説明

金属表面を不動態化剤で被覆する方法、不動態化剤及びその使用

本発明は、金属表面を溶液又は分散液としての水性組成物で処理する方法(この際、この組成物は少なくとも1種の燐酸塩、少なくとも1種のチタン−及び/又はジルコニウム化合物少なくとも3g/l及び少なくとも1種の錯生成剤を含有している)並びに相応する水性組成物に関する。この場合に製造された被覆は、NSS−塩スプレー試験及び凝縮水/恒常気候−試験で非常に良好なブランク防蝕性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燐酸塩処理溶液とは異なる水性組成物で金属表面を被覆する方法、この水性組成物並びに本発明の方法におけるその使用に関する。
【0002】
燐酸塩被覆は、防蝕層として、二次成形助剤として、並びに塗装及び他の被覆用のプライマー(Haftgrund)として広く使用されている。特にこれが貯蔵時の一時的な保護を提供するために使用され、次いで例えば塗装される場合に、この被覆は、塗装前の前処理層と称される。しかしながら燐酸塩被覆上に塗装層及び他の種類の有機被覆が適用されない場合には、前処理の代わりに、処理又は不動態化なる用語が使用される。金属表面、即ち金属部材の表面の少なくとも1種のカチオン溶出され、層構成のために使用される場合には、この被覆は化成皮膜層(Konversionsschichten)とも称される。
【0003】
被覆法において、いわゆる乾燥法(ノーリンス−法)は、殊に少なくとも金属材料製の連続的に運動するベルトの非常に迅速な被覆のために非常に重要である。これらベルトは、狭い又は非常に広い幅の金属薄板であることができる。これらベルト上に、通常は、亜鉛メッキの直後に又は場合によっては適当な浄化又は脱脂の後にも、かつ水又は水性媒体でのすすぎの後に、並びに場合によっては金属表面の活性化の後に、燐酸塩処理溶液での湿潤化によって燐酸塩被覆が適用され、次いで乾燥される。燐酸塩被覆の乾燥の後のすすぎは、殊にこの燐酸塩被覆が非結晶性又は部分的結晶性である場合に、これを傷つけることがある。
【0004】
過去においてこの問題は、この燐酸塩処理溶液にニッケルを添加することによって工業的に回避されており、この大抵のニッケル含分は0.5〜1.5g/lの範囲であった。この際、亜鉛−マンガン−ニッケル−燐酸塩処理の場合に、大抵の亜鉛−含分は0.6〜3.5g/lの範囲で、及びマンガン−含分は0.4〜2.5g/lの範囲で選択されていた。
【0005】
しかしながら高品質の燐酸塩処理溶液及び燐酸塩層は、亜鉛、マンガン及びニッケルの主要含分を有している。殊にニッケルは、その毒性及び危険性に基づき、避けるべきである。更にこの際に、廃水、燐酸塩スラッジ及び研磨ダスト中の不可避の重金属含分は邪魔である。しかしながらベルトの処理のために、殊に亜鉛−富化金属表面での高いブランク防蝕(塗料/プライマー層なしの防蝕)を確保する方法は提供されてはいない。
【0006】
DE 102006052919A1は、水溶性チタン−/ジルコニウム−化合物中の燐酸塩5〜50g/l、亜鉛0.3〜3g/l及びチタン及び/又はジルコニウム0.001〜0.2g/lをベースとする金属表面の防蝕性皮膜化成処理用の水性組成物を教示している。
【0007】
比較的高い燐酸塩含分にも関わらず、本出願の組成物は燐酸塩処理溶液ではなく、この被覆法は燐酸塩処理ではない。それというのも、燐酸塩処理溶液は、
1.例えば亜鉛−及び/又はマンガン−富化燐酸塩処理法の場合の高品質の燐酸塩層を得るために、例えば燐酸チタン粒子又は燐酸亜鉛粒子をベースとする先行の活性化(これによって、その上に高品質の燐酸塩層が形成されうる)を必要とし、
2.亜鉛含有燐酸塩処理の場合には、通例は、2〜3.5のpH−範囲でのみ使用でき、
3.チタン−及び/又はジルコニウム化合物の含分は燐酸塩処理にとって浴毒として周知であるので、一般に合計0.05を上回る又は0.1g/lを上回るチタン−及び/又はジルコニウム化合物の含分を問題なしには甘受できない、
4.実際は、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンを本質的に含有せず、
5.稀に少量の錯生成剤を含有する(それというのも、これは部分的に浴毒とみなされるからである)、
6.一般に浴液中に、カチオンの全含分を3.5〜9.5g/lの範囲で、かつ、燐含有化合物の全含分をPOとして計算して5〜20g/lの範囲で含有し、
7.屡々、高い含分のアルカリ−及びアンモニウム化合物を含有し、この際、比較的高いアンモニウム化合物の含分にもかかわらず、pH−値は2.0〜3.5の範囲に留まり、
8.少なくとも1種の錯弗化物を含有する場合には、通例、ホウ素−及び/又は珪素錯弗化物をベースとする化合物のみを含有し、
9.亜鉛−及び/又はマンガン−富化燐酸塩処理溶液を用いる部材の燐酸塩処理の際には、少なくとも例えば浸漬及び/又はスプレーによる個々の部材の処理の場合には、通常、屡々典型的な結晶形の結晶層が形成され、かつ
10.ブランク防蝕(Blankkorrosionsschutz)の場合に、結晶性燐酸亜鉛処理された表面は、燐酸塩処理され、塗料で処理されていない表面上での塩スプレー試験で、孔及び封隙構造の欠如に基づき、典型的な2時間までのみの錆形成なしを示す、
しかるに、本発明による被覆は、付加的な塗装処理なしに、塩スプレー試験において、比較可能な燐酸塩処理された被覆よりも厚くないのに、通常は少なくとも2日間安定であるからである。
【0008】
燐酸塩処理法の非常に稀な場合でチタン−及び/又はジルコニウム化合物が燐酸塩処理溶液中で使用される場合には、これら化合物の含分は、典型的に、合計して0.2g/lを下回っている。それというのも、これら化合物の高含分は、通常、殊にアルミニウム−富化表面上に被覆障害をもたらすからである。非常に稀にのみ、燐酸塩処理溶液に錯生成剤が添加される。燐酸塩処理法で燐酸塩処理溶液中でシランが使用される非常に稀な場合には、その含分は非常に僅かである。しかしながら、これら記載の添加物の組み合わせは、燐酸塩処理時には決して使用されない。
【0009】
本発明による水性組成物の挙動及びその被覆の特性は、燐酸塩処理溶液及びその燐酸塩層と比較すると、本発明による水性組成物及びその被覆法では、「燐酸塩処理」と称することはできない程度に異なっていることが再度確認された。それにもかかわらず、本発明の方法は、1種の皮膜化成処理法である。
【0010】
従って、その方法を用いて、水性組成物を用いて得られた防蝕層が、殊に金属ベルト上に、塗料/プライマーでの被覆なしに良好な防蝕性(=ブランク防蝕)を示す被覆法を提供する課題が存在した。それというのも、コイル(巻きベルト)は、通常、鋼製造者にとっては、更なる加工操作時に錆沈着なしに加工可能であるべきであるからである。更に、多くの実施形にとって、良好な二次成形性及び/又は弱アルカリ性浄化及び/又はアルカリ性エマルジヨンを用いる二次成形の際の良好な耐アルカリ性も有利である。場合によっては、この被覆は、できるだけ二次成形の後にも良好な防蝕性であり、かつできるだけ良好な塗料付着性をも有すべきである。
【0011】
この課題は、被覆法−殊に、溶液又は分散液としての水性組成物での金属表面の被覆による不動態化法−を用いて解決され、この方法で、前記組成物は、少なくとも1種の燐酸塩、チタン−及び/又はジルコニウム化合物少なくとも1種少なくとも3g/l及び少なくとも1種の錯生成剤並びにアルミニウム、クロム(III)及び/又は亜鉛のカチオン及び/又はアルミニウム、クロム(III)及び/又は亜鉛を含有している化合物少なくとも1種を含有しており、かつ、この水性組成物のウエットフィルムを金属ベルト又は金属薄板上で乾燥させる。
【0012】
通例、本発明による水性組成物は、粒子及び/又はエマルジヨンが添加されない限り、溶液であり、その間この溶液は安定であり、沈殿する傾向はない。
【0013】
本発明において、概念「添加」又は「添加する」とは、そのような物質又は物質混合物を少なくとも1回加えることを意味する。
【0014】
ここで、本発明による組成物及び本発明による方法は、殊に金属表面の不動態化作用をするためであるが、例えば有機被覆物での引き続く被覆の前の前処理のため及び他の目的のために使用することもできる。本発明における不動態化とは、通常、腐食に対して長時間保護するための、後続の有機被覆の適用を行わない金属表面の被覆と理解される。しかしながら多くの場合に、この不動態化は、後続の少なくとも1つの有機被覆、例えばプライマー又はむしろ塗料系及び/又は接着剤が適用されることを排除しない。
【0015】
