説明

金属表面処理剤

【課題】 貯蔵安定性、低温短時間乾燥性、耐指紋性、耐食性及び上塗り塗料との密着性に優れる金属表面処理剤に関する。
【解決手段】
1.カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体、該樹脂(A)中のカルボニル基と反応しうる官能基を1分子中に2個以上含有する硬化剤(B)、シリカ粒子(C)、並びにTi、Zr及びVから選ばれる少なくとも1種の金属化合物(D)を含有することを特徴とする金属表面処理剤。
2.硬化剤(B)の官能基がヒドラジド基及び/又はセミカルバジド基である請求項1に記載の金属表面処理剤。
3.金属化合物(D)が、チタンフッ化水素酸塩、ジルコニウムフッ化水素酸塩、炭酸ジルコニウムアンモニウム、メタバナジン酸塩及び硫酸

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵安定性、低温短時間乾燥性、耐指紋性、耐食性及び上塗り塗膜との密着性に優れる金属表面処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
家電用途などに使用される金属素材用の表面処理剤の分野では、従来クロメート処理剤が主流であったが、そこに使用される6価クロム化合物は人体に有害な物質であることから、近年6価クロム化合物を含有しない表面処理剤の開発が進められている。クロムを含有しない表面処理剤としてリン酸亜鉛処理剤等のリン酸塩系処理剤があるが、スラッジが発生する等の問題がある。
【0003】
クロメート処理に替わるものとして有機系表面処理剤の開発も盛んに行われている。有機樹脂を用いることで加工性や上塗り塗膜との密着性に優れる処理膜を得ることができ、そこに防錆剤を組合わせることで、ある程度の耐食性を確保することができるものである。
【0004】
特許文献1のポリウレタン樹脂組成物には、末端イソシアネート基含有プレポリマーとカルボニル基含有ミカエル(マイケル)付加反応生成物との反応により得られるカルボニル基含有ポリウレタンが開示されている。
【0005】
該マイケル付加反応においては、1級アミノ基を複数個有するアミン化合物を用いているために、カルボニル基含有不飽和モノマーに対する該アミン化合物に含まれる1級アミノ基の当量比が2以上の反応の場合、1級アミノ基を未反応のまま含有するマイケル付加反応生成物が得られる。そのため、該反応生成物と末端イソシアネート基含有プレポリマーの反応により得られるカルボニル基含有ポリウレタンは、1級アミノ基とイソシアネート基が反応して生成するウレア結合を有しており、該ウレア結合に含まれる2つの窒素原子はそれぞれ1個の水素原子を有している。これらの水素原子に起因する水素結合がポリウレタン分子間で作用するために、該ポリウレタン樹脂の粘度が高くなることがあり、該ポリウレタンの水分散体を用いた表面処理剤は安定性に問題があった。
【0006】
また、特許文献2には、アニオン性ポリウレタン水分散体(a)、シランカップリング剤(b)及び水溶性ジルコニウム化合物(c)を含むアルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板処理用の水性樹脂組成物が開示されている。
さらに特許文献3には、(A)カチオン性基及び側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するポリウレタン樹脂(I)の水性分散体、並びに(B)リン酸化合物、ニッケル化合物、シランカップリング剤及びシリカ粒子から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする金属表面処理組成物が開示されている。
しかし、特許文献2の水性樹脂組成物や特許文献3の表面処理組成物を塗布して得られる皮膜は、耐指紋性、耐食性、上塗塗膜との密着性のいずれかが不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−28343号公報
【特許文献2】特開2004−204333号公報
【特許文献3】特開2009−127057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、貯蔵安定性、低温短時間乾燥性、耐指紋性、耐食性及び上塗り塗膜との密着性に優れる金属処理剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定のカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体、該樹脂(A)中のカルボニル基と反応しうる官能基を1分子中に2個以上含有する硬化剤(B)、シリカ粒子(C)、並びにTi、Zr及びVから選ばれる少なくとも1種の金属化合物(D)を含有することを特徴とする金属表面処理剤によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
1.下記特徴のカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体、該樹脂(A)中のカルボニル基と反応しうる官能基を1分子中に2個以上含有する硬化剤(B)、シリカ粒子(C)、並びにTi、Zr及びVから選ばれる少なくとも1種の金属化合物(D)を含有することを特徴とする金属表面処理剤。
カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体:
分子中に1級アミノ基を1個含有するアミン化合物、1級アミノ基と2級アミノ基を夫々1個ずつ含有するアミン化合物及び2級アミノ基を2個以上含有するアミン化合物から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物、ダイアセトンアクリルアミドに対してマイケル付加反応せしめて得られる分子中に2級アミノ基及びカルボニル基を含有する化合物(a1)、ポリオール化合物(a2)及びポリイソシアネート化合物(a3)を反応せしめてなる樹脂(A)を水又は水を含む媒体中に分散して得られた水分散体
2.硬化剤(B)の官能基がヒドラジド基及び/又はセミカルバジド基である1項に記載の金属表面処理剤、
3.金属化合物(D)が、チタンフッ化水素酸塩、ジルコニウムフッ化水素酸塩、炭酸ジルコニウムアンモニウム、メタバナジン酸塩及び硫酸
バナジルから選ばれる少なくとも1種である1項又は2項に記載の金属表面処理剤、
4.金属基材上に、1〜3項のいずれか1項に記載の金属表面処理剤を塗布し、加熱乾燥して得られる表面処理鋼板、に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の金属表面処理剤は、特定のカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体、該樹脂(A)のカルボニル基と反応しうる官能基を1分子中に2個以上含有する硬化剤(B)を含有することによって、素材最高到達温度(PMT)が80℃程度の低温で数十秒という低温短時間の乾燥において硬化性に優れ、基材に対する耐指紋性及び上塗り塗料との密着性に優れた塗膜が形成できる。さらに、シリカ粒子(C)や金属化合物(D)を含有することによって、外部からの水や酸性成分等の塗膜劣化因子の浸透を防ぎ、耐食性に優れた塗膜が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体、該樹脂(A)中のカルボニル基と反応しうる官能基を1分子中に2個以上含有する硬化剤(B)、シリカ粒子(C)、並びにTi、Zr及びVから選ばれる少なくとも1種の金属化合物(D)を含有することを特徴とする金属表面処理剤である。以下、詳細に説明する。
【0013】
カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体
カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体は、分子中に1級アミノ基を1個含有するアミン化合物、1級アミノ基と2級アミノ基を夫々1個ずつ含有するアミン化合物及び2級アミノ基を2個以上含有するアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン化合物を、ダイアセトンアクリルアミドに対してマイケル付加反応せしめて得られる、分子中に2級アミノ基及びカルボニル基を含有する化合物(a1)、ポリオール化合物(a2)及びポリイソシアネート化合物(a3)を反応せしめてなる樹脂(A)を、水又は水を含む媒体中に分散なる水分散体である。
【0014】
2級アミノ基及びカルボニル基を含有する化合物(a1)
2級アミノ基及びカルボニル基を含有する化合物(a1)(以下、「化合物(a1)」と略することがある)は、ダイアセトンアクリルアミドに対して、分子中に1級アミノ基を1個含有するアミン化合物、1級アミノ基と2級アミノ基を夫々1個ずつ含有するアミン化合物及び2級アミノ基を2個以上含有するアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン化合物をマイケル付加反応せしめて得られる化合物である。
【0015】
分子中に1級アミノ基を1個含有するアミン化合物、1級アミノ基と2級アミノ基を夫々1個ずつ含有するアミン化合物及び2級アミノ基を2個以上含有するアミン化合物の具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−メチルチオプロピルアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−ブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、アリルアミン等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいても良いC1〜C16の炭素数を有する脂肪族化合物;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、4−メチルシクロヘキシルアミン、1−シクロヘキシルエチルアミン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、N−シクロヘキシルエチレンジアミン等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいても良いC1〜C16の炭素数を有する脂環式化合物;ベンジルアミン、フェネチルアミン、4−メチルベンジルアミン、N−アミノプロピルアニリン、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、9−アミノフルオレン、ベンズヒドリルアミン、N−ベンジルエチレンジアミン等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいても良いC1〜C16の炭素数を有する芳香族化合物;ピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、N−アミノエチルピペリジン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、フルフリルアミン、テトラヒドロフルフリルアミン、3アミノピロリジン、3−(メチルアミノ)ピロリジン、5−メチルフルフリルアミン、2−(フルフリルチオ)エチルアミン、2−ピコリルアミン、3−ピコリルアミン、4−ピコリルアミン、N−アミノプロピルピペリジン等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいても良いC1〜C16の炭素数を有する複素環式化合物等を挙げることができる。
