説明

金属表面の酸化物層を還元するためのフラックスおよび方法

本発明は、少なくともカリウム、フッ素、および水分からなり、固体の又は溶融液体の金属表面に付与され、金属表面上の酸化物層を還元するフラックスに関し、ここで、フラックスは、
・フッ化ジルコニウム、および/又はフッ化リチウム、および/又はケイフッ化ナトリウム、および/又はカリ氷晶石、および/又はフッ化カリウムアルミニウム(KaAlF)、並びに
・ジルコニウム、および/又はリチウム、および/又はカリウム、および/又はナトリウム、および/又はビスマス、および/又はホウ素、および/又はチタンに基づく塩からなる反応体
から構成されている。更に、本発明は、アルミニウム基合金の鋳造方法、および溶融液状のアルミニウム基合金上の酸化物層を還元するための本発明によるフラックスの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、および水分からなり、金属表面に散布され、金属表面の酸化物層を還元するフラックスに関する。更に、本発明は、材料の1つが鉄基合金であり、もう1つがアルミニウム基合金である少なくとも2つの異なる材料からなる金属部品を製造するための鋳造方法に関し、以下のプロセス工程を有する:
− 鉄基合金からなる物体上に金属層を形成する工程であって、金属層がアルミニウム基合金であり、前記金属層の形成がアルミニウム溶湯中に浸漬することによって実施される工程、
− 被覆された物体を鋳型の中に入れる工程、および
− 被覆された物体をアルミニウム基合金で鋳ぐるむ工程。
ここで、本発明は、液体軽金属合金を開口のコキール(Kokille)から汲み出し、そして鋳型(Giessform)に充填する方法に関する。本発明の他の部分は、各金属部品を一体化(stoffschluessigen Verbinden)する方法に関し、最後に、本発明は固体又は液体の金属表面上の酸化物層を還元する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの金属材料は大気の影響を受けて、ここでは特に酸素の影響を受けて酸化物層を形成する。この酸化物層は、例えば、アルミ板金の場合のように望ましいこともあるが、酸化物層は製造方法に不利に作用することもある。例えば、アルミニウムピストンを低圧鋳造で鋳造する場合に通常であるように、液体アルミニウム合金で加工する際には、コキール内の液状アルミニウム合金の表面に直ぐに酸化皮膜が形成し、それはまた鋳造品の鋳造品質に悪影響を及ぼす。
【0003】
これまで、溶融液状アルミニウム合金上の酸化物層を手動でまたは自動的に除去する様々な方法が知られている。
【0004】
例えば、液状アルミニウム合金が入っている溶解炉からアルミニウムをラドルにより手動で汲み出し、例えば、内燃機関用のピストンを製造するために鋳型に充填することは慣用の方法であり、特許文献1に記載されている。ここで操作者が溶解炉から液状アルミニウムを汲み出すときに、操作者は同時に、液状アルミニウム上に形成した酸化皮膜も一緒に汲み出す。これは、操作者が、ドロスとも称される酸化皮膜を手動でラドルを用いて汲み出し、それによって除去することにより阻止される。特に、アルミニウムおよびアルミニウム合金では、この酸化皮膜は直ぐに新たに形成するため、完全になくすことはほとんど不可能である。
【0005】
この手動の作業を自動化するために、特許文献1には、更に、ドロスの自動除去が記載されている。ラドルを浸漬した状態で、同じくコキール内の溶融金属中に浸漬し得る掻取装置(Abzieher)と協働させる方法が記載されており、掻取装置は、ドロスをラドル上に押し出すために、操作装置によってラドルの方に向かって移動可能となっており、更に、ラドルは、この集められたドロスをコキールから排出するために、他の駆動手段の作用で回転軸を中心に垂直面で回転する。これによって、鋳造品中に混入する酸化アルミニウムは最小限になる。
【0006】
特に、鋳ぐるまれる被加工物上の酸化物層の欠点を減少させるために、特許文献2には、被加工物上に存在する酸化物層を脱酸化するためにフラックスを使用する方法が記載されている。鋳ぐるまれる被加工物に他の金属層が形成される前に、その金属製の被加工物上にフラックスを塗布すると、それによって、一方では被加工物上の酸化物が還元され、他方では鋳ぐるみ材料とインサートされる材料との金属結合が助長される。その理由は、酸化物層が破壊され、それによって拡散を妨げる層がなくなるからである。このような金属結合の際に起こる問題は、インサートされる物体上で金属層間に形成される酸化物層である。酸化アルミニウム層は、約2000℃の非常に高い融点を有し、それに対して、通常のアルミニウム合金は、たいてい1000℃よりはるかに低い、特に約800℃未満の融点を有する。従って、鋳ぐるみ材料は酸化物層を破壊できず、そのためいっそう結合不良が起こり易くなる。この高溶融点酸化物層を還元又は溶解させるために、鋳ぐるむ前にフラックスが物体に塗布される。
