説明

金属表面処理剤及び金属層の表面処理方法

【課題】金属層の表面におけるハンダ濡れ性を改善し、接触抵抗の増加を防ぎ、金属層の表面の変色を防止し、あるいは又、潤滑性や外観等を改善し、長期間に亙って金属層の表面の特性を変化させることなく保持することが可能な金属表面処理剤、及び、かかる金属表面処理剤を用いた金属層の表面処理方法の提供。
【解決手段】好ましくは水溶液の形態であるテトラゾール系化合物から成る金属表面処理剤を用いる。かかる金属表面処理剤を用い金属層の表面を処理することにより課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属層の表面を処理するための金属表面処理剤、及び、かかる金属表面処理剤を用いた金属層の表面の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器分野においては、銀、金、銅、ニッケル、パラジウム、錫、亜鉛、鉄、アルミニウム、ロジウムあるいはこれらの合金から構成されためっき層が、屡々用いられている。尚、これらの金属や合金を総称して、以下、「金属群」と呼ぶ場合がある。
そして、電子機器分野で必要とされる性能、例えば、防食性、電気接触抵抗、ハンダ濡れ性、ボンディング特性、外観性の全てあるいは一部を満足するといった観点、及び、コスト面から、これらの金属群中から適切な金属あるいは合金を選択してめっき層を形成している。
ところで、これらの金属群を用いたとき、空気中の腐食性ガスや腐食性物質(例えば、空気中の水分、酸素、硫化水素、亜硫酸ガス、アンモニア)によって、めっき層それ自体が腐食したり変色する。あるいは又、めっき層に存在するピンホールから空気中の腐食性ガスや腐食性物質が侵入し、下地めっき層や素材を腐食する。
その結果、めっきが施された各種電子、電機、通信機器、半導体装置や集積回路、プリント配線板等のコネクタ、スイッチ、電気接点、端子、ボンディング面の有する性能が損なわれる。尚、上記の金属群それ自体から成る物品、あるいは上記の金属群から構成されためっき層等の被膜あるいは薄膜を総称して、以下、金属層と呼ぶ場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
金属層表面の変色及び腐食を防止するために、多くの耐食性金属材料や合金材料が開発されている一方、種々の金属表面処理剤あるいは表面処理方法が提案されている。例えば、広汎な重合物類、ラッカー類、油類あるいはワックス類等(以下、これらを総称して重合物類等と呼ぶ)から構成された保護被膜を金属層の表面に形成する方法が知られている。
しかしながら、このような処理方法では、長期に亙って金属層表面の変色や腐食を抑制することが困難である。しかも、重合物類等から構成された保護被膜自身が変色したり、劣化する。更には、重合物類等から成る保護被膜を金属層表面に形成する際の困難さや外観上の問題もある。また、重合物類等にて金属層表面を被覆すると、接触抵抗やハンダ濡れ性等が劣化するといった問題もある。
【0004】
一方、種々の無機系あるいは有機系の変色防止剤や防錆剤が開発され、実用化されている。有機系の変色防止剤として、例えば、メルカプト化合物を主剤とするもの(特公昭39−14366号公報参照)、有機硫黄含有錫(IV)化合物を主剤とするもの(特開昭49−112837号公報参照)、脂肪族メルカプタン、アンモニア、アルコール、有機錫(IV)化合物、ベンゾトリアゾール含有液から成るもの(特開昭56−1369号公報参照)、高級脂肪族アミン及び/又はメルカプタン含有液から成るもの(特開昭57−198296号公報参照)、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを主剤とするもの("PLATING ANDSURFACE FINISHING", FEBRUARY, 1988, pp. 58-61 参照)、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオナリドあるいは界面活性剤等を主剤とするもの(古藤田哲哉著「貴金属めっき」、槙書店、160〜171頁参照)等、多数のものが知られている。
しかしながら、メルカプト化合物を主剤とした変色防止剤は、変色防止効果が十分なものであるとは云い難い。また、有機硫黄含有錫(IV)化合物を主剤とした変色防止剤は、金属層表面を不動態化するので、変色防止効果はあるが、接点に使用した場合、電気抵抗が大きくなるという欠点がある。
【0005】
また、これら以外の金属表面処理剤、あるいは市販の金属表面処理剤も多数あるが、変色防止効果、電気的特性あるいはハンダ濡れ性が十分でなく、あるいは又、効果の持続性、耐熱性、耐薬品性、価格等のいずれかの点で満足できるものでなく、変色防止、電気的特性、ハンダ濡れ性、潤滑性、効果の持続性等の全ての点で満足できる金属表面処理剤はないのが現状である。更に、近年環境問題の観点から、溶剤あるいは重金属を極力使用しない金属表面処理剤も求められている。
【0006】