【0016】
上記した中でも特に、1級アミノ基と2級アミノ基を夫々1個ずつ含有するアミン化合物、例えば、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−シクロヘキシルエチレンジアミン、N−ベンジルエチレンジアミン、N−アミノプロピルピペリジン
が、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂のカルボニル基濃度を高くでき、又は樹脂(A)の分子量を大きくできる為、得られる皮膜の耐食性向上の点から好適である。
【0017】
ここで、アミン化合物として脂肪族化合物であるN−エチルエチレンジアミンを選択した場合、ダイアセトンアクリルアミドへのマイケル付加反応による
化合物(a1)を生成する反応は下記式(1)で示される。この式(1)における化合物(a1)は、分子中に2級のアミノ基を2個含有し且つカルボニル基を1個含有している。
【0018】
【化1】

【0019】
本発明におけるマイケル付加反応は、通常、0〜200℃の範囲内、好ましくは、50〜120℃の範囲内で行うことが、短時間で所望の反応生成物を得られること及び意図しない副反応を抑制可能な点から好ましい。
【0020】
本発明においては、ダイアセトンアクリルアミドに対するアミン化合物のモル比を0.8〜5.0の範囲内、さらに0.9〜2.2の範囲内となるように混合せしめてマイケル付加反応を行うことが好ましい。
ダイアセトンアクリルアミドに対するアミン化合物のモル比が0.8未満であると未反応のダイアセトンアクリルアミドが必要とする反応生成物に混合することがあり、該反応生成物を用いて製造したウレタンウレア樹脂の水分散体から作成した皮膜は、硬化剤の一部が未反応のダイアセトンアクリルアミドと反応して架橋密度が低下するために耐水性が低下することがある。
【0021】
また、該モル比が5.0よりも大きいと反応生成混合物から過剰のアミン化合物を除去する場合には除去工程に時間がかかり、製造コストが高くなることがある。一方、過剰のアミン化合物を除去しないで上記の反応生成混合物を用いてウレタンウレア樹脂を製造する場合には該樹脂の粘度が高くなったり、水分散性が低下することがある。
【0022】
上記した化合物(a1)を得るためのマイケル付加反応は、水や有機溶剤の存在下で行うことができるが、特に用いなくても良い。有機溶剤を使用する場合、その種類は特に限定しないがエステル系、エーテル系、アルコール系等の公知の有機溶剤を使用できる。
化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(a3)の反応を行う際は、イソシアネート基と反応する有機溶剤、例えば水やアルコール系有機溶剤は、化合物(a1)を含む溶液から公知の方法で除去しておくことが好ましい。水や有機溶剤を使用する場合の溶液濃度は20質量%以上、好ましくは50質量%以上である。溶液濃度は20質量%未満では反応が進行しにくいため好ましくない。また、反応時間としては、使用するアミノ化合物の種類により異なるが、通常30分間〜5時間が好適である。
【0023】
前記マイケル付加反応を行う際には、触媒を用いることもできる。触媒としては、特に制限はないが、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド;ナトリウムフェノキシド等の金属フェノキシド;安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム等の金属カルボキレート;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、1,8−ジアザービシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の三級アミン;臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化ドデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩;塩化テトラフェニルホスホニウム、塩化トリフェニルメチルホスホニウム、臭化テトラメチルホスホニウム等の四級ホスホニウム塩;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−メチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アジン−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等の塩基性化合物が挙げられる。触媒は1種類に限定されることなく、複数種を用いることができる。触媒を使用する場合、その使用量はアミン化合物の使用量に対して10モル%以下が好ましく、必要に応じて複数種を使用することもできる。
【0024】
前記マイケル付加反応によって得られた反応生成物を含む混合物は、マイケル付加反応生成物中に、未反応のアミン化合物やケチミン化された化合物が含まれていることがある。
【0025】
未反応のアミン化合物が含まれていると、後述するマイケル付加反応生成物とポリイソシアネート化合物との反応において、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の粘度が高くなることがあるので除去することが好ましい。除去は、常圧又は減圧条件下で蒸留や、水及び/又は有機溶剤との共沸により行なうことができる。有機溶剤としては、マイケル付加反応を行なう際に用いた有機溶媒を用いることができるが、マイケル付加反応を行なった後にさらにアルコール系有機溶剤、エーテル系有機溶剤等の公知の有機溶剤を添加してもよい。
【0026】
また、ケチミン化された化合物が含まれている場合には、次に挙げる問題等が生じる可能性がある。1)マイケル付加反応生成物とポリイソシアネートとの反応において、粘度の上昇やゲル化を起こすことがある。2)カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の水分散体においてケチミン化された部分が加水分解してアミノ基が再生して塗膜の黄変の原因になることがある。
そこで、マイケル付加反応によって得られた混合物に過剰の水を加えて、ケチミン化された化合物のケチミン化された部分を加水分解せしめてカルボニル基を再生することによって、上記の問題を解決することが好ましい。この加水分解によって生じたアミン化合物は、前記の未反応のアミン化合物と同様にして除去することができる。
【0027】
ここで示した未反応のアミン化合物の除去及びケチミン化された化合物を加水分解して生成したアミン化合物の除去は、前記マイケル付加反応と同時に行なってもよく、又はマイケル付加反応の終了後に行ってもよい。
【0028】
ダイアセトンアクリルアミドは、重クロロホルム溶媒を用いた1H−NMRの測定において6.19〜6.23ppmに炭素−炭素二重結合(CH=CH)を形成する炭素原子に結合した水素原子に由来するピークが観察される。反応生成物の重クロロホルム溶媒を用いた1H−NMRの測定においては、6.19〜6.23ppmにピークが観察されないため、本発明においては、該NMRの測定によって、マイケル付加反応を管理することができる。
【0029】
上記したマイケル付加反応生成物は、2級アミノ基を1個或いは2個含有するものが好ましく、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)を用いて得られた塗膜の耐酸性や耐水性の観点から3級アミノ基を含有しないもの、或いは得られたカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の粘度制御の観点から、1級アミノ基を含有しないものが好ましい。
カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の製造において、該マイケル付加反応生成物の含有する2級アミノ基は、ポリイソシアネート化合物(a3)のイソシアネート基と反応して、ウレア結合を形成する。該ウレア結合に含まれる2つの窒素原子の片方のみが1個の水素原子と結合している。
【0030】
一方、マイケル付加反応生成物が1級アミノ基を含む場合には、該1級アミノ基はポリイソシアネート化合物(a3)のイソシアネート基と反応してウレア結合を形成するが、該ウレア結合に含まれる2つの窒素原子のそれぞれが1個ずつ水素原子を有している。従って、マイケル付加反応生成物が1級アミノ基を多く含む場合においては、該ウレア結合に含まれる2つの窒素原子のそれぞれが有する2つの水素原子に起因する水素結合により、得られた樹脂の粘度が高くなってしまい、製造における撹拌が困難になるばかりでなく、得られる皮膜の仕上り性が低下することがある。
【0031】
2級アミノ基を1個のみ含有するマイケル付加反応生成物をカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の製造に用いた場合は、生成するカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の末端にカルボニル基を導入することが可能である。
【0032】
上記した分子内に2級アミノ基を1個含有するマイケル付加反応生成物と2級アミノ基を2個含有するマイケル付加反応生成物は、同時に用いてカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)を製造することもできる。
【0033】
ポリオール化合物(a2)
次いで、ポリオール化合物(a2)は、1分子中に水酸基を2個以上有するものであり、例えば低分子量グリコール類、高分子量グリコール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上用いてもよく、例えばポリエステルポリオールや高分子量グリコールに低分子量グリコールを併用することができる。
【0034】
上記の低分子量グリコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、1,8−オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノール骨格含有ジオール化合物等を挙げることができる。ビスフェノール骨格含有ジオール化合物としては、例えばビスフェノール類のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物が挙げられ、ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等を挙げることができる。上記したグリコール類は単独または2種以上混合して使用しても良い。
【0035】
上記の高分子量グリコール類としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートグリコール等を挙げることができる。
【0036】
上記のポリエステルポリオール類としては、例えば、グリコール成分とジカルボン酸成分を反応させたものが挙げられ、公知の方法で容易に製造でき、エステル化反応に限らず、エステル交換反応によっても製造できる。またε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環反応によって得られるポリエステルジオール及びこれ等の共縮合ポリエステルも含むことができる。
【0037】