本発明による水性組成物は、アルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン及び/又は亜鉛のカチオン及び/又はアルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン及び/又は亜鉛を含有する化合物少なくとも1種を含有していることが有利である。本発明による出発組成物、即ち殊に新しいコンセントレート及び/又は新しい浴組成物も、屡々使用時の浴に特にこの浴を使用準備状態に保持するために必要に応じて添加される補充溶液も、多くの実施形では、アルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン及び/又は亜鉛のカチオン及び/又は化合物少なくとも1種を本質的に含有することが有利である。多くの実施形でこれらは、アルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン、チタン及び/又は亜鉛及び/又はジルコニウムのカチオン及び/又は化合物と並んで、正に記載のもの以外の他の重金属カチオン及び/又は重金属化合物を含有しないか実質的に含有しない。屡々これらは、クロムをも含有しない。しかしながらこの組成物は、設備との接触時に、これで被覆されるべき金属表面との接触時に及び/又は不純物の入り込みによって、屡々他のカチオン及び/又は化合物を取り込むことがありうる。従って当初にクロム不含の組成物は、痕跡量又は場合によってはむしろ小含分の、例えばクロム及び/又はクロム化合物及び/又はカチオン/他の鋼精製剤からの化合物を含有することがありうる。この組成物は、アルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン及び/又は亜鉛のカチオン及び/又はアルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン及び/又は亜鉛を含有している化合物少なくとも1種の全含分を、金属として計算して1〜100g/lの範囲で含有することが好ましい。この組成物は、アルミニウム、クロム(III)及び/又は亜鉛のカチオン及び/又はアルミニウム、クロム(III)及び/又は亜鉛を含有している化合物少なくとも1種の合計含分を、金属として計算して1〜100g/lの範囲で含有することが好ましい。アルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン及び/又は亜鉛又はアルミニウム、クロム(III)及び/又は亜鉛の含分は、金属として計算して、1.5〜90、2〜80、2.5〜70、3〜60、3.5〜50、4〜40、4.5〜35、5〜30、5.5〜25、6〜20又は8〜14g/lの範囲内にあることが全く特別好ましい。カチオン及び/又は化合物のとしてのクロム(III)の含分は、金属として計算して0、ほぼ0又は0.01〜30、0.1〜20、0.3〜12、0.5〜8、0.8〜6又は1〜3g/lの範囲内にあることが特別好ましい。本発明による組成物は、カチオン及び/又は金属含有化合物に関して、アルミニウム、クロム(III)及び/又は亜鉛のカチオンから及び/又はアルミニウム、クロム(III)及び/又は亜鉛を含有している化合物少なくとも1種からのみ成っていることが特別好ましい。カチオン及び/又は化合物としてのクロム(VI)の含分は殊に、金属として計算して0、ほぼ0又は0.01〜8、0.05〜5、0.1〜3又は0.3〜1g/lの範囲内にあることができる。このカチオン及び化合物の少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも90%又はむしろ少なくとも95%が、アルミニウム及び/又は亜鉛をベースとするものであることが有利である。このようなカチオン及び化合物の含分は、広い範囲内で変えることができる。場合によっては、これらは錯化されて存在することができる。この場合に、金属表面の主成分、例えば亜鉛メッキされた表面の場合の亜鉛、鋼表面の場合の鉄及びアルミニウム表面の場合のアルミニウムは、酸蝕作用(Beizwirkung)に基づき、長時間処理の場合に少含分で添加されることも考慮されうる、それというのも、この主成分はこの酸蝕作用に基づき自動的に補われるからである。本発明による組成物は、本質的に、アルミニウム、チタン、亜鉛及び/又はジルコニウムのカチオンのみを含有するか又はこれらが組成物に添加されることが特別好ましい。本発明による組成物には、カチオン及び/又は金属含有化合物に関して、アルミニウム、クロム(III)、チタン、亜鉛及び/又はジルコニウムのカチオン及び/又は化合物のみを添加することが特別好ましい。本発明による組成物は、本質的にチタン及び亜鉛又はチタン及びアルミニウムのみを含有するだけであるか又はこの組成物に添加されることが全く特別好ましい。本発明による組成物にカチオン及び/又は金属を含有する化合物に関して、アルミニウム、クロム(III)、チタン、亜鉛及び/又はジルコニウムのカチオン及び/又は化合物のみが添加されることが特別好ましい。この場合に、場合によっては他の種類のカチオン、殊に痕跡量の不純物、引き込まれた不純物及び/又は装置及び/又は基材から酸蝕溶出された不純物も現れることがありうる。
【0016】
大抵の実施形で、アルカリ土類金属のカチオン及び/又は化合物少なくとも1種の含分は、それぞれ金属として計算して、ほぼ0又は0.001〜1.5g/l、0.003〜1g/l、0.01〜0.5g/l又は0.03〜0.1g/lの範囲内にある。これらのカチオン/化合物の含分が非常に低い場合には、欠点は予想されない。これらカチオン/化合物の含分が高すぎる場合には、溶液の安定性は損なわれ、防蝕における損害が予想される。アルカリ土類金属の含分は、通常、それらが沈殿をもたらす場合には害を及ぼす。弗素化物(錯弗化物をも包含)の含分に基づき、これは容易にアルカリ土類金属と一緒に沈殿することができる。大抵の実施形において、カチオン及び/又は少なくとも1種のアルカリ金属の化合物少なくとも1種の含分は、それぞれ金属として計算してほぼ0又は0.001〜1.5、0.01〜1、0.1〜0.5、0.02〜0.15g/lの範囲である。いずれにせよ、少量のアルカリ金属含分及びアルカリ土類金属含分は、それらが水道水の含分範囲で含有されている場合には、屡々害がない。
【0017】
本発明による水性組成物は、POとして計算して1〜400g/lの範囲での燐酸塩の含分を有することが有利である。この組成物の燐酸塩含分は6〜350、12〜300、18〜280、25〜260、30〜240、40〜220、50〜200、60〜180、70〜160、85〜140又は100〜120g/lの範囲であることが特別好ましい。燐酸塩の含分が低すぎる場合には、防蝕性は低い。燐酸塩−添加は、防蝕及び表面外観の明らかな改良が得られる程度に高いことが有利である。燐酸塩の含分が高すぎる場合には、艶のない被覆が生じることがある。アルミニウム、クロム、鉄、マンガン及び/又は亜鉛をベースとするもの、主にアルミニウムをベースとするものから選択されるカチオン及び/又は無機化合物を含有している組成物における、Al:POの比は、1:10〜1:25の範囲、殊に1:12〜1:18の範囲内であることが有利である。そのカチオン及び/又は無機化合物の含分が、アルミニウム、クロム、鉄、マンガン及び/又は亜鉛をベースとするもの又はアルミニウム、クロム及び/又は亜鉛をベースとするもの、特に亜鉛をベースとするものから選択されている組成物におけるZn:POの比は、1:4〜1:20の範囲、殊に1:6〜1:15の範囲内にあることが有利である。燐酸塩は、一燐酸塩(=PO3−をベースとするオルト燐酸塩、HPO2−をベースとする燐酸一水素塩、HPO−をベースとする燐酸二水素塩)、二燐酸塩、三燐酸塩、五酸化燐及び/又は燐酸(=オルト燐酸HPO)から選択される化合物少なくとも1種として添加されることが有利である。燐酸塩添加は、水又は水性混合物への一金属燐酸塩添加、燐酸及び金属の、燐酸及び金属塩/金属酸化物の、二燐酸塩の、三燐酸塩の、ポリ燐酸塩の及び/又は五酸化燐の添加であることができる。
【0018】
例えば少なくとも1種のオルト燐酸塩、少なくとも1種の三燐酸塩の及び/又は燐酸の添加の場合に、これら添加物の相応する化学平衡、殊に相応するpH−値及び濃度が生じる。水性組成物がより酸性であると、化学平衡はより容易にオルト燐酸HPOの方向に、より高いpH−値では、より容易にPO3−をベースとする第3級燐酸塩の方向にシフトする。本出願においては、原則的に多くの種々のオルト燐酸塩を添加することができる。アルミニウム、クロム及び/又は亜鉛のオルト燐酸塩が特別好適であることが判明した。この水性組成物に、POとして計算して1〜400g/lの範囲で、特に好ましくは5〜300、10〜250、15〜200、20〜150、25〜100、30〜80又は40〜60g/lの範囲の全添加量で加えることが有利である。この全添加量は、全含分に相当する。
【0019】
この水性組成物は、無水リン酸P、燐−含有酸、オルト燐酸の塩及び/又はエステル少なくとも1種及び/又は縮合燐酸の塩及び/又はエステル少なくとも1種を用いて、場合によっては少なくとも1種の金属、炭酸塩、酸化物、水酸化物及び/又は塩と一緒に、例えば燐酸と一緒の硝酸塩を用いて製造することができる。
【0020】
この組成物の水での希釈の際、イオン及び/又は化合物、殊に他の種類のイオン及び/又は他の化合物の含分の取込みの際、及び/又はこの組成物の安定化のため、殊に沈殿を阻止し及び/又は沈殿を溶解させるためにpH−値を高めるべき場合には、少なくとも1種の錯生成剤の添加が有利であるか及び/又は必要であることがある。錯生成剤は、化合物の高含分、殊に引き込まれ、酸蝕時に装置から溶出され及び/又は金属表面から酸蝕溶出されるカチオン、例えばアルミニウム、クロム、鉄、マンガン、亜鉛及び/又はカチオン高い含分を、組成物中に溶解保持する作用をする。それというのも、著しいスラリーが生じるので、殊にアルミニウム、鉄、マンガン及び/又は亜鉛の弗化物、酸化物、水酸化物及び/又は燐酸塩の沈殿を妨げることができるからである。沈殿が現れる場合には、この沈殿物を再び溶解させるために、必要に応じて錯生成剤を添加することができる。少なくとも1種の錯生成剤は、殊にカチオン、例えばアルミニウム、クロム、鉄、マグネシウム、マンガン、チタン、亜鉛及び/又はジルコニウムを錯化し、かつ、殊に低い酸性度の場合には、これによって溶液又は懸濁液を安定化させる作用をする。更に、多くの実施形で、少なくとも1種の錯生成剤の添加は、多かれ少なかれ防蝕性を立証した。錯生成剤の新たな添加時及び/又は水性組成物中の錯生成剤の高められた含分の際には、より高いpH−値に調節するために、少なくとも1種のほぼ中性又は塩基性の化合物をこの組成物に添加することも有利でありうる。本発明における概念「錯生成剤」には、キレート剤も包含される。従ってここで錯生成剤として、殊に、アルコキシドをベースとする、カルボン酸をベースとする、ホスホン酸をベースとする及び/又は錯化性有機化合物をベースとする、例えばフィチン酸をベースとする及び/又はフェノール化合物をベースとする、例えばタンニン酸をベースとする化合物少なくとも1種が使用される。少なくとも1種の錯生成剤の含分が高い程、通常、この組成物のpH−値は、カチオン量に依存して調節することができる。錯生成剤の含分は広範囲で変動可能である。本発明による水性組成物は、1〜200g/lの範囲の全含分で少なくとも1種の錯生成剤を含有することが有利である。少なくとも1種の錯生成剤の全含分は、2〜180、3〜160、4〜130、5〜100、6〜80、8〜70、10〜60、12〜50、15〜40又は20〜30g/lの範囲内にあることが特に好ましい。錯生成剤−含分は、この組成物が安定な溶液であり、かつ場合により水での希釈の際にも安定な溶液が得られる程度の高さであることが有利である。錯生成剤の含分が低すぎる場合には、カチオン量に依存してpH−値の上昇及び/又はカチオン及び/又は化合物の含分の上昇は沈析をもたらし、従って場合によっては沈殿及び場合によってはスラリー形成をもたらすことがありうる。錯生成剤の含分が高すぎる場合には、防蝕性及び/又は二次成形性が損なわれることがありうる。