【0007】
アルミニウム合金と、内層を形成する耐摩耗性材料とからなる複合鋳造品を製造する方法が特許文献3に記載されている。この方法は、アルミニウムと耐磨耗性材料とからなる拡散層を形成するために、被覆される中子が、鋳ぐるみ直前にアルミニウム溶湯中に浸漬されることを特徴とする。この方法は、いわゆるアルフィン法として知られている。アルミニウム溶湯を接合するため、ここでは離型剤の使用も記載されている。鋳造工程後の中子の取り外しを改善するために、耐摩耗性材料で被覆する前に、中子を離型剤で被覆することが適切であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第34 11 970号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第101 13 962A1号明細書
【特許文献3】独国特許第2 344 899号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、新規な方法で酸化物層を還元することができ、更に、鋳造被加工物と鋳ぐるみ材料との金属結合を非常に改善する、高い電位差を有する化学組成を有する薬剤を提供することである。更に、本発明の課題は、溶解炉内での酸化物層の除去を省略できる方法を提供することである。更に、本発明の課題は、液体又は固体の金属表面上の酸化皮膜を減少させるか又は完全に除去する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は、
・ フッ化ジルコニウムおよび/又はフッ化リチウム、並びに
・ ジルコニウム、および/又はリチウム、および/又はカリウム、および/又はナトリウム、および/又はビスマス、および/又はホウ素に基づく塩からなる反応体、および
・ 水
から構成されるフラックスを提供することによって解決される。改善される方法に関して、本発明の課題は、従来の方法において、改善された該フラックスを直接、加工物に塗布するかおよび/又はフラックスを直接、アルミニウム溶湯の表面に散布することによって解決される。本発明によるフラックスの上記組成により、形成する酸化物層を完全に又はほとんど完全に除去すること、及び新たな酸化物層の形成に対する長時間の保護を保証することができる。該鋳造方法および液状鋳造金属の表面にフラックスを使用することに関して、酸化物層の機械的除去を完全に省略することができる。従って、特に、鋳造工が液状金属の表面からドロスを手動で掻き取り、掻き取られたドロスをコキールから廃棄槽(Abfallkuebel)に排出することは行われない。
【0011】
薬剤に関して、更にゼラチンを含有するフラックスが提供される。本発明の他の有利な形態では、該フラックスは、更に、構成分として、フッ化ジルコニウムおよび/又はフッ化リチウム、ケイフッ化ナトリウムおよび/又はカリ氷晶石および/又はフッ化カリウムアルミニウム(KaAlF)、並びに、更なる構成分として、ジルコニウム、および/又はリチウム、および/又はカリウム、および/又はナトリウム、および/又はビスマス、および/又はホウ素、および/又はチタンに基づく塩、及び水を含有する。フラックス、特にフッ素に基づくフラックス、反応体、例えばジルコニウムおよびビスマス、又はリチウムおよびビスマス、又はジルコニウム、チタンおよびビスマスのような反応体、並びにゼラチンからなり、液体又は顆粒の状態で存在する混合物が、ここでは、例えば、Alのような酸化アルミニウムの還元に使用される。フッ素に基づくフラックスとしては、「ノコロック(NOCOLOK)」の商標名で既知のフラックスが使用可能であり、フラックス“ノコロック(NOCOLOK)”は、ソルベイ社(Firma Solvay)によって製造、販売されている。このフラックスにゼラチンを添加すると、特に有利である。ここでは、特に、ゼラチングループ(Gelatinegruppe)の「ゲリタ(Gelita)」の商標名で販売されているゼラチンが挙げられる。このゼラチンを前記フラックスおよび反応体と組み合わせて使用すると、特に、しかし排他的ではないが、軽金属合金、好ましくはアルミニウム上の酸化物層を還元することができる。