上記のポリカーボネートポリオール類はジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート又はホスゲン等の炭酸誘導体と、上記したグリコールとの反応により得ることができる。
【0038】
なおカルボニル基含有ポリウレタンウレア樹脂(A)は、ポリオール化合物(a2)として分子内に3個以上の水酸基を有する化合物を用いて分岐構造を持たせることが可能である。分子内に3個以上の水酸基を有するポリオール化合物(a2)としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)等を挙げることができる。
【0039】
ポリイソシアネート化合物(a3)
次いで、ポリイソシアネート化合物(a3)は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、従来からポリウレタンの製造に使用されているものを使用することができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの誘導体などが挙げられる。
【0040】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
【0041】
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
【0042】
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネートまたはその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
【0043】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4’’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどの芳香族トリイソシアネート、例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの芳香族テトライソシアネートなどを挙げることができる。
【0044】
また、ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)及びクルードTDIなどを挙げることができる。
【0045】
上記のポリイソシアネート化合物(a3)は、必要に応じてイソシアネート基の一部を水酸基やアミノ基等の活性水素基を1分子に1〜5個含有する化合物で変性して用いてもよい。また、ポリイソシアネート化合物(a3)は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0046】
さらに、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体の分散安定性や貯蔵安定性を確保するのために、該カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂に親水性のノニオン性基、アニオン性基及びカチオン性基からなる群より選ばれる1種以上の基を導入しても良い。
【0047】
該カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)に親水性のノニオン性基を導入する場合には、上記ポリオール化合物(a2)がその成分の少なくとも一部としてポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体等のポリオキシアルキレン鎖の両末端に水酸基を有するポリオール、又は側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するポリオールを含むことが好適である。
【0048】
上記の側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するポリオールとしては、1分子中に水酸基を2個以上有し、更にポリオキシアルキレン鎖を有している化合物であって、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)に組み込まれた際に側鎖になる部分にポリオキシアルキレン鎖を導入できるものであれば、特に制限されることなく種々の化合物を用いることができる。
【0049】
ポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック共重合体鎖などを挙げることができる。またポリオキシアルキレン鎖は、100〜10,000、特に200〜8,000の範囲内の分子量を有することが好適である。
【0050】
側鎖にポリオキシアルキレンを有するポリオールの具体例としては、例えばポリオキシアルキレン鎖を有するアクリレートとジアルカノールアミンとの反応生成物、グリセリンカーボネートとポリオキシアルキレンアミンとの反応生成物などが挙げられ、さらにグリシドールとポリオキシアルキレンアミンとの反応生成物であっても良い。また、商品名「Ymer N120」(パーストープ社製)等の市販品を挙げることができる。
【0051】
前記ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリレートとしては、例えば、下記 式(2)
【0052】
【化2】

【0053】
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは2〜220、好ましくは5〜180の整数であり、nは2〜3の整数、好ましくは2である、ここでm個のオキシアルキレン単位(CnH2nO)は同じであっても又は互に異なっていてもよい。)で示される化合物を挙げることができる。
その具体例としては、例えば、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレートなどを挙げることができる。ジアルカノールアミンとしては、例えばジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0054】
ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリレートとジアルカノールアミンとは、該アクリレートに対するジアルカノールアミンのモル比が0.8〜1.2、好ましくは0.95〜1.05の範囲となるように反応させることが望ましい。この反応は、通常25〜250℃、好ましくは50〜160℃の温度で行われる。
【0055】
上記ポリオキシアルキレンアミンとしては、例えば下記式(3)に示す化合物を挙げることができる。
【0056】
【化3】

【0057】
(式中、Rは水酸基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、mは2〜220、好ましくは5〜180の整数であり、nは2〜3の整数、好ましくは2である、ここでm個のオキシアルキレン単位(CnH2nO)は同じであっても又は互に異なっていてもよい。)。
【0058】
グリセリンカーボネートとポリオキシアルキレンアミンとは、グリセリンカーボネート中の環状カーボネート基とポリオキシアルキレンアミン中のアミノ基とのモル比が1:0.8〜1:1.2、好ましくは1:0.95〜1:1.05の範囲となるように反応させることが望ましい。この反応は、通常25〜250℃、好ましくは50〜160℃の温度で行われる。
【0059】
上記したようにカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)に、ノニオン性基を挿入するために、上記したポリオキシアルキレン鎖の両末端に水酸基を有するポリオール、又は側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するポリオールを用いた場合、これらのポリオール化合物(a2)は水分散性と耐水性を両立する点から、該カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の固形分中の1〜25質量%、さらに3〜15質量%の範囲内で用いることがより好ましい。
【0060】
また、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体の分散安定性や貯蔵安定性を確保するのために、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)にアニオン性基を導入する場合には、上記ポリオール化合物(a2)がその成分の少なくとも一部としてカルボキシル基含有ジオールを含むことが好適である。
【0061】
カルボキシル基含有ジオールとしては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸及びこれらを縮合したポリエステルポリオールが挙げられる。これらと一緒に12−ヒドロキシステアリン酸、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸を併用することもできる。このようにしてカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂にアニオン性基を導入した場合の該樹脂の酸価は、1〜35mgKOH/gの範囲内とすることが、水分散安定性と塗膜の耐水性や耐酸性を両立する点から好ましく、より好ましくは5〜20mgKOH/gの範囲内である。本明細書中における酸価は、JIS K 5601(1999)に定められた滴定法による測定値を意味する。
【0062】
また、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体の分散安定性や貯蔵安定性を確保するのために、該カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)に、カチオン性基を導入する場合には、上記ポリオール化合物(a2)がその成分の少なくとも一部として3級アミノ基含有ポリオールを含むことが好適であり、後述する方法で該3級アミノ基をアンモニウム塩化してカチオン性基としてカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂に導入することが可能である。
【0063】
3級アミノ基含有ポリオール以外の化合物としては、3級アミノ基を含有するジアミン化合物及びトリアミン化合物などを単独で又は2種以上混合して、
化合物(a1)、ポリオール化合物(a2)及びポリイソシアネート化合物(a3)成分と一緒に用いて、3級アミノ基を導入してもよい。
【0064】
3級アミノ基を有するジオール化合物としては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−イソブチルジエタノールアミンなどが挙げられ、3級アミノ基を有するトリオール化合物としては、例えば、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0065】
また3級アミノ基を有するジアミン化合物としては、例えば、メチルイミノビスプロピルアミン、ブチルイミノビスプロピルアミンなどが挙げられ、3級アミノ基を有するトリアミン化合物としては、例えば、トリ(2−アミノエチル)アミンなどが挙げられる。
3級アミノ基をカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)に導入する場合、該カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の固形分のアミン価は、5〜50mgKOH/gの範囲内とすることが、アンモニウム塩化したときの水分散性、及び塗膜の耐水性や耐酸性を両立する点から好ましく、より好ましくは10〜35mgKOH/gの範囲内である。なお本明細書中におけるアミン価は、JIS K 7237に定められた滴定法による測定値を意味する。