【0021】
本発明の方法では、水性組成物に、特に少なくとも1種のホスホン酸、少なくとも1種のホスホン酸の塩及び/又は少なくとも1種のホスホン酸のエステルを添加することができる。この水性組成物は、ホスホン酸をベースとする化合物少なくとも1種を、1〜200g/lの範囲、特別好ましくは0.3〜150、1〜80、1.5〜50又は2〜30g/lの範囲で含有することが有利である。ホスホン酸をベースとする化合物少なくとも1種、例えばジホスホン酸、1個のアルキル鎖を有するジホスホン酸、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、エチレンジアミン−テトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、ジエチレントリアミン−ペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、ジエチレントリアミン−ペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、ヘキサメチレンジアミン−テトラ(メチレンホスホン酸)(HDTMP)、ヒドロキシエチル−アミノ−ジ(メチレンホスホン酸)(HEMPA)及び/又はホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)が特別好ましい。これらの物質は、通例、錯生成剤として作用する。
【0022】
本発明の方法で組成物は、それぞれ少なくとも1種のカルボン酸及び/又はそれらの誘導体;例えば、蟻酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸及び/又は化学的に類縁のヒドロキシカルボン酸及びアミノカルボン酸及びそれらの誘導体をベースとする化合物少なくとも1種を含有することが有利である。少なくとも1種のカルボン酸は、錯生成−及び/又は防蝕作用を有することができる。多くの実施形でこの水性組成物は、カルボン酸をベースとする化合物少なくとも1種を、0.1〜100g/lの範囲、特に好ましくは0.3〜80、1〜60、1.5〜45又は2〜30g/lの範囲で含有することが有利である。
【0023】
本発明の組成物は、フィチン及び/又はタンニンをベースとする化合物少なくとも1種を含有することが有利である。特に化合物、例えばフィチン酸、タンニン酸及び/又はこれらの誘導体、例えばその変性された化合物を包含するそれらの塩及びそれらのエステル及びそれらの誘導体がこれに属する。これらの化学的ベースの化合物は、屡々特別な方法で防蝕に正に影響することができる。この場合にこれらは、錯生成剤としても作用し、かつ本発明においては、錯生成剤として数えられる。殊にタンニンベースの化合物の組成物は、例えば使用される天然の原料及びその場合により行われる精製及び/又は化学的変性に依存して、かなり不安定であることがある。これらは、一部分は着色されている。この水性組成物は、フィチン及び又はタンニンをベースとする化合物少なくとも1種を、0.05〜30g/lの範囲、特別好ましくは0.3〜25g/l又は1〜20g/lの範囲、全く特に好ましくは1.5〜15g/l又は2〜10g/lの範囲でのこれら化合物の全含分で、含有することが有利である。
【0024】
本発明の方法で、水性組成物は、少なくとも1種のチタン−及び/又はジルコニウム化合物を、それぞれ少なくとも5g/l、10g/l、15g/l、20g/l又は25g/lの全含分で含有することが有利である。殊にこの全含分は3〜200g/lの範囲内にある。これらは屡々、金属として計算してTi及び/又はZrを1〜100g/lの範囲の含分で存在している。これらは場合によっては部分的に又は全て、少なくとも1種の錯弗化物として添加されるか及び/又はこの水性組成物中に部分的に又は全て少なくとも1種の錯弗化物として存在することができる。この水性組成物は、1.5〜200、2〜160、3〜130、4〜100、5〜80、6〜60、8〜50、10〜40、15〜30又は20〜25g/lの範囲で少なくとも1種のチタン−及び/又はジルコニウム化合物の全含分を含有することが特別好ましい。水性組成物中の、金属として計算してTi−及び/又はZrの含分は、3〜90、6〜80、10〜70、20〜60又は35〜50g/lの範囲であることが特別好ましい。個々の場合に、チタン−及び/又はジルコニウム化合物として、通常は塩基性媒体中のみで安定であるが、少なくとも1種の錯生成剤、例えば1種のホスホネート及び/又は少なくとも1種の保護化合物、例えば界面活性剤の添加の際には、酸性媒体中でも安定である化合物少なくとも1種を添加することもでき、この際、これら化合物は水性組成物中に錯化されて及び/又は保護されて存在する。弗化物含有化合物として、少なくとも1種のみの錯弗化物をベースとするチタン−及び/又はジルコニウム化合物が添加されることが特別好ましい。多くの実施形で、この組成物はそれぞれ少なくとも1種のアルミニウム、チタン、亜鉛及び/又はジルコニウムの錯弗化物及び/又はそれらの塩(これらは、ある意味でMeF−及び/又はMeF−錯体として存在する)を含有する。殊にアルミニウム−含有金属表面の場合に、高い腐蝕作用を得るために、低すぎない錯弗化物−添加量が重要である。この水性組成物は、少なくとも1種の錯弗化物をベースとするチタン−及び/又はジルコニウム化合物を、1〜200、1.5〜175、2〜150、3〜120、4〜100、5〜80、6〜60、8〜50、10〜40、15〜30又は20〜25g/lの範囲で含有することが特別好ましい。少なくとも1種のチタン−及び/又はジルコニウム化合物の添加量及び含分は、良好なブランク防蝕及び必要な場合にはこれに引き続く塗装/プライマー−被覆のための良好な塗料付着性をも生じる程度に充分な高さであることが有利である。少なくとも1種のチタン−及び/又はジルコニウム化合物の含分が高すぎ、錯生成剤が不充分な量で存在する場合には、この浴は容易に不安定になり、従って析出することがありうる。それというのも、弗化物又は錯弗化物は、錯生成剤として作用することもできるからである。しかしながら本発明の範囲では、弗化物及び錯弗化物は錯生成剤としては数えられない。チタン化合物の添加及び含有は、殊に防蝕性の改良のために有利であることが立証された。ジルコニウム化合物の添加及び含有は、殊に熱せき亜鉛メッキ表面の場合に、塗料付着性の改良のために有利であることが立証された。一方で多くの実施形で、本発明によるチタン−及び/又はジルコニウム化合物は、少なくとも1種の相応する錯弗化物であるか及び/又は少なくとも1種の錯化された物質、例えば少なくとも1種のチタンキレート、殊に少なくとも1種のチタンアルコキシドであることができ、この際には、より低い反応性のチタン−及び/又はジルコニウム化合物が好ましい。シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン対チタン及び/又はジルコニウムをベースとする錯弗化物の質量比は、添加されたシラン及び/又はポリシロキサンとして計算された、もしくは場合によりHTiFに対して換算されたモル比は、2:1を下回る、1.5:1を下回る、1:1を下回る又は0.5:1を下回ることが有利である。
【0025】
個々の実施形において本発明による組成物は、少なくとも1種のチタン及び/又はジルコニウム−含有の、弗素不含の化合物、例えばキレートを含有する。これら化合物は、他の形のチタン及び/又はジルコニウムをこの組成物中に取り入れる作用をすることができ、従ってこのような化合物の可能な起源である。このような化合物は、防蝕性を明らかに改良し、水性組成物を溶液中で安定に保持することができる。本発明による組成物は、0.1〜200g/l、特に好ましくは1〜150、3〜110、5〜90、7〜70、10〜50又は15〜30g/lの範囲の含分でチタン−及び/又はジルコニウムキレートのを含有することが有利である。殊にこのような化合物の含分は、蛍光X線を用いて測定される金属表面上のチタン及び/又はジルコニウムの含分が、金属として計算して3〜60又は5〜45mg/mの範囲内に留まるように選択される。従って殊に、他のチタン−及び/又はジルコニウム−含有化合物を本発明の組成物中に含有していない場合には、このような化合物が添加される。それというのも、少なくとも1種のチタン−及び/又はジルコニウム−含有化合物が本発明による組成物中に含有されていることが特別有利であるからである。このような化合物としては、殊にジヒドロキソ−ビス−(アンモニウムラクテート)チタネートを使用することができる。
【0026】
本発明の方法で、水性組成物は、弗化物−含分を有しないか又は0.01〜5g/lの範囲での遊離弗化物Ffreiの含分及び/又は3〜200g/lの範囲での全弗化物Fgesamtの含分を有することが有利である。この組成物は、0.1〜3.5、0.3〜2又は0.5〜1g/lの範囲の遊離弗化物Ffreiの含分及び/又は3〜180、5〜140、8〜110、10〜90、12〜75、15〜60又は20〜40g/lの範囲での全弗化物Fgesamtの含分を有することが特別好ましい。多くの実施形では、本発明による組成物に弗化水素酸、一弗化物及び/又は二弗化物は添加されない。従って本発明による組成物中の弗化水素酸、一弗化物及び/又は二弗化物の含分は平衡条件にのみ基づいて、少量で、少なくとも1種の錯弗化物及び/又はそれらの誘導体から構成されていることができる。いくつかの実施形では、本発明による組成物に、弗化水素酸、一弗化物及び/又は二弗化物が、遊離弗化物Ffreiとして計算して、0.01〜8g/l、殊に0.1〜5又は0.5〜3g/lの全含分で添加される。