従って、本発明の目的は、例えば、金属層の表面におけるハンダ濡れ性を改善し、接触抵抗の増加を防ぎ、金属層の表面の変色を防止し、あるいは又、潤滑性や外観等を改善し、長期間に亙って金属層の表面の特性を変化させることなく保持することが可能な金属表面処理剤、及び、かかる金属表面処理剤を用いた金属層の表面処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の金属表面処理剤は、テトラゾール系化合物から成ることを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の金属表面処理方法は、テトラゾール系化合物から成る金属表面処理剤によって、金属層の表面を処理することを特徴とする。
【0009】
金属表面処理剤は、アルコール、塩素系溶剤、フロン系溶剤、イソ・パラフィンといったパラフィン系の石油系溶剤、各種有機溶剤を溶媒とした金属表面処理剤溶液の形態とすることもできるが、環境問題の点から、また、取り扱いの点から、金属表面処理剤は、水、より望ましくは脱イオン水あるいは脱塩水、純水を溶媒とした水溶液の形態であることが好ましく、この場合、水と混和する例えばアルコール類を更に加えてもよい。金属層の表面処理時の金属表面処理剤水溶液中における金属表面処理剤の濃度は特に限定されるものではないが、0.0001〜10重量%とすることが好ましい。尚、金属表面処理剤を、濃縮液あるいは使用時よりも濃度の高い溶液として供給し、使用時に希釈してもよい。
【0010】
本発明の金属表面処理方法において、金属層の表面を処理する方法として、処理すべき金属層の表面に本発明の金属表面処理剤の溶液(金属表面処理剤溶液あるいは金属表面処理剤水溶液を含む)を塗布する方法、スプレー法あるいはシャワー法に基づき散布する方法、あるいは又、金属層の表面を金属表面処理剤の溶液に浸漬する方法といった、従来から知られている何れの方法を採用することができる。
金属層表面の処理時間は任意であり、例えば、浸漬する方法の場合、通常、0.1秒以上であれば充分な効果が得られるが、本発明はこのような条件に限定するものではない。金属層の表面を金属表面処理剤の溶液に浸漬する場合、必要に応じて、金属表面処理剤の溶液の攪拌を行ってもよいし、金属表面処理剤の溶液に超音波を照射しつつ、金属層の表面を処理してもよい。超音波を照射することによって、短時間で良好な特性を有する処理を行うことができる。
【0011】
あるいは又、本発明の金属表面処理方法において、金属表面処理剤を水溶液の形態とし、金属表面処理剤水溶液中に陰極を配置し、金属層の表面を金属表面処理剤水溶液に浸漬した状態で金属層を陽極として電解処理を行うことによって、金属層の表面を処理することが好ましい。
ここで、陰極を、例えば、ステンレス・スチール板、カーボン板、チタン板、白金板、チタン−白金板等の導電性材料から成る電極板から構成することができる。このような電流を流す電解処理を行うことにより、処理時間を短縮することができるし、表面処理が強固に起こり、インヒビターである金属表面処理剤を構成する化合物に基づくピンホールの無い緻密な膜が金属層の表面全体に亙り均一に形成される。陽極から金属表面処理剤水溶液を介して陰極へと流れる電流密度の最適値は、金属表面処理剤水溶液の濃度、液温等の処理条件により異なるが、一般的には、0.1〜100mA/dm2、好ましくは1〜50mA/dm2、より好ましくは2〜20mA/dm2であることが望ましい。処理時間は、所望の処理が行われる時間であれば良く、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜1000秒、好ましくは1〜30秒である。また、処理温度は通常10〜95゜C、好ましくは20〜60゜C、更に好ましくは20〜55゜Cである。また、必要に応じて、金属表面処理剤水溶液の攪拌を行ってもよいし、金属表面処理剤水溶液に超音波を照射しつつ、金属層の表面を処理してもよい。超音波を照射することによって、短時間で良好な特性を有する処理を行うことができる。
【0012】
本発明の金属表面処理剤、あるいは、かかる金属表面処理剤を用いた本発明の金属表面処理方法において、処理の対照となる金属層は、銀、銀合金、金、金合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、パラジウム、パラジウム合金、錫、錫合金、亜鉛、亜鉛合金、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ロジウム及びロジウム合金から成る群から選択された少なくとも一種の金属あるいは合金から構成されていることが好ましい。
金属層は、これらの金属あるいは合金から作製された物品それ自体から構成されていてもよいし、例えば、これらの金属あるいは合金以外の材料(例えば、各種プラスチック、銅、黄銅、リン青銅、チタン銅、ベリリウム銅等の銅合金、鉄、ステンレススチール、各種ニッケル合金等)から作製された物品の表面に形成された例えばめっき層といった被膜あるいは薄膜の形態を有していてもよいし、例えばめっき層の上に形成された、例えばめっき層といった被膜あるいは薄膜の形態を有していてもよい。