【0066】
また、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)は、3級アミノ基をアンモニウム塩化してカチオン性基として該カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂に導入することが可能である。アンモニウム塩化は3級アミノ基の一部又は全部を酸で中和するか又は4級化剤で4級化することによって行うことができる。中和に用いる酸としては、例えばギ酸、酢酸、乳酸、リン酸などを挙げることができる。これらの酸は、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂に加えて3級アミノ基を中和しておいてもよいし、分散媒である水に加えておき分散と同時に中和してもよい。
【0067】
上記4級化剤としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリンなどのエポキシ化合物とカルボン酸基含有化合物の組合せ、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸メチルなどの硫酸化物、メチルクロライド、エチルクロライド、ベンジルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイドなどのハロゲン化アルキルなどを挙げることができる。
【0068】
カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)を得るための反応において、分子中に2級アミノ基及びカルボニル基を有する化合物(a1)、ポリオール化合物(a2)及びポリイソシアネート化合物(a3)の配合割合は種々変えることができるが、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)中のカルボニル基濃度が樹脂固形分に基づいて、0.1〜2.0mol/kgの範囲とするように決定することが、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体と後述する硬化剤(B)との反応性や、表面処理剤の安定性の点から好ましく、より好ましくは0.2〜1.0mol/kgの範囲内である。
また、化合物(a1)とポリオール化合物(a2)に含まれる2級アミノ基と水酸基の総当量に対するイソシアネート化合物(a3)に含まれるイソシアネート基の当量比は0.75〜2.50、好ましくは0.85〜2.20になるようにすることが望ましい。
【0069】
上記カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の製造は、特に限定されることなく従来公知の手法が採用でき、例えば前記した化合物(a1)、ポリオール化合物(a2)及びポリイソシアネート化合物(a3)を一度に反応させても良いし、例えばポリオール化合物(a2)とポリイソシアネート化合物(a3)を反応した後に、イソシアネート基含有生成物に化合物(a1)を反応させるなど多段的に反応させても良い。
【0070】
この反応は有機溶剤の存在下で行うことができる。有機溶剤としては、特に限定しないが、エステル系、エーテル系、ケトン系等の公知の溶剤を使用できる。溶液濃度は、好ましくは40〜90質量%の範囲内とすることが反応速度や得られた樹脂を水で分散せしめたときに残存する溶剤を少なくすることができる点から好ましく、より好ましくは55〜80質量%の範囲内である。
【0071】
反応は通常40〜180℃、好ましくは60〜130℃の温度で行われる。この反応を促進させるため、通常のウレタン化反応において使用されるトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒や、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の錫系触媒などを必要に応じて用いてもよい。
【0072】
本発明の金属表面処理剤に用いるカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の重量平均分子量の調整は、前述した化合物(a1)、ポリオール化合物(a2)及びポリイソシアネート化合物(a3)の配合比を変動することにより行うことができる。該重量平均分子量は、2,000〜100,000の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは5,000〜50,000の範囲内である。重量平均分子量が100,000よりも大きい場合には粘度が高くなり、製造における撹拌が難しくなることがある。また、重量平均分子量が2000よりも小さい場合には得られる塗膜の耐酸性や耐水性が不十分なレベルになることがある。
【0073】
カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)は、水分散体の調整に際して、鎖伸長剤を添加して鎖伸長反応せしめることにより上記した範囲よりも重量平均分子量を大きくしてもよい。この場合、該カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)は水分散された状態なので製造時の撹拌に支障なく、分子量を大きくすることが可能である。
【0074】
該鎖伸長剤としてはポリアミン化合物が好適であり、例えばエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、アミン末端ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン;ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、3−アミノプロパンジオール等のアミノ基と水酸基をもつ化合物;ヒドラジン類、酸ヒドラジド類等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
【0075】
上記した鎖伸長剤を使用する際は、例えば分子中に2級アミノ基を1個以上含有し且つカルボニル基を1個以上含有する化合物(a1)、ポリオール化合物(a2)及びポリイソシアネート化合物(a3)の反応における、化合物(a1)とポリオール化合物(a2)に含まれるイソシアネート基と反応することの可能な官能基の総モル数よりも化学量論的に過剰のイソシアネート基のモル数となるようにして、ポリイソシアネート化合物(a3)と反応して、イソシアネート基末端のウレタンウレア樹脂(プレポリマー)を得た後に水又は水を含む媒体中に分散しながら或いは分散したのち、上記した鎖伸長剤を加えて、分散した状態でイソシアネート基と鎖伸長剤との反応を行うことができる。なお、鎖伸長剤として分子中に2級アミノ基を2個以上含有し且つカルボニル基を1個以上含有する化合物(a1)を用いてもよい。
【0076】
なお、本明細書において、カチオン性基を導入した樹脂以外の樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。
【0077】
具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:1mL/minの条件下で測定することができる。カチオン性基を導入した樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、具体的にはゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel Super−H3000」を1本、及び「TSKgel Super−H2500」を2本(商品名、いずれも東ソー(株)社製)の計3本を用い、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:テトラヒドロフラン(トリエタノールアミンを0.5重量%含む)、測定温度;25℃、流速:0.6mL/minの条件下で測定することができる。
【0078】
上記の通り得られるカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)は、水又は水を含む媒体中に分散して水分散体として使用される。水を含む媒体は水を主成分として水と水溶性有機溶媒などの有機溶媒を混合したものを挙げることができる。水分散は、特に制限なく従来公知の方法で行うことができ、例えば該カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)を乳化剤の存在下においてせん断力を加えて水又は水を含む媒体中で微粒子化して得る方法(1);上記したノニオン性基、アニオン性基、カチオン性基等の親水性基を導入したカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂にせん断力を加えて水又は水を含む媒体中で微粒子化して得る方法(2);さらに乳化剤の存在下に上記の親水性基を導入したカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)にせん断力を加えて水又は水を含む媒体中で微粒子化して得る方法(3);などが挙げられる。なお、本明細書において上記の水又は水を含む媒体を水性媒体と表記することがある。
【0079】
乳化剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両イオン性乳化剤、反応性乳化剤等を用いることができる。
【0080】
例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤;ラウリルトリアルキルアンモニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、第1級〜第3級アミン塩、ラウリルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、或は、ラウリルアミンアセテート等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤;カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリン誘導体型等の両性界面活性剤;エレミノールJS−2(三洋化成工業製)、エレミノールRS−30(三洋化成工業製)、ラテムルS−180A(花王製)、アクアロンHS−05(第一工業製薬製)、アクアロンRN−10(第一工業製薬製)、アデカリアソープSE−10N(旭電化製)等の反応性乳化剤等が挙げられる。
【0081】
本発明では、乳化剤の使用量は、水分散体の安定性や、表面処理剤の皮膜形成成分として使用した場合の耐水性の点からカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の固形分100質量部に対して、0〜20質量部の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは0〜15質量部の範囲内である。
【0082】
また、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体の濃度は、安定性や粘度の点から固形分として10〜50質量%の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは20〜45質量%の範囲内である。
【0083】