【0027】
本発明の範囲で、概念「シラン」には、その加水分解−、縮合−、重合−及び反応生成物も、つまり殊にシラノール、シロキサン及び場合によってはポリシロキサンも包含される。ここで、概念「ポリシロキサン」には、ポリシロキサンの縮合−、重合−及び反応生成物も包含される。
【0028】
本発明の方法において、個々の実施形における組成物は、少なくとも1種シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンを含有せず、多くの実施形では、その都度の出発化合物のシラン又はポリシロキサンをベースとして計算して0.1〜200g/lの範囲での少なくとも1種のシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンを含有することが有利である。それぞれ、その都度の出発化合物のシラン又はポリシロキサンに基づき計算して、0.5〜180、1〜160、2〜140、3〜120、4〜100、5〜90、6〜80、8〜70、10〜60、12〜50、15〜40又は20〜30g/lの範囲で、少なくとも1種のシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンをベースとする化合物少なくとも1種を含有することが特別好ましい。シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンの含分が低すぎる場合には、−殊に熱せき亜鉛メッキされた表面の場合に−被覆の防蝕性は低減する。シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンの含分が高すぎる場合には、これは、溶液を不安定にし、これにより沈析させ及び/又は金属表面の不完全な濡れをもたらすことがありうる。少なくとも1種の界面活性剤(湿潤剤)の添加及び含有は、高含分の場合の問題を阻止することができるが、得られる被覆の防蝕を害することもありうる。少なくとも1種の界面活性剤の含有は、本発明による被覆の特性に、殊に防蝕性に部分的に非常に強く影響することがありうることが判明した。この防蝕性は、殊にHDGの僅かな高品質の場合に、明らかに改良することができる。このためには、少なくとも1種の非イオン界面活性剤を、場合によっては選択的に又は付加的に少なくとも1種のカチオン界面活性剤をも添加する。第2の界面活性剤は、場合により溶解助剤として作用することができ、殊にシラン/シラノール/シロキサンとして及び/又はポリシロキサンとして添加されると、防蝕性を屡々明らかに改良する。殊に多くの実施形では、少なくとも1種のシランが添加されるが、いくつかの実施形では、少なくとも1種のポリシロキサンが単独で、又は少なくとも1種のシランに付加的に添加される。
【0029】
組成物は、それぞれ、殊にアルコキシシラン、アルキルシラン、アミドシラン、アミノシラン、ビス−シリル−シラン、エポキシシラン、フルオロシラン、イミドシラン、イミノシラン、イソシアナトシラン、(メタ)アクリラトシラン及び/又はビニルシランをベースとする、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン少なくとも1種を含有することが有利である。このシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンの下で、複数の実施形では、アミノシランをベースとするものが特別に効を奏することが立証されているが、この際に、ここに挙げられている以外のシラン/シラノール/シロキサンも実施形に依存して重要であり得る。場合により殊にいくらか高いpH−値での更なる縮合の後に存在するシラン及び/又はその誘導体、例えばそれぞれ少なくとも1個の窒素含有基、例えばそれぞれ少なくとも1個のアミノ基を有する(=アミノシラン)、アミド基、イミノ基及び/又はイミド基を有するシラン/シラノール/シロキサンをベースとするシラン及び/又はその誘導体の添加時に、及び/又は少なくとも1個のアンモニウム基を有するプロトンの取り込み下に、これらシラン/シラノール/シロキサンは、pH−値の上昇に寄与する。これによって、pH−値を、例えば0.5〜2の範囲の当初値から、1.5〜4の範囲の値まで上昇させることがもきる。少なくとも1個の窒素含有基、例えばそれぞれ少なくとも1個のアミノ基(=アミノシラン)、アミド基、イミノ基及び/又はイミド基を有しているシラン/シラノール/シロキサンを含有することが特別好ましい。アルキルシランは殊に、2−、3−及び/又は4官能性であることができる。アルキルシランは、殊に、有機官能性側鎖を有せずに存在することができるか又は殊に末端位の窒素含有基を有することができる。アルキルシランは、場合によっては側鎖を有しないか又は少なくとも1個の10までのC−原子数の鎖長を有する側鎖を有することもできる。いくつかの実施形で、水性組成物は、それぞれ少なくとも1種のシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンをべースとし、a)少なくとも1個の窒素含有基、例えば少なくとも1個のアミノ基又はアンモニウム基を有する、b)ビス−シランをベースとする、c)エポキシシランをベースとする、d)フルオロシランをベースとする、e)イソシアナトシランをベースとする、f)(メタ)アクリラトシランをベースとする、g)ビニルシランをベースとする、h)アルコキシシランをベースとする及び/又はi)アルキルシランをべースとする、化合物少なくとも1種を、それぞれ0.5〜160g/lの範囲で、特別好ましくは1〜120、2〜80、3〜50、5〜35又は8〜20g/lの範囲で添加されているか又は含有していることが有利である。特別好ましいシランは、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び/又は3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)、N−[2−(アミノエチル)]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPS)、メチルシラン、ブチルシラン、エポキシシラン及び/又はテトラエトキシシラン(TEOS)である。いくつかのシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンの場合に、高い弗化物−含分でHF−ガスを形成することができる。
【0030】
この場合に、重合の方式及び度合いに応じて、例えば縮合によって、シロキサン及び/又はポリシロキサンも形成されうる。選択的に、少なくとも1種のポリシロキサンの添加及び含有も又はシラン及びポリシロキサンをベースとする組成物の添加も有利であり得ることが明らかになった。
【0031】
本発明の方法では、この組成物が少なくとも1種の有機のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーを含有することが有利である。本発明における概念「コポリマー」には、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーも包含される。特に少なくとも部分的に(メタ)アクリル、エポキシド、エチレン、ポリエステル及び/又はウレタンをベースとするこのような有機化合物少なくとも1種を添加及び含有することは、いくつかの実施形で、防蝕性、塗料付着性、二次成形性、摩耗性及び/又は注油及び/又は汚染された金属表面からの油含有汚染物の入り込みを改良するために重要である。後者のことは、屡々、注油され及び/又は汚染された金属表面の浄化を避ける作用をする。これとともに、場合によっては仕上げ工程からの少量の仕上げ剤、一時的な錆止めのための注油からの少量の錆止め油及び/又は二次成形工程からの少量の二次成形油が本発明により被覆された金属表面上に吸収されることがある。この水性組成物は、少なくとも1種の有機のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーの含分を、0.1〜180g/lの範囲で、特別好ましくは2〜120、5〜80、8〜55又は12〜30g/lの範囲で含有する。有機のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーの含分は、二次成形性を改良する程度に高いことが有利であり、この際、殊に二次成形時の摩擦は低下される。有機のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーの含分は、水性組成物の安定性が保持され、この被覆の良好な表面外観が確保される程度に充分低く、殊に、艶のない及び/又は不規則な皺のある被覆を生じさせないことが有利である。
【0032】
この組成物は、(メタ)アクリル、エポキシド、エチレン、ポリエステル及び/又はウレタンをベースとする及び/又は含有する有機のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマー少なくとも1種を含有することが有利である。ここに記載の成分の少なくとも1種は、少なくとも1種のコポリマーの成分であることもできる。この水性組成物は、a)(メタ)アクリル、b)エポキシド、c)エチレン、d)ポリエステル及び/又はe)ウレタンをベースとする有機のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマー少なくとも1種を、それぞれ0.5〜80g/lの範囲で、特に好ましくは2〜60、5〜50、8〜40又は15〜30g/lの範囲で含有することが有利である。
【0033】