フラックス中の反応体は、フッ化ジルコニウムおよび/又はフッ化リチウムの部分と、ジルコニウム、および/又はリチウム、および/又はカリウム、および/又はナトリウム、および/又はビスマス、および/又はホウ素、および/又はチタンに基づく塩の部分と、および水から構成される。ここで、ジルコニウムの割合は5重量%〜20重量%、リチウムの割合は8重量%〜25重量%、カリウムの割合は2重量%〜10重量%、ナトリウムの割合は1重量%〜8重量%、ビスマスの割合は0.5重量%〜5重量%、ホウ素の割合は2重量%〜10重量%である。該フラックスに更に添加されるゼラチンは、とりわけ、カルシウムおよび/又はマグネシウム、および有機および無機成分から構成され、散布時の等電位化および反応速度の増加にある一定の寄与をする。ゼラチンの割合は、フラックス中に0.5重量%〜5重量%である。ゼラチンの主成分は、カルシウム(1kg当たり3,950mgの割合)とマグネシウム(1kg当たり1,500mgの割合)である。
【0012】
更に、本発明は、異なる材料から部品を形成する鋳造方法における上記フラックスの使用に関する。このような方法における問題は、異なる材料が異なる特性を有することであり、それは鋳造方法に不利に作用する。例えば、鉄基合金からなる物体を、軽金属合金、例えばアルミニウムで鋳ぐるむ場合、溶融温度の違いにより、異なる材料間に金属結合していない領域が鋳ぐるむ時に生じるが、これはむしろ、物体が軽金属合金によって鋳ぐるまれ、そこに単に機械的にその位置に保持されるに過ぎない。鉄をベースにして形成された物体を、それを取り囲むアルミニウム溶湯に、より良好に金属結合させる方法は、既知のアルフィン法である。物体に鋳ぐるみ材料をより良好に接合させるため、物体をアルミニウム溶湯中に浸漬し、その後すぐに鋳型内に入れる。
【0013】
以下の実施例で、本発明を鋳造方法におけるフラックスの使用に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】アルミニウム層で被覆された2つのピストン用リングキャリアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1にピストンの構成要素であるアルフィン法で被覆されたリングキャリアを示す。図1は、その左側に、鉄基合金から形成されており、アルフィン法によりアルミニウム層2で被覆されたリングキャリア1を示す。該リングキャリアは、更に、鋳ぐるみ材料の中に機械的に固定されるように周囲溝3を有し、これはリングキャリア1を付加的に鋳ぐるみ材料の中に固定する。
【0016】
図1に示されているリングキャリア1は、表面に従来のフラックス(この場合は、ノコロック(NOCOLOC))が供されているアルミニウム溶湯中に浸漬されたものである。この試験の目的は、リングキャリアを広く全面的に被覆できるように、アルミニウム溶湯の表面の酸化物を還元することであった。商標名ノコロック(NOCOLOC))の薬剤とゼラチンを散布することによって、アルミニウム溶湯上に形成するドロスが明らかに低減され、その結果、僅かな領域4でしか、アルミニウム層2のリングキャリア1への付着の低下が起こらなかった。本発明によるフラックスをアルミニウム溶湯に散布すると、液状溶融浴上に形成する酸化物層が明らかに低減され、その結果、リングキャリア1上のアルフィン層2に関して従来技術と比較して明らかに改善された結果を得ることができる。
【0017】
図1の右側のリングキャリア5は、従来のフラックスであるノコロック(NOCOLOC)、反応体およびゼラチンからなるフラックスが添加された溶融浴内でアルフィン処理されたものである。請求項4による本発明のフラックスを散布することによって、アルミニウム溶湯上の酸化物層をほぼ完全に、比較的長期間、還元することができ、その結果、アルミニウム溶湯の表面のフラックスにより、リングキャリア5の表面に酸化物を堆積させることなく、リングキャリア5を溶融浴のアルミニウム溶湯中に直接、浸漬することができた。リングキャリア5のアルフィン処理された表面6は、欠陥がなく全体に一様なアルフィン層又はアルミニウムコーティングを有する。従って、本発明によれば、金属層2,6を物体1,5上に堆積させて最適に接合することができる、少なくとも2つの異なる材料からなる金属部品を製造するための鋳造方法を提供することができる。
【0018】