本発明においては、上記したようにカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)にアニオン性基及び/又はノニオン性基を導入して、水又は水を含む媒体中で分散してもよい。アニオン性基を導入した場合には該アニオン性基を塩基性化合物で中和して水分散することが可能である。硬化塗膜の耐酸性や耐水性を考慮すると揮散しやすいアンモニアによる中和が好適に行われる。ノニオン性基を導入した場合には、そのまま水分散が可能であるが、必要に応じてアニオン性基とノニオン性基の両方をカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂に導入し、アニオン性基を塩基性化合物で中和して使用することができる。
【0084】
カルボニル基含有エポキシ樹脂
本発明の金属表面処理剤は、要求される皮膜性能に応じて、上記ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体に加えて、カルボニル基含有エポキシ樹脂の水分散体を含有することができる。カルボニル基含有エポキシ樹脂の水分散体は、前記の化合物(a1)とエポキシ樹脂を反応して得られる。
【0085】
エポキシ樹脂は、塗膜の防食性等の観点から、特に、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリン、例えば、エピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂が好適である。該エポキシ樹脂の形成のために用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−2もしくは3−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどを挙げることができる。
【0086】
また、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記式(4)で、nは0〜8で示されるものが好適である。
【0087】
【化4】

エポキシ樹脂は、エポキシ当量が140〜5,000、好ましくは170〜2,000の範囲内、数平均分子量が200〜50,000、好ましくは250〜10,000の範囲内のものが適している。
【0088】
かかるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)からjER828EL、jER1002、jER1004、jER1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。
【0089】
前記化合物(a1)とエポキシ樹脂との配合比は、得られるカルボニル基含有エポキシ樹脂中のカルボニル基濃度が樹脂固形分に基づいて、0.1〜3.5mol/kgの範囲、より好ましくは0.5〜3mol/kgの範囲内となるよう選択されることが、金属表面処理剤の安定性の点から好ましい。
【0090】
本発明において前記化合物(a1)とエポキシ樹脂との反応は、有機溶剤の存在下で行うことができる。有機溶剤としては、特に限定しないが、エステル系、エーテル系、ケトン系等の公知の溶剤を使用できる。溶液濃度は好ましくは40〜90質量%の範囲内とすることが反応速度や得られた樹脂を水で分散せしめたときに残存する溶剤を少なくすることができる点から好ましく、より好ましくは55〜80質量%の範囲内である。反応は、通常40〜180℃、好ましくは60〜130℃の温度で行われる。
【0091】
カルボニル基含有エポキシ樹脂は、重量平均分子量が2,000〜50,000、好ましくは5,000〜20,000の範囲内である。重量平均分子量が50,000より大きい場合には、粘度が高くなり、製造が難しく、得られた皮膜の仕上り性が低下することがある。また、重量平均分子量が2,000より小さい場合には十分な耐水性が得られない可能性があり好ましくない。
【0092】
上述の通り得られるカルボニル基含有エポキシ樹脂は、前記のカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)と同様に、水又は水を含む媒体中に分散して水分散体として使用される。水を含む媒体は水を主成分として水と水溶性有機溶媒などの有機溶媒を混合したものを挙げることができる。
【0093】
硬化剤(B)
本発明の金属表面処理剤は、前記カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)、及び必要に応じて使用できるカルボニル基含有エポキシ樹脂中のカルボニル基と反応するヒドラジノ基等を有するヒドラジン誘導体を硬化剤(B)として含有する。
【0094】
具体的には、1分子中にヒドラジド基及び/またはセミカルバジド基を2個以上有する化合物を好適に用いることができる。例えば蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド、フタル酸、テレフタル酸またはイソフタル酸ジヒドラジド、並びにピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、カルボン酸低級アルキルエステル基を1分子中に2個以上有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させてなるポリヒドラジド(特公昭52−22878号参照)、炭酸ジヒドラジド等のポリヒドラジド化合物; ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート及びそれにより誘導されるポリイソシアネート化合物にヒドラジンやモノアルキル置換ヒドラジンを反応させて得られるポリセミカルバジド化合物、ジイソシアネートを含む該ポリイソシアネート化合物に上記例示のジヒドラジド化合物やポリヒドラジド化合物を反応させて得られるポリヒドラジド化合物、該ポリイソシアネート化合物とポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の活性水素を有するポリエーテルやポリオールとの反応から得られる変性ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基にヒドラジンやモノアルキル置換ヒドラジンを反応させて得られるポリセミカルバジド化合物、該変性ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドやポリヒドラジドを反応させて得られるポリヒドラジド化合物等が挙げられ、これらは単独で、或いは必要に応じて混合して一緒に用いることができる。
【0095】
上記ヒドラジン誘導体は、カルボニル基含有変性ポリウレタンのカルボニル基1モルに対して、一般にヒドラジン誘導体に含まれるヒドラジド基とセミカルバジド基の合計が0.01〜2モルの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.8モル、さらに好ましくは0.2〜1.6モルの範囲内であることが低温硬化性の点から好ましい。
またカルボニル基と反応するヒドラジノ基等を有するヒドラジン誘導体に加えて硬化剤(B)として、必要に応じてブロック化ポリイソシアネート化合物を併用することもできる。ポリイソシアネート化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI[ポリメチレンポリフェニルイソシアネート]、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の芳香族、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体又はビゥレット体;又はこれらの組合せを挙げることができる。
【0096】
特に、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI等の芳香族ポリイソシアネート化合物が耐食性の為により好ましい。
【0097】
一方、ブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、そして付加によって生成するブロックポリイソシアネート化合物は常温において安定であるが、塗膜の焼付け温度(通常約100〜約200℃)に加熱した際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生することが望ましい。
【0098】
ブロック化ポリイソシアネート化合物に使用されるブロック剤としては、例えば、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾール等のフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族アルコール化合物;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール等の芳香族アルキルアルコール化合物;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物;ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系化合物等が挙げられる。
【0099】
シリカ粒子(C)
本発明の金属表面処理剤には、シリカ粒子(C)を耐指紋性や耐食性向上のために含有する。シリカ粒子(C)は、平均粒径が1〜100nm、特に2〜30nmのシリカ粒子が好ましく、気相法シリカ、粉砕シリカ、水分散性コロイダルシリカなどのシリカ粒子であってもよい。
【0100】
具体的には、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスO(いずれも日産化学社製、水分散性コロイダルシリカの市販品)等が挙げられ、その他のシリカ粒子の市販品としては、例えば、AEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等であり、とくにAEROSIL200V、R972、R972V、R974、R202、R812が好ましい。AEROSIL200V、AEROSILR−811(日本アエロジル社製)等が挙げられる。また、平均粒径が1〜100nmのシリカ粒子に、粒径が100nmを超える、特に200nmを超える大粒径のシリカ粒子を併用してもよい。
【0101】
上記に述べたシリカ粒子(C)の配合量は、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の固形分100質量部に対して、5〜60質量部、特に10〜40質量部の範囲内が好ましい。シリカ粒子(C)の量が5質量部未満では耐食性が劣る場合があり、60質量部を超えると処理剤の貯蔵安定性が劣る場合がある。
【0102】
金属化合物(D)
本発明の金属表面処理剤に使用する金属化合物(D)は、Ti、Zr及びVから選ばれる少なくとも1種の金属化合物である。
【0103】
上記チタン(Ti)化合物としては、チタン弗化水素酸又はその塩等が挙げられ、塩を形成するものとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム等が挙げられるが、中でもカリウム、ナトリウム及びアンモニウムが好ましく、具体例として、チタン弗化カリウム、チタン弗化水素酸、チタン弗化ナトリウム、チタン弗化アンモニウム等が挙げられる。
【0104】