本発明の方法では、組成物はそれぞれ少なくとも1種の無機及び/又は有機化合物を粒子形で含有していることが有利である。有機粒子は、殊に有機のポリマー/コポリマーの成分として存在することができる。いくつかの実施形でこの水性組成物は、無機及び/又は有機の粒子の含分を0.05〜80g/lの範囲、特に好ましくは0.3〜50、1〜30、1.5〜15又は2〜10g/lの範囲で含有していることが有利である。
【0034】
本発明による組成物は、Al、SiO、TiO、ZnO、ZrOをベースとする粒子形の無機化合物少なくとも1種及び/又は走査電子顕微鏡下で測定される300nmを下回る平均粒径を有する防蝕粒子を含有していることが有利である。無機粒子、例えばAl、SiO、TiO及び/又はZrOをベースとする無機粒子は、屡々バリア効果を有する粒子として、かつ場合によっては金属表面への結合下に作用する。この場合に、例えばZnO−粒子は、それが場合により現れる溶解までに防蝕作用をすることができる。これらの防蝕粒子は、殊に、例えば珪酸塩、特にアルカリ金属珪酸塩及び/又はアルカリ土類金属珪酸塩をベースとするものであることができるが、燐酸塩、燐珪酸塩、モリブデン酸塩等をベースとするものであることもできる。防蝕粒子は、殊にそのバリア機能及び/又はイオンの放出に基づき防蝕作用を助けることができる。無機粒子の含分は、二次成形時に障害性の摩擦が現れない程度に低いことが有利である。無機粒子の含分は、これらの粒子がバリア機能を発揮し、高められた防蝕性が得られる程度に高いことが有利である。
【0035】
いくつかの実施形において、本発明による組成物は、例えば塩素酸塩、亜硝酸塩、ニトロベンゼンスルホネート、ニトログアニジン、過ホウ酸塩をベースとする促進剤からなる群から選択される少なくとも1種の促進剤及び燐酸塩処理から公知である酸化特性を有する他のニトロ有機化合物少なくとも1種を含有している。これらの化合物は、金属表面との境界面での水素ガスの形成を減少させるか又は避けることに寄与することもできる。かなり多くの実施形で、この水性組成物は、これら促進剤の少なくとも1種を、0.05〜30g/lの範囲で、特に好ましくは0.3〜20、1〜12、1.5〜8又は2〜5g/lの範囲で含有している。
【0036】
本発明による組成物は、少なくとも1種の添加剤、例えばそれぞれ少なくとも1種の湿潤剤、解乳化剤、乳化剤、消泡剤、腐食防止剤及び/又はワックスを含有することが有利である。必要な場合には、例えば皮膜化成処理(Konversionsbeschichtungen)、不動態化又は塗装/プライマーの場合に慣用であり、原則的に公知であるような少なくとも1種の添加剤を加えることができる。この水性組成物は、少なくとも1種の添加剤を、0.001〜50g/lの範囲、特に好ましくは0.01〜30、0.1〜10、0.5〜6又は1〜3g/lの範囲での添加剤の全含分で含有することが有利である。
【0037】
この課題は、請求項1に記載の水性組成物を用いても解決される。
【0038】
更にこの課題は、本発明の方法で製造された被覆を用いて及び/又は本発明による水性組成物を用いて解決される。
【0039】
本発明による組成物は、
Al、Cr(III)及び/又はZnの合計 1〜100g/l
POとしての燐酸塩 5〜400g/l
錯生成剤 1〜200g/l
Ti及び/又はZrの合計(金属として計算して)1〜100g/l
少なくとも1種の弗素化合物からのF(Fgesamt
0.1〜200又はほぼ0g/l
及び/又は
珪素化合物 0.1〜200g/l
並びに場合によってはこの明細書中に挙げられている他の化合物少なくとも1種
を含有することが有利である。
【0040】
この水性組成物は、
Al、Cr(III)及び/又はZnの合計 8〜75g/l
POとしての燐酸塩 40〜280g/l
錯生成剤 20〜120g/l
Ti及び/又はZrの合計(金属として計算して) 3〜60g/l
少なくとも1種の弗素化合物からのF(Fgesamt
5〜120又はほぼ0g/l
及び/又は
珪素化合物 10〜160g/l
並びに場合によってはこの明細書中に挙げられている他の化合物の少なくとも1種
を含有することが特別好ましい。
【0041】
含分記載値は、コンセントレートにも浴にも当て嵌まる。浴の場合には、範囲に関する前記の全ての記載値は、それぞれ例えば希釈係数4で割ることができる。
【0042】
(Al、Cr3+、Fe、Mn及びZn):(Ti及びZr)及び/又は(Al、Cr3+及びZn):(Ti及びZr)の質量比は、0.1:1〜3:1の範囲であることが有利である。この質量比が0.5:1〜2.5:1又は1:1〜2:1の範囲であることが特別好ましい。
【0043】
殊にアルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン、チタン、亜鉛及び/又はジルコニウムの添加含分と並んで、これら及び場合によっては他のカチオンも本発明の組成物中に含有することができる:即ち、一方では、例えば先行浴からの入り込みにより、不純化により及び/又は例えばタンク及び原料物質並びに被覆すべき表面からの溶出により、他方では、他のカチオン/金属を含有する、例えば少なくとも1種のアルカリ金属、モリブデン及び/又はバナジウムを含有する化合物の添加により、本発明の組成物中に含有されていることができる。
【0044】
多くの実施形で本発明による水性組成物は、カルボン酸、アクリル酸、フェノール、澱粉、クロム(VI)をベースとする及び/又は他の重金属をベースとする、例えばクロム、モリブデン、ニッケル、バナジウム及び/又はタングステンをベースとする化合物を含有しないか又は本質的に不含であることが有利である。本発明による水性組成物は、多くの実施形で、燐酸塩処理時に促進剤として使用される化合物、殊に塩素酸塩、亜硝酸塩、ニトログアニジン、ペルオキシドをベースとする化合物及び/又は他のN−含有促進剤を含有しないか又は本質的に不含であることが有利である。
【0045】
本発明による組成物は、クロム(VI)を含有しないか又は本質的に不含であることが有利である。しかしながら、これは本発明による組成物の一部においても、場合によりクロム(III)を含有しないか又は本質的に不含であり、従って、殊に場合によってはクロムのカチオン及び/又は化合物を含有しないか又は本質的に不含であることもできる。
【0046】
水性組成物は、カルシウム及び/又はマグネシウムを含有しないか又は0.5g/lを下回って、特別好ましくは0.15g/lを下回って含有するだけであり、かつ/又は少なくとも1種の毒性の又は環境に有害な重金属、例えばクロムを、0.5g/lを下回って、特別好ましくは0.15g/lを下回って含有することが有利である。弗化物不含の組成物中には、一定の又はより高い含分のカルシウム及び/又はマグネシウムを含有していることもできる。
【0047】
本発明による組成物は、有利に、約0〜10の範囲のpH−値を有する。このpH−値は、殊に0.3〜8、0.5〜6、0.8〜5、1〜4又は2〜3の範囲内にある。コンセントレートは、屡々0.3〜3の範囲のpH−値を有し、浴は、屡々1.5〜4のpH−値を有する。屡々高い濃度で及び/又は中和されていない系での作業の開始時に、このpH−値は、0.1〜2の値、屡々、0.3〜1の範囲である。水での希釈及び/又は特定の塩基性物質、例えばアンモニア、少なくとも1種のアミン化合物(モノアミン、ジアミン、トリアミン、テトラミン、ペンタミン及び他のもの)及び/又は少なくとも1種のポリアミン化合物(ポリマーのアミン化合物)、少なくとも1種の低酸性又はほぼ中性の珪素含有化合物及び/又は少なくとも1種の有機のポリマー/コポリマーの添加によって、pH−値を1〜10、殊に1.5〜7、1.8〜5又は2〜3.5の範囲に高めることができ、これは屡々有利である。これによって、この組成物自体はより低い腐食作用をする。少なくとも1種のアミン化合物及び/又は少なくとも1種のポリアミン化合物は、屡々、酸蝕防止剤としても好適である。原則的に、少なくとも1種の錯生成剤の含分増加により、組成物のpH−値を2〜約10の範囲に調節することもでき、その際には、それぞれ、増加量の少なくとも1種のほぼ中性及び/又は塩基性の化合物が添加される。pH−値に影響するために、殊にアンモニア、少なくとも1種の場合により窒素を含有する他の塩基性化合物、少なくとも1種の塩基性炭酸塩−、水酸化物−及び/又は酸化物−含有化合物、少なくとも1種の有機のポリマー/コポリマー及び/又は少なくとも1種のシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンを添加することができる。例えば、酸化亜鉛、炭酸マンガン及び/又は本質的に中性又は塩基性のポリマー及び/又はコポリマーを添加することもできる。pH−値を適合させる助けをし、主に又はpH−値適合の目的のためだけに添加される、ほぼ中性の及び/又は塩基性の薬剤の含分は、有利に、0又は0.05〜100g/lの範囲、特別好ましくは0.2〜60、1〜40、2〜25、3〜18又は4〜12g/lの範囲内にあることができる。弗化物及び/又はシラン/ポリシロキサンの含分に基づき、ガラス電極を用いて測定しないで、pH−試験紙を使用することが有利でありうる。
【0048】
本発明の方法で水性組成物は、有利に2〜25点の範囲の遊離酸価FS(FA)、20〜45点の範囲の全酸価GS(TA)及び/又は12〜20点の範囲の全酸価フィッシャーGSF(TAF)を有する。FS:GS(FA:TA)からの比に関する酸価Sは、有利に、0.1〜0.6の範囲内にある。FS:GSF(FA:TAF)からの比に関する酸価Sは、有利に0.2〜1.3の範囲内にある。遊離酸価FS(FA)は6〜16点の範囲、全酸価GS(TA)は27〜37点の範囲内及び/又は全酸価フィッシャーGSF(TAF)は15〜18点の範囲内にあることが特別好ましい。FS:GS(FA:TA)からの比に関する酸価Sは、0.2〜0.5の範囲内及び/又はFS:GSF(FA:TAF)からの比に関する酸価Sは、0.35〜1.0の範囲内にあることが特別好ましい。これらの値は、アンモニア−含分を除く固体−及び作用物質の60g/lの濃度における滴定に該当する。
