填剤を添加する。充填剤としては特に金Al、Zn、Mn、Fe、Sn金属又はこれらの金属の1種類を含む合金の金属顔料を使用することができる。
【0017】
加水分解あるいは縮合するシラン類の代わりに、バインダーとしてシリコーン樹脂も溶剤に溶解して使用することができ、その際に固形分含有量は約10%〜約90%である。この場合、溶剤としては好ましくは市販のアルコール類、エステル類、エーテル類又は炭化水素、例えばベンジンが適する。この場合、>23℃の引火点を有する溶剤を使用するのが好ましい。例えば溶剤としてはブチルグルコール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等が適している。特に熱間加工後に生じる被覆物は金属製基体、特に鋼を更に加工するのに十分な耐蝕性を有している。例えば十分なリン酸塩処理及び/又はKTL−塗装を自動車工業において通例の方法に従って行うことができる。
【0018】
場合によっては、例えばシリコーン樹脂バインダーを使用する場合には溶剤なしで加工することも可能である。この場合には、シリコーン樹脂は粉末塗料と同様に加工することができる。
【0019】
被覆材料の硬化は室温で換気することによって又は早めるために高温で行い、その際に好ましくは400℃までの温度を、被覆物を乾燥及び硬化させるために使用することができる。IR−照射、換気乾燥、紫外線照射又は電子線硬化による硬化の促進も有意義である。被覆物は冷間及び/又は熱間加工の段階を通る平らな基体にも又は巻き物にも適用することができるし又は被覆物を既に冷間加工された鋼製基体に適用してもよい。
【0020】
被覆組成物の網目状組織は本発明の別の一つの態様によれば、ナノ粒子によって強化することができ、その際これらのナノ粒子は好ましくは約2nm〜約50nmの範囲内の粒度を有する金属酸化物及び非金属酸化物粒子から選択される。ここでは、AlOOH、コランダム、酸化ジルコニウム、SiO、TiO等のような物質が適する。
【0021】
本発明の別の一つの実施態様によれば、被覆組成物を追加的に変性することが重要である。この場合、これら被覆材料の熱間加工及び/又は冷間加工のために固体潤滑剤、例えばワックス、ステアレート、グラファイト、MoS、窒化硼素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、層状顔料、例えば雲母等を添加する。更に場合によっては通例のレオロジー添加物、例えば揺変性剤、レベリング剤等を添加してもよい。
【0022】
乾燥及び硬化の後に、特に例えば約400℃まで加熱することによる乾燥及び硬化の後に、基体(例えば鋼ベルト状物)上に強固に接合し、かつ、使用した有機成分によって柔軟性である膜が得られる。好ましい微結晶充填剤は、こうして被覆された金属製基体の冷間加工の際に既に潤滑性を改善している。鋼ベルト状物の熱間加工のために通常に使用されるような温度に更に加熱する場合に、有機成分(即ち、シランの所で置換された有機基)が焼尽され、ガラス様マトリックスが被覆表面に残る。これが充填剤と一緒に焼かれて、強固に接合する緻密な層をもたらす。この様に被覆された表面を持つ金属製基体はその後に熱間加工に付すことができる。このガラス様マトリックスは薄い層厚及び部材と密接に結びつき及び耐熱性充填剤であることにより加工可能なままであり、潤滑効果も保持したままである。この様に被覆された基体を場合によって後処理する場合、例えばカソード浸漬塗装する場合、層中の金属性充填剤がKTLに必要な電導性をもたらす。
【0023】
更に、本発明の対象は、本発明の方法に従って製造された表面層を少なくとも部分的に有する自動車部材、特に車体部材でもある。本発明の方法は特に、運搬用車体部材および安全関連部材、例えば衝突吸収サイドビーム又は一般に選択される高強度の種類の補強材を被覆するのに適している。
【0024】
以下に本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
【0025】
塗料製造のための三つの基本処方を得られる結果と共に説明する。
【実施例1】
【0026】
100gのメチルトリエトキシシラン(MTEOS)、40gのグリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GLYEO、製造元Degussa)及び40gのテトラエトキシシラン(TEOS, Degussa)に、108gの5%濃度蟻酸を添加しそして室温で夜通し攪拌する。その後に50gのアルミニウム顔料ペーストのDecomet Hochglanz Al 1002/10 (製造元:Schlenk )を羽根型攪拌機で混入攪拌しそして顔料が完全に分散した後に攪拌下に100gのエタノールを添加する。更に加工する前にこの混合物に5gの湿潤剤Byk Dynwet 800 (製造元:Firma Byk Chemie)を添加する。
【0027】
完成塗料を流出用ビーカー/塗装ガン(例えばSata Jet、ノズル1,4 mm) を用いて引き出した脱脂部分に塗装し、全ての表面を薄いウエット塗膜で覆う。塗膜層を約5分間、室温で換気させそして要求された耐摩耗性次第で更に室温で30分、乾燥するか又は80〜200℃の温度で5〜15分間、硬化させる。