上記ジルコニウム(Zr)化合物としては、ジルコニウム弗化水素酸及びその塩、炭酸ジルコニウム及びその塩、硝酸ジルコニウム等が挙げられ、塩を形成するものとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム等が挙げられるが、中でもカリウム、ナトリウム及びアンモニウムが好ましく、具体例として、ジルコニウム弗化カリウム、ジルコニウム弗化アンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム等が挙げられる。
【0105】
上記バナジウム(V)化合物としては、酸化バナジウム、バナジン酸、オルソバナジン酸リチウム、オルソバナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸リチウム、メタバナジン酸カリウム、メタバナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸アンモニウム、ピロバナジン酸ナトリウム、塩化バナジル、硫酸バナジル等が挙げられる。
【0106】
これらのうち上記金属化合物(D)としては、チタン弗化水素酸塩、ジルコニウム弗化水素酸塩、炭酸ジルコニウムアンモニウム、メタバナジン酸塩及び硫酸バナジルから選ばれる少なくとも1種であることが、耐指紋性や耐食性の点から好ましい。
【0107】
金属化合物(D)の配合量は、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)
の固形分100質量部に対して、0.1〜20質量部、特に1〜10質量部の範囲内が好ましい。金属化合物(D)の量が0.1質量部未満では耐食性が劣る場合があり、20質量部を超えて添加しても耐食性は向上は少なく、金属表面処理剤の安定性を損うことがある。
【0108】
金属表面処理剤
本発明の金属表面処理剤は、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体、硬化剤(B)、シリカ粒子(C)、Ti、Zr及びVから選ばれる少なくとも1種の金属化合物(D)、さらに必要に応じてシランカップリング剤を含有することができる。
【0109】
シランカップリング剤は、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのグリシジル基含有シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのシランカップリング剤の中でも、本発明の金属表面処理剤には、密着性、耐食性向上の点から、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシメトキシシランを配合することが好ましい。シランカップリング剤の配合量は、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の固形分100質量部に対して、0〜50質量部、特に10〜25質量部の範囲内が好ましい。
【0110】
本発明の金属表面処理剤には、さらに必要に応じて、着色顔料、防錆顔料、体質顔料、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、リン酸化合物、潤滑性付与剤、増粘剤、ハジキ防止剤、消泡剤、界面活性剤、酸化剤、防菌剤、防錆剤(タンニン酸、フィチン酸、ベンゾトリアゾールなど)、導電性顔料、アクリル樹脂分散体、ポリエステル樹脂分散体などを適宜配合し、混合分散せしめたものであっても良い。
【0111】
上記リン酸化合物は、得られる塗膜の耐食性を向上させる作用を有するものであり、例えば、亜リン酸、強リン酸、三リン酸、次亜リン酸、次リン酸、トリメタリン酸、二亜リン酸、二リン酸、ピロ亜リン酸、ピロリン酸、メタ亜リン酸、メタリン酸、オルトリン酸等のモノリン酸類、モノリン酸類の誘導体及び塩類、トリポリリン酸、テトラリン酸、ヘキサメタリン酸等の縮合リン酸類、縮合リン酸類の誘導体及び塩類等が挙げられる。これらの化合物は、1種又は2種以上を使用することができる。また、リン酸系化合物の塩を形成するアルカリ化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等が挙げられる。リン酸系化合物としては、水に溶解性のあるものを使用することが好ましい。リン酸系化合物としては、特に、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、メタリン酸、オルトリン酸、メタリン酸アンモニウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を使用することが、金属表面処理剤の貯蔵安定性、皮膜の耐食性等に優れた効果を発揮することから好ましい。
【0112】
リン酸系化合物の配合量は、貯蔵安定性と耐食性の点から、カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の固形分100質量部に対して、0.1〜50質量部、特に2〜40質量部の範囲内が好ましい。
【0113】
また、潤滑機能付与剤は、得られる皮膜に潤滑性を付与するものであれば良い。具体的には例えば、フッ素樹脂微粉末(例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等の微粉末)、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、1つの粒子中にポリオレフィンとフッ素樹脂とが混在して含まれる潤滑剤、グラファイト、窒化ホウ素、フッ化カーボンなどが挙げられる。
【0114】
また、本発明の金属表面処理剤には、必要に応じて、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール系、プロピレングリコール系等の親水性の有機溶剤を添加してもよい。
【0115】
皮膜形成方法
金属基材に金属表面処理剤を塗布し、加熱乾燥することによって表面処理鋼板を得ることができる。上記金属表面処理剤が適用される金属基材としては、金属であれば何ら制限を受けない。例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛ならびにこれらの金属を含む合金、及びこれらの金属によるめっき鋼板もしくは蒸着製品などが挙げられる。該めっき鋼板としては、例えば溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、鉄−亜鉛合金めっき鋼板、ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(市販品として、例えば「ガルバリウム」、「ガルファン」等)、アルミニウムめっき鋼板などを挙げることができる。これらの中でも本発明の効果が最も顕著な金属基材としては、亜鉛又は亜鉛合金めっき鋼板である。本発明の金属表面処理剤の塗布量は、乾燥皮膜重量で0.1〜10g/m、特に0.2〜5g/mの範囲内であることが、耐食性の観点から適している。
【0116】
本発明の金属表面処理剤の皮膜形成方法は、金属表面処理剤を水などの希釈剤で粘度を塗布量に応じて、例えば5〜20mPa・sの範囲に適宜調整後、ロールコータ塗装、スプレー塗装、ディッピング塗装、ハケ塗り等の公知の方法により所定の皮膜重量となるように塗装した後、通常、雰囲気温度120〜330℃で5〜60秒間乾燥させればよい。
このときの鋼板の素材最高到達温度(PMT、Peak Metal Temperature)は70〜150℃、好ましくは80〜130℃の範囲であることが有効に反応させるために適しているが、本発明の金属表面処理剤は低温短時間での硬化性に優れているため、省エネルギー性の点からはPMT80〜100℃で5〜20秒間の乾燥条件が好ましい。
【0117】
上記のようにして皮膜形成された金属板の皮膜上へ、さらに上層皮膜を形成することができる。この上層皮膜形成性組成物は、目的に応じて適宜選定すればよく種々の皮膜形成性組成物を使用することができる。この皮膜形成性組成物としては、例えば、従来公知の防錆鋼板用途、耐指紋鋼板用途、潤滑鋼板用途、着色塗膜形成用途などに用いられる皮膜形成性組成物を挙げることができる。
【実施例】
【0118】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0119】
製造例1 マイケル付加反応生成物1の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド338.4g、脱イオン水180.2g、N−エチルエチレンジアミン352.6gを加え撹拌し、80℃まで昇温して80℃で3時間保持した。次に約100mmHgに減圧しながら60〜80℃で2時間保持し、水と未反応のN−エチルエチレンジアミンの混合物を約240g共沸除去した。その後、水200g加えて80℃で1時間保持した後、約100mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、水とN−エチルエチレンジアミンの混合物を約200g共沸除去する操作を2回繰り返した。その後、約10mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、残存する水とN−エチルエチレンジアミンを除去することで2級アミノ基を2個有し、さらにカルボニル基を有する「マイケル付加反応生成物1」を得た。重クロロホルム溶媒を用いた該生成物の1H−NMR測定においてダイアセトンアクリルアミドに起因する6.19〜6.23ppmのピークが観察されないことから、未反応のダイアセトンアクリルアミドが残存しないことを確認した。
100mL三角フラスコに得られた「マイケル付加反応生成物1」を0.1g秤量し、酢酸30mLを加え溶解させた後、指示薬(アルファズリンG0.3gを氷酢酸100mLに溶解させた溶液とチモールブルー1.5gをメタノールに溶解させた溶液の混合液)0.2mLを加え、0.1N過塩素酸(酢酸溶液)で溶液が緑色から赤色へ変化するまで滴定した。その結果、マイケル付加反応生成物1のアミン価は426mg−KOH/gであった。
【0120】
製造例2 マイケル付加反応生成物2の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド507.7g、水270.3g、ブチルアミン438.8gを加え撹拌し、80℃まで昇温して80℃で2時間保持した。次に約100mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、水と未反応のブチルアミンの混合物を約430g共沸除去した。その後、フラスコに水分定量受器を取り付け、水270g加えて105℃まで昇温し、常圧下103〜105℃で1時間保持し、水とブチルアミンの混合物を約200g共沸除去する操作を2回繰り返した。次に約10mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、残存する水とブチルアミンを除去することで2級アミノ基を1分子中に1個有し、さらにカルボニル基を有する「マイケル付加反応生成物2」を得た。重クロロホルム溶媒を用いた該生成物の1H−NMR測定においてダイアセトンアクリルアミドに起因する6.19〜6.23ppmのピークが観察されないことから、未反応のダイアセトンアクリルアミドが残存しないことを確認した。得られた「マイケル付加反応生成物2」のアミン価は230mg−KOH/gであった。
【0121】