【0049】
分析すべき水性組成物の60g量を、先ず水を充填して1リットルにすることによって希釈する。遊離酸の測定のために、この組成物の10mlを、脱塩水(VE−水)で100mlまで希釈の後に、滴定プロセッサー及び電極の使用下に、0.1MNaOHを用いて変曲点(Wendpunkt)まで滴定する。希釈された組成物10ml当たりの0.1MNaOHの消費量が、遊離酸価(FS)を「点」で示す。
【0050】
燐酸イオンの全含分は、遊離酸の測定の終了に引き続き、滴定溶液を、蓚酸カリウム溶液の添加の後に、滴定プロセッサー及び電極の使用下に、0.1MNaOHを用いて、第2変曲点まで滴定することによって測定される。希釈された組成物10ml当たりの0.1MNaOHの消費量は、フィッシャーによる全酸価(GSF)に相当する。この値に0.71を掛けると、Pとして計算される燐酸イオンの全含分が得られる(W.Rausch: "Die Phosphatierung von Metallen". Eugen G.Leuze-Verlag 1988, pp.300ff 参照)。
【0051】
比FS:GS又はFS:GSFに関するいわゆるS−価は、遊離酸の価を全酸価で又はフィッシャーによる全酸価で割ることによって得られる。
【0052】
この全酸(GS)は、含有されている2価カチオン並びに遊離の又は結合した燐酸(後者は燐酸塩)からの合計である。これは、滴定プロセッサー及び電極の使用下で、0.1モル苛性ソーダ溶液の消費量によって測定される。希釈された組成物10ml当たりのこの消費量は、全酸の点数に相当する。
【0053】
第2表中に、この測定結果の概要が示されている。処方物は同じ出発組成を有しているが、ここで、pH−値のみが種々異なるアンモニア−量によって変えられている。
【0054】
水性組成物製造のための水性コンセントレートに、相応する成分中の溶液中にも含有されている全ての又は大部分の化合物を、添加物として加えることが有利である。浴の組成物は、特に、コンセントレートの固体−及び作用物質1〜1000%を有している水性コンセントレートを水で希釈することによって、この水性コンセントレートから製造される。しかしながらいくつかの実施形で、高濃度の及び/又は非希釈の溶液又は分散液も有利に使用することができる。
【0055】
全ての金属材料は、その金属表面で被覆することができる。特に、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム、チタン、亜鉛、錫及び/又はこれらの合金からの金属表面、殊に亜鉛−、鋼−、熱せき亜鉛メッキされた(熱せきメッキ、HDG)、電解亜鉛メッキされた、Galvalume(登録商標)−、Galfan(登録商標)−及び/又はAlusi(登録商標)−表面は、有利に被覆される。本発明による組成物は、特に亜鉛富化及び/又はアルミニウム富化金属表面の場合に卓越して効を奏した。鉄−及び鋼材料の表面に対しては、急速錆形成(Flash Rusting)を避けるために、殊に4〜10、殊に低くても5又は低くても7の範囲のpH−値を有する組成物が推奨される。本発明の方法で被覆された金属構成要素は、殊に乗物構造中で、土木建築における構築要素として又は装置及び機械、例えば家庭用機器の製造のために使用することができる。
【0056】
本発明により製造された被覆は、広範囲で変動性の被覆組成を有することができる。殊にこれは次のものを含有することを特徴とすることができる:
Al、Cr及び/又はZn(金属として計算して) 1〜100mg/m
Ti及び/又はZnの合計(金属として計算して) 1〜100mg/m
Si−化合物(金属として計算して) 0.1〜25mg/m
及び/又はP 3〜400mg/m
【0057】
特に好ましく、本発明による被覆は次のものを含有する:
Al、Cr及び/又はZn(金属として計算して) 10〜70mg/m
Ti及び/又はZnの合計(金属として計算して) 10〜70mg/m
Si−化合物(金属として計算して) 1〜15mg/m
及び/又はP 80〜220mg/m
【0058】
これらの含分は、適切に切り整えられ、被覆された金属薄板での蛍光X線分析法によって測定することができる。この際、被覆組成物の(Al、Cr3+及びZn):(Ti及びZr)の質量比は、有利に0.5:1〜1.8:1の範囲、特に好ましくは0.9:1〜1.4:1の範囲内にあることができる。
【0059】
本発明によって形成された層の層質量は、広い範囲内で変動可能である。これは、0.01〜12、0.05〜10、0.1〜8、0.3〜6、0.5〜4又は0.8〜2g/mの範囲であることができる。 ベルト装置中での被覆の場合にこれは、殊に10〜1000mg/m、有利に30〜800又は60〜650mg/mの範囲、特に好ましくは100〜500又は130〜400mg/mの範囲、全く特別好ましくは160〜300又は200〜250mg/mの範囲であることができる。ベルト装置中での被覆の場合に、ドライフィルム中のチタン及び/又はジルコニウムの全含分は、有利に、金属として計算してTi及び/又はZr 1〜100mg/mの範囲、特に好ましくは10〜60mg/mの範囲内にある。チタン及び/又はジルコニウムの全含分は、例えば蛍光X線を用いて測定することができる。ベルト装置中での被覆の際のドライフィルム中の珪素の全含分は、金属として計算して有利にSi 1〜80mg/mの範囲、特に好ましくは3〜40mg/mの範囲内にある。ドライフィルム中のPの全含分は、ベルト装置中での被覆の場合に、有利にP 30〜400mg/mの範囲、特に好ましくは60〜300mg/mの範囲内にある。
【0060】
本発明による被覆の厚さは、ベルト装置中での被覆の場合に、屡々、0.01〜5.0μmの範囲、殊に0.5〜3.5、0.8〜2.5又は1.0〜2.0μmの範囲内にある。ベルト装置中での被覆の場合に、この被覆の厚さは、屡々0.01〜1.2μmの範囲、殊に0.1〜1.0、0.2〜0.8又は0.3〜0.6μmの範囲内にある。
【0061】
本発明による水性組成物は、屡々10〜800g/lの範囲の固体−及び作用物質の濃度(全濃度)を有する。コンセントレートは、屡々200〜800g/l、殊に400〜750g/lの範囲の全濃度を有することができる。必要な場合には、これを水で希釈することができる。コンセントレートの希釈は、有利に1.1〜25の範囲、特に好ましくは1.5〜16、2〜10又は3〜6の範囲の倍率で行われる。水性組成物中の固体−及び作用物質の調節すべき含分は、特に被覆すべき基材、その都度の装置及びこの装置により限定されるウエットフィルム厚さに依存する。
【0062】
多くの実施形において、本発明による組成物はコイルコーティング法(Band-beschichtungsverfahren)で金属ベルト上で使用される。多くのベルト装置は、10〜200m/minの範囲のベルト速度を有する。ベルトが速く進められる程、長すぎる装置区分を必要としないために、本発明による組成物と金属表面との間で反応は、より速く進行すべきである。組成物の適用とその完全乾燥との間の反応時間は、数分の1秒〜約60秒かかることがありうる。殊に急速ベルト装置の場合にはこれが、水性組成物が低すぎる反応性を有し、従ってより強い酸性及びより強い酸蝕力を示すはずであることの原因となることがある。このコイルコーティング法の場合には、そのpH−値が0.5〜3.5の範囲内にあることが好ましい。ベルト装置中での被覆用の水性組成物の全ての固体−及び作用物質の濃度は、屡々200〜800又は300〜650g/lの範囲内にある。全含量に相応して、個々の成分又は添加物の含分は適合される。一般に、この水性組成物は、きれいな又は浄化された金属ベルト上にスプレー及び絞り出しによって、屡々1〜4μmの範囲のウエットフィルム厚さを有するウエットフィルムとして適用される。時には、この適用のために、その代わりに、ケモコーター(Chemocoater)又はロールコーター(Roll-coater)を使用することができる。
【0063】
大抵の場合にウエットフィルムは、金属ベルト又は金属薄板上で乾燥される(乾燥法又はノーリンス法)。この乾燥は、有利にほぼ室温〜約75℃のピークメタル温度(PMT)の温度範囲で行うことができる。本発明による組成物は、例えば好適な濃度及び好適なpH−値によって、ベルト装置中での緩慢な又は急速な処理のために特別に調整することができる。従って、ウエットフィルムも乾燥されたフィルムも水ですすがれず、金属表面から酸蝕溶出されたカチオン及び化合物は除去されずに、被覆中に取り込まれる。
【0064】
金属部材、例えば金属薄板断片、注型部材、成形体及び複雑な形状の部材の本発明による被覆の場合には、組成物との最初の接触からその完全な乾燥(ノーリンス−法)までの又は水でのすすぎにより除去可能な成分のすすぎ除去(リンス−法)までの間の反応時間は、特に0.5〜10分かかることがありうる。原則的にはより長い時間が可能である。水性組成物中の全ての固体−及び作用物質の濃度は、屡々10〜300又は30〜200g/lの範囲内にある。殊にすすがれた被覆の場合には、この被覆を後すすぎ溶液で処理することが屡々推奨される。それというのも、水でのすすぎの場合には屡々より多く除去されるからである。いくつかの組成物では、層形成の代わりに、本発明による組成物との接触時に本質的に酸蝕作用のみ及び/又は非常に薄い被覆のみが現れ、例えば熱せき亜鉛メッキされた表面の場合には、亜鉛−粒子境界の所に亜鉛−結晶像が認められる。このことも、燐酸塩処理との違いを明からにしている。
【0065】
本発明による被覆が屡々燐酸塩層に比べてはるかに薄く、かつそれがクロム不含である場合でも本発明による被覆は、燐酸塩処理層とは対照的に極めて強力なブランク防蝕を提供することは意想外のことであった。本発明による被覆のブランク防蝕は、屡々、比較可能な亜鉛−燐酸塩処理された被覆の場合よりも、少なくとも20又は30の時間係数(Zeitfaktor)だけ良好である。
【0066】