被膜あるいは薄膜の形成は、電解めっき法、無電解めっき法、化学的気相成長法(CVD法、Chemical Vapor Deposition 法)、物理的気相成長法(PVD法、Physical Vapor Deposition 法)等の公知の方法にて行うことができる。尚、物理的気相成長法として、(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパッタ法、直流スパッタ法、直流マグネトロンスパッタ法、高周波スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法等の各種スパッタ法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法を挙げることができる。
【0013】
本発明の金属表面処理方法において、表面を処理すべき金属層を有する物品あるいは部品として、電子、電機、通信機器部品、半導体装置や集積回路、より具体的には、電子、電機、通信機器、半導体装置や集積回路等のコネクタ、スイッチ、電気接点、端子、コネクタの端子面、スイッチの接触面、電気接点の接触面、端子の接触面、プリント配線板の端子面、半導体装置や集積回路のボンディング面を例示することができる。
【0014】
本発明の金属表面処理方法における金属層表面の処理として、金属層表面の防錆処理、接触抵抗の低減化処理、ハンダ濡れ性の改善処理、変色防止処理、潤滑性の改善処理、封孔処理だけでなく、帯電防止処理、酸化防止処理を挙げることができる。
【0015】
金属表面処理剤が水溶液の形態である場合であって、金属表面処理剤を構成する化合物が水溶性でない場合には、予め、化合物を酸性化合物あるいは塩基性化合物といった塩とし、水溶性としてから用いてもよい。
あるいは又、金属表面処理剤水溶液を調製する際に、酸(便宜上、調製用酸と呼ぶ)又は塩基性化合物(便宜上、調製用塩基性化合物と呼ぶ)と共に用いて、金属表面処理剤水溶液の調製時に、金属表面処理剤を構成する化合物を酸性化合物あるいは塩基性化合物といった塩とし、水溶化してもよい。
調製用塩基性化合物として、例えば、水酸化アルカリ金属、第1級、第2級、第3級アミンを挙げることができる。
アミン化合物として、具体的には、アルキル基、水酸基等の置換基を有していてもよいモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン等のアルキルアミン類;アルキル基、水酸基等の置換基を有していてもよいモノシクロアルキルアミン、ジシクロアルキルアミン等のシクロアルキルアミン類;アルキル基、水酸基等の置換基を有していてもよい芳香族アミン類を挙げることができる。
アミン化合物として、より具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モノメチルエタノールアミン、モノエチルエタノールアミン、モノブチルエタノールアミンを用いることが特に好ましい。
また、調製用酸として、塩酸、燐酸等の鉱酸、あるいは有機酸を挙げることができる。
調製用酸あるいは調製用塩基性化合物は、使用する調製用酸あるいは調製用塩基性化合物が金属表面処理剤水溶液に溶解する量で用いることが好ましい。場合によっては、金属表面処理剤に、次に述べる界面活性剤を添加して乳化、可溶化してもよい。
【0016】
また、金属表面処理剤には、金属層の表面への金属表面処理剤の濡れ性の改善、あるいは、場合によっては、金属層の変色の防止や潤滑性の改善を目的として、適宜、界面活性剤を添加、含有させてもよい。
界面活性剤として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤のいずれをも用いることができる。
アニオン界面活性剤として、例えば、脂肪酸アミン石鹸、スルフォ琥珀酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩を挙げることができる。
また、カチオン界面活性剤として、第1級、第2級、第3級アミンの塩を挙げることができる。
ノニオン界面活性剤として、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸蔗糖エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリエチレングリコール縮合型ノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル キルフェニルエーテル、エチレングリコールプロピレングリコールブロック共重合体等)、ポリプロピレングリコール縮合型ノニオン界面活性剤を挙げることができる。尚、これらの界面活性剤の中では、ノニオン界面活性剤を用いることが特に好ましい。界面活性剤は、添加目的を達成し得る範囲で任意の量で用いることができる。
【0017】
金属表面処理剤水溶液のpHは、使用する金属表面処理剤を構成する化合物に依存して、酸性あるいはアルカリ性である。調製用塩基性化合物を用いる場合、調製用塩基性化合物は、金属表面処理剤水溶液のpHが中性から幾分アルカリ性となる領域で用いることが好ましい。