製造例3 マイケル付加反応生成物3の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド507.7g、水270.3g、2−アミノエタノール366.5gを加え撹拌し、80℃まで昇温して80℃で2時間保持した。次に薄膜式蒸留装置を用いて5mmHgの減圧、100℃の壁面において薄膜蒸留を行ない、水と未反応の2−アミノエタノールの混合物を除去した。その後、撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、薄膜蒸留により未反応の2−アミノエタノールを除去した約720gの反応生成物に水500gを加えて105℃まで昇温し、常圧下103〜105℃で1時間保持しケチミンの加水分解を行なった。さらに5mmHgの減圧、100℃の壁面において薄膜蒸留を行ない、水とケチミンの加水分解により生成した2−アミノエタノールの混合物を除去することで、2級アミノ基を1分子中に1個、且つ水酸基を1個有し、さらにカルボニル基を有する「マイケル付加反応生成物3」を得た。重クロロホルム溶媒を用いた該生成物の1H−NMR測定においてダイアセトンアクリルアミドに起因する6.19〜6.23ppmのピークが観察されないことから、未反応のダイアセトンアクリルアミドが残存しないことを確認した。得られたマイケル付加反応生成物3のアミン価は255mg−KOH/gであった。
【0122】
製造例4 マイケル付加反応生成物4の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド507.7g、水270.3g、ベンジルアミン642.9gを加え撹拌し、80℃まで昇温して80℃で2時間保持した。次に薄膜蒸留装置を用いて5mmHgの減圧、100℃の壁面において薄膜蒸留を行ない、水と未反応のベンジルアミンの混合物を除去した。その後、撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、薄膜蒸留により未反応のベンジルアミンを除去した約900gの反応生成物に水500gを加えて105℃まで昇温し、常圧下103〜105℃で1時間保持しケチミンの加水分解を行なった。さらに5mmHgの減圧、100℃の壁面において薄膜蒸留を行ない、水とケチミンの加水分解により生成したベンジルアミンの混合物を除去することで、2級アミノ基を1分子中に1個有し、さらにカルボニル基を有するマイケル付加反応生成物4を得た。重クロロホルム溶媒を用いた該生成物の1H−NMR測定においてダイアセトンアクリルアミドに起因する6.19〜6.23ppmのピークが観察されないことから、未反応のダイアセトンアクリルアミドが残存しないことを確認した。得られたマイケル付加反応生成物4のアミン価は211mg−KOH/gであった。
【0123】
製造例5 マイケル付加反応生成物5の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド331.6g、ジエタノールアミン210.3gを加え撹拌し、100℃まで昇温して100℃で5時間保持することで、1分子中に3級アミノ基を1個、水酸基を2個有し、さらにカルボニル基を有する「マイケル付加反応生成物5」を得た。
重クロロホルム溶媒を用いた該生成物の1H−NMR測定においてダイアセトンアクリルアミドに起因する6.19〜6.23ppmのピークが確認された。そのピークの積分値から計算される原料のDAAmの残存率は3%であった。得られたマイケル付加反応生成物5のアミン価は207mg−KOH/gであった。
【0124】
製造例6 マイケル付加反応生成物6の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、エチレンジアミン72.0g、水320.8gを加え撹拌した。この溶液にダイアセトンアクリルアミド203.1gと水320.8gの混合物を滴下し、80℃まで昇温して80℃で3時間保持することでカルボニル基を有するマイケル付加反応生成物6の水溶液を得た。重水を溶媒として用いた該生成物の1H−NMR測定においてダイアセトンアクリルアミドに起因する6.19〜6.23ppmのピークが観察されず、未反応のダイアセトンアクリルアミドが残存しないことを確認した。得られたマイケル付加反応生成物6のアミン価は490mg−KOH/gであった。
【0125】
製造例7 カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の水分散体No.1の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「デュラノールT5652」(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製、ポリカーボネートジオール)120.0g、「PEG2000」(商品名、三洋化成工業(株)製、ポリエチレングリコール)26.9g、「マイケル付加反応生成物1」を36.8g、ジメチロールプロピオン酸9.6g、2−メトキシ−1−プロパノール2.7g、2−メチル−4−ペンタノン221.1g、N−メチルピロリドン39.0gを加え撹拌し、80℃まで昇温し溶解させた。その後、「デスモジュールI」(商品名、住化バイエルウレタン(株)製、イソホロンジイソシアネート)53.9g、「デスモジュールH」(商品名、住化バイエルウレタン(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネート)10.2g、「ネオスタンU−100」(商品名、日東化成(株)製、ジブチル錫ジラウレート)0.10gを加え、80℃で8時間保持した。その後、2−メトキシ−1−プロパノール220gを加えた後、減圧しながら2−メトキシ−1−プロパノールと2−メチル−4−ペンタノンを共沸させながら約220g除去し、10%アンモニア水3.1gと水50.0gの混合物を添加した。さらに水1200gを添加後、減圧しながら溶剤と水を共沸させながら約900g除去し、加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.55mol/Kgである樹脂が乳化分散したカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の水分散体No.1を得た。この樹脂の酸価は15.4mg−KOH/g、重量平均分子量は約15,000であった。
【0126】
製造例8 カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の水分散体No.2の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「デュラノールT5652」120.0g、「PEG2000」26.9g、「マイケル付加反応生成物1」を27.0g、「マイケル付加反応生成物2」を7.3g、ジメチロールプロピオン酸9.6g、2−メチル−4−ペンタノン209.7g、N−メチルピロリドン37.0gを加え撹拌し、80℃まで昇温し溶解させた。その後、「デスモジュールI」47.1g、「デスモジュールH」8.9g、「ネオスタンU−100」0.10gを加え、80℃で8時間保持した。その後、2−メトキシ−1−プロパノール220gを加えた後、減圧しながら2−メトキシ−1−プロパノールと2−メチル−4−ペンタノンを共沸させながら約220g除去し、10%アンモニア水3.9gと水50.0gの混合物を添加した。さらに水1200gを添加後、減圧しながら溶剤と水を共沸させながら約900g除去し、加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.55mol/Kgである樹脂が乳化分散したカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の水分散体No.2を得た。この樹脂の酸価は16.3mg−KOH/g、重量平均分子量は約14,000であった。
【0127】
製造例9 カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂水分散体No.3の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「デュラノールT5652」120.0g、「PEG2000」26.9g、「マイケル付加反応生成物1」を27.0g、「マイケル付加反応生成物4」を8.3g、ジメチロールプロピオン酸9.6g、2−メチル−4−ペンタノン210.6g、N−メチルピロリドン37.2gを加え撹拌し、80℃まで昇温し溶解させた。その後、「デスモジュールI」47.1g、「デスモジュールH」8.9g、「ネオスタンU−100」0.10gを加え、80℃で8時間保持した。その後、2−メトキシ−1−プロパノール220gを加えた後、減圧しながら2−メトキシ−1−プロパノールと2−メチル−4−ペンタノンを共沸させながら約220g除去し、10%アンモニア水3.6gと水50.0gの混合物を添加した。さらに水1200gを添加後、減圧しながら溶剤と水を共沸させながら約900g除去し、加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.55mol/Kgである樹脂が乳化分散したカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂水分散体No.3を得た。この樹脂の酸価は16.2mgKOH/g、重量平均分子量は約14,000であった。
【0128】
製造例10 カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂水分散体No.4の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「デュラノールT5652」120.0g、「PEG2000」26.9g、「マイケル付加反応生成物3」を31.1g、ジメチロールプロピオン酸9.6g、2−メトキシ−1−プロパノール2.7g、2−メチル−4−ペンタノン214.7g、N−メチルピロリドン37.9gを加え撹拌し、80℃まで昇温し溶解させた。その後、「デスモジュールI」52.4g、「デスモジュールH」9.9g、「ネオスタンU−100」0.10gを加え、80℃で8時間保持した。その後、2−メトキシ−1−プロパノール220gを加えた後、減圧しながら2−メトキシ−1−プロパノールと2−メチル−4−ペンタノンを共沸させながら約220g除去し、10%アンモニア水4.7gと水50.0gの混合物を添加した。
さらに水1200gを添加後、減圧しながら溶剤と水を共沸させながら約900g除去し、加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.53mol/Kgである樹脂が乳化分散したカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂水分散体No.4を得た。この樹脂の酸価は15.9mgKOH/g、重量平均分子量は約15,000であった。
【0129】
製造例11 カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の水分散体No.5の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「デュラノールT5652」135.0g、「Ymer N120」(商品名、パーストープ社製)13.4g、「マイケル付加反応生成物1」を36.8g、ジメチロールプロピオン酸9.6g、2−メトキシ−1−プロパノール2.7g、2−メチル−4−ペンタノン223.8g、N−メチルピロリドン39.5gを加え撹拌し、80℃まで昇温し溶解させた。その後、「デスモジュールI」55.2g、「デスモジュールH」10.4g、「ネオスタンU−100」0.10gを加え、80℃で8時間保持した。その後、2−メトキシ−1−プロパノール220gを加えた後、減圧しながら2−メトキシ−1−プロパノールと2−メチル−4−ペンタノンを共沸させながら約220g除去し、10%アンモニア水3.1gと水50.0gの混合物を添加した。さらに水1200gを添加後、減圧しながら溶剤と水を共沸させながら約900g除去し、加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.54mol/Kgである樹脂が乳化分散したカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の水分散体No.5を得た。この樹脂の酸価は15.2mgKOH/g、重量平均分子量は約16,000であった。