本発明による組成物中のアンモニアの高含分は、防蝕性を悪化せず、かつ、シランの含有によって、殊に熱せき亜鉛メッキされた表面上で著しく改良することは意想外のことであった。
【0067】
本発明による組成物は、錯生成剤の高含分の場合にも、固体−及び作用物質の非常に高い含分の場合にも、極めて安定な溶液であることは意想外のことであった。
【0068】
実施例及び比較例
次に記載の例(B)及び比較例(VB)は、本発明の課題を詳細に説明することを意図している。
【0069】
比較例VB 0:
熱せき亜鉛メッキされた金属薄板の被覆のために、実験室−ロールコーター中で、40〜100g/lの範囲の燐酸二水素亜鉛(60%)の添加及び相応するモル量のオルト燐酸をVE−水中に含有している水性溶液を使用した。P110〜360mg/mの層質量を有する被覆が得られた。この被覆は、DIN EN ISO 9227(ブランク防蝕試験)における中性塩スプレー試験(NSS−試験)で、既に約1時間後に、1〜5面積%の腐食現象を、かつ既に8時間後に、全面にわたる亜鉛腐食生成物の厚い白色層を示した。DIN EN ISO 6270−2(KK−試験)による凝縮水/恒常気候試験(Kondenswasser-Konstantklimatest)で、2日後に10面積−%までの白色錆が生じた。このような被覆は、欧州工業では如何なる用途のためにも使用可能ではない。
【0070】
本発明による例 B0:
これとは対照的に、40〜60g/lの範囲での燐酸二水素亜鉛(60%)の添加、相応するモル量のオルト燐酸の添加、HTiF(50%の)25g/l、γ−APS(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)6g/l及び残分としてのVE−水を有している水溶液を、実験室でのロールコーターによる熱せき亜鉛メッキされた金属薄板の被覆のために使用した。それぞれP約110〜165mg/m、Ti36mg/m及びSi6mg/mの被覆が生じた。これらの被覆は、DIN EN ISO 9227(ブランク腐食試験)による中性塩スプレー試験(NSS−試験)で、48〜72時間の後に初めて、被覆中にクロムが含有していなかったにもかかわらず、全面積に対して1〜5面積%の腐食攻撃を示した。欧州工業における高い要求に関して、NSS−試験で、腐食現象≦5面積%で、2日を越える、稀には3又は4日を越える安定性が必要になっている。このようなブランク耐蝕性は、通常は、クロム富化系を用いてのみ達成されている。本発明の方法によって、2〜5日のブランク耐蝕性が得られ、この際、基材及び組成を変動させた。DIN EN ISO 6270−2(KK−試験)による凝縮水/恒常気候試験では、比較例VB0と比べて改良されているが、中性塩スプレー試験(NSS−試験)の場合よりは明らかに低い。10日間のKK−試験の後ですら、錆付着物は生じなかった。
【0071】
本発明による例B1−B44並びに比較例VB1−VB4:
その組成が第1表中にコンセントレートとして記載されている水性組成物を混合した。希釈係数は、使用浴濃度、即ちコンセントレートから浴までの希釈を表している、1コンセントレートで例えば200gが使用され、水で1000gまで希釈された場合には、希釈係数は5である。アルミニウムは、燐酸一アルミニウムとして、クロムは、錯化された弗化クロム(III)及び/又は燐酸クロム(III)として、鉄は、硝酸鉄(III)水和物として、マンガンは、炭酸マンガンとして及び/又は酸化マンガンとして、亜鉛は、燐酸一鉛及び/又は酸化亜鉛として添加された。シランとしては、No.1)として、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)が、No.2)として、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPS)が及びNo.3)として、テトラエトキシシランが添加された。錯生成剤としては、No.1)として、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)が、かつNo.2)として、フィチン酸が使用された。開始剤としては、No.1)として、ポリマーの第4級アンモニウム塩が、No.2)として、第4級アンモニウム塩が、No.3)として、ポリビニルピロリドンが及びNo.4)として、テトラエタノールアミンが添加された。チタン−及び/又はジルコニウム化合物としては、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロジルコン酸又はジヒドロキソ−ビス−(アンモニウムラクテート)チタネートが添加された。ワックスとしては、酸化されたポリエチレンをベースとするワックスエマルジヨンが使用された。本発明による被覆の摩擦係数を更に低めるために、少なくとも1種のグリコール、殊に少なくとも1種のポリエチレングリコールを添加することもできる。場合によっては、アンモニア水溶液を用いてpH−値の調節を行なった。このpH−値の範囲記載値は、同時にコンセントレートにも及び浴コンセントレートにも当て嵌まる。浴液の製造のためにこのコンセントレートを希釈する場合には、沈殿が現れることがないように注意した。これらコンセントレート及び浴液を、それらの使用前に室温で24時間まで貯蔵した。
【0072】
次いで、それぞれ少なくとも9枚の、例B1〜B26及びB36〜B44、並びに比較例VB1〜VB4では、熱せき亜鉛メッキされた鋼(HDG)からの金属薄板、例B27〜B32では、Galvalume(登録商標)(AZ)からの金属薄板、例B33では、Galfan(登録商標)(ZA)からの金属薄板、又は例B34及びB35では、Alu−Si(登録商標)(AS)からの金属薄板を使用した。大抵の実施例では高品質のHDG(HDG/3)からの金属薄板(これは表中でHDGと称されている)を使用しているが、それと並んで、低品質のコイル−品質も使用した("HDG/4")。
【0073】
付着している錆止め油を充分に除去し、油又は他の不純物を一様に分配させるために、金属薄板を布で予め浄化した。引き続き、これら金属薄板を、珪酸塩不含の温和なアルカリ性紛状浄化剤での噴射によって、水で完全に湿潤化可能になるまで浄化した。そのための時間は一般に、20〜30秒であった。引き続き、水道水での浸漬すすぎを行い、水道水を6秒間吹き付けてすすぎ、かつVE−水で6秒間すすいだ。引き続き2本のゴムローラの間で絞ることによって、この金属薄板から付着水の主要量を除去した。引き続きこの金属薄板を、油不含の圧縮空気で吹き付け乾燥させた。
【0074】
この乾燥された金属薄板を、実験室−ロールコーターを用いて、約25℃の水性組成物と接触させた。この組成物のpH−値を、pH−試験紙を用いて測定した。約9〜10μm厚さのウエットフィルムが塗布された。このウエットフィルムの乾燥によって、0.2〜0.6μ厚さのドライフィルムが得られた。引き続き、このように処理された金属薄板を約40又は65℃PMTで乾燥させた。更に、被覆された金属薄板の縁部を、腐食試験の間の縁部作用を排除するために、市販の接着テープでマスキングした。
【0075】
次いで、被覆された金属薄板を、DIN EN ISO 6270−2に従う凝縮水/恒常気候−試験(KK−試験)及びDIN EN ISO 9227に従う中性塩スプレー試験(NSS−試験)で、そのブランク防蝕性を試験した。評価を肉眼で行った。この腐食に関する記載値は、化学的に負荷される全面積(100%)に対する面積分百分率に相当する。Galvalume(登録商標)−薄板の場合には、「黒色錆(Schwarzost)」及び「白色錆(Wissrost)」を合計して評価した。この腐食試験の結果は、防蝕のベルト幅を明らかにしており、この際、フリーク値(Ausreisser;freak Value)とみなすべき測定値も包含している全ての測定結果を使用した。
【0076】
比較例VB5〜VB7では、電解亜鉛メッキされた金属薄板(ZE)を、予めの温和なアルカリ性浄化、水道水でのすすぎ及び燐酸チタン含有活性化の後に、典型的な亜鉛含有燐酸塩処理溶液と接触させた。比較例VB5〜VB6では燐酸塩処理を、室温〜40℃の範囲の温度で、スプレー及びリンス(すすぎ−法)によって行ない、比較例VB7では、55〜60℃でローリング(Aufwalzen)及び乾燥(ノーリンス−法)によって行なった。前者は、オイル処理も後すすぎも行った。
【0077】
第1表:使用溶液の組成及びこれを用いて製造された被覆の組成及び特性並びに比較用の相応する組成に関する概要
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
【表6】

【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
【表9】

【0086】
【表10】

【0087】
【表11】

【0088】
本発明により製造された被覆は、350〜650mg/mm(全被覆)の範囲の層質量及び約0.2〜0.6μmの範囲の層厚さを示した。これらは、物質がX線測定法で測定することができるために充分な結晶性で被覆中に存在しない程度に薄く、かつ迅速に得られた。これら被覆の走査電子顕微鏡写真は、本質的に、浄化された金属基材表面のトポグラフィを認識させる。本発明により適用された被覆は、走査電子顕微鏡写真で、顕著なトポグラフィを描出しなかった。この被覆は、明らかに均質な透明層である。これは基材及び被覆に応じてこれら金属表面に、被覆がないと同程度の僅かな曇り又は強い光沢を与える。この被覆は、大抵、色味を有しない。
【0089】
もう一つの系列で、ポリエステルをベースとする粉末塗料を、約80μmの厚さで、B10の組成をベースとする熱せき亜鉛メッキされかつ前処理された金属薄板上に適用した。引き続く、塗布された金属薄板の腐食作用に関するDIN EN ISO 2409によるクロスカット試験(Gitterschnittpruefung)では、常にGt 0の値を生じた。
【0090】