調製用塩基性化合物の使用量は、金属表面処理剤を構成する各化合物が塩となっているか、あるいは不溶解化合物の量がどの程度であるか、また、不溶解化合物や調製用塩基性化合物の分子量や価数等により変わるものの、金属表面処理剤を構成する化合物が全て水に対して不溶性であるとした場合に、金属表面処理剤100重量部に対し、300〜5重量部、好ましくは250〜50重量部とすることが望ましい。金属表面処理剤水溶液のpHは、例えば7〜9程度であることが好ましい。必要であれば、酸あるいは塩基の添加、あるいは緩衝液等のpH調節剤の添加により、金属表面処理剤水溶液のpH調整を行うことができる。また、調製用酸を用いる場合、金属表面処理剤水溶液のpHを、例えば4〜7程度となるように調整すればよい。
【0018】
テトラゾール系化合物として、
(A−1)テトラゾール、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、1−エチルテトラゾール、1−フェニルテトラゾール、2−メチルテトラゾール、2−エチルテトラゾール、5−メチルテトラゾール、1,5−ジメチルテトラゾール、1−メチル−5−エチルテトラゾール、5−メトキシテトラゾール、1−メチル−5−メトキシテトラゾール、2−エチル−5−メトキシテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−アミノ−2−フェニルテトラゾール、2−メチル−5−ニトロテトラゾール、1−メチル−5−フェニルアミノテトラゾール、1−メチル−5−メチルアミノテトラゾール、2−フェニルテトラゾール、5−フェニルテトラゾール、1,5−ジフェニルテトラゾール、2,5−ジフェニルテトラゾール、1,5−シクロトリメチレンテトラゾール、1,5−シクロテトラメチレンテトラゾール、1,5−シクロペンタメチレンテトラゾール、5−クロルメチル−1−フェニルテトラゾール、5−ブロムテトラゾール、1−オキシテトラゾール、1,4−ジオキシ−5−フェニルテトラゾール、5−オキシテトラゾール、5−オキシ−1−メチルテトラゾール、5−オキシ−2−メチルテトラゾール、2−オキシ−5−フェニルテトラゾール、1−アミノ−5−フェニルテトラゾール、5−アミノ−2−フェニルテトラゾール、5−アミノ−1−メチルテトラゾール、5−アミノ−2−メチルテトラゾール、1−メチル−5−メトキシテトラゾール、1−メチル−5−N,N−ジメチルアミノテトラゾール、1,4−ジメチル−5−メチルイミノテトラゾール、1,3−ジメチル−5−イミノテトラゾール、1,5−ジアミノテトラゾール、1−アミノ− 5−アニリノテトラゾール、5−ヒドラジノテトラゾール、1−アミノ−5−ヒドラジノテトラゾール、5−アセチル−1−フェニルテトラゾール、5−テトラゾールカルボン酸、5−テトラゾールカルボン酸アミド、5−シアノテトラゾール、1−フェニル−5−テトラゾールカルボン酸、2−エチル−5−テトラゾールカルボン酸、2−フェニル−5−テトラゾールカルボン酸、1−フェニル−5−テトラゾリル酢酸、1−フェニル−5−テトラゾリルピルビン酸、1−N,N−ジメチルアミノエーテルテトラゾール、5−テトラゾールスルホン酸等のテトラゾール類;
(A−2)1−メチル−5−メルカプトテトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプトテトラゾール、1−カルボキシメチル−5−メルカプトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、5−メルカプトテトラゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、5−メルカプト−1−エチルテトラゾール、5−メルカプト−1−カルボキシメチルテトラゾール、5−メルカプト−1−シクロヘキ シルテトラゾール、5−メルカプト−1−フェニルテトラゾール、5−メルカプト−1−(ハイドロキシフェニル)テトラゾール、5−メルカプト−1−(アセトアミドフェニル)テトラゾール等のメルカプトテトラゾール類;
(A−3)テトラゾロン、1,3−ジメチル−5−テトラゾロン、1,4−ジメチル−5−テトラゾロン、2,3−ジフェニルテトラゾリウム塩化物、5−オキシ−2,3−ジフェニルテトラゾリウム、2,3−ジフェニルテトラゾリュウム水酸化物、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム塩化物、5−アミノ−2,3−ジフェニルテトラゾリウム塩化物、5−カルボキシ−2,3−ジフェニルテトラゾリウム塩化物、等のテトラゾロン類及びテトラゾリウム塩類;を挙げることができるが、中でも、テトラゾール系化合物としてテトラゾール類あるいはメルカプトテトラゾール類を用いることが好ましい。
【0019】
上記各物質は、そのままで用いるか、あるいは又、先に述べたように、金属塩、アミン塩若しくは界面活性剤を用いて可溶化、乳化して使用することが好ましい。
【0020】
尚、テトラゾール系化合物をテトラゾール類及び/又はメルカプトテトラゾール類の少なくとも1種から構成すればよい。
【0021】
金属表面処理剤に、その他、インヒビターとして、イミダゾール系化合物、トリアゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアジンチオール系化合物、チオカルバメート系化合物、ピロール系化合物、チオフェン系化合物及びチオカルバミン酸化合物、フェニルメルカプトアセトアミド系化合物、ナフチルメルカプトアセトアミド系化合物から成る群から選択された少なくとも1つの化合物を加えてもよい。