物体1,5上に存在する酸化物を減少させるために、本発明に従って、金属層2,6が形成された物体1,5を鋳型に入れる前に、それに請求項1〜4のいずれか一項によるフラックスを塗布することが提案される。これによって、金属層2,6上に形成する酸化物もまた減少させることができ、その結果、金属層2,6と鋳ぐるみ材料が金属結合する。鋳ぐるみ材料としては、通常、アルミニウム合金、好ましくはアルミニウムケイ素系合金が使用される。これは、単に実施例に過ぎず、本鋳造方法はもちろん、例えば、シリンダークランクケースのシリンダライナ、クランクシャフト軸受けのような他の部品にも使用可能である。本発明による方法は、特に、異なる材料間に金属結合を達成しなければならない場合に使用可能である。
【0019】
請求項1〜4のいずれか一項によるフラックスは、更に、液体又は顆粒の状態でアルミニウム溶湯、例えば、AlSi9、AlSi12、Al99.5に直接、1平方センチメートル当たり約10〜100gの量で散布される。フラックスをアルミニウム溶湯上に散布することによって、酸化物層は直ぐに減少し、溶融液状アルミニウム合金材料のコキールの自由表面に、耐久性があり酸化物を含まない表面を形成する。
【0020】
本発明によるフラックスの他の使用分野は、液体軽金属合金が開口のコキールから汲み出され、鋳型に充填される鋳造品の製造方法における使用である。従来技術の既知の方法は、アルミニウム合金の液体表面上の酸化物層又はドロスを手動で又は自動的に除去することによる解決法を提示している。このような方法の欠点は、一方では酸化アルミニウム層を完全に除去することができず、他方では非常に短時間で、即ち、何分の一秒かで酸化アルミニウム層が新たに形成することである。
【0021】
軽金属合金を汲み出す前に、軽金属合金の表面に請求項1〜4のいずれか一項によるフラックスを散布する鋳造品の製造方法に、本発明によるフラックスを使用することによって、酸化物層の除去を完全に省略することができる。該フラックスは軽金属合金上の酸化物層を還元又は溶解させるため、汲み出し用ラドルは酸化物を含まない表面に浸漬され、同様に、酸化物を含まないアルミニウム又はアルミニウム合金を汲み出すことができる。従って、酸化物層が含まれないか又は少なくとも非常に減少した鋳造品の鋳造が可能になる。
【0022】
該フラックスは、1平方センチメートル当たり10〜100g、好ましくは20gの量で液状溶融金属のコキールの開放面に直接、散布され、ここで、表面の直径は約40cmである。これによって溶融液状金属の表面の酸化物が完全に還元されるため、酸化物層のない液状アルミニウム合金を加工に使用することができる。
【0023】
鋳造方法の他に、本発明によるフラックスは、複数の金属部品を一体化するための方法に使用可能である。酸化物が溶融浴又は接合面に入る可能性があり、従って溶接継目の欠陥を引き起こすため、例えば、溶接のような一体化法では、材料表面の酸化物は妨げになる。請求項1〜4のいずれか一項によるフラックスを使用することによって、アルミニウム基合金上と同様に鉄基合金上の酸化物層も還元され、しかも接合面の脱酸化は持続する。
【0024】
更に、本フラックスは、金属表面、鉄含有表面又はアルミニウム基材から形成されたアルミニウム含有表面の酸化物層を還元するために使用することができる。従って、本発明によるフラックスは溶融液状アルミニウム合金上だけでなく、表面に酸化物層を形成する固体金属表面にも使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、および残部の水からなり、金属表面上に付与され、この金属表面上の酸化物層を還元するフラックスであって、ゼラチンを含有することを特徴とする前記フラックス。
【請求項2】
前記フラックスが、フッ化ジルコニウムおよび/又はフッ化リチウム、ケイフッ化ナトリウムおよび/又はカリ氷晶石および/又はフッ化カリウムアルミニウム(KaAlF)と、ジルコニウム、および/又はリチウム、および/又はカリウム、および/又はナトリウム、および/又はビスマス、および/又はホウ素、および/又はチタンに基づく塩とからなる反応体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフラックス。
【請求項3】
前記ゼラチンが、カルシウムおよび/又はマグネシウム並びに有機および無機成分から構成されており、前記フラックス中に0.5重量%〜5重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフラックス。
【請求項4】