【0028】
結果:
硬化処理及び室温への冷却の後に所望の部分を、基体に確り接合し(ゴバン目試験/テープ試験で非常に良好な値)並びに指の爪で強く引掻いても傷つかない約2〜6μmの厚さの銀色の層で被覆する。被覆された部分は乾燥雰囲気で貯蔵する際に腐食しない。被覆された部分は被覆直後でも貯蔵後でも熱間加工で使用できそして950℃で空気酸素と接触した後でも決して錆が発生しない。950℃では鉄、アルミニウム、珪素及び酸素よりなる確り接合する混合酸化物層が生じ、これが後でのKTL−塗装のための接合基礎として適している。
【実施例2】
【0029】
120gのメチルトリエトキシシラン(MTEOS)及び60gのテトラエトキシシラン(TEOS、製造元Degussa-Huls)よりなる混合物に108gの5%濃度蟻酸を添加しそして室温で夜通し攪拌する。その後に50gのアルミニウム顔料ペーストのDecomet Hochglanz Al 1002/10 (製造元:Schlenk )を羽根型攪拌機で混入攪拌しそして顔料が完全に分散した後に攪拌下に150gのN−メチル−2−ピロリドンを添加する。更に加工する前にこの混合物に5gの湿潤剤Byk 306 (製造元:Firma Byk Chemie)を添加する。固体潤滑剤として<5μmの粒度の二硫化モリブデン粉末5gを添加しそしてディソルバーで20分間、1000回転/分の回転数で均一に分散させる。
【0030】
完成塗料を60m/分のベルト速度でベルト式被覆装置で、脱脂浄化した鋼製ベルト状物にロール塗装しそして200〜250℃で硬化させる。
【0031】
結果:
硬化処理の後にこの巻き物は、鋼ベルト状物を層に傷つけることなく巻きそして通例の方法で加工できる程の機械的耐久性のある約2〜6μm(調整可能)の厚さの銀色の層で被覆されている。切り取った薄板片は曲げた所で層に傷もなく冷間加工できそして次に錆を発生することなく熱間加工工程で加工できる。950℃では鉄、アルミニウム、珪素及び酸素よりなる確り接合する混合酸化物層が生じ、これが後でのKTL−塗装のための接合基礎として適している。
【実施例3】
【0032】
120gのメチルトリエトキシシラン(例えば Dynasylan MTES;製造元 Degussa社)及び40gのテトラエトキシシラン(例えばDynasil A、製造元Degussa)よりなる混合物に100gの1%濃度三フッ化酢酸を添加しそして室温で夜通し攪拌する。その後に150gの高沸点溶剤のブチルグリコール、0.2gの分散剤のDisperbyk 180 (製造元:Byk Chemie)並びにアルミニウム顔料ペーストのDecomet 1006/30(製造元:Schlenk )を添加しそして羽根型攪拌機で混入攪拌する。固体潤滑剤として<5μmの粒度の粉砕天然グラファイト5gを添加する。必要な加工粘度あるいは揺変性性に調整するために、1gのAerosil 200 をこの調製物に添加する。充填物をディソルバーで20分間、1000回転/分の回転数で均一に分散させる。
【0033】
完成塗料を60m/分のベルト速度でベルト式被覆装置で、脱脂浄化した鋼製ベルト状物にロール塗装しそして200〜250℃で硬化させる。
【0034】
結果:
硬化処理の後に、この巻き物は、鋼製ベルト状物を層に傷つけることなく巻き取りそして通例の方法で加工できる程に機械的耐久性のある約2〜6μmの範囲内(調整可能)の厚さの銀色の層で被覆されている。切り取った薄板片は曲げた所で層に傷もなく冷間加工できそして次に錆を発生することなく熱間加工工程で加工できる。950℃では鉄、アルミニウム、珪素及び酸素よりなる確り接合する混合酸化物層が生じ、これが後でのKTL−塗装のための接合基礎として適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面での酸化皮膜発生に対して保護層を作製する剤において、該剤がバインダーとして少なくとも1種類のシランの加水分解生成物/縮合体又はシリコーン樹脂バインダー並びに更に少なくとも1種類の金属充填剤を含有することを特徴とする、上記剤。
【請求項2】
剤が更に少なくとも1種類の金属塩を含有する、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
少なくとも1種類のシランの加水分解生成物/縮合体がアルコキシシラン、アリールシラン及び/又はアルキルシランで少なくとも形成されている、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
バインダーが溶剤に予め溶解されており、その際に固形分含有量が好ましくは約10%〜約90%である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の剤。
【請求項5】
溶剤がアルコール類、エステル類、エーテル類又は炭化水素、好ましくは>23℃の引火点を有するものである、請求項4に記載の剤。
【請求項6】