【0022】
イミダゾール系化合物として、(C−1)イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−メチル−4−ニトロイミダゾール、1−メチル−4−ニトロ−5−イミダゾールカルボン酸、4−メチル−2−(p−ニトロフェニル)−5−ニトロイミダゾール、1−メチル−4−フェニルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−ヨードイミダゾール、1,5−ジメチル−5−ニトロイミダゾール、2−チオシアンイミダゾール等のイミダゾール類;
(C−2)2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、2−メルカプト−4−イミダゾールカルボン酸、2−メルカプト−1,4−ジメチルイミダゾール、2−メルカプト−1,5−ジメチルイミダゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルイミダゾール、2−メルカプト−1−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−4−メチルイミダゾール等のメルカプトイミダゾール類;
(C−3)ベンゾイミダゾール、2−メチルベンゾイミダゾール、4−メチルベンゾイミダゾール、7−メチルベンゾイミダゾール、2−メチル−5−ベンゾイミダゾールカルボン酸、5−メチル−2−ベンゾイミダゾールカルボン酸、1,2−ジメチルベンゾイミダゾール、5,6−ジメチルベンゾイミダゾール、2−メチル−5−ニトロベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール類;
(C−4)2−メルカプトベンゾイミダゾール等のメルカプトベンゾイミダゾール類;
(C−5)2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン類あるいはメルカプトイミダゾリン類;
(C−6)イミダゾロン、2−メチル−5−フェニル−4−イミダゾロン、5−メチル−2−フェニル−4−イミダゾロン等のイミダゾロン類;を挙げることができる。
【0023】
また、トリアゾール系化合物として、
(D−1)1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,5−トリアゾール、1,3,4−トリアゾー ル、3−メチル−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジメチル−1,2,3−トリアゾール、4−メチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾール、5−メチル−1−フェニル−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジメチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾール、5−メチル−1−フェニル−1,2,3−トリアゾール−4−アルデヒド、5−メチル−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸、3−ヨード−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類;
(D−2)3−メルカプト−1,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾー ル、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール−3−酢酸等のメルカプトトリアゾール類;
(D−3)3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメルカプト−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール等のジメルカプトトリアゾール類;
(D−4)ベンゾトリアゾール、1−メチルベンゾトリアゾール、2−メチルベンゾトリアゾール、5,6−ジメチルベンゾトリアゾール、1−メチルベンゾトリアゾール−3−オキシド等のベンゾトリアゾール類;
(D−5)3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾール−5−オン等のトリアゾロン類あるいはメルカプトトリアゾロン類;を挙げることができる。
【0024】
更には、チアゾール系化合物として、
(E−1)チアゾール、2,4−ジメチルチアゾール、2,5−ジメチルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、2,4−ジメチル−5−ニトロチアゾール、2,5−ジメチル−4−ニトロチアゾール、5−メチル−4(p−ニトロフェニル)チアゾール、2−メチル−4−フェニルチアゾール、4−メチル−5−フェニルチアゾール、5−メチル−4−フェニルチアゾール、2−メトキシ−4−メチルチアゾール、5−メトキシ−4−メチルチアゾール、4−メチル−2−フェニルアゾチアゾール等のチアゾール類;