例B1〜B6において、組成物は、それぞれその含分が変えられたアルミニウム及び亜鉛を含有している。当該被覆上での10日間にわたるKK−試験は、申し分なかった。カチオンとして亜鉛のみを含有している例B7〜B13の場合には、殊にPO−含分、Ti−含分、pH−値、錯生成剤−種類及びシラン−種類を変えた。低い燐酸塩含分で、防蝕性を低下させることができる。このことは、殊にKK−試験の結果に悪影響することができる。錯生成剤1)は、錯生成剤2)よりも良好に挙動した。シラン1)及び2)は、シラン3)よりもいくらか良好に挙動した。例B14及びB15では、カチオンとして亜鉛及びマンガンが選択された。この場合に、マンガン含分が防蝕性を悪化しないように適合させるべきである。例B16及びB17では、チタン化合物の添加がジルコニウム化合物の添加と比較されている。チタン化合物の添加は、熱せき亜鉛メッキされた表面上で明らかに高い防蝕を可能にする。例B18〜B21では、付加的に種々の腐食抑制剤が使用された。これらの腐食抑制剤は、防蝕性を改良し、この際に、腐食抑制剤4)はいくらか低い保護作用をしている。例B22におけるタンニンの添加は、明らかな改良をもたらさなかった。例B23〜B26では、カチオンの添加量を変えられていなかった。クロム(III)の添加は、防蝕性を非常に明らかに改良した。鉄−カチオンのみの使用は、防蝕性を得るためには成果が低かった。Galvalume(登録商標)上での例B27〜B32では、優れた防蝕性が明らかであった。Galvalume(登録商標)−表面に、シラン−添加は不必要であるが、高い防蝕性を得るためには有利である。例B33は、Galfan(登録商標)−表面上でも良好な防蝕結果を得ることができることを立証している。Alusi(登録商標)−表面に関する例B34及びB35では、カチオン−及び燐酸塩含分が低すぎないことに注意すべきである。例B36〜B44では、熱せき亜鉛メッキされた表面を再び被覆した。例B36〜B41では、シランを用いて又は用いずに、並びに変動性のチタン化合物含分を用いて操作した。シラン−添加により又は高いチタン化合物含分によって、良好な防蝕が得られた。錯生成剤1)は、一般に錯生成剤2)よりも良好に挙動した。例42において、チタン錯弗化物をチタンキレートで交換すると、シラン不含で弗化物不含の組成物に関して傑出した防蝕性が生じた。例B43及びB44では、カチオンとしてアルミニウムのみを用いて操作した。当該被覆は、いくらか曇って見えた。防蝕性は良好であった。
【0091】
NSS−試験で測定された本発明によるブランク防蝕性は、大抵、比較可能な燐酸亜鉛処理された被覆におけるよりも、少なくとも20又は30の時間係数(Zeitfaktor)だけ良好である。この主な理由としては、本発明による被覆は極めて封鎖されており、孔不含であることによると想定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面を溶液又は分散液としての水性組成物で被覆する方法において、前記組成物は、少なくとも1種の燐酸塩、少なくとも1種のチタン−及び/又はジルコニウム化合物少なくとも3g/l、少なくとも1種の錯生成剤並びにアルミニウム、クロム(III)及び/又は亜鉛のカチオン及び/又はアルミニウム、クロム(III)及び/又は亜鉛を含有している化合物少なくとも1種を含有しており、水性組成物のウエットフィルムを金属ベルト又は金属薄板上で乾燥させることを特徴とする、金属表面を水性組成物で被覆する方法。
【請求項2】
組成物は、付加的に鉄及び/又はマンガンのカチオン及び/又は鉄及び/又はマンガンを含有している化合物少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物は、アルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン及び/又は亜鉛のカチオン及び/又はアルミニウム、クロム(III)、鉄、マンガン及び/又は亜鉛を含有している化合物少なくとも1種の全含分を、金属として計算して1〜100g/lの範囲で含有していることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
組成物は、本質的に、アルミニウム、鉄、マンガン、チタン、亜鉛及び/又はジルコニウムのカチオンのみを含有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
組成物は、燐酸塩の含分をPOとして計算して1〜400g/lの範囲で含有していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
組成物は、少なくとも1種の錯生成剤の全含分を1〜200g/lの範囲で含有していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
組成物は、錯弗化物をベースとするチタン−及び/又はジルコニウム化合物少なくとも1種の全含分を、1〜200g/lの範囲で含有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
組成物は、遊離弗化物Ffreiの含分を0.01〜5g/lの範囲で、及び/又は全弗化物Fgesamtの含分を3〜180g/lの範囲で含有していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
組成物は、ホスホン酸をベースとする化合物少なくとも1種及び/又はカルボン酸をベースとする化合物少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
組成物は、フィチン及び/又はタンニンをベースとする化合物少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
組成物は、少なくとも1種のシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンを含有していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
組成物は、少なくとも1種のシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンの含分を、その都度の出発化合物のシラン又はポリシロキサンをベースとして計算して0.1〜200g/lの範囲で含有していることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
組成物は、少なくとも1種の有機のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーを含有していることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
組成物は、(メタ)アクリル、エポキシド、エチレン、ポリエステル及び/又はウレタンをベースとする及び/又は含有している有機のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマー少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組成物は、それぞれ無機及び/又は有機化合物少なくとも1種を粒子形で含有していることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
組成物は、Al、SiO、TiO、ZnO、ZrOをベースとする粒子形の無機化合物少なくとも1種及び/又は走査電子顕微鏡下で測定される300nmより小さい平均粒径を有する防蝕粒子を含有していることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組成物は、少なくとも1種の添加剤、例えば、それぞれ少なくとも1種の湿潤剤、解乳化剤、乳化剤、消泡剤、腐食抑制剤及び/又はワックスを含有していることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
組成物は、0〜10の範囲のpH−値を有していることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
金属表面として、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、亜鉛及び/又は錫をベースとする金属表面、殊に部材、ベルト及び/又は金属薄板を、水性組成物で処理することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項に記載の水性組成物。
【請求項21】
請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法により及び/又は請求項20に記載の水性組成物を用いて製造された被覆。
【請求項22】
請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法により被覆された金属構成要素を、自動車構造中で、土木建築における建築要素として、又は装置及び機械、例えば家庭用機器の製造のために使用する、被覆された金属構成要素の使用。

【公表番号】特表2011−517727(P2011−517727A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550169(P2010−550169)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052767
【国際公開番号】WO2009/112480
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(500399116)ヒェメタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Chemetall GmbH
【住所又は居所原語表記】Trakehner Str. 3, D−60487 Frankfurt am Main,Germany
【Fターム(参考)】