金属充填剤がAl、Zn、Mg、Fe、Sn金属又はこれら金属の合金の金属顔料である、請求項1〜5のいずれか一つに記載の剤。
【請求項7】
剤が金属充填剤として少なくとも1種類の金属顔料を、被覆物の硬化後に10〜90%の固形分割合が得られる様な量で含有する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の剤。
【請求項8】
剤がナノ粒子、特に金属酸化物及び非金属酸化物粒子、好ましくは約2nm〜約50nmの範囲内の粒度を有するナノ粒子を含有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の剤。
【請求項9】
剤が少なくとも1種類の固体潤滑剤、好ましくはワックス、ステアレート、グラファイト、MoS、窒化硼素、酸化アルミニウム、二酸化チタン又は層状顔料、特に雲母を含有する請求項1〜8のいずれか一つに記載の剤。
【請求項10】
剤がレオロジー添加物、好ましくは揺変性剤及び/又はレベリング剤を含有する、請求項1〜9のいずれか一つに記載の剤。
【請求項11】
金属表面を被覆する方法において、
− 請求項1〜10のいずれか一つに記載の剤を表面に塗布し、
− 該被覆物を乾燥及び/又は硬化させる
各段階を特徴とする上記方法。
【請求項12】
被覆剤組成物を基体の表面に湿式化学的に塗布しそしてその後に硬化させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
表面被覆を、表面の少なくとも1部が鋼よりなる基体に行う、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
高強度鋼よりなる基体を表面被覆する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
基体を表面被覆後に熱間加工に付す、請求項11〜14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
熱間加工法を約800℃〜約1000℃、好ましくは約880〜970℃の温度で行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
鋼製コイルの直接塗装を好ましくはべルト状被覆装置で行う、請求項11〜16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
約30μmより薄い、好ましくは約10μmより薄い層厚を持つ塗膜を塗布する、請求項11〜17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
被覆組成物を室温で換気することによって又は400℃までの高温で硬化させる、請求項11〜18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
被覆組成物の硬化を、特にIR−照射、換気乾燥、紫外線照射又は電子線硬化によって促進させる、請求項11〜19のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
表面被覆後にKTL−塗装及び/又はリン酸塩処理を行う、請求項11〜20のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
塗膜を有した基体を次いで冷間加工の少なくとも1つの段階に付す、請求項11〜21のいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
熱間加工工程を行う前に少なくとも1回の冷間加工段階を行う、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも一部分が請求項11〜23のいずれか一つに記載の方法で製造された表面被覆物を有することを特徴とする、自動車部材、特に車体部材。

【公表番号】特表2008−516023(P2008−516023A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535072(P2007−535072)
【出願日】平成17年10月1日(2005.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010622
【国際公開番号】WO2006/040030
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(591037096)フオルクスワーゲン・アクチエンゲゼルシヤフト (56)
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【出願人】(507115089)ナノ−イクス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【出願人】(507115104)ティッセンクルップ・スティール・アクチエンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】