(E−2)2−メルカプトチアゾール、2−メルカプト−4−メチルチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルチアゾール、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、5−メルカプト−3(β−フタルイミドエチル)チアゾール、2−メルカプト−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸、4−メチル−2−メチルメルカプトチアゾール等のメルカプトチアゾール類;
(E−3)3−メチル−2−メチレンメルカプトチアゾリン等のチアゾリン類あるいはメルカプトチアゾリン類;
(E−4)ベンゾチアゾール、4−メチル−2−ベンゾチアゾールカルボン酸、6−メチル−2−ベンゾチアゾールカルボン酸、2−メチルベンゾチアゾールヨードエチラート、2,6−ジメチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類;
(E−5)2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−メトキシベンゾチアゾール等のメルカプトベンゾチアゾール類;
(E−6)2−メルカプトナフト[1,2]チアゾール、2−メルカプトナフト[2,1]チアゾール等のメルカプトナフトチアゾール類;
(E−7)2−メルカプト−4−メチル−2−チアゾリン、2−メルカプト−5−メチル−2−チアゾリン等のチアゾリン類あるいはメルカプトチアゾリン類;(E−8)チアゾロン、2−メルカプト−5−チアゾロン等のチアゾロン類あるいはメルカプトチアゾロン類;を挙げることができる。
【0025】
トリアジンチオール系化合物として、1,3,5−トリアジン−2,4,6トリチオール、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジオクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジラウリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジステアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールを挙げることができる。
【0026】
以上、本発明において用いられる各種化合物として好ましく用いることができる化合物を具体的に例示したが、これらの例示は本発明を説明するために挙げたものであり、本発明は、具体的に例示したこれらの化合物に限定されない。
【0027】
本発明の金属表面処理剤あるいは金属表面処理方法においては、金属層の表面の変色、接触抵抗の低減、ハンダ濡れ性の改善、潤滑性の改善、接触抵抗やハンダ濡れ性や潤滑性の少ない経時変化を達成することができる。ま>た、本発明の金属表面処理剤は、防錆剤、変色防止剤としての機能だけでなく、潤滑剤、極圧剤、帯電防止剤、酸化防止剤としての機能をも有する。
【実施例】
【0028】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
(参考例1) 以下の表1に示す金属表面処理剤を脱イオン水100重量部に添加し、攪拌、溶解して、金属表面処理剤水溶液を得た。即ち、参考例1における金属表面処理剤を、脱イオン水を溶媒とした金属表面処理剤水溶液の形態とした。
【0030】
[表1]
1−メチル−5−メルカプトテトラゾール 2重量部
2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール2重量部
トリエタノールアミン 4重量部
ポリエチレングリコール縮合型ノニオン界面活性剤 5重量部
【0031】
金属層に相当する厚さ0.5μmの銀めっき層が形成された金属片を上記の金属表面処理剤水溶液中に浸漬した。そして、金属表面処理剤水溶液中に陰極を配置し、金属片を金属表面処理剤水溶液に浸漬した状態で、銀めっき層を陽極として電解処理を行ない、銀めっき層の表面を処理した。
このときの金属表面処理剤水溶液の液温を45゜Cとし、流した電流の電流密度を5mA/dm2とし、処理時間を4秒とした。
その後、この金属片をPPS樹脂にて成型し、スイッチを得た。このスイッチに対して、硫化試験(H2S 3ppm、60゜C、95%RH)を行い、所定時間経過後のスイッチについて、ハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定した。尚、ハンダ濡れ性試験を、以下の表2に示す条件にて行った。
測定結果を表8及び表9に示す。尚、接触抵抗値の増加とハンダ濡れ性の劣化との間には相関がある。併せて、銀めっき層の表面に何ら処理を施さない場合のハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定した。
表8及び表9中、「処理品」は、参考例の金属表面処理剤を用いて金属層の表面処理方法を行った物品を意味し、「未処理品」は、何ら金属層の表面処理方法を行っていない物品を意味する。
【0032】
[表2]
ハンダ温度 :240〜250゜C
浸漬時間 :5秒
浸漬深さ :3mm
浸漬スピード :2mm/sec
フラックス :ロジン系
【0033】