比較製造例1 カルボニル基を含まないウレタンウレア樹脂の水分散体No.6の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「デュラノールT5652」186.0g、「PEG2000」26.9g、ジメチロールプロピオン酸9.6g、2−メトキシ−1−プロパノール2.7g、2−メチル−4−ペンタノン226.1g、N−メチルピロリドン39.9gを加え撹拌し、80℃まで昇温して溶解させた。その後、「デスモジュールI」34.3g、「デスモジュールH」6.5g、「ネオスタンU−100」0.10gを加え、80℃で8時間保持した。
その後、2−メトキシ−1−プロパノール220gを加えた後、減圧しながら2−メトキシ−1−プロパノールと2−メチル−4−ペンタノンを共沸させながら約220g除去し、10%アンモニア水6.1gと水50.0gの混合物を添加した。さらに水1200gを添加後、減圧しながら溶剤と水を共沸させながら約900g除去し、加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基を含まないウレタンウレア樹脂の水分散体No.6を得た。この樹脂の酸価は15.1mgKOH/g、重量平均分子量は約15,000であった。
【0130】
比較製造例2 カルボニル基含有ウレタン樹脂の水分散体No.7の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「デュラノールT5652」180.0g、「PEG2000」26.9g、「マイケル付加反応生成物5」を12.3g、2−メトキシ−1−プロパノール2.7g、2−メチル−4−ペンタノン256.5gを加え撹拌し、80℃まで昇温し溶解させた。その後、「デスモジュールI」29.0g、「デスモジュールH」5.5g、「ネオスタンU−100」0.10gを加え、80℃で8時間保持した。その後、2−メトキシ−1−プロパノール220gを加えた後、減圧しながら2−メトキシ−1−プロパノールと2−メチル−4−ペンタノンを共沸させながら約220g除去し、酢酸2.6gと水50.0gの混合物を添加した。さらに水1200gを添加後、減圧しながら溶剤と水を共沸させながら約900g除去し、加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.18mol/Kgである樹脂が乳化分散したカルボニル基含有ウレタン樹脂の水分散体No.7を得た。この樹脂の重量平均分子量は約18,000であった。
【0131】
比較製造例3 カルボニル基含有ウレタン樹脂の水分散体No.8の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「デュラノールT5652」165.0g、「PEG2000」26.9g、ジメチロールプロピオン酸10.1g、2−メチル−4−ペンタノン244.7g、N−メチルピロリドン43.2gを加え撹拌し、80℃まで昇温し溶解させた。
その後、「デスモジュールI」41.0g、「デスモジュールH」7.8g、「ネオスタンU−100」0.10gを加え、80℃で5時間保持した。次にトリエチルアミン3.8gを添加した後、「マイケル付加反応生成物6」の水溶液34.4gを15分で滴下した。さらに水1200gを添加後、減圧しながら溶剤と水を共沸させながら約900g除去し、加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.16mol/Kgである樹脂が乳化分散したカルボニル基含有ウレタン樹脂の水分散体No.8を得た。この樹脂の酸価は14.6mgKOH/g、重量平均分子量は樹脂が分子量測定に使用するカラムの排除限界分子量を超えるために測定することができなかった。
【0132】
実施例1 表面処理剤No.1の製造
カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂水分散体No.1を100部(固形分)、
10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液4.79部(固形分)、スノーテックス
N(注2)20部(固形分)、チタン弗化水素3.0(固形分)を混合し、脱
イオン水を加えて固形分を調製して、固形分20%の表面処理剤No.1を得
た。カルボニル基/ヒドラジド基の配合当量比=1.0/1.0である。
【0133】
実施例2〜10
表1の配合内容とする以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤No.2
〜No.10を得た。
【0134】
【表1】

【0135】
(注1)スーパーフレックス150:商品名、第一工業製薬社製、アニオン性ウレタン樹脂水分散体、固形分30%
(注2)スノーテックスN:商品名、日産化学工業社製、コロイダルシリカの水分散液、シリカ粒子の平均粒子径は約20nm
(注3)AEROSIL200V:シリカ微粒子、商品名、日本アエロジル社製
(注4)KBM−603:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名、信越シリコーン社製
(注5)KBE−903:3−アミノプロピルトリエトキシメトキシシラン、
商品名、信越シリコーン社製。
【0136】
比較例1〜7
表2の配合内容とする以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤No.1
1〜No.17を得た。
【0137】
【表2】

【0138】
試験板の作成及び皮膜性能評価
アルカリ脱脂の後に水洗を行った70mm×150mmの電気亜鉛めっき鋼板(商品名:ジンコート、板厚0.8mm、めっき付着量20g/m)に、実施例1〜10及び比較例1〜7の各金属表面処理剤を、バーコーターを用いて乾燥皮膜重量が1.2g/mとなるように塗装し、鋼板の最高到達温度が90℃になるようにして8秒間乾燥を行った。得られた各試験板について下記の各種性能試験を行った。結果を表3及び表4に示す。
【0139】
【表3】

【0140】
【表4】

【0141】
試験方法
(注6)貯蔵安定性:上記実施例及び比較例にて製造した固形分20%の各金属表面処理剤を40℃の恒温室に静置し、30日後の状態を下記基準により評価した。
〇:沈降、ゲル化ともになし
×:沈降もしくはゲル化が見られる
(注7)耐指紋性:試験板の塗装面の半分にワセリンを塗布して20℃の恒温室に24時間放置した後、ガーゼでワセリンを拭き取り、ワセリン拭き取り後の塗面のワセリンを塗布していない塗面に対する色差を測定して下記基準により評価した。尚、色差測定はミノルタ製色差計「CR−100」を用いて行った。
〇:色差(△E)が2未満
×:色差(△E)が2以上
(注8)耐食性(脱脂無し):端面部及び裏面部をシールした試験板に、JISZ2371に規定する塩水噴霧試験を120時間行い、錆の程度を下記基準により評価した。
◎:白錆の発生程度が塗膜面積の5%未満
〇:白錆の発生程度が塗膜面積の5%以上で10%未満で実用の範囲である
△:白錆の発生程度が塗膜面積の10%以上で30%未満
×:白錆の発生程度が塗膜面積の30%以上
(注9)耐食性(アルカリ脱脂後):試験板をアルカリ脱脂剤CL−N364S(商品名、日本パーカライジング社製)を溶解した濃度2%の水溶液を用いて60℃にて2分間脱脂し、水洗を10秒間行った。その後、試験板の端面部及び裏面部をシールし、JIS Z 2371に規定する塩水噴霧試験を72時間行い、錆の程度を下記基準により評価した。
◎:白錆の発生程度が塗膜面積の5%未満
〇:白錆の発生程度が塗膜面積の5%以上で10%未満で実用の範囲である
△:白錆の発生程度が塗膜面積の10%以上で30%未満
×:白錆の発生程度が塗膜面積の30%以上
(注10)耐溶剤性:エタノールをしみ込ませた4枚重ねのガーゼを用い、試験板の皮膜表面を5往復こすった後、外観を目視にて下記基準により評価した。
〇:こすり痕が目立たない
△:こすり痕が目立つ
×:皮膜が溶解
(注11)上塗塗膜付着性:
試験板の上に熱硬化性アクリル系塗料であるマジクロン#1000(商品名、関西ペイント社製、色はホワイト)を膜厚が25μmとなるようにして塗装し、150℃で20分間焼付して塗板を作成した。その後、塗板に碁盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入れて、粘着テープによる貼着・剥離を行った。残存した碁盤目内の塗膜の数を下記基準により評価した。
◎:100個
〇:80〜99個で実用の範囲である
△:50〜79個
×:49個以下
【産業上の利用可能性】
【0142】
耐指紋性や耐食性に優れる表面処理鋼板を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記特徴のカルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体、該樹脂(A)中のカルボニル基と反応しうる官能基を1分子中に2個以上含有する硬化剤(B)、シリカ粒子(C)、並びにTi、Zr及びVから選ばれる少なくとも1種の金属化合物(D)を含有することを特徴とする金属表面処理剤。
カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂(A)の水分散体:
分子中に1級アミノ基を1個含有するアミン化合物、1級アミノ基と2級アミノ基を夫々1個ずつ含有するアミン化合物及び2級アミノ基を2個以上含有するアミン化合物から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物、ダイアセトンアクリルアミドに対してマイケル付加反応せしめて得られる分子中に2級アミノ基及びカルボニル基を含有する化合物(a1)、ポリオール化合物(a2)及びポリイソシアネート化合物(a3)を反応せしめてなる樹脂(A)を水又は水を含む媒体中に分散して得られた水分散体
【請求項2】
硬化剤(B)の官能基がヒドラジド基及び/又はセミカルバジド基である請求項1に記載の金属表面処理剤。
【請求項3】
金属化合物(D)が、チタンフッ化水素酸塩、ジルコニウムフッ化水素酸塩、炭酸ジルコニウムアンモニウム、メタバナジン酸塩及び硫酸
バナジルから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の金属表面処理剤。
【請求項4】
金属基材上に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属表面処理剤を塗布し、加熱乾燥して得られる表面処理鋼板。

【公開番号】特開2011−231353(P2011−231353A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100700(P2010−100700)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】