前記フラックスが、5重量%〜20重量%のジルコニウム、および/又は0.1〜5重量%のチタン、および/又は8重量%〜25重量%のリチウム、および/又は2重量%〜10重量%のカリウム、および/又は1重量%〜8重量%のナトリウム、および/又は0.5重量%〜5重量%のビスマス、および/又は2重量%〜10重量%のホウ素から構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフラックス。
【請求項5】
前記フラックスがゼラチンを含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフラックス。
【請求項5】
材料の1つが鉄基合金であり、もう1つがアルミニウム基合金である、少なくとも2つの異なる材料から金属部品を製造するための鋳造方法であって、鉄基合金からなる物体(1、5)上に金属層(2、6)を形成する工程であって、前記金属層(2、6)がアルミニウム基合金であり、前記金属層の形成がアルミニウム溶湯中に浸漬することによって実施される前記工程、前記被覆された物体(1、5)を鋳型の中に入れる工程、および前記被覆された物体(1、5)をアルミニウム基合金で鋳ぐるむ工程を有する鋳造方法であり、この際、前記鉄基合金からなる物体(1、5)を前記アルミニウム溶湯中に浸漬する前に、前記アルミニウム溶湯の表面に請求項1〜4のいずれか一項に記載のフラックスを散布し、その結果、アルミニウム溶湯上に形成する酸化皮膜を還元又は溶解させ、前記アルミニウム溶湯中に浸漬する時に、前記金属層が、鉄基合金からなる物体と金属結合することを特徴とする、前記鋳造方法。
【請求項6】
前記フラックスが、液体又は顆粒状の状態でアルミニウム溶湯上に散布されることを特徴とする、請求項5に記載の鋳造方法。
【請求項7】
前記金属層が形成された鉄基合金からなる物体を前記鋳型に入れる前に、前記物体に請求項1〜4のいずれか一項に記載のフラックスを塗布することを特徴とする、請求項5又は6に記載の鋳造方法。
【請求項8】
液体軽金属合金を開口のコキールから汲み出して鋳型に充填する鋳造品の製造方法であって、前記軽金属合金を汲み出す前に前記軽金属合金の表面に請求項1〜4のいずれか一項に記載のフラックスを散布し、その結果、前記軽金属合金上に形成する酸化物層が還元又は溶解されることを特徴とする、前記鋳造品の製造方法。
【請求項9】
前記フラックスが約0.3m当たり10〜100gの量で前記開口のコキール上に散布されることを特徴とする、請求項8に記載の鋳造品の製造方法。
【請求項10】
部品の結合領域に請求項1〜4のいずれか一項に記載のフラックスを塗布し、その結果、金属部品上に形成した酸化物層が還元又は溶解されることを特徴とする、金属部品の一体化方法。
【請求項11】
前記方法が溶接法であることを特徴とする、請求項10に記載の一体化方法。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフラックスを金属表面上に塗布することを特徴とする、金属表面上の酸化物層を還元する方法。
【請求項13】
前記金属表面が、アルミニウム基合金又は鉄基合金から形成されていることを特徴とする、請求項12に記載の酸化物層を還元する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−544471(P2009−544471A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521118(P2009−521118)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004655
【国際公開番号】WO2008/011933
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(508269307)カーエス・アルミニウム−テヒノロギー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (3)
【出願人】(504233247)カーエス コルベンシュミット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (20)
【氏名又は名称原語表記】KS Kolbenschmidt GmbH
【住所又は居所原語表記】Karl−Schmidt−Strasse, D−74172 Neckarsulm, Germany
【出願人】(502084056)ゲリタ アクチェンゲゼルシャフト (25)