(参考例2) 表1に示した金属表面処理剤を脱イオン水100重量部に添加し、攪拌、溶解して、金属表面処理剤水溶液を得た。この金属表面処理剤水溶液に、金めっきされたコネクタを浸漬した。厚さ0.1μmの金めっき層が金属層に相当する。そして、金属表面処理剤水溶液中に陰極を配置し、コネクタの金めっき層の表面を金属表面処理剤水溶液に浸漬した状態で、金めっき層を陽極として電解処理を行ない、金めっき層の表面を処理した。
このときの金属表面処理剤水溶液の液温を55゜Cとし、流した電流の電流密度を10mA/dm2とし、処理時間を10秒とした。その後、コネクタを水洗して、金めっき層の表面が処理されたコネクタを得た。このコネクタに対して、硫化試験(SO2 10ppm、45゜C、95%RH)を行い、所定時間経過後、ハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定した。
測定結果を表8及び表9に示す。併せて、金めっき層の表面に何ら処理を施さない場合のハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定した。
【0034】
(参考例3) 表1に示した金属表面処理剤を脱イオン水100重量部に添加し、攪拌、溶解して、金属表面処理剤水溶液を得た。一方、厚さ2μmのニッケルめっき層が形成されたリン青銅片を準備し、ニッケルめっき層の上に厚さ1μmの銀めっき層を形成した。銀めっき層が金属層に相当する。そして、銀めっき層が形成されたリン青銅片をこの金属表面処理剤水溶液(液温55゜C)中に15秒間浸漬した。その後、参考例1と同様にしてスイッチを得た。このスイッチに対して、参考例1と同様の硫化試験を行い、所定時間経過後のスイッチについて、ハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定した。
測定結果を表8及び表9に示す。
【0035】
(参考例4) 表1に示した金属表面処理剤を脱イオン水100重量部に添加し、攪拌、溶解して、金属表面処理剤水溶液を得た。そして、液温55゜Cの金属表面処理剤水溶液中に金めっきされたコネクタを10秒間浸漬した後、水洗して、表面処理されたコネクタを得た。尚、コネクタを構成する真鍮片の表面には厚さ2μmのニッケルめっき層が形成されており、このニッケルめっき層の上に厚さ0.1μmの金めっき層が形成されている。金めっき層が金属層に相当する。そして、参考例2と同様の硫化試験を行い、所定時間経過後のコネクタについて、ハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定した。
測定結果を表8及び表9に示す。
【0036】
(参考例5) 以下の表3に示す金属表面処理剤を脱イオン水100重量部に添加し、攪拌、溶解して、金属表面処理剤水溶液を得た。即ち、参考例5における金属表面処理剤を、脱イオン水を溶媒とした金属表面処理剤水溶液の形態とした。
【0037】
[表3]
1−メチル−5−フェニルアミノテトラゾール 2重量部
2−メルカプト−4−メチル−1,3,4−チアジア−5−ゾロン 2重量部
トリエタノールアミン 5重量部
ポリエチレングリコール縮合型ノニオン界面活性剤 3重量部
【0038】
厚さ1μmのニッケルめっき層が形成されたリン青銅片を準備し、ニッケルめっき層の上に厚さ2μmの銀めっき層を形成した。銀めっき層が金属層に相当する。そして、銀めっき層が形成されたリン青銅片をこの金属表面処理剤水溶液(液温55゜C)中に10秒間浸漬した。その後、参考例1と同様にしてスイッチを得た。このスイッチに対して参考例1と同様の硫化試験を行い、所定時間経過後のスイッチについて、ハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定した。 測定結果を表8及び表9に示す。
【0039】
(参考例6) 以下の表4に示す金属表面処理剤を脱イオン水100重量部に添加し、攪拌、溶解して、金属表面処理剤水溶液を得た。即ち、参考例6における金属表面処理剤を、脱イオン水を溶媒とした金属表面処理剤水溶液の形態とした。
【0040】
[表4]
1−メチル−5−メルカプトテトラゾール 3重量部
2−メルカプト−5−エチル−1,3,4−チアジアゾール 2重量部
トリエタノールアミン 3重量部
ポリエチレングリコール縮合型ノニオン界面活性剤 2重量部
【0041】
この金属表面処理剤水溶液中に、金めっきされたコネクタを浸漬した。尚、コネクタを構成する真鍮片の表面には厚さ2μmのニッケルめっき層が形成されており、このニッケルめっき層の上に厚さ0.1μmの金めっき層が形成されている。金めっき層が金属層に相当する。そして、参考例2と同様の電解処理にて金めっき層の表面を処理した。その後、コネクタを水洗して、金めっき層の表面が処理されたコネクタを得た。このコネクタに対して、参考例2と同様の硫化試験を行い、所定時間経過後のコネクタについて、ハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定した。
測定結果を表8及び表9に示す。
【0042】
(参考例7) 以下の表5に示す金属表面処理剤を脱イオン水100重量部に添加し、攪拌、溶解して、金属表面処理剤水溶液を得た。この金属表面処理剤水溶液を用いて、参考例1と同様の銀めっきされた金属片に対して、参考例1と同様の処理を行い、次いで、スイッチを得た。そして、参考例1と同様の硫化試験を行い、所定時間経過後のスイッチについて、ハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定したところ、結果は参考例1と同様に良好なものであった。
ハンダ濡れ性及び接触抵抗値の測定結果を表8及び表9に示す。
【0043】
[表5]
1−メチル−5−メルカプトテトラゾール 1重量部
2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール 2重量部
ベンゾトリアゾール 1重量部
トリエタノールアミン 4重量部
ポリエチレングリコール縮合型ノニオン界面活性剤 2重量部
【0044】
(実施例1) 以下の表6に示す金属表面処理剤を脱イオン水100重量部に添加し、攪拌、溶解して、金属表面処理剤水溶液を得た。この金属表面処理剤水溶液を用いて、参考例1と同様の銀めっきされた金属片に対して、参考例1と同様の処理を行い、次いで、スイッチを得た。そして、参考例1と同様の硫化試験を行い、所定時間経過後のスイッチについて、ハンダ濡れ性及び接触抵抗値を測定した。
ハンダ濡れ性及び接触抵抗値の測定結果を表8及び表9に示す。
【0045】
[表6]
1−エチル−5−メルカプトテトラゾール 2重量部
トリエタノールアミン 4重量部
ポリエチレングリコール縮合型ノニオン界面活性剤 5重量部
【0046】
[表8]

【0047】
[表9]

【0048】
尚、銀めっき層を処理した参考例1、参考例3、参考例5及び参考例7、並びに実施例1における硫化試験120時間経過後の接触抵抗値は、表9に示したように、左程、差がないが、ハンダ濡れ性の試験において、硫化試験500時間経過後では、表8に示したように、実施例1と比べて、参考例1、参考例3、参考例5及び参考例7にあっては格段に変化が少ない。
【0049】
[発明の効果]
以上詳述したように、本発明の金属表面処理剤を用いて金属層の表面を処理することにより、処理された金属層表面のハンダ濡れ性、及び接触抵抗値等が改善され、しかもこれらの改善された特性が長期に亙り安定に保持されるという顕著な効果を有する。また、本発明の金属表面処理剤の溶液を用い、電解処理を行えば、処理時間が短縮されると共に、処理特性が処理表面全体に亙り均一となり、より一層の効果の改善がもたらされる。特に、めっき厚を薄くしためっき層を本発明により処理することにより、めっき厚さの厚いものと同等以上の防錆効果が得られ、コスト面での大きな利点が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラゾール系化合物を含有することを特徴とする金属表面処理剤。
【請求項2】
前記テトラゾール系化合物はテトラゾール類又はメルカプトテトラゾール類であることを特徴とする請求項1に記載の金属表面処理剤。
【請求項3】
金属表面処理剤は水溶液の形態であること特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属表面処理剤。
【請求項4】
さらにアミン化合物を添加したこと特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属表面処理剤。
【請求項5】
さらに界面活性剤を添加したこと特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属表面処理剤。
【請求項6】
テトラゾール系化合物を含有する金属表面処理剤によって、金属層の表面を処理することを特徴とする金属層の表面処理方法。
【請求項7】
前記テトラゾール系化合物はテトラゾール類又はメルカプトテトラゾール類であることを特徴とする請求項6に記載の金属層の表面処理方法。
【請求項8】
金属表面処理剤は水溶液の形態であり、金属表面処理剤水溶液を金属層の表面に塗布し、散布し、あるいは又、金属層の表面を金属表面処理剤水溶液に浸漬することによって、金属層の表面を処理することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の金属層の表面処理方法。
【請求項9】
金属表面処理剤は水溶液の形態であり、金属表面処理剤水溶液中に陰極を配置し、金属層の表面を金属表面処理剤水溶液に浸漬した状態で金属層を陽極として電解処理を行うことによって、金属層の表面を処理することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の金属層の表面処理方法。

【公開番号】特開2008−45215(P2008−45215A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237140(P2007−237140)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【分割の表示】特願平11−342802の分割
【原出願日】平成11年12月2日(1999.12.2)
【出願人】(300067893)有限会社ケミカル電子 (3)
【Fターム